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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162432
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】二酸化炭素供給システム
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/50 20170101AFI20241114BHJP
   B01D 53/32 20060101ALI20241114BHJP
   B01J 4/00 20060101ALI20241114BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20241114BHJP
   B01D 53/74 20060101ALI20241114BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C01B32/50
B01D53/32 ZAB
B01J4/00 102
B01D53/62
B01D53/74
B01D53/96
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077926
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】青島 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 陽介
(72)【発明者】
【氏名】滝川 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】穂塚 稔
【テーマコード(参考)】
4D002
4G068
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA08
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB03
4D002GB20
4D002HA03
4D002HA09
4G068AA01
4G068AB01
4G068AC20
4G068AD21
4G068AF40
4G146JA02
4G146JB10
4G146JC28
4G146JC33
4G146JC36
4G146JD03
4G146JD10
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素供給対象の二酸化炭素濃度を適切に制御することが可能な二酸化炭素供給システムを提供する。
【解決手段】二酸化炭素供給システム10は、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20とを備える。二酸化炭素供給先17の状態に応じて、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20の両方、もしくはいずれか一方が二酸化炭素供給先17に二酸化炭素を供給するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置され、吸着電位の印加により二酸化炭素を吸着し、脱離電位の印加により吸着した二酸化炭素を脱離する電気化学セル(13a)を有し、前記電気化学セルに二酸化炭素を吸着させる吸着モードと、前記電気化学セルから二酸化炭素を脱離させる脱離モードとを交互に実施することにより、前記電気化学セルから脱離された二酸化炭素を二酸化炭素供給対象(17)に供給する第1の二酸化炭素供給装置(11)と、
前記第1の二酸化炭素供給装置とは別個に設けられた、前記二酸化炭素供給対象に二酸化炭素を供給する第2の二酸化炭素供給装置(20、21、22)と、
前記第1の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態を制御する第1の制御部(19)と、
前記第2の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態を制御する第2の制御部(19、23)と、を備え、
前記第1の二酸化炭素供給装置と前記第2の二酸化炭素供給装置とが連携し、前記二酸化炭素供給対象の状態に応じて、前記第1の二酸化炭素供給装置と前記第2の二酸化炭素供給装置の両方、もしくはいずれか一方が前記二酸化炭素供給対象に二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給システム。
【請求項2】
前記二酸化炭素供給対象は、閉じられた空間内で農作物を育成する農業用設備であり、
前記二酸化炭素供給対象の状態として、季節、時間帯、天候、気温、及び前記二酸化炭素供給対象の二酸化炭素濃度の少なくとも1つが考慮される、請求項1に記載の二酸化炭素供給システム。
【請求項3】
前記第1の制御部が、前記第1の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態の制御に加えて、前記第2の制御部として、前記第2の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態も制御するか、又は、前記第2の制御部が、前記第2の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態の制御加えて、前記第1の制御部として、前記第1の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態も制御する、請求項1又は2に記載の二酸化炭素供給システム。
【請求項4】
前記第1の制御部(19)と前記第2の制御部(23)との一方がマスター制御部、他方がスレーブ制御部となり、前記スレーブ制御部は、前記マスター制御部からの指示に従って、対応する二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態を制御する、請求項1又は2に記載の二酸化炭素供給システム。
【請求項5】
前記第1の制御部(19)と前記第2の制御部(23)とは互いに通信することが可能に構成され、
前記第1の制御部と前記第2の制御部との一方は、前記第1の制御部と前記第2の制御部との他方から、他方に対応する第1又は第2の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記第1の制御部と前記第2の制御部との一方に対応する第1又は第2の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態を制御する、請求項1又は2に記載の二酸化炭素供給システム。
【請求項6】
前記二酸化炭素供給対象は、閉じられた空間内で農作物を育成する農業用設備であり、
前記第2の二酸化炭素供給装置は、前記第1の二酸化炭素供給装置よりも早く、二酸化炭素の供給を開始することが可能であり、
日中に、二酸化炭素供給対象への二酸化炭素の供給が開始されるとき、前記第2の二酸化炭素供給装置が、前記二酸化炭素供給対象に二酸化炭素を供給する、請求項1又は2に記載の二酸化炭素供給システム。
【請求項7】
前記二酸化炭素供給対象の状態に応じて、前記第2の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給に加えて、前記第1の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給を行うか否かが決定される、請求項6に記載の二酸化炭素供給システム。
【請求項8】
前記二酸化炭素供給対象は、閉じられた空間内で農作物を育成する農業用設備であり、
前記第1の二酸化炭素供給装置は、前記第2の二酸化炭素供給装置より多量の二酸化炭素を供給することが可能であり、
日中に、二酸化炭素供給対象への二酸化炭素の供給が開始されるとき、前記第1の二酸化炭素供給装置が、前記二酸化炭素供給対象に二酸化炭素を供給する、請求項1又は2に記載の二酸化炭素供給システム。
【請求項9】
前記二酸化炭素供給対象の状態に応じて、前記第1の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給に加えて、前記第2の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給を行うか否かが決定される、請求項8に記載の二酸化炭素供給システム。
【請求項10】
前記第1及び第2の二酸化炭素供給装置の一方は、前記二酸化炭素供給対象における二酸化炭素濃度が所定の目標濃度に達すると、二酸化炭素の供給を停止し、停止後、所定時間が経過すると、二酸化炭素の供給を開始するものであり、
前記第1及び第2の二酸化炭素供給装置の他方は、前記第1及び第2の二酸化炭素供給装置の一方における制御則に関する情報に基づき、前記第1の二酸化炭素供給装置と前記第2の二酸化炭素供給装置の両方、もしくはいずれか一方が前記二酸化炭素供給対象に二酸化炭素を供給するように動作する、請求項1に記載の二酸化炭素供給システム。
【請求項11】
前記第1及び第2の二酸化炭素供給装置の他方は、前記第1の二酸化炭素供給装置と前記第2の二酸化炭素供給装置のいずれか一方が前記二酸化炭素供給対象に二酸化炭素を供給するように動作する場合、前記第1及び第2の二酸化炭素供給装置の一方による二酸化炭素の供給が停止している間に、前記二酸化炭素供給対象に二酸化炭素を供給して、前記第1及び第2の二酸化炭素供給装置の一方による二酸化炭素の供給を補助する、請求項10に記載の二酸化炭素供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気化学セルに二酸化炭素を吸着させる吸着モードと、電気化学セルから二酸化炭素を脱離させる脱離モードとを交互に実施することにより、電気化学セルから脱離された二酸化炭素を二酸化炭素供給対象に供給する二酸化炭素供給装置を備えた二酸化炭素供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1や特許文献2には、電気化学デバイスや水酸化ナトリウム水溶液を用いて、屋内の空気中から二酸化炭素を回収して、二酸化炭素濃度を減少させる二酸化炭素回収装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-144024号公報
【特許文献2】特開2022-8288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような二酸化炭素回収装置を用いて、農作物の収穫量を増加させることが試みられている。この場合、二酸化炭素の回収及び供給を行う装置が、大気中の二酸化炭素を回収するとともに、回収した二酸化炭素をビニールハウスなどの農業用設備内に供給するように用いられる。これにより、農業用設備内の二酸化濃度を、例えば通常の約3倍程度まで高めることができ、その結果、農作物の収穫量を最大で3割程度増加させることが可能となる。
【0005】
しかしながら、上述したような二酸化炭素の回収及び供給を行う装置は、二酸化炭素を回収後、回収した二酸化炭素を供給するものであるため、二酸化炭素の供給を開始するまでに時間がかかる。さらに、二酸化炭素の回収と供給の1つのサイクルによって供給され得る二酸化炭素量が少ない場合、農業用設備内の二酸化炭素濃度を目標とする二酸化炭素濃度とするまでには、さらに長い時間を要することになる。このように、二酸化炭素の回収及び供給を行う既存の装置では、二酸化炭素供給対象の二酸化炭素濃度を適切に制御できない虞がある。
【0006】
本開示は、上述した点に鑑みてなされたものであり、二酸化炭素供給対象の二酸化炭素濃度を適切に制御することが可能な二酸化炭素供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の二酸化炭素供給システムは、
筐体内に配置され、吸着電位の印加により二酸化炭素を吸着し、脱離電位の印加により吸着した二酸化炭素を脱離する電気化学セル(13a)を有し、電気化学セルに二酸化炭素を吸着させる吸着モードと、電気化学セルから二酸化炭素を脱離させる脱離モードとを交互に実施することにより、電気化学セルから脱離された二酸化炭素を二酸化炭素供給対象(17)に供給する第1の二酸化炭素供給装置(11)と、
第1の二酸化炭素供給装置とは別個に設けられた、二酸化炭素供給対象に二酸化炭素を供給する第2の二酸化炭素供給装置(20、21、22)と、
第1の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態を制御する第1の制御部(19)と、
第2の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態を制御する第2の制御部(19、23)と、を備え、
第1の二酸化炭素供給装置と第2の二酸化炭素供給装置とが連携し、二酸化炭素供給対象の状態に応じて、第1の二酸化炭素供給装置と第2の二酸化炭素供給装置の両方、もしくはいずれか一方が二酸化炭素供給対象に二酸化炭素を供給するように構成される。
【0008】
本開示による二酸化炭素供給システムは、上述したように、第1の二酸化炭素供給装置と第2の二酸化炭素供給装置とを備える。そして、二酸化炭素供給対象の状態に応じて、第1の二酸化炭素供給装置と第2の二酸化炭素供給装置の両方、もしくはいずれか一方が二酸化炭素供給対象に二酸化炭素を供給するように、第1の二酸化炭素供給装置と第2の二酸化炭素供給装置とが連携して動作するように構成される。従って、例えば、二酸化炭素供給対象の二酸化炭素濃度が目標とする二酸化濃度に対して大きく低下しているときには、第1の二酸化炭素供給装置と第2の二酸化炭素供給装置との両方によって二酸化炭素を供給することにより、早期に二酸化炭素供給対象の二酸化炭素濃度を目標とする二酸化炭素濃度に近づくように高めることができる。さらに、例えば、二酸化炭素供給対象の二酸化炭素濃度が目標とする二酸化炭素濃度に近い場合は、第1の二酸化炭素供給装置と第2の二酸化炭素供給装置のいずれか一方によって二酸化炭素を供給することにより、消費するエネルギーやランニングコストを抑えながら、精度良く目標とする二酸化炭素濃度へ近づけることができる。このように、本開示による二酸化炭素供給システムによれば、二酸化炭素供給対象の二酸化炭素濃度を適切に制御することが可能となる。
【0009】
上記括弧内の参照番号は、本開示の理解を容易にすべく、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、なんら本開示の範囲を制限することを意図したものではない。
【0010】
また、上記した本開示の特徴以外の、特許請求の範囲の各請求項に記載した技術的特徴に関しては、後述する実施形態の説明及び添付図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る二酸化炭素供給システムの構成を概略的に示す構成図である。
図2】二酸化炭素供給装置及び二酸化炭素発生装置の制御装置によって実行される、二酸化炭素供給先へ二酸化炭素を供給するために実行される処理を示すフローチャートである。
図3】学習モード処理の実行条件及び実行タイミングの例を示す表である。
図4】学習モード処理の詳細を示すフローチャートである。
図5】脱離学習データ作成処理の詳細を示すフローチャートである。
図6】学習用脱離モードにおいて、二酸化炭素センサを用いて測定された、時間経過に伴う回収器内の二酸化炭素濃度の変化の一例を示すグラフである。
図7】時間経過に伴う回収器内の二酸化炭素濃度の変化に基づいて作成される、経過時間と電気化学セルからの二酸化炭素の脱離量との関係を表す脱離学習データの一例を示すグラフである。
図8】吸着学習データ作成処理の詳細を示すフローチャートである。
図9】学習用吸着モードにおいて、二酸化炭素センサを用いて測定された、時間経過に伴う回収器内の二酸化炭素濃度の変化の一例を示すグラフである。
図10】時間経過に伴う回収器内の二酸化炭素濃度の変化に基づいて作成される、経過時間と電気化学セルへの二酸化炭素の吸着量との関係を表す吸着学習データの一例を示すグラフである。
図11】事前準備吸着時間と学習用吸着モード実施時間との相違に応じた、吸着学習データの更新について説明するための説明図である。
図12】併用モード処理の詳細を示すフローチャートである。
図13】吸着モード処理の詳細を示すフローチャートである。
図14】脱離モード処理の詳細を示すフローチャートである。
図15】二酸化炭素発生装置による単独モード処理の詳細を示すフローチャートである。
図16】二酸化炭素供給装置による単独モード処理の詳細を示すフローチャートである。
図17】第2実施形態に係る二酸化炭素供給システムの構成を概略的に示す構成図である。
図18】第3実施形態に係る二酸化炭素供給システムの構成を概略的に示す構成図である。
図19】第3実施形態に係る二酸化炭素供給システムにおいて、第2制御装置が実行する処理の詳細を示すフローチャートである。
図20】第3実施形態に係る二酸化炭素供給システムにおいて、第1制御装置が実行する処理の詳細を示すフローチャートである。
図21】第4実施形態に係る二酸化炭素供給システムの構成を概略的に示す構成図である。
図22】第4実施形態に係る二酸化炭素供給システムにおいて、第1制御装置が実行する処理の詳細を示すフローチャートである。
図23】第4実施形態に係る二酸化炭素供給システムにおいて、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20のいずれか一方が二酸化炭素供給先17に二酸化炭素を供給するように動作する動作例を説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の複数の実施形態に係る二酸化炭素供給システムが、図面を参照して、詳細に説明される。なお、複数の図面にわたって、互いに同一もしくは均等である部分には、同一又は対応する符号が付されている。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る二酸化炭素供給システム10の構成を概略的に示している。本実施形態に係る二酸化炭素供給システム10は、二酸化炭素供給装置11によって大気から回収された二酸化炭素(を含むガス)と、二酸化炭素発生装置20によって発生された二酸化炭素(を含むガス)の両方、もしくはいずれか一方を、例えばビニールハウスなどの閉じられた空間内で農作物を育成する農業用設備のような二酸化炭素供給先17に供給するものである。二酸化炭素供給装置11が第1の二酸化炭素供給装置に相当し、二酸化炭素発生装置20が第2の二酸化炭素供給装置に相当する。
【0014】
図1に示す二酸化炭素供給装置11は、第1開閉弁12、回収器13、第2開閉弁14、送風機15、流路切替弁16、二酸化炭素供給先17に設けられた二酸化炭素センサ18、及び、制御装置19などを備えている。
【0015】
第1開閉弁12は、大気と回収器13内とを連通する流路配管に設けられる。第1開閉弁12は、制御装置19によって開閉状態が制御される。第1開閉弁12が開かれると、大気と回収器13内とを連通する流路配管を介して、二酸化炭素を含有した大気が回収器13内に導入可能となる。一方、第1開閉弁12が閉じられると、大気と回収器13内とを連通する流路配管が遮断される。
【0016】
第2開閉弁14は、回収器13内と送風機15とを連通する流路配管に設けられる。第2開閉弁14は、制御装置19によって開閉状態が制御される。第2開閉弁14が開かれると、回収器13内と送風機15とを連通する流路配管を介して、回収器13から送風機15への大気の流動が可能となる。一方、第2開閉弁14が閉じられると、回収器13内と送風機15とを連通する流路配管が遮断される。従って、第1及び第2開閉弁12、14がともに閉じられると、回収器13は外部と連通するための流路配管が遮断され、回収器13内は密閉された状態となる。
【0017】
回収器13は、例えば金属製の筐体の内部に配置された電気化学セル13aを備える。さらに、回収器13は、回収器13内の二酸化炭素濃度を測定することが可能な二酸化炭素センサ13bを備える。二酸化炭素センサ13bは、例えば、二酸化炭素を含む大気が回収器13内を流動するとき、電気化学セル13aによって二酸化炭素が除去された後の大気中の二酸化炭素濃度を測定可能な位置に設けられる。
【0018】
回収器13は、2つの開口部を有している。開口部の1つは、外部から二酸化炭素を含む大気を回収器13の筐体内部に導入するための導入口である。開口部のもう1つは、二酸化炭素が除去された大気や、電気化学セル13aから脱離された二酸化炭素を含むガスを排出するための排出口である。上述した第1開閉弁12が設けられた流路配管が導入口に接続され、第2開閉弁14が設けられた流路配管が排出口に接続される。なお、回収器13内とは、筐体の内部と同意である。
【0019】
電気化学セル13aは、電気化学反応によって、二酸化炭素を吸着して、大気から二酸化炭素を分離(回収)したり、吸着した二酸化炭素を脱離したりすることが可能なものである。二酸化炭素が分離された大気は、送風機15及び流路切替弁16を介して外部に放出される。また、電気化学セル13aから脱離された二酸化炭素は、二酸化炭素を多く含むガスとして、送風機15によって二酸化炭素供給先17へ供給される。
【0020】
回収器13の筐体内部には、複数の電気化学セル13aが積層して配置されている。複数の電気化学セル13aの積層方向は、大気の流れ方向に直交する方向となっている。個々の電気化学セル13aは板状に構成されており、板面がセル積層方向と交差するように配置されている。隣接する電気化学セル13aの間には、所定の隙間が設けられている。隣接する電気化学セル13aの間に設けられた隙間は、大気が流れる流路となる。
【0021】
各電気化学セル13aは、例えば、作用極集電層、作用極、セパレータ、対極、及び対極集電層などが、記載された順序で積層されて構成されている。なお、作用極は負極であり、作用極と対をなす対極は正極である。これら作用極と対極との間に印加する電位差を変化させることにより、作用極に電子を与えて、作用極の二酸化炭素吸着材に二酸化炭素を吸着させたり、作用極から電子を放出させて、吸着した二酸化炭素を脱離させたりすることができる。すなわち、電気化学セル13aの作用極と対極との間に吸着電位を印加することにより、電気化学セル13a(作用極の二酸化炭素吸着材)に二酸化炭素を吸着させることができる。また、電気化学セル13aの作用極と対極との間に、吸着電位とは異なる脱離電位を印加することにより、電気化学セル13aから二酸化炭素を脱離させることができる。
【0022】
作用極集電層は、二酸化炭素を含んだ大気が通過可能な孔を有する多孔質の導電性材料からなる。作用極集電層は、ガス透過性と導電性を有していればよく、作用極集電層の形成材料として、例えば金属材料や炭素質材料を用いることができる。
【0023】
作用極は、二酸化炭素吸着材、導電性物質、バインダなどを混合した材料から形成される。二酸化炭素吸着材は、電子を受け取ることで二酸化炭素を吸着し、電子を放出することで吸着していた二酸化炭素を脱離する性質を有する。二酸化炭素吸着材としては、例えばポリアントラキノンを用いることができる。導電性物質は、二酸化炭素吸着材への導電路を形成する。導電性物質としては、例えばカーボンナノチューブ、カーボンブラック、グラフェン等の炭素材料を用いることができる。バインダは、二酸化炭素吸着材や導電性物質を保持するためのものである。バインダとしては、例えば導電性樹脂を用いることができる。導電性樹脂は、例えば、導電性フィラーとしてAg等を含有するエポキシ樹脂やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂等を用いることができる。
【0024】
対極は、電気活性補助材、導電性物質、バインダなどを混合した材料から形成される。対極の導電性物質、バインダは、作用極の導電性物質、バインダと同様であるため説明を省略する。対極の電気活性補助剤は、電子供与剤となる活物質を有する材質で構成される。対極の電気活性補助材は、作用極の二酸化炭素吸着材との間で電子の授受を行う補助的な電気活性種である。電気活性補助材としては、例えば金属イオンの価数が変化することで、電子の授受を可能とする金属錯体を用いることができる。このような金属錯体としては、フェロセン、ニッケロセン、コバルトセン等のシクロペンタジエニル金属錯体、あるいはポルフィリン金属錯体等を挙げることができる。これらの金属錯体は、ポリマーでもモノマーでもよい。対極集電層は、作用極集電層と同様に、金属材料や炭素質材料などの導電性材料にて形成される。
【0025】
セパレータは、作用極と対極との間に配置され、作用極と対極とを分離する。セパレータは、作用極と対極との物理的な接触を防いで電気的短絡を抑制するとともに、イオンを透過させる絶縁性イオン透過膜である。セパレータとして、セルロース膜やポリマー、ポリマーとセラミックの複合材料等を用いることができる。
【0026】
なお、電気化学セル13aには、電解質が作用極及び対極にまたがるように設けられている。電解質は、例えばイオン液体を用いることができる。イオン液体は、常温常圧下で不揮発性を有する液体の塩である。
【0027】
送風機15は、いずれも図示は省略されているが、モータによって回転される送風ファンを有する。送風機15は、制御装置19によってオン、オフや、回転数が制御される。送風機15は、回収器13内の電気化学セル13aに二酸化炭素を吸着させるとき、及び、吸着された二酸化炭素を電気化学セル13aから脱離させ、脱離された二酸化炭素を含むガスを二酸化炭素供給先17へ供給するときに、制御装置19によってオンされる。なお、送風機15として、大気を流動させることが可能なポンプを用いても良い。
【0028】
流路切替弁16は、送風機15の下流側の流路配管を流れるガス(二酸化炭素が除去された大気、電気化学セル13aから脱離された二酸化炭素を含むガス)の流路を切り替える三方弁である。流路切替弁16の流路の切り替えは、制御装置19によって制御される。具体的には、制御装置19は、回収器13内の電気化学セル13aに二酸化炭素を吸着させるとき、送風機15の下流側の流路配管を外部(大気)に連通するように流路切替弁16を制御する。これにより、電気化学セル13aによって二酸化炭素が除去された大気は、外部へ放出される。一方、制御装置19は、電気化学セル13aが吸着した二酸化炭素を脱離するとき、送風機15の下流側の流路配管を二酸化炭素供給先17に連通するように流路切替弁16を制御する。これにより、電気化学セル13aから脱離された二酸化炭素を含むガス、すなわち、大気よりも二酸化炭素を多く含むガスが二酸化炭素供給先17に供給される。
【0029】
二酸化炭素センサ18は、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度を所定の時間間隔で検出する。制御装置19は、例えば、二酸化炭素センサ18によって検出された二酸化炭素濃度が所定の目標上限濃度に達すると、二酸化炭素供給装置11や二酸化炭素発生装置20による二酸化炭素の供給を停止する。また、例えば、二酸化炭素供給先17が農業用設備である場合に、農作物の光合成によって二酸化炭素濃度が低下し、所定の目標下限濃度に達すると、制御装置19は、二酸化炭素供給装置11や二酸化炭素発生装置20による二酸化炭素の供給を再開する。
【0030】
二酸化炭素発生装置20は、二酸化炭素供給先17の内部に設置されている。二酸化炭素発生装置20は、燃油(灯油、重油など)、可燃性ガス(LPガスなど)、薪などの燃料を燃焼することによって二酸化炭素を発生し、発生した二酸化炭素を二酸化炭素供給先17に供給する。二酸化炭素発生装置20は、燃料を燃焼することによって二酸化炭素を発生するため、二酸化炭素供給先17の内部を暖房する暖房機としても機能する。本実施形態では、制御装置19が、二酸化炭素発生装置20の制御装置としての役目も兼ねており、二酸化炭素発生装置20の運転状態は、制御装置19によって制御される。ただし、二酸化炭素発生装置20の制御装置が、二酸化炭素供給装置11の制御装置19としての役目を兼ねることも可能である。
【0031】
制御装置19は、CPU、ROM及びRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺装置から構成されている。周辺装置には、センサ13b、18などとの信号のやり取りを行うため、及び二酸化炭素発生装置20に対して運転状態を指示する指示信号を出力するためのI/O回路などが含まれる。
【0032】
制御装置19は、ROM等の記憶媒体に記憶された制御プログラムに基づいて各種の演算処理を行い、二酸化炭素供給装置11及び二酸化炭素発生装置20などの各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、制御装置19は、二酸化炭素供給先17の状態に応じて、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20の両方、もしくはいずれか一方が二酸化炭素供給先17に二酸化炭素を供給するように、二酸化炭素供給装置11及び二酸化炭素発生装置20を制御するための処理を実行する。制御装置19は、二酸化炭素供給先17の状態として、季節、時間帯、天候、気温、及び二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度の少なくとも1つを考慮する。これにより、例えば、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標とする二酸化濃度に対して大きく低下しているときには、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20との両方によって二酸化炭素を供給することにより、早期に二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度を目標とする二酸化炭素濃度に近づくように高めることができる。さらに、例えば、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標とする二酸化炭素濃度に近い場合は、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20のいずれか一方によって二酸化炭素を供給することにより、消費するエネルギーやランニングコストを抑えながら、精度良く目標とする二酸化炭素濃度へ近づけることができる。このように、本開示による二酸化炭素供給システム10によれば、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度を適切に制御することが可能となる。
【0033】
制御装置19は、さらに、二酸化炭素供給装置11において、電気化学セル13aに無駄に吸着電位や脱離電位の印加を行うことを防止するため、吸着モードにおける吸着電位の印加時間(吸着モードの実行時間とも言える)を設定するための吸着学習データや、脱離モードにおける脱離電位の印加時間(脱離モードの実行時間とも言える)を設定するための脱離学習データを作成する学習モード処理も実行する。学習モード処理は、後に詳細に説明される。
【0034】
以下、本実施形態に係る二酸化炭素供給システム10の制御装置19によって実行される処理を、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0035】
図2のフローチャートに示すように、制御装置19は、まず、ステップS100において、電気化学セル13aの吸着時間や脱離時間に関する学習データを得るための学習モードを実行するか否かを判定する。制御装置19は、二酸化炭素供給装置11において、後述する吸着モードや脱離モードを実行する際に、吸着時間学習データ及び脱離時間学習データに基づいて、それぞれ、吸着モードの実行時間及び脱離モードの実行時間を設定する。これにより、例えば、電気化学セル13aが吸着可能な二酸化炭素を吸着したにも係らず吸着電位の印加を継続したり、あるいは、電気化学セル13aが吸着していた二酸化炭素をすべて脱離したにも係らず、脱離電位の印加を継続したりすることを回避することが可能になる。制御装置19は、例えば、図3に示す学習モード実行条件に従って、学習モードを実行するか否かを判定することができる。具体的には、学習モード実行条件は、ユーザによる学習モード実行要求の発生、二酸化炭素供給システム10の電源オンによる稼働開始、夜間(二酸化炭素供給システム10が二酸化炭素を供給していないとき)、電気化学セル13aの洗浄等のメンテナンスや電気化学セル13aの交換直後などを含むことができる。
【0036】
また、二酸化炭素供給システム10が農業用途に適用される場合、天気、地域、季節、供給先の規模に応じて、学習モードの実行回数を変更しても良い。例えば、天気が晴れている場合、日照時間が長い地域や季節の場合、農作物による光合成が促進されるので、二酸化炭素の供給時間が相対的に長くなる。また、二酸化炭素の供給先の規模が大きい場合にも、二酸化炭素の供給時間は相対的に長くなる。長時間に渡る二酸化炭素の供給中に、外部環境の二酸化炭素濃度、気温、湿度などが変化した場合、二酸化炭素濃度の変化前の吸着時間に関する学習データや脱離時間に関する学習データをそのまま使用して、吸着モードの実行時間や脱離モードの実行時間を設定しても、適切な実行時間を設定し得ない虞があるためである。
【0037】
ステップS100において、制御装置19は、学習モード実行条件が成立し、学習モードを実行すると判定すると、ステップS110に進む。一方、制御装置19は、学習モードを実行しないと判定すると、ステップS120に進む。
【0038】
ステップS110では、制御装置19は、学習モード処理を実行する。学習モード処理は、後に詳細に説明する。学習モード処理の終了後、制御装置19は、ステップS120に進む。
【0039】
ステップS120では、制御装置19は、センサから、及び/又は通信を介して、各種の情報を取得する。この情報には、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度、天候、気温、時間帯、季節などが含まれる。
【0040】
ステップS130では、制御装置19は、ステップS120にて取得した情報に基づき、二酸化炭素供給先17の状態に応じて、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20の両方から二酸化炭素を供給する併用モードを実行するか否かを判定する。例えば、制御装置19は、二酸化炭素供給システム10が二酸化炭素供給先17へ二酸化炭素の供給を開始するときや、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標とする二酸化濃度から大きく低下しているときなどに、併用モードを実行すると判定することが好ましい。これらの状況では、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が大気中の二酸化炭素濃度付近まで低下している可能性が高いため、併用モードによって早期に二酸化炭素濃度を高めることが望ましいためである。特に、二酸化炭素発生装置20は、燃料の燃焼によって即座に二酸化炭素を発生することができるので、上述した状況において使用することが好ましい。
【0041】
ただし、供給開始時であっても目標二酸化炭素濃度との差がそれほど大きくない場合、悪天候である場合又は悪天候が予想される場合、冬期で気温が低い場合、さらには夕方の時間帯である場合などは、二酸化炭素の濃度を大きく高める必要性はない。悪天候などにおいては、農作物による光合成が活発には行われないためである。従って、制御装置19は、これらの情報(二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度、天候、季節、気温、時間帯)の少なくとも1つを考慮して、併用モードを実行するか否かを判定することが好ましい。なお、二酸化炭素供給システム10が二酸化炭素供給先17へ二酸化炭素の供給を開始するときに、併用モードを実行しないと判定した場合であっても、即座に二酸化炭素を供給できるとの観点から、二酸化炭素発生装置20による単独モード処理が選択されることが好ましい。
【0042】
換言すれば、本実施形態においては、二酸化炭素供給システム10が、日中に、二酸化炭素供給先17に二酸化炭素の供給を開始するとき、原則として、二酸化炭素供給装置11よりも早く二酸化炭素の供給を行うことが可能な二酸化炭素発生装置20を用いて、二酸化炭素供給先17に二酸化炭素を供給する。そして、二酸化炭素供給先17の状態に応じて、二酸化炭素供給システム10は、二酸化炭素発生装置20による二酸化炭素の供給に加えて、二酸化炭素供給装置11による二酸化炭素の供給を行うか否かを決定する。二酸化炭素供給装置11による二酸化炭素の供給が行われる場合、併用モードの実行が決定されることになる。二酸化炭素供給装置11による二酸化炭素の供給が行われない場合、二酸化炭素発生装置20による単独モード処理の実行が決定されることになる。
【0043】
制御装置19は、ステップS130において、併用モードを実行すると判定した場合、ステップS140に進む。一方、制御装置19が、併用モードを実行しないと判定した場合、ステップS150に進む。
【0044】
ステップS140では、制御装置19は、併用モード処理を実行する。併用モード処理は、後に詳細に説明する。併用モード処理の終了後、制御装置19は、ステップS180に進む。
【0045】
ステップS150では、制御装置19は、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20の内、二酸化炭素を供給する装置を選択する。例えば、上述したように、二酸化炭素供給先17に二酸化炭素の供給を開始するとき、原則として、二酸化炭素発生装置20が選択される。ただし、種々の条件に応じて、選択すべき装置は変化する。例えば、制御装置19は、二酸化炭素発生装置20における燃料が空である場合に加え、燃料の残量が少ない場合、ランニングコストを抑えたい場合(一般的に、二酸化炭素供給装置11のランニングコストは、二酸化炭素発生装置20のランニングコストよりも低い)、夏場等で二酸化炭素供給先17の環境温度が過度に高い場合などのいずれかに該当すると、二酸化炭素供給装置11を選択することが好ましい。二酸化炭素供給装置11は、二酸化炭素を多く含むガス(大気)を二酸化炭素供給先17に送り込むため、二酸化炭素供給先17の換気を行うことが可能であり、過度に高い環境温度を緩和する効果を期待できる。一方、制御装置19は、冬場等で二酸化炭素供給先17の温度が低い場合などは、二酸化炭素発生装置20は暖房機としての機能も有するため、二酸化炭素発生装置20を選択することが好ましい。
【0046】
制御装置19が、二酸化炭素を供給する装置として、二酸化炭素発生装置20を選択すると決定した場合、ステップS160に進んで、二酸化炭素発生装置20による単独モード処理を実行する。逆に、制御装置19が、二酸化炭素を供給する装置として、二酸化炭素供給装置11を選択すると決定した場合、ステップS170に進んで、二酸化炭素供給装置11による単独モード処理を実行する。二酸化炭素発生装置20による単独モード処理及び二酸化炭素供給装置11による単独モード処理は、後に詳細に説明される。制御装置19は、二酸化炭素発生装置20による単独モード処理又は二酸化炭素供給装置11による単独モード処理の後、ステップS180に進む。
【0047】
なお、二酸化炭素供給装置11は、詳しくは後述するが、吸着モード処理により電気化学セル13aに吸着した二酸化炭素を、脱離モード処理により二酸化炭素供給先17に供給する。従って、二酸化炭素供給装置11が吸着モードで動作している間は、二酸化炭素供給先17に二酸化炭素を供給することができない。このため、制御装置19は、二酸化炭素供給装置11による単独モード処理を選択した場合であっても、二酸化炭素供給装置11が吸着モードで動作している間、二酸化炭素発生装置20により二酸化炭素供給先17へ二酸化炭素を供給しても良い。これにより、二酸化炭素供給先17へ、連続的に二酸化炭素を供給することが可能となる。
【0048】
ステップS180では、制御装置19は、併用モード処理、二酸化炭素発生装置20による単独モード処理、もしくは二酸化炭素供給装置11による単独モード処理によって目標濃度まで上昇した二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が低下して目標下限濃度に到達したか、又は、併用モード処理、二酸化炭素発生装置20による単独モード処理、もしくは二酸化炭素供給装置11による単独モード処理によって二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標濃度に達してから所定時間が経過したか否かを判定する。二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標下限濃度に達した、又は所定時間が経過したと判定すると、制御装置19は、ステップS100に戻り、二酸化炭素供給システム10による二酸化炭素の供給を再開する。一方、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標下限濃度に達していない、又は所定時間が経過していないと判定すると、制御装置19は、ステップS170の判定処理を繰り返し実行する。なお、二酸化炭素供給システム10による二酸化炭素の供給の再開は、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標下限濃度に到達したことのみによって判定しても良いし、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標濃度に達してから所定時間が経過したことのみによって判定しても良い。
【0049】
次に、学習モード処理について説明する。学習モード処理の詳細が、図4のフローチャートに示されている。図4のフローチャートのステップS200では、電気化学セル13aの最大吸着量に相当する量の二酸化炭素が電気化学セル13aに吸着されることが推定される所定の推定時間が、事前準備吸着時間として設定される。
【0050】
続くステップS210では、制御装置19は、学習を行うための事前準備として、上記の事前準備吸着時間だけ二酸化炭素を電気化学セル13aに吸着させる事前準備吸着モードを開始する。この事前準備吸着モードでは、二酸化炭素を含有する大気を回収器13内に導入可能とするため、第1開閉弁12が、大気が導入される流路配管と回収器13内に繋がる流路配管とを連通する。また、二酸化炭素が除去された大気を回収器13内から導出可能とするため、第2開閉弁14が開かれる。送風機15は、定められた量の大気が回収器13内に引き込まれるように、予め定められた一定の回転速度で駆動される。流路切替弁16は、送風機15の下流側の流路配管を外部に連通する。さらに、事前準備吸着モードでは、回収器13の電気化学セル13aの作用極と対極との間に、作用極の二酸化炭素吸着材が二酸化炭素を吸着可能となる事前準備用の吸着電位が印加される。事前準備用の吸着電位は、予め定められた一定の電位である。
【0051】
このような、第1及び第2開閉弁12、14、回収器13の電気化学セル13a、送風機15、及び流路切替弁16などの制御により、事前準備吸着モードでは、二酸化炭素を含有した大気が、第1開閉弁12を通過して、回収器13内に進入する。回収器13内に進入した大気に含まれる二酸化炭素は、複数の電気化学セル13aに吸着される。その結果、大気から二酸化炭素が除去される。二酸化炭素が除去された大気は、第2開閉弁14及び送風機15を通過し、流路切替弁16にて外部へ向かう流路配管に導かれ、その流路配管を介して、外部に放出される。
【0052】
ステップS220では、制御装置19が、事前準備吸着時間が経過したか否かを判定する。この判定処理において、制御装置19は、事前準備吸着時間が経過したと判定すると、ステップS230に進む。一方、制御装置19は、事前準備吸着時間が経過していないと判定すると、事前準備吸着時間が経過するまで、ステップS220の判定処理を繰り返し実行する。
【0053】
ステップS230では、事前準備吸着モードの終了処理が実行される。具体的には、制御装置19は、電気化学セル13aの作用極と対極との間への事前準備用の吸着電位の印加を終了する。また、制御装置19は、第1開閉弁12を閉じて、回収器13内を外部から遮断するとともに、第2開閉弁14を閉じる。これにより、制御装置19は、外部から回収器13内への二酸化炭素を含む大気の流入及び回収器13内からの二酸化炭素が除去された大気の流出を遮断する。さらに、制御装置19は、送風機15の駆動を停止する。また、制御装置19は、事前準備吸着時間をカウントするカウンタのカウント値のリセットなども行なう。
【0054】
なお、上記のように、事前準備吸着時間の設定や、設定した事前準備吸着時間の経過を判定せずに、回収器13内の電気化学セル13aに最大吸着量に相当する量の二酸化炭素が吸着したことを判定して、事前準備吸着モードを終了させることも可能である。具体的には、電気化学セル13aによって二酸化炭素が除去された後の、すなわち、電気化学セル13aの下流側の大気の二酸化炭素濃度を二酸化炭素センサ13bによって測定する。そして、電気化学セル13aの下流側の二酸化炭素濃度の変化が電気化学セル13aの最大吸着量の吸着を示すと、つまり、二酸化炭素が電気化学セル13aによって除去されて、二酸化炭素濃度が低下した状態から、電気化学セル13aに最大吸着量に相当する二酸化炭素が吸着されて、それ以上、二酸化炭素を吸着することができず、二酸化炭素濃度が上昇したことをもって、電気化学セル13aに最大吸着量に相当する量の二酸化炭素が吸着されたことを判定することができる。この場合、事前準備吸着モードが開始されてから、事前準備吸着モードが終了されるまでの事前準備吸着モード実行時間がカウンタ等によって計測される。
【0055】
ステップS240では、制御装置19は、脱離学習データを作成する脱離学習データ作成処理を実行する。ステップS250では、制御装置19は、吸着学習データを作成する吸着学習データ作成処理を実行する。図5は、脱離学習データ作成処理の詳細を示すフローチャートである。図8は、吸着学習データ作成処理の詳細を示すフローチャートである。以下、それぞれのフローチャートを参照して、脱離学習データ作成処理及び吸着学習データ作成処理について詳しく説明する。
【0056】
脱離学習データ作成処理では、まず、図5のフローチャートのステップS300に示すように、制御装置19が、学習用脱離モードを開始する。この学習用脱離モードにおいては、制御装置19は、電気化学セル13aの作用極と対極との間に、上述した事前準備吸着モードによって作用極の二酸化炭素吸着材に吸着された二酸化炭素を脱離させることが可能な脱離電位を印加する。また、学習用脱離モードでは、第1開閉弁12及び第2開閉弁14が、閉じた状態に維持される。送風機15も停止された状態のままとされる。
【0057】
ステップS310では、制御装置19は、二酸化炭素センサ13bを用いて、回収器13内の二酸化炭素濃度のモニターを開始する。例えば、制御装置19は、二酸化炭素センサ13bによって測定される回収器13内の二酸化炭素濃度を所定時間間隔でサンプリングする。このようにして、制御装置19は、回収器13を密閉した状態としつつ、二酸化炭素を吸着している電気化学セル13aに脱離電位を印加したときの、時間経過に伴う回収器13内の二酸化炭素濃度の変化を二酸化炭素センサ13bを用いて測定する。
【0058】
ステップS320では、制御装置19は、二酸化炭素センサ13bによって測定される二酸化炭素の濃度の変化が所定値以下となったか否かを判定する。電気化学セル13aに吸着されていた二酸化炭素の脱離が完了すると、回収器13内の二酸化炭素濃度の上昇がほぼ止まり、二酸化炭素濃度の変化は所定値以下となる。従って、二酸化炭素の濃度の変化が所定値以下となった場合、電気化学セル13aからの二酸化炭素の脱離が実質的に終了したとみなすことができる。
【0059】
電気化学セル13aからの二酸化炭素の脱離が実質的に終了したか否かは、別の手法によっても判断することができる。例えば、電気化学セル13aによる二酸化炭素の最大吸着量と回収器13などの容積とから、電気化学セル13aから二酸化炭素の脱離がすべて完了したときの回収器13内の二酸化炭素濃度を求めることができる。さらに、求めた脱離完了時の二酸化炭素濃度に基づいて、電気化学セル13aからの二酸化炭素の脱離がほぼ終了したとみなし得る脱離濃度閾値を定めることができる。そして、二酸化炭素センサ13bによって測定された二酸化炭素の濃度が脱離濃度閾値に達したことにより、電気化学セル13aからの二酸化炭素の脱離が実質的に終了したことを判定することができる。
【0060】
ステップS320で肯定的な判定がなされた場合、制御装置19は、ステップS330に進む。一方、否定的な判定がなされた場合、制御装置19は、肯定的な判定がなされるまで、ステップS320の判定を繰り返し実施する。ステップS330では、制御装置19は、二酸化炭素センサ13bを用いた回収器13内の二酸化炭素濃度のモニターを終了する。続くステップS340では、制御装置19は、電気化学セル13aの作用極と対極との間への脱離電位の印加を停止して、学習用脱離モードを終了する。
【0061】
図6は、学習用脱離モードにおいて、二酸化炭素センサ13bを用いて測定された、時間経過に伴う回収器13内の二酸化炭素濃度の変化の一例を示すグラフである。図6のグラフに示すように、モニター開始時点では、比較的低い二酸化炭素濃度が検出される。しかし、電気化学セル13aに脱離電位を印加することにより、電気化学セル13aから二酸化炭素が脱離され、回収器13内に放出されるので、回収器13内の二酸化炭素濃度は時間の経過とともに上昇する。そして、二酸化炭素濃度の上昇がほぼ停止したときに、二酸化炭素濃度のモニターを終了する。これにより、図6のグラフに示すような、時間経過に伴う回収器13内の二酸化炭素濃度の変化を測定することができる。
【0062】
ステップS350では、制御装置19は、図6に示すような、時間経過に伴う回収器13内の二酸化炭素濃度の変化に基づいて、経過時間と電気化学セル13aからの二酸化炭素の脱離量との関係を表す脱離学習データを作成する。図7は、脱離学習データの一例を示すグラフである。回収器13内の容積は既知であるので、制御装置19は、図6に示すような、時関経過に伴う二酸化炭素の濃度変化から、図7に示すような、経過時間と二酸化炭素の脱離量との関係を表す脱離学習データを算出することができる。ステップS360では、制御装置19は、作成した脱離学習データを、RAM、ディスク、フラッシュメモリ等の記憶媒体に記憶する。以上により、脱離学習データ作成処理が終了する。
【0063】
次に、吸着学習データ作成処理について説明する。吸着学習データ作成処理では、まず、図8のフローチャートのステップS400に示すように、制御装置19は、学習用吸着モードを開始する。この学習用吸着モードにおいては、制御装置19は、電気化学セル13aの作用極と対極との間に、上述した学習用脱離モードによって回収器13内に放出された二酸化炭素を作用極の二酸化炭素吸着材に吸着させることが可能な吸着電位を印加する。なお、学習用吸着モードでも、第1開閉弁12及び第2開閉弁14は、閉じた状態に維持される。送風機15も停止された状態のままとされる。
【0064】
ステップS410では、制御装置19は、二酸化炭素センサ13bを用いて、回収器13内の二酸化炭素濃度のモニターを開始する。例えば、制御装置19は、二酸化炭素センサ13bによって測定される回収器13内の二酸化炭素濃度を所定時間間隔でサンプリングする。このようにして、制御装置19は、回収器13を密閉した状態としつつ、回収器13内に放出された二酸化炭素が存在している中で、電気化学セル13aに吸着電位を印加したときの、時間経過に伴う回収器13内の二酸化炭素濃度の変化を二酸化炭素センサ13bを用いて測定する。
【0065】
ステップS420では、制御装置19は、二酸化炭素センサ13bによって測定される二酸化炭素の濃度の変化が所定値以下となったか否かを判定する。電気化学セル13aにより回収器13内の二酸化炭素の吸着が完了すると、回収器13内の二酸化炭素濃度の低下がほぼ止まり、二酸化炭素濃度の変化は所定値以下となる。従って、二酸化炭素の濃度の変化が所定値以下となった場合、電気化学セル13aによる二酸化炭素の吸着が実質的に終了したとみなすことができる。
【0066】
電気化学セル13aによる二酸化炭素の吸着が実質的に終了したか否かは、別の手法によっても判断することができる。例えば、吸着学習データ作成処理は、脱離学習データ作成処理に続いて実行されるので、脱離学習データ作成処理を開始したときの回収器13内の二酸化炭素濃度を基準として、電気化学セル13aによる二酸化炭素の吸着が実質的に終了したとみなし得る吸着濃度閾値を定めることができる。回収器13内の二酸化炭素濃度が、脱離学習データ作成処理開始時の二酸化炭素濃度を基準とする吸着濃度閾値まで低下すれば、学習用脱離モードにおいて電気化学セル13aから脱離された二酸化炭素は、再び、電気化学セル13aによって吸着されたとみなすことができるためである。従って、二酸化炭素センサ13bによって測定された二酸化炭素濃度が吸着濃度閾値に達したことにより、電気化学セル13aによる二酸化炭素の吸着が実質的に終了したとみなすことができる。
【0067】
ステップS420で肯定的な判定がなされた場合、制御装置19は、ステップS430に進む。一方、否定的な判定がなされた場合、制御装置19は、肯定的な判定がなされるまで、ステップS420の判定を繰り返し実施する。ステップS430では、制御装置19は、二酸化炭素センサ13bを用いた回収器13内の二酸化炭素濃度のモニターを終了する。続くステップS440では、制御装置19は、電気化学セル13aの作用極と対極との間への吸着電位の印加を停止して、学習用吸着モードを終了する。なお、このとき、制御装置19は、学習用吸着モードの開始から終了までの学習用吸着モードの実施時間を計測して記憶しておく。
【0068】
図9は、学習用吸着モードにおいて、二酸化炭素センサ13bを用いて測定された、時間経過に伴う回収器13内の二酸化炭素濃度の変化の一例を示すグラフである。図9のグラフに示すように、モニター開始時点では、比較的高い二酸化炭素濃度が検出される。しかし、電気化学セル13aに吸着電位を印加することにより、回収器13内の二酸化炭素が電気化学セル13aに吸着されるので、回収器13内の二酸化炭素濃度は時間の経過とともに低下する。そして、二酸化炭素濃度の低下がほぼ停止したときに、二酸化炭素濃度のモニターを終了する。これにより、図9のグラフに示すような、時間経過に伴う回収器13内の二酸化炭素濃度の変化を測定することができる。
【0069】
ステップS450では、制御装置19は、図9に示すような、時間経過に伴う回収器13内の二酸化炭素濃度の変化に基づいて、経過時間と電気化学セル13aへの二酸化炭素の吸着量との関係を表す吸着学習データを作成する。図10は、吸着学習データの一例を示すグラフである。回収器13内の容積は既知であるので、制御装置19は、図9に示すような、時関経過に伴う二酸化炭素の濃度変化から、図10に示すような、経過時間と二酸化炭素の吸着量との関係を表す吸着学習データを算出することができる。
【0070】
ステップS460では、図4のフローチャートのステップS200で設定された事前準備吸着時間と、学習用吸着モードの実施時間が一致するか否かを判定する。一致しないと判定した場合、制御装置19は、ステップS470に進む。一致すると判定した場合、制御装置19は、ステップS480に進む。
【0071】
ステップS470では、制御装置19は、事前準備吸着時間と学習用吸着モード実施時間との相違に応じて、ステップS450で作成した吸着学習データを更新する。例えば、学習用吸着モード実施時間に対する事前準備吸着時間の比率に応じて、二酸化炭素の吸着量に対する経過時間を変化させて、吸着学習データを更新する。具体的には、事前準備吸着時間が学習用吸着モード実施時間よりも長い場合、学習用吸着モード実施時間に対する事前準備吸着時間の比率に応じて、図11に示すように、吸着学習データを時間軸方向に拡大させる。逆に、事前準備吸着時間が学習用吸着モード実施時間よりも短い場合、学習用吸着モード実施時間に対する事前準備吸着時間の比率に応じて、図11に示すように、吸着学習データを時間軸方向に縮小させる。なお、学習用吸着モード実施時間に対する事前準備吸着時間の比率以外に、例えば、事前準備吸着時間と学習用吸着モード実施時間との差分に所定の係数を乗じて、吸着学習データを時間軸方向に拡大、縮小させる割合を算出することも可能である。
【0072】
吸着学習データは、上述したように、回収器13が密閉された状態で、回収器13内の二酸化炭素を電気化学セル13aに吸着させたときの回収器13内の二酸化炭素濃度の変化に基づいて作成される。それに対して、二酸化炭素供給先17へ二酸化炭素の供給を行うために、二酸化炭素供給装置11において実行される吸着モードでは、回収器13は密閉されておらず、送風機15によって二酸化炭素を含む大気が回収器13内を流動する。このようなシチュエーションの相違を補償するために、本実施形態では、事前準備吸着時間と学習用吸着モード実施時間との相違を利用する。つまり、事前準備吸着時間は、上述した吸着モードと同様に、回収器13内に二酸化炭素を含む大気を流動させながら、電気化学セル13aに二酸化炭素を吸着させた時間である。従って、事前準備吸着時間と学習用吸着モード実施時間との相違に応じて、吸着学習データを時間軸方向に拡大、縮小させることにより、上述した吸着モードに適合するように、吸着学習データを更新することができる。
【0073】
ステップS480では、制御装置19は、作成又は更新した吸着学習データを、RAM、ディスク、フラッシュメモリ等の記憶媒体に記憶する。以上により、吸着学習データ作成処理が終了する。
【0074】
次に、併用モード処理について、図12のフローチャートを参照して説明する。併用モード処理では、まず、図12のフローチャートのステップS500に示すように、センサから、及び/又は通信を介して、各種の情報を取得する。この情報には、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度、天候、気温、時間帯、季節などが含まれる。
【0075】
ステップS510では、制御装置19が、二酸化炭素供給先17の目標二酸化炭素濃度を設定する。この目標二酸化炭素濃度の設定に際して、制御装置19は、天候、気温、時間帯、季節などを考慮する。例えば、制御装置19は、朝方や夕方よりも日中、曇りや雨天よりも晴天、農作物の育成に適さない季節よりも適した季節など、農作物による光合成がより活発に行われることが予想されるほど、高い目標二酸化炭素濃度を設定する。これにより、二酸化炭素供給システム10は、必要とされる量の二酸化炭素を過不足なく二酸化炭素供給先17に供給することができる。なお、図2のフローチャートのステップS170における目標下限濃度は、一定値であっても良いし、目標二酸化炭素濃度に応じた可変値であっても良い。
【0076】
ステップS520では、制御装置19は、二酸化炭素発生装置20に二酸化炭素の供給を開始させるための開始制御信号を出力する。この開始制御信号に応じて、二酸化炭素発生装置20は、燃料の燃焼を行うことにより二酸化炭素の供給を開始する。
【0077】
ステップS530では、制御装置19は、電気化学セル13aが二酸化炭素の吸着を完了した状態であるか否かを判定する。電気化学セル13aが二酸化炭素の吸着を完了した状態と判定すると、制御装置19は、ステップS540に進んで、脱離モード処理を実行する。一方、電気化学セル13aが二酸化炭素を吸着していない状態と判定すると、制御装置19は、ステップS550に進んで、吸着モード処理を実行する。なお、脱離モード処理及び吸着モード処理は、後に詳細に説明される。脱離モード処理の後、制御装置19は、ステップS560に進む。また、吸着モード処理の後、制御装置19は、ステップS530に戻る。
【0078】
ステップS560では、制御装置19は、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が、ステップS510で設定した目標二酸化炭素濃度に到達したか否かを判定する。ステップS520にて、二酸化炭素発生装置20による二酸化炭素の供給が開始され、さらに、ステップS540の脱離モードとステップS550の吸着モードとを交互に実行することにより、二酸化炭素供給装置11からも二酸化炭素供給先17に二酸化炭素が供給される。その結果、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度は、素早く目標二酸化炭素濃度まで到達する。二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度に達したと判定すると、制御装置19はステップS570に進む。一方、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度に達していないと判定すると、制御装置19は、ステップS530に戻る。
【0079】
ステップS570では、制御装置19は、二酸化炭素発生装置20に二酸化炭素の供給を停止させるための停止制御信号を出力する。この停止制御信号に応じて、二酸化炭素発生装置20は、燃料の燃焼を終了し、二酸化炭素の供給を停止する。
【0080】
次に、吸着モード処理及び脱離モード処理について説明する。図13は、吸着モード処理の詳細を示すフローチャートである。図14は、脱離モード処理の詳細を示すフローチャートである。まず、図13のフローチャートを参照して、吸着モード処理について説明する。
【0081】
ステップS600では、制御装置19は、吸着学習データに基づいて、吸着モード実行時間を設定する。この際、制御装置19は、吸着学習データにおける最大吸着時間以下の範囲で吸着モード実行時間を設定する。これにより、例えば、電気化学セル13aによって吸着可能な二酸化炭素が既に吸着されているにも係らず、吸着電位の印加を継続するなど、無駄に吸着電位を印加することを防ぐことができ、ランニングコストの低減を図ることができる。
【0082】
ステップS610では、制御装置19は、吸着モードを開始する。この吸着モードでは、第1開閉弁12が開かれ、大気が導入される流路配管が回収器13内に繋がる流路配管に連通される。回収器13の電気化学セル13aの作用極と対極との間に、作用極の二酸化炭素吸着材が二酸化炭素を吸着可能となる吸着電位が印加される。二酸化炭素を含む大気が回収器13内に流入し、二酸化炭素が除去された大気が回収器13から流出されるように、第2開閉弁14は開かれ、送風機15は所定の回転速度で駆動される。流路切替弁16は、送風機15の下流側の流路配管を外部に連通する。
【0083】
このような第1開閉弁12、回収器13の電気化学セル13a、第2開閉弁14、送風機15、及び流路切替弁16などの制御により、吸着モードでは、二酸化炭素を含有した大気が、第1開閉弁12を通過して、回収器13内に進入する。回収器13内に進入した大気に含まれる二酸化炭素は、複数の電気化学セル13aに吸着される。その結果、大気から二酸化炭素が除去される。二酸化炭素が除去された大気は、第2開閉弁14及び送風機15を通過し、流路切替弁16にて外部へ向かう流路配管に導かれ、その流路配管を介して、外部に放出される。
【0084】
ステップS620では、制御装置19が、ステップS600で設定した吸着モード実行時間が経過したか否かを判定する。この判定処理において、制御装置19は、吸着モード実行時間が経過したと判定すると、ステップS630に進む。一方、制御装置19は、吸着モード実行時間が経過していないと判定すると、吸着モード実行時間が経過するまで、ステップS620の判定処理を繰り返し実行する。
【0085】
ステップS630では、制御装置19は、吸着モードの終了処理を実行する。具体的には、制御装置19は、電気化学セル13aの作用極と対極との間への吸着電位の印加を終了する。また、制御装置19は、吸着モード実行時間をカウントするカウンタのカウント値のリセットなども行なう。
【0086】
次に、図14のフローチャートを参照して、脱離モード処理について説明する。図14のフローチャートに示すように、制御装置19は、まず、ステップS700において、脱離学習データに基づいて、脱離モード実行時間を設定する。この際、制御装置19は、脱離学習データにおける最大脱離時間以下の範囲で脱離モード実行時間を設定する。これにより、例えば、電気化学セル13aに吸着された二酸化炭素の脱離が実質的に終了しているにも係らず、脱離電位の印加を継続するなど、無駄に脱離電位を印加することを防ぐことができ、ランニングコストの低減を図ることができる。
【0087】
ステップS710では、制御装置19は、脱離モードを開始する。この脱離モードでは、第1開閉弁12が開かれ、大気が導入される流路配管が回収器13内に繋がる流路配管に連通される。回収器13の電気化学セル13aの作用極と対極との間に、作用極の二酸化炭素吸着材が吸着した二酸化炭素を脱離可能となる脱離電位が印加される。二酸化炭素を含む大気が回収器13内に流入し、電気化学セル13aから脱離された二酸化炭素とともに回収器13から流出されるように、第2開閉弁14は開かれ、送風機15は所定の回転速度で駆動される。流路切替弁16は、送風機15の下流側の流路配管を二酸化炭素供給先17に連通する。
【0088】
このような第1開閉弁12、回収器13の電気化学セル13a、第2開閉弁14、送風機15、及び流路切替弁16などの制御により、脱離モードでは、二酸化炭素を含有した大気が、第1開閉弁12を通過して、回収器13内に進入する。回収器13内に進入した大気は、複数の電気化学セル13aから脱離された二酸化炭素と混合され、二酸化炭素を多く含むガスとなる。この二酸化炭素を多く含むガスは、第2開閉弁14及び送風機15を通過し、流路切替弁16にて二酸化炭素供給先17へ向かう流路配管に導かれ、その流路配管を介して、二酸化炭素供給先17へ供給される。
【0089】
ステップS720では、制御装置19が、ステップS700で設定した脱離モード実行時間が経過したか否か、又は二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度に到達したか否かを判定する。この判定処理において、制御装置19は、脱離モード実行時間が経過した、又は二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度に到達したと判定すると、ステップS730に進む。一方、制御装置19は、脱離モード実行時間が経過しておらず、及び二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度に到達していないと判定すると、脱離モード実行時間が経過するまで、もしくは、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度に到達するまで、ステップS720の判定処理を繰り返し実行する。
【0090】
ステップS730では、制御装置19は、脱離モードの終了処理を実行する。具体的には、制御装置19は、電気化学セル13aの作用極と対極との間への脱離電位の印加を終了する。また、制御装置19は、脱離モード実行時間をカウントするカウンタのカウント値のリセットなども行なう。
【0091】
次に、二酸化炭素発生装置20による単独モード処理について、図15のフローチャートを参照して説明する。二酸化炭素発生装置20による単独モード処理では、併用モード処理と同様に、まず、図15のフローチャートのステップS800に示すように、制御装置19が、各種の情報を取得する。そして、ステップS810において、制御装置19は、二酸化炭素供給先17の目標二酸化炭素濃度を設定する。さらに、ステップS820において、制御装置19は、二酸化炭素発生装置20に二酸化炭素の供給を開始させるための開始制御信号を出力する。この開始制御信号に応じて、二酸化炭素発生装置20は、燃料の燃焼を行うことにより二酸化炭素の供給を開始する。
【0092】
ステップS830では、制御装置19は、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が、ステップS810で設定した目標二酸化炭素濃度に到達したか否かを判定する。二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度に達したと判定すると、制御装置19はステップS840に進む。一方、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度に達していないと判定すると、制御装置19はステップS830の処理を繰り返す。
【0093】
ステップS840では、制御装置19は、二酸化炭素発生装置20に二酸化炭素の供給を停止させるための停止制御信号を出力する。この停止制御信号に応じて、二酸化炭素発生装置20は、燃料の燃焼を終了し、二酸化炭素の供給を停止する。
【0094】
次に、二酸化炭素供給装置11による単独モード処理について、図16のフローチャートを参照して説明する。二酸化炭素供給装置11による単独モード処理では、併用モード処理と同様に、まず、図16のフローチャートのステップS900に示すように、制御装置19が、各種の情報を取得する。そして、ステップS910において、制御装置19は、二酸化炭素供給先17の目標二酸化炭素濃度を設定する。
【0095】
ステップS920では、制御装置19は、電気化学セル13aが二酸化炭素の吸着を完了した状態であるか否かを判定する。電気化学セル13aが二酸化炭素の吸着を完了した状態と判定すると、制御装置19は、ステップS930に進んで、脱離モード処理を実行する。この脱離モード処理は、図14のフローチャートを参照して説明した脱離モード処理と同じである。一方、電気化学セル13aが二酸化炭素を吸着していない状態と判定すると、制御装置19は、ステップS940に進んで、吸着モード処理を実行する。この吸着モード処理は、図13のフローチャートを参照して説明した吸着モード処理と同じである。脱離モード処理の後、制御装置19は、ステップS950に進む。また、吸着モード処理の後、制御装置19は、ステップS920に戻る。
【0096】
ステップS950では、制御装置19は、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が、ステップS910で設定した目標二酸化炭素濃度に到達したか否かを判定する。二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度に達したと判定すると、制御装置19は図16のフローチャートに示す処理を終了する。一方、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度に達していないと判定すると、制御装置19は、ステップS920に戻る。
【0097】
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態に係る二酸化炭素供給システム10Aについて、図17を参照して説明する。図17は、本実施形態に係る二酸化炭素供給システム10Aの構成を示す構成図である。
【0098】
上述した第1実施形態に係る二酸化炭素供給システム10は、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20とを備え、二酸化炭素供給装置11によって大気から回収された二酸化炭素(を含むガス)と、二酸化炭素発生装置20によって発生された二酸化炭素(を含むガス)の両方、もしくはいずれか一方を、二酸化炭素供給先17に供給するものであった。それに対して、本実施形態に係る二酸化炭素供給システム10Aは、二酸化炭素供給装置11を備える点は同様であるが、二酸化炭素発生装置20に代えて、二酸化炭素ボンベ21及び第3開閉弁22を有する点が異なる。このように、二酸化炭素発生装置20以外の二酸化炭素供給源も、第2の二酸化炭素供給装置として用いることができる。
【0099】
二酸化炭素ボンベ21は、例えば、液化炭酸ガスが入ったボンベである。二酸化炭素ボンベ21は、開度を調節可能な第3開閉弁22を介して、二酸化炭素供給先17に接続される。第3開閉弁22の開度に応じて、二酸化炭素ボンベ21から二酸化炭素供給先17に供給される二酸化炭素の量が変化する。さらに、第3開閉弁22が閉じられると、二酸化炭素ボンベ21から二酸化炭素供給先17への二酸化炭素の供給が停止する。第3開閉弁22の開度は、制御装置19によって調節される。
【0100】
本実施形態に係る二酸化炭素供給システム10Aにおいても、制御装置19が、二酸化炭素供給先17の状態に応じて、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素ボンベ21の両方、もしくはいずれか一方から二酸化炭素供給先17に二酸化炭素を供給するように、二酸化炭素供給装置11及び第3開閉弁22を制御する。ただし、本実施形態では、二酸化炭素ボンベ21に貯蔵可能な二酸化炭素の量には制限があるので、二酸化炭素ボンベ21によって二酸化炭素を供給する場面は、第1実施形態とは異なる。
【0101】
例えば、第1実施形態では、二酸化炭素供給システム10が、日中に、二酸化炭素供給先17に二酸化炭素の供給を開始するとき、原則として、二酸化炭素発生装置20を用いて、二酸化炭素供給先17に二酸化炭素を供給した。しかしながら、本実施形態では、二酸化炭素供給システム10Aが、日中に、二酸化炭素供給先17に二酸化炭素の供給を開始するとき、原則として、二酸化炭素ボンベ21よりも多量の二酸化炭素を供給可能な二酸化炭素供給装置11を用いて、二酸化炭素供給先17に二酸化炭素を供給する。そして、本実施形態に係る二酸化炭素供給システム10においては、二酸化炭素供給先17の状態に応じて、二酸化炭素供給装置11による二酸化炭素の供給に加えて、二酸化炭素ボンベ21による二酸化炭素の供給を行うか否かが決定される。二酸化炭素ボンベ21による二酸化炭素の供給が行われる場合、併用モードが実行されることになる。二酸化炭素ボンベ21による二酸化炭素の供給が行われない場合、二酸化炭素発生装置20による単独モード処理が実行されることになる。
【0102】
さらに、本実施形態に係る二酸化炭素供給システム10Aにおいては、併用モードを実行しない場合、二酸化炭素ボンベ21によって供給可能な二酸化炭素の量が少ない、第3開閉弁22によって二酸化炭素の量を高精度に制御可能である、二酸化炭素供給装置11に比較してランニングコストが高いとの特質を考慮して、二酸化炭素を供給する装置が選択される。例えば、制御装置19は、二酸化炭素ボンベ21の二酸化炭素の残量が少ない場合、ランニングコストを抑えたい場合、夏場等で二酸化炭素供給先17の環境温度が過度に高い場合などのいずれかに該当すると、第1実施形態と同様に、二酸化炭素供給装置11を選択することが好ましい。一方、制御装置19は、目標二酸化炭素濃度に対して高精度に二酸化炭素濃度を管理したい場合、夕方など多量の二酸化炭素が必要とされない場合などは、二酸化炭素ボンベ21を選択することが好ましい。
【0103】
(第3実施形態)
次に、本開示の第3実施形態に係る二酸化炭素供給システム10Bについて説明する。上述した第1及び第2実施形態に係る二酸化炭素供給システム10、10Aでは、二酸化炭素供給装置11の制御装置19が、二酸化炭素発生装置20や二酸化炭素ボンベ21の二酸化炭素の供給を制御する制御装置としての役目を兼ねる例について説明した。それに対して、本実施形態に係る二酸化炭素供給システム10Bでは、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20の各々に、専用の制御装置を備えている。
【0104】
図18は、本実施形態に係る二酸化炭素供給システム10Bの構成を示している。図18に示すように、二酸化炭素供給装置11が第1制御装置19を有する。そして、第1制御装置19とは別個に設けられた第2制御装置23が二酸化炭素発生装置20の動作を制御する。第1制御装置19と第2制御装置23とは、互いに通信を行うことが可能に構成されている。二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素センサ18による測定結果は、第2制御装置23に入力される。ただし、二酸化炭素センサ18による測定結果は、第1制御装置19に入力されても良いし、第1及び第2制御装置19、23の両方に入力されても良い。その他の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0105】
本実施形態に係る二酸化炭素供給システム10Bのように、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20の各々に、専用の制御装置である第1制御装置19と第2制御装置23を設けた場合、第1制御装置19と第2制御装置23とを協調させる手法として、大きく2つの手法が考えられる。第1の手法は、第1制御装置19と第2制御装置23との一方をマスター制御装置、他方をスレーブ制御装置とし、スレーブ制御装置が、マスター制御装置からの指示に従って、対応する二酸化炭素供給装置11又は二酸化炭素発生装置20による二酸化炭素の供給状態を制御するものである。第2の手法は、第1制御装置19と第2制御装置23との一方が、予め定められた条件(例えば、起動・停止時間、天候、気温、二酸化炭素供給先の二酸化炭素濃度などに関する条件)に従って、対応する二酸化炭素供給装置11又は二酸化炭素発生装置20を用いて、二酸化炭素の供給・停止を制御する。第1制御装置19と第2制御装置23との他方は、第1制御装置19と第2制御装置23との一方から、対応する二酸化炭素供給装置11又は二酸化炭素発生装置20による二酸化炭素の供給状態に関する情報を取得する。そして、第1制御装置19と第2制御装置23との他方は、取得した情報に基づいて、第1制御装置19と第2制御装置23との他方に対応する二酸化炭素供給装置11又は二酸化炭素発生装置20による二酸化炭素の供給状態を制御するものである。第1の手法及び第2の手法のいずれによっても、二酸化炭素供給システム10Bによって、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度を適切に制御することが可能である。
【0106】
以下に、一例として、第1の手法に従い、第2制御装置23をマスター制御装置、第1制御装置19をスレーブ制御装置とした場合の制御例について図19、20のフローチャートを参照して説明する。図19は、マスター制御装置である第2制御装置23において実行される処理を示すフローチャートであり、図20は、スレーブ制御装置である第1制御装置19において実行される処理を示すフローチャートである。
【0107】
最初に、第2制御装置23によって実行される処理について説明する。まず、図19のフローチャートのステップS1000では、第2制御装置23が、各種の情報を取得する。そして、ステップS1010において、第2制御装置23は、二酸化炭素供給先17の目標二酸化炭素濃度を設定する。さらに、ステップS1020において、第2制御装置23は、取得した情報及び設定した目標二酸化炭素濃度に基づいて、二酸化炭素発生装置20による二酸化炭素の供給が必要であるか否かを判定する。二酸化炭素発生装置20による二酸化炭素の供給が必要であると判定した場合、第2制御装置23は、ステップS1030に進み、二酸化炭素発生装置20の運転を開始する。一方、二酸化炭素発生装置20による二酸化炭素の供給が必要ではないと判定した場合、第2制御装置23は、ステップS1040に進み、二酸化炭素発生装置20の運転を停止する。
【0108】
ステップS1050では、第2制御装置23は、取得した情報及び設定した目標二酸化炭素濃度に基づいて、二酸化炭素供給装置11による二酸化炭素の供給が必要であるか否かを判定する。二酸化炭素供給装置11による二酸化炭素の供給が必要であると判定した場合、第2制御装置23は、ステップS1060に進み、二酸化炭素供給装置11の第1制御装置19に二酸化炭素の供給開始を指示する。一方、二酸化炭素供給装置11による二酸化炭素の供給が必要ではないと判定した場合、第2制御装置23は、ステップS1070に進み、二酸化炭素供給装置11の第1制御装置19に二酸化炭素の供給停止を指示する。
【0109】
このように、第2制御装置23は、マスター制御装置として、二酸化炭素供給装置11による二酸化炭素の供給が必要であるか否かも判断し、その判断に基づく指示をスレーブ装置である第1制御装置19に与える。なお、第2制御装置23が、二酸化炭素発生装置20及び二酸化炭素供給装置11の両方によって二酸化炭素の供給が必要と判断した場合、上述した併用モードが実行されることになる。第2制御装置23が、二酸化炭素発生装置20及び二酸化炭素供給装置11の一方によって二酸化炭素の供給が必要と判断した場合、上述した単独モードが実行されることになる。
【0110】
ステップS1080では、第2制御装置23は、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が、ステップS1010で設定した目標二酸化炭素濃度に到達したか否かを判定する。二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度に達したと判定すると、第2制御装置23はステップS1090に進む。一方、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度に達していないと判定すると、第2制御装置23はステップS1020の処理に戻る。
【0111】
ステップS1090では、第2制御装置23は、二酸化炭素発生装置20の運転を停止して、二酸化炭素の供給を停止させる。さらに、第2制御装置23は、二酸化炭素供給装置11の第1制御装置19に二酸化炭素の供給停止を指示する。ステップS1100では、第2制御装置23は、目標濃度まで上昇した二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が低下して目標下限濃度に到達したか、又は、ステップS1090の処理から所定時間が経過したか否かを判定する。二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標下限濃度に達した、又は所定時間が経過したと判定すると、制御装置19は、ステップS1000に戻り、上述した処理を繰り返す。一方、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標下限濃度に達していない、又は所定時間が経過していないと判定すると、制御装置19は、ステップS1100の判定処理を繰り返し実行する。
【0112】
次に、第1制御装置19によって実行される処理について説明する。まず、図20のフローチャートのステップS1200では、電気化学セル13aの吸着時間や脱離時間に関する学習データを得るための学習モードを実行するか否かを判定する。学習モード実行条件が成立し、学習モードを実行すると判定すると、第1制御装置19はステップS1210に進む。一方、第1制御装置19は、学習モードを実行しないと判定すると、ステップS1220に進む。
【0113】
ステップS1220において、第1制御装置19は、第2制御装置23から二酸化炭素の供給開始指示を受信したか否かを判定する。二酸化炭素の供給開始指示を受信していなければ、第1制御装置19は、ステップS1200に戻る。一方、二酸化炭素の供給開始指示を受信した場合、第1制御装置19は、ステップS1230に進む。
【0114】
ステップS1230では、第1制御装置19は、電気化学セル13aが二酸化炭素の吸着を完了した状態であるか否かを判定する。電気化学セル13aが二酸化炭素の吸着を完了した状態と判定すると、第1制御装置19は、ステップS1240に進んで、脱離モード処理を実行する。一方、電気化学セル13aが二酸化炭素を吸着していない状態と判定すると、第1制御装置19は、ステップS1250に進んで、吸着モード処理を実行する。脱離モード処理の後、第1制御装置19は、ステップS1260に進む。また、吸着モード処理の後、制御装置19は、ステップS1230に戻る。
【0115】
ステップS1260では、第1制御装置19は、第2制御装置23から二酸化炭素の供給停止指示を受信したか否かを判定する。二酸化炭素の供給停止指示を受信していなければ、第1制御装置19は、ステップS1230に戻る。一方、二酸化炭素の供給停止指示を受信した場合、第1制御装置19は、図20のフローチャートに示す処理を一旦終了し、二酸化炭素供給装置11による二酸化炭素の供給を停止する。
【0116】
なお、上述した例では、第2制御装置23をマスター制御装置、第1制御装置19をスレーブ制御装置としたが、第1制御装置19をマスター制御装置、第2制御装置23をスレーブ制御装置としても良い。
【0117】
(第4実施形態)
次に、本開示の第4実施形態に係る二酸化炭素供給システム10Cについて説明する。上述した第3実施形態に係る二酸化炭素供給システム10Bでは、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20の各々に専用の制御装置である第1及び第2制御装置19、23が設けられ、第1制御装置19と第2制御装置23とは、互いに通信することが可能に構成された。それに対して、本実施形態に係る二酸化炭素供給システム10Cでは、図21に示されるように、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20の各々に専用の制御装置である第1及び第2制御装置19、23が設けられる点は同様であるが、第1制御装置19と第2制御装置23とは、互いに通信することが可能に構成されない。
【0118】
代わりに、本実施形態に係る二酸化炭素供給システム10Cでは、二酸化炭素供給装置11及び二酸化炭素発生装置20の一方が、二酸化炭素供給先17における二酸化炭素濃度が所定の目標濃度に達すると二酸化炭素の供給を停止し、停止後、所定時間が経過すると二酸化炭素の供給を開始するように構成される。さらに、二酸化炭素供給装置11及び二酸化炭素発生装置20の他方が、二酸化炭素供給装置11及び二酸化炭素発生装置20の一方における、二酸化炭素を供給するための制御則に関する情報に基づき、二酸化炭素供給先17の状態に応じて、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20の両方、もしくはいずれか一方が二酸化炭素供給先17に二酸化炭素を供給するように動作するように構成される。
【0119】
このように、第1制御装置19と第2制御装置とが互いに通信可能に構成されなくとも、他方の制御則及び二酸化炭素供給先17の状態に基づき、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20が連携して動作すること、すなわち、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20の両方、もしくはいずれか一方が二酸化炭素供給先17に二酸化炭素を供給することができる。
【0120】
以下、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20のいずれか一方が二酸化炭素供給先17に二酸化炭素を供給するように動作する例として、二酸化炭素供給装置11及び二酸化炭素発生装置20の一方による二酸化炭素の供給が停止している間に、二酸化炭素供給装置11及び二酸化炭素発生装置20の他方が二酸化炭素供給先17に二酸化炭素を供給して、二酸化炭素供給装置11及び二酸化炭素発生装置20の一方による二酸化炭素の供給を補助する例について説明する。
【0121】
本例においては、二酸化炭素発生装置20が、二酸化炭素供給先17における二酸化炭素濃度が所定の目標濃度に達すると二酸化炭素の供給を停止し、停止後、所定時間が経過すると二酸化炭素の供給を開始するように構成される。そして、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20のいずれか一方が二酸化炭素供給先17に二酸化炭素を供給すると判断された場合に、二酸化炭素供給装置11が、二酸化炭素発生装置20による二酸化炭素の供給が停止している間に、二酸化炭素を供給するように構成される。
【0122】
図22は、二酸化炭素供給装置11の第1制御装置19が、二酸化炭素供給装置11と二酸化炭素発生装置20のいずれか一方が二酸化炭素供給先17に二酸化炭素を供給すると判断した場合に実行する処理を示すフローチャートである。最初のステップS1300では、第1制御装置19は、二酸化炭素供給先17の二酸化濃度を測定する。二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度は、例えば図23に示されるように、二酸化炭素発生装置20の運転により目標濃度まで上昇する。そして、所定時間、二酸化炭素発生装置20の運転が停止する間に、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度は、二酸化炭素供給先17の農作物の光合成などにより低下する。なお、二酸化炭素発生装置20の目標濃度は、天候、時間帯、気温などにより変化しても良い。さらに、二酸化炭素発生装置20が運転を停止する所定時間も、目標濃度と連動して変化しても良い。
【0123】
第1制御装置19は、二酸化炭素発生装置20の運転に関する制御則、すなわち、二酸化炭素発生装置20は、二酸化炭素供給先17の二酸化炭素濃度が目標濃度になるまで運転され、目標濃度に達した後、所定時間、運転を停止することを把握している。第1制御装置19は、測定した二酸化炭素濃度の変化が、図23に示すように、上昇から低下に遷移した場合、目標濃度に達したとみなし、その目標濃度を知ることができる。また、その目標濃度に達したときから、二酸化炭素発生装置20が運転を停止する所定時間を決定することができる。
【0124】
ステップS1310において、第1制御装置19は、二酸化炭素発生装置20による目標濃度に基づいて、二酸化炭素供給装置11による目標濃度を設定する。そして、ステップS1320において、第1制御装置19は、二酸化炭素濃度の低下勾配と所定時間とに基づき、二酸化炭素供給装置11による二酸化炭素の供給がない場合の、所定時間の経過後の二酸化炭素濃度を推定し、その推定した二酸化炭素濃度と目標濃度とに基づき、二酸化炭素供給先17を目標濃度に近づけるために必要な二酸化炭素量を算出する。
【0125】
ステップS1330では、第1制御装置19は、算出した必要二酸化炭素量を、二酸化炭素供給装置11の電気化学セル13aの吸着量及び脱離量として決定する。そして、ステップS1340では、吸着学習データ及び脱離学習データに基づいて、決定した吸着量及び脱離量を得るための吸着時間及び脱離時間を設定する。なお、吸着モードと脱離モードとの1回のサイクルでは、必要な二酸化炭素量を賄えない場合には、吸着モードと脱離モードとのサイクルが複数回繰り返される。
【0126】
ステップS1350では、第1制御装置19は、設定した吸着時間及び脱離時間、及び/又は、吸着モードと脱離モードとのサイクル数に基づき、所定時間が経過するまでに二酸化炭素供給装置11による二酸化炭素の供給が終了するように、吸着モードの開始時刻を設定する。そして、ステップS1360では、第1制御装置19は、設定した吸着モードの開始時刻が到来したか否かを判定する。吸着モードの開始時刻が到来したと判定すると、第1制御装置19はステップS1370に進み、吸着モード処理を実行し、電気化学セル13aに二酸化炭素を吸着させる。吸着モード処理の後、ステップS1380において、第1制御装置19は、脱離モード処理を実行し、電気化学セル13aに吸着された二酸化炭素を脱離させ、二酸化炭素供給先17へ供給する。吸着モードと脱離モードとのサイクルが複数回実行される場合には、その回数分、吸着モード処理と脱離モード処理とが繰り返される。
【0127】
上述した処理により、二酸化炭素発生装置20による二酸化炭素の供給が停止されている間に、二酸化炭素供給先17の濃度が二酸化炭素供給装置11による目標濃度となるように、二酸化炭素を供給することができる。その結果、図23に示すように、二酸化炭素発生装置20の運転再開時の二酸化炭素濃度を高めることができ、二酸化炭素発生装置20によって消費される燃料を減少させ、ランニングコストを低減することができる。
【0128】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態になんら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0129】
例えば、上述した各実施形態では、制御装置19又は制御装置23が、二酸化炭素を供給するための演算処理を行うように構成されていた。しかしながら、制御装置19又は制御装置23の少なくとも一部の処理が、制御装置19又は制御装置23以外の処理装置、例えば制御装置19又は制御装置23と通信可能な外部サーバによって実行されても良い。
【0130】
最後に、この明細書には、以下に列挙する複数の技術的思想と、それらの複数の組み合わせが開示されている。
【0131】
(技術的思想1)
筐体内に配置され、吸着電位の印加により二酸化炭素を吸着し、脱離電位の印加により吸着した二酸化炭素を脱離する電気化学セル(13a)を有し、前記電気化学セルに二酸化炭素を吸着させる吸着モードと、前記電気化学セルから二酸化炭素を脱離させる脱離モードとを交互に実施することにより、前記電気化学セルから脱離された二酸化炭素を二酸化炭素供給対象(17)に供給する第1の二酸化炭素供給装置(11)と、
前記第1の二酸化炭素供給装置とは別個に設けられた、前記二酸化炭素供給対象に二酸化炭素を供給する第2の二酸化炭素供給装置(20、21、22)と、
前記第1の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態を制御する第1の制御部(19)と、
前記第2の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態を制御する第2の制御部(19、23)と、を備え、
前記第1の二酸化炭素供給装置と前記第2の二酸化炭素供給装置とが連携し、前記二酸化炭素供給対象の状態に応じて、前記第1の二酸化炭素供給装置と前記第2の二酸化炭素供給装置の両方、もしくはいずれか一方が前記二酸化炭素供給対象に二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給システム。
【0132】
(技術的思想2)
前記二酸化炭素供給対象は、閉じられた空間内で農作物を育成する農業用設備であり、
前記二酸化炭素供給対象の状態として、季節、時間帯、天候、気温、及び前記二酸化炭素供給対象の二酸化炭素濃度の少なくとも1つが考慮される、技術的思想1に記載の二酸化炭素供給システム。
【0133】
(技術的思想3)
前記第1の制御部が、前記第1の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態の制御に加えて、前記第2の制御部として、前記第2の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態も制御するか、又は、前記第2の制御部が、前記第2の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態の制御加えて、前記第1の制御部として、前記第1の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態も制御する、技術的思想1又は2に記載の二酸化炭素供給システム。
【0134】
(技術的思想4)
前記第1の制御部(19)と前記第2の制御部(23)との一方がマスター制御部、他方がスレーブ制御部となり、前記スレーブ制御部は、前記マスター制御部からの指示に従って、対応する二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態を制御する、技術的思想1又は2に記載の二酸化炭素供給システム。
【0135】
(技術的思想5)
前記第1の制御部(19)と前記第2の制御部(23)とは互いに通信することが可能に構成され、
前記第1の制御部と前記第2の制御部との一方は、前記第1の制御部と前記第2の制御部との他方から、他方に対応する第1又は第2の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記第1の制御部と前記第2の制御部との一方に対応する第1又は第2の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給状態を制御する、技術的思想1又は2に記載の二酸化炭素供給システム。
【0136】
(技術的思想6)
前記二酸化炭素供給対象は、閉じられた空間内で農作物を育成する農業用設備であり、
前記第2の二酸化炭素供給装置は、前記第1の二酸化炭素供給装置よりも早く、二酸化炭素の供給を開始することが可能であり、
日中に、二酸化炭素供給対象への二酸化炭素の供給が開始されるとき、前記第2の二酸化炭素供給装置が、前記二酸化炭素供給対象に二酸化炭素を供給する、技術的思想1乃至5のいずれか1項に記載の二酸化炭素供給システム。
【0137】
(技術的思想7)
前記二酸化炭素供給対象の状態に応じて、前記第2の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給に加えて、前記第1の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給を行うか否かが決定される、技術的思想6に記載の二酸化炭素供給システム。
【0138】
(技術的思想8)
前記二酸化炭素供給対象は、閉じられた空間内で農作物を育成する農業用設備であり、
前記第1の二酸化炭素供給装置は、前記第2の二酸化炭素供給装置より多量の二酸化炭素を供給することが可能であり、
日中に、二酸化炭素供給対象への二酸化炭素の供給が開始されるとき、前記第1の二酸化炭素供給装置が、前記二酸化炭素供給対象に二酸化炭素を供給する、技術的思想1乃至5のいずれか1項に記載の二酸化炭素供給システム。
【0139】
(技術的思想9)
前記二酸化炭素供給対象の状態に応じて、前記第1の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給に加えて、前記第2の二酸化炭素供給装置による二酸化炭素の供給を行うか否かが決定される、技術的思想8に記載の二酸化炭素供給システム。
【0140】
(技術的思想10)
前記第1及び第2の二酸化炭素供給装置の一方は、前記二酸化炭素供給対象における二酸化炭素濃度が所定の目標濃度に達すると、二酸化炭素の供給を停止し、停止後、所定時間が経過すると、二酸化炭素の供給を開始するものであり、
前記第1及び第2の二酸化炭素供給装置の他方は、前記第1及び第2の二酸化炭素供給装置の一方における制御則に関する情報に基づき、前記第1の二酸化炭素供給装置と前記第2の二酸化炭素供給装置の両方、もしくはいずれか一方が前記二酸化炭素供給対象に二酸化炭素を供給するように動作する、技術的思想1に記載の二酸化炭素供給システム。
【0141】
(技術的思想11)
前記第1及び第2の二酸化炭素供給装置の他方は、前記第1の二酸化炭素供給装置と前記第2の二酸化炭素供給装置のいずれか一方が前記二酸化炭素供給対象に二酸化炭素を供給するように動作する場合、前記第1及び第2の二酸化炭素供給装置の一方による二酸化炭素の供給が停止している間に、前記二酸化炭素供給対象に二酸化炭素を供給して、前記第1及び第2の二酸化炭素供給装置の一方による二酸化炭素の供給を補助する、技術的思想10に記載の二酸化炭素供給システム。
【符号の説明】
【0142】
10:二酸化炭素供給システム、11:二酸化炭素供給装置、12:第1開閉弁、13:回収器、13a:電気化学セル、13b:二酸化炭素センサ、14:第2開閉弁、15:送風機、16:流路切替弁、17:二酸化炭素供給先、18:二酸化炭素センサ、19:制御装置、20:二酸化炭素発生装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23