(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162435
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】乳母車のかごおよびそのカバー
(51)【国際特許分類】
B62B 9/12 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
B62B9/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077932
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】310019730
【氏名又は名称】グラコ・チルドレンズ・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 和己
【テーマコード(参考)】
3D051
【Fターム(参考)】
3D051AA02
3D051BA03
3D051CJ04
(57)【要約】
【課題】収納物の出し入れが容易な乳母車のかごおよびそのカバーを提供すること。
【解決手段】乳母車のかご(4)は、乳母車(1)の座席部(20)の下方領域に設けられ、車体フレーム(10)に保持されている。乳母車のかご(4)は、上方に向かって開口する開口部を含むかご本体(40)と、かご本体(40)の開口部を覆うカバー(50)とを備える。カバー(50)は、伸縮性を有し、少なくとも一部が車体フレーム(10)およびかご本体(40)の少なくとも一方に固定されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳母車の座席部の下方領域に設けられ、車体フレームに保持されている乳母車のかごであって、
前記かごは、上方に向かって開口する開口部を含むかご本体と、前記かご本体の開口部を覆うカバーとを備え、
前記カバーは、伸縮性を有し、少なくとも一部が前記車体フレームおよび前記かご本体の少なくとも一方に固定されている、乳母車のかご。
【請求項2】
前記カバーは、一方側が前記車体フレームまたは前記かご本体に固定されており、一方側から離れて位置する他方側が前記車体フレームまたは前記かご本体に着脱可能に取り付けられている、請求項1に記載の乳母車のかご。
【請求項3】
前記車体フレームは、一対の前脚と一対の後脚とを含み、
前記かご本体は、前記一対の前脚および前記一対の後脚側にそれぞれ位置する4つのコーナー部を含み、
前記カバーは、一方の対角線上に位置する前記コーナー部、前記前脚、および前記後脚の少なくとも一方に固定されており、他方の対角線上に位置する前記コーナー部、前記前脚、および前記後脚の少なくとも他方に着脱可能に取り付けられている、請求項1に記載の乳幼児用のかご。
【請求項4】
前記かご本体は、底壁部と、前記底壁部を取り囲む周壁部とを含み、
前記カバーは、その一部が前記周壁部の上端側に固定されている、請求項1~3のいずれかに記載の乳母車のかご。
【請求項5】
前記かご本体は、底壁部と、前記底壁部を取り囲む周壁部とを含み、
前記カバーは、その一部が前記周壁部の下端に固定されている、請求項1~3のいずれかに記載の乳母車のかご。
【請求項6】
前記カバーは、前記かご本体の開口部の略全領域を覆う広さを有する、請求項1~3のいずれかに記載の乳母車のかご。
【請求項7】
前記かご本体は、底壁部と、前記底壁部を取り囲む周壁部とを含み、
前記かご本体の周壁部の高さは、前記かご本体の周壁部の上端縁から前記座席部の下端高さまでの間隔よりも小さい、1~3のいずれかに記載の乳母車のかご。
【請求項8】
前記かごは、前記カバーを折りたたんだ状態で収納する収納部をさらに含み、
前記カバーは、その一部が前記収納部内に固定されている、請求項1に記載の乳母車のかご。
【請求項9】
乳母車の座席部の下方領域において、車体フレームに保持されており、上方に向かって開口する開口部を有する乳母車のかご本体に用いられるカバーであって、
前記カバーは、前記かご本体の開口部を覆うものであり、伸縮性を有し、少なくとも一部が前記車体フレームおよび前記かご本体の少なくとも一方に固定されるものであり、他の一部が前記車体フレームおよび前記かご本体の少なくとも一方に着脱可能に連結されるものである、乳母車のかごに用いられるカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乳母車のかごおよびそのカバーに関し、特に、乳母車の座席部の下方領域に設けられ、車体フレームに保持されている乳母車のかごおよびそのカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、乳母車において、必要に応じて荷物を入れるために、座席の下方領域にかごが取り付けられている。このように乳母車にかごを取り付けることを開示する文献として、たとえば、特開2004-161238号公報(特許文献1)および特開2003-54414号公報(特許文献2)などが知られている。
【0003】
特許文献1には、乳母車の座席の下方に荷物収納用のかごが取り付けられることが開示されている。この荷物収納用のかごは、大型の荷物を収納可能であり、乳母車の後方から荷物を出し入れ可能であることが開示されている。特許文献2には、座席の下方に取り付けられるベビーカー用かごの上方開口縁部に調節紐が設けられ、その調節紐により開口部の大きさを調整可能にできることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-161238号公報
【特許文献2】特開2003-54414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1,2に開示された乳母車のかごは、収納物をかご内にしっかりと収納することができるため、収納物が落下するおそれはない。しかし、収納物を取り出す際に調節紐を広げる必要があり、収納物の出し入れをする際に両手が必要となり、収納物の出し入れが容易ではなかった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、収納物の出し入れが容易な乳母車のかごおよびそのカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のため、本発明の一態様に係る乳母車のかごは、乳母車の座席部の下方領域に設けられ、車体フレームに保持されている乳母車のかごであって、かごは、上方に向かって開口する開口部を含むかご本体と、かご本体の開口部を覆うカバーとを備え、カバーは、伸縮性を有し、少なくとも一部が車体フレームおよびかご本体の少なくとも一方に固定されている。
【0008】
好ましくは、カバーは、一方側が車体フレームまたはかご本体に固定されており、一方側から離れて位置する他方側が車体フレームまたはかご本体に着脱可能に取り付けられている。
【0009】
好ましくは、車体フレームは、一対の前脚と一対の後脚とを含み、かご本体は、前記一対の前脚および前記一対の後脚側にそれぞれ位置する4つのコーナー部を含み、カバーは、一方の対角線上に位置するコーナー部、前脚、および後脚の少なくとも一方に固定されており、他方の対角線上に位置するコーナー部、前脚、および後脚の少なくとも他方に着脱可能に取り付けられている。
【0010】
好ましくは、かご本体は、底壁部と、底壁部を取り囲む周壁部とを含み、カバーは、その一部が周壁部の上端側に固定されている。
【0011】
好ましくは、かご本体は、底壁部と、底壁部を取り囲む周壁部とを含み、カバーは、その一部が周壁部の下端に固定されている。
【0012】
好ましくは、カバーは、かご本体の開口部の略全領域を覆う広さを有する。
【0013】
好ましくは、かご本体は、底壁部と、底壁部を取り囲む周壁部とを含み、かご本体の周壁部の高さは、かご本体の周壁部の上端縁から座席部の下端高さまでの間隔よりも小さい。
【0014】
好ましくは、かごは、カバーを折りたたんだ状態で収納する収納部をさらに含み、カバーは、その一部が収納部内に固定されている。すなわち、本発明の他の態様に係る乳母車のかごは、乳母車の座席部の下方領域に設けられ、車体フレームに保持されている乳母車のかごであって、かごは、上方に向かって開口する開口部を含むかご本体と、かご本体の開口部を覆うカバーと、カバーを折りたたんだ状態で収納する収納部とを備え、カバーは、少なくとも一部が車体フレームおよびかご本体の少なくとも一方に固定されている。カバーは、少なくとも一部が収納部の内部に固定されていることが好ましい。
【0015】
本発明の一態様に係る乳母車のかごに用いられるカバーは、乳母車の座席部の下方領域において、車体フレームに保持されており、上方に向かって開口する開口部を有する乳母車のかご本体に用いられるカバーであって、カバーは、かご本体の開口部を覆うものであり、伸縮性を有し、少なくとも一部が車体フレームおよびかご本体の少なくとも一方に固定されるものであり、他の一部が車体フレームおよびかご本体の少なくとも一方に着脱可能に連結されるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、収納物の出し入れが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】本発明の実施形態1に係る乳母車のかごのカバーの固定箇所および着脱箇所を概念的に示す図である。
【
図4】同実施形態に係るかごを示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は平面図である。
【
図5】同実施形態に係るかごに収納物を収納した状態を示す図であり、(A)はカバーとかご本体の間に収容物を収納した状態を示し、(B)はカバーの上方に収納物を収納した状態を示している。
【
図8】カバーの変形例の固定箇所および着脱箇所を概念的に示す図である。
【
図9】本発明の実施形態2に係る乳母車のかごを示す図であり、(A)はカバーを広げた状態を示し、(B)はカバーを収納した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0019】
(乳母車の概要について)
図1および
図2を参照して、本実施の形態に係る乳母車のかごが取り付けられる乳母車1の概要について説明する。
図1は、押し棒が背面押し位置にされた状態であり、
図2は、押し棒が対面押し位置にされた状態を示す。なお、以下の説明において、前後方向は、乳母車の前後方向に対応し、左右方向は、乳母車の前方から見た左右方向に対応している。
【0020】
乳母車1の基本構造としては、一般的な乳母車の構造と同様であってよく、乳母車1は、車体フレーム10と、座席部20とを備える。車体フレーム10は、一対の前脚(左前脚11,右前脚12)と、一対の後脚(左後脚13,右後脚14)と、前ガード15と、アームレスト16と、座席支持部材17と、背もたれ支持部材18と、押し棒19とを備える。前ガード15、座席支持部材17、背もたれ支持部材18、および押し棒19を除く車体フレーム10は、幅方向(車幅方向)に離隔して左右に設けられ、対をなす。
【0021】
上下方向に延びる前脚11,12の下端には、前輪11a,12aがそれぞれ設けられる。各前脚11,12よりも後方で上下方向に延びる後脚13,14の下端には、後輪13a,14aがそれぞれ設けられる。一対の前脚11,12の下端は、幅方向に延びる前脚結合部材25により連結されている。前脚結合部材25は、幼児の足置き台としても機能する。一対の後脚13,14の下端は、幅方向に延びる後脚結合部材26により連結されている。
【0022】
前ガード15は、座席部20の前方位置において幅方向に延び、座席部20の左右両側に配置される一対のアームレスト16の前方に連結されている。前ガード15は、アームレスト16に着脱自在に設けられるものであってもよい。アームレスト16の前端は、前脚11,12の上端に連結され、その後端は、手摺支持部材27の上端に連結される(
図2)。手摺支持部材27の下端は、後脚13,14に当接し、手摺支持部材27と後脚13,14とはロックされている。
【0023】
押し棒19は、略U字形状であり、その下端が、一対の後脚13,14に連結している反転ブラケット28に回動可能に取り付けられている。押し棒19は、前後方向に揺動可能に設けられ、対面押し位置(
図1)および背面押し位置(
図2)の間で切り換え可能である。
【0024】
図2に示すように、座席支持部材17および背もたれ支持部材18上には、ハンモックが掛け渡され、ハンモック上には、クッションが取り付けられている。これにより、座席支持部材17および背もたれ支持部材18上には、子供を受け入れる空間である座席部20が形成される。つまり、座席支持部材17および背もたれ支持部材18は、座席部20を下方から支持する。
図1に示すように、座席部20は、たとえば、子供の臀部を支持する座部21と、子供の背部を支持する背もたれ部22とを含む。
【0025】
座席部20の上方空間には、座席部20の上方空間を覆う幌30が設けられる。幌30は、開閉可能に設けられる。座席部20の下方空間には、内部に荷物などの収納物を収納可能なかご本体40が設けられている。かご本体40は、上方開口の箱形状であり、そのコーナー部(角部)がそれぞれ一対の前脚11,12および一対の後脚13,14に保持されている。具体的には、かご本体40は、一対の前脚11,12および一対の後脚13,14の上下方向途中位置に固定されている。かご本体40については後述する。
【0026】
本実施の形態に係る乳母車1は、展開状態(背面押し位置)と折り畳み状態とを取り得る。乳母車1を展開状態から折り畳み状態にするには、手摺支持部材27と一対の後脚13,14とのロックを解除し、反転ブラケット28を上下に反転させ、一対の後脚13,14の上方に当接していた押し棒19の下端部を後脚13,14の下方に当接させる。図示は省略するが、乳母車1を折り畳んだ状態では、一対の前脚11,12および一対の後脚13,14の前後方向の間隔が近づき、座部21と背もたれ部22はV字状になる。
【0027】
<第1の実施形態>
本実施の形態の乳母車1のかご4は、概略として、かご本体40と、カバー50とを備える。
図3~
図5をさらに参照して、本実施の形態の乳母車のかごについて詳細に説明する。
図3は、カバーの固定箇所および着脱箇所を概念的に示す図であり、
図4は、かご本体とカバーとを取り出して示す図であり、
図5は、かごの使用態様を示す図である。本実施の形態のかごは、
図3に示すような形状であるが、理解容易のため、
図4,
図5では簡略化して示している。
【0028】
かご本体40は、上方に向かって開口する開口部を含む。かご本体40は、たとえば布製、プラスチック製などであり、公知の材質により形成されていればよい。具体的には、かご本体40は、上方開口の箱型であり、底壁部41と、底壁部41を取り囲む周壁部とを含む。
図4(A)に示すように、周壁部は、前壁部42と、後壁部43と、右側壁部44と、左側壁部45とを有する。これらの壁部42,43,44,45により4つのコーナー部が形成され、それらのコーナー部は、一対の前脚11,12および一対の後脚13,14にそれぞれ固定される。
【0029】
具体的には、
図3に示すように、前壁部42は、一対の前脚11,12に掛け渡される。後壁部43は、前壁部42と前後方向に対向する位置に設けられ、一対の後脚13,14に掛け渡される。右側壁部44は、前壁部42および後壁部43の右端部に設けられ、前脚12と後脚14に掛け渡される。左側壁部45は、右側壁部44と左右方向に対向する位置に設けられ、前脚11と後脚13に掛け渡される。かご本体40は、その上端が前脚11,12および後脚13,14の高さの半分以下の高さに固定されることが好ましい。
【0030】
図2および
図3に示すように、かご本体40の周壁部は、同一高さではなくてもよい。具体的には、前壁部42は、後壁部43の高さよりも低い。これにより、乳母車1の後方から収納物の出し入れを容易に行うことができる。右側壁部44および左側壁部45は、同一形状であるが、
図2に示すように、前方から後方に向かうにつれてその高さが大きくなるような形状であることが好ましい。これにより、乳母車1の後方から収納物の出し入れをする際に、収納物の側方からの落下を防止することができる。
【0031】
図2に示すように、かご本体40の周壁部の高さH1は、かご本体40の周壁部の上端縁から座席部20の下端高さまでの間隔H2よりも小さい。上述のように、周壁部は、4つの壁部42,43,44,45により構成され、その高さはそれぞれ異なっているが、周壁部の高さH1とは、収納物を最も出し入れする頻度が多い壁部の高さであることが好ましい。本実施の形態のかご4で収納物の出し入れをする頻度が多いのは、乳母車1の後方であるため、高さH1は、後壁部43の高さである。後壁部43が設けられていない場合の周壁部の高さH1は、前壁部42の高さであってもよい。
【0032】
図4に示すように、カバー50は、かご本体40の開口部を覆うものであり、たとえば、かご本体40の開口部の形状に対応した矩形形状のカバー本体51を含む。カバー本体51は、伸縮性を有する素材で形成されている。カバー本体51は、たとえば、メッシュ生地、ストレッチ生地などであるが、公知の伸縮性を有する生地を適宜用いてもよい。また、カバー本体51として網目の大きい生地、たとえばメッシュ生地などを用いることで、収納物の種類までは外部から視認することができないが、かご本体40の収納物の有無が分かるようにすることができる。
【0033】
図4(B)に示すように、カバー50は、かご本体40の開口部の略全領域を覆う広さを有する。具体的には、カバー50は、かご本体40の開口部の8割以上を覆っていることが好ましい。また、カバー本体51の前辺部52は、かご本体40の前壁部42に位置する部分であり、後辺部53は、かご本体40の後壁部43に位置する部分であり、右側辺部54は、かご本体40の右側壁部44に位置する部分であり、左側辺部55は、かご本体40の左側壁部45に位置する部分である。
【0034】
カバー50は、一方側が車体フレーム10に固定されており、一方側から離れて位置する他方側が車体フレーム10に着脱可能に取り付けられている。
図4(B)に示すように、カバー50は、前方側が前脚11,12に固定されており、後方側が後脚13,14に着脱可能とされている。具体的には、カバー本体51の左前角部51aおよび右前角部51bには、カバー50を前脚11,12に対して固定するための固定部が取り付けられている。固定部は、たとえば、縫製された環状の紐、D管などであり、着脱できない固着部である。また、カバー本体51の左後角部51cおよび右後角部51dには、カバー50を後脚13,14に対して着脱可能にするための連結具が取り付けられている。連結具は、たとえば、フック、面ファスナ、バックルなどである。なお、本実施の形態のカバー50は、車体フレーム10の前脚11,12に固定されていたが、かご本体40に固定されていてもよい。
【0035】
(使用態様について)
図5(A)および
図5(B)を参照して、かご4の使用態様について説明する。
図5(A)には、カバーとかご本体の間に収容物を収納した状態が示されており、
図5(B)には、カバーの上方に収納物を収納した状態が示されている。なお、
図5は、
図4に対応した図であり、固定箇所および着脱箇所は簡略化して示している。
【0036】
図5(A)に示すように、本実施の形態のかご4は、カバー50とかご本体40との間に、収納物を収納することができる。このように収納することで、収納物の落下を防止することができる。さらに、周壁部の高さよりも大きい収納物を収納する場合、伸縮性を有するカバー50により収納物に対して押圧力が発生するため、収納物をかご本体40内に確実に保持することができる。
【0037】
図5(B)に示すように、カバー50をかご本体40の底壁部41に沿って設けることができ、収納物をそのカバー50の上に載置することができる。このような使用方法は、カバー50とかご本体40との間に入らないような大きい収納物、たとえばオムツ、ヘルメットなどを収納する場合に有効な使用方法である。このように、使用者の使用用途に合わせて、適宜カバー50の位置を変更させることができる。
【0038】
本実施の形態の乳母車のかごは、カバー50が伸縮性を有し、その一部が車体フレーム10またはかご本体40の少なくとも一方に固定されているため、収納物をカバー50とかご本体40の間に差し込むことができ、かご本体40の中に収納した収納物の出し入れを簡単に行うことができる。さらに、カバー50とかご本体40の間に収納物を収納することで、外から収納物が見えなくなるため、プライバシーを保護することができる。
【0039】
また、カバー50の一方側が車体フレーム10またはかご本体40に固定されているだけでなく、その他方側が車体フレーム10またはかご本体40に着脱可能に取り付けられている。これにより、たとえば大きい収納物を収納する際であっても、カバー50の着脱可能な連結具を一旦取り外して、収納物をかご本体40内に載置し、カバー50を収納物に被せて、連結具を連結するだけで収納物をかご本体40とカバー50との間に収納することができるため、簡易な方法で収納物を出し入れすることができる。
【0040】
(伸縮性の変形例について)
図6(A)および
図6(B)を参照して、カバーの伸縮性の2つの変形例について説明する。上記実施の形態では、カバー50のカバー本体51が伸縮性を有するとして説明したが、カバー50の一部が伸縮性を有していればよい。実施の形態1で示したカバー50との相違点のみ詳細に説明する。
【0041】
図6(A)を参照して、変形例の一例としてのカバー50Aは、伸縮性を有さないカバー本体51Aと、カバー本体51Aに連結された伸縮性を有するゴム紐57Aとを含む。具体的には、ゴム紐57Aは、カバー本体51Aの右側辺部54および左側辺部55が環状に形成され、その内部を貫通するものであってもよい。カバー本体51Aは、ゴム紐57Aによって車体フレーム10またはかご本体40に固定されていてもよい。
【0042】
図6(B)を参照して、他の変形例としてのカバー50Aは、伸縮性を有さないか、多少の伸縮性を有するカバー本体51Bと、カバー本体51Bの四辺に設けられ、カバー本体51Bよりも伸縮性が大きい伸縮部58B,59Bとを含む。伸縮部58B,59Bは、たとえば伸縮性を有するゴムなどが取り付けられている部分である。伸縮部58Bは、カバー本体51Aの右側辺部54および左側辺部55に沿って形成され、伸縮部59Bは、カバー本体51Aの前辺部52および後辺部53に沿って形成される。なお、本変形例のカバー本体51Bは、上述した実施の形態1と同様に、4つの角部51a,51b,51c,51dに固定部および連結部が設けられている。
【0043】
(固定箇所の変形例について)
図7(A)~
図7(C)、および
図8を参照して、カバーの乳母車1に対する固定箇所の4つの変形例について説明する。上記実施の形態では、カバー50は、車体フレーム10の前脚11,12に対して固定されるとして説明したが、車体フレーム10またはかご本体40のいずれか一方に固定されていればよい。なお、
図7(A)~
図7(C)において、固定箇所61C,61D,61Eおよび着脱箇所62C,62D,62Eに異なるハッチングをしている。実施の形態1で示したカバー50との相違点のみ詳細に説明する。
【0044】
図7(A)を参照して、カバー50Cの固定箇所61Cおよび着脱箇所62Cは、左右方向に対向して設けられる。具体的には、固定箇所61Cは、カバー本体51の左側辺部55に設けられ、着脱箇所62Cは、カバー本体51の右側辺部54に設けられる。なお、固定箇所61Cおよび着脱箇所62Cは逆であってもよい。
【0045】
図7(B)を参照して、カバー50Dの固定箇所61Dおよび着脱箇所62Dは、前後方向に対向して設けられる。具体的には、固定箇所61Dは、カバー本体51の前辺部52に設けられ、着脱箇所62Dは、カバー本体51の後辺部53に設けられる。なお、固定箇所61Dおよび着脱箇所62Dは逆であってもよい。
【0046】
また、このカバー50Dのかご本体40に対する固定箇所61Dおよび着脱箇所62Dを
図8に示している。固定箇所61Dは、かご本体40の前壁部42の上端または車体フレーム10の前脚結合部材25である。着脱箇所62Dは、かご本体40の後壁部43の上端または車体フレームの後脚結合部材26である。このように、カバー50Dは、かご本体40または車体フレーム10のいずれか一方に固定される。
【0047】
図7(C)を参照して、カバー50Eの一対の固定箇所61Eおよび一対の着脱箇所62Eは、異なる対角線上にそれぞれ設けられる。具体的には、一対の固定箇所61Eは、一方の対角線上に位置する、カバー本体51の左前角部51aおよび右後角部51dに設けられ、他方の対角線上に位置する、一対の着脱箇所62Eは、カバー本体51の右前角部51bおよび左後角部51cに設けられる。なお、一対の固定箇所61Eおよび一対の着脱箇所62Eは逆であってもよい。
【0048】
なお、上記実施の形態および上記変形例では、カバー50,50C~50Eの一部がかご本体40の周壁部の上端に固定されていたが、周壁部の下端、つまりに底壁部41に固定されていてもよい。
【0049】
<第2の実施形態>
図9(A)および
図9(B)を参照して、第2の実施形態に係る乳母車のかごについて説明する。本実施の形態のかご4Fは、第1の実施の形態のかご4と同様に、上述した乳母車1の座席部20(
図1)の下方領域に設けられ、かご本体40Fとカバー50とを備える。
図9は、本発明の実施形態に係る乳母車のかごを取り出して示す図であり、
図9(A)はカバーを広げた状態を示し、
図9(B)はカバーを収納した状態を示している。実施の形態1で示したかご4との相違点のみ詳細に説明する。
【0050】
本実施の形態のかご4Fは、かご本体40Fおよびカバー50に加えて、カバー50を折り畳んだ状態で収納する収納部47Fをさらに含む。収納部47Fは、たとえば、前壁部42の上端から後方に突出する上部48Fと、上部48Fの後端部から下方に突出し、かご本体40Fの収納空間を前後方向に遮る側部49Fとを含む。側部49Fは底壁部41に到達するまで延びておらず、側部49Fと底壁部41との間には隙間が設けられている。
【0051】
カバー50は、伸縮性を有していてもよいが、伸縮性を有していなくてもよい。カバー50の前辺部52は、収納部47F内に、具体的には上部48Fに固定されている。カバー50の後辺部53は、かご本体40Fの後壁部43に着脱可能にされている。これにより、
図9(A)に示すように、カバー50は、使用時にはこの隙間から出されて、かご本体40Fの後壁部43に固定されて、かご本体40Fの上方開口を覆う状態となる。
図9(B)に示すように、カバー50は、不使用時には折り畳まれてこの隙間内に収納されて、かご本体40Fの上方開口は開放された状態となる。
【0052】
収納部47Fは、カバー50を収納する部分であればよく、その構造については限定されない。たとえば、収納部47Fは、少なくとも開口を有するものであればよく、たとえば、上方開口の袋体(ポケット)であってもよいし、その開口部に蓋が設けられて、カバー50を収納する際には、内部が見えないように形成されていてもよい。また、収納部47Fの設置箇所についても限定されるものではなく、かご本体40Fの後壁43、両側壁44,45、または底壁部41のいずれか一方に固定されていてもよく、かご本体40Fの収納空間内ではなく、かご本体Fの外方に取り付けられていてもよい。
【0053】
なお、上記実施の形態におけるカバーは、乳母車の車体フレーム10およびかご本体40の少なくともいずれか一方に固定されているものであったが、乳母車1のかご本体40に用いられるカバー50として個別に提供されるものであってもよい。その場合、カバーは、かご本体の開口部を覆うものであり、伸縮性を有し、少なくとも一部が車体フレームおよびかご本体の少なくとも一方に固定されるものであり、他の一部が車体フレームおよびかご本体の少なくとも一方に着脱可能に連結されるものであればよい。個別に提供されるカバー50は、上述したカバー50の変形例も適用される。
【0054】
また、上記実施の形態では、カバー50の一部は、かご本体40の周壁部の上端側に固定されている例を示したが、周壁部の下端、つまり底壁部41に固定されていてもよい。
【0055】
また、上記実施の形態では、かご本体40が箱形状であるとしたが、かご本体40の形状は限定されず、たとえば平面視多角形形状、円形状などであってもよい。また、周壁部は、4つの壁部42,43,44,45により形成されていたが、少なくとも3面以上設けられていればよく、具体的には、後壁部43は設けられていなくてもよい。かご本体40が箱形状である場合、4つのコーナー部は、前脚11,12および後脚13,14にそれぞれ固定されているとしたが、前脚11,12および後脚13,14側にそれぞれ位置していればよく、かご本体40は、車体フレーム10に保持されていればよく、たとえば座席支持部材17から吊り下げられるものであってもよい。
【0056】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 乳母車、4 かご、10 車体フレーム、11,12 前脚、13,14 後脚、
20 座席部、40 かご本体、41 底壁部、50 カバー。