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特開2024-162437問題作成支援装置、問題作成支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162437
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】問題作成支援装置、問題作成支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/00 20060101AFI20241114BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20241114BHJP
【FI】
G09B19/00 Z
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077937
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 隆寛
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 直之
(72)【発明者】
【氏名】生駒 拓也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】
【課題】問題を容易に作成するための問題作成支援技術を提供することである。
【解決手段】本開示の一態様は、生成対象の問題の生成条件を取得する生成条件取得部と、問題の生成条件に基づいて問題を取得する問題生成部と、を有する問題作成支援装置に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生成対象の問題の生成条件を取得する生成条件取得部と、
問題の生成条件に基づいて問題を取得する問題生成部と、
を有する問題作成支援装置。
【請求項2】
前記生成条件は、問題に関連する学習要素名、学習要素ID又はキーワードを含む、請求項1に記載の問題作成支援装置。
【請求項3】
前記生成条件はさらに、生成する問題数又は問題用紙一頁に含まれる問題数を含む、請求項2に記載の問題作成支援装置。
【請求項4】
前記生成条件はさらに、問題の難易度を含む、請求項2に記載の問題作成支援装置。
【請求項5】
前記問題は、問題文章、解答及び図を含む、請求項1に記載の問題作成支援装置。
【請求項6】
前記問題生成部は、問題の生成条件から問題を生成するよう訓練された問題生成モデルに前記取得した生成条件を入力し、前記問題生成モデルから問題を取得する、請求項1に記載の問題作成支援装置。
【請求項7】
前記問題生成モデルは、問題の生成条件から前記問題の問題文章を生成するよう訓練された文章生成モデルを含み、
前記問題生成部は、前記文章生成モデルを利用して、前記生成対象の問題の生成条件から問題文章を生成する、請求項6に記載の問題作成支援装置。
【請求項8】
前記問題生成モデルは、問題の問題文章から前記問題に関連する画像を生成するよう訓練された画像生成モデルを含み、
前記問題生成部は、前記画像生成モデルを利用して、前記生成対象の問題の問題文章から画像を生成する、請求項7に記載の問題作成支援装置。
【請求項9】
前記問題生成部は、前記問題文章と前記画像とに基づいて問題用紙画像を生成する、請求項8に記載の問題作成支援装置。
【請求項10】
前記問題生成部は、前記生成条件に基づいて生成された問題例と前記生成条件とを前記問題生成モデルに入力し、前記問題を生成する、請求項6に記載の問題作成支援装置。
【請求項11】
前記生成条件は、画像を含み、
前記問題生成部は、前記画像を前記問題生成モデルに入力し、前記問題を生成する、請求項6に記載の問題作成支援装置。
【請求項12】
前記問題生成部は、前記生成条件に関連付けられた問題を問題データベースから取得する、請求項1に記載の問題作成支援装置。
【請求項13】
生成対象の問題の生成条件を取得することと、
問題の生成条件に基づいて問題を取得することと、
を有する、コンピュータが実行する問題作成支援方法。
【請求項14】
生成対象の問題の生成条件を取得することと、
問題の生成条件に基づいて問題を取得することと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、問題作成支援装置、問題作成支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報通信技術の進展によって、IT(Information Technology)やDX(Digital Transformation)が様々な業種及び業務に導入されてきている。
【0003】
例えば、教育現場においても、情報通信技術が積極的に利用されてきている。学校では、電子黒板やタブレットを利用した授業が取り入れられつつある。また、教材作成にも教材作成アプリなどが教員などに活用されてきており、業務の効率化を促進している。例えば、特許文献1には、問題用紙画像を作成するための情報処理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-146667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の課題は、問題を容易に作成するための問題作成支援技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、生成対象の問題の生成条件を取得する生成条件取得部と、問題の生成条件に基づいて問題を取得する問題生成部と、を有する問題作成支援装置に関する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によると、問題を容易に作成するための問題作成支援技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の一実施例による問題作成支援処理を示す概略図である。
図2図2A及び2Bは、本開示の一実施例による問題の生成条件と、生成される問題とを示す概略図である。
図3図3は、本開示の一実施例による問題作成支援処理により作成される問題用紙を示す概略図である。
図4図4は、本開示の一実施例による問題作成支援装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5図5は、本開示の一実施例による問題作成支援装置の機能構成を示すブロック図である。
図6図6は、本開示の一実施例による生成条件の入力画面を示す図である。
図7図7は、本開示の一実施例による文章生成モデルと画像生成モデルとを利用した問題作成支援処理を示す概略図である。
図8図8は、本開示の一実施例による文章生成モデルの訓練データを示す図である。
図9図9は、本開示の他の実施例による文章生成モデルの訓練データを示す図である。
図10図10は、本開示の一実施例による画像生成モデルの訓練データを示す図である。
図11図11は、本開示の一実施例による学習要素IDと学習要素名との間の対応テーブルを示す図である。
図12図12は、本開示の他の実施例による文章生成モデルと画像生成モデルとを利用した問題作成支援処理を示す概略図である。
図13図13A及び13Bは、本開示の一実施例によるテスト用紙画像を示す図である。
図14図14は、本開示の他の実施例による文章生成モデルと画像生成モデルとを利用した問題作成支援処理を示す概略図である。
図15図15は、本開示の他の実施例による文章生成モデルの訓練データを示す図である。
図16図16は、本開示の一実施例による問題作成支援処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態を説明する。
【0010】
以下の実施例では、問題作成支援装置が開示される。
【0011】
[本開示の概略]
後述される実施例では、図1に示されるように、学習要素名、学習要素ID、キーワード等の問題の生成条件をユーザから取得すると、問題作成支援装置100は、問題の生成条件に基づいて問題を生成し、生成した問題を問題用紙画像などの形式でユーザに提供しうる。一例として、問題作成支援装置100は、問題の生成条件から問題を生成するよう訓練された問題生成モデル10を利用して、取得した生成条件から問題を生成し、生成した問題を問題用紙画像などの形式でユーザに提供してもよい。あるいは、他の例として、問題作成支援装置100は、問題の生成条件に関連付けられた問題を問題データベース20から抽出し、抽出した問題を問題用紙画像などの形式でユーザに提供してもよい。これにより、ユーザが指定した学習内容に関連する問題を自動的に生成することが可能となり、教員などのユーザは、問題作成支援装置100を利用して、所望の学習内容に関する問題を効率的に作成することが可能になる。
【0012】
ここで、学習要素名及び学習要素IDは、日本教育情報化振興会が主体となって整備されたものであり、教科書や教材における学習内容を明確に分類するため、最適な粒度で細分化した要素である(例えば、https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/11/13/1410959_001_1_1.pdfなどを参照されたい)。各学習要素は、学習要素名により規定され、学習要素ID(A~Z、0~9の6桁から構成される)によって識別されている。例えば、学習要素名として“三角形の面積(公式:高さが図形の内部)”があり、当該学習要素名の学習要素IDとして“T1SUEK”が付与されている。
【0013】
例えば、図2Aに示されるように、ユーザから生成対象の問題に対して“三角形の面積(公式:高さが図形の内部)”及び“問題数:4”の生成条件を取得すると、問題作成支援装置100は、取得した生成条件を以下で詳細に説明される問題生成モデル10に入力し、問題生成モデル10からの出力結果に基づいて、図2Bに示されるように、“問題文章:1辺が6cmの正三角形の面積を求めなさい。解答:15.6cm”の文章と、対応する図とから構成される問題#1、“問題文章:底辺が10cm、高さが6cmの三角形の面積を求めなさい。”の文章と、対応する図とから構成される問題#2、・・・を生成しうる。
【0014】
このようにして4つの問題#1~#4を問題生成モデル10から取得すると、問題作成支援装置100は、取得した問題#1~#4に基づいて、図3に示されるような問題用紙画像を生成してもよい。これにより、ユーザは、問題生成モデル10を利用して、作成したい学習内容に対応した問題を自動的に作成できるとともに、作成した問題に基づいて配布用の問題用紙画像を取得することができる。この結果、従来の手作業での問題作成作業に係る教員などのユーザに対する負担を軽減することが可能になる。
【0015】
なお、問題生成モデル10は、問題作成支援装置100に格納されてもよいし、あるいは、ネットワークを介し通信接続された外部のサーバ(図示せず)等に格納されてもよい。また、問題作成モデル10の一部は、問題作成支援装置100に格納され、他の部分は、外部のサーバ等に格納されてもよい。
【0016】
同様に、問題DB20は、問題作成支援装置100に格納されてもよいし、あるいは、ネットワークを介し通信接続された外部のサーバ(図示せず)等に格納されてもよい。また、問題DB20の一部は、問題作成支援装置100に格納され、他の部分は、外部のサーバ等に格納されてもよい。
【0017】
ここで、問題作成支援装置100は、サーバ、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン、タブレット等の計算装置によって実現されてもよく、例えば、図4に示されるようなハードウェア構成を有してもよい。すなわち、問題作成支援装置100は、バスBを介し相互接続されるドライブ装置101、ストレージ装置102、メモリ装置103、プロセッサ104、ユーザインタフェース(UI)装置105及び通信装置106を有する。
【0018】
問題作成支援装置100における各種機能及び処理を実現するプログラム又は指示は、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の着脱可能な記憶媒体に格納されてもよい。当該記憶媒体がドライブ装置101にセットされると、プログラム又は指示が記憶媒体からドライブ装置101を介しストレージ装置102又はメモリ装置103にインストールされる。ただし、プログラム又は指示は、必ずしも記憶媒体からインストールされる必要はなく、ネットワークなどを介し何れかの外部装置からダウンロードされてもよい。
【0019】
ストレージ装置102は、ハードディスクドライブなどによって実現され、インストールされたプログラム又は指示と共に、プログラム又は指示の実行に用いられるファイル、データ等を格納する。
【0020】
メモリ装置103は、ランダムアクセスメモリ、スタティックメモリ等によって実現され、プログラム又は指示が起動されると、ストレージ装置102からプログラム又は指示、データ等を読み出して格納する。ストレージ装置102、メモリ装置103及び着脱可能な記憶媒体は、非一時的な記憶媒体(non-transitory storage medium)として総称されてもよい。
【0021】
プロセッサ104は、1つ以上のプロセッサコアから構成されうる1つ以上のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、処理回路(processing circuitry)等によって実現されてもよく、メモリ装置103に格納されたプログラム、指示、当該プログラム若しくは指示を実行するのに必要なパラメータなどのデータ等に従って、問題作成支援装置100の各種機能及び処理を実行する。
【0022】
ユーザインタフェース(UI)装置105は、キーボード、マウス、カメラ、マイクロフォン等の入力装置、ディスプレイ、スピーカ、ヘッドセット、プリンタ等の出力装置、タッチパネル等の入出力装置から構成されてもよく、ユーザと問題作成支援装置100との間のインタフェースを実現する。例えば、ユーザは、ディスプレイ又はタッチパネルに表示されたGUI(Graphical User Interface)をキーボード、マウス等を操作し、問題作成支援装置100を操作してもよい。
【0023】
通信装置106は、外部装置、インターネット、LAN(Local Area Network)、セルラーネットワーク等の通信ネットワークとの有線及び/又は無線通信処理を実行する各種通信回路により実現される。
【0024】
しかしながら、上述したハードウェア構成は単なる一例であり、本開示による問題作成支援装置100は、他の何れか適切なハードウェア構成により実現されてもよい。
【0025】
[問題作成支援装置]
次に、本開示の一実施例による問題作成支援装置100を説明する。図5は、本開示の一実施例による問題作成支援装置100の機能構成を示すブロック図である。図5に示されるように、問題作成支援装置100は、生成条件取得部110及び問題生成部120を有する。生成条件取得部110及び問題生成部120の各機能部は、問題作成支援装置100のメモリ装置103に格納されているコンピュータプログラムがプロセッサ104によって実行されることによって実現されてもよい。
【0026】
生成条件取得部110は、生成対象の問題の生成条件を取得する。例えば、生成条件は、問題に関連する学習要素名、学習要素ID又はキーワードを含むものであってもよい。上述したように、学習要素名及び学習要素IDは、日本教育情報化振興会が主体となって整備された学習要素リストに規定されたものであってもよいし、他の何れかの学習要素を規定するものであってもよい。また、キーワードは、学習内容を表す何れかの記述、表現、説明などであってもよい。
【0027】
例えば、生成条件取得部110は、図6に示されるような生成条件入力画面を介しユーザから生成対象の問題の生成条件を取得してもよい。例えば、学習要素名/学習要素IDは、プルダウンメニューによって選択されてもよい。また、生成条件入力画面は、キーワードを入力可能なテキストボックスを有してもよい。
【0028】
また、生成条件はさらに、問題の難易度を含んでもよい。例えば、限定されることなく、図示されるように、低難易度、中難易度及び高難易度の3つのレベルの難易度が規定されてもよい。また、生成条件はさらに、生成する問題数又は問題用紙一頁に含まれる問題数を含んでもよい。また、図示されるように、難易度毎の生成問題数が指定できてもよい。
【0029】
例えば、図示された生成条件入力画面では、“T1SUEK(三角形の面積(公式:高さが図形の内部))”の学習要素ID(学習要素名)、“低難易度:1”、“中難易度:1”及び“高難易度:2”の生成問題数、及び、“4”の1ページあたりの問題数の生成条件が、ユーザによって指定されている。
【0030】
問題生成部120は、問題の生成条件に基づいて問題を生成する。例えば、問題生成部120は、問題の生成条件から問題を生成するよう訓練された問題生成モデル10に取得した生成条件を入力し、問題生成モデル10から問題を取得してもよい。問題生成モデル10は、言語処理モデル、画像処理モデル、映像処理モデル、音声処理モデル及び/又はこれらの組み合わせなどの何れかのタイプの機械学習モデルとして実現されてもよい。問題生成モデル10は、問題の生成条件と正解データ(問題文章、解答、図など)とのペアから構成される訓練データによって訓練された訓練済みの機械学習モデルとして実現されてもよいし、あるいは、何れか公知の1つ以上の機械学習モデル及び/又はこれらの何れかの組み合わせとして実現されてもよい。
【0031】
一例となる問題生成モデル10の訓練処理について、問題生成モデル10がニューラルネットワークにより実現される場合、訓練用の生成条件が訓練対象の問題生成モデル10に入力され、問題生成モデル10からの出力結果と正解データ(問題文章、解答、図など)との間の誤差に応じて誤差逆伝播法に従って問題生成モデル10のパラメータが調整されてもよい。所定の終了条件が充足されると、調整されたパラメータによる問題生成モデル10が、訓練済み問題生成モデル10として利用されうる。しかしながら、本開示による問題生成モデル10は、このようなニューラルネットワークモデルに限定されず、他の何れか適切な機械学習モデルにより実現されてもよい。
【0032】
このようにして訓練された問題生成モデル10は、例えば、図6に示されるようなユーザによって指定された生成条件を入力として取得すると、図示されるような生成問題及び問題用紙画像を生成してもよい。図示された生成問題及び問題用紙画像では、指定された生成条件、すなわち、“T1SUEK(三角形の面積(公式:高さが図形の内部))”の学習要素ID(学習要素名)、“低難易度:1”、“中難易度:1”及び“高難易度:2”の生成問題数、及び、“4”の1ページあたりの問題数に対応した4つの三角形求積問題が生成されうる。
【0033】
なお、図示された例では、問題文章と図形とから構成される問題が生成されているが、本開示による問題は、これに限定されず、問題文章のみ又は図形のみであってもよい。また、本開示による問題は、映像、音声などの他の形式のデータによって表現されてもよい。例えば、問題の出力形式(例えば、テキスト、画像、映像、音声など)は、ユーザによって指定可能とされてもよい。
【0034】
一実施例では、問題生成モデル10は、問題の生成条件から問題の問題文章と解答とを生成するよう訓練された文章生成モデル11を含み、問題生成部120は、文章生成モデル11を利用して、生成対象の問題の生成条件から問題文章と解答とを生成してもよい。また、問題生成モデル10は、問題の問題文章から問題に関連する画像を生成するよう訓練された画像生成モデル12を含み、問題生成部120は、画像生成モデル12を利用して、生成対象の問題の問題文章から画像を生成してもよい。
【0035】
例えば、図7に示されるように、ユーザが問題作成支援装置100に“三角形の面積(公式:高さが図形の内部)”の学習要素名を入力すると、問題生成部120は、生成条件取得部110から取得した学習要素名“三角形の面積(公式:高さが図形の内部)”の文尾に“に関する問題は?”を追加し、“三角形の面積(公式:高さが図形の内部)に関する問題は?”というテキストデータを文章生成モデル11に入力する。
【0036】
文章生成モデル11は、入力されたテキストデータ“三角形の面積(公式:高さが図形の内部)に関する問題は?”に対して、問題文章と解答とのテキストデータ“底辺が4cm、高さが20cmの直角三角形の面積を求めなさい。[delim]40cm”を生成する。問題生成部120は、出力されたテキストデータから図形に関する文章“底辺が4cm、高さが20cmの直角三角形”を抽出し、抽出したテキストデータを画像生成モデル12に入力する。
【0037】
画像生成モデル12は、図示されるような“底辺が4cm、高さが20cmの直角三角形”に対応する図を示す画像を生成する。問題生成部120は、図示されるように、文章生成モデル11によって生成された問題文章及び解答と、画像生成モデル12によって生成された図形とから構成される問題を生成する。
【0038】
ここで、文章生成モデル11は、GPT-3、ChatGPTなどの何れか公知の汎用言語モデルであってもよい。あるいは、文章生成モデル11は、問題の生成条件から問題文章と解答とを生成するよう訓練された何れかの機械学習モデルであってもよい。この場合、文章生成モデル11は、例えば、図8に示されるような訓練データセットを利用した教師有り学習によって生成されてもよい。図8に示されるように、各訓練データは、学習要素名と“に関する問題は?”という文言とが結合されたテキストデータを訓練用入力データとし、問題文章と解答とが[delim]などの結合子によって結合されたテキストデータを訓練用出力データとしてもよい。訓練データセットの各訓練用入力データを訓練対象の文章生成モデル11に入力し、文章生成モデル11からの出力結果と訓練用出力データとの間の誤差に応じて文章生成モデル11のパラメータを調整することによって、文章生成モデル11が生成されうる。なお、図示された訓練データセットを利用して何れか公知の汎用言語モデルをファインチューニングすることによって、汎用言語モデルから文章生成モデル11を生成してもよい。
【0039】
また、一実施例では、文章生成モデル11は、例えば、図9に示されるような訓練データセットを利用した教師有り学習によって生成されてもよい。図9に示されるように、各訓練データは、学習要素名と“に関する問題は?”という文言及び当該問題の難易度とが結合されたテキストデータを訓練用入力データとし、問題文章と解答とが[delim]などの結合子によって結合されたテキストデータを訓練用出力データとしてもよい。このように難易度を含めて訓練された文章生成モデル11は、難易度に対応した問題文章と解答とを生成することが可能になる。なお、図示された訓練データセットを利用して汎用言語モデルをファインチューニングすることによって、汎用言語モデルから文章生成モデル11を生成してもよい。
【0040】
一方、画像生成モデル12は、例えば、DALL-Eなど、テキストデータから画像を生成する何れか公知の画像生成モデルであってもよい。あるいは、画像生成モデル12は、問題文章及び解答から図を生成するよう訓練された何れかの機械学習モデルであってもよい。この場合、画像生成モデル12は、例えば、図10に示されるような訓練データセットを利用した教師有り学習によって生成されてもよい。図10に示されるように、各訓練データは、問題文章と解答とが[delim]などの結合子によって結合されたテキストデータを訓練用入力データとし、対応する図を示す画像データを訓練用出力データとしてもよい。訓練データセットの各訓練用入力データを訓練対象の画像生成モデル12に入力し、画像生成モデル12からの出力結果と訓練用出力データとの間の誤差に応じて画像生成モデル12のパラメータを調整することによって、画像生成モデル12が生成されうる。なお、図示された訓練データセットを利用して何れか公知の画像生成モデルをファインチューニングすることによって、画像生成モデルから画像生成モデル12を生成してもよい。
【0041】
上述した実施例では、問題生成部120は、生成条件として学習要素名を受け付け、学習要素名に基づいて問題を生成したが、問題生成部120は、生成条件として学習要素IDを受け付け、学習要素IDに基づいて問題を生成してもよい。この場合、例えば、問題生成部120は、図11に示されるような学習要素IDと学習要素名との間の対応テーブルを有し、受け付けた学習要素IDに対応する学習要素名を決定してもよい。そして、問題生成部120は、決定した学習要素名を生成条件として利用して、上述したようにして、問題生成モデル10、文章生成モデル11及び/又は画像生成モデル12に基づいて学習要素名から問題を生成してもよい。
【0042】
また、問題生成部120は、生成条件としてキーワードを受け付け、キーワードに基づいて問題を生成してもよい。生成条件としてキーワード“〇〇〇”を受け付けた場合、問題生成部120は、キーワード“〇〇〇”の文尾に“に関する問題は?”を追加し、“〇〇〇に関する問題は?”というテキストデータを問題生成モデル10及び/又は文章生成モデル11に入力し、上述したようにして問題を生成してもよい。また、問題生成部120は、キーワードに類似する学習要素を推定し、推定した学習要素を生成条件として利用して、問題を生成してもよい。ここで、キーワードに類似する学習要素の推定は、例えば、word2vecなどを利用して行うようにしてもよい。
【0043】
上述した実施例では、問題生成部120は、ユーザから取得した生成条件を問題生成モデル10に入力することによって問題を生成したが、本開示による問題生成処理は、これに限定されるものでない。一実施例では、問題生成部120は、ユーザから取得した生成条件だけでなく、生成条件に基づいて生成された問題例と生成条件とを問題生成モデル10に入力し、問題を生成してもよい。GPT-3、ChatGPTなどの汎用言語モデルの利用において、入力とともにいくつかの入出力例を提供するFew Shot生成が効果的であることが知られている。問題生成部120は、Few Shot生成を利用して、汎用言語モデルとして実現される問題生成モデル10及び/又は文章生成モデル11から生成条件に適した問題を生成してもよい。
【0044】
このようなFew Shot生成では、例えば、図12に示されるように、ユーザが問題作成支援装置100に“三角形の面積(公式:高さが図形の内部)”の学習要素名を入力すると、問題生成部120は、生成条件取得部110から取得した学習要素名“三角形の面積(公式:高さが図形の内部)”の文尾に“に関する問題は?”を追加し、“三角形の面積(公式:高さが図形の内部)に関する問題は?”というテキストデータを生成する。さらに、問題生成部120は、Few Shot生成に利用するため、取得した学習要素名に対応する問題例“三角形の面積(公式:高さが図形の内部)に関する問題は?底辺が10cm、高さが6cmの三角形の面積を求めなさい。[delim]30cm”という問題例と、“三角形の面積(公式:高さが図形の内部)に関する問題は?斜辺が8cm、内角が30°、60°の直角三角形の面積を求めなさい。[delim]14cm”という問題例を生成/取得し、生成/取得した問題例と“三角形の面積(公式:高さが図形の内部)に関する問題は?”とから構成されるテキストデータを、図12に示されるように、文章生成モデル11に入力する。以降、問題生成部120は、図7を参照して説明した問題生成処理と同様にして問題を生成しうる。このようにFew Shot生成を適用して、ユーザから受け付けた生成条件とともに、受け付けた生成条件に関連する問題例を問題生成モデル10又は文章生成モデル11に入力することによって、生成条件により適合した問題を生成することができうる。
【0045】
ここで、Few Shot生成に利用される問題例は、何れかの方法により生成/取得されたものであってもよいし、あるいは、図8及び/又は図9に示されるような訓練データセットから抽出されたものであってもよい。
【0046】
以上のようにして生成条件から問題文章と図とを生成すると、問題生成部120は、問題文章と図とに基づいて問題用紙画像を生成する。例えば、図13Aに示されるような問題#1~#4を取得すると、問題生成部120は、テスト用紙画像への配置やリサイジングなどの所定のルールに従って、図13Bに示されるような問題#1~#4を含むテスト用紙画像を生成し、ユーザに提供してもよい。ルールは、デフォルトにより設定されたものであってもよいし、ユーザによって設定されたものであってもよい。ユーザは、提供されたテスト用紙画像をそのまま保存してもよいし、編集してもよい。
【0047】
なお、上述した実施例では、ユーザによって入力される生成条件は、学習要素名、学習要素ID、キーワードなどのテキストデータであったが、本開示による生成条件は、必ずしもこのようなテキストデータに限定されるものでない。他の実施例では、生成条件は、図形、写真、描画などの画像を含んでもよい。この場合、問題生成部120は、画像を問題生成モデル10に入力し、問題を生成してもよい。
【0048】
例えば、図14に示されるように、ユーザが生成対象の問題に関連する図形画像(図示された例では、正三角形を示す画像)を生成条件として問題作成支援装置100に入力すると、問題生成部120は、生成条件取得部110から取得した図形画像を文章生成モデル11に入力する。具体的には、問題生成部120は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などを利用して、入力された図形画像からサイズ縮小及び画像特徴抽出を実行し、抽出した特徴の各ピクセルを1次元に並び替えた特徴ベクトルをテキストデータとみなして、文章生成モデル11に入力してもよい。ここで、図示されるように、入力される図形画像には、各辺の長さや単位(例えば、cmなど)などの情報を記載しないようにしてもよい。このような情報を記載しない図形の形状のみを示す図形画像を利用することによって、生成される問題文章を多様化することが可能になる。
【0049】
文章生成モデル11は、入力された図形画像に対して、問題文章と解答とのテキストデータ“1辺が6cmの正三角形の面積を求めなさい。[delim]15.6cm”を生成する。問題生成部120は、出力されたテキストデータから図形に関する文章“1辺が6cmの正三角形”を抽出し、抽出したテキストデータを画像生成モデル12に入力する。
【0050】
画像生成モデル12は、図示されるような“1辺が6cmの正三角形”に対応する図を示す画像を生成する。問題生成部120は、図示されるように、文章生成モデル11によって生成された問題文章及び解答と、画像生成モデル12によって生成された対応する図とから構成される問題を生成しうる。
【0051】
このような画像からテキストを生成する文章生成モデル11は、ChatGPTなどの何れか公知のマルチモダリティタイプの汎用言語モデルであってもよい。あるいは、文章生成モデル11は、生成条件の画像から問題を生成するよう訓練された何れかの機械学習モデルであってもよい。この場合、文章生成モデル11は、例えば、図15に示されるような訓練データセットを利用した教師有り学習によって生成されてもよい。図15に示されるように、各訓練データは、画像データを訓練用入力データとし、問題文章と解答とが[delim]などの結合子によって結合されたテキストデータを訓練用出力データとしてもよい。訓練データセットの各訓練用入力データを訓練対象の文章生成モデル11に入力し、文章生成モデル11からの出力結果と訓練用出力データとの間の誤差に応じて文章生成モデル11のパラメータを調整することによって、文章生成モデル11が生成されうる。なお、図示された訓練データセットを利用して何れか公知の汎用言語モデルをファインチューニングすることによって、汎用言語モデルから文章生成モデル11を生成してもよい。また、図示された訓練データセットをFew Shot生成に利用してもよい。一方、画像生成モデル12は、上述したように、例えば、DALL-Eなど、テキストデータから画像を生成する何れか公知の画像生成モデルであってもよい。
【0052】
上述した実施例では、問題生成部120は、問題生成モデル10、文章生成モデル11及び/又は画像生成モデル12を利用して、生成条件に基づいて問題(問題文章、解答、図など)を生成したが、本開示は、必ずしもこれに限定されるものでない。例えば、生成条件に関連付けられた1つ以上の問題が、問題DB20に格納されている場合、問題生成部120は、生成条件に関連付けられた問題を問題DB20から取得するようにしてもよい。問題DB20に格納されている問題は、ユーザや教材作成業者などによって作成及び登録されたものであってもよいし、あるいは、問題生成モデル10、文章生成モデル11及び/又は画像生成モデル12を利用して事前に作成及び登録されたものであってもよい。
【0053】
[問題作成支援処理]
次に、図16を参照して、本開示の一実施例による問題作成支援処理を説明する。図16は、本開示の一実施例による問題作成支援処理を示すフローチャートである。当該問題作成支援処理は、例えば、問題作成支援装置100によって実行され、より詳細には、問題作成支援装置100のプロセッサ104がメモリ装置103に格納されたコンピュータプログラム又は指示を実行することによって実現されてもよい。
【0054】
ステップS101において、問題作成支援装置100は、問題の生成条件を取得する。具体的には、問題作成支援装置100は、ユーザから生成対象の問題の生成条件(例えば、学習要素名、学習要素ID、キーワード、画像、問題数、問題用紙一頁に含まれる問題数、難易度など)を取得する。
【0055】
ステップS102において、問題作成支援装置100は、生成条件に基づいて問題を取得する。具体的には、問題作成支援装置100は、生成条件に“に関する問題は?”などの何れか適当な文言を追加し、問題生成モデル10に入力してもよい。ここで、問題生成モデル10は、問題の生成条件と正解データ(問題文章、解答、図など)とのペアから構成される訓練データを利用して訓練されたものであってもよいし、あるいは、GPT-3、ChatGPTなどの何れか公知の汎用言語モデルであってもよい。問題作成支援装置100は、問題生成モデル10から出力された問題に基づいて、例えば、問題用紙画像を作成してユーザに提供してもよい。あるいは、問題作成支援装置100は、生成条件に関連付けられた問題を問題DB20から抽出してもよい。
【0056】
また、上述したように、問題生成モデル10は、文章生成モデル11と画像生成モデル12とから構成されてもよい。この場合、問題作成支援装置100は、問題の生成条件を文章生成モデル11に入力し、文章生成モデル11から問題文章と解答とを取得する。そして、問題作成支援装置100は、問題文章から画像に関連する文言を抽出し、抽出した文言を画像生成モデル12に入力し、画像生成モデル12から図を示す画像を取得する。問題作成支援装置100は、取得した問題文章及び解答と、図形画像とから問題用紙画像を生成し、生成した問題用紙画像をユーザに提供する。
【0057】
上述した実施例によると、生成対象の問題の生成条件をユーザから取得すると、問題作成支援装置100は、生成条件に対応した問題を自動生成し、問題作成作業に要する負担を軽減することができる。
【0058】
以上、本開示の実施例について詳述したが、本開示は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
10 問題生成モデル
11 文章生成モデル
12 画像生成モデル
20 問題データベース(DB)
100 問題作成支援装置
110 生成条件取得部
120 問題生成部
図1
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図16