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2024-162452情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162452
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0282 20230101AFI20241114BHJP
【FI】
G06Q30/0282
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077962
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】高田 大嗣
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB08
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】コンテンツ視聴中又はコンテンツ視聴後にユーザの欲求を満たす店舗を推薦する。
【解決手段】サーバ(10)は、ユーザの生体情報に基づいてコンテンツを構成する各々のシーンに対するユーザの反応を解析する反応解析部(114)と、ユーザが所望するサービスを推定する欲求推定部(115)と、ユーザの位置情報に基づいてサービスを提供する店舗を検索する店舗検索部(116)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラを備える情報処理装置であって、
前記コントローラは、
コンテンツを視聴しているユーザの生体情報を取得し、
前記生体情報に基づいて前記コンテンツを構成する各々のシーンに対するユーザの反応を解析し、
前記解析の結果に基づいて前記ユーザが所望するサービスを推定し、
前記サービスと前記ユーザの位置情報に基づいて、前記サービスを提供する店舗を検索し、
検索された店舗を前記ユーザに推薦する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
検索された店舗の混雑状況を示す情報及び検索された店舗で利用可能なクーポン情報のうち少なくとも一方に基づいて、検索された店舗の中から、所定の条件を満たす店舗を選択し、
選択された店舗を前記ユーザに推薦する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記コントローラは、検索された店舗の中から座席の所定値以上が空いている店舗を選択する、又は、検索された店舗の中から利用可能なクーポンがある店舗を選択する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記ユーザの反応が大きい場合は、前記ユーザの反応が小さい場合と比較して、選択された店舗で利用可能なクーポンによって前記ユーザが得る利益を小さくする、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記ユーザの反応が閾値より大きい場合、空いている座席が所定値未満であっても前記サービスを提供する店舗を選択する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記コンテンツの視聴が終わったタイミングで、選択された店舗を前記ユーザに推薦する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記ユーザが乗車している車両の位置情報に基づいて前記車両が選択された店舗に接近したか否かを判定し、
前記車両が選択された店舗に接近したタイミングで、選択された店舗を前記ユーザに推薦する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンテンツを視聴しているユーザの生体情報を取得するステップと、
前記生体情報に基づいて前記コンテンツを構成する各々のシーンに対するユーザの反応を解析するステップと、
前記解析の結果に基づいて前記ユーザが所望するサービスを推定するステップと、
前記サービスと前記ユーザの位置情報に基づいて、前記サービスを提供する店舗を検索するステップと、
検索された店舗を前記ユーザに推薦するステップと、を含む、
情報処理方法。
【請求項9】
コンテンツを視聴しているユーザの生体情報を取得する処理と、
前記生体情報に基づいて前記コンテンツを構成する各々のシーンに対するユーザの反応を解析する処理と、
前記解析の結果に基づいて前記ユーザが所望するサービスを推定する処理と、
前記サービスと前記ユーザの位置情報に基づいて、前記サービスを提供する店舗を検索する処理と、
検索された店舗を前記ユーザに推薦する処理と、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザがコンテンツを視聴する際の自然な振る舞い又は反応から、ユーザの潜在的な興味関心を反映した情報を収集し、ユーザが興味ある商品などを推薦する発明が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-32252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、ユーザが興味ある商品などを推薦する際にユーザの位置情報を用いるものではないため、ユーザの現在地から遠く離れた場所に存在する店舗を推薦する場合がある。このように特許文献1に記載された発明ではコンテンツ視聴中又はコンテンツ視聴後にユーザの欲求を満たす店舗を推薦することは困難である。
【0005】
本開示の一態様は、コンテンツ視聴中又はコンテンツ視聴後にユーザの欲求を満たす店舗を推薦することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る情報処理装置は、コントローラを備える情報処理装置であって、前記コントローラは、コンテンツを視聴しているユーザの生体情報を取得し、前記生体情報に基づいて前記コンテンツを構成する各々のシーンに対するユーザの反応を解析し、前記解析の結果に基づいて前記ユーザが所望するサービスを推定し、前記サービスと前記ユーザの位置情報に基づいて、前記サービスを提供する店舗を検索し、検索された店舗を前記ユーザに推薦する。
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンテンツを視聴しているユーザの生体情報を取得するステップと、前記生体情報に基づいて前記コンテンツを構成する各々のシーンに対するユーザの反応を解析するステップと、前記解析の結果に基づいて前記ユーザが所望するサービスを推定するステップと、前記サービスと前記ユーザの位置情報に基づいて、前記サービスを提供する店舗を検索するステップと、検索された店舗を前記ユーザに推薦するステップと、を含む。
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る情報処理プログラムは、コンテンツを視聴しているユーザの生体情報を取得する処理と、前記生体情報に基づいて前記コンテンツを構成する各々のシーンに対するユーザの反応を解析する処理と、前記解析の結果に基づいて前記ユーザが所望するサービスを推定する処理と、前記サービスと前記ユーザの位置情報に基づいて、前記サービスを提供する店舗を検索する処理と、検索された店舗を前記ユーザに推薦する処理と、をコンピュータに実行させる。
【0009】
本開示の各態様に係る情報処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記情報処理装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記情報処理装置をコンピュータにて実現させる制御プログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本開示の範疇に入る。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様によれば、コンテンツ視聴中又はコンテンツ視聴後にユーザの欲求を満たす店舗を推薦することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態1に係る情報処理システムの一例を示す概略構成図である。
図2】本開示の実施形態1に係るサーバ、通信装置、及びシートの構成を説明するブロック図である。
図3】本開示の実施形態1に係る情報処理システムの一動作例を示すシーケンスチャートである。
図4】本開示の実施形態1に係る情報処理システムの一動作例を示すシーケンスチャートである。
図5】映画の上映時間と心拍数との関係を示すグラフである。
図6】店舗の混雑状況及び利用可能なクーポンを説明する表である。
図7】通信装置のディスプレイに表示される店舗に関する情報の一例である。
図8】本開示の実施形態2に係る情報処理システムの一例を示す概略構成図である。
図9】車両に搭載されたディスプレイに表示される店舗に関する情報の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
以下、本開示の実施形態1に係る情報処理システム100について図面を参照しながら詳細に説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0013】
[情報処理システム100の構成]
図1は、情報処理システム100の一例を示す概略構成図である。図1に示すように、情報処理システム100は、サーバ10と、通信ネットワーク50と、映画館に設置されているシート20と、ユーザ30が所持する通信装置40と、を含む。各シート20のそれぞれには、センサ22が設けられる。なお、図1において、センサ22が設けられるシート20は2つ存在するが、これに限定されず、センサ22が設けられるシート20は1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、図1において、ユーザは一人存在するが、これに限定されず、多数のユーザが存在していてもよい。ユーザが増えるにしたがい、ユーザが所持する通信装置も増える。また、情報処理システム100で利用される映画館は複数あってもよい。
【0014】
サーバ10は、通信ネットワーク50を介してシート20及び通信装置40と通信する。サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)11と、メモリ12と、通信I/F13と、記憶装置14とを備える汎用のコンピュータであり、これらの構成要素が図示しないバスなどを介して電気的に接続されている。サーバ10は、ユーザ30に所定の情報を提供するサービスに用いられる。所定の情報を提供するサービスとは、具体的には、ユーザの欲求を満たす店舗を推薦するサービスである。サーバ10の設置場所は特に限定されないが、例えばサーバ10は情報提供サービスを運用する事業者の管理センタに設置される。
【0015】
CPU11は、記憶装置14に記憶されている様々なプログラムをメモリ12に読み込んで、プログラムに含まれる各種の命令を実行するコントローラである。メモリ12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。記憶装置14は、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体である。
【0016】
通信I/F13は、ネットワークアダプタなどのハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装され、通信ネットワーク50を介した有線又は無線の通信を実現できるように構成されている。本実施形態では、通信ネットワーク50をインターネットとして説明するが、これに限定されずその他の無線通信方式が採用されてもよい。
【0017】
シート20に設けられたセンサ22は、シート20に着座したユーザ30の生体情報を検出する。本実施形態では、生体情報の一例として心拍数を取り上げる。すなわち、センサ22は、シート20に着座したユーザ30の心拍数を検出するための心拍センサとして機能する。センサ22によって検出されたユーザ30の心拍数データは通信ネットワーク50を介してサーバ10に送信される。図1に示す例では、センサ22はシートクッションに設けられるが、センサ22の設置場所はシートクッションに限定されない。例えば、センサ22はシートバックに設けられてもよい。また、センサ22の種類は特に限定されず、周知の光学式センサ又は電気式センサなどが用いられる。
【0018】
以下では、心拍数を説明する場合には単に「心拍数」と称し、心拍数をデータとして扱う場合には「心拍数データ」と称する。
【0019】
ユーザ30は、通信装置40を用いてサーバ10が提供するサービスを受ける。通信装置40には、サービスの提供を受けるためのアプリケーションがインストールされている。以下では、サービスの提供を受けるためのアプリケーションを単に「アプリ」と称する。
【0020】
次に、図2を参照して、サーバ10、シート20、及び通信装置40の詳細な構成について説明する。
【0021】
[通信装置40の構成]
図2に示すように、通信装置40は、通信I/F41と、アプリ42と、GPS受信機43と、ディスプレイ44と、を備える。通信装置40は、例えば、スマートフォン、タブレット端末などの携帯可能な装置である。ただし、これに限定されず通信装置40は、ウェアラブル型の装置であってもよい。通信I/F41は、通信I/F13と同様の機能を備えており、通信ネットワーク50を介してサーバ10と通信する。なお、図示は省略するが、通信装置40もサーバ10と同様に、CPU、メモリ、記憶装置を備える。本実施形態では通信装置40をスマートフォンとして説明する。
【0022】
アプリ42は、ユーザの欲求を満たすサービスを提供する店舗の推薦に用いられる。アプリ42は、通信装置40に設けられたCPUが、通信装置40に設けられた記憶装置から、専用のアプリケーションプログラムを読み出して実行することで実現する。ユーザ30はアプリ42を利用する際、事前に自身の情報をアプリ42に入力して登録する。このような事前登録は周知の技術であり、多くのアプリケーションで採用されている。事前登録を行うことによって、固有の識別情報(例えばユーザID)がユーザ30に付与され、ユーザ30はアプリ42を利用することが可能となる。事前に入力する情報は、特に限定されないが、例えばユーザ30の氏名、ニックネーム、性別、住所、電話番号、メールアドレスなどである。ただし、アプリ42の実現方法はこれに限定されない。例えば、通信装置40が、アプリ42の機能を提供するサーバ10にアクセスして機能提供を受け、サーバ10から送信される機能の実行結果をブラウザに表示するようにしてもよい。
【0023】
GPS受信機43は、人工衛星からの電波を受信することにより、地上における通信装置40の位置情報を取得する。GPS受信機43によって取得された通信装置40の位置情報は、任意のタイミングで通信I/F41を介してサーバ10に送信される。なお、ユーザ30が通信装置40を所持しているため、通信装置40の位置情報は、ユーザ30の位置情報と同義である。
【0024】
[シート20の構成]
シート20は、通信I/F21と、センサ22と、を備える。通信I/F21は、通信I/F13と同様の機能を備えており、通信ネットワーク50を介してサーバ10と通信する。センサ22については上述したため、説明を省略する。本実施形態では、各シート20のそれぞれに通信I/F21及びセンサ22が設けられ、各シート20のそれぞれが独立してサーバ10と通信するものとして説明するが、これに限定されない。例えば、映画館に、各シート20に設けられたセンサ22によって検出されたデータを集約するコンピュータを設置し、このコンピュータがセンサ22によって検出されたデータを一括してサーバ10に送信する構成としてもよい。この構成であれば、各シートに通信I/F21を設ける必要がなくなり、コンピュータだけに通信I/F21を設ければ足りることになる。
【0025】
[サーバ10の構成]
サーバ10のCPU11は、複数の機能の一例として、予定情報取得部111と、位置情報取得部112と、生体情報取得部113と、反応解析部114と、欲求推定部115と、店舗検索部116と、店舗選択部117と、出力部118と、を備える。
【0026】
予定情報取得部111は、ユーザ30の予定を示す予定情報を取得する。予定情報の取得方法として、例えば予定情報取得部111は、通信装置40にインストールされているカレンダーアプリにアクセスして、予定情報を取得することができる。
【0027】
位置情報取得部112は、通信装置40からユーザ30の位置情報を取得する。
【0028】
生体情報取得部113は、予定情報取得部111によって取得された予定情報に基づいてユーザ30が着座するシート20を特定し、ユーザ30が映画を鑑賞しているときの生体情報を特定したシート20から取得する。生体情報取得部113は、取得した生体情報を反応解析部114に出力する。
【0029】
反応解析部114は、生体情報取得部113から取得した生体情報に基づいて、ユーザ30が映画を鑑賞しているときの映画のシーンに対する反応を解析する。解析結果は、解析ログデータベース142に記憶され、蓄積される。反応解析部114は、解析結果を示す情報を欲求推定部115に出力する。
【0030】
欲求推定部115は、反応解析部114から取得した解析結果に基づいて、ユーザ30が反応したシーンと、反応したシーンの情報を照らし合わせて、ユーザ30の欲求を推定する。欲求推定部115は、推定結果を示す情報を店舗検索部116に出力する。
【0031】
店舗検索部116は、位置情報取得部112によって取得された位置情報及び欲求推定部115から取得した情報に基づいて、ユーザ30の現在位置から所定の範囲で、ユーザ30の欲求を満たすサービスを提供する店舗を検索する。店舗検索部116は、検索結果を示す情報を店舗選択部117に出力する。
【0032】
店舗選択部117は、店舗検索部116によって検索された複数の店舗の中から、所定の条件を満たす店舗を選択する。店舗選択部117は、選択した店舗に関する情報を出力部118に出力する。
【0033】
出力部118は、店舗選択部117によって選択された店舗に関する情報を通信装置40に送信する。
【0034】
サーバ10の記憶装置14には、コンテンツデータベース141と、解析ログデータベース142と、地図データベース143と、店舗データベース144と、が格納されている。
【0035】
コンテンツデータベース141には、各種のコンテンツに関する情報が記憶されている。コンテンツには、映画、テレビ番組、ビデオオンデマンドによるビデオなどの映像コンテンツ、及びラジオ番組、音楽などの音だけのコンテンツなどが含まれる。コンテンツに関する情報の具体例については後述する。なお、当該情報は、コンテンツ自体ではなく、あくまで当該コンテンツに関する情報であることに留意すべきである。
【0036】
解析ログデータベース142には、反応解析部114による解析結果が記憶され、蓄積される。
【0037】
地図データベース143には、道路情報、施設情報など経路案内に必要となる地図情報が記憶されている。
【0038】
店舗データベース144には、店舗名、店舗の住所、店舗の電話番号、店舗の混雑状況、店舗で利用可能なクーポンなどの情報が記憶されている。
【0039】
なお、コンテンツデータベース141、地図データベース143、及び店舗データベース144は、サーバ10の記憶装置14ではなく、他のサーバの記憶装置に記憶されていてもよい。コンテンツデータベース141、地図データベース143、及び店舗データベース144が他のサーバの記憶装置に記憶されている場合、サーバ10は、他のサーバの記憶装置を参照することによって、コンテンツデータベース141、地図データベース143、及び店舗データベース144に記憶されている各種の情報を取得することができる。
【0040】
[情報処理システム100の動作例]
次に、図3~4のシーケンスチャートを参照して、ユーザ30が映画館で映画を鑑賞する場合における情報処理システム100の動作例について説明する。
【0041】
ステップS101において、通信装置40は、ユーザ30によるディスプレイ44のタッチ操作を受け付け、アプリ42を起動する。通信装置40は、アプリ42を起動した後、認証情報であるユーザID及びパスワードの入力を受け付ける。
【0042】
通信装置40に入力された認証情報は、サーバ10に送信される。サーバ10は、記憶装置14にアクセスして認証情報が正しいか否か判定する(ステップS102)。記憶装置14には、認証情報が記憶されている。通信装置40に入力された認証情報が記憶装置14に記憶されている内容と一致した場合、サーバ10は、アプリ42へのログインを許可する。
【0043】
処理はステップS103に進み、サーバ10は、ユーザ30の予定を示す予定情報を取得する。例えばサーバ10は、通信装置40にインストールされているカレンダーアプリにアクセスして予定情報を取得する。これにより、サーバ10は、例えば「○月○日○時、AA映画館でBB(映画のタイトル)を鑑賞する、予約したシート番号:CC」、といったユーザ30の予定情報を取得することができる。
【0044】
ステップS104において、通信装置40は、ユーザ30の位置情報をサーバ10に送信する。なお、ステップS104の処理は、ユーザ30がアプリ42にログインした後、任意のタイミングで行われる。任意のタイミングの一例として、通信装置40は一定時間ごとにユーザ30の位置情報をサーバ10に送信してもよい。
【0045】
サーバ10は、通信装置40からユーザ30の位置情報を取得する(ステップS105)。
【0046】
ステップS103の処理によって、サーバ10は、ユーザ30の予定を把握可能である。また、ステップS105の処理によって、サーバ10は、ユーザ30の位置を把握可能である。具体的には、サーバ10は、ユーザ30の位置情報から、ユーザ30がAA映画館に居ることを把握し、ユーザ30の予定情報から、ユーザ30がこれからBBという映画を鑑賞すること、及び座るシート番号はCCであることを把握することができる。
【0047】
処理はステップS106に進み、サーバ10は、ユーザ30がこれから鑑賞する映画の情報をコンテンツデータベース141から取得する。コンテンツデータベース141に記憶されている映画に関する情報には、タイトル、ジャンル、監督の名称、俳優の名称、シーンを識別するためにシーンごとに付与されたシーンID、シーンIDに紐づけられた当該シーンの内容を説明するテキスト、上映開始時刻、及び上映終了時刻などの情報が含まれる。
【0048】
ステップS107において、シート20は、映画が上映されている間、センサ22によって検出されたユーザ30の心拍数データを通信I/F21を介してサーバ10に送信する。
【0049】
サーバ10は、シート20からユーザ30の心拍数データを取得する(ステップS108)。上述したように、サーバ10はユーザ30が着座しているシート20の番号を把握しているため、該当する番号のシート20からユーザ30の心拍数データを取得すればよい。
【0050】
ステップS109において、サーバ10は、映画のシーンに対するユーザ30の反応を解析する。この解析にはユーザ30の生体情報として、ユーザ30の心拍数が用いられる。映画のシーンにユーザ30が反応するとユーザ30の体内の状態は興奮状態となる。心拍数は、人間の興奮状態と関係する。一般に、興奮状態が高まると、自律神経が交感神経優位な状態になり、交感神経から分泌されるアドレナリンなどが増加し、心拍数は上昇する。
【0051】
[ユーザ30の反応の解析方法]
映画のシーンに対するユーザ30の反応を解析する方法の一例について図5を参照して説明する。図5の横軸は映画が上映されているときの時間を示す。より詳細には、横軸の時間T1,T2…は、映画が上映されているときの1分間の時間幅を示す。例えば、映画の上映時間が、10:00~12:00である場合、時間T1は、10:00~10:01の1分間を示し、時間T2は、10:01~10:02の1分間を示す。
【0052】
図5の縦軸はユーザ30の心拍数を示す。心拍数は、一般的には、1分間あたりの心臓の拍動回数として表され、単位はBPM(Beats Per Minute)である。本実施形態における心拍数も1分間あたりの心臓の拍動回数として扱う。すなわち、図5は、映画鑑賞中におけるユーザ30の1分ごとの心拍数データをプロットした図である。なお、使用する心拍数データは、1分間あたりではなく1秒間あたりのデータであってもよい。
【0053】
心拍数の大小関係は、HR1<HR2<HR3<HR4<HR5である。HR1は、ユーザ30の平常時の心拍数を示す。これは、ユーザ30は時間T1,T2などのシーンに反応していない、すなわち、興奮していないことを意味する。
【0054】
HR2は、ユーザ30が映画のシーンに反応しているか否かを解析するための閾値であり、実験、シミュレーションなどを通じて、適宜設定される値である。心拍数がHR2より大きい場合、ユーザ30は映画のシーンに反応していると解析される。図5に示す例では、HR2は平常時の心拍数より大きい値に設定されるが、これに限定されず、HR2は平常時の心拍数と同程度の値に設定されてもよい。すなわち、HR1=HR2であってもよい。
【0055】
図5において、HR2を超える心拍数が検出されたシーンは、時間T5,T10,及びT15の3つのシーンである。時間T5のシーンで検出された心拍数はHR3であり、時間T10のシーンで検出された心拍数はHR5であり、時間T15のシーンで検出された心拍数はHR4である。サーバ10は、ユーザ30は時間T5,T10,及びT15のシーンに反応した、すなわち、興奮したと解析する。心拍数が大きいほど、ユーザ30の興奮度は大きいと考えられる。このため、時間T5,T10,及びT15の3つのシーンの中では、ユーザ30は時間T10のシーンに最も興奮したと解析される。
【0056】
図5に示す例では時間T18以降のシーンでは、HR2を超える心拍数は検出されなかったものとする。すなわち、映画全体を通して、HR2を超える心拍数が検出されたシーンは、時間T5,T10,及びT15の3つのシーンのみだったとする。
【0057】
ステップS110において、サーバ10は、ユーザ30が反応したシーンと、当該シーンの情報を照らし合わせて、ユーザ30の欲求を推定する。
【0058】
[欲求推定方法]
ユーザ30の欲求を推定する方法の一例について図5を参照して説明する。サーバ10は、ユーザ30が反応したシーンにおいて、どのような対象に対してユーザ30が反応したのか解析することにより、ユーザ30の欲求を推定する。ユーザ30が反応したシーンは、図5の時間T5,T10,及びT15のシーンと特定されているから、これら3つのシーンが解析対象となる。
【0059】
まずサーバ10は、ユーザ30が反応した3つのシーンのシーンIDを取得する。シーンIDは、シーンを識別するためにシーンごとに付与された番号である。
【0060】
シーンIDには、そのシーンの内容を示す情報が紐づけられている。したがって、シーンIDを取得したサーバ10は、そのシーンの内容を把握することができる。ここで、時間T5のシーンのシーンIDに紐づけられた情報が「役者が焼肉を食べている」という文字情報だったと仮定する。この場合、サーバ10は文字情報から「焼肉」という特徴を抽出することができる。サーバ10は、抽出した「焼肉」という特徴と、時間T5のシーンにユーザ30が反応したという解析結果に基づき、ユーザ30は焼肉を欲していると推定することができる。
【0061】
また、時間T10のシーンのシーンIDに紐づけられた情報が「役者がハンバーガーを食べている」という文字情報だったと仮定する。この場合、サーバ10は文字情報から「ハンバーガー」という特徴を抽出することができる。サーバ10は、抽出した「ハンバーガー」という特徴と、時間T10のシーンにユーザ30が反応したという解析結果に基づき、ユーザ30はハンバーガーを欲していると推定することができる。
【0062】
また、時間T15のシーンのシーンIDに紐づけられた情報が「役者がラーメンを食べている」という文字情報だったと仮定する。この場合、サーバ10は文字情報から「ラーメン」という特徴を抽出することができる。サーバ10は、抽出した「ラーメン」という特徴と、時間T15のシーンにユーザ30が反応したという解析結果に基づき、ユーザ30はラーメンを欲していると推定することができる。
【0063】
シーンIDにはそのシーンの内容を示す文字情報が紐づけられている、と説明したが、このような紐づけは必須ではない。例えばサーバ10は、シーンIDに係る映像をパターンマッチングなどの周知の映像解析手法を用いて解析し、映像からシーンの特徴を抽出してもよい。例えば、役者がハンバーガーを食べているシーンであれば、サーバ10は周知の映像解析手法を用いることにより、ハンバーガーという特徴を抽出することができる。サーバ10は、抽出した特徴と、ユーザ30が反応したという解析結果に基づき、ユーザ30はハンバーガーを欲していると推定することができる。
【0064】
ステップS111において、サーバ10は、ユーザ30の欲求及び位置情報に基づいて、ユーザ30の現在位置から所定の範囲で、ユーザ30の欲求を満たすサービスを提供する店舗を検索する。「ユーザ30の現在位置から所定の範囲」とは、例えば、AA映画館がテナントとして入居するショッピングモール内である。ステップS110の処理によって、ユーザ30はハンバーガー、ラーメン、又は焼肉を欲していると推定されている。したがって、「ユーザ30の欲求を満たすサービスを提供する店舗」とは、ハンバーガーを提供する店舗、ラーメンを提供する店舗、及び焼肉を提供する店舗である。サーバ10は、地図データベース143を参照して、ショッピングモール内でハンバーガーを提供する店舗、ラーメンを提供する店舗、及び焼肉を提供する店舗を検索する。
【0065】
サーバ10は、検索された店舗を全てユーザ30に通知してもよい。本実施形態では、単に検索された店舗を全てユーザ30に通知する場合と比較してユーザ30の利便性を向上させるため、サーバ10は検索された店舗の中からユーザ30に推薦する店舗を選択する。サーバ10は選択された店舗をユーザ30に通知する。
【0066】
[店舗選択方法]
ユーザ30に推薦する店舗を選択する方法の一例について図6を参照して説明する。ここでは、混雑状況とクーポンを用いた店舗の選択方法について説明する。図6は、ステップS111の処理で検索された店舗の混雑状況とクーポン情報を示す。図6に示すように、ステップS111の処理において、AA映画館がテナントとして入居するショッピングモール内でハンバーガー店A、ハンバーガー店B、ラーメン店C、ラーメン店D、焼肉店E、及び焼肉店Fの6つの店舗が検索されたとする。
【0067】
サーバ10は、店舗データベース144を参照して、検索された6つの店舗の混雑状況を示す情報を取得する(ステップS112)。混雑状況を示す情報は、各店舗から定期的にサーバ10に送信され、店舗データベース144に記憶される。サーバ10は、店舗データベース144を参照することによって、各店舗の混雑状況が以下の状況であると把握することができる。すなわち、ハンバーガー店Aでは座席の80%以上が空いている。ハンバーガー店Bは混みあっており、利用可能な座席は20%未満である。ラーメン店Cは比較的空いており、座席の50%以上が空いている。ラーメン店Dでは座席の80%以上が空いている。焼肉店Eは比較的空いており、座席の50%以上が空いている。焼肉店Fは混みあっており、利用可能な座席は20%未満である。
【0068】
サーバ10は、店舗の混雑状況に応じて、ユーザ30に推薦する店舗を選択することができる。例えば、サーバ10は、座席の50%以上が空いていれば、該当する店舗を選択してもよい。座席の50%以上が空いていれば、ユーザ30は待つことなくサービスを受けられる可能性が高いため、座席の50%以上が空いている店舗を推薦することはユーザ30の利便性の向上に寄与する。図6において座席の50%以上が空いている店舗は、ハンバーガー店A、ラーメン店C、ラーメン店D、及び焼肉店Eであるから、サーバ10は、これらの店舗を選択すればよい。座席の50%以上が空いている店舗を選択する、ということは、換言すれば、空いている座席が50%未満である店舗は選択しない、ということである。すなわち、店舗の混雑状況に応じて店舗を選択することは、店舗が混雑したり閑散したりすることの回避に繋がり、店舗の運営者にとっても利益がある。なお、50%という数値は一例であり、適宜変更可能である。
【0069】
次に、クーポンを用いた店舗の選択方法について説明する。サーバ10は、店舗データベース144を参照して、検索された6つの店舗のクーポン情報を取得する(ステップS113)。クーポン情報は、混雑状況を示す情報と同様に、各店舗からサーバ10に送信され、店舗データベース144に記憶される。サーバ10は、店舗データベース144を参照することによって、各店舗では以下のクーポンが提供されていることを把握することができる。すなわち、ハンバーガー店A及びハンバーガー店Bでは飲食代を10%割り引くクーポンが提供されている。ラーメン店Cでは飲食代を15%割り引くクーポンが提供されている。ラーメン店D及び焼肉店Fではクーポンは提供されていない。焼肉店Eではドリンクが1杯無料となるクーポンが提供されている。
【0070】
サーバ10は、店舗が提供しているクーポンに基づいて、ユーザ30に推薦する店舗を選択することができる。例えば、サーバ10は、クーポンを提供していれば、該当する店舗を選択してもよい。クーポンを利用することによってユーザ30は金銭面での利益を享受できるため、クーポンを提供している店舗を推薦することはユーザ30の利便性の向上に寄与する。図6においてクーポンを提供している店舗は、ハンバーガー店A、ハンバーガー店B、ラーメン店C、及び焼肉店Eであるから、サーバ10は、これらの店舗を選択すればよい。なお、クーポンを提供している店舗を選択する、ということは、換言すれば、クーポンを提供していない店舗は選択しない、ということである。
【0071】
混雑状況を示す情報のみ、又はクーポン情報のみを用いた店舗の選択方法について説明したが、これに限定されず、サーバ10は混雑状況を示す情報及びクーポン情報の両方を用いてユーザ30に推薦する店舗を選択してもよい。例えば、サーバ10は、座席の50%以上が空いており、且つクーポンを提供している店舗を選択してもよい。座席の50%以上が空いており、且つクーポンを提供している店舗であれば、ユーザ30は待つことなくサービスを受けられる可能性が高まり、さらにクーポンによる金銭面での利益を享受できる。図6において座席の50%以上が空いており、且つクーポンを提供している店舗は、ハンバーガー店A、ラーメン店C、及び焼肉店Eであるから、サーバ10は、これらの店舗を選択すればよい。
【0072】
以上説明したように、サーバ10は、ステップS111の処理で検索された店舗の中から、所定の条件を満たす店舗を選択する(ステップS114)。
【0073】
ステップS115において、サーバ10は、ステップS114の処理で選択された店舗に関する情報を通信装置40に送信する。選択された店舗に関する情報を通信装置40に送信するタイミングは、特に限定されないが、例えばサーバ10は映画の上映が終わったタイミングで選択された店舗に関する情報を通信装置40に送信することができる。これにより、ユーザ30は映画鑑賞後、所望するサービスを提供する店舗に向かうことができる。店舗が混雑情報に基づいて推薦されている場合、当該店舗は空いているから所望するサービスを受けるまでの時間が短縮される。
【0074】
ステップS116において、通信装置40のディスプレイ44に、ステップS114の処理で選択された店舗に関する情報が表示される。ここで図7を参照して、通信装置40のディスプレイ44に表示される店舗に関する情報の一例について説明する。図7に示すように、通信装置40のディスプレイ44には4つの通知60~63が表示される。通知60は、ステップS114の処理でサーバ10によって選択された店舗、すなわちユーザ30に推薦する店舗のカテゴリ及び店舗数を示す。通知60において店舗のカテゴリは飲食店であり、店舗数は3件である。図7に示す例では、混雑状況を示す情報及びクーポン情報の両方を用いて選択された店舗に関する情報が表示されるものとする。つまり、図6で説明したハンバーガー店A、ラーメン店C、及び焼肉店Eに関する情報が通信装置40のディスプレイ44に表示される。
【0075】
店舗に関する情報には、例えば、店舗の名称、店舗の場所、店舗の混雑状況、及び店舗で利用可能なクーポンが含まれる。よって、通知61に示すように、ハンバーガー店Aに関する情報として、ハンバーガー店Aの名称、ハンバーガー店Aの場所、ハンバーガー店Aの混雑状況、ハンバーガー店Aで利用可能なクーポンが表示される。
【0076】
また、通知62に示すように、ラーメン店Cに関する情報として、ラーメン店Cの名称、ラーメン店Cの場所、ラーメン店Cの混雑状況、ラーメン店Cで利用可能なクーポンが表示される。
【0077】
また、通知63に示すように、焼肉店Eに関する情報として、焼肉店Eの名称、焼肉店Eの場所、焼肉店Eの混雑状況、焼肉店Eで利用可能なクーポンが表示される。
【0078】
図7に示す例では、3つの飲食店のうち、ハンバーガー店Aが一番上に表示されている。これは、図5で説明したように、映画のシーンの中でユーザ30が最も興奮したと解析されたシーンが「役者がハンバーガーを食べている」シーンだったからである。すなわち、サーバ10は、ユーザ30が最も興奮したシーンの特徴に関係するサービスを提供する店舗が上位に来るように通知することができる。
【0079】
[作用効果]
以上説明したように、実施形態1に係る情報処理システム100によれば、以下の作用効果が得られる。
【0080】
情報処理システム100に係るサーバ10は、コンテンツを視聴しているユーザ30の生体情報を取得し、生体情報に基づいてコンテンツを構成する各々のシーンに対するユーザ30の反応を解析する。サーバ10は、解析の結果に基づいてユーザ30が所望するサービスを推定し、ユーザ30が所望するサービスとユーザ30の位置情報に基づいて、ユーザ30が所望するサービスを提供する店舗を検索する。サーバ10は、コンテンツの視聴が終わったタイミングで、検索された店舗をユーザ30に推薦する。
【0081】
上記構成によれば、ユーザ30の位置情報を用いることにより、コンテンツ視聴後に、ユーザ30の欲求を満たすサービスを提供する店舗を推薦することができる。
【0082】
また、サーバ10は、検索された店舗の混雑状況を示す情報及び検索された店舗で利用可能なクーポン情報のうち少なくとも一方に基づいて、検索された店舗の中から、所定の条件を満たす店舗を選択し、選択された店舗をユーザ30に推薦してもよい。
【0083】
上記構成によれば、少なくとも混雑状況を示す情報及びクーポン情報のどちらか一方を用いることにより、ユーザ30の利便性を向上させることができる。
【0084】
また、サーバ10は、検索された店舗の中から座席の所定値以上が空いている店舗を選択してもよく、又は、検索された店舗の中から利用可能なクーポンがある店舗を選択してもよい。
【0085】
上記構成によれば、ユーザ30は待つことなくサービスを受けられる可能性が高まる。また、店舗が混雑したり閑散したりすることの回避に繋がり、店舗の運営者にとっても利益がある。さらに、クーポンを利用することによってユーザ30は金銭面での利益を享受できる。
【0086】
また、サーバ10は、映画のシーンに対するユーザ30の反応の大きさに応じて、クーポンによってユーザ30が得る利益を変更してもよい。例えば、図6に示すハンバーガー店Aにおいて、クーポンは飲食代を10%割り引くものである。映画のシーンに対するユーザ30の反応が大きい場合、例えば検出された心拍数が図5に示すHR5であった場合、ユーザ30はクーポンによって得られる利益が小さくてもハンバーガー店Aに入ると考えられる。そこで、サーバ10は、ユーザ30に提示するクーポンの割引率を10%オフから5%オフに変更してもよい。
【0087】
一方で、ユーザ30の反応が小さい場合、例えば検出された心拍数が図5に示すHR2より大きいもののHR2に限りなく近い場合は、ユーザ30はクーポンによって得られる利益が高くないとハンバーガー店Aに入らないと考えられる。そこで、サーバ10は、ユーザ30に提示するクーポンの割引率を10%オフから15%オフに変更してもよい。
【0088】
このようにサーバ10は、コンテンツのシーンに対するユーザ30の反応が大きい場合は、ユーザ30の反応が小さい場合と比較して、選択された店舗で利用可能なクーポンによってユーザ30が得る利益を小さくしてもよい。これにより、ユーザ30及び店舗運営者の双方にとって有用なクーポンの提供が実現しうる。
【0089】
また、空いている座席が所定値(例えば50%)未満である店舗は選択しない、と説明したが、これに限定されない。例えば、映画のシーンに対するユーザ30の反応が大きい場合は、ユーザ30の欲求も大きいと考えられる。このようなユーザ30は、たとえ待ち時間が発生したとしても反応したシーンの特徴に関係する食べ物を食べたいと考えられる。
【0090】
映画のシーンに対するユーザ30の反応が大きい場合、例えば検出された心拍数が図5に示すHR5であった場合、サーバ10は、混雑状況に関わらず、ユーザ30の欲求を満たすサービスを提供する店舗を選択してユーザ30に推薦してもよい。図6に照らせば、サーバ10は、ハンバーガー店Bを選択してユーザ30に推薦してもよい。これにより、ユーザ30の欲求を満たすサービスを提供する店舗を推薦することができる。
【0091】
「映画のシーンに対するユーザ30の反応が大きい場合、混雑状況に関わらず、ユーザ30の欲求を満たすサービスを提供する店舗を選択する」とは、「ユーザ30の反応が閾値より大きい場合、空いている座席が所定値未満であってもユーザ30の欲求を満たすサービスを提供する店舗を選択する」と言い換えられてもよい。ここでいう「閾値」とは、例えば、図5に示すHR4とHR5との間に設けられる閾値である。
【0092】
また、座席の所定値(例えば50%)以上が空いている店舗を選択する、と説明したが、これに限定されない。心拍数が図5に示すHR2より大きい場合、ユーザ30は映画のシーンに反応したと解析されるところ、心拍数がHR2より大きいもののHR2に限りなく近い場合は、ユーザ30は反応したシーンの特徴に関係する食べ物を欲しているが、その欲求は大きくはないと考えられる。したがって、心拍数がHR2に近いほど、所定値を大きくしてもよい。例えば、心拍数がHR2に近い場合、サーバ10は座席の80%以上が空いている店舗のみを選択するようにしてもよい。
【0093】
また、ユーザ30の欲求を満たすサービスを提供する店舗をショッピングモール内で検索する例を説明したが、検索範囲はこれに限定されない。例えば、ユーザ30が車両を使ってショッピングモールに来た場合、ユーザ30はショッピングモールから帰る途中で飲食を楽しみたい場合もある。そこで、サーバ10は、ユーザ30の移動手段に応じて検索範囲を変更してもよい。例えば、移動手段が車両である場合は検索範囲を広くし、移動手段が徒歩である場合は検索範囲を狭くしてもよい。これにより、サーバ10は、ユーザ30が移動可能な範囲で店舗を推薦することができる。ユーザ30の移動手段の特定方法については、ユーザ30の位置情報の推移から移動手段を特定してもよいし、移動手段をアプリ42に入力するようユーザ30に求めてもよい。なお、移動手段の種類に関わらず、検索範囲の基準になるのは、ユーザ30の現在位置である。
【0094】
また、シート20に設けられたセンサ22が心拍数を検出すると説明したが、心拍数を検出する方法はこれに限定されない。例えば、通信装置40がウェアラブル型の装置であり、かつ、心拍数を検出可能なセンサが設けられている場合は、このセンサが心拍数を検出してもよい。このように心拍数を検出する場合、シート20にセンサ22を設ける必要がなくなる。
【0095】
また、店舗のカテゴリは、飲食店に限定されない。ユーザ30によっては映画で演奏されている音楽に反応する場合もある。この場合、サーバ10は、ユーザ30が反応した音楽を扱っている音楽ショップを推薦してもよい。また、ユーザ30によっては映画で登場したキャラクタに反応する場合もある。この場合、サーバ10は、ユーザ30が反応したキャラクタのグッズを扱っているキャラクタショップを推薦してもよい。
【0096】
〔実施形態2〕
次に、本開示の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0097】
図8は、実施形態2に係る情報処理システム200の一例を示す概略構成図である。図8に示すように、情報処理システム200は、サーバ10と、通信ネットワーク50と、車両70と、を含む。
【0098】
車両70は、自動運転機能を有する車両であり、ユーザ31及びユーザ32が車両70に乗車している。車両70に搭載された自動運転機能は、乗員による監視を必要としないことを想定する。つまり、自動運転のレベルはいわゆるレベル3以上を想定する。
【0099】
車両70は、最前列の前部シート71と、2列目の後部シート72と、車両70の位置情報を取得するGPS受信機74と、各種の情報を表示可能なディスプレイ75と、通信I/F76と、を備える。
【0100】
通信I/F76は、通信I/F13と同様の機能を備えており、通信ネットワーク50を介してサーバ10と通信する。
【0101】
GPS受信機74は、人工衛星からの電波を受信することにより、地上における車両70の位置情報を取得する。GPS受信機74によって取得された車両70の位置情報は、任意のタイミングで通信I/F76を介してサーバ10に送信される。
【0102】
ユーザ31が着座している前部シート71は、回転可能なシートである。図8では前部シート71は、後方を向いている。したがって、前部シート71に着座しているユーザ31と、2列目の後部シート72に着座しているユーザ32は向かい合っている。前部シート71及び後部シート72には、着座しているユーザ31及びユーザ32の心拍数を検出するためのセンサ73が設けられる。
【0103】
センサ73によって検出されたユーザ31及びユーザ32の心拍数データは通信I/F76を介してサーバ10に送信される。
【0104】
ユーザ31及びユーザ32は、ディスプレイ75に映し出された映画を鑑賞しているものとする。この映画がサーバ10から配信された映画であれば、サーバ10はユーザ31及びユーザ32が鑑賞している映画を特定することができ、映画の情報をコンテンツデータベース141から取得することができる。
【0105】
サーバ10は、映画を鑑賞しているときのユーザ31及びユーザ32の心拍数データをセンサ73から取得する。次にサーバ10は、映画のシーンに対するユーザ31及びユーザ32の反応を解析する。解析方法については実施形態1と同じであるため説明を省略する。
【0106】
ここで、ユーザ31が「役者がハンバーガーを食べている」シーンで反応したと解析されたとする。この場合、ユーザ31はハンバーガーを欲していると推定されるため、サーバ10は、車両70の位置情報及び経路情報に基づいて車両70の進行方向に位置するハンバーガーを提供する店舗を検索する。検索範囲は特に限定されないが、例えば車両70の位置から半径10kmの範囲である。なお、車両70の進行方向に位置する店舗を検索する理由は、立ち寄りやすさのためである。
【0107】
サーバ10は、検索された店舗の中から所定の条件を満たす店舗を選択する。所定の条件とは、実施形態1で説明したように混雑状況及びクーポンである。選択方法については実施形態1と同じであるため説明を省略する。
【0108】
サーバ10は、車両70の位置情報に基づいて車両70が選択された店舗に接近したか否かを判定する。接近の判定方法として、例えば車両70と、選択された店舗との距離が所定距離より短くなった場合に、車両70が選択された店舗に接近したと判定すればよい。サーバ10は、車両70が選択された店舗に接近したタイミングで、選択された店舗に関する情報を車両70に送信する。サーバ10から送信された店舗に関する情報はディスプレイ75に表示される。ここで図9を参照して、ディスプレイ75に表示される店舗に関する情報の一例について説明する。
【0109】
図9に示すように、ディスプレイ75には地図情報と5つの通知751~755が表示される。地図上では、選択された店舗であるハンバーガー店Gの位置及びハンバーガー店Gの名称が表示される。通知751は、ユーザ31に推薦する店舗に車両70が接近していることを示す。
【0110】
通知752では、ハンバーガー店Gの名称、ハンバーガー店Gの混雑状況、ハンバーガー店Gで利用可能なクーポン、ハンバーガー店Gまでの距離が表示される。
【0111】
通知753は、ユーザ31への提案を示す。ユーザ31は、通知754又は通知755をタッチ操作することにより、行き先を変更するか否かを決定する。
【0112】
このように、情報処理システム200に係るサーバ10は、ユーザ31が乗車している車両70の位置情報に基づいて車両70が選択された店舗に接近したか否かを判定し、車両70が選択された店舗に接近したタイミングで、選択された店舗をユーザ31に推薦する。
【0113】
上記構成によれば、コンテンツを視聴中にリアルタイムでユーザ31の欲求を満たすサービスを提供する店舗を推薦することができる。これによりユーザ31は、コンテンツの視聴中に所望するサービスを提供する店舗に向かうことができる。店舗が混雑情報に基づいて推薦されている場合、当該店舗は空いているから所望するサービスを受けるまでの時間が短縮される。
【0114】
なお、車両70には、二人のユーザ(ユーザ31及びユーザ32)が乗車しており、ユーザ31及びユーザ32が別々のシーンに反応する場合もある。この場合、サーバ10は、シーンに対する反応が大きい方、すなわち検出された心拍数が大きい方のユーザの欲求を満たすサービスを提供する店舗を推薦してもよい。
【0115】
また、車両70に三人以上のユーザが乗車している場合、サーバ10は多数決によって推薦する店舗を決定してもよい。例えば、車両70に三人のユーザが乗車しており、このうち二人のユーザはハンバーガーを欲していると推定され、残る一人のユーザはラーメンを欲していると推定されたとする。この場合、ハンバーガーを欲しているユーザ数がラーメンを欲しているユーザ数より多いため、サーバ10はハンバーガーを提供する店舗を推薦してもよい。また、サーバ10は、同じサービスを所望するユーザの心拍数を加算し、心拍数の合計の順番で優先度を設定し、設定した優先度にしたがってサービスを提供する店舗を推薦してもよい。
【0116】
また、車両70に三人以上のユーザが乗車している場合、それぞれのユーザが異なるシーンに反応する場合もある。この場合、サーバ10は、シーンに対する反応が最も大きいユーザ、すなわち検出された心拍数が最も大きいユーザの欲求を満たすサービスを提供する店舗を推薦してもよい。
【0117】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置(サーバ10)としての機能は、情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、情報処理装置の各制御ブロックとしてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0118】
この場合、情報処理装置は、プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。コンピュータがプログラムを実行することにより、各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0119】
プログラムは、一時的ではなく、コンピュータが読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、情報処理装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して情報処理装置に供給されてもよい。
【0120】
また、各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本開示の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0121】
また、各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは情報処理装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0122】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0123】
例えば、コンテンツのシーンに対するユーザ30の反応解析に用いられるユーザ30の生体情報は心拍数に限定されない。生体情報は、ユーザ30の音声であってもよい。サーバ10は、コンテンツの視聴中にユーザ30が発した「このハンバーガー、美味しそう」という声を分析して、コンテンツのシーンに対してユーザ30が反応したと解析してもよい。
【0124】
また、サーバ10は、ユーザ30の心拍数の他にユーザ30の心拍間隔、顔表情、血圧又は体温を加味してコンテンツのシーンに対するユーザ30の反応を解析してもよい。また、サーバ10は、ユーザ30の心拍数の代わりに、ユーザ30の心拍間隔、顔表情、血圧又は体温を用いてコンテンツのシーンに対するユーザ30の反応を解析してもよい。心拍間隔、顔表情、血圧又は体温は、単体で用いられてもよいし、任意に組み合わせて用いられてもよい。興奮状態が高まると、血圧が上昇したり体温が上昇したりすることがある。したがって、血圧、体温などを加味することにより、コンテンツのシーンに対するユーザ30の反応を精度よく解析することが可能となる。ここでいう心拍間隔とは、いわゆるR波のピークと次のR波のピークとの間の時間間隔を意味する。
【符号の説明】
【0125】
100、200 情報処理システム
10 サーバ
20 シート
30 ユーザ
40 通信装置
70 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9