(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162462
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】照明器具および照明制御システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/115 20200101AFI20241114BHJP
H05B 47/175 20200101ALI20241114BHJP
F21S 8/04 20060101ALI20241114BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20241114BHJP
F21V 23/04 20060101ALI20241114BHJP
F21V 23/06 20060101ALI20241114BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20241114BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241114BHJP
【FI】
H05B47/115
H05B47/175
F21S8/04 440
F21V23/00 140
F21V23/04 500
F21V23/06
H04Q9/00 301C
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077988
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】大津 定治
(72)【発明者】
【氏名】平山 達也
【テーマコード(参考)】
3K014
3K273
5K048
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014GA03
3K014HA00
3K273PA06
3K273QA21
3K273QA36
3K273RA02
3K273RA13
3K273SA04
3K273SA11
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3K273SA39
3K273SA46
3K273TA03
3K273TA08
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA27
3K273TA37
3K273TA41
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA62
3K273UA22
5K048BA07
5K048DA02
5K048DB01
5K048EB02
5K048HA01
5K048HA02
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で人の存在を検出して光源の点灯状態を制御できる照明器具および照明制御システムを得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る照明器具は、屋内に設置された光源と、前記光源に電力を供給する電力変換装置と、携帯端末からの電波を受信するアンテナと、を備え、前記アンテナで受信した前記電波の強度に基づき前記光源の点灯状態が制御される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内に設置された光源と、
前記光源に電力を供給する電力変換装置と、
携帯端末からの電波を受信するアンテナと、
を備え、
前記アンテナで受信した前記電波の強度に基づき前記光源の点灯状態が制御されることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記アンテナとは別個に設けられた通信部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記通信部が前記光源の点灯状態を指示する制御信号を受信した場合は、前記制御信号に基づき前記光源の点灯状態が制御され、
前記通信部が前記制御信号を受信しない場合に、前記アンテナで受信した前記電波の強度に基づき前記光源の点灯状態が制御されることを特徴とする請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記電波の強度の情報が前記通信部から外部に送信されることを特徴とする請求項2または3に記載の照明器具。
【請求項5】
前記電波の強度が予め定められた第1閾値よりも大きいときに、前記光源は点灯することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の照明器具。
【請求項6】
前記電波の強度が前記第1閾値より大きくなった後に、前記第1閾値よりも小さい第2閾値よりも小さくなると、前記光源は消灯することを特徴とする請求項5に記載の照明器具。
【請求項7】
前記アンテナを有する調光制御装置を備え、
前記調光制御装置と前記電力変換装置はコネクタを介して分離可能に設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の照明器具。
【請求項8】
前記調光制御装置は前記電波の強度の情報を前記電力変換装置に送信することを特徴とする請求項7に記載の照明器具。
【請求項9】
前記コネクタにより前記調光制御装置と前記電力変換装置が分離されると、前記光源は点灯状態となることを特徴とする請求項7に記載の照明器具。
【請求項10】
請求項2または3に記載の複数の照明器具と、
前記複数の照明器具の前記通信部と通信して前記複数の照明器具を制御する照明制御端末と、
を備えることを特徴とする照明制御システム。
【請求項11】
前記複数の照明器具は、前記電波の強度の情報を前記通信部から前記照明制御端末に送信し、
前記照明制御端末は、受信した前記電波の強度の情報のうち最も大きい強度を送信した照明器具から予め定められた範囲に配置された照明器具を点灯させることを特徴とする請求項10に記載の照明制御システム。
【請求項12】
前記複数の照明器具は、前記電波の強度の情報を前記通信部から前記照明制御端末に送信し、
前記複数の照明器具を点灯させるための前記電波の強度の第1閾値、または前記複数の照明器具を消灯させるための前記電波の強度の第2閾値は、前記照明制御端末で受信した前記電波の強度の情報に基づき設定されることを特徴とする請求項10に記載の照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具および照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、夜間等の防犯効果を維持しながら、点灯条件が成立した場合にのみ街灯を点灯することで、街灯における電力消費を低減し、省エネルギ効果などを図った照明灯点灯制御システムが開示されている。このシステムでは、街灯点灯制御装置を街灯に設置する。街灯点灯制御装置は、受信アンテナ、受信機および発信源距離算出装置を備える。受信アンテナは、電波を発信可能な携帯情報端末機器を所持した人物が街灯付近を通過する際に、携帯情報端末機器から電波を発信した場合、携帯情報端末機器から発信される電波を受信する。発信源距離算出装置は、受信した電波に基づき携帯情報端末機器からの距離を算出し、算出した距離が設定値以下の場合に街灯部を点灯させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の照明制御システムは屋外の街灯に適用される。このため、街灯を点灯するかどうかの判断は、街灯付近に人物が存在するかどうかに加えて、点灯する時間帯かどうか、悪天候等で照度が不足していないかという条件に基づき行っている。このため、システムが複雑化する可能性があった。
【0005】
本開示は、簡易な構成で人の存在を検出して光源の点灯状態を制御できる照明器具および照明制御システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る照明器具は、屋内に設置された光源と、前記光源に電力を供給する電力変換装置と、携帯端末からの電波を受信するアンテナと、を備え、前記アンテナで受信した前記電波の強度に基づき前記光源の点灯状態が制御される。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る照明器具によれば、屋内に設置された光源の点灯状態が、アンテナで受信した携帯端末の電波の強度に基づき制御される。従って、簡易な構成で人の存在を検出して光源の点灯状態を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る照明器具の構成を説明する図である。
【
図2】実施の形態1に係る照明器具の回路ブロック図である。
【
図3】実施の形態1に係るアンテナの配置を説明する図である。
【
図4】実施の形態1に係る電波の強度と閾値の関係を説明する図である。
【
図5】実施の形態1に係る照明制御システムの構成を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る照明器具から照明制御端末へ送信されるデータの例を説明する図である。
【
図7】実施の形態1に係る照明制御端末が保持する照明器具の配置の情報の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の形態に係る照明器具および照明制御システムについて図面を参照して説明する。同じまたは対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明器具10の構成を説明する図である。照明器具10は、電力変換装置1、LEDモジュール27および調光制御装置50を備えている。LEDモジュール27は、例えば屋内に設置された光源である。
【0011】
電力変換装置1は、LEDモジュール27に電力を供給する。電力変換装置1にはコネクタ60を介して交流電源6が接続される。さらに電力変換装置1には、コネクタ62を介してLEDモジュール27が接続されている。電力変換装置1は入力された交流電源6を直流電源に変換し、LEDモジュール27へ直流電力を供給する。これにより、LEDモジュール27が点灯する。
【0012】
電力変換装置1には、コネクタ61を介して調光制御装置50が接続されている。調光制御装置50からの指示により、電力変換装置1がLEDモジュール27へ供給する電力を増やしたり減らしたりすることができる。すなわち、照明器具10の調光が可能である。
【0013】
図2は、実施の形態1に係る照明器具10の回路ブロック図である。LEDモジュール27は複数のLED26で構成されている。
図2では複数のLED26は直列接続されているが、並列接続でも良く、直列接続と並列接続の組み合わせても良い。また、光源の種類はLEDに限定されず、LED以外の有機EL等の光源を使用しても良い。
【0014】
電力変換装置1は、フィルタ回路7と、力率改善回路2と、制御電源回路と、点灯回路3を備え、LEDモジュール27への定電流供給を実現している。フィルタ回路7は交流電源6に接続される。フィルタ回路7は、照明器具10の外部からのノイズおよび電力変換装置内で発生したノイズを吸収するために設けられたノイズフィルタ回路である。
【0015】
力率改善回路2は例えば昇圧チョッパ回路である。力率改善回路2は、例えば整流回路8と、コンデンサ9と、チョークコイルであるインダクタ11と、スイッチング素子12と、ダイオード14と、コンデンサ17とを備えている。スイッチング素子12は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。スイッチング素子12と直列に、電流検出抵抗13が接続されている。また、コンデンサ17と並列に、抵抗15、16が直列接続した分圧回路が接続されている。
【0016】
整流回路8はフィルタ回路7と接続している。コンデンサ9は、整流回路8の出力端子に並列に接続されている。インダクタ11は、一端が整流回路8の高電位側に接続される。スイッチング素子12は、第1端子、第2端子および第1、2端子間をスイッチングするための制御端子を備える。スイッチング素子12がMOSFETである場合、第1端子はドレイン端子、第2端子はソース端子、制御端子はゲート端子である。
【0017】
インダクタ11の他端にスイッチング素子12の第1端子が接続される。ダイオード14のアノードが、スイッチング素子12の第1端子とインダクタ11の他端との接続点に接続される。スイッチング素子12の第2端子は電流検出抵抗13の一端に接続される。電流検出抵抗13の他端は整流回路8の低電位側に接続される。電流検出抵抗13はスイッチング素子12に流れる電流を検出する。
【0018】
コンデンサ17は、ダイオード14のカソードに正極が接続され、整流回路8の低電位側に負極が接続される。コンデンサ17は例えば電解コンデンサである。コンデンサ17の両端電圧は、抵抗15、16を用いて分圧され、制御装置40に入力される。制御装置40は、コンデンサ17の両端電圧が予め定められた電圧となるように、つまり抵抗16の電圧が予め定められた電圧となるように、スイッチング素子12をオンオフする。
【0019】
点灯回路3は例えば降圧チョッパ回路である。点灯回路3は、スイッチング素子21と、ダイオード22と、チョークコイルであるインダクタ23と、コンデンサ24と、電流検出抵抗25を備えている。スイッチング素子21は例えばMOSFETである。スイッチング素子21とダイオード22からなる直列回路が、力率改善回路2のコンデンサ17と並列に接続されている。スイッチング素子21は、第1端子、第2端子および第1、2端子間をスイッチングするための制御端子を備えている。スイッチング素子21の第1端子がコンデンサ17の正極と接続され、第2端子がダイオード22のカソードに接続されている。インダクタ23、コンデンサ24および電流検出抵抗25がこの順に接続して、直列回路を形成しており、この直列回路がダイオード22に並列に接続されている。
【0020】
電流検出抵抗25は、LEDモジュール27に流れるLED電流の検出に用いられる。電流検出抵抗25からの検出電圧は制御装置40に入力される。制御装置40はこの検出電圧に基づいて、LEDモジュール27に流れる電流が予め定められた一定電流になるように、スイッチング素子21をオンオフする。
【0021】
デジタル電源用制御装置として提供されるマイコンは既に各種のものが公知である。このため、公知のマイコンを制御装置40に適宜に使用することができる。一例として制御装置40は、内部バスを介して互いに接続された駆動回路41、42、記憶部43、処理装置45を備えている。図示していないが、制御装置40は、A/D変換回路、通信回路、入出力回路をさらに備えても良い。駆動回路41、42は、スイッチング素子12、21をそれぞれスイッチングするためのPWM(Pulse Width Modulatio)信号を出力する。
【0022】
記憶部43は、例えば不揮発性メモリなどからなり、処理装置45が実行すべき演算プログラムおよび演算に用いられる各種データを記憶している。記憶部43に対して外部から処理装置45を介して、データの書き込みおよび読み出しが行われる。処理装置45は、スイッチング素子12、21のスイッチング制御におけるオン時間などを算出する。制御装置40には、抵抗15、16で分圧された電圧および電流検出抵抗25で検出したLED電流に応じた電圧が入力される。A/D変換回路でこれらの電圧値がデジタル値に変換され、このデジタル値を用いて処理装置45により演算処理が行われる。この演算結果を受けて、処理装置45はスイッチング制御などを行う。
【0023】
制御電源回路はコンデンサ17と並列に接続されている。制御電源回路は例えば降圧チョッパ回路である。制御電源回路は、例えば力率改善回路2の約400Vの出力電圧を約12Vの低電圧へ電力変換する。この低電圧が、電力変換装置1、制御装置40、調光制御装置50および制御装置51に供給されることで、照明器具10は動作が可能となる。制御電源回路から供給される低電圧が各回路に供給する電圧として適切でない場合は、適宜レギュレータなどを用いて、例えば約5V等の制御装置40、51等が使用可能な電圧に変換しても良い。
【0024】
調光制御装置50は、制御装置51、無線通信制御部53、電波検出部55、アンテナ54、56を備える。制御装置51は、例えば通信回路などを備えるマイコンで構成できる。マイコンは既に各種のものが公知であるため、公知のマイコンを制御装置51として適宜に使用することができる。制御装置51は、内部バスを介して互いに接続された記憶部52、図示しない処理装置、A/D変換回路、通信回路、入出力回路等を備えている。制御装置51はデジタル信号による通信が可能である。制御装置51は、電力変換装置1の制御装置40と通信することで、電力変換装置1へ調光指示を行うことができる。
【0025】
電波検出部55は、電波検出のためのアンテナ56と接続され、アンテナ56で受信した電波を検出することができる。アンテナ56は、例えばユーザが携帯する携帯端末等からの電波を受信する。携帯端末は電波を発する機器であれば良く、例えばスマートフォン、タブレット、ウェアラブル端末等である。電波検出部55は、アンテナ56で受信した電波の強度を電圧に変換し、制御装置51へ伝達する。制御装置51は、受信した電圧値に応じて、電波の強度を検出する。
【0026】
無線通信制御部53はアンテナ54を備える。無線通信制御部53は、アンテナ54を介して外部の無線通信機器との間で、無線通信によるデータの受信および送信が可能である。無線通信機器からデータを受信すると、無線通信制御部53は制御装置51へ受信したデータを伝達する。例えば、100%点灯つまり全光指示を受けた場合、制御装置51は、電力変換装置1の制御装置40へ100%点灯指示を伝達する。これを受けた制御装置40は、LEDモジュール27に100%点灯の電流が流れるように、点灯回路3のスイッチング素子21をスイッチング制御する。
【0027】
また、電波検出部55で検出した電波の強度の情報が、無線通信制御部53から外部に送信されても良い。電波の強度の情報を制御装置51が取得すると、制御装置51は、電波の強度の情報を無線通信制御部53からアンテナ54を介して、後述する照明制御端末80へ伝達することができる。
【0028】
無線通信制御部53は、電波検出部55のアンテナ56とは別個に設けられた通信部に該当する。なお、通信部の外部との通信方法は無線通信に限定されず、有線通信であっても良い。
【0029】
アンテナ54、56は、制御装置51が実装されたプリント基板の配線で形成されても良い。配線は例えば銅箔パターンである。アンテナ54、56は、プリント基板とは別部品であっても良い。
【0030】
図3は、実施の形態1に係るアンテナ54、56の配置を説明する図である。ここでは一例として、長尺状の照明器具10の床面と対向する側の中央部にLEDモジュール27が設けられている例について説明する。(a)、(c)は照明器具10の側面図、(b)は照明器具10の平面図を示す。アンテナ54、56は、例えば照明器具10の端部に配置される。一般に照明器具の筐体は金属の板で構成されていることが多く、電波を通しにくい。アンテナ54、56による通信のしやすさを向上させるため、筐体に穴をあけることが好ましい。照明器具10の端部にアンテナ54、56を配置することで、照明器具10の目立たない箇所に穴をあけることが可能となる。
【0031】
なお、
図3において照明器具10の両側にアンテナの表記があるが、これはアンテナ54を照明器具10の一方の側に配置し、アンテナ56を照明器具10の他方の側に配置することを意味していない。
図3におけるアンテナと記載された位置の何れか一方に、アンテナ54、56の両方が配置されると良い。なお、アンテナ54、56の位置は外部との通信が可能であれば限定されない。
【0032】
次に、本実施の形態の照明器具10の動作について説明する。交流電源6が電力変換装置1に入力されると、整流回路8で全波整流された電圧がコンデンサ17に発生する。これにより制御電源回路が低電圧を生成し、電力変換装置1の内部、およびコネクタ61を介してコンデンサ57へ低電圧が供給される。これにより、電力変換装置1内の制御装置40および調光制御装置50内の制御装置51は動作を開始する。
【0033】
電力変換装置1が点灯を開始する前に、制御装置51は電力変換装置1へ所定の時間、消灯指示を伝達する。この消灯指示を伝達している間、制御装置51は、無線通信制御部53からのデータの受信有無を確認する。データ受信ありの場合、制御装置51は、無線通信制御部53から受信した調光率を電力変換装置1へ伝達する。
【0034】
データ受信なしの場合、制御装置51は電波検出部55が検出した電波の強度を読み取る。本実施の形態では、アンテナ56で受信した電波の強度に基づき、LEDモジュール27の点灯状態が制御される。この制御について
図4を用いて説明する。
【0035】
図4は、実施の形態1に係る電波の強度と閾値の関係を説明する図である。制御装置51は、受信した電波の強度が点灯閾値より大きい場合、電力変換装置1に対して、LEDモジュール27を点灯させるように調光率の指示を伝達する。つまり、電波の強度が予め定められた第1閾値である点灯閾値よりも大きいときに、LEDモジュール27は点灯する。なお、電波の強度が点灯閾値以上のときに、LEDモジュール27が点灯しても良い。また、受信した電波の強度が点灯閾値よりも小さい場合、制御装置51は電力変換装置1に対し、LEDモジュール27が消灯するように指示する。
【0036】
ここで、無線通信制御部53からのデータ受信の有無にかかわらず、電力変換装置1に対する点灯または消灯の指示は、消灯指示を送信するための所定の時間の経過後に行う。
【0037】
電力変換装置1に消灯指示を送信するための所定の時間が経過して、点灯または消灯指示を行った後、制御装置51は、予め定められた一定の間隔で電波検出部55が検出した電波の強度を読み取る。読み取った時点で電力変換装置1が点灯状態であれば、制御装置51は電波の強度が消灯閾値よりも小さいか否かを判別する。電波の強度が消灯閾値よりも小さい場合、制御装置51は電力変換装置1へ消灯を指示する。つまり、電波の強度が第1閾値より大きくなった後に、第1閾値よりも小さい第2閾値である消灯閾値よりも小さくなると、LEDモジュール27は消灯する。なお、電波の強度が消灯閾値以下となった場合に、LEDモジュール27が消灯しても良い。また、電波の強度が消灯閾値よりも大きく点灯閾値よりも小さい場合は、制御装置51は点灯を指示する。つまり、点灯状態が継続する。
【0038】
また、制御装置51は、検出した電波の強度を予め定められた間隔で、無線通信制御部53に伝達し、無線通信により外部へ電波の強度を送信する。
【0039】
このように本実施の形態では、無線通信制御部53がLEDモジュール27の点灯状態を指示する制御信号を受信した場合は、制御信号に基づきLEDモジュール27の点灯状態が制御される。これに対し、無線通信制御部53が制御信号を受信しない場合には、アンテナ56で受信した電波の強度に基づきLEDモジュール27の点灯状態が制御される。これにより、無線通信制御部53からデータの受信が無い場合においても、電波を発する携帯端末を所持する人を検出して照明器具10を制御することができる。
【0040】
上述のとおり無線通信制御部53が無線通信により制御信号を受信した場合は、電波の強度による制御よりも制御信号による制御が優先される。つまり、無線通信制御部53が外部と通信が可能な状態の場合、調光制御装置50は電波の強度に基づく消灯または調光点灯指示を電力変換装置1へ伝達しない。
【0041】
また、閾値が1つであると、閾値付近の電波の強度を検出した場合に光源が点灯と消灯を繰り返すおそれがある。本実施の形態では、点灯閾値と消灯閾値の2つの閾値を備えることで、点灯と消灯の繰り返しによる光のちらつきを防止することができる。点灯閾値および消灯閾値は、制御装置51が備えている記憶部52が記憶している。なお、本実施の形態における「点灯」とは調光点灯を含んでいる。つまり、点灯には調光率が100%以下であり0%よりも大きい状態が含まれる。
【0042】
次に、本実施の形態における照明制御システム100の構成について説明する。
図5は、実施の形態1に係る照明制御システム100の構成を示す図である。照明制御システム100は、複数の照明器具10と、複数の照明器具10の無線通信制御部53と通信して複数の照明器具10を制御する照明制御端末80を備える。複数の照明器具10は、アンテナ56で受信した電波の強度の情報を、自身の識別番号とともに無線通信制御部53から照明制御端末80に送信する。
【0043】
図5には、照明制御システム100が建物の部屋に適用された例を示している。部屋には、人が出入りする出入口が設けられ、天井等に複数の照明器具10が設けられている。各照明器具10には、位置に応じてm-nの識別番号が割り振られている。m、nはそれぞれ0、1、2…等の数字である。各照明器具10は、固有の識別番号を記憶部43または記憶部52に保持している。照明制御端末80は、部屋に設置された複数または全ての照明器具10と無線通信にてデータのやり取りが可能である。無線通信には既知のWi-Fi規格等が使用できる。通信規格に合わせて、図示しない親機などの機器を使用することもできる。
【0044】
照明制御端末80は、照明器具10と同一の部屋に配置されても良いし、別の部屋に配置されても良い。照明制御端末80は例えばパソコンである。パソコンは既に各種のものが公知であるため、公知のパソコンを照明制御端末80として適宜使用することができる。照明制御端末80は、図示されていないが、例えば内部バスを介して互いに接続された入力装置、出力装置、記憶装置、中央処理装置、有線/無線通信装置、および外部機器との接続可能な入出力装置を備えている。
【0045】
図6は、実施の形態1に係る照明器具10から照明制御端末80へ送信されるデータの例を説明する図である。
図6は、
図5に示されるように人物が部屋に入ってから照明器具02-01の下まで移動したときに、複数の照明器具10から照明制御端末80へ送信される電波の強度のデータの例を示している。ここでは一例として、電波の強度は検出可能な最大値を10として、0~10までの10段階で表される。
図6において、人がいないときを時間T0、入室時を時間T1、人が移動中であり照明器具01-01付近にいるときを時間T2、人の移動後を時間T3とする。
【0046】
時間T0において、電波を発する携帯端末を所持している人物が部屋に存在しない。よって、全ての照明器具10の検出した電波の強度が0となる。
【0047】
時間T1のとき、電波を発する携帯端末を所持している人物が、部屋の出入口付近に存在している。よって、識別番号00-00の照明器具10が検出する電波の強度が最も大きくなる。照明制御端末80は、例えば識別番号00-00が送信する電波の強度の値が最も大きい場合に、人が入ってきたと判別する。
【0048】
照明制御端末80は入室時の電波の強度を基準として、点灯閾値および消灯閾値を決定する。
図6の例では、例えば点灯閾値を5とし、消灯閾値を3とする。各閾値を設定した照明制御端末80は、各照明器具10の調光制御装置50に対して、閾値の更新を指示する。調光制御装置50は指示された閾値を記憶し、以後の点灯または消灯の制御に使用する。
【0049】
このように、複数の照明器具10を点灯させるための電波の強度の点灯閾値、または複数の照明器具10を消灯させるための電波の強度の消灯閾値は、照明制御端末80で受信した電波の強度の情報の基づき設定される。また、これらの閾値が更新されるのは、出入り口に最も近い識別番号00-00の電波の強度が最も大きい場合のみであっても良い。
【0050】
照明制御端末80は、更新した閾値に基づき、最も大きい強度を送信した照明器具10と、最も大きい強度を送信した照明器具10の周囲に配置された照明器具10へ点灯指示を行う。このとき、最も大きい強度を送信した照明器具10の周囲に配置されている照明器具10が検出している電波の強度が、点灯閾値を超えているか否かに関わらず、照明制御端末80は当該周囲に配置されている照明器具10を点灯させる。
【0051】
当該周囲に配置されている照明器具10は、最も大きい強度を送信した照明器具10に隣接する照明器具10であっても良い。照明制御端末80は、受信した電波の強度の情報のうち最も大きい強度を送信した照明器具10から予め定められた範囲に配置された照明器具10を点灯させても良い。また、照明制御端末80は、点灯閾値を超えた照明器具10から予め定められた範囲に配置された照明器具10を点灯させても良い。
【0052】
図7は、実施の形態1に係る照明制御端末80が保持する照明器具10の配置の情報の例を説明する図である。照明制御端末80は、内部に記憶している照明器具10の配置の情報に基づき、当該周囲に配置されている照明器具10へ点灯の指示を伝達する。時間T1においては、
図7においてグループG1に示される識別番号00-00、00-01、01-00、01―01が点灯する。
【0053】
時間T2のときも同様に、点灯閾値を超えた照明器具10と周囲の照明器具10が点灯する。この場合、
図7においてグループG2に示される識別番号00-00、00-01、00-02、01―00、01-01、01-02、02―00、02-01、02-02が点灯する。
【0054】
時間T3のときも同様の制御により、
図7において網掛けで示された識別番号01―00、01-01、01-02、02―00、02-01、02-02、03―00、03-01、03-02が点灯する。このとき、時間T2で点灯していた識別番号00-00、00-01、00-02は消灯閾値以下となる為、照明制御端末80は消灯指示を伝達する。
【0055】
次に、本実施の形態の効果を説明する。本実施の形態では、屋内に設置されたLEDモジュール27の点灯状態が、アンテナ56で受信した携帯端末の電波の強度に基づき制御される。このとき時間帯、天候等を考慮せずに人の存在に基づき照明器具10を制御すれば良く、簡易な構成で人の存在を検出してLEDモジュール27の点灯状態を制御できる。
【0056】
また、アンテナ56を有する調光制御装置50と電力変換装置1は、コネクタ61を介して分離可能に設けられている。このため、照明器具10の構成を簡略化できる。また、電力変換装置1を標準化でき、電力変換装置1に人の存在に基づく制御機能を容易に付加できる。コネクタ61により調光制御装置50と電力変換装置1が分離されると、電力変換装置1は調光制御装置50が取り外されたことを検出して、LEDモジュール27は全光点灯等の点灯状態となっても良い。
【0057】
また本実施の形態によれば、例えば照明制御端末80の故障などのトラブル発生時に、無線通信制御部53を介して照明器具10を制御できない場合にも、電波の強度に基づく照明器具10の制御が可能である。従って、照明器具10を安定して制御できる。
【0058】
また本実施の形態では、電力変換装置1のスイッチング素子12、21が発生させるスイッチングノイズを、フィルタ回路7で吸収することができる。これにより、アンテナ56へのノイズの重畳を抑制でき、ノイズによる誤検出を抑制できる。また、例えばプリント基板に実装された調光制御装置50は、配線を介してコネクタ61と接続される。この配線の長さを調節することで、例えば
図3に示されるように、アンテナ56を含む調光制御装置50を、電波を受信しやすい箇所に配置することができる。従って、電波を受信しづらいことによる人物の不検出を抑制することができる。
【0059】
照明器具10および照明制御システム100の構成は一例であり、本実施の形態で説明した構成に限定されない。例えば、照明制御システム100が構成されなくても良く、照明器具10が単独で用いられても良い。また、照明器具10は屋内、屋外の何れに設けられても良い。また、無線通信制御部53は設けられなくても良い。つまり、アンテナ56で受信した電波の強度に基づき光源の点灯状態を制御することができれば、照明器具10に無線通信制御部53での通信による制御機能が設けられなくても良い。
【0060】
本実施の形態では、調光制御装置50が電波の強度の情報を外部に送信する例について説明した。この機能に加えて、またはこの機能に代えて、調光制御装置50は電波の強度の情報を電力変換装置1に送信しても良い。調光制御装置50は、電波の強度の情報を電力変換装置1が解読可能な電気信号へ変換して送信する。この情報の送信は例えば予め定められた一定間隔で実施される。
【0061】
各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いても良い。
【0062】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
屋内に設置された光源と、
前記光源に電力を供給する電力変換装置と、
携帯端末からの電波を受信するアンテナと、
を備え、
前記アンテナで受信した前記電波の強度に基づき前記光源の点灯状態が制御されることを特徴とする照明器具。
(付記2)
前記アンテナとは別個に設けられた通信部をさらに備えることを特徴とする付記1に記載の照明器具。
(付記3)
前記通信部が前記光源の点灯状態を指示する制御信号を受信した場合は、前記制御信号に基づき前記光源の点灯状態が制御され、
前記通信部が前記制御信号を受信しない場合に、前記アンテナで受信した前記電波の強度に基づき前記光源の点灯状態が制御されることを特徴とする付記2に記載の照明器具。
(付記4)
前記電波の強度の情報が前記通信部から外部に送信されることを特徴とする付記2または3に記載の照明器具。
(付記5)
前記電波の強度が予め定められた第1閾値よりも大きいときに、前記光源は点灯することを特徴とする付記1から4の何れか1項に記載の照明器具。
(付記6)
前記電波の強度が前記第1閾値より大きくなった後に、前記第1閾値よりも小さい第2閾値よりも小さくなると、前記光源は消灯することを特徴とする付記5に記載の照明器具。
(付記7)
前記アンテナを有する調光制御装置を備え、
前記調光制御装置と前記電力変換装置はコネクタを介して分離可能に設けられていることを特徴とする付記1から6の何れか1項に記載の照明器具。
(付記8)
前記調光制御装置は前記電波の強度の情報を前記電力変換装置に送信することを特徴とする付記7に記載の照明器具。
(付記9)
前記コネクタにより前記調光制御装置と前記電力変換装置が分離されると、前記光源は点灯状態となることを特徴とする付記7または8に記載の照明器具。
(付記10)
付記2から4の何れか1項に記載の複数の照明器具と、
前記複数の照明器具の前記通信部と通信して前記複数の照明器具を制御する照明制御端末と、
を備えることを特徴とする照明制御システム。
(付記11)
前記複数の照明器具は、前記電波の強度の情報を前記通信部から前記照明制御端末に送信し、
前記照明制御端末は、受信した前記電波の強度の情報のうち最も大きい強度を送信した照明器具から予め定められた範囲に配置された照明器具を点灯させることを特徴とする付記10に記載の照明制御システム。
(付記12)
前記複数の照明器具は、前記電波の強度の情報を前記通信部から前記照明制御端末に送信し、
前記複数の照明器具を点灯させるための前記電波の強度の第1閾値、または前記複数の照明器具を消灯させるための前記電波の強度の第2閾値は、前記照明制御端末で受信した前記電波の強度の情報に基づき設定されることを特徴とする付記10または11に記載の照明制御システム。
【符号の説明】
【0063】
1 電力変換装置、2 力率改善回路、3 点灯回路、6 交流電源、7 フィルタ回路、8 整流回路、9 コンデンサ、10 照明器具、11 インダクタ、12 スイッチング素子、13 電流検出抵抗、14 ダイオード、15、16 抵抗、17 コンデンサ、21 スイッチング素子、22 ダイオード、23 インダクタ、24 コンデンサ、25 電流検出抵抗、26 LED、27 LEDモジュール、40 制御装置、41 駆動回路、43 記憶部、45 処理装置、50 調光制御装置、51 制御装置、52 記憶部、53 無線通信制御部、54 アンテナ、55 電波検出部、56 アンテナ、57 コンデンサ、60、61、62 コネクタ、80 照明制御端末、100 照明制御システム