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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162471
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】制御盤の扉
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/38 20060101AFI20241114BHJP
   H02B 1/44 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H02B1/38 B
H02B1/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078005
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(72)【発明者】
【氏名】舛金 秀秋
(72)【発明者】
【氏名】奥村 浩次
(72)【発明者】
【氏名】松島 秀昭
【テーマコード(参考)】
5G016
5G211
【Fターム(参考)】
5G016AA04
5G016CC08
5G016CC13
5G211AA12
5G211BB08
5G211BB10
(57)【要約】
【課題】扉の垂れ下がり乃至扉の垂れ下がりの進行を抑えるとともに、扉を閉じた状態において、扉を正常な姿勢に矯正することが可能な制御盤の扉を提供する。
【解決手段】扉本体21が開き戸式に回動することにより、制御盤本体10の開口部10aを開閉する、制御盤1の扉20である。扉本体21の表側に回動自在に設けられた施解錠レバーと、扉本体21の裏側で、施解錠レバーと連結されるリンク機構33から下方に延び、施解錠レバーの回動に連動して昇降する下側係止ロッド36と、下側係止ロッド36の下端部に固定される第1セットカラー40と、を備えている。第1セットカラー40の下端は、開口部10aを閉じた状態で、施解錠レバーを回動させて下側係止ロッド36が下降した場合に、制御盤本体10の下端部の下側突出部18に上方から当接することで、扉本体21の傾きを矯正するような高さに設定されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉本体が開き戸式に回動することにより、制御盤本体の開口部を開閉する、制御盤の扉であって、
上記扉本体の表側に回動自在に設けられた把手と、
上記扉本体の裏側で、上記把手と連結されるリンク機構から下方に延び、当該把手の回動に連動して昇降する第1棒状部材と、
上記第1棒状部材の下端部に固定される第1セットカラーと、を備え、
上記第1セットカラーの下端は、上記開口部を閉じた状態で、上記把手を回動させることにより上記第1棒状部材が下降した場合に、上記制御盤本体の下端部に設けられた第1被当接部に上方から当接することで、当該扉本体の傾きを矯正するような高さに設定されていることを特徴とする制御盤の扉。
【請求項2】
上記請求項1に記載の制御盤の扉において、
上記扉本体の裏側で、上記リンク機構から上方に延び、当該把手の回動に連動して昇降する第2棒状部材と、
上記第2棒状部材の上端部に固定された第2セットカラーと、を備え、
上記第2セットカラーの上端は、上記開口部を閉じた状態で、上記把手を回動させることにより上記第2棒状部材が上昇した場合に、上記制御盤本体の上端部に設けられた第2被当接部に下方から当接するような高さに設定されていることを特徴とする制御盤の扉。
【請求項3】
上記請求項2に記載の制御盤の扉において、
上記把手は、回動されることで、上記扉本体を施錠または解錠する施解錠レバーであり、
上記第1棒状部材は、上記開口部を閉じた状態で、上記施解錠レバーを施錠側に回動させることにより下降して、上記第1セットカラーよりも下方に延びる先端部が、上記第1被当接部に形成された第1係止孔に挿通されるように構成され、
上記第2棒状部材は、上記開口部を閉じた状態で、上記施解錠レバーを施錠側に回動させることにより上昇して、上記第2セットカラーよりも上方に延びる先端部が、上記第2被当接部に形成された第2係止孔に挿通されるように構成されていることを特徴とする制御盤の扉。
【請求項4】
上記請求項2に記載の制御盤の扉において、
上記扉本体の裏側に設けられ、上記第1および第2棒状部材をそれぞれ上記第1および第2係止孔に誘導するガイド部材を備えていることを特徴とする制御盤の扉。
【請求項5】
上記請求項2に記載の制御盤の扉において、
上記制御盤本体には、その内部に棚板が設けられていることを特徴とする制御盤の扉。
【請求項6】
上記請求項5に記載の制御盤の扉において、
上記棚板は、上記開口部を閉じた状態で上記扉本体と対向する上記制御盤本体における背面と、対向方向である奥行方向に、当該制御盤本体の奥行寸法の10~20%に相当する間隔を空けて配置されているとともに、奥行方向における当該背面側の端部が上方に延びていることを特徴とする制御盤の扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御盤の扉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
制御基板等をその内部に収容する矩形箱状の制御盤本体の開口部を、開き戸式に回動する扉本体で開閉するようにした制御盤が従来から知られている。
【0003】
このような制御盤では、扉本体の表側面に制御モニターや液晶パネル等を取り付ける一方、扉本体の裏側面に制御基板等を設置することが多いことから、かかる扉本体を主要部とする扉が重くなってしまう傾向にある。このため、この種の制御盤では、扉自体が重いことと、扉本体を開き戸式に回動させるヒンジ等の経年劣化と、が相俟って、扉が垂れ下がってしまう(ヒンジと反対側が下方に下がるように扉が傾いてしまう)という問題がある。
【0004】
例えば特許文献1には、配電盤の扉が反蝶番(ヒンジ)側に垂れていても、扉を軽く押すだけで扉が完全に閉じるようにするために、扉の反蝶番側に箱体に向けて水平軸の周りに回動自在なローラを取付け、扉を閉じた状態でローラを下方から水平に支持する支持板を箱体に取付け、支持体に扉に向けて下方に開くガイド板を延設した、配電盤の扉案内装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6-98426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1のものは、開閉に支障が生じる程度に垂れ下がってしまった扉に適用されるものであるが、言うまでもなく、扉の垂れ下がり自体を抑える(予防する)ことができるのであれば、それに越したことはない。
【0007】
また、開閉に支障がない程度ではあるが、既に扉が垂れ下がり始めている場合には、垂れ下がりの進行を抑えることが望ましい。
【0008】
さらに、制御盤では、扉本体の裏側面に矩形枠状のゴムパッキン等を設ける一方、制御盤本体の開口部周りに矩形枠状の突出部を設け、扉本体で制御盤本体の開口部を閉じた際に、突出部がゴムパッキンに当接することで、制御盤の気密性を保っていることが多い。このため、開閉に支障がない程度とはいえ、扉が垂れ下がっていると、突出部とゴムパッキンとにズレが生じ、制御盤の気密性が低下するおそれがある。それ故、扉を閉じた状態において、垂れ下がっていない正常な姿勢に扉を矯正することも求められる。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、扉の垂れ下がり乃至扉の垂れ下がりの進行を抑えるとともに、扉を閉じた状態において、扉を正常な姿勢に矯正することが可能な制御盤の扉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明に係る制御盤の扉では、扉の裏側に設けられた、昇降する棒状部材の下端部に固定されたセットカラーを、扉を閉じた状態で、制御盤本体の下端部に設けられた被当接部に上方から当接させるようにしている。
【0011】
具体的には、本発明は、扉本体が開き戸式に回動することにより、制御盤本体の開口部を開閉する、制御盤の扉を対象としている。
【0012】
そして、この制御盤の扉は、上記扉本体の表側に回動自在に設けられた把手と、上記扉本体の裏側で、上記把手と連結されるリンク機構から下方に延び、当該把手の回動に連動して昇降する第1棒状部材と、上記第1棒状部材の下端部に固定される第1セットカラーと、を備え、上記第1セットカラーの下端は、上記開口部を閉じた状態で、上記把手を回動させることにより上記第1棒状部材が下降した場合に、上記制御盤本体の下端部に設けられた第1被当接部に上方から当接することで、当該扉本体の傾きを矯正するような高さに設定されていることを特徴とするものである。
【0013】
この構成によれば、扉本体によって制御盤本体の開口部を閉じた状態で、扉本体の表側に設けられた把手を回動させて第1棒状部材を下降させれば、第1棒状部材の下端部に固定された第1セットカラーが、制御盤本体の下端部に設けられた第1被当接部に上方から当接することから、扉本体が垂れ下がるのを第1セットカラーで抑える(予防する)ことができる。
【0014】
ここで、制御盤の扉は、開かれている時間よりも、閉じられている時間の方が圧倒的に長いところ、扉を閉じた状態で、第1セットカラーを制御盤本体の下端部に設けられた第1被当接部に当たった状態とすることで、扉の垂れ下がり自体を抑えることができるとともに、仮に扉が垂れ下がり始めていても、扉の垂れ下がりの進行を確実に抑えることができる。
【0015】
また、扉が既に垂れ下がっていても、第1棒状部材の下端部における第1セットカラーの下端の位置が、第1セットカラーが制御盤本体の下端部に設けられた第1被当接部に当接することによって、扉本体の傾きを矯正する(扉本体を押し上げる)ような高さに設定されていることから、扉を正常な姿勢に矯正することができる。これにより、扉の垂れ下がりの進行を抑えるのみならず、制御盤の気密性の低下を抑えるとともに、制御盤の外観(見た目)の向上を図ることが可能となる。
【0016】
また、上記制御盤の扉では、上記扉本体の裏側で、上記リンク機構から上方に延び、当該把手の回動に連動して昇降する第2棒状部材と、上記第2棒状部材の上端部に固定された第2セットカラーと、を備え、上記第2セットカラーの上端は、上記開口部を閉じた状態で、上記把手を回動させることにより上記第2棒状部材が上昇した場合に、上記制御盤本体の上端部に設けられた第2被当接部に下方から当接するような高さに設定されていてもよい。
【0017】
この構成によれば、扉本体によって制御盤本体の開口部を閉じた状態で、扉本体の表側に設けられた把手を回動させて第2棒状部材を上昇させれば、第2棒状部材の上端部に固定された第2セットカラーが、制御盤本体の上端部に設けられた第2被当接部に下方から当接することから、扉本体が上方に変位するのを抑えることができる。
【0018】
これにより、第1被当接部に上方から当接する第1セットカラーが固定された第1棒状部材と、第2被当接部に下方から当接する第2セットカラーが固定された第2棒状部材と、が恰も突っ張り棒のような役目を果たすことから、制御盤本体に対する扉本体の変位を抑えたり、制御盤本体の剛性を高めたりすることができる。したがって、制御盤の輸送時の振動や、地震による振動を受けた場合にも、扉が傾いたり、制御盤が変形したりするのを抑えることができる。
【0019】
さらに、上記制御盤の扉では、上記把手は、回動されることで、上記扉本体を施錠または解錠する施解錠レバーであり、上記第1棒状部材は、上記開口部を閉じた状態で、上記施解錠レバーを施錠側に回動させることにより下降して、上記第1セットカラーよりも下方に延びる先端部が、上記第1被当接部に形成された第1係止孔に挿通されるように構成され、上記第2棒状部材は、上記開口部を閉じた状態で、上記施解錠レバーを施錠側に回動させることにより上昇して、上記第2セットカラーよりも上方に延びる先端部が、上記第2被当接部に形成された第2係止孔に挿通されるように構成されていてもよい。
【0020】
この構成によれば、制御盤に通常備えられているロック機構を利用することで、換言すると、施解錠レバーを把手として兼用し、且つ、係止棒を第1および第2棒状部材として兼用することで、簡単な構成で、扉の垂れ下がり等を抑制したり、地震等の振動による扉の傾きを抑制したりすることができる。
【0021】
また、上記制御盤の扉では、上記扉本体の裏側に設けられ、上記第1および第2棒状部材をそれぞれ上記第1および第2係止孔に誘導するガイド部材を備えていてもよい。
【0022】
この構成によれば、第1および第2棒状部材をそれぞれ第1および第2係止孔に誘導する、換言すると、第1および第2棒状部材を略真っすぐに昇降させるガイド部材を備えていることから、第1および第2セットカラーが第1および第2被当接部に当接した場合に、これら第1および第2棒状部材にしっかりと軸力を伝えることができる。これにより、第1および第2棒状部材に突っ張り棒としての役目を果たさせることが可能となるので、扉の垂れ下がり等や地震等の振動による扉の傾きをより確実に抑制することができる。
【0023】
さらに、上記制御盤の扉では、上記制御盤本体には、その内部に棚板が設けられていてもよい。
【0024】
この構成によれば、制御盤本体の内部に棚板を設けることで、制御盤本体の剛性を高めることができ、これにより、扉の重量や地震等の振動により、制御盤本体が変形するのを抑えることができる。
【0025】
また、上記制御盤の扉では、上記棚板は、上記開口部を閉じた状態で上記扉本体と対向する上記制御盤本体における背面と、対向方向である奥行方向に、当該制御盤本体の奥行寸法の10~20%に相当する間隔を空けて配置されているとともに、奥行方向における当該背面側の端部が上方に延びていてもよい。
【0026】
この構成によれば、背面と間隔を空けて棚板を配置することで、背面と棚板との間の空間にケーブルを通すことができるので、制御盤内に配線を行う際に、ケーブルを垂直に配置することが可能となり、これにより、配線作業を簡易化することができる。また、背面と棚板との間の空間にケーブルを通すことで、例えば棚板に形成した孔にケーブルを通す場合と異なり、ケーブルをまとめる必要がなくなることから、基板を制御盤内の上部にまで設置することができ、これにより、スペースを有効利用することができる。しかも、棚板における背面側の端部を上方に延ばすことで、棚板上に配置される配線が制御盤内に落ちるのを抑えることができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明に係る制御盤の扉によれば、扉の垂れ下がり乃至扉の垂れ下がりの進行を抑えるとともに、扉を閉じた状態において、扉を正常な姿勢に矯正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係る制御盤を模式的に示す斜視図である。
図2】制御盤の扉を開いた状態を模式的に示す斜視図である。
図3】制御盤を模式的に示す正面図である。
図4】扉を開閉する際のロック機構の動作を模式的に説明する斜視図である。
図5】ロック機構を模式的に説明する図である。
図6】制御盤の下端部におけるロック機構の構成を模式的に説明する図である。
図7】セットカラーを模式的に示す図であり、同図(a)は側面図であり、同図(b)は同図(a)のb-b線の矢視断面図である。
図8】セットカラーによる作用を模式的に説明する図である。
図9】棚板による作用を模式的に説明する図である。
図10】棚板を設けたことによる利点を模式的に説明する図である。
図11】リンク機構を模式的に説明する図であり、同図(a)および(b)は変形例に係るリンク機構をそれぞれ示し、また、同図(c)および(d)は実施形態に係るリンク機構をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
(制御盤の全体構成)
図1は、本実施形態に係る制御盤1を模式的に示す斜視図であり、図2は、制御盤1の扉20を開いた状態を模式的に示す斜視図である。なお、図1中における、矢印Fは奥行方向前面側を、矢印Bは奥行方向背面側を、矢印Rは幅方向右側を、矢印Lは幅方向左側を、矢印Uは高さ方向上側を、また、矢印Dは高さ方向下側をそれぞれ示している。
【0031】
この制御盤1は、図1および図2に示すように、ベース8上に固定されていて、矩形箱状の制御盤本体10と、扉20と、を備えている。なお、図2では、図を見易くするために、制御盤本体10内に収容される機器類を図示省略している。
【0032】
(制御盤本体)
制御盤本体10は、図1および図2に示すように、底壁部11と、右側側壁部12と、左側側壁部13と、背面壁部14と、頂壁部15と、棚板16と、を備えていて、奥行方向前面側に開放する開口部10aを有する矩形箱状に形成されている。
【0033】
底壁部11は、幅方向に延びる長方形状に形成されている。右側および左側側壁部12,13は、底壁部11における幅方向右側および左側の端部からそれぞれ上方に延びる長方形状に形成されている。背面壁部14は、底壁部11における奥行方向背面側の端部から上方に延びる長方形状に形成されている。頂壁部15は、幅方向に延びる長方形状に形成されていて、その幅方向右側および左側の端部、並びに、奥行方向背面側の端部が、右側および左側側壁部12,13並びに背面壁部14の上端部とそれぞれ接続されていて、底壁部11と高さ方向に対向している。
【0034】
棚板16は、幅方向に延びる長方形状に形成されていて、制御盤本体10の上部において、右側側壁部12と左側側壁部13とに掛け渡されるように、幅方向の両端部で右側および左側側壁部12,13に取り付けられている。棚板16は、背面壁部14と、奥行方向に間隔C(図10参照)を空けて配置されている。
【0035】
底壁部11、右側側壁部12、左側側壁部13および頂壁部15には、これらの奥行方向前側の端部から、さらに前側にそれぞれ突出する、矩形枠状の突出部17が形成されている。開口部10aは、この矩形枠状の突出部17によって、上下左右が区画されている。矩形枠状の突出部17のうち、制御盤本体10の下端部に位置する下側突出部18には、図2に示すように、上下(高さ)方向に貫通する第1係止孔18aが形成されている一方、制御盤本体10の上端部に位置する上側突出部19には、上下方向に貫通する第2係止孔19aが形成されている。
【0036】
(扉)
一方、扉20は、図2に示すように、右側側壁部12の奥行方向前面側の端部に、ヒンジ3を介して、回動自在に取り付けられた扉本体21を備えていて、かかる扉本体21が開き戸式に回動することにより、制御盤本体10の開口部10aを開閉するように構成されている。扉本体21の裏側面には、矩形枠状のゴムパッキン23が取り付けられている。このように、ゴムパッキン23を設けることで、扉本体21で制御盤本体10の開口部10aを閉じた際に、矩形枠状の突出部17が矩形枠状のゴムパッキン23に当接することによって、制御盤1の気密性が保たれるようになっている。また、扉本体21には、図1に示すように、その表側面21aに液晶パネル5が取り付けられているとともに、図2に示すように、その裏側面21bに液晶パネル5の配線部6や制御基板7が取り付けられており、このため、かかる扉本体21を主要部とする扉20が重くなっている。
【0037】
図3は、制御盤1を模式的に示す正面図である。なお、図3では、説明の都合上、扉本体21の一部を透視図としている。扉20は、上述の扉本体21の他、扉本体21を施錠するためのロック機構30と、第1セットカラー40と、第2セットカラー50と、を備えている。
【0038】
(ロック機構)
図4は、扉20を開閉する際のロック機構30の動作を模式的に説明する斜視図である。ロック機構30は、図4の白抜き矢印で示すように、扉20を開閉する際に、図4の太線矢印で示すように、下側係止ロッド36を昇降させて、図4の破線矢印で示すように、下側係止ロッド36を下側突出部18の第1係止孔18aに対し出し入れすることで、扉本体21を制御盤本体10に対し施錠または解錠するものである。ロック機構30は、図3に示すように、取付け部31と、施解錠レバー32と、リンク機構33と、下側係止ロッド36と、上側係止ロッド37と、下側ガイド部材38と、上側ガイド部材39と、を備えている。
【0039】
図5は、ロック機構30を模式的に説明する図である。なお、図5(a)および(c)は、扉本体21の表側を示す一方、図5(b)および(d)は、扉本体21の裏側を示している。取付け部31は、矩形枠状に形成されていて、扉本体21に開けられた矩形穴(図示せず)に嵌められることで、扉本体21に固定されている。施解錠レバー32は、図5(c)の白抜き矢印で示すように、取付け部31に回動自在に取り付けられていて、作業者(図示せず)の手で回動されることで、扉本体21を施錠または解錠するようになっている。なお、請求項との関係では、本実施形態の施解錠レバー32が、本発明で言うところの「扉本体の表側に回動自在に設けられた把手」に相当する。
【0040】
より詳しくは、施解錠レバー32は、通常時(施錠時)は、図5(a)に示すように、取付け部31の枠体31a内に収まっている。そうして、扉本体21を解錠する際に、下方に行くほど奥行方向前面側に傾斜するように、施解錠レバー32の下端部を手前(奥行方向前面側)に引き出して、図5(c)に示すように、施解錠レバー32を反時計回り(解錠側)に回動させて、下方に行くほど幅方向右側に傾斜させた姿勢(解錠姿勢)とすることで、扉本体21を解錠するようになっている。これとは逆に、扉本体21を施錠する際には、図5(c)に示す状態から、施解錠レバー32を時計回り(施錠側)に回動させて、奥行方向前面側から見て、上下に延びる姿勢(施錠姿勢)にすれば、扉本体21が施錠され、取付け部31の枠体31a内に施解錠レバー32を押し込むことで、扉本体21が施錠された状態が維持されるようになっている。
【0041】
リンク機構33は、扉本体21の裏側に設けられていて、扉本体21の表側に設けられた施解錠レバー32と、扉本体21を挟んで連結されている。リンク機構33は、長方形板状に形成されていて、図5(a)に示すように、施解錠レバー32が施錠姿勢を採っている場合には、図5(b)に示すように、その長手方向が幅方向と一致する姿勢を採る。一方、リンク機構33は、図5(c)に示すように、施解錠レバー32が反時計回りに回動されて解錠姿勢を採っている場合には、図5(b)に示す状態から、回動軸33aを中心として時計回り(奥行方向前面側から見れば反時計回り)に回動し、図5(d)に示すように、その長手方向が高さ方向と一致する姿勢を採るようになっている。
【0042】
下側係止ロッド36は、扉本体21の裏側で、図5(b)および(d)に示すように、リンク機構33に対し、下側ヒンジアーム34を介して、回動軸33bを中心として回動自在に連結されている。下側係止ロッド36は、図3に示すように、回動軸33b(より正確には下側ヒンジアーム34の下端)から下側突出部18へ達するように、真っすぐに下方に延びている。
【0043】
一方、上側係止ロッド37は、扉本体21の裏側で、図5(b)および(d)に示すように、リンク機構33に対し、上側ヒンジアーム35を介して、回動軸33cを中心として回動自在に連結されている。回動軸33cは、リンク機構33における、回動軸33bと長手方向でずれた位置に、より正確には、回動軸33aを中心として回動軸33bと点対称の位置に設定されている。上側係止ロッド37は、図3に示すように、回動軸33c(より正確には上側ヒンジアーム35の上端)から上側突出部19へ達するように、真っすぐに上方に延びている。
【0044】
このように、回動軸33cが、回動軸33aを中心として回動軸33bと点対称の位置に設定されることで、図5(b)に示す施錠状態とすれば、下側係止ロッド36が、図5(d)に示す解錠状態よりも、距離Hだけ下降するとともに、上側係止ロッド37が同じ距離Hだけ上昇するようになっている。
【0045】
これにより、請求項との関係では、本実施形態の下側係止ロッド36が、本発明で言うところの「扉本体の裏側で、把手と連結されるリンク機構から下方に延び、把手の回動に連動して昇降する第1棒状部材」に相当し、本実施形態の上側係止ロッド37が、本発明で言うところの「扉本体の裏側で、リンク機構から上方に延び、把手の回動に連動して昇降する第2棒状部材」に相当する。
【0046】
図6は、制御盤1の下端部におけるロック機構30の構成を模式的に説明する図である。図6(a)は、図5(c)および(d)に対応する状態、すなわち解錠状態を示す一方、図6(b)は、図5(a)および(b)に対応する状態、すなわち施錠状態を示している。扉本体21で開口部10aが閉じられた状態において、施解錠レバー32が図5(c)に示す解錠姿勢を採っていることにより、図6(a)に示すように、下側係止ロッド36の先端が下側突出部18の座面18bよりも上方に位置している状態から、施解錠レバー32を時計回りに回動させて図5(a)に示す解錠姿勢を採らせれば、図6(b)に示すように、下側係止ロッド36の先端が距離Hだけ下降する。これにより、下側係止ロッド36の先端部が、下側突出部18に形成された第1係止孔18aに挿通されるとともに、下側突出部18に連続する底壁部11の竪壁部11aに接触することになる。それ故、扉本体21を開けようとしても、下側係止ロッド36の先端部が底壁部11の竪壁部11aに当接して、扉本体21の奥行方向前面側への移動が規制されることから、扉本体21が施錠(ロック)されることになる。
【0047】
このように、扉本体21は、下側係止ロッド36の先端部が第1係止孔18aを区画する周縁部に当接することで、奥行方向前面側への移動が規制されるのではなく、下側係止ロッド36の先端部が底壁部11の竪壁部11aに当接することで、奥行方向前面側への移動が規制されるようになっている。したがって、下側係止ロッド36の先端部を下側突出部18の座面18bよりも下方に通過させるのであれば、孔(第1係止孔18a)に限定されることなく、例えばスリットを下側突出部18の座面18bに形成するようにしてもよい。
【0048】
下側ガイド部材38は、図4および図6に示すように、扉本体21の下端部において、扉本体21の裏側面21bに、ボルト38eを介して取り付けられたアングル材38aに対し、矩形状のプレート38bをボルト38dにて連結することで、断面L字状に形成されている。下側ガイド部材38には、プレート38bにおける奥行方向背面側の端部に上下(高さ)方向に貫通する案内孔38cが形成されており、かかる案内孔38cに下側係止ロッド36が挿通されている。このように、扉本体21の下端部に下側ガイド部材38を設けることによって、長尺の下側係止ロッド36が傾くことなく、第1係止孔18aに誘導されるようになっている。
【0049】
なお、制御盤1の上半分でも、以上に説明した制御盤1の下半分と全く同様に、扉本体21で開口部10aが閉じられた状態において、上側ガイド部材39で誘導されながら上昇する上側係止ロッド37の先端部が、上側突出部19に形成された第2係止孔19aに挿通されて、扉本体21が施錠(ロック)されるようになっている。それ故、重複を避けるべく、詳細な説明および詳細な図示を省略する。
【0050】
(セットカラー)
上述の如く、扉本体21には、液晶パネル5や制御基板7が取り付けられており、かかる扉本体21を主要部とする扉20が重くなってしまうため、制御盤1では、扉20自体が重いことと、扉本体21を開き戸式に回動させるヒンジ3の経年劣化と、が相俟って、扉20が垂れ下がってしまうケースがある。また、現地に搬入するための制御盤1の輸送時の振動や、地震による振動を受けた場合にも、扉20が傾いたり、制御盤1自体が変形したりするケースも想定される。
【0051】
そこで、本実施形態に係る制御盤1の扉20では、下側係止ロッド36の下端部に固定された第1セットカラー40、および、上側係止ロッド37の上端部に固定された第2セットカラー50を、扉20を閉じた状態で、制御盤本体10の下側および上側突出部18,19に当接させるようにしている。
【0052】
図7は、第1および第2セットカラー40,50を模式的に示す図であり、同図(a)は側面図であり、同図(b)は同図(a)のb-b線の矢視断面図である。第1および第2セットカラー40,50は、図7(b)に示すように、断面円形の中心孔42,52を有する略円環状の本体部41,51を備えている。本体部41,51には、その周方向の一部が切り欠かれることで、径方向に延びるスリット43,53が形成されている。また、本体部41,51には、スリット43,53と直交するように、接線方向に延びるボルト孔44,54が形成されていて、このボルト孔44,54に位置調整ネジ45,55が螺合挿入されている。
【0053】
このように構成された第1および第2セットカラー40,50では、下側および上側係止ロッド36,37を中心孔42,52に挿通し、位置調整ネジ45,55を締めることで、スリット43,53が閉じて、下側および上側係止ロッド36,37が本体部41,51によって締め付けられるようになっている。これにより、第1および第2セットカラー40,50を、下側および上側係止ロッド36,37における任意の高さで、しっかりと固定することが可能となっている。
【0054】
図3に示すように、第1セットカラー40は、下側係止ロッド36の下端部に固定されている一方、第2セットカラー50は、上側係止ロッド37の上端部に固定されている。より詳しくは、第1セットカラー40の下端40aは、扉本体21で開口部10aを閉じた状態で、施解錠レバー32を回動させることにより下側係止ロッド36が下降した場合に、下側突出部18の座面18bに上方から当接することで、扉本体21の傾きを矯正するような高さに設定されている。
【0055】
具体的には、第1セットカラー40の下端40aの高さは、回動軸33aから下端40aまでの実寸法が、回動軸33aから下側突出部18の座面18bまでの設計寸法と同じになるように設定されており、これにより、開口部10aを閉じた状態で、施解錠レバー32が施錠姿勢を採った際に、図3および図6(b)に示すように、第1セットカラー40の下端40aが下側突出部18の座面18bに当接することになる。
【0056】
同様に、第2セットカラー50の上端50aは、扉本体21で開口部10aを閉じた状態で、施解錠レバー32を回動させることにより上側係止ロッド37が上昇した場合に、上側突出部19の座面(図示せず)に下方から当接するような高さに設定されている。具体的には、第2セットカラー50の上端50aの高さは、回動軸33aから上端50aまでの実寸法が、回動軸33aから上側突出部19の座面までの設計寸法と同じになるように設定されており、これにより、開口部10aを閉じた状態で、施解錠レバー32が施錠姿勢を採った際に、図3に示すように、第2セットカラー50の上端50aが上側突出部19の座面に当接することになる。
【0057】
図8は、セットカラー40,50による作用を模式的に説明する図である。なお、図8では、図を見易くするために、各構成の寸法等を誇張して示している。
【0058】
本実施形態に係る制御盤1の扉20によれば、図8(a)の黒塗り矢印で示すように、扉20の自重が作用しても、下側係止ロッド36の下端部に固定された第1セットカラー40が、下側突出部18に上方から当接することから、図8(a)の白抜き矢印で示す反力にて、扉20が垂れ下がるのを抑える(予防する)ことができる。
【0059】
ここで、制御盤1の扉20は、開かれている時間よりも、閉じられている時間の方が圧倒的に長いところ、扉20を閉じた状態で、第1セットカラー40を下側突出部18に当たった状態とすることで、扉20の垂れ下がり自体を抑えることができるとともに、仮に扉20が垂れ下がり始めていても、扉20の垂れ下がりの進行を確実に抑えることができる。
【0060】
また、図8(b)に示すように、扉20が既に垂れ下がっていても、下側係止ロッド36における第1セットカラー40の下端40aの位置が、第1セットカラー40が下側突出部18に当接することによって、扉20の傾きを矯正する(扉20を押し上げる)ような高さに設定されていることから、図8(c)に示すように、扉20を正常な姿勢に矯正することができる。これにより、扉20の垂れ下がりの進行を抑えるのみならず、制御盤1の気密性の低下を抑えるとともに、制御盤1の外観(見た目)の向上を図ることが可能となる。
【0061】
さらに、本実施形態に係る制御盤1の扉20によれば、下側突出部18に上方から当接する第1セットカラー40が固定された下側係止ロッド36と、上側突出部19に下方から当接する第2セットカラー50が固定された上側係止ロッド37とが、図8(d)の白抜き矢印で示すように、恰も突っ張り棒のような役目を果たすことから、図8(d)の黒塗り矢印で示すように、制御盤1の輸送時の振動や、地震による振動を受けた場合にも、扉20が傾いたり、制御盤1が変形したりするのを抑えることができる。
【0062】
加えて、本実施形態に係る制御盤1の扉20によれば、制御盤1に通常備えられているロック機構30を兼用することで、簡単な構成で、扉20の垂れ下がり等を抑制したり、地震等の振動による扉20の傾きを抑制したりすることができる。
【0063】
また、下側および上側係止ロッド36,37をそれぞれ第1および第2係止孔18a,19aに誘導する、換言すると、下側および上側係止ロッド36,37を略真っすぐに昇降させる下側および上側ガイド部材38,39を備えていることから、第1および第2セットカラー40,50が下側および上側突出部18,19に当接した場合に、これら下側および上側係止ロッド36,37にしっかりと軸力を伝えることができる。これにより、下側および上側係止ロッド36,37に突っ張り棒としての役目を果たさせることが可能となるので、扉20の垂れ下がり等や地震等の振動による扉の傾きをより確実に抑制することができる。
【0064】
(棚板)
図9は、棚板16による作用を模式的に説明する図である。本実施形態では、上述の如く、制御盤本体10の内部に棚板16を設けることで、制御盤本体10の剛性を高めることができる。これにより、図9(a)に示す本実施形態の制御盤本体10では、図9(b)に示す棚板16を設けていない制御盤本体110に比して、扉20の重量や地震等の振動により、制御盤本体10がねじり変形等するのを抑えることができる。
【0065】
図10は、棚板16を設けたことによる利点を模式的に説明する図である。なお、図10(a)は本実施形態の制御盤本体10の平面図を、図10(b)は本実施形態の制御盤本体10の正面図を、図10(c)は本実施形態の制御盤本体10の断面図をそれぞれ示し、また、図10(d)は従来の制御盤本体110の平面図を、図10(e)は従来の制御盤本体110の正面図を、図10(f)は従来の制御盤本体110の断面図をそれぞれ示している。
【0066】
従来の制御盤本体110では、図10(d)~(f)に示すように、制御盤本体110の上に設けられた天箱170等に配線穴170aを設け、背面壁部114に取り付けられた中板161に設けられた電装部品160のケーブル162を、この配線穴170aに束ねて(まとめて)通していた。このため、ケーブル162をまとめるためのスペースが必要となることから、電装部品160の位置を低くせざるを得ないため、基板を制御盤1内の上部にまで設置することができず、スペースを有効利用することができていなかった。
【0067】
そこで、本実施形態では、図10(a)および(c)に示すように、棚板16を、背面壁部14と奥行方向に、制御盤本体10の奥行寸法の10~20%に相当する間隔Cを空けて配置するとともに、奥行方向背面側の端部16aを上方に延ばして、棚板16を断面L字状に形成している。
【0068】
このように背面壁部14と間隔Cを空けて棚板16を配置することで、背面壁部14に取り付けられた中板61に設けられた電装部品60のケーブル62を、背面壁部14と棚板16との間の空間に通すことができるので、制御盤1内に配線を行う際に、図10(b)および(c)に示すように、ケーブル62を垂直に配置することが可能となり、これにより、配線作業を簡易化することができる。また、背面壁部14と棚板16との間の空間にケーブル62を通すことで、従来と異なり、ケーブル62をまとめる必要がなくなることから、従来との差(h2-h1)の分だけ基板を制御盤1内の上部にまで設置することができ、これにより、スペースを有効利用することができる。しかも、棚板16における背面側の端部16aを上方に延ばすことで、棚板16上に配置される配線が制御盤1内に落ちるのを抑えることができる。加えて、棚板16の奥行長さを、制御盤本体10の奥行寸法の10~20%に相当する分しか短くしないので、棚板16の剛性の低下を抑えることができる。
【0069】
(変形例)
本変形例は、リンク機構の形状が、上記実施形態と異なるものである。以下、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0070】
図11は、リンク機構33,83を模式的に説明する図であり、同図(a)および(b)は変形例に係るリンク機構83をそれぞれ示し、また、同図(c)および(d)は上記実施形態に係るリンク機構33をそれぞれ示している。本変形例のリンク機構83も、リンク機構33と同様に、扉本体21の裏側に設けられていて、扉本体21の表側に設けられた施解錠レバー32と、扉本体21を挟んで連結されている。リンク機構83は、図11(a)に示すように、長方形板状の本体部84と、本体部84と同一平面で、且つ、本体部84が延びる方向と直交する方向でそれぞれ反対向きに延びる一対のアーム部85,86と、を有していて、十字形板状に形成されている。
【0071】
リンク機構83は、施解錠レバー32が施錠姿勢を採っている場合には、図11(a)に示すように、本体部84の長手方向が幅方向と一致する姿勢を採る。一方、リンク機構83は、施解錠レバー32が施錠姿勢から反時計回りに回動されて解錠姿勢を採る場合には、図11(b)の実線で示す状態から、回動軸33aを中心として時計回りに回動し、図11(b)の一点鎖線で示す状態を経て、図11(b)の二点鎖線で示すように、本体部84の長手方向が高さ方向と一致する姿勢を採るようになっている。
【0072】
下側係止ロッド36は、図11(a)および(b)に示すように、リンク機構83に対し、下側ヒンジアーム34を介して、下側アーム部85の先端部に設けられた回動軸83bを中心として回動自在に連結されている。一方、上側係止ロッド37は、リンク機構83に対し、上側ヒンジアーム35を介して、上側アーム部86の先端部に設けられた回動軸83cを中心として回動自在に連結されている。回動軸83bおよび回動軸83cは、一対のアーム部85,86が延びる方向で、回動軸83aと回動軸83bと回動軸83cとが一直線上に並ぶような位置に設定されている。
【0073】
ところで、扉20が既に垂れ下がっている場合、機械的な摩擦抵抗を無視すれば、解錠時には、比較的軽量な下側および上側係止ロッド36,37を上下動させる力、換言すると、相対的に小さい力だけが要求されるのに対し、施錠時には、扉20の傾きを矯正する(扉20を押し上げる)力、換言すると、相対的に大きい力が要求される。
【0074】
この点、上記実施形態のリンク機構33では、図11(c)に示す施錠状態におけるモーメントのアーム長も、図11(d)の二点鎖線で示す解錠状態におけるモーメントのアーム長も、共にL2に設定されている。このため、上記実施形態のリンク機構33では、解錠時における施解錠レバー32を回動させるのに必要なモーメント(回動トルク)は、(下側および上側係止ロッド36,37を上下動させる力)×L2となるのに対し、施錠時における施解錠レバー32の回動トルクは、(扉20を押し上げる力)×L2となる。つまり、上記リンク機構33では、解錠時における施解錠レバー32の回動トルクは、相対的に小さいトルクで足りるのに対し、施錠時における施解錠レバー32の回動トルクは、相対的に大きいトルクが要求されることになる。
【0075】
一方、本変形例のリンク機構83では、図11(b)の二点鎖線で示す解錠状態におけるモーメントのアーム長がL1(>L2)に設定されているのに対し、図11(a)に示す施錠状態におけるモーメントのアーム長はほぼ0(零)になるように設定されている。このため、本変形例のリンク機構83では、解錠時における施解錠レバー32の回動トルクは、(下側および上側係止ロッド36,37を上下動させる力)×L1となるのに対し、施錠時における施解錠レバー32の回動トルクは、(扉20を押し上げる力)×(ほぼ0)となる。つまり、本変形例のリンク機構83では、梃の原理における支点(回動軸83a)を作用点(回動軸83b,83c)に近づけることで、解錠時における施解錠レバー32の回動トルクのみならず、施錠時における施解錠レバー32の回動トルクも、相対的に小さいトルクで足りるようにしている。
【0076】
以上のように、本変形例によれば、扉20が既に垂れ下がっている場合でも、施錠時における施解錠レバー32の回動トルクを、相対的に小さくすることができ、これにより、扉20の傾きを容易に矯正することが可能となる。加えて、扉20を閉じた状態で、下側係止ロッド36と上側係止ロッド37とが、ほぼ一直線状になることから、これら下側および上側係止ロッド36,37に突っ張り棒としての役目をより一層果たさせることが可能となる。
【0077】
なお、本変形例では、説明の便宜上、アーム長L1>アーム長L2としたが、アーム長L1に特に限定はなく、アーム長L2以下であってもよい。また、本変形例では、解錠状態から施錠状態へ移行する際に、モーメントのアーム長が短くなることから、例えば下側および上側ガイド部材38,39の案内孔を長孔として構成してもよい。
【0078】
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0079】
上記実施形態では、方開きの扉本体21を有する制御盤に本発明を適用したが、これに限らず、例えば、観音開きの扉本体を有する制御盤に本発明を適用するようにしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、第1および第2セットカラー40,50を設けたが、扉20の垂れ下がり乃至扉20の垂れ下がりの進行を抑えるだけであれば、これに限らず、第1セットカラー40のみを設けるようにしてもよい。
【0081】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明によると、扉の垂れ下がり乃至扉の垂れ下がりの進行を抑えるとともに、扉を閉じた状態において、扉を正常な姿勢に矯正することができるので、制御盤の扉に適用して極めて有益である。
【符号の説明】
【0083】
1 制御盤
10 制御盤本体
10a 開口部
14 背面壁部(背面)
16 棚板
16a 背面側の端部
18 下側突出部(第1被当接部)
18a 第1係止孔
19 上側突出部(第2被当接部)
19a 第2係止孔
20 扉
21 扉本体
32 施解錠レバー(把手)
36 下側係止ロッド(第1棒状部材)
37 上側係止ロッド(第2棒状部材)
38 下側ガイド部材
39 上側ガイド部材
40 第1セットカラー
40a 下端
50 第2セットカラー
50a 上端
C 間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11