(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162476
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】積層セラミックコンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
H01G4/30 201A
H01G4/30 201K
H01G4/30 311F
H01G4/30 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078013
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】石塚 明
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC04
5E001AD04
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AH02
5E001AH05
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ01
5E001AJ02
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE05
5E082EE23
5E082FF05
5E082FG03
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
(57)【要約】
【課題】複数の内部電極層と複数の誘電体層との重なり具合を調整し、信頼性の低下を抑制することができる積層セラミックコンデンサを提供すること。
【解決手段】幅方向中央部の、長さ方向L及び積層方向Tに沿った断面において、第1の対向電極部15Aaの第1の端面側縁辺部15Ae1と、前記第1の端面側縁辺部15Ae1の積層方向Tの一方側に隣り合う第1の内部電極層15Aとの間の距離T1Aは、前記第1の端面側縁辺部15Ae1と、前記第1の端面側縁辺部15Ae1の前記積層方向Tの他方側に隣り合う第1の内部電極層15Aとの間の距離T1Bよりも長く、前記第1の対向電極部15Aaの第2の端面側縁辺部15Ae2と、前記第2の端面側縁辺部15Ae2の前記積層方向Tの一方側に隣り合う第1の内部電極層15Aとの間の距離T1Cは、前記第2の端面側縁辺部15Ae2と、前記第2の端面側縁辺部15Ae2の前記積層方向Tの他方側に隣り合う第1の内部電極層15Aとの間の距離T1Dよりも短い、積層セラミックコンデンサ1。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の積層された誘電体層と、前記誘電体層上に積層された複数の内部電極層とを有し、積層方向に相対する第1の主面および第2の主面と、積層方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、前記積層方向および前記長さ方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面を有する積層体と、
3つ以上の外部電極と、を有する積層セラミックコンデンサであって、
前記複数の内部電極層は、複数の第1の内部電極層と、複数の第2の内部電極層と、を有し、
前記第1の内部電極層は、前記誘電体層を介して前記第2の内部電極層と対向する第1の対向電極部と、前記第1の対向電極部から延び前記積層体の第1の側面に引き出される第1の側面側引き出し部と、を有し、
前記第2の内部電極層は、前記誘電体層を介して前記第1の内部電極層と対向する第2の対向電極部と、前記第2の対向電極部から延び前記積層体の第1の表面部に引き出される第1の引き出し部と、前記第2の対向電極部から延び前記積層体の第2の表面部に引き出される第2の引き出し部と、を有し、
前記3つ以上の外部電極は、前記第1の側面側引き出し部と接続される第1の側面外部電極と、前記第1の引き出し部と接続される第1の外部電極と、前記第2の引き出し部に接続される第2の外部電極と、を有し、
前記第1の対向電極部は、前記第1の端面側に位置する第1の端面側縁辺部と、第2の端面側に位置する第2の端面側縁辺部と、を有し、
前記幅方向中央部の、前記長さ方向及び前記積層方向に沿った断面において、
前記第1の対向電極部の前記第1の端面側縁辺部と、前記第1の対向電極部の前記第1の端面側縁辺部に対して前記積層方向の一方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層との間の前記積層方向の距離T1Aは、前記第1の対向電極部の前記第1の端面側縁辺部と、前記第1の対向電極部の前記第1の端面側縁辺部に対して前記積層方向の他方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層との間の前記積層方向の距離T1Bよりも長く、
前記第1の対向電極部の前記第2の端面側縁辺部と、前記第1の対向電極部の前記第2の端面側縁辺部に対して前記積層方向の一方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層との間の前記積層方向の距離T1Cは、前記第1の対向電極部の前記第2の端面側縁辺部と、前記第1の対向電極部の前記第2の端面側縁辺部に対して前記積層方向の他方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層との間の前記積層方向の距離T1Dよりも短い、積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
前記第2の対向電極部は、前記第1の側面側に位置する第1の側面側縁辺部と、第2の側面側に位置する第2の側面側縁辺部と、を有し、
前記長さ方向中央部の、前記幅方向及び前記積層方向に沿った断面において、
前記第2の対向電極部の前記第1の側面側縁辺部と、前記第2の対向電極部の前記第1の側面側縁辺部に対して前記積層方向の一方側に隣り合って配置されている第2の内部電極層との間の前記積層方向の距離T2Aは、前記第2の対向電極部の前記第2の側面側縁辺部と、前記第2の対向電極部の前記第2の側面側縁辺部に対して前記積層方向の他方側に隣り合って配置されている第2の内部電極層との間の前記積層方向の距離T2Bよりも長く、
前記第2の対向電極部の前記第2の側面側縁辺部と、前記第2の対向電極部の前記第2の側面側縁辺部に対して前記積層方向の一方側に隣り合って配置されている第2の内部電極層との間の前記積層方向の距離T2Cは、前記第2の対向電極部の前記第2の側面側縁辺部と、前記第2の対向電極部の前記第2の側面側縁辺部に対して前記積層方向の他方側に隣り合って配置されている第2の内部電極層との間の前記積層方向の距離T2Dよりも短い、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
前記第1の内部電極層は、前記第1の対向電極部から延び前記積層体の第2の側面に引き出される第2の側面側引き出し部をさらに有し、
前記3つ以上の外部電極は、前記第2の側面側引き出し部に接続される第2の側面外部電極をさらに有する、請求項1または請求項2に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
前記第1の側面側引き出し部の前記長さ方向の長さは、前記第1の対向電極部の前記長さ方向の長さよりも短く、
前記第2の側面側引き出し部の前記長さ方向の長さは、前記第1の対向電極部の前記長さ方向の長さよりも短い、請求項3に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項5】
前記第1の表面部の少なくとも一部は、前記第1の端面の一部であり、
前記第2の表面部の少なくとも一部は、前記第2の端面の一部である、請求項1または請求項2に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項6】
前記第1の引き出し部の前記幅方向の長さは、前記第2の対向電極部の前記幅方向の長さよりも短く、
前記第2の引き出し部の前記幅方向の長さは、前記第2の対向電極部の前記幅方向の長さよりも短い、請求項5に記載の積層セラミックコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部電極が3つ以上の多端子型の積層セラミックコンデンサが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このような多端子積層セラミックコンデンサは、複数の内部電極層と複数の誘電体層との重なり具合が通常の二端子セラミックコンデンサよりも複雑になりやすい。例えば、多端子積層セラミックコンデンサの内部電極層は、単純な矩形形状とはならない場合が多く、内部電極層と誘電体層との重なり具合がより複雑化して誘電体層の厚みのバランスが悪くなる場合がある。この場合、プレス工程および焼成工程後の積層体において、部分的に誘電体層の厚みが薄くなる部分が生じ得る。これにより、積層セラミックコンデンサの信頼性が低下する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、信頼性の低下を抑制可能な積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、積層セラミックコンデンサの幅方向中央部の、長さ方向及び積層方向に沿った断面において、第1の内部電極層の第1の対向電極部の第1の端面側縁辺部と、前記第1の対向電極部の前記第1の端面側縁辺部に対して前記積層方向の一方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層との間の前記積層方向の距離T1Aと、前記第1の対向電極部の前記第1の端面側縁辺部と、前記第1の対向電極部の前記第1の端面側縁辺部に対して前記積層方向の他方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層との間の前記積層方向の距離T1Bと、の関係、及び、前記第1の対向電極部の第2の端面側縁辺部と、前記第1の対向電極部の前記第2の端面側縁辺部に対して前記積層方向の一方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層との間の前記積層方向の距離T1Cと、前記第1の対向電極部の前記第2の端面側縁辺部と、前記第1の対向電極部の前記第2の端面側縁辺部に対して前記積層方向の他方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層との間の前記積層方向の距離T1Dと、の関係を調整することにより、積層セラミックコンデンサにおける信頼性の低下を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、複数の積層された誘電体層と、前記誘電体層上に積層された複数の内部電極層とを有し、積層方向に相対する第1の主面および第2の主面と、積層方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、前記積層方向および前記長さ方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面を有する積層体と、
3つ以上の外部電極と、を有する積層セラミックコンデンサであって、
前記複数の内部電極層は、複数の第1の内部電極層と、複数の第2の内部電極層と、を有し、
前記第1の内部電極層は、前記誘電体層を介して前記第2の内部電極層と対向する第1の対向電極部と、前記第1の対向電極部から延び前記積層体の第1の側面に引き出される第1の側面側引き出し部と、を有し、
前記第2の内部電極層は、前記誘電体層を介して前記第1の内部電極層と対向する第2の対向電極部と、前記第2の対向電極部から延び前記積層体の第1の表面部に引き出される第1の引き出し部と、前記第2の対向電極部から延び前記積層体の第2の表面部に引き出される第2の引き出し部と、を有し、
前記3つ以上の外部電極は、前記第1の側面側引き出し部と接続される第1の側面外部電極と、前記第1の引き出し部と接続される第1の外部電極と、前記第2の引き出し部に接続される第2の外部電極と、を有し、
前記第1の対向電極部は、前記第1の端面側に位置する第1の端面側縁辺部と、第2の端面側に位置する第2の端面側縁辺部と、を有し、
前記幅方向中央部の、前記長さ方向及び前記積層方向に沿った断面において、
前記第1の対向電極部の前記第1の端面側縁辺部と、前記第1の対向電極部の前記第1の端面側縁辺部に対して前記積層方向の一方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層との間の前記積層方向の距離T1Aは、前記第1の対向電極部の前記第1の端面側縁辺部と、前記第1の対向電極部の前記第1の端面側縁辺部に対して前記積層方向の他方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層との間の前記積層方向の距離T1Bよりも長く、
前記第1の対向電極部の前記第2の端面側縁辺部と、前記第1の対向電極部の前記第2の端面側縁辺部に対して前記積層方向の一方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層との間の前記積 層方向の距離T1Cは、前記第1の対向電極部の前記第2の端面側縁辺部と、前記第1の対向電極部の前記第2の端面側縁辺部に対して前記積層方向の他方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層との間の前記積層方向の距離T1Dよりも短い、積層セラミックコンデンサである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の内部電極層と複数の誘電体層との重なり具合が調整され、信頼性の低下が抑制された積層セラミックコンデンサを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】積層セラミックコンデンサ1の概略斜視図である。
【
図2】
図1におけるII-II線に沿って切断した断面の部分拡大図である。
【
図3】
図1におけるIII-III線に沿って切断した断面の部分拡大図である。
【
図4】積層セラミックコンデンサ1の第1の内部電極層15Aに沿った断面図である。
【
図5】積層セラミックコンデンサ1の第2の内部電極層15Bに沿った断面図である。
【
図6】
図1におけるVI-VI線に沿って切断した断面の部分拡大図である。
【
図7】
図1におけるVII-VII線に沿って切断した断面の部分拡大図である。
【
図8】積層セラミックコンデンサ1の製造方法を説明するフローチャートである。
【
図9】積層セラミックコンデンサ1の製造方法を説明する工程図である。
【
図10】積層セラミックコンデンサ1の製造方法を説明する工程図である。
【
図11】積層セラミックコンデンサ1の製造方法を説明する工程図である。
【
図12】積層セラミックコンデンサ1の製造方法を説明する工程図である。
【
図13】積層セラミックコンデンサ1の製造方法を説明する工程図である。
【
図14】積層セラミックコンデンサ1の製造方法を説明する工程図である。
【
図15】積層セラミックコンデンサ1の製造方法を説明する工程図である。
【
図16】積層セラミックコンデンサ1の製造方法を説明する工程図である。
【
図17】内部電極層にオーバーラップする誘電体層の位置を模式的に示す図である。
【
図18】内部電極層にオーバーラップする誘電体層の位置を模式的に示す図である(他の実施形態)。
【
図19】内部電極層にオーバーラップする誘電体層の位置を模式的に示す図である(他の実施形態)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(積層セラミックコンデンサ1)
以下、本発明の実施形態として積層セラミックコンデンサ1について説明する。
図1は、積層セラミックコンデンサ1の概略斜視図である。
図2は、積層セラミックコンデンサ1の
図1におけるII-II線に沿って切断し長さ方向Lと積層方向Tにより規定される断面(LT断面)の部分拡大図である。
図3は、積層セラミックコンデンサ1の
図1におけるIII-III線に沿って切断し幅方向Wと積層方向Tにより規定される断面(WT断面)の部分拡大図である。
なお、II-II線は積層セラミックコンデンサ1の幅方向Wの中央部を通過する線である。また、III-III線は、積層セラミックコンデンサ1の長さ方向Lの中央部を通過する線である。
【0011】
実施形態は、本発明の実施の形態を例示的に示したものであり、本発明が実施形態の内容に限定されることはない。また、異なる実施形態に記載された内容を組み合わせて実施することも可能であり、その場合の実施内容も本発明に含まれる。また、図面は、明細書の理解を助けるためのものであって、模式的に描画されている場合があり、描画された構成要素または構成要素間の寸法の比率が、明細書に記載されたそれらの寸法の比率と一致していない場合がある。また、明細書に記載されている構成要素が、図面において省略されている場合や、個数を省略して描画されている場合などがある。
【0012】
積層セラミックコンデンサ1は、積層体2の長さ方向Lの両端面Cに設けられた端面外部電極3と、積層体2の幅方向Wの両側面Bに設けられた側面外部電極4とを備える。積層体2は、誘電体層14と内部電極層15とを複数含む内層部11と、外層部12とを備える。
【0013】
積層セラミックコンデンサ1の寸法は、特に限定されるものではないが、長さ方向Lを0.6mm以上3.2mm以下、積層方向Tを0.3mm以上2.5mm以下、幅方向Wを0.3mm以上2.5mm以下とすることができる。
【0014】
本明細書において、積層セラミックコンデンサ1の向きを表わす用語として、積層セラミックコンデンサ1において、誘電体層14と内部電極層15とが積層されている方向を積層方向Tとする。積層方向Tと交差し、一対の端面外部電極3が設けられている方向を長さ方向Lとする。長さ方向Lおよび積層方向Tのいずれにも交差する方向を幅方向Wとする。なお、実施形態においては、積層方向Tと、長さ方向Lと、幅方向Wとは、互いに直交している。
【0015】
(積層体2)
積層体2は、内層部11と、内層部11の積層方向Tの両側に配置される外層部12と、を備える。積層体2は、角部および稜線部に丸みが付けられていることが好ましい。角部は、積層体の3面が交わる部分であり、稜線部は、積層体の2面が交わる部分である。
積層体2の寸法は、特に限定されるものではないが、長さ方向Lを0.6mm以上3.2mm以下、積層方向Tを0.3mm以上2.5mm以下、幅方向Wを0.3mm以上2.5mm以下とすることができる。
【0016】
(内層部11)
内層部11は、積層方向Tに沿って誘電体層14と内部電極層15とが複数積層されている。
【0017】
(誘電体層14)
誘電体層14は、セラミック材料で製造されている。セラミック材料としては、たとえば、BaTiO3を主成分とする誘電体セラミックが用いられる。また、セラミック材料として、これらの主成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物等の副成分のうちの少なくとも一つを添加したものを用いてもよい。
誘電体層14は、後述するセラミックグリーンシート114により製造された誘電体層14cと、セラミックグリーンシート114上に塗布されるセラミックペースト114a、114bにより製造された誘電体層14aおよび誘電体層14bとを有する。
【0018】
誘電体層14の積層方向Tの厚みは、特に限定されるものではないが、0.3μm以上1.5μm以下が好ましく、特に、0.5μm以上1μm以下であることが好ましい。また、積層体2内に積層される誘電体層の数は、内層部11と後述の外層部12を合わせて、14枚以上1000枚以下とすることが好ましい。
【0019】
(内部電極層15)
内部電極層15は、たとえばNi、Cu、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等に代表される金属材料により形成されていることが好ましい。
【0020】
内部電極層15の厚さは、特に限定されるものではないが、0.25μm以上0.6μm以下が好ましく、中でも0.3μm以上0.5μm以下が好ましい。内層部11内には14枚以上1000枚以下の内部電極層15を内蔵することができる。
【0021】
内部電極層15は、交互に配置される第1の内部電極層15Aと第2の内部電極層15Bを有しており、第1の内部電極層15Aと第2の内部電極層15Bは、積層方向Tからの平面視において互いに重なり合う第1の対向電極部15Aaと第2の対向電極部15Baにおいて、誘電体層14を介して静電容量を形成する。
【0022】
(第1の内部電極層15A)
図4は、積層セラミックコンデンサ1の第1の内部電極層15Aに沿った断面図である。
図4に示すように、第1の内部電極層15Aは、積層体2よりも一回り小さく、各辺が端面Cおよび側面Bから一定距離離間した矩形状の第1の対向電極部15Aaと、第1の対向電極部15Aaから第1の側面B1と第2の側面B2にそれぞれ延びる第1の側面側引き出し部15Ab1と第2の側面側引き出し部15Ab2を有する。
【0023】
また、第1の対向電極部15Aaには、第1の端面C1側の一辺に沿って第1の端面側縁辺部15Ae1があり、第2の端面C2側の一辺に沿って第2の端面側縁辺部15Ae2がある。
【0024】
第1の側面側引き出し部15Ab1と第2の側面側引き出し部15Ab2は、それぞれ積層体2の第1の側面B1と第2の側面B2に露出し、第1の側面外部電極4aと第2の側面外部電極4bに接続されている。
【0025】
第1の内部電極層15Aにおいて、第1の側面側引き出し部15Ab1と第2の側面側引き出し部15Ab2の長さ方向Lの長さは、第1の対向電極部15Aaの長さ方向Lの長さよりも短い。このように、第1の側面側引き出し部15Ab1と第2の側面側引き出し部15Ab2の長さ方向Lの長さを短くすることにより、外部からの水分の浸入を抑えることができるため、積層セラミックコンデンサの信頼性を高めることができる。
【0026】
第1の内部電極層15Aはグランド電極として機能するためには、第1の内部電極層15Aの第1の対向電極部15Aaから延び出し、積層体2の第1の側面B1に引き出される第1の側面側引き出し部15Ab1が、後述の第1の側面外部電極4aに接続する必要があるが、さらに第1の対向電極部15Aaから延び出し、積層体2の第2の側面B2に引き出される第2の側面側引き出し部15Ab2を備え、後述の第2の側面外部電極4bに接続する構造とすれば、第1の側面側引き出し部15Ab1と第2の側面側引き出し部15Ab2のそれぞれの面積を小さく抑え、それぞれの長さ方向Lの長さを短くすることができるため、外部からの水分の浸入を防ぎ、信頼性を高めることが可能となる。また、第1の内部電極層15Aは中心から幅方向へ左右対称の電位を備えることになりグランド電極としての機能を安定化させることができる。
【0027】
第1の側面側引き出し部15Ab1の幅方向Wの長さは、第1の対向電極部15Aaの幅方向Wの長さよりも短く、第2の側面側引き出し部15Ab2の幅方向Wの長さは、第1の対向電極部15Aaの幅方向Wの長さよりも短いことが好ましい。第1の側面側引き出し部15Ab1の幅方向Wの長さと第2の側面側引き出し部15Ab2の幅方向Wの長さを短くすることによって、相対的に第1の対向電極部15Aaの幅方向Wの長さを長くすることができ、第1の対向電極部15Aaの表面積を拡大することにより積層セラミックコンデンサの容量を向上させることが可能となる。
【0028】
(第2の内部電極層15B)
図5は、積層セラミックコンデンサ1の第2の内部電極層15Bに沿った断面図である。
図5に示すように、第2の内部電極層15Bは、全体として積層体2の長さ方向Lの両端面Cの間を延び、幅方向Wの両側面Bからは一定の距離で離間している。
【0029】
第2の内部電極層15Bは、両端面Cから一定の距離離れており、第1の内部電極層15Aの第1の対向電極部15Aaと誘電体層14を挟んで向かい合う矩形状の第2の対向電極部15Baと、当該第2の対向電極部15Baから第1の表面部としての第1の端面C1と第2の表面部としての第2の端面C2へそれぞれ延び出す第1の引き出し部15Bb1と第2の引き出し部15Bb2からなる。そして、第1の引き出し部15Bb1は、第1の端面C1に向かい、幅方向Wの長さが漸減する台形形状の第1の移行領域15Bt1と、さらに第1の移行領域15Bt1から第1の端面C1へ延びる第1の延出領域15Bw1からなる。また、第2の引き出し部15Bb2は、第2の端面C2に向かい、幅方向Wの長さが漸減する台形形状の第2の移行領域15Bt2と、さらに第2の移行領域15Bt2から第2の端面C2へ延びる第2の延出領域15Bw2からなる。
【0030】
また、第2の対向電極部15Baには、第1の側面B1側の一辺に沿って第1の側面側縁辺部15Be1があり、この第1の側面側縁辺部15Be1は、第1の引き出し部15Bb1の第1の移行領域、及び、第2の引き出し部15Bb2の第2の移行領域15Bt2の一部にも及んでいる。
【0031】
さらに、第2の対向電極部15Baには、第2の側面B2側の一辺に沿って第2の側面側縁辺部15Be2があり、この第2の側面側縁辺部15Be2は、第1の引き出し部15Bb1の第1の移行領域、及び、第2の引き出し部15Bb2の第2の移行領域15Bt2の一部にも及んでいる。
【0032】
第1の延出領域15Bw1と第2の延出領域15Bw2は、それぞれ第1の表面部としての第1の端面C1と第2の表面部としての第2の端面C2に露出し、それぞれ第1の端面外部電極3aと第2の端面外部電極3bに接続されている。
【0033】
実施形態においては、第1の表面部と第2の表面部を、それぞれ第1の端面C1と第2の端面C2とした態様を示したが、これに限定されるものではなく、第1の表面部の少なくとも一部を第1の端面の一部とし、第2の表面部の少なくとも一部を第2の端面の一部とすることができる。
【0034】
例えば、第2の内部電極層15Bの第1の延出領域15Bw1は、第1の端面C1の一部から第1の側面B1または第2の側面B2の一部にかけて露出し、第2の内部電極層15Bの第2の延出領域15Bw2は、第1の端面C2の一部から第1の側面B1または第2の側面B2の一部にかけて露出するような態様とし、それぞれ露出した部分を第1の表面部と第2の表面部として、第1の表面部と第2の表面部に、それぞれ第1の端面外部電極3aと第2の端面外部電極3bに接続する構造としても良い。これにより、あらゆる形状の基板に対し積層セラミックコンデンサを実装することが可能となる。
【0035】
第2の内部電極層15Bにおいて、第1の引き出し部15Bb1の第1の延出領域15Bw1と第2の引き出し部15Bb2の第2の延出領域15Bw2の幅方向Wの長さは、第2の対向電極部15Baの幅方向Wの長さよりも短い。このように、第1の延出領域15Bw1と第2の延出領域15Bw2の幅方向Wの長さを短くすることにより、外部からの水分の浸入を抑えることができるため、積層セラミックコンデンサの信頼性を高めることができる。
【0036】
また、第2の内部電極層15Bにおいて、第1の引き出し部15Bb1の長さ方向Lの長さは、第2の対向電極部15Baの長さ方向Lの長さよりも短く、第2の引き出し部15Bb2の長さ方向Lの長さは、第2の対向電極部15Baの長さ方向Lの長さよりも短いことが好ましい。第1の引き出し部15Bb1の長さ方向Lの長さと第2の引き出し部15Bb2の長さ方向Lの長さを短くすることによって、相対的に第2の対向電極部15Baの長さ方向Lの長さを長くすることができ、第2の対向電極部15Baの表面積を拡大することにより積層セラミックコンデンサの容量を向上させることが可能となる。
【0037】
(外層部12)
外層部12は、
図2および
図3に示すような、内層部11の第1の主面A1側と第2の主面A2側に配置される一定厚みの誘電体層である。外層部12は、内層部11の誘電体層14と同じ材料で形成することができる。
【0038】
(端面外部電極3)
積層体2の第1の端面C1には第1の端面外部電極3aが配置され、第2の端面C2には第2の端面外部電極3bが配置されている。第1の端面外部電極3aには第2の内部電極層15Bの第1の引き出し部15Bb1が接続されている。また、第2の端面外部電極3bには第2の内部電極層15Bの第2の引き出し部15Bb2が接続されている。第1の端面外部電極3aと第2の端面外部電極3bは、それぞれ第1の端面C1と第2の端面C2だけでなく、第1の主面A1、第2の主面A2、第1の側面B1および第2の側面B2の一部も覆っている。
【0039】
(側面外部電極4)
積層体2の第1の側面B1と第2の側面B2にはそれぞれ第1の側面外部電極4aと第2の側面外部電極4bが配置されている。
【0040】
第1の側面外部電極4aには第1の内部電極層15Aの第1の側面側引き出し部15Ab1が接続され、第2の側面外部電極4bには第1の内部電極層15Aの第2の側面側引き出し部15Ab2が接続されている。第1の側面外部電極4aと第2の側面外部電極4bは、それぞれ第1の側面B1と第2の側面B2だけでなく、第1の主面A1と第2の主面A2の一部も覆っている。
【0041】
第1の内部電極層15Aが第1の側面外部電極4aと第2の側面外部電極4bに接続され、第2の内部電極層15Bが第1の端面外部電極3aと第2の端面外部電極3bに接続された積層セラミックコンデンサ1は、3端子型コンデンサとして使用することができる。すなわち、積層セラミックコンデンサ1は、回路において電源ラインまたは信号ラインを途中で中断し、中断した一方に第1の端面外部電極3aを接続し、中断した他方に第2の端面外部電極3bを接続し、かつ、第1の側面外部電極4aと第2の側面外部電極4bをグランドに接続することによって、3端子型コンデンサとして使用することができる。この場合、第1の内部電極層15Aがグランド電極になり、第2の内部電極層15Bがスルー電極になる。
【0042】
端面外部電極3と側面外部電極4は、たとえば、下地電極層と、下地電極層上に配置されためっき層を備えた構造とすることができる。
【0043】
下地電極層は、以下に説明するような、焼き付け層、導電性樹脂層、直接めっき層等から選ばれる少なくとも1つの層を含む。
【0044】
(焼き付け層)
焼き付け層は、ガラスおよび金属を含む導電性ペーストを積層体に塗布して焼き付けたものであり、内部電極層と同時焼成したものでもよく、内部電極層を焼成した後に焼き付けてもよい。焼き付け処理の温度は、700~900℃であることが好ましい。
【0045】
ガラス成分は、B、Si、Ba、Mg、Al、Li等から選ばれる少なくとも1つを含む。また、金属としては、たとえば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0046】
焼き付け層の厚さは、たとえば、3μm以上70μm以下であることが好ましい。また、焼き付け層は、複数層であってもよい。
【0047】
(導電性樹脂層)
導電性樹脂層は、焼き付け層の表面に形成されるか、あるいは、積層体の表面上に直接形成される。導電性樹脂層は、複数層であってもよい。
【0048】
導電性樹脂層の形成方法としては、熱硬化性樹脂および金属成分を含む導電性樹脂ペーストを焼き付け層上もしくは積層体上に塗布し、250~550℃以上の温度で熱処理を行い、樹脂を熱硬化させ、導電性樹脂層を形成する。この時の熱処理時の雰囲気は、N2雰囲気であることが好ましい。また、樹脂の飛散を防ぎ、かつ、各種金属成分の酸化を防ぐため、酸素濃度は100ppm以下に抑えることが好ましい。
【0049】
端面Cの中央部における導電性樹脂層の厚さは、たとえば、10μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0050】
導電性樹脂層の樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの公知の種々の熱硬化性樹脂を使用することができる。その中でも、耐熱性、耐湿性、密着性などに優れたエポキシ樹脂は最も適切な樹脂の一つである。導電性樹脂層に含まれる樹脂は、導電性樹脂全体の体積に対して、25vol%以上65vol%以下で含まれていることが好ましい。
【0051】
また、導電性樹脂層には、熱硬化性樹脂とともに、硬化剤を含むことが好ましい。硬化剤としては、ベース樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂の硬化剤としては、フェノール系、アミン系、酸無水物系、イミダゾール系など公知の種々の化合物を使用することができる。
【0052】
導電性樹脂層は、熱硬化性樹脂を含むため、たとえば、めっき膜や導電性ペーストの焼成物からなる導電層よりも柔軟性に富んでいる。このため、セラミック電子部品に物理的な衝撃や熱サイクルに起因する衝撃が加わった場合であっても、導電性樹脂層が緩衝層として機能し、セラミック電子部品へのクラックを防止することができる。
【0053】
導電性樹脂層に含まれる金属としては、Ag、Cu、または、それらの合金を使用することができる。また、金属粉の表面にAgコーティングされたものを使用することができる。金属粉の表面にAgコーティングされたものを使用する際には金属粉としてCuやNiを用いることが好ましい。またCuに酸化防止処理を施したものを使用することもできる。
【0054】
導電性金属にAgの導電性金属粉を用いる理由としては、Agは比抵抗が低いため電極材料に適しており、また貴金属であるため酸化せず安定性が高いためである。なお、Agコーティングされた金属を用いる理由としては、上記のAgの特性は保ちつつ、母材の金属を安価なものにすることが可能になるためである。
【0055】
導電性樹脂層に含まれる金属は、導電性樹脂全体の体積に対して、35vol%以上75vol%以下で含まれていることが好ましい。
【0056】
導電性樹脂層に含まれる金属の形状は、特に限定されない。導電性フィラーは、球状、扁平状等であってもよい。導電性樹脂層に含まれる金属の平均粒径は、特に限定されないが、たとえば、0.3μm以上10μm以下程度にすることができる。
【0057】
導電性樹脂層に含まれる金属は、主に導電性樹脂層の通電性を担う。具体的には、導電性フィラーどうしが接触することにより、導電性樹脂層内部に通電経路が形成される。
【0058】
(めっき層)
積層体の内部電極層が露出する端面に直接めっき層を設けてもよい。すなわち、積層セラミックコンデンサは、内部電極層、表面電極層に電気的に直接接続するめっき層を含む構造であってもよい。このような場合、前処理として積層体の表面に触媒を配設した後で、直接めっき層が形成されてもよい。
【0059】
めっき層は、たとえば、Cu、Ni、Sn、Pb、Au、Ag、Pd、BiまたはZnなどから選ばれる少なくとも1種の金属または当該金属を含む合金を含むことが好ましい。たとえば、第1の内部電極層および第2の内部電極層がNiを用いて形成される場合、直接めっき層は、Niと接合性のよいCuを用いて形成されることが好ましい。
【0060】
めっき層の一層あたりの厚さは、2μm以上15μm以下であることが好ましい。また、めっき層には、ガラスを含有せず、単位体積あたりの金属割合は、99体積%以上であることが好ましい。
【0061】
めっき処理を行うにあたっては、電解めっき、無電解めっきのどちらを採用してもよいが、無電解めっきはめっき析出速度を向上させるために、触媒などによる前処理が必要となり、工程が複雑化するというデメリットがある。したがって、通常は、電解めっきを採用することが好ましい。めっき工法としては、バレルめっきを用いることが好ましい。また、必要に応じて、下層めっき電極の表面に形成される上層めっき電極を同様に形成してもよい。
【0062】
下地電極層が薄膜層の場合、薄膜層は、スパッタ法または蒸着法等の薄膜形成法により形成され、金属粒子が堆積された1μm以下の層である。
【0063】
下地電極層の上に配置されるめっき層は、たとえば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0064】
めっき層は複数層により形成されていてもよい。好ましくは、Niめっき、Snめっきの2層構造である。Niめっき層は、下地電極層がセラミック電子部品を実装する際のはんだによって侵食されることを防止することができ、Snめっき層は、セラミック電子部品を実装する際のはんだの濡れ性を向上させ、容易に実装することができる。めっき層一層あたりの厚さは、2μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0065】
図2に示すように、内層部11においては、第1の内部電極層15Aと第2の内部電極層15Bが交互に積層している。そして、積層する第1の内部電極層15Aは、第1の端面側縁辺部15Ae1と第2の端面側縁辺部15Ae2の上面において交互に誘電体層14aがオーバーラップしている。
【0066】
これにより、第1の内部電極層15Aの第1の対向電極部15Aaの第1の端面側縁辺部15Ae1と、かかる第1の端面側縁辺部15Ae1に対して積層方向Tの一方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層15Aとの間の積層方向Tの距離T1Aは、前記の第1の端面側縁辺部と、かかる第1の端面側縁辺部15Ae1に対して積層方向Tの他方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層15Aとの間の積層方向Tの距離T1Bよりも長くなる。
【0067】
また、前記の第1の内部電極層15Aにおいて、第1の対向電極部15Aaの第2の端面側縁辺部15Ae2と、かかる第2の端面側縁辺部15Ae2に対して積層方向Tの一方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層15Aとの間の積層方向Tの距離T1Cは、前記の第2の端面側縁辺部15Ae2と、かかる第2の端面側縁辺部15Ae2に対して積層方向Tの他方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層15Aとの間の積層方向Tの距離T1Dよりも短くなる。
【0068】
距離T1A、距離T1B、距離T1C、および距離T1Dは、
図1に示すII―II線に沿って側面Bと平行に積層セラミックコンデンサ1を研磨し断面を露出させ、この断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察することによって、各部位における距離を測定することができる。
【0069】
具体的には、距離T1Aの測定は、積層セラミックコンデンサ1を幅方向の長さに対して垂直になるように、積層セラミックコンデンサ1の幅方向寸法の1/2となる位置まで断面研磨した断面で測定する。上記の断面において、内層部の厚み寸法が3等分となるように3つの領域に分け、各領域からそれぞれ20箇所の距離T1Aの寸法を走査型顕微鏡(SEM)を用いて測定する。最後に、それらの平均値をとって距離T1Aとする。
【0070】
距離T1Bの測定も同様に、上記の断面において、内層部の厚み寸法が3等分となるように3つの領域に分け、各領域からそれぞれ20箇所の距離T1Bの寸法を査定型顕微鏡(SEM)を用いて測定する。最後に、それらの平均値をとって距離T1Bとする。
【0071】
距離T1Cも同様に、上記の断面において、内層部の厚み寸法が3等分となるように3つの領域に分け、各領域からそれぞれ20箇所の距離T1Cの寸法を走査型顕微鏡(SEM)を用いて測定する。最後に、それらの平均値をとって距離T1Cとする。
【0072】
第4の距離T4も同様に、上記の断面において、内層部の厚み寸法が3等分となるように3つの領域に分け、各領域からそれぞれ20箇所のT4の寸法を走査型顕微鏡(SEM)を用いて測定する。最後に、それらの平均値をとって第4の距離T4とする。
【0073】
距離T1Dも同様に、上記の断面において、内層部の厚み寸法が3等分となるように3つの領域に分け、各領域からそれぞれ20箇所のT5の寸法を走査型顕微鏡(SEM)を用いて測定する。最後に、それらの平均値をとって距離T1Dとする。
【0074】
なお、距離T1Aは、距離T1Bの1.1倍以上1.5倍以下であることが好ましく、距離T1Dは、距離T1Cの1.1倍以上1.5倍以下であることが好ましい。
【0075】
図3に示すように、内層部11においては、第1の内部電極層15Aと第2の内部電極層15Bが交互に積層している。そして、積層する第2の内部電極層15Bは、第1の側面側縁辺部15Be1と第2の側面側縁辺部15Be2の上面において交互に誘電体層14bがオーバーラップしている。
【0076】
第2の内部電極層15Bの第2の対向電極部15Baの第1の側面側縁辺部15Be1と、かかる第1の側面側縁辺部15Be1に対して積層方向Tの一方側に隣り合って配置されている第2の内部電極層15Bとの間の積層方向Tの距離T2Aは、前記の第2の側面側縁辺部15Be2と、かかる第2の側面側縁辺部15Be2に対して積層方向Tの他方側に隣り合って配置されている第2の内部電極層15Bとの間の積層方向Tの距離T2Bよりも長くなる。
【0077】
また、前記の第2の内部電極層15Bの第2の対向電極部15Baの第2の側面側縁辺部15Be2と、かかる第2の側面側縁辺部15Be2に対して積層方向Tの一方側に隣り合って配置されている第2の内部電極層15Bとの間の積層方向Tの距離T2Cは、前記の第2の側面側縁辺部15Be2と、かかる第2の側面側縁辺部15Be2に対して積層方向Tの他方側に隣り合って配置されている第2の内部電極層15Bとの間の積層方向Tの距離T2Dよりも短くなる。
【0078】
距離T2A、距離T2B、距離T2C、および距離T2Dは、
図1に示すIII―III線に沿って端面Cと平行に積層セラミックコンデンサ1を研磨し断面を露出させ、この断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察することによって、各部位における距離を測定することができる。
【0079】
具体的には、距離T2Aの測定は、積層セラミックコンデンサ1を幅方向の長さに対して垂直になるように、積層セラミックコンデンサ1の幅方向寸法の1/2となる位置まで断面研磨した断面で測定する。上記の断面において、内層部の厚み寸法が3等分となるように3つの領域に分け、各領域からそれぞれ20箇所の距離T2Aの寸法を走査型顕微鏡(SEM)を用いて測定する。最後に、それらの平均値をとって距離T2Aとする。
【0080】
距離T2Bの測定も同様に、上記の断面において、内層部の厚み寸法が3等分となるように3つの領域に分け、各領域からそれぞれ20箇所の距離T2Bの寸法を査定型顕微鏡(SEM)を用いて測定する。最後に、それらの平均値をとって距離T2Bとする。
【0081】
距離T2Cも同様に、上記の断面において、内層部の厚み寸法が3等分となるように3つの領域に分け、各領域からそれぞれ20箇所の距離T2Cの寸法を走査型顕微鏡(SEM)を用いて測定する。最後に、それらの平均値をとって距離T2Cとする。
第4の距離T4も同様に、上記の断面において、内層部の厚み寸法が3等分となるように3つの領域に分け、各領域からそれぞれ20箇所のT4の寸法を走査型顕微鏡(SEM)を用いて測定する。最後に、それらの平均値をとって第4の距離T4とする。
【0082】
距離T2Dも同様に、上記の断面において、内層部の厚み寸法が3等分となるように3つの領域に分け、各領域からそれぞれ20箇所のT5の寸法を走査型顕微鏡(SEM)を用いて測定する。最後に、それらの平均値をとって距離T2Dとする。
【0083】
なお、距離T2Aは、距離T2Bの1.1倍以上1.5倍以下であることが好ましく、距離T2Dは、距離T2Cの1.1倍以上1.5倍以下であることが好ましい。
【0084】
図6は、
図1に示すVI-VI線に沿って切断した長さ方向Lと積層方向Tにより規定される断面(LT断面)であり、VI-VI線に沿った断面は、積層体2の内部において
図4及び
図5に示す位置を通過する。
【0085】
図6に示すように、内層部11においては、第1の内部電極層15Aと第2の内部電極層15Bが交互に積層している。そして、積層する第1の内部電極層15Aは、第1の端面側縁辺部15Ae1と第2の端面側縁辺部15Ae2の上面において交互に誘電体層14aがオーバーラップしている。また、積層する第2の内部電極層15Bは、第2の側面側縁辺部15Be2の上面に誘電体層14bが一層おきにオーバーラップしている。
【0086】
図7は、
図1に示すVII-VII線に沿って切断した幅方向Wと積層方向Tにより規定される断面(WT断面)であり、VII-VII線に沿った断面は、積層体2の内部において
図4と
図5に示す位置を通過する。
【0087】
図7に示すように、内層部11においては、第1の内部電極層15Aと第2の内部電極層15Bが交互に積層している。そして、積層する第2の内部電極層15Bは、第1の側面側縁辺部15Be1と第2の側面側縁辺部15Be2の上面において交互に誘電体層14bがオーバーラップしている。
【0088】
(積層セラミックコンデンサ1の製造方法)
次に、積層セラミックコンデンサ1の製造方法について説明する。
図8は積層セラミックコンデンサ1の製造方法を説明するフローチャートである。また、
図9から
図16は、製造方法を説明する工程図である。
【0089】
(内部電極層パターン形成工程S1)
まず、
図9に示すように、誘電体層14cとなる第1のセラミックグリーンシート114Aに、導電性ペーストにより第1の内部電極層15Aとなる第1の内部電極層パターン115Aを形成する。
第1の内部電極層パターン115Aは、複数の第1の内部電極層15Aが幅方向Wに連続しているが長さ方向Lには不連続な形状である。
【0090】
また、
図10に示すように、誘電体層14cとなる第2のセラミックグリーンシート114Bに、導電性ペーストにより第2の内部電極層15Bとなる第2の内部電極層パターン115Bを形成する。
第2の内部電極層パターン115Bは、複数の第2の内部電極層15Bが長さ方向Lに連続しているが幅方向Wには不連続な形状である。
【0091】
セラミックグリーンシート114は、セラミックス粉末、バインダおよび溶剤を含むセラミックスラリーがキャリアフィルム上においてダイコータ、グラビアコータ、マイクログラビアコータ等を用いてシート状に成形された帯状のシートである。
【0092】
第1の内部電極層パターン115Aおよび第2の内部電極層パターン115Bは、たとえば、スクリーン印刷、グラビア印刷、凸版印刷等の印刷によって形成する。
【0093】
(セラミックペースト配置工程S2)
図9で示した第1のセラミックグリーンシート114Aに第1の内部電極層パターン115Aが形成されたシート上に、誘電体層14aを形成するセラミックぺースト114aを塗布する。誘電体層14aの厚さは、誘電体層14cの厚さの0.4~0.8倍である。
【0094】
セラミックペースト114aを第1のセラミックグリーンシート114A上の第1の内部電極層パターン115Aが配置されていない部分全体を埋めるように塗布するとともに、第1の内部電極層パターン115Aの第1の対向電極部15Aaの第1の端面側縁辺部15Ae1に相当する部分にオーバーラップするように塗布することにより、
図11に示す第1のシートS1を用意する。また、同様に、セラミックペースト114aを第1のセラミックグリーンシート114A上の第1の内部電極層パターン115Aが配置されていない部分全体を埋めるように塗布するとともに、第1の内部電極層パターン115Aの第1の対向電極部15Aaの第2の端面側縁辺部15Ae2に相当する部分にオーバーラップするように塗布することにより、
図12に示す第3のシートS3を用意する。
【0095】
図10で示した第2のセラミックグリーンシート114Bに第2の内部電極層パターン115Bが形成されたシート上に、誘電体層14bを形成するセラミックぺースト114bを塗布する。誘電体層14bの厚さは、誘電体層14cの厚さの0.4~0.8倍である。
【0096】
セラミックペースト114bを第2のセラミックグリーンシート114B上の第2の内部電極層パターン115Bが配置されていない部分全体を埋めるように塗布するとともに、第2の内部電極層パターン115Bの第1の側面側縁辺部15Be1に相当する部分にオーバーラップするように塗布することにより、
図13に示す第2のシートS2を用意する。また、同様に、セラミックペースト114bを第2のセラミックグリーンシート114B上の第2の内部電極層パターン115Bが配置されていない部分全体を埋めるように塗布するとともに、第2の内部電極層パターン115Bの第2の側面側縁辺部15Be2に相当する部分にオーバーラップするように塗布することにより、
図14に示す第4のシートS4を用意する。
【0097】
なお、セラミックぺースト114aおよびセラミックぺースト114bは、たとえば、スクリーン印刷、グラビア印刷、凸版印刷等の印刷によって付与する。セラミックぺースト114a、114bは、セラミックグリーンシート114の材料としての誘電体との成分比が異なっていてもよく、同じ成分比であってもよく、異なる成分を含むものであってもよい。
【0098】
(積層工程S3)
セラミックペースト配置工程S2において用意した各シートは、第1の内部電極層15Aを形成するシートと第2の内部電極層15Bを形成するシートが交互となり、さらに第1の内部電極層15Aを形成する第1シートと第3のシートが交互となり、第2の内部電極層15Bを形成する第2シートと第4シートが交互となるように積層する。すなわち、積層セラミックコンデンサ1は、本実施形態のように、例えば、第1シートS1、第2シートS2、第3シートS3、及び第4シートS4を順番に繰り返し積層することにより形成することができる。
【0099】
図15は、幅方向W中央のLT断面での積層体2の積層状態を説明する図である。
図15においては、説明の都合上、積層される複数のセラミックグリーンシートが離れている状態が模式的に示されている。
図15に示すように、第1のシートS1においては、セラミックペースト114aは第1の内部電極層15Aの第1の端面側縁辺部15Ae1に相当する位置の第1の内部電極層パターン115Aの上面を覆っている。また、第3のシートS3においては、セラミックペースト114aは第1の内部電極層15Aの第2の端面側縁辺部15Ae2に相当する位置の第1の内部電極層パターン115Aの上面を覆っている。セラミックペースト114aは、誘電体層14aを形成する。
【0100】
図16は、長さ方向L中央のWT断面での積層体2の積層状態を説明する図である。
図16においては、説明の都合上、積層される複数のセラミックグリーンシートが離れている状態が模式的に示されている。
図16に示すように、第2のシートS2においては、セラミックペースト114bは第2の内部電極層15Bの第1の側面側縁辺部15Be1に相当する位置の第2の内部電極層パターン115Bの上面を覆っている。また、第4のシートS4においては、セラミックペースト114bは第2の内部電極層15Bの第2の側面側縁辺部15Be2に相当する位置の第2の内部電極層パターン115Bの上面を覆っている。セラミックペースト114bは、誘電体層14bを形成する。
【0101】
さらに、このように積層されたものの積層方向Tの両側に、外層部12となる外層部用セラミックグリーンシート112を積み重ねる。
【0102】
(マザーブロック形成工程S4)
外層部用セラミックグリーンシート112と、積み重ねられた複数のシートとを静水圧プレスしてマザーブロックを形成する。
【0103】
(マザーブロック分割工程S5)
次いで、マザーブロックを長さ方向Lと幅方向Wとに切断して分割し、矩形の積層体2を複数製造する。
【0104】
(外部電極形成工程S6)
次に、積層体2の両端面Cに端面外部電極3を形成し、積層体2の両側面Bに側面外部電極4を形成する。
【0105】
第1の端面外部電極3aには第2の内部電極層15Bの第1の引き出し部15Bb1が接続し、第2の端面外部電極3bには第2の内部電極層15Bの第2の引き出し部15Bb2が接続する。端面外部電極3は、端面Cだけでなく、主面Aおよび側面Bの端面C側の一部も覆うように形成する。
【0106】
第1の側面外部電極4aには第1の内部電極層15Aの第1の側面側引き出し部15Ab1が接続し、第2の側面外部電極4bには第1の内部電極層15Aの第2の側面側引き出し部15Ab2が接続する。側面外部電極4は、側面Bだけでなく、主面Aの側面B側の一部も覆うように形成する。
【0107】
(焼成工程S7)
そして、設定された焼成温度で、窒素雰囲気中で所定時間加熱する。これにより、外部電極が積層体2に焼き付けられ、
図1に示す積層セラミックコンデンサ1が製造される。
【0108】
焼成工程では、積層チップに脱バインダ処理および焼成処理を施して、素体部(積層体2)にする。焼成処理により導電ペースト層と誘電体層用グリーンシートとが共焼結されて、それぞれ内部電極層15と誘電体層14とになる。脱バインダ処理の条件はグリーンシートおよび導電ペースト層に含まれる有機バインダの種類に応じて決めればよい。また焼成処理は、積層チップが十分に緻密化する温度で行えばよい。焼成温度は、誘電体や内部電極層の材料にもよるが、900℃~1400℃であることが好ましい。
【0109】
(外部電極形成工程S8)
必要に応じて、めっき層を設ける。本実施形態では焼き付け層上にNiめっき層およびSnめっき層を形成した。Niめっき層およびSnめっき層は、たとえばバレルめっき法により、順次形成される。このようにして、積層セラミックコンデンサ1を得ることができる。
【0110】
図17乃至
図19は、誘電体層14aがオーバーラップする第1の内部電極層15Aの位置と誘電体層14bがオーバーラップする第2の内部電極層15Bの位置を示すものであり、積層される各内部電極層15を積層方向Tから順に平面視した状態を模式的に示している。
【0111】
図17は、第1の内部電極層15Aにおいては、第1の端面側縁辺部15Ae1と第2の端面側縁辺部15Ae2の上面に誘電体層14aが交互にオーバーラップし、第2の内部電極層15Bにおいては第1の側面側縁辺部15Be1と第2の側面側縁辺部15Be2の上面に交互にオーバーラップしている。
図17に示す状態は、上記の製造方法に示す、第1のシートS1、第2のシートS2、第3のシートS3および第4のシートS4を用いることにより形成することができる。
【0112】
図18は、他の実施形態を示すものであり、第1の内部電極層15Aは、
図17に示すものと同様であるが、第2の内部電極層15Bにおいては、第1の側面側縁辺部15Be1と、第1の端面C1に向かい、幅方向Wの長さが漸減する台形形状の第1の移行領域15Bt1の第1の傾斜辺部15Bs1と、に誘電体層14bがオーバーラップした層と、第2の側面側縁辺部15Be2と、第2の端面C2に向かい、幅方向Wの長さが漸減する台形形状の第2の移行領域15Bt2の第2の傾斜辺部15Bs2と、に誘電体層14bがオーバーラップした層と、が交互に積層された状態を示す。
【0113】
図19は、さらに他の実施形態を示すものであり、第2の内部電極層15Bは、
図18に示すものと同様であるが、第1の内部電極層15Aにおいては、第1の端面側縁辺部15Ae1と、第1の対向電極部15Aaの第2の側面B2側の辺部分から第1の側面側引き出し部15Ab1と第2の側面側引き出し部15Ab2をつなぐ仮想領域を除いた範囲と、に誘電体層14aがオーバーラップする層と、第2の端面側縁辺部15Ae2と、第1の対向電極部15Aaの第1の側面B1側の辺部分から第1の側面側引き出し部15Ab1と第2の側面側引き出し部15Ab2をつなぐ仮想領域を除いた範囲と、に誘電体層14aがオーバーラップする層と、が交互に積層された状態を示す。
【0114】
図18及び
図19において、第2の内部電極層15Bの第1の移行領域15Bt1の第1の傾斜辺部15Bs1と第2の移行領域の15Bt2の第2の傾斜辺部15Bs2には、積層方向Tの一方側(図では手前側)に、交互に誘電体層14bがオーバーラップする。
【0115】
これにより、第2の内部電極層15Bの台形形状の第1の移行領域15Bt1の第1の傾斜辺部15Bs1と、かかる第1の傾斜辺部15Bs1に対して積層方向Tの一方側に隣り合って配置されている第2の内部電極層15Bとの間の積層方向Tの距離は、前記の第1の傾斜辺部15Bs1と、かかる第1の傾斜辺部15Bs1に対して積層方向Tの他方側に隣り合って配置されている第2の内部電極層15Bとの間の積層方向Tの距離よりも長くなる。
【0116】
また、前記の第2の内部電極層15Bの台形形状の第2の移行領域15Bt2の第2の傾斜辺部15Bs2と、かかる第2の傾斜辺部15Bs2対して積層方向Tの一方側に隣り合って配置されている第2の内部電極層15Bとの間の積層方向Tの距離は、前記の第2の傾斜辺部15Bs2と、かかる第2の傾斜辺部15Bs2に対して積層方向Tの他方側に隣り合って配置されている第2の内部電極層15Bとの間の積層方向Tの距離よりも短くなる。
【0117】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。本発明は、以下の組み合わせを含む。
【0118】
<1>
複数の積層された誘電体層と、前記誘電体層上に積層された複数の内部電極層とを有し、積層方向に相対する第1の主面および第2の主面と、積層方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、前記積層方向および前記長さ方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面を有する積層体と、
3つ以上の外部電極と、を有する積層セラミックコンデンサであって、
前記複数の内部電極層は、複数の第1の内部電極層と、複数の第2の内部電極層と、を有し、
前記第1の内部電極層は、前記誘電体層を介して前記第2の内部電極層と対向する第1の対向電極部と、前記第1の対向電極部から延び前記積層体の第1の側面に引き出される第1の側面側引き出し部と、を有し、
前記第2の内部電極層は、前記誘電体層を介して前記第1の内部電極層と対向する第2の対向電極部と、前記第2の対向電極部から延び前記積層体の第1の表面部に引き出される第1の引き出し部と、前記第2の対向電極部から延び前記積層体の第2の表面部に引き出される第2の引き出し部と、を有し、
前記3つ以上の外部電極は、前記第1の側面側引き出し部と接続される第1の側面外部電極と、前記第1の引き出し部と接続される第1の外部電極と、前記第2の引き出し部に接続される第2の外部電極と、を有し、
前記第1の対向電極部は、前記第1の端面側に位置する第1の端面側縁辺部と、第2の端面側に位置する第2の端面側縁辺部と、を有し、
前記幅方向中央部の、前記長さ方向及び前記積層方向に沿った断面において、
前記第1の対向電極部の前記第1の端面側縁辺部と、前記第1の対向電極部の前記第1の端面側縁辺部に対して前記積層方向の一方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層との間の前記積層方向の距離T1Aは、前記第1の対向電極部の前記第1の端面側縁辺部と、前記第1の対向電極部の前記第1の端面側縁辺部に対して前記積層方向の他方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層との間の前記積層方向の距離T1Bよりも長く、
前記第1の対向電極部の前記第2の端面側縁辺部と、前記第1の対向電極部の前記第2の端面側縁辺部に対して前記積層方向の一方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層との間の前記積層方向の距離T1Cは、前記第1の対向電極部の前記第2の端面側縁辺部と、前記第1の対向電極部の前記第2の端面側縁辺部に対して前記積層方向の他方側に隣り合って配置されている第1の内部電極層との間の前記積層方向の距離T1Dよりも短い、積層セラミックコンデンサ。
<2>
前記第2の対向電極部は、前記第1の側面側に位置する第1の側面側縁辺部と、第2の側面側に位置する第2の側面側縁辺部と、を有し、
前記長さ方向中央部の、前記幅方向及び前記積層方向に沿った断面において、
前記第2の対向電極部の前記第1の側面側縁辺部と、前記第2の対向電極部の前記第1の側面側縁辺部に対して前記積層方向の一方側に隣り合って配置されている第2の内部電極層との間の前記積層方向の距離T2Aは、前記第2の対向電極部の前記第2の側面側縁辺部と、前記第2の対向電極部の前記第2の側面側縁辺部に対して前記積層方向の他方側に隣り合って配置されている第2の内部電極層との間の前記積層方向の距離T2Bよりも長く、
前記第2の対向電極部の前記第2の側面側縁辺部と、前記第2の対向電極部の前記第2の側面側縁辺部に対して前記積層方向の一方側に隣り合って配置されている第2の内部電極層との間の前記積層方向の距離T2Cは、前記第2の対向電極部の前記第2の側面側縁辺部と、前記第2の対向電極部の前記第2の側面側縁辺部に対して前記積層方向の他方側に隣り合って配置されている第2の内部電極層との間の前記積層方向の距離T2Dよりも短い、<1>に記載の積層セラミックコンデンサ。
<3>
前記第1の内部電極層は、前記第1の対向電極部から延び前記積層体の第2の側面に引き出される第2の側面側引き出し部をさらに有し、
前記3つ以上の外部電極は、前記第2の側面側引き出し部に接続される第2の側面外部電極をさらに有する、<1>または<2>に記載の積層セラミックコンデンサ。
<4>
前記第1の側面側引き出し部の前記長さ方向の長さは、前記第1の対向電極部の前記長さ方向の長さよりも短く、
前記第2の側面側引き出し部の前記長さ方向の長さは、前記第1の対向電極部の前記長さ方向の長さよりも短い、<3>に記載の積層セラミックコンデンサ。
<5>
前記第1の表面部の少なくとも一部は、前記第1の端面の一部であり、
前記第2の表面部の少なくとも一部は、前記第2の端面の一部である、<1>~<4>のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
<6>
前記第1の引き出し部の前記幅方向の長さは、前記第2の対向電極部の前記幅方向の長さよりも短く、
前記第2の引き出し部の前記幅方向の長さは、前記第2の対向電極部の前記幅方向の長さよりも短い、<1>~<5>のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
【符号の説明】
【0119】
A 主面
A1 第1の主面
A2 第2の主面
B 側面
B1 第1の側面
B2 第2の側面
C 端面
C1 第1の端面
C2 第2の端面
T1A、T1B、T1C、T1D 距離
T2A、T2B、T2C、T2D 距離
T 積層方向
W 幅方向
L 長さ方向
1 積層セラミックコンデンサ
2 積層体
3 端面外部電極
3a 第1の端面外部電極
3b 第2の端面外部電極
4 側面外部電極
4a 第1の側面外部電極
4b 第2の側面外部電極
11 内層部
12 外層部
14 誘電体層
14a 誘電体層
14b 誘電体層
14c 誘電体層
15 内部電極層
15A 第1の内部電極層
15Aa 第1の対向電極部
15Ab1 第1の側面側引き出し部
15Ab2 第2の側面側引き出し部
15Ae1 第1の端面側縁辺部
15Ae2 第2の端面側縁辺部
15B 第2の内部電極層
15Ba 第2の対向電極部
15Bb1 第1の引き出し部
15Bb2 第2の引き出し部
15Be1 第1の側面側縁辺部
15Be2 第2の側面側縁辺部
15Bt1 第1の移行領域
15Bt2 第2の移行領域
15Bw1 第1の延出領域
15Bw2 第2の延出領域