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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162477
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】情報通知装置及び情報通知方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078014
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】金子 智彦
(72)【発明者】
【氏名】森村 純一
(72)【発明者】
【氏名】丸山 俊
(72)【発明者】
【氏名】平池 龍馬
(72)【発明者】
【氏名】小見 聡
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB20
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181EE02
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF32
5H181FF35
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL08
5H181MC24
5H181MC25
(57)【要約】
【課題】自車両が走行しているときに、自車両から後続車両に情報を分かりやすく伝える。
【解決手段】情報通知装置は、自車両1が走行しているときに、自車両の走行に影響する障害情報を検出する障害情報検出部14と、自車両の後方に位置する後続車両100から視認されるように自車両に設けられたディスプレイ5を介して、障害情報と、障害情報に起因して生じる自車両の挙動に関する挙動情報との少なくとも一方の情報を後続車両に通知する通知制御部15とを備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行しているときに、該自車両の走行に影響する障害情報を検出する障害情報検出部と、
前記自車両の後方に位置する後続車両から視認されるように該自車両に設けられたディスプレイを介して、前記障害情報と、該障害情報に起因して生じる前記自車両の挙動に関する挙動情報との少なくとも一方の情報を前記後続車両に通知する通知制御部と
を備える、情報通知装置。
【請求項2】
前記後続車両のドライバの位置を検出するドライバ位置検出部を更に備え、
前記ディスプレイは、前記自車両における配置位置が異なる複数の表示部を有し、
前記通知制御部は、前記少なくとも一方の情報を前記後続車両に通知するときに、前記後続車両のドライバの位置に応じて、前記ディスプレイにおける前記少なくとも一方の情報の表示位置を変更する、請求項1に記載の情報通知装置。
【請求項3】
前記通知制御部は、前記障害情報に基づいて前記後続車両にもたらされるリスクレベルが高いときには、該リスクレベルが低いときと比べて、前記少なくとも一方の情報が表示される前記表示部の数を多くする、請求項2に記載の情報通知装置。
【請求項4】
前記通知制御部は、前記障害情報に基づいて前記後続車両の推奨動作を決定し、前記ディスプレイを介して該推奨動作を前記後続車両に通知する、請求項1から3のいずれか1項に記載の情報通知装置。
【請求項5】
コンピュータにより実行される情報通知方法であって、
自車両が走行しているときに、該自車両の走行に影響する障害情報を検出することと、
前記自車両の後方に位置する後続車両から視認されるように該自車両に設けられたディスプレイを介して、前記障害情報と、該障害情報に起因して生じる前記自車両の挙動に関する挙動情報との少なくとも一方の情報を前記後続車両に通知することと
を含む、情報通知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報通知装置及び情報通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自車両の前方に位置する歩行者と、自車両の後方に位置する後続車両との衝突の危険がある場合に、危険を報知する用途とは異なる用途で自車両に搭載された危険報知手段(例えば、ヘッドライト、クラクション等)を用いて歩行者及び後続車両に衝突の危険を報知することが記載されている。
【0003】
特許文献2には、自車両の前方に位置する駐車車両によって遮断された歩行者を歩車間通信によって検出した場合に、その歩行者の情報(歩行者のアイコン及び歩行者が視認されるまでの時間)を自車両のHMIに表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-174449号公報
【特許文献2】特開2013-120574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、自車両から後続車両に対して光又は音が発せられる。しかしながら、斯かる通知には具体的な内容が含まれていないため、後続車両のドライバは斯かる通知の意味を把握できないおそれがある。また、特許文献2に記載の技術では、そもそも、自車両から後続車両に情報を通知することが想定されていない。
【0006】
そこで、上記課題に鑑みて、本発明の目的は、自車両が走行しているときに、自車両から後続車両に情報を分かりやすく伝えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0008】
(1)自車両が走行しているときに、該自車両の走行に影響する障害情報を検出する障害情報検出部と、前記自車両の後方に位置する後続車両から視認されるように該自車両に設けられたディスプレイを介して、前記障害情報と、該障害情報に起因して生じる前記自車両の挙動に関する挙動情報との少なくとも一方の情報を前記後続車両に通知する通知制御部とを備える、情報通知装置。
【0009】
(2)前記後続車両のドライバの位置を検出するドライバ位置検出部を更に備え、前記ディスプレイは、前記自車両における配置位置が異なる複数の表示部を有し、前記通知制御部は、前記少なくとも一方の情報を前記後続車両に通知するときに、前記後続車両のドライバの位置に応じて、前記ディスプレイにおける前記少なくとも一方の情報の表示位置を変更する、上記(1)に記載の情報通知装置。
【0010】
(3)前記通知制御部は、前記障害情報に基づいて前記後続車両にもたらされるリスクレベルが高いときには、該リスクレベルが低いときと比べて、前記少なくとも一方の情報が表示される前記表示部の数を多くする、上記(2)に記載の情報通知装置。
【0011】
(4)前記通知制御部は、前記自車両が前記障害情報に応じて進路を変更する場合には、前記ディスプレイを介して、該自車両の進路の変更情報を前記後続車両に通知する、上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の情報通知装置。
【0012】
(5)前記通知制御部は、前記障害情報に基づいて前記後続車両の推奨動作を決定し、前記ディスプレイを介して該推奨動作を前記後続車両に通知する、上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の情報通知装置。
【0013】
(6)コンピュータにより実行される情報通知方法であって、自車両が走行しているときに、該自車両の走行に影響する障害情報を検出することと、前記自車両の後方に位置する後続車両から視認されるように該自車両に設けられたディスプレイを介して、前記障害情報と、該障害情報に起因して生じる前記自車両の挙動に関する挙動情報との少なくとも一方の情報を前記後続車両に通知することとを含む、情報通知方法。。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、自車両が走行しているときに、自車両から後続車両に情報を分かりやすく伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第一実施形態に係る情報通知装置が設けられた車両の構成の一部を概略的に示す図である。
図2】車両の概略的な側面図である。
図3】車両の前方に落下物が存在する状況の一例を示す図である。
図4】第一実施形態における通知処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
図5】後続車両に通知するためにディスプレイに表示される情報の一例を示す図である。
図6】後続車両に通知するためにディスプレイに表示される挙動情報及びリスクレベルの一例を示す図である。
図7】本発明の第二実施形態におけるECUのプロセッサの機能ブロック図である。
図8】複数の表示部を有するディスプレイの一例を示す図である。
図9】第二実施形態における通知処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0017】
<第一実施形態>
以下、図1図6を参照して、本発明の第一実施形態について説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る情報通知装置が設けられた車両1の構成の一部を概略的に示す図である。
【0018】
図1に示されるように、車両1は、周辺情報取得装置2、車両挙動検出装置3、ヒューマンマシンインタフェース(HMI:Human Machine Interface)4、ディスプレイ5、通信装置6及び電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)10を備える。周辺情報取得装置2、車両挙動検出装置3、HMI4、ディスプレイ5及び通信装置6は、CAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した車内ネットワーク等を介してECU10に電気的に接続される。
【0019】
周辺情報取得装置2は車両1(自車両)の周囲のデータ(画像、点群データ等)を車両1の周辺情報として取得する。例えば、周辺情報取得装置2は、ミリ波レーダ、カメラ(単眼カメラ又はステレオカメラ)、ライダ(LIDAR:Laser Imaging Detection And Ranging))、若しくは超音波センサ(ソナー)、又はこれらの任意の組み合わせを含む。周辺情報取得装置2の出力、すなわち周辺情報取得装置2によって取得された車両1の周辺情報はECU10に送信される。
【0020】
図2は、車両1の概略的な側面図である。図2に示されるように、車両1にはフロントカメラ2aが設けられる。フロントカメラ2aは、車両1の前方を撮影するように車両1の前部(例えば、車内1のルームミラーの背面、フロントバンパー等)に配置される。フロントカメラ2aは車両1の前方を撮影して車両1の前方の画像を生成する。フロントカメラ2aは周辺情報取得装置2の一例である。
【0021】
車両挙動検出装置3は、車両1の挙動を示すパラメータを検出する。車両挙動検出装置3は、例えば、車両1の速度を検出する車速センサ(例えば車輪速センサ)、車両1のヨーレートを検出するヨーレートセンサ、車両1のブレーキペダルの踏み込み力を検出するブレーキペダルストロークセンサ、車両1のステアリングの舵角を検出する舵角センサ等を含む。車両挙動検出装置3の出力、すなわち車両挙動検出装置3によって検出されたパラメータはECU10に送信される。
【0022】
HMI4は、車室内に設けられ、車両1と車両1の乗員(例えばドライバ)との間で情報の授受を行う。HMI4は、車両1の乗員に情報を提供する出力部(例えば、ディスプレイ、スピーカ、光源、振動ユニット等)と、車両1の乗員によって情報が入力される入力部(例えば、タッチパネル、操作ボタン、操作スイッチ、マイクロフォン等)とを有する。ECU10の出力はHMI4を介して車両1の乗員に通知され、車両1の乗員からの入力はHMI4を介してECU10に送信される。HMI4は、入力装置、出力装置又は入出力装置の一例である。なお、車両1の乗員の携帯端末(スマートフォン、タブレット端末等)が、有線又は無線によってECU10と通信可能に接続され、HMI4として機能してもよい。
【0023】
ディスプレイ5は、車両1の後方に位置する後続車両に視認されるように車両1に設けられる。なお、本明細書において、後続車両とは、車両1と同一の車線において車両1の後方を走行する車両を意味する。ECU10の出力はディスプレイ5を介して後続車両に通知される。図2に示されるように、車両1にはリアディスプレイ5aが設けられる。リアディスプレイ5aは、車両1の後部(例えばナンバープレートの上であってテールランプの間)に配置され、車両1の後方に向かって情報を表示する。リアディスプレイ5aはディスプレイ5の一例である。なお、ディスプレイ5は車両1の頂部に設けられてもよい。また、ディスプレイ5は、後続車両から視認可能であれば、車室内に設けられてもよい。
【0024】
通信装置6は、車両1の外部と通信可能であり、車両1と車両1の外部との通信を可能とする。例えば、通信装置6は、キャリア網又はインターネット網のような通信ネットワークを介して車両1と車両1の外部(例えばサーバ)との広域無線通信を可能とする広域通信機と、所定の周波数帯を用いて車両1と周辺車両との車車間通信を可能とする車車間通信機と、所定の周波数帯を用いて車両1と路側機との路車間通信を可能とする路車間通信機とを含む。
【0025】
ECU10は車両1の各種制御を実行する。図1に示されるように、ECU10は、通信インターフェース11、メモリ12及びプロセッサ13を備える。通信インターフェース11及びメモリ12は信号線を介してプロセッサ13に接続されている。なお、本実施形態では、一つのECU10が設けられているが、機能毎に複数のECUが設けられていてもよい。
【0026】
通信インターフェース11は、ECU10を車内ネットワークに接続するためのインターフェース回路を有する。ECU10は通信インターフェース11を介して他の車載機器に接続される。
【0027】
メモリ12は、例えば、揮発性の半導体メモリ及び不揮発性の半導体メモリを有する。メモリ12は、プロセッサ13によって各種処理が実行されるときに使用されるプログラム、データ等を記憶する。
【0028】
プロセッサ13は、一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。なお、プロセッサ13は、論理演算ユニット又は数値演算ユニットのような演算回路を更に有していてもよい。
【0029】
図3は、車両1の前方に落下物が存在する状況の一例を示す図である。図3の例では、車両1の後方を後続車両100が走行しているときに、車両1が右側に移動して落下物を回避しようとしている。斯かる状況では、後続車両100のドライバが車両1の前方の落下物を視認できず、後続車両100に危険が生じるおそれがある。そこで、本実施形態では、ECU10が、後続車両に視覚的な情報を通知する情報通知装置として機能し、車両1の走行に影響する障害情報を後続車両100に通知する。
【0030】
図1に示されるように、本実施形態では、ECU10のプロセッサ13は障害情報検出部14及び通知制御部15を有する。障害情報検出部14及び通知制御部15は、ECU10のメモリ12に記憶されたプログラムをECU10のプロセッサ13が実行することによって実現される機能モジュールである。なお、これら機能モジュールは、それぞれ、プロセッサ13に設けられた専用の演算回路によって実現されてもよい。
【0031】
障害情報検出部14は、車両1が走行しているときに、車両1の走行に影響する障害情報(以下、単に「障害情報」と称する)を検出する。例えば、障害情報検出部14は、周辺情報取得装置2によって取得された周辺情報に基づいて、落下物、故障車、事故現場、工事現場、車線規制情報等を障害情報として検出する。この場合、障害情報検出部14は、機械学習モデル(例えば、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト等)のような画像認識技術を用いて障害情報を検出する。また、障害情報検出部14は、車両挙動検出装置3の車輪速センサの出力等に基づいて路面のスリップを障害情報として検出してもよい。
【0032】
通知制御部15はディスプレイ5を制御してディスプレイ5による通知を制御する。通常、車両1の後方に位置する後続車両から車両1の前方の状況を把握することは困難である。このため、通知制御部15はディスプレイ5を介して後続車両に情報を通知する。具体的には、通知制御部15は、ディスプレイ5を介して、障害情報検出部14によって検出された障害情報を後続車両に通知する。文字又は画像が表示されるディスプレイ5を介して後続車両に情報を通知することによって、車両1が走行しているときに、車両1から後続車両に情報を分かりやすく伝えることができる。また、障害情報を後続車両に通知することによって、障害情報によって後続車両にもたらさせる危険を低減することができる。
【0033】
以下、図4を参照して、上述した制御の処理フローについて説明する。図4は、第一実施形態における通知処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンはECU10のプロセッサ13によって所定の実行間隔で繰り返し実行される。
【0034】
最初に、ステップS101において、プロセッサ13の通知制御部15は、プロセッサ13の障害情報検出部14によって障害情報が検出されたか否かを判定する。障害情報が検出されていないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、障害情報が検出されたと判定された場合、本制御ルーチンはステップS102に進む。
【0035】
ステップS102では、通知制御部15は、ディスプレイ5を介して、障害情報検出部14によって検出された障害情報を後続車両100に通知する。ステップS102の後、本制御ルーチンは終了する。
【0036】
なお、通知制御部15は、車両1が障害情報に応じて進路を変更する場合(例えば図3に示されるような状況)には、ディスプレイ5を介して、車両1の進路の変更情報を後続車両100に通知してもよい。このことによって、後続車両100のドライバが車両1の挙動の変化を迅速に認識することが可能となり、後続車両100の安全性を更に高めることができる。
【0037】
また、通知制御部15は、障害情報に基づいて後続車両100の推奨動作を決定し、ディスプレイ5を介して推奨動作を後続車両100に通知してもよい。このことによって、後続車両100のドライバが、障害情報によって後続車両100にもたらされる危険に迅速に対処することが可能となる。例えば、図3に示されるように、車両1の前方に存在する落下物が障害情報であるときに、通知制御部15は右の車線への車線変更を後続車両100の推奨動作として決定する。
【0038】
図5は、後続車両100に通知するためにディスプレイ5に表示される情報の一例を示す図である。図5の例では、後続車両100に通知される情報として、文字情報がディスプレイ5に表示される。具体的には、「前方に落下物!」との文字によって、車両1の前方に存在する落下物が障害情報として後続車両100に通知される。また、「右に回避します」との文字によって車両1の進路の変更情報が後続車両100に通知され、「右の車線に移動して下さい」との文字によって後続車両100の推奨動作が後続車両100に通知される。
【0039】
なお、通知制御部15は、車両1に設けられたフロントカメラ2aによって生成された画像をディスプレイ5に表示することによって障害情報を後続車両100に通知してもよい。このようにカメラ画像をそのままディスプレイ5に表示することによって、後続車両100のドライバが車両1の視点で車両1の前方の障害情報を確認することが可能となる。なお、この場合、フロントカメラ2aによって生成された画像に、車両1の進路の変更情報、後続車両100の推奨動作の通知等が重畳されてもよい。
【0040】
また、通知制御部15は、ディスプレイ5を介して、障害情報の代わりに又は障害情報に加えて、障害情報に起因して生じる車両1の挙動に関する挙動情報(以下、単に「挙動情報」と称する)を後続車両100に通知してもよい。すなわち、本実施形態では、通知制御部15はディスプレイ5を介して障害情報及び挙動情報の少なくとも一方の情報を後続車両100に通知する。挙動情報は、例えば、障害情報に起因して生じる車両1の制動又は操舵に関する情報である。
【0041】
また、通知制御部15は、ディスプレイ5を介して、障害情報に基づいて後続車両100にもたらされるリスクレベルを後続車両100に通知してもよい。このことによって、後続車両100のドライバが直感的に危険を察知することが可能となる。
【0042】
図6は、後続車両100に通知するためにディスプレイ5に表示される挙動情報及びリスクレベルの一例を示す図である。図6の例では、挙動情報として、車両1の右への操舵を示すステアリング画像と、操舵量を示す矢印の画像(矢印の長さが操舵量を示す)とがディスプレイ5に表示される。また、リスクレベルとして、リスクレベルを示す棒状の画像がディスプレイ5に表示される。図6に示される棒状の画像は、リスクレベルが5段階のうちレベル4であることを示し、ディスプレイ5上で、棒の長さが短い順に四つの棒が順次点灯される。
【0043】
<第二実施形態>
第二実施形態に係る情報通知装置は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態に係る情報通知装置の構成及び制御と同様である。このため、以下、本発明の第二実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0044】
図7は、本発明の第二実施形態におけるECU10のプロセッサ13の機能ブロック図である。図7に示されるように、本実施形態では、ECU10のプロセッサ13は障害情報検出部14及び通知制御部15に加えてドライバ位置検出部16を有する。障害情報検出部14、通知制御部15及びドライバ位置検出部16は、ECU10のメモリ12に記憶されたプログラムをECU10のプロセッサ13が実行することによって実現される機能モジュールである。なお、これら機能モジュールは、それぞれ、プロセッサ13に設けられた専用の演算回路によって実現されてもよい。
【0045】
ドライバ位置検出部16は、車両1の後方に位置する後続車両100のドライバの位置を検出する。例えば、ドライバ位置検出部16は、周辺情報取得装置2(例えば、車両1の後部に設けられたリアカメラ又はリアライダ)によって取得された周辺情報に基づいて、後続車両100のドライバの位置を検出する。この場合、ドライバ位置検出部16は、機械学習モデル(例えば、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト等)のような画像認識技術を用いて、後続車両100のステアリング若しくはインストルメントパネル又は後続車両100のドライバを検出することによって後続車両100のドライバの位置を検出する。
【0046】
第二実施形態では、ディスプレイ5は、車両1における配置位置が異なる複数の表示部を有する。図8は、複数の表示部を有するディスプレイの一例を示す図である。図8の例では、ディスプレイ5は、左右方向に二つに分割され、車両1の右側に配置された右側表示部51と、車両1の左側に配置された左側表示部52とを有する。右側表示部51及び左側表示部52はそれぞれECU10に電気的に接続され、通知制御部15は右側表示部51の表示内容と左側表示部52の表示内容とを別々に制御することができる。
【0047】
図8に示されるようにディスプレイ5が複数の表示部を有する場合、後続車両100のドライバが視認すべき情報がドライバの正面の表示部に表示されることが望ましい。このため、通知制御部15は、障害情報及び挙動情報の少なくとも一方の情報を後続車両100に通知するときに、後続車両100のドライバの位置に応じて、ディスプレイ5における情報の表示位置を変更する。このことによって、後続車両100に通知される情報の視認性を高めることができ、車両1が走行しているときに、車両1から後続車両100に情報を分かりやすく伝えることができる。
【0048】
ディスプレイ5が右側表示部51及び左側表示部52を有する場合、ドライバ位置検出部16は後続車両100のドライバの左右方向の位置を検出する。ドライバ位置検出部16は、後続車両100の右側にステアリング等を検出したときにはドライバの位置が右であると判別し、後続車両100の左側にステアリング等を検出したときにはドライバの位置が左であると判別する。通知制御部15は、後続車両100のドライバの位置が右であるときには障害情報及び挙動情報の少なくとも一方の情報を右側表示部51に表示し、後続車両100のドライバの位置が左であるときには障害情報及び挙動情報の少なくとも一方の情報を左側表示部52に表示する。
【0049】
一方、通知制御部15は、障害情報及び挙動情報が表示されない表示部の表示をオフにする。このことによって、ディスプレイ5を介して後続車両100のドライバに必要な情報を伝達しつつ、ディスプレイ5の消費電力を低減することができる。なお、通知制御部15は、障害情報及び挙動情報が表示されない表示部に、広告のような他の情報を表示してもよい。例えば、図8に示されるように、後続車両100が左ハンドルの車両である場合、すなわち後続車両100のドライバの位置が左である場合、通知制御部15は、障害情報及び挙動情報の少なくとも一方の情報を左側表示部52に表示し、広告を右側表示部51に表示してもよい。
【0050】
図9は、第二実施形態における通知処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンはECU10のプロセッサ13によって所定の実行間隔で繰り返し実行される。
【0051】
最初に、ステップS201において、プロセッサ13のドライバ位置検出部16は、後続車両100のドライバの位置を検出する。
【0052】
次いで、ステップS202において、プロセッサ13の通知制御部15は、プロセッサ13の障害情報検出部14によって障害情報が検出されたか否かを判定する。障害情報が検出されていないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、障害情報が検出されたと判定された場合、本制御ルーチンはステップS203に進む。
【0053】
ステップS203では、通知制御部15は、ドライバ位置検出部16によって検出されたドライバの位置に基づいて、ディスプレイ5における情報の表示位置を決定する。例えば、後続車両100のドライバの位置が右である場合には、通知制御部15は情報の表示位置をディスプレイ5の右側表示部51に決定する。一方、後続車両100のドライバの位置が左である場合には、通知制御部15は情報の表示位置をディスプレイ5の左側表示部52に決定する。
【0054】
次いで、ステップS204において、通知制御部15はディスプレイ5を介して障害情報及び挙動情報の少なくとも一方の情報を後続車両100に通知する。このとき、例えばステップS203において決定された情報の表示位置が右側表示部51である場合には、通知制御部15は、障害情報及び挙動情報の少なくとも一方の情報を右側表示部51に表示し、左側表示部52の表示をオフにする。なお、この場合、通知制御部15は左側表示部52に広告のような他の情報を表示してもよい。ステップS204の後、本制御ルーチンは終了する。なお、ステップS201はステップS202とS203との間に実行されてもよい。
【0055】
また、ディスプレイ5は、上下方向に二つに分割され、車両1の上側に配置された上側表示部と、車両1の下側に配置された下側表示部とを有していてもよい。この場合、ドライバ位置検出部16は、例えば、後続車両100の車高に基づいて、後続車両100のドライバの上下方向の位置を検出する。通知制御部15は、後続車両100の車高が所定値以上であるときにはドライバの位置が上であると判別し、後続車両100の車高が所定値未満であるときにはドライバの位置が下であると判別する。後続車両100の車高は、周辺情報取得装置2によって取得された周辺情報に基づいて検出され、又は車両1と後続車両100との車車間通信を介して取得される。
【0056】
また、ドライバの左右方向の位置と同様に、ドライバ位置検出部16は、機械学習モデル(例えば、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト等)のような画像認識技術を用いて、後続車両100のステアリング若しくはインストルメントパネル又は後続車両100のドライバを検出することによって後続車両100のドライバの位置を検出してもよい。通知制御部15は、後続車両100のドライバの位置が上であるときには情報を上側表示部に表示し、後続車両100のドライバの位置が下であるときには情報を下側表示部に表示する。この場合も、障害情報及び挙動情報が表示されない表示部はオフにされ又は広告のような他の情報を表示する。
【0057】
また、ディスプレイ5は、上下方向及び左右方向に四つに分割され、車両1の右上側に配置された右上側表示部と、車両1の右下側に配置された右下側表示部と、車両1の左上側に配置された左上側表示部と、車両1の左下側に配置された左下側表示部とを有していてもよい。この場合、ドライバ位置検出部16は、上述したような方法によって後続車両100のドライバの左右方向及び上下方向の位置を検出する。通知制御部15は、後続車両100のドライバの位置が右上であるときには情報を右上側表示部に表示し、後続車両100のドライバの位置が右下であるときには情報を右下側表示部に表示し、後続車両100のドライバの位置が左上であるときには情報を左上側表示部に表示し、後続車両100のドライバの位置が左下であるときには情報を左下側表示部に表示する。この場合も、障害情報及び挙動情報が表示されない表示部はオフにされ又は広告のような他の情報を表示する。
【0058】
また、通知制御部15は、障害情報に基づいて後続車両100にもたらされるリスクレベルが高いときには、リスクレベルが低いときと比べて、障害情報及び挙動情報の少なくとも一方の情報が表示されるディスプレイ5の表示部の数を多くしてもよい。例えば、通知制御部15は、リスクレベルが所定値以上であるときには、後続車両100のドライバの位置に関わらず、障害情報及び挙動情報の少なくとも一方の情報をディスプレイ5の全ての表示部に表示する。このことによって、リスクレベルに応じた適切な強度で後続車両100に危険を通知することができる。例えば、通知制御部15は、後続車両100と車両1との衝突余裕時間(TTC:Time To Collision)を算出し、TTCに基づいてリスクレベルを算出する。この場合、TTCが短いほど、リスクレベルが高くされる。
【0059】
<その他の実施形態>
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、様々な修正及び変更を施すことができる。例えば、後続車両100へのドライバへの提示を目的として障害情報及び挙動情報以外の情報(例えば広告等)がディスプレイ5に表示され、通知制御部15は後続車両100のドライバの位置に応じてディスプレイ5における情報の表示位置を変更してもよい。
【0060】
また、通知制御部15は、後続車両100への通知に加えて、路車間通信又は広域無線通信を介して障害情報を車両1の外部の施設(例えば、道路交通情報センタ、警察署、情報管理サーバ等)に送信してもよい。このことによって、車両を介して様々な場所で発見された障害情報を効率的に集約することができる。
【0061】
また、車両1の後方に複数の後続車両が存在する場合、先頭の後続車両から最後尾の後続車両まで順次情報が伝達されてもよい。この場合、後続車両は、前方の車両から情報が通知されると、自車両よりも更に後方の車両に同様の情報を通知する。このとき、後続車両がディスプレイ5のような表示装置を有している場合には、表示装置を介して情報が通知され、後続車両がディスプレイ5のような表示装置を有していない場合には、車車間通信を介して情報が通知される。
【0062】
また、ECU10のプロセッサ13が有する各部の機能をコンピュータに実現させるコンピュータプログラムは、コンピュータによって読取り可能な記録媒体に記憶された形で提供されてもよい。コンピュータによって読取り可能な記録媒体は、例えば、磁気記録媒体、光記録媒体又は半導体メモリである。
【0063】
また、プロセッサ及びメモリを有するディスプレイ制御装置がディスプレイ5と共に車両1に取り付けられ、斯かるディスプレイ制御装置が、情報通知装置として機能し、上述したような情報通知方法を実行してもよい。また、通信ネットワークのような広域無線通信を介して車両1と通信可能なサーバ又は管制センタが、情報通知装置として機能し、上述したような情報通知方法を実行してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 車両(自車両)
5 ディスプレイ
51 右側表示部
52 左側表示部
10 電子制御ユニット(ECU)
13 プロセッサ
14 障害情報検出部
15 通知制御部
16 ドライバ位置検出部
100 後続車両
図1
図2
図3
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図8
図9