(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162493
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】車両速度計測システム
(51)【国際特許分類】
G01P 3/36 20060101AFI20241114BHJP
G01M 17/007 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G01P3/36 C
G01M17/007 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078041
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永野 弘樹
(57)【要約】
【課題】トンネルなどの閉鎖空間内において走行する車両の速度をより正確に計測する。
【解決手段】本開示の一形態における車両速度計測システムは、トンネルなどの閉鎖空間内を試験走行する車両の速度を計測する車両速度計測システムであって、車両から側方を検出可能にそれぞれ搭載されて閉鎖空間内に付与された計測パターンを検出する複数の計測センサと、これらの複数の計測センサでそれぞれ検出した計測パターンの変位差に基づいてトンネル内を走行する車両の速度および鉛直軸周りの回転量を算出する制御装置と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖空間内を試験走行する車両の速度を計測する車両速度計測システムであって、
前記車両から側方を検出可能にそれぞれ搭載されて前記閉鎖空間内に付与された計測パターンを検出する複数の計測センサと、
前記複数の計測センサでそれぞれ検出した前記計測パターンの変位差に基づいて、前記閉鎖空間内を走行する前記車両の速度および鉛直軸周りの回転量(ヨーイング量)を算出する制御装置と、
を含む、車両速度計測システム。
【請求項2】
前記計測パターンは、前記閉鎖空間内のうち前記車両の両側にそれぞれ付与された第1計測パターンと第2計測パターンを含み、
前記複数の計測センサは、前記車両の一方のサイドに配置された前記第1計測パターンを検出可能な第1側方計測センサと、前記一方のサイドとは反対側の他方のサイドに配置された前記第2計測パターンを検出可能な第2側方計測センサと、を含む、
請求項1に記載の車両速度計測システム。
【請求項3】
前記計測センサは、前記計測パターンを光学的に検出可能なレーザー照射装置、又は、前記計測パターンを撮像可能な撮像装置である、請求項2に記載の車両速度計測システム。
【請求項4】
前記閉鎖空間はトンネルであり、
前記制御装置は、前記トンネルの内部に敷設された試験路を走行する前記車両の前記速度および前記回転量を算出する、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両速度計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えばトンネルなどの閉鎖空間を走行する車両の速度を計測可能な車両速度計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
路上を走行する車両には様々な性能が求められる。このような性能を車両が満たすか否かについて、様々な環境下において車両の試験走行が行われる。試験走行では、走行する車両の速度(以下、「車速」とも称する)を正確に測定することが重要となる。
【0003】
車両の車速を計測する手法としては、例えば車両に搭載されたCAN(Controller Area Network)情報を取得することで測定したり、車両の外部に公知の対地車速センサを装着して測定したりすることが一般的に行われている。その他、例えば特許文献1では、車両の外部に配置したカメラによって車両の前部や側部での撮影画像の特徴領域を探索して車速を算出することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述した特許文献に限らず現在の技術では市場のニーズを適切に満たしているとは言えず、以下に述べる課題が存在する。
まず上記したCAN情報を用いた車速の計測については、CAN情報の収集などが比較的煩雑となってしまい、車速を計測する際の測定誤差につながりやすいといった課題がある。
【0006】
また、特許文献1にも例示されるように、車両の外面に対地車速センサなどを装着して車速を取得することも可能であるものの、かような対地車速センサは通常の装備とは異なる突起物として測定上の誤差要因となり得る。
さらに上記した特許文献を含む現在の技術では、トンネルなどの閉鎖空間内において車速をより正確に計測することまでは言及されておらず、未だ改善の余地は大きいと言える。
【0007】
本開示は、上記した課題を一例に鑑みて為されたものであり、トンネルなどの閉鎖空間内において走行する車両の速度をより正確に計測することが可能な車両速度計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本開示における車両速度計測システムは、閉鎖空間内を試験走行する車両の速度を計測する車両速度計測システムであって、前記車両から側方を検出可能にそれぞれ搭載されて前記閉鎖空間内に付与された計測パターンを検出する複数の計測センサと、前記複数の計測センサでそれぞれ検出した前記計測パターンの変位差に基づいて、前記閉鎖空間内を走行する前記車両の速度および鉛直軸周りの回転量(ヨーイング量)を算出する制御装置と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、トンネルなどの閉鎖空間内において走行する車両の速度をより正確に計測することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示における車両速度計測システムの構成を示す模式図である。
【
図2】走行する車両における車速計測手法を説明する模式図である。
【
図3】本開示における制御装置(ECU)を含む機能ブロック図である。
【
図4】本開示における閉鎖空間(トンネル)内における車速計測方法を示すフローチャートである。
【
図5】本開示の車速計測方法において仮車速を計測する態様を説明する模式図である。
【
図6】走行する車両が非直線的な動作をした場合における車速計測の態様その1を説明する模式図である。
【
図7】走行する車両が非直線的な動作をした場合における車速計測の態様その2を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本開示を実施するための好適な実施形態について説明する。また、以下で詳述する以外の構成については、上記した特許文献1を含む公知の車速の計測システムに関する要素技術や構成を適宜補完して実施することができる。
【0012】
<車両速度計測システム100>
まず本開示の好適な実施形態における車両速度計測システム100の構成について、
図1を参照しながら説明する。本実施形態における車両速度計測システム100は、例えばGPSなどの電波を受信し難い閉鎖空間を試験走行する車両の速度(車速)を計測可能に構成されている。かような閉鎖空間としては、例えば屋内やトンネルなど電波を受信し難い公知の空間が例示できる。かような閉鎖空間内での車両の試験走行として、以下ではトンネル10を車両CRが試験走行しながら車速が計測される例について説明する。なお本開示に好適な車両CRとしては、特に制限はなく、例えば二輪や四輪の乗用車やトラックなど公知の自動車が例示できる。
【0013】
車両速度計測システム100は、上記した閉鎖空間内を試験走行する車両CRの速度を計測する機能を有して構成されている。
より具体的に本実施形態の車両速度計測システム100は、
図1に示すように、計測センサ20と、制御装置30と、を含んで構成されている。これら計測センサ20および制御装置30は、車両CRに搭載されている。車両CRは、車速を計測するために閉鎖空間としてのトンネル10内を試験走行し得る。
【0014】
図1に示すように、トンネル10には、車両CRが走行可能な試験路12が敷設されている。また、トンネル10には、試験路12の両側に側壁13(右側壁13Rおよび左側壁13L)が形成されている。側壁13には、上記した計測センサ20で計測可能な計測パターン11が設けられている。
【0015】
試験路12としては、特に制限はなく、例えば一直線に延びる直線路であってもよいし、右回りや左回りなど任意の曲率半径を有するカーブであってもよい。また、試験路12の路面状態についても、アスファルトや砂利道など公知の種々の性状が適用できる。
【0016】
計測パターン11は、閉鎖空間内のうち車両CRの両側にそれぞれ付与された第1計測パターンと第2計測パターンを含む。より具体的に本実施形態の計測パターン11は、トンネル10における右側壁13Rに設けられた第1計測パターンとしての右側方パターン11Rと、左側壁13Lに設けられた第2計測パターンとしての左側方パターン11Lと、で構成されている。これら右側方パターン11Rおよび左側方パターン11Lは、
図1に示すように、共に車両CRに搭載された計測センサ20から計測可能な高さに設けられている。
【0017】
また
図2に示すように、本実施形態の右側方パターン11Rと左側方パターン11Lは、互いに同一のパターンで構成されていてもよい。かようなパターンの例としては、周期性のある既知の模様や記号あるいはバーコードなどが適用できる。
なお計測パターン11は、車両CRの両サイドに1つずつ設けられていることが好適であるものの、車両CRの片側に複数の計測パターン11が設けられている態様であってもよい。
【0018】
計測センサ20は、前記した車両CRから側方を検出可能にそれぞれ車両CRに搭載される。すなわち本実施形態における複数の計測センサ20は、上記した閉鎖空間(トンネル10)内に付与された計測パターン11を検出する機能を有して構成されている。本実施形態の計測パターン11は右側方パターン11Rおよび左側方パターン11Lで構成されていることから、本実施形態の計測センサ20は、右側方パターン11Rを計測可能な右側方センサ20Rと、左側方パターン11Lを計測可能な左側方センサ20Lと、で構成されていてもよい。
【0019】
このように複数の計測センサ20は、
図2などに示すように、車両CRの一方のサイドに配置された第1計測パターンを検出可能な第1側方計測センサ(右側方センサ20R)と、この一方のサイドとは反対側の他方のサイドに配置された第2計測パターンを検出可能な第2側方計測センサ(左側方センサ20L)と、を含む。
【0020】
なお計測センサ20の具体例としては、前記した計測パターン11を光学的に検出可能な公知のレーザー変位計やレーザー測定器などのレーザー照射装置、又は、この計測パターン11を撮像可能な公知のデジタルカメラなどの撮像装置であることが好ましい。
【0021】
制御装置30は、前記した複数の計測センサ20でそれぞれ検出した計測パターン11の変位差に基づいて、閉鎖空間内を走行する車両CRの速度および鉛直軸周りの回転量(ヨーイング量)を算出する機能を有して構成されている。そして本実施形態における閉鎖空間はトンネル10であることから、制御装置30は、このトンネル10の内部に敷設された試験路12を走行する車両CRの速度および回転量を算出し得る。
【0022】
<制御装置30>
制御装置30は、
図3に示すように、仮車速計測部31、回転量計測部32、シフト量計測部33、車速算出部34、および、報知制御部35などを含んで構成されている。かような制御装置30の具体例としては、公知のCPUで構成された一つ又は複数のプロセッサと、この一つ又は複数のプロセッサに通信可能に接続される一つ又は複数のメモリと、を備えた公知のコンピュータ装置が例示できる。
【0023】
制御装置30は、上記した車両CRの駆動を制御する機能をさらに有して構成されていてもよい。また同図に示すとおり、本実施形態の制御装置30は、通信装置CDを介してインターネットなど公知の外部ネットワークNETと接続可能に構成されていてもよい。かような通信装置CDは、車両CRと例えば外部サーバなどとの間で情報通信を行う機能を備えた公知の車載通信機器が例示できる。また、外部ネットワークNETとしては、上記したインターネットに限られず、例えば無線通信を介して各種情報を車車間で送受信可能な公知の情報通信ネットワークなども含まれる。
【0024】
また、制御装置30は、車両CRに搭載された公知のセンサ類SRから各種の信号を受信可能に構成されていてもよい。かようなセンサ類SRの例としては、例えば車両に搭載されて外気温を計測可能な外気温センサや車速を計測可能な車速センサなど公知の種々の車載センサが例示できる。また、制御装置30は、車両CRに搭載された公知の報知装置PD(例えば公知の車載スピーカSPおよび車載ディスプレイDPなど)と通信可能に構成されていてもよい。
なお報知装置PDは、上記した車載スピーカSPや車載ディスプレイDPの他に、車両CRとは離間して設置されたコンピュータであってもよい。
【0025】
また、制御装置30は、車両CRに搭載された公知の記憶装置MDと電気的に接続されていてもよい。かような記憶装置MDとしては、例えば、ハードディスク、フロッピーディスク及び磁気テープ等の磁気媒体、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)及びBlu-ray(登録商標)等の光記録媒体、フロプティカルディスク等の磁気光媒体、RAM及びROM等の記憶素子、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等のフラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、その他のプログラムを格納可能な媒体であってよい。
【0026】
仮車速計測部31は、上記した計測センサ20による計測パターン11の計測結果に基づいて、車両CRの一次的な車速としての仮車速を計測する機能を有して構成されている。なお具体的な仮車速の計測手法については、
図5を用いて後述する。
【0027】
回転量計測部32は、上記した複数の計測センサ20によってそれぞれ計測された一対の計測パターン(本例では右側方パターン11Rおよび左側方パターン11L)の変位に基づいて、走行中における車両CRの旋回(車両CRの鉛直軸周りの回転量(ヨーイング量))を計測する機能を有して構成されている。なお具体的な回転量(ヨーイング量)の計測手法については、
図6及び
図7を用いて後述する。
【0028】
シフト量計測部33は、上記した複数の計測センサ20によってそれぞれ計測された一対の計測パターン(本例では右側方パターン11Rおよび左側方パターン11L)におけるパターン長の変化に基づいて、走行中における車両CRの車幅方向への横位置シフト量を計測する機能を有して構成されている。なお具体的な車幅方向への横位置シフト量の計測手法については、
図7を用いて後述する。
【0029】
車速算出部34は、仮車速計測部31で計測された仮車速に対し、上記した回転量(ヨーイング量)および横位置シフト量に基づく進み分又は遅れ分を補正することで、試験路12を走行する車両CRの車速を算出する機能を有して構成されている。
【0030】
報知制御部35は、例えば報知装置PD(例えば車載スピーカSPや車載ディスプレイDP)を介して各種の情報を報知する機能を有している。これにより車両速度計測システム100を利用するユーザーが車両CRに乗車している場合には、例えば報知装置PDを介して試験走行の結果などを把握することが可能となる。また、上記ユーザーが車両CRの外に存在する場合には、報知制御部35を介して車外に設置された報知装置に試験走行の結果を伝送するように構成されていてもよい。
【0031】
<トンネル内における車速計測方法>
次に
図4~
図7も参照しつつ、本実施形態における閉鎖空間(トンネル)内を試験走行する車両CRの車速計測方法について説明する。一例として、以下では
図1に例示するトンネル10内の試験路12を試験走行する車両CRの車速を、上述した車両速度計測システム100を用いて計測する。
【0032】
まずステップ11で、上記した試験路12における車両CRの試験走行が開始されたか否かが判定される。一例として、車両速度計測システム100を利用するユーザーは、車両CRがトンネル10内に進入したことを目視して制御装置30に対して計測開始の信号を送信し得る。また、制御装置30は、不図示の車載カメラなどで車両CRが試験路12に進入したことを検出した場合に、車両CRの試験走行が開始されたと判定してもよい。
【0033】
ステップ11で試験走行が開始された場合、続くステップ12において、制御装置30は、上記した計測センサ20を介して車両CRの左右に配置されたパターン(本例では右側方パターン11Rおよび左側方パターン11L)を撮像する。
【0034】
次いでステップ13において、制御装置30は、ステップ12で撮像された左右のパターンのうち少なくとも一方を用いて、試験路12を走行する車両CRの仮車速を一次的に算出する。一例として、制御装置30は、右側方パターン11Rの微小時間経過の変位に基づいて車両CRの仮車速を算出してもよい。
【0035】
より具体的に
図5に示すように、制御装置30は、上記した撮像で取得した画像データに基づいて、右側方パターン11Rのうち予め形状が既知である既定パターンPAの、時刻tから微小時間Δt秒経過後の進行方向に関する変位Δyを算出する。ここで変位Δyは、
図5から理解されるとおり、Δt経過後の画像データのうちΔt経過前のシフト前パターンPBの中心と、Δt秒経過後の既定パターンPAの中心と、のピクセル数に基づいて算出できる。
【0036】
ステップ13で仮車速を算出した後は、続くステップ14において、制御装置30は、車両CRにおける回転量(車両のヨーイング量)とシフト量(車両の車幅方向(X方向)への移動量)を算出する。
なお以下で説明するステップ14は必須ではなく適宜省略してもよい。ステップ14を省略する場合、制御装置30は、ステップ13で算出した仮車速をステップ15において車両CRの車速と決定することができる。
【0037】
ステップ14において、制御装置30は、一例として以下に示す手法によって車両CRの回転量とシフト量をそれぞれ算出できる。なお以下に示す手法は一例であって、制御装置30は、撮像した画像パターンを用いて他の公知の計算手法によって車両CRの回転量とシフト量を算出してもよい。
【0038】
図6に示すように、上記した試験走行において車両CRが何らかの要因で左方向へ旋回を開始したとする。かような場合において制御装置30は、ステップ11で撮像した左右のパターンを比較し、この旋回によって発生する左右のパターンに含まれる既定パターンPAの変位を算出する。
【0039】
より具体的に
図7に示すように、制御装置30は、上記左右のパターンのうち一方を反転して左右のパターンを比較する。なお本実施形態では、同図に示すように、左側方パターン11Lを反転することで、車両CRのヨーイング(鉛直Z軸周り)による左右のパターンの移動方向を揃えても良い。
【0040】
このとき
図6及び
図7に示すように車両CRは左方向へ旋回したことから、右側方パターン11Rは高角化されて且つ相対的に車両後方(マイナスX方向であり
図7では左側)に移動した回転後パターンPCとして撮像される。このような状況で制御装置30は、反転させた左側方パターン11L中の既定パターンPAにおける中心と、回転後パターンPCにおける中心との変位差αを算出する。
上述のとおり上記した画像パターンは微小時間Δtでの変位であることから、制御装置30は、上記で算出した変位差αを回転量Sinαとして決定することができる。
【0041】
同様に制御装置30は、以下の計算式に基づいて、上記したシフト量St(車両の車幅方向(X方向)への移動量)を算出することができる。
シフト量St = (W/2)×{(Wc/Wa)-1}
ただし、
W:試験路12における車幅(X)方向の幅(m)
Wa:既定パターンPAの幅(m)
Wc:移動後パターンPCの幅(m)
【0042】
なお本実施形態ではステップ14においてシフト量Stを算出しているが、実際の試験走行でシフト量Stは微小な値となり得ることから、シフト量Stの算出は省略してもよい。この場合に制御装置30は、ステップ14においてシフト量Stを算出せず上記した回転量を算出してもよい。
【0043】
ステップ14で回転量とシフト量を算出した後の続くステップ15において、制御装置30は、ステップ13で算出した仮車速に対して進み分又は遅れ分を補正して車両CRの車速を決定する。一例として、制御装置30は、上記した仮車速に対して上記した回転量(ヨーイング量)とシフト量のX方向成分をそれぞれ加算または減算することで、車両CRの車速および回転速度を算出することができる。
【0044】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示はかかる例に限定されない。本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、これら実施形態や変形例に対して更なる修正を試みることは明らかであり、これらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0045】
100 車両速度計測システム
10 トンネル
11 計測パターン
12 試験路
13 側壁
20 計測センサ
30 制御装置