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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162496
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】衣類乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/46 20200101AFI20241114BHJP
   D06F 33/70 20200101ALI20241114BHJP
【FI】
D06F58/46
D06F33/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078045
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】余合 宏允
(72)【発明者】
【氏名】久野 功二
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA02
3B167AA04
3B167AA05
3B167AB23
3B167AB29
3B167AB30
3B167AB32
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE07
3B167AE12
3B167BA55
3B167BA82
3B167KA02
3B167KA03
3B167KA32
3B167KA36
3B167LA23
3B167LD03
3B167LE07
3B167LF02
3B167LG08
(57)【要約】
【課題】仮に乾燥運転の実行前において衣類の重量が精度良く判定されなかった場合であっても、衣類収容槽内の衣類の状況に適した運転内容により乾燥運転を実行できるようにした衣類乾燥装置を提供する。
【解決手段】衣類乾燥装置は、衣類が収容される衣類収容槽と、衣類収容槽内の衣類を乾燥する乾燥運転を実行する乾燥運転実行部と、乾燥運転の実行前における衣類収容槽内の衣類の重量に基づいて乾燥運転の運転内容を設定する運転内容設定部と、衣類収容槽内の湿度を検知する湿度検知部と、乾燥運転の実行中に湿度検知部が検知する衣類収容槽内の湿度に基づいて、衣類収容槽内の衣類に関する所定情報を衣類情報として特定する衣類情報特定部と、乾燥運転の実行中に衣類情報特定部が特定した衣類情報に基づいて、運転内容設定部が設定した乾燥運転の運転内容を補正する運転内容補正部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類が収容される衣類収容槽と、
前記衣類収容槽内の衣類を乾燥する乾燥運転を実行する乾燥運転実行部と、
前記乾燥運転の実行前における前記衣類収容槽内の衣類の重量に基づいて前記乾燥運転の運転内容を設定する運転内容設定部と、
前記衣類収容槽内の湿度を検知する湿度検知部と、
前記乾燥運転の実行中に前記湿度検知部が検知する前記衣類収容槽内の湿度に基づいて、前記衣類収容槽内の衣類に関する所定情報を衣類情報として特定する衣類情報特定部と、
前記乾燥運転の実行中に前記衣類情報特定部が特定した前記衣類情報に基づいて、前記運転内容設定部が設定した前記乾燥運転の運転内容を補正する運転内容補正部と、
を備える衣類乾燥装置。
【請求項2】
前記衣類情報特定部は、前記乾燥運転の実行開始から前記湿度検知部が検知する前記衣類収容槽内の湿度が所定湿度に上昇するまでの時間に基づいて前記衣類情報を特定する請求項1に記載の衣類乾燥装置。
【請求項3】
前記衣類情報特定部は、前記乾燥運転の実行中において前記湿度検知部が検知する前記衣類収容槽内の湿度が所定湿度に維持された時間の長さに基づいて前記衣類情報を特定する請求項1に記載の衣類乾燥装置。
【請求項4】
前記衣類情報特定部は、前記乾燥運転の実行中に前記湿度検知部が検知する前記衣類収容槽内の湿度に基づいて、前記衣類収容槽内の衣類の布質を前記衣類情報として特定し、
前記運転内容補正部は、前記乾燥運転の実行中に前記衣類情報特定部が特定した前記衣類収容槽内の衣類の布質が傷みやすい布質である場合には、前記乾燥運転の運転内容を、前記衣類収容槽内に低温風を供給する運転内容に補正する請求項1に記載の衣類乾燥装置。
【請求項5】
前記衣類情報特定部は、前記乾燥運転の実行中に前記湿度検知部が検知する前記衣類収容槽内の湿度に基づいて、前記衣類収容槽内の衣類の重量を前記衣類情報として特定し、
前記運転内容補正部は、前記乾燥運転の実行中に前記衣類情報特定部が特定した前記衣類収容槽内の衣類の重量が大きい場合には、前記乾燥運転の運転内容を、前記衣類収容槽の回転周期を短くした運転内容に補正する請求項1に記載の衣類乾燥装置。
【請求項6】
前記運転内容補正部は、前記乾燥運転の実行中に前記衣類情報特定部が特定した前記衣類情報に基づいて、前記乾燥運転の運転時間を補正する請求項1に記載の衣類乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されている洗濯乾燥機は、衣類を乾燥可能である衣類乾燥装置の一例である。特許文献1の洗濯乾燥機は、運転の実行開始前に、モータにより衣類収容槽の回転速度を所定の回転速度まで急速回転させ、その急速回転の際にモータに流れる電流値に基づいて衣類の重量を判定する。そして、特許文献1の洗濯乾燥機は、運転の実行前における衣類の重量に基づいて、洗い運転、すすぎ運転、脱水運転、乾燥運転の運転内容を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6460308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているような従来の衣類乾燥装置は、衣類収容槽を急速回転させた際にモータに流れる電流値に基づいて衣類の重量を判定するものであり、例えば、モータに印加されている電圧の大きさや周辺の温度などといった動作環境の影響を受けやすい。また、モータに流れる電流値に基づく判定手法では、例えば、衣類収容槽内に収容されている衣類が少なかったり、衣類が衣類収容槽の内面に張り付いていたりしている場合には、衣類の重量を精度良く判定することが困難である。衣類の重量を精度良く判定できないと、実際の衣類収容槽内の衣類の状況に適した運転内容を設定することが困難となり、例えば、乾燥時間が必要以上に長くなってしまったり衣類が十分に乾かなかったりして、乾燥の仕上がりを良好にすることができない。
【0005】
本実施形態は、仮に乾燥運転の実行前において衣類の重量が精度良く判定されなかった場合であっても、衣類収容槽内の衣類の状況に適した運転内容により乾燥運転を実行できるようにした衣類乾燥装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る衣類乾燥装置は、衣類が収容される衣類収容槽と、前記衣類収容槽内の衣類を乾燥する乾燥運転を実行する乾燥運転実行部と、前記乾燥運転の実行前における前記衣類収容槽内の衣類の重量に基づいて前記乾燥運転の運転内容を設定する運転内容設定部と、前記衣類収容槽内の湿度を検知する湿度検知部と、前記乾燥運転の実行中に前記湿度検知部が検知する前記衣類収容槽内の湿度に基づいて、前記衣類収容槽内の衣類に関する所定情報を衣類情報として特定する衣類情報特定部と、前記乾燥運転の実行中に前記衣類情報特定部が特定した前記衣類情報に基づいて、前記運転内容設定部が設定した前記乾燥運転の運転内容を補正する運転内容補正部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る洗濯乾燥機の構成例を概略的に示す縦断側面図
図2】本実施形態に係る循環風路の構成例を概略的に示す図
図3】本実施形態に係る洗濯乾燥機の制御系の構成例を概略的に示すブロック図
図4】本実施形態に係る衣類情報として衣類の布質を特定する処理を説明するためのものであって、乾燥時間と湿度との関係例を示す図
図5】本実施形態に係る衣類情報として衣類の重量を特定する処理を説明するためのものであって、乾燥時間と湿度との関係例を示す図
図6】本実施形態に係る乾燥運転の運転内容について衣類情報に基づく補正例を示す図
図7】本実施形態に係る洗濯乾燥機による制御フローの一例を概略的に示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、衣類乾燥装置に係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に例示する洗濯乾燥機1は、衣類に所定の処理、この場合、少なくとも、衣類を洗う洗い処理、衣類をすすぐすすぎ処理、衣類を脱水する脱水処理を施すことが可能な衣類処理装置の一例である。洗濯乾燥機1は、回転槽の回転中心軸が水平方向あるいは水平方向に対して傾斜する方向に延びる、いわゆるドラム式の洗濯乾燥機である。洗濯乾燥機1は、衣類を乾燥する乾燥処理を施すことが可能な衣類乾燥装置の一例でもある。
【0009】
洗濯乾燥機1は、その外郭を構成する矩形箱状の外箱2の内部に衣類収容槽3を備えている。衣類収容槽3は、水槽3sおよびドラム3dを備えている。水槽3sは、図示しないサスペンションにより弾性的に支持されている。水槽3sは、円筒状をなし、その背面が閉塞されており、内部に水を溜めることが可能である。ドラム3dは、水槽3s内において回転可能に設けられている。ドラム3dは、円筒状をなし、その背面が閉塞されている。ドラム3dは、例えば洗い処理、すすぎ処理、脱水処理、乾燥処理などといった各種の処理の対象である図示しない衣類を収容可能である。ドラム3dの周壁面および背面には通気および通水が可能な図示しない多数の小孔が設けられている。ドラム3dの内周面には、衣類をかき上げるための図示しないバッフルが設けられている。ドラム3dの回転中心軸は、水平方向あるいは水平方向に対して傾斜する方向に延びている。衣類収容槽3は、衣類が収容される衣類収容槽の一例として機能する。
【0010】
衣類収容槽3の背面には、ドラムモータ3mが設けられている。ドラムモータ3mは、水槽3s内のドラム3dを回転させる。水槽3sの前面開口部3cは、外箱2の前面に設けられているドア4によって開閉可能に構成されている。使用者は、ドア4を開くことにより、前面開口部3cを通して水槽3s内、より詳細には、ドラム3d内に衣類を出し入れすることができる。
【0011】
洗濯乾燥機1は、衣類収容槽3内に水を供給するための給水部5、および、衣類収容槽3内の水を機外に排出するための排水部6を備えている。給水部5は、例えば水道などといった図示しない水源から衣類収容槽3に延びる給水経路7の途中に、周知の給水弁8や注水ケース9などを備えた構成である。排水部6は、衣類収容槽3の底部から機外に延びる排水経路10の途中に、周知の排水弁11などを備えた構成である。排水弁11が閉じられた状態で給水部5から衣類収容槽3内に水が供給されることにより、衣類収容槽3内に所定量の水が溜められる。排水弁11が開かれることにより、衣類収容槽3内の水が排水経路10を介して機外に排出される。
【0012】
排水経路10の途中には、排水弁11よりも上流側に周知の排水フィルター12が設けられている。排水フィルター12は、排水部6により衣類収容槽3内から排水経路10を介して機外に排出される水に含まれている異物を捕獲する。異物は、例えば衣類から発生した糸くずや塵埃などである。
【0013】
洗濯乾燥機1は、循環風路14を備えている。循環風路14は、衣類収容槽3の外部において、衣類収容槽3の空気流出口3aと空気流入口3bとの間を接続している。この場合、空気流出口3aは、衣類収容槽3の上面の前部に設けられている。また、空気流入口3bは、衣類収容槽3の背面の上部に設けられている。
【0014】
循環風路14の途中には、熱交換ダクト15が設けられている。熱交換ダクト15は、外箱2内の下部の後部において、当該外箱2の左右方向に沿うように設けられている。循環風路14の途中には、熱交換ダクト15よりも風上側に乾燥フィルター16が設けられている。循環風路14の途中部には乾燥フィルター収容部17が設けられている。乾燥フィルター16は、この乾燥フィルター収容部17内に着脱可能に設けられている。循環風路14の乾燥フィルター収容部17内に取り付けられた状態の乾燥フィルター16は、衣類収容槽3内の衣類を乾燥する乾燥運転時において、循環風路14内を流れる空気に含まれている異物を捕獲する。異物は、例えば衣類から発生した糸くずや塵埃などである。
【0015】
図2に例示するように、洗濯乾燥機1は、ヒートポンプ機構20を備えている。ヒートポンプ機構20は、圧縮機21、凝縮器22、絞り器23、蒸発器24を冷媒管25によりサイクル接続した冷凍サイクルを構成している。このうち、熱交換器を構成する凝縮器22および蒸発器24は、循環風路14の一部を構成する熱交換ダクト15の内部に配置されている。
【0016】
循環風路14には、循環送風機26が備えられている。循環送風機26は、衣類収容槽3内の空気を、循環風路14を通して循環させるものである。この循環送風機26が駆動されることにより、図2に矢印Wで例示するように、衣類収容槽3内の空気は、空気流出口3aから循環風路14内に導入されて、空気流出口3a側である風上側から空気流入口3b側である風下側に向かって流れて、空気流入口3bから衣類収容槽3内に戻されるようになっている。即ち、循環送風機26が駆動されることにより、衣類収容槽3内の空気は、循環風路14を介して循環される。
【0017】
蒸発器24は、熱交換ダクト15内において、衣類収容槽3の空気流出口3a側、つまり、循環風路14内の風上側に配置されている。一方、凝縮器22は、熱交換ダクト15内において、衣類収容槽3の空気流入口3b側、つまり、循環風路14内の風下側に配置されている。即ち、循環風路14内、より詳細には熱交換ダクト15内において、蒸発器24は、凝縮器22よりも風上側つまり風が流れる方向における上流側に配置されている。換言すれば、循環風路14内、より詳細には熱交換ダクト15内において、凝縮器22は、蒸発器24よりも風下側つまり風が流れる方向における下流側に配置されている。
【0018】
蒸発器24は、除湿部の一例であり、循環風路14内を空気流出口3a側から空気流入口3b側、つまり、風上側から風下側に向かって流れる空気を冷却して除湿する除湿手段として機能する。一方、凝縮器22は、加熱部の一例であり、循環風路14内を空気流出口3a側から空気流入口3b側、つまり、風上側から風下側に向かって流れる空気を加熱する加熱手段として機能する。
【0019】
これら蒸発器24および凝縮器22が循環風路14内に設けられていることにより、循環風路14内を風上側から風下側に向かって流れる空気は、蒸発器24によって除湿され、且つ、凝縮器22によって加熱され、所定温度の温風として衣類収容槽3内に戻される。これにより、衣類収容槽3内に収容されている衣類を温風によって乾燥することができる。
【0020】
洗濯乾燥機1は、循環風路14内を流れる空気の一部を外部に排出する排気口14wを備えている。また、洗濯乾燥機1は、この排気口14wを開閉する排気ダンパ14dを備えている。洗濯乾燥機1は、排気ダンパ14dが排気口14wを閉塞した閉状態では、循環風路14内を流れる空気を排気口14wから外部に排出不能である。洗濯乾燥機1は、排気ダンパ14dが排気口14wを開放した開状態では、循環風路14内を流れる空気を排気口14wから外部に排出可能である。
【0021】
洗濯乾燥機1は、湿度センサ31を備えている。この場合、湿度センサ31は、循環風路14のうち乾燥フィルター16よりも下流側であって、且つ、排気口14wよりも上流側の部分に配置されている。湿度センサ31は、湿度検知部の一例であり、衣類収容槽3内の湿度を検知可能である。即ち、湿度センサ31は、衣類収容槽3内から循環風路14内に流出した空気の湿度を検知することにより、衣類収容槽3内の空気の湿度を間接的に検知することが可能となっている。
【0022】
洗濯乾燥機1によれば、湿度センサ31が循環風路14のうち乾燥フィルター16よりも下流側の部分に配置されている。そのため、循環風路14内を流れる空気に含まれる異物が湿度センサ31に付着してしまうことを乾燥フィルター16により阻止することができる。これにより、湿度センサ31に異物が付着して誤検知が発生してしまうことを抑制することができる。
【0023】
洗濯乾燥機1は、空気流出口側サーミスタ32を備えている。この場合、空気流出口側サーミスタ32は、循環風路14のうち乾燥フィルター16よりも下流側であって、且つ、排気口14wよりも下流側の部分に配置されている。空気流出口側サーミスタ32は、温度検知部の一例であり、衣類収容槽3内の温度を検知可能である。即ち、空気流出口側サーミスタ32は、衣類収容槽3内から循環風路14内に流出した空気の温度を検知することにより、衣類収容槽3内の空気の温度を間接的に検知することが可能となっている。
【0024】
洗濯乾燥機1によれば、空気流出口側サーミスタ32も循環風路14のうち乾燥フィルター16よりも下流側の部分に配置されている。そのため、空気流出口側サーミスタ32に異物が付着して誤検知が発生してしまうことを抑制することができる。
【0025】
なお、洗濯乾燥機1は、例えば循環風路14のうち空気流入口3bに接続されている部分に、図示しない空気流入口側サーミスタを備える構成としてもよい。この空気流入口側サーミスタによれば、循環風路14内から衣類収容槽3内に供給される温風の温度を検知することができる。
【0026】
次に、洗濯乾燥機1の制御系の構成例について詳細に説明する。図3に例示する制御装置40は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成されており、制御プログラムや各種の設定情報などに基づいて洗濯乾燥機1の動作全般を制御可能である。制御装置40には、上述した給水弁8、排水弁11、圧縮機21、循環送風機26などが接続されている。制御装置40には、上述したドラムモータ3mや排気ダンパ14dも接続されている。制御装置40は、これら駆動系の構成要素の動作を制御することにより、洗濯乾燥機1の動作全般を制御して各種の運転を実行することが可能である。制御装置40は、この場合、周知のベクトル制御によりドラムモータ3mの回転を制御するように構成されている。制御装置40には、上述した湿度センサ31や空気流出口側サーミスタ32などといった各種のセンサ類も接続されている。
【0027】
本実施形態では、制御装置40は、乾燥運転の開始から終了までの期間にわたって、湿度センサ31による湿度の検知処理を継続して実行するように設定されている。なお、制御装置40は、乾燥運転の開始から終了までの期間内に湿度センサ31による湿度の検知処理を実行しない期間を設け、湿度センサ31による湿度の検知処理を断続的に実行するように設定されていてもよい。
【0028】
制御装置40は、制御プログラムを実行することにより、乾燥運転実行処理部41、運転内容設定処理部42、衣類情報特定処理部43、運転内容補正処理部44をソフトウェアにより仮想的に実現している。これらの処理部41,42、43,44は、ハードウェアにより構成されていてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより構成されていてもよい。
【0029】
乾燥運転実行処理部41は、乾燥運転実行部の一例であり、衣類収容槽3内の衣類を乾燥する乾燥運転を実行可能である。即ち、乾燥運転実行処理部41は、圧縮機21および循環送風機26を駆動することにより、循環風路14を介して衣類収容槽3内の空気を循環させながら、衣類収容槽3内に所定温度の温風を供給する。また、乾燥運転実行処理部41は、ドラムモータ3mを駆動することにより、衣類収容槽3内においてドラム3dを所定周期で正転方向および逆転方向に切り替えながら回転させる。これにより、乾燥運転実行処理部41は、衣類収容槽3内の衣類を撹拌しながら温風により乾燥させる乾燥運転を実行する。
【0030】
運転内容設定処理部42は、運転内容設定部の一例であり、乾燥運転の実行前における衣類収容槽3内の衣類の重量に基づいて乾燥運転の運転内容を設定可能である。乾燥運転の運転内容は、例えば、乾燥運転実行中における衣類収容槽3の回転周期、乾燥運転の実行時間つまり乾燥時間、乾燥運転実行中に衣類収容槽3内に供給する温風の温度、などといった各種の設定項目により定められる。運転内容設定処理部42は、乾燥運転の実行前における衣類収容槽3内の衣類の重量に基づいて乾燥運転の各種の設定項目を設定可能である。
【0031】
以下、説明の便宜上、乾燥運転の実行前における衣類収容槽3内の衣類の重量に基づいて設定された運転内容を当初の運転内容と称する場合があり、また、衣類収容槽3の回転周期、乾燥時間、衣類収容槽3内に供給する温風の温度を、それぞれ、当初の回転周期、当初の乾燥時間、当初の温風の温度と称する場合がある。
【0032】
衣類収容槽3内の衣類の重量は、例えば、乾燥運転の実行開始前に、ドラムモータ3mによりドラム3dの回転速度を所定の回転速度まで急速回転させ、その急速回転の際にドラムモータ3mに流れる電流値に基づいて判定することができる。なお、衣類収容槽3内の衣類の重量を判定する手法は、この手法に限られず、その他の手法を適用してもよい。
【0033】
衣類情報特定処理部43は、衣類情報特定部の一例であり、乾燥運転の実行中に湿度センサ31が検知する衣類収容槽3内の湿度に基づいて、衣類収容槽3内の衣類に関する所定情報を衣類情報として特定可能である。衣類情報は、少なくとも、衣類の布質を示す布質情報、衣類の重量を示す重量情報を含む。衣類の重量は、衣類の布量と称される場合もある。
【0034】
運転内容補正処理部44は、運転内容補正部の一例であり、乾燥運転の実行中に衣類情報特定処理部43が特定した衣類情報に基づいて、運転内容設定処理部42が設定した乾燥運転の当初の運転内容、つまり、乾燥運転の実行前における衣類収容槽3内の衣類の重量に基づいて設定された当初の運転内容を補正可能である。即ち、運転内容補正処理部44は、乾燥運転の実行前における衣類収容槽3内の衣類の重量に基づいて設定された当初の運転内容を、乾燥運転の実行中に湿度に基づいて補正することが可能である。
【0035】
図4に例示するように、衣類情報特定処理部43は、乾燥運転の実行開始から湿度センサ31が検知する衣類収容槽3内の湿度が所定湿度K1に上昇するまでの上昇時間T1に基づいて、衣類情報である衣類の布質を特定することが可能である。所定湿度K1としては、例えば70パーセントなどといった適宜の数値を設定することができる。
【0036】
衣類収容槽3内に収容されている衣類が、吸水性が低く乾きやすい布質の衣類、例えば化学繊維系の衣類である場合には、当該衣類から水分が蒸発しやすく、従って、上昇時間T1が短くなりやすい。一方、衣類収容槽3内に収容されている衣類が、吸水性が高く乾きにくい布質の衣類、例えば綿系の衣類である場合には、当該衣類から水分が蒸発しにくく、従って、上昇時間T1が長くなりやすい。
【0037】
そのため、衣類情報特定処理部43は、上昇時間T1が所定の布質判定用基準時間よりも短い場合には、衣類収容槽3内に収容されている衣類の布質が化学繊維系の布質であると判定する。一方、衣類情報特定処理部43は、上昇時間T1が所定の布質判定用基準時間よりも長い場合には、衣類収容槽3内に収容されている衣類の布質が綿系の布質であると判定する。
【0038】
なお、所定の布質判定用基準時間は、適宜、変更して設定することができる。衣類情報特定処理部43は、上昇時間T1が所定の布質判定用基準時間に等しい場合には、衣類収容槽3内に収容されている衣類の布質が化学繊維系の布質であると判定してもよいし、綿系の布質であると判定してもよい。
【0039】
上昇時間T1は、乾燥運転の初期段階において得ることができる情報である。衣類情報特定処理部43は、このように乾燥運転の初期段階に得られる情報に基づいて、衣類収容槽3内に収容されている衣類の布質を判定する構成となっている。
【0040】
なお、化学繊維系の衣類には、化学繊維からなる衣類だけでなく、化学繊維に類似する布質の衣類も含まれ得る。即ち、化学繊維系の衣類には、吸水性が低い衣類や乾きやすい衣類であれば種々の衣類が含まれ得る。綿系の衣類は、綿からなる衣類だけでなく、綿に類似する布質の衣類も含まれ得る。即ち、綿系の衣類には、吸水性が高い衣類や乾きにくい衣類であれば種々の衣類が含まれ得る。
【0041】
衣類収容槽3内において化学繊維系の衣類と綿系の衣類が混在している場合においては、衣類情報特定処理部43は、衣類収容槽3内に収容されている衣類の布質が化学繊維系の布質であると判定する場合もあるし、綿系の布質であると判定する場合もある。即ち、衣類収容槽3内において化学繊維系の衣類の割合が綿系の衣類の割合よりも多い場合には、衣類情報特定処理部43は、衣類収容槽3内に収容されている衣類の布質が化学繊維系の布質であると判定する可能性が高まる。一方、衣類収容槽3内において綿系の衣類の割合が化学繊維系の衣類の割合よりも多い場合には、衣類情報特定処理部43は、衣類収容槽3内に収容されている衣類の布質が綿系の布質であると判定する可能性が高まる。
【0042】
図5に例示するように、衣類情報特定処理部43は、乾燥運転の実行中において湿度センサ31が検知する衣類収容槽3内の湿度が所定湿度K2あるいは所定湿度K2以上に維持された時間つまり棚時間T2の長さに基づいて、衣類情報である衣類の重量を特定することが可能である。所定湿度K2としては、例えば70パーセントなどといった適宜の数値を設定することができる。なお、この所定湿度K2は、上述した所定湿度K1と同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0043】
衣類収容槽3内に収容されている衣類の重量が小さい場合には、当該衣類から水分が蒸発する時間が短くなりやすく、従って、棚時間T2が短くなりやすい。一方、衣類収容槽3内に収容されている衣類の重量が大きい場合には、当該衣類から水分が蒸発する時間が長くなりやすく、従って、棚時間T2が長くなりやすい。
【0044】
そのため、衣類情報特定処理部43は、棚時間T2が所定の重量判定用基準時間よりも短い場合には、衣類収容槽3内に収容されている衣類の重量が小さいと判定する。一方、衣類情報特定処理部43は、棚時間T2が所定の重量判定用基準時間よりも長い場合には、衣類収容槽3内に収容されている衣類の重量が大きいと判定する。
【0045】
なお、所定の重量判定用基準時間は、適宜、変更して設定することができる。衣類情報特定処理部43は、棚時間T2が所定の重量判定用基準時間に等しい場合には、衣類収容槽3内に収容されている衣類の重量が小さいと判定してもよいし、大きいと判定してもよい。なお、所定の重量判定用基準時間は、上述した所定の布質判定用基準時間と同じ時間であってもよいし、異なる時間であってもよい。
【0046】
棚時間T2は、乾燥運転において湿度が下降し始める中盤から終盤の段階、つまり、衣類収容槽3内の衣類の乾燥がある程度進行した段階に至ると得ることができる情報である。衣類情報特定処理部43は、このように乾燥運転の中盤から終盤の段階に得られる情報に基づいて、衣類収容槽3内に収容されている衣類の重量を判定する構成となっている。
【0047】
なお、衣類情報特定処理部43により特定される衣類の重量は、衣類収容槽3内に収容されている衣類の数や、衣類収容槽3内に収容されている衣類の厚さやサイズなどに応じて変動し得る。即ち、衣類収容槽3内に収容されている衣類の数が多い場合や、衣類の数が少なくても厚手の衣類やサイズの大きい衣類が収容されている場合には、衣類情報特定処理部43により特定される衣類の重量は大きくなりやすい。一方、衣類収容槽3内に収容されている衣類の数が少ない場合や、衣類の数が多くても薄手の衣類やサイズの小さい衣類が収容されている場合には、衣類情報特定処理部43により特定される衣類の重量は小さくなりやすい。
【0048】
図6に例示するように、運転内容補正処理部44は、乾燥運転の実行中に衣類情報特定処理部43が特定した衣類情報に基づいて乾燥運転の当初の運転内容を補正する。
【0049】
即ち、第1判定パターンP1は、乾燥運転の実行中に衣類情報特定処理部43が特定した衣類の布質が化学繊維系の布質であって、且つ、乾燥運転の実行中に衣類情報特定処理部43が特定した衣類の重量が大きい場合の判定パターンである。運転内容補正処理部44は、乾燥運転の実行中に衣類情報特定処理部43が特定した衣類情報が第1判定パターンP1である場合には、乾燥運転の当初の運転内容を、衣類収容槽3の回転周期を当初の回転周期よりも短くした運転内容に補正し、且つ、乾燥時間を当初の乾燥時間よりも少し長くした運転内容に補正する。なお、第1判定パターンP1における乾燥時間の延長量は、適宜、変更して設定することができる。
【0050】
第2判定パターンP2は、乾燥運転の実行中に衣類情報特定処理部43が特定した衣類の布質が化学繊維系の布質であって、且つ、乾燥運転の実行中に衣類情報特定処理部43が特定した衣類の重量が小さい場合の判定パターンである。運転内容補正処理部44は、乾燥運転の実行中に衣類情報特定処理部43が特定した衣類情報が第2判定パターンP2である場合には、乾燥運転の当初の運転内容を、乾燥時間を当初の乾燥時間よりも短くした運転内容に補正する。
【0051】
第3判定パターンP3は、乾燥運転の実行中に衣類情報特定処理部43が特定した衣類の布質が綿系の布質であって、且つ、乾燥運転の実行中に衣類情報特定処理部43が特定した衣類の重量が大きい場合の判定パターンである。運転内容補正処理部44は、乾燥運転の実行中に衣類情報特定処理部43が特定した衣類情報が第3判定パターンP3である場合には、乾燥運転の当初の運転内容を、衣類収容槽3内に当初の温風の温度よりも低温である低温風を供給する運転内容に補正し、衣類収容槽3の回転周期を当初の回転周期よりも短くした運転内容に補正し、乾燥時間を当初の乾燥時間よりも長くした運転内容に補正する。
【0052】
なお、第3判定パターンP3における温風の温度は、当初の温風の温度よりも低い温度範囲において、適宜、変更して設定することができる。第3判定パターンP3における衣類収容槽3の回転周期は、当初の回転周期よりも短い範囲において、適宜、変更して設定することができる。第3判定パターンP3における乾燥時間の延長量は、上述した第1判定パターンP1における延長量よりも長い延長量において、適宜、変更して設定することができる。
【0053】
第4判定パターンP4は、乾燥運転の実行中に衣類情報特定処理部43が特定した衣類の布質が綿系の布質であって、且つ、乾燥運転の実行中に衣類情報特定処理部43が特定した衣類の重量が小さい場合の判定パターンである。運転内容補正処理部44は、乾燥運転の実行中に衣類情報特定処理部43が特定した衣類情報が第4判定パターンP4である場合には、乾燥運転の当初の運転内容を、衣類収容槽3内に当初の温風よりも低温である低温風を供給する運転内容に補正し、乾燥時間を当初の乾燥時間よりも少し長くした運転内容に補正する。
【0054】
なお、第4判定パターンP4における温風の温度は、当初の温風の温度よりも低い温度範囲において、適宜、変更して設定することができる。第4判定パターンP4における温風の温度は、第3判定パターンP3における温風の温度と同じ温度であってもよいし、異なる温度であってもよい。第4判定パターンP4における乾燥時間の延長量は、上述した第1判定パターンP1における延長量と同じ延長量であってもよいし、異なる延長量であってもよい。第4判定パターンP4における乾燥時間の延長量は、上述した第3判定パターンP3における延長量よりも短い延長量において、適宜、変更して設定することができる。
【0055】
第1判定パターンP1では、衣類の重量は大きいものの、衣類の布質は乾きやすい化学繊維系の布質である。そのため、乾燥時間は、当初の乾燥時間よりも少し長めに補正すれば十分に衣類を乾燥させることが可能である。また、第4判定パターンP4では、衣類の布質は乾きにくい綿系の布質であるものの、衣類の重量は小さい。そのため、この第4判定パターンP4の場合も、乾燥時間は、当初の乾燥時間よりも少し長めに補正すれば十分に衣類を乾燥させることが可能である。
【0056】
一方、第3判定パターンP3では、衣類の布質は乾きにくい綿系の布質であり、しかも、その衣類の重量が大きい。即ち、第3判定パターンP3は、上述した4つの判定パターンP1,P2,P3,P4のうち、最も乾きにくいパターンとなっている。そのため、第3判定パターンP3では、乾燥時間は、当初の乾燥時間よりも少し長めに補正しただけでは不十分である。従って、第3判定パターンP3では、乾燥時間は、第1判定パターンP1や第4判定パターンP4の場合よりも長い時間に補正する必要がある。
【0057】
上述した通り、上昇時間T1は、乾燥運転の初期段階において得られる情報であり、このような上昇時間T1に基づく衣類の布質の判定結果に応じた乾燥運転の運転内容の補正は、乾燥運転の初期段階以降において実行することができる補正処理である。よって、上昇時間T1に基づく乾燥運転の運転内容の補正処理は、第1段階補正処理、初期段階補正処理などと定義することができる。
【0058】
一方、棚時間T2は、乾燥運転の中盤から終盤の段階に至らないと得られない情報であり、このような棚時間T2に基づく衣類の重量の判定結果に応じた乾燥運転の運転内容の補正は、乾燥運転の中盤から終盤の段階に至らないと実行することができない補正処理である。よって、棚時間T2に基づく乾燥運転の運転内容の補正処理は、第2段階補正処理、中盤段階補正処理、終盤段階補正処理、仕上げ段階補正処理などと定義することができる。
【0059】
次に、洗濯乾燥機1による制御フローの一例について詳細に説明する。即ち、図7に例示するように、制御装置40は、衣類を乾燥する乾燥運転を開始すると(ステップS1)、湿度センサ31による衣類収容槽3内の湿度の検知処理を開始する(ステップS2)。次に、制御装置40は、衣類収容槽3内の湿度が高くなりやすい状態か否かを判定する(ステップS3)。
【0060】
ステップS3において、制御装置40は、上述した上昇時間T1と所定の布質判定用基準時間とを比較する。そして、制御装置40は、上昇時間T1と所定の布質判定用基準時間とを比較した結果、上昇時間T1が短いと判断すると、衣類収容槽3内の湿度が高くなりやすい状態であると判定し(ステップS3:YES)、衣類収容槽3内の衣類の布質が化学繊維系の布質であると判定する(ステップS4)。
【0061】
一方、制御装置40は、上昇時間T1と所定の布質判定用基準時間とを比較した結果、上昇時間T1が長いと判断すると、衣類収容槽3内の湿度が高くなりやすい状態ではないと判定し(ステップS3:NO)、衣類収容槽3内の衣類の布質が綿系の布質であると判定する(ステップS5)。ステップS3,S4,S5は、衣類収容槽3内の衣類の布質を判定する布質判定処理を構成する。
【0062】
次に、制御装置40は、衣類収容槽3内の湿度が高い状態が長く継続したか否かを判定する(ステップS6)。ステップS6において、制御装置40は、上述した棚時間T2と所定の重量判定用基準時間とを比較する。そして、制御装置40は、棚時間T2と所定の重量判定用基準時間とを比較した結果、棚時間T2が長いと判断すると、衣類収容槽3内の湿度が高い状態が長く継続したと判定し(ステップS6:YES)、衣類収容槽3内の衣類の重量が大きいと判定する(ステップS7)。
【0063】
一方、制御装置40は、棚時間T2と所定の重量判定用基準時間とを比較した結果、棚時間T2が短いと判断すると、衣類収容槽3内の湿度が高い状態が長く継続しなかったと判定し(ステップS6:NO)、衣類収容槽3内の衣類の重量が小さいと判定する(ステップS8)。ステップS6,S7,S8は、衣類収容槽3内の衣類の重量を判定する重量判定処理を構成する。
【0064】
次に、制御装置40は、布質判定処理(ステップS3,S4,S5)による衣類の布質の判定結果、および、重量判定処理(ステップS6,S7,S8)による衣類の重量の判定結果に基づいて、乾燥運転の当初の運転内容を補正する(ステップS9)。そして、制御装置40は、補正後の運転内容に基づいてその後の乾燥運転を続行し、乾燥運転を終了すると(ステップS10)、この制御フローを終了する。
【0065】
本実施形態に係る洗濯乾燥機1は、運転内容設定処理部42により、乾燥運転の実行前における衣類収容槽3内の衣類の重量に基づいて乾燥運転の運転内容を設定する構成である。そして、洗濯乾燥機1は、乾燥運転の実行開始後においては、衣類情報特定処理部43により、乾燥運転の実行中に湿度センサ31が検知する衣類収容槽3内の湿度に基づいて、衣類収容槽3内の衣類に関する所定情報を衣類情報として特定する。そして、洗濯乾燥機1は、運転内容補正処理部44により、乾燥運転の実行中に衣類情報特定処理部43が特定した衣類情報に基づいて、運転内容設定処理部42が設定した乾燥運転の当初の運転内容を補正する。
【0066】
即ち、洗濯乾燥機1は、乾燥運転の実行前において衣類収容槽3内の衣類の重量に基づいて設定された当初の運転内容を、乾燥運転の実行中において衣類収容槽3内の湿度に基づいて補正できるように構成した。このように構成される洗濯乾燥機1によれば、仮に乾燥運転の実行前において衣類の重量が精度良く判定されなかった場合であっても、衣類収容槽3内の衣類の状況に適した運転内容により乾燥運転を実行することができる。
【0067】
衣類収容槽3内の湿度に基づく衣類情報の判定は、実際に衣類から発生する湿った空気に基づく判定である。そのため、ドラムモータ3mの動作環境、衣類収容槽3内の衣類の量、衣類処理槽3内面への衣類の張り付き状態などの影響を受けてしまうドラムモータ3mの電流値に基づく判定手法に比べ、衣類処理槽3内における実際の衣類の状況を正確に特定することができる。これにより、洗濯乾燥機1によれば、衣類収容槽3内の衣類の状況に一層適した運転内容に補正して乾燥運転を行うことができる。
【0068】
洗濯乾燥機1によれば、衣類情報特定処理部43は、乾燥運転の実行開始から湿度センサ31が検知する衣類収容槽3内の湿度が所定湿度K1に上昇するまでの上昇時間T1に基づいて衣類情報を特定可能である。ここで、上昇時間T1は、乾燥運転の初期段階に得ることができる情報である。そのため、洗濯乾燥機1によれば、乾燥運転の初期段階に得られる衣類情報を参酌して当初の運転内容を補正することができる。
【0069】
洗濯乾燥機1によれば、衣類情報特定処理部43は、乾燥運転の実行中において湿度センサ31が検知する衣類収容槽3内の湿度が所定湿度K2あるいは所定湿度K2以上に維持された棚時間T2の長さに基づいて衣類情報を特定可能である。ここで、棚時間T2は、乾燥運転の中盤から終盤の段階に得ることができる情報である。そのため、洗濯乾燥機1によれば、乾燥運転の初期段階に得られる衣類情報だけでなく、乾燥運転の中盤から終盤の段階に得られる衣類情報も参酌して当初の運転内容を補正することができる。
【0070】
洗濯乾燥機1によれば、衣類情報特定処理部43は、乾燥運転の実行中に湿度センサ31が検知する衣類収容槽3内の湿度に基づいて、衣類収容槽3内の衣類の布質を衣類情報として特定する。運転内容補正処理部44は、乾燥運転の実行中に衣類情報特定処理部43が特定した衣類収容槽3内の衣類の布質が綿系の布質つまり傷みやすい布質である場合には、乾燥運転の当初の運転内容を、衣類収容槽3内に低温風を供給する運転内容に補正する。これにより、傷みやすい布質の衣類が高温風により傷んでしまうことを抑制することができる。
【0071】
洗濯乾燥機1によれば、衣類情報特定処理部43は、乾燥運転の実行中に湿度センサ31が検知する衣類収容槽3内の湿度に基づいて、衣類収容槽3内の衣類の重量を衣類情報として特定する。運転内容補正処理部44は、乾燥運転の実行中に衣類情報特定処理部43が特定した衣類収容槽3内の衣類の重量が大きい場合には、乾燥運転の当初の運転内容を、衣類収容槽3の回転周期を短くした運転内容に補正する。これにより、衣類収容槽3内において多量の衣類を十分に動かしながら乾燥運転を行うことができ、多量の衣類にまんべんなく温風を当てて乾燥を促進することができる。
【0072】
洗濯乾燥機1によれば、衣類情報特定処理部43は、乾燥運転の実行中に湿度センサ31が検知する衣類収容槽3内の湿度に基づいて、衣類収容槽3内の衣類の布質および重量を衣類情報として特定する。そして、運転内容補正処理部44は、乾燥運転の実行中に衣類情報特定処理部43が特定した衣類収容槽3内の衣類の布質および重量に基づいて、乾燥運転の運転時間を補正する。これにより、衣類収容槽3内の衣類の布質が化学繊維系の布質である場合や、衣類収容槽3内の衣類の重量が小さい場合には、乾燥運転の運転時間を当初よりも短くするように補正することにより、衣類が温風により必要以上に加熱されてしまうことを回避しつつ、衣類を良好に乾燥することができる。一方、衣類収容槽3内の衣類の布質が綿系の布質である場合や、衣類収容槽3内の衣類の重量が大きい場合には、乾燥運転の運転時間を当初よりも長くするように補正することにより、衣類に十分に温風を作用させて良好に乾燥することができる。
【0073】
なお、本実施形態は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や拡張を行うことができる。
【0074】
制御装置40は、上昇時間T1に基づいて衣類の重量を判定してもよい。即ち、上昇時間T1が長ければ、衣類収容槽3内の衣類の重量が大きいと判定することができ、上昇時間T1が短ければ、衣類収容槽3内の衣類の重量が小さいと判定することができる。そのため、制御装置40は、上昇時間T1に基づいて衣類の布質および重量の双方を判定し、その判定結果に応じて乾燥運転の運転内容を補正してもよい。これにより、乾燥運転の初期段階において以降の運転内容を補正することができ、衣類収容槽3内の衣類の状況に適した運転内容により乾燥運転が実行される時間を長く確保することができる。
【0075】
制御装置40は、棚時間T2に基づいて衣類の布質を判定してもよい。即ち、棚時間T2が長ければ、衣類収容槽3内の衣類の布質が綿系の布質であると判定することができ、棚時間T2が短ければ、衣類収容槽3内の衣類の布質が化学繊維系の布質であると判定することができる。そのため、制御装置40は、棚時間T2に基づいて衣類の布質および重量の双方を判定し、その判定結果に応じて乾燥運転の運転内容を補正してもよい。これにより、乾燥運転の中盤から終盤の段階において以降の運転内容を補正することができ、特に乾燥運転の仕上げ段階について、衣類収容槽3内の衣類の状況に適した運転内容での乾燥を実現することができる。
【0076】
本実施形態は、回転槽の回転軸が水平方向または傾斜方向に延びるいわゆるドラム式の洗濯乾燥機に限られるものではなく、回転槽の回転軸が垂直方向に延びる洗濯乾燥機、いわゆる縦軸型の洗濯乾燥機にも適用することができる。また、本実施形態は、洗濯機能を有しない衣類乾燥装置にも適用することができる。
【0077】
本実施形態は、あくまでも一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
図面において、1は洗濯乾燥機(衣類乾燥装置)、3は衣類収容槽、31は湿度センサ(湿度検知部)、41は乾燥運転実行処理部(乾燥運転実行部)、42は運転内容設定処理部(運転内容設定部)、43は衣類情報特定処理部(衣類情報特定部)、44は運転内容補正処理部(運転内容補正部)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7