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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162498
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】日射遮蔽装置及び遮蔽材
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/386 20060101AFI20241114BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
E06B9/386
E06B9/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078049
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 慶弘
(57)【要約】
【課題】遮蔽材における干渉縞の発生を抑制できる日射遮蔽装置を提供する。
【解決手段】支持部材に支持されるスラット13を備え、スラット13は、基材21と、基材21の少なくとも一方の面の表面に設けられている、光拡散粒子22aが分散された拡散反射層22と、拡散反射層22の上側に設けられている光触媒層23と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材に支持される遮蔽材を備え、
前記遮蔽材は、
基材と、
前記基材の少なくとも一方の面の表面に設けられている、光拡散粒子が分散された拡散反射層と、
前記拡散反射層の上側に設けられている光触媒層と、
を備える日射遮蔽装置。
【請求項2】
前記光触媒層における光触媒は酸化チタンである
請求項1に記載の日射遮蔽装置。
【請求項3】
前記基材は、相対する面が凸曲面と凹曲面とで構成されている
請求項1又は2に記載の日射遮蔽装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記遮蔽材を回動可能に支持し、
前記遮蔽材は、回動により、前記一方の面と前記一方の面に対して反対側の他方の面とが選択的に室内側を向く
請求項1又は2に記載の日射遮蔽装置。
【請求項5】
基材と、
前記基材の少なくとも一方の面の表面に設けられている、光拡散粒子が分散された拡散反射層と、
前記拡散反射層の上側に設けられている光触媒層と、
を備える遮蔽材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日射を反射する日射遮蔽装置及び遮蔽材に関する。
【背景技術】
【0002】
日射遮蔽装置としての横型ブラインドは、ヘッドボックスから昇降コードが垂下され、かつ、ボトムレールとヘッドボックスとの間に複数の遮蔽材としてのスラットが互いに平行に配置されている。スラットは、ヘッドボックスから垂下されたラダーコードによって支持されている。スラットは、ラダーコードによって回動される(特許文献1参照)。
【0003】
スラットには、表面に光触媒が塗布されたものがある(特許文献1参照)。このようなスラットを用いたときには、スラットの防汚、抗菌、消臭効果等を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-127377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スラットは、長尺の矩形板形状を有し、かつ、相対する第1面と第2面とを備えている。そして、スラットは、第1面が上側となるようにラダーコードに支持される。ところで、スラットの表面に酸化チタン等の光触媒を塗布したときには、スラットの回動角度、日射の入射角、室内光の入射角等の種々の要因によって、スラット表面に干渉縞が発生してしまうことがある。例えば、スラットは、長辺の近くにおいて干渉縞が発生し易い。このような問題は、横型ブラインドの遮蔽材だけでなく、縦型ブラインドのスラット等種々の日射遮蔽装置の遮蔽材について当てはまる問題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための日射遮蔽装置は、支持部材に支持される遮蔽材を備え、前記遮蔽材は、基材と、前記基材の少なくとも一方の面の表面に設けられている、光拡散粒子が分散された拡散反射層と、前記拡散反射層の上側に設けられている光触媒層と、を備える。
【0007】
上記日射遮蔽装置において、前記光触媒層における光触媒は酸化チタンで構成することもできる。
上記日射遮蔽装置において、前記基材は、相対する面が凸曲面と凹曲面とで構成することもできる。
【0008】
上記日射遮蔽装置において、前記支持部材は、前記遮蔽材を回動可能に支持し、前記遮蔽材は、回動により、前記一方の面と前記一方の面に対して反対側の他方の面とが選択的に室内側を向くように構成してもよい。
【0009】
上記課題を解決するための遮蔽材は、基材と、前記基材の少なくとも一方の面の表面に設けられている、光拡散粒子が分散された拡散反射層と、前記拡散反射層の上側に設けられている光触媒層と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、遮蔽材における干渉縞の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】横型ブラインドの斜視図である。
図2】横型ブラインドの正面図である。
図3】透光性の塗料を用いた拡散反射層を備えたスラットが日射を反射する状態を示す模式図である。
図4】日射を反射するスラットの状態を示す模式図である。
図5】遮光性の塗料を用いた拡散反射層を備えたスラットが日射を反射する状態を示す模式図である。
図6】参考例となるスラットの断面図である。
図7】(a)は、可視光線と等価な人工照明の入射角30°の正反射率を説明する図、(b)は、可視光線と等価な人工照明の入射角60°の正反射率を説明する図である。
図8】(a)は、拡散反射層に光拡散粒子を含んでいないスラットの正反射率を示す図であり、(b)は、マット加工が施されたスラットの正反射率を示す図であり、(c)は、遮光性の拡散反射層が設けられたスラットの正反射率を示す図であり、(d)は、透光性の拡散反射層が設けられたスラットの正反射率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明が適用された横型ブラインドについて図面を参照して説明する。
〔全体構成〕
図1及び図2に示すように、横型ブラインド1は、ヘッドボックス11から垂下される複数本のラダーコード12を介して複数枚のスラット13が互いに平行に吊下支持されている。ラダーコード12は、スラット13を支持する支持部材である。各ラダーコード12の上端部は、ヘッドボックス11内に配設されるスラット13の角度調節装置に支持され、下端はボトムレール14に接続されている。ラダーコード12の近傍において、スラット13には、ヘッドボックス11から垂下される複数本の昇降コード15が挿通されている。各昇降コード15は、その上端部がヘッドボックス11内で回転可能に支持される巻取軸16に巻回され、かつ、下端部がボトムレール14に接続されている。
【0013】
ヘッドボックス11の一端には、プーリーケース17が設けられている。プーリーケース17からは無端状の操作コード18が垂下されている。プーリーケース17内には、プーリーが回転可能に支持されている。プーリーは、操作コード18の操作により正逆回転される。操作コード18及びプーリーケース17は、横型ブラインド1の操作部を構成する。
【0014】
操作コード18一方向又は他方向に引っ張られると、プーリーが回転され、そして、ギヤボックスなどを介して巻取軸16と接続された駆動軸19が回転される。具体的に、駆動軸19が正転されると、巻取軸16が昇降コード15の繰り出し方向に回転されることで、スラット13及びボトムレール14が下降される。また、駆動軸19が逆転されると、巻取軸16が昇降コード15の巻き取り方向に回転されると、スラット13及びボトムレール14が上昇される。横型ブラインド1は、巻取軸16の正逆回転に基づいて、スラット13の昇降動作と並行してスラット13の角度調節装置が動作することで、ラダーコード12を介して各スラット13が同位相で回動される。
【0015】
ヘッドボックス11は、少なくともその両端部に取着される取付ブラケット9を介して、窓上部等の取付面に固定される。
遮蔽材としてのスラット13は、細長い矩形薄板状を有している。複数枚のスラット13は、横型ブラインド1の高さ方向である昇降方向に沿って並んでいる。そして、スラット13は、ヘッドボックス11から吊り下げられたラダーコード12によってチルト調整可能に支持されている。最下段のスラット13の下側には、スラット13とほぼ同じ長さを有するボトムレール14が配設されている。ボトムレール14は、昇降コード15の下端がコードホルダ14aなどで固定される固定部である。
【0016】
ボトムレール14は、複数枚のスラット13が降下した状態を維持する際の重量部材である。ボトムレール14は、スラット13とほぼ同じ長手方向の長さと短手方向の幅とを有する。ボトムレール14は、引き上げられるとき、複数枚のスラット13がボトムレール14の上に積み上げられる。ラダーコード12は、一対の縦糸の下端がボトムレール14にコードホルダ14aなどによって接続されている。また、ラダーコード12は、一対の縦糸間に横糸が設けられている。スラット13は横糸によって支持されている。ボトムレール14は、ヘッドボックス11から引き出された昇降コード15の下端が接続されている。ボトムレール14は、昇降コード15によってヘッドボックス11から吊り下げられている。
【0017】
〔スラットの構成〕
図3に示すように、スラット13は、基材21と、基材21の表面に塗工される拡散反射層22と、拡散反射層22の上層に設けられる光触媒層23と、を備えている。基材21は、合成樹脂板、アルミ、ステンレス等の金属板等により形成され、遮光性の材料で形成されている。なお、本実施形態では、基材21に、アルミニウムが用いられている。更に、基材21は、また、防炎の材料で形成されていてもよいし、木板や樹脂で形成されていてもよい。基材21は、断面円弧形状を備えている。スラット13の第1面は、凸曲面21aである。第1面と反対側の第2面は凹曲面21bである。
【0018】
第1面である凸曲面21aは、ラダーコード12の横糸にスラット13が全開状態において、上側を向く。そして、凸曲面21aは、スラット13の正遮蔽時において、室外側を向く。第2面としての凹曲面21bは、室内側を向く。正遮蔽時では、室外から見たとき上下に隣接するスラット13において、下側のスラット13に対して上側のスラット13が重なるように配置されることで、日射31がスラット13の隙間から室内に入射しにくくなる。スラット13は、凸曲面21aに拡散反射層22と光触媒層23が設けられても、その表面には凸曲面21aと同じ曲率の凸曲面が現れる。また、凹曲面21bに拡散反射層22と光触媒層23が設けられても、その表面には凹曲面21bと同じ曲率の凹曲面が現れる。
【0019】
拡散反射層22は、微粒子である光拡散粒子22aが分散された透光性又は遮光性の塗料を基材21の表面に塗工することによって構成されている。すなわち、拡散反射層22は、凸曲面21aと凹曲面21bとに設けられている。拡散反射層22を形成する塗料には、微粒子である光拡散粒子22aが含まれている。光拡散粒子22aは、拡散反射層22の表面だけでなく、その内部にも分散されている。光拡散粒子22aは、無機粒子である。一例として、光拡散粒子22aは、ガラスビーズ、アクリルビーズ、シリカなどであってもよいし、これらのビーズを混ぜて構成してもよい。
【0020】
光拡散粒子22aの粒径は、1μm以上である。光拡散粒子22aの粒径が1μm以上とすることで、十分に拡散反射層22の表面及び内部において、光を拡散反射することができる。また、粒径は、30μm以下又は10μm以下である。光拡散粒子22aの粒径を30μm以下又は10μm以下とすることで、必要とする拡散反射層22の所定厚みの中に十分に光拡散粒子22aを均一に分散することができる。光拡散粒子22aの粒径は、一例として、3μm程度である。
【0021】
また、拡散反射層22の厚みは、10μm以上である。また、50μm以下又は20μm以下である。光拡散粒子22aの粒径は、拡散反射層22の厚みより小さいことが好ましい。これにより、拡散反射層22の中にも、光拡散粒子22aを分散させることができる。
【0022】
また、光拡散粒子22aは、透光性又は遮光性の塗料の中に2質量%以上又は4質量%以上含まれている。塗料の中に光拡散粒子22aを2質量%又は4質量%以上とすることで、拡散反射層22の表面において光を拡散反射して正反射率を低減できる。
【0023】
また、塗料が透光性の場合、塗料の中に光拡散粒子22aを2質量%又は4質量%以上とすることで、拡散反射層22の内部において光を拡散反射して正反射率を低減できる。また、光拡散粒子22aは、透光性又は遮光性の塗料の中に10質量%以下又は5質量%以下含まれている。透光性又は遮光性の塗料の中に光拡散粒子22aを10質量%又は5質量%以下とすることで、塗料中に光拡散粒子22aを均一に分散させることができる。また、塗料の粘性が上がり過ぎ塗工困難となることを防ぐことができる。
【0024】
光触媒層23は、分散液の中に光触媒粒子を分散したコーティング剤を塗工することにより構成されている。光触媒粒子としては、酸化チタンが好ましいが、酸化タングステン等であってもよい。光触媒層23は、拡散反射層22の上層に塗布される塗膜である。光触媒層23の厚みは、6nm以上である。また、50nm以下である。光触媒層23に照射された光は、光触媒層23を通過し、拡散反射層22で反射される。光触媒層23は、その厚さを6nm以上、50nm以下とすることで、スラット13の防汚、抗菌、消臭効果等を十分に発現させることができる。また、光触媒層23は、その厚さを6nm以下としたときには、光触媒粒子の密度も不十分となることで、スラット13の防汚、抗菌、消臭効果等を十分得られなくなる。また、50nmより厚くすると、拡散反射層22の色合いに影響を与える。
【0025】
図4に示すように、全開時は、スラット13は、互いに離間し、かつ、平行な状態となる。日射31の多くは、室外の斜め上方から入射し、そして、光触媒層23を透過した後、拡散反射層22で拡散反射する。そして、日射31は、室内に進入する。図3に示すように、スラット13が開状態のときに日射31が入射されると、光触媒層23を透過し拡散反射層22の表面にある多数の光拡散粒子22aによって日射31が拡散反射される。図3に示す拡散反射層22は、透光性を有している。したがって、拡散反射層22の内部に日射31が進入し、内部に進入した日射31は、内部にある多数の光拡散粒子22aによって拡散反射される。
【0026】
スラット13に対する日射31の入射角は、正午やその前後の太陽高度が高いときには、小さくなり、朝や夕方は、入射角が大きくなる。ここでの入射角は、日射(可視光線)の入射方向とスラット13の法線とがなす角である。したがって、拡散反射層22が透光性を有している場合、入射角が大きいほど、日射31が拡散反射層22内を通過する光路長が長くなる。その分、日射31は、拡散反射層22内における光拡散粒子22aに繰り返し当たり、より多く拡散反射されることになる。
【0027】
図5に示すように、拡散反射層22が遮光性の場合、光拡散粒子22aが層内に分散されていたとしても、日射31は、拡散反射層22内に殆ど進入しない。そして、拡散反射層22の表面にある多数の光拡散粒子22aが日射31を拡散反射するだけである。
【0028】
なお、図6は、参考例として、基材21に拡散反射層22を設けることなく、光触媒層23を設けたスラット41を示している。図6の例の場合、基材21での正反射率が増加することで、光触媒層23に進入する光と基材21で正反射した光とが干渉して干渉縞が形成されてしまう。
【0029】
以上のように、基材21と光触媒層23との間に、光拡散粒子22aを含む拡散反射層22を設けることは、光触媒層23に干渉縞の発生に関連性を有する。光触媒層23を設ける場合、基材21で正反射する光を低減させる必要がある。
【0030】
図8は、スラット13における、可視光線と等価な人工照明の正反射率を示している。具体的に、(a)は、拡散反射層22に相当する層に光拡散粒子22aを含んでいない場合を示している。(b)は、拡散反射層22に相当する層に遮光性の塗料を用いマット加工が施された場合を示している(光拡散粒子22aの量が(c)及び(d)の場合よりも少ない)。(c)は、遮光性の拡散反射層22の場合を示している。(d)は、透光性の拡散反射層22の場合を示している。
【0031】
そして、図8(a)乃至(d)の各々は、可視光線と等価な人工照明の入射角30°の正反射率(図7(a)参照)と入射角60°の正反射率(図7(b)参照)を示している。なお、図8(b)の場合において、光拡散粒子22aは、塗料の中に1質量%程度、含まれている。また、図8(c)及び(d)において、光拡散粒子22aは、塗料の中に2質量%以上、10質量%以下、含まれている。
【0032】
図8に示すように、スラット13は、拡散反射層22に相当する層に光拡散粒子22aを含まずマット加工が施されていない場合(図8(a)参照)よりもマット加工が施されている場合(図8(b)参照)の方か正反射率が低くなる。更に、光拡散粒子22aに含まれる光拡散粒子22aが増えるほど正反射率は低くなる(図8(c)及び(d)参照)。
【0033】
また、図8(a)乃至(c)において、可視光線の入射角30°の正反射率と入射角60°の正反射率とを比較すると、入射角60°の正反射率の方が入射角30°反射の正反射率よりも高い。これに対して、(d)は、入射角60°の正反射率の方が入射角30°の正反射率よりも低くなる。これは、入射角が大きいほど、日射31が拡散反射層22内を通過する光路長が長くなる。その分、日射31は、拡散反射層22内において、繰り返し光拡散粒子22aに当たり、拡散反射が繰り返されるためである。また、拡散反射繰り返されることで、日射31が減衰されるためである。このような、入射角60°の正反射率の方が入射角30°の正反射率よりも低くなる現象は、入射角が60°よりも大きい70°や80°でも同様に現れる。
【0034】
図8(c)及び(d)に示すスラット13では、(a)及び(b)と比較して大幅に正反射率が低減している。したがって、図8(c)及び(d)に示すスラット13において、拡散反射層22上に光触媒層23を設けたときにも、干渉縞の発生を抑えることができる。
【0035】
〔実施形態の作用〕
以上のように構成された横型ブラインド1は、次のような作用を有する。
先ず、スラット13を下降させる場合について説明する。スラット13を下方に移動させる場合、操作コード18が引っ張られると、初動において、スラット13は、日射31を遮る全閉状態となるように回動する。次いで、巻取軸16が昇降コード15の繰り出し方向に回転され、スラット13及びボトムレール14が下方に移動され、下降される。この後、スラット13は、互いに平行な全開状態となるように回動する。
【0036】
次いで、スラット13を上昇させる場合について説明する。スラット13を上方に移動させる場合、先ず、操作コード18が下降時とは逆方向に引っ張られる。すると、スラット13は、全閉状態からスラット13が互いに平行な全開状態を介してスラット13が逆向きに逆全閉の状態に回動する。この後、スラット13及びボトムレール14は上昇される。
【0037】
以上のように、スラット13は、昇降動作の中で回動する。したがって、スラット13には、様々な入射角度で光が照射される。拡散反射層22は、入射角度にかかわらず、光触媒層23を通過した拡散反射する。したがって、スラット13は、上下方向の位置や回動角度のかかわらず、干渉縞の発生を抑えることができる。
【0038】
〔実施形態の効果〕
以上のような横型ブラインド1は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(1)スラット13は、拡散反射層22の上層に光触媒層23が設けられている。これにより、光触媒層23における干渉縞の発生を抑えることができる。
【0039】
(2)光触媒層23の光触媒には汎用的な酸化チタンを使用することができる。
(3)拡散反射層22は、光触媒層23を通過した光を拡散反射することができる。スラット13において、凸曲面21a及び凹曲面21bは、様々な入射角度で光が光触媒層23に進入し、拡散反射層22で拡散反射する。したがって、スラット13は、凸曲面21a及び凹曲面21bの何れの位置においても干渉縞の発生を抑えることができる。
【0040】
(4)スラット13は、昇降動作の中で回動することで、様々な入射角度で光が照射される。拡散反射層22は、入射角度にかかわらず、光触媒層23を通過した拡散反射する。したがって、スラット13では、上下方向の位置や回動角度のかかわらず、干渉縞の発生を抑えることができる。
【0041】
(5)拡散反射層22は、塗料が透光性及び遮光性の何れの場合であっても、所定の光拡散粒子22aが所定料含まれることで、光触媒層23における干渉縞の発生を抑えることができる。
【0042】
(6)スラット13は、拡散反射層22を備えることで、正反射率を低くすることができる。これにより、スラット13における日射31の正反射による眩しさを抑えることができる。また、正反射率が下がることで、省エネルギ効果を高めることができる。このような横型ブラインド1は、日射31が入りやすい南面・東西面の窓に設置することがより好ましい。
【0043】
なお、横型ブラインド1は、更に、以下のように適宜変更して実施することもできる。本実施形態は、上記実施の形態以外に、例えば以下に示される変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例を組み合わせた形態としてもよい。
【0044】
・スラット13としては、凸曲面21aと凹曲面21bを有する形状ではなく、両面が平坦面で構成された平板であってもよい。
・横型ブラインド1の操作部としては、チルトポールの先端部にイコライザを設けたワンポール式であってもよい。また、ポールとコードが別々に付き、スラット13の開閉はポールを回して行い、スラット13の昇降は昇降コード15を引いて操作するポール式であってもよい。
【0045】
・スラット13は、少なくとも開状態において、日射31の入射面となる上側を向く面、ここでは凸曲面21aに拡散反射層22を設けるようにすればよい。下側となる凹曲面21bは、拡散反射層22を省略してもよい。すなわち、凸曲面21aと凹曲面21bとで色違いとしてもよい。
【0046】
・基材21に、拡散反射層22を設けるにあたっては、基材21の表面に下地層を設けてからでもよい。
・拡散反射層22と光触媒層23との間にも、例えば拡散反射層22を保護する中間層を設けるようにしてもよい。
【0047】
・手動の横型ブラインド1の他、電動の横型ブラインドにも適用可能である。
・日射遮蔽装置としては、横型ブラインド1ではなく、手動又は電動の縦型ブラインドに用いられるスラットであってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…横型ブラインド
9…取付ブラケット
11…ヘッドボックス
12…ラダーコード
13…スラット
14…ボトムレール
14a…コードホルダ
15…昇降コード
16…巻取軸
17…プーリーケース
18…操作コード
19…駆動軸
21…基材
21a…凸曲面
21b…凹曲面
22…拡散反射層
22a…光拡散粒子
23…光触媒層
31…日射
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8