(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162501
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20241114BHJP
G03B 17/14 20210101ALI20241114BHJP
G03B 35/08 20210101ALI20241114BHJP
【FI】
H04N23/60 300
G03B17/14
G03B35/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078054
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相場 俊孝
【テーマコード(参考)】
2H059
2H101
5C122
【Fターム(参考)】
2H059AA09
2H101EE08
5C122EA47
5C122EA68
5C122FA04
5C122FA11
5C122FA18
5C122FB06
5C122GA34
5C122HA01
5C122HA75
5C122HA81
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】視差補正処理のような調整処理(各画像領域の位置とサイズの少なくとも一方の調整処理)を高精度に行えるパラメータの決定と、当該パラメータの決定に要する時間の短縮とを両立することができる技術を提供する。
【解決手段】本発明の撮像装置は、複数の光学系をそれぞれ介して複数の画像領域を撮像する撮像手段と、前記複数の光学系を有するレンズユニットの装着状態と、前記レンズユニットの周囲の温度との少なくとも一方に関する情報であり、且つ前記複数の画像領域それぞれの位置とサイズの少なくとも一方の調整処理のパラメータを更新するか否かの判断に使用される情報である判断情報を取得する取得手段と、前記複数の画像領域を含んだ画像と、前記判断情報とを、互いに関連付けて記憶部に格納する制御手段とを有することを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光学系をそれぞれ介して複数の画像領域を撮像する撮像手段と、
前記複数の光学系を有するレンズユニットの装着状態と、前記レンズユニットの周囲の温度との少なくとも一方に関する情報であり、且つ前記複数の画像領域それぞれの位置とサイズの少なくとも一方の調整処理のパラメータを更新するか否かの判断に使用される情報である判断情報を取得する取得手段と、
前記複数の画像領域を含んだ画像と、前記判断情報とを、互いに関連付けて記憶部に格納する制御手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記判断情報は、前記画像を前記記憶部に格納した日時の情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記判断情報は、前記画像を前記記憶部に格納するまでの期間における、前記撮像装置に対するレンズユニットの脱着の回数の情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記判断情報は、前記画像を前記記憶部に格納するまでの期間における、閾値よりも大きい前記撮像装置の動きの回数の情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記判断情報は、前記画像を前記記憶部に格納した際の前記レンズユニットの周囲の温度の情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記判断情報は、前記画像を前記記憶部に格納するモードの情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記複数の画像領域は、立体視のための2つの画像領域である
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記複数の光学系は、レンズユニットの左右方向に並んだ2つの光学系である
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記複数の光学系それぞれは魚眼レンズを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記複数の画像領域それぞれは魚眼画像領域である
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
請求項1に記載の撮像装置によって前記記憶部に格納された前記画像を取得する画像取得手段と、
前記撮像装置によって前記画像に関連付けて前記記憶部に格納された前記判断情報を取得する情報取得手段と、
前記調整処理のパラメータを決定する決定手段と、
前記パラメータを前記画像に関連付ける関連付け手段と、
前記決定手段が前記画像に基づいてパラメータを更新した場合に、更新後のパラメータを保持する保持手段と
を有し、
前記決定手段は、前記画像に基づいてパラメータを更新するか、保持されているパラメータを今回のパラメータとして流用するかを、前記判断情報に基づいて切り替える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
前記パラメータを前記画像に関連付けることは、前記パラメータを用いた前記調整処理を前記画像に施すことである
ことを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記保持手段は、前記更新後のパラメータと、取得された判断情報とを保持し、
前記決定手段は、取得された判断情報と保持されている判断情報とを比較して、前記画像に基づいてパラメータを更新するか、保持されているパラメータを今回のパラメータとして流用するかを切り替える
ことを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記判断情報は、前記画像が前記記憶部に格納された日時の情報を含み、
前記決定手段は、保持されているパラメータへの更新に用いた画像が前記記憶部に格納された日時から、取得された画像が前記記憶部に格納された日時までの時間が閾値よりも長い場合に、前記画像に基づいてパラメータを更新する
ことを特徴とする請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記判断情報は、前記画像が前記記憶部に格納されるまでの期間における、前記撮像装置に対するレンズユニットの脱着の回数の情報を含み、
前記決定手段は、保持されているパラメータへの更新に用いた画像が前記記憶部に格納されるまでの期間における前記脱着の回数と、取得された画像が前記記憶部に格納されるまでの期間における前記脱着の回数とが異なる場合に、前記画像に基づいてパラメータを更新する
ことを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記判断情報は、前記画像が前記記憶部に格納されるまでの期間における、閾値よりも大きい前記撮像装置の動きの回数の情報を含み、
前記決定手段は、保持されているパラメータへの更新に用いた画像が前記記憶部に格納されるまでの期間における前記動きの回数と、取得された画像が前記記憶部に格納されるまでの期間における前記動きの回数とが異なる場合に、前記画像に基づいてパラメータを更新する
ことを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記判断情報は、前記画像が前記記憶部に格納された際の前記レンズユニットの周囲の温度の情報を含み、
前記決定手段は、保持されているパラメータへの更新に用いた画像が前記記憶部に格納される際の前記温度と、取得された画像が前記記憶部に格納される際の前記温度との差分が閾値よりも大きい場合に、前記画像に基づいてパラメータを更新する
ことを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記判断情報は、前記画像を前記記憶部に格納するモードの情報を含み、
前記決定手段は、前記モードが、所定の時間間隔よりも短い時間間隔で画像の格納を繰り返し行うモードであった場合に、保持されている前記パラメータを今回のパラメータとして流用する
ことを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項19】
複数の光学系をそれぞれ介して複数の画像領域を撮像する撮像手段を有する撮像装置の
制御方法であって、
前記複数の光学系を有するレンズユニットの装着状態と、前記レンズユニットの周囲の温度との少なくとも一方に関する情報であり、且つ前記複数の画像領域それぞれの位置とサイズの少なくとも一方の調整処理のパラメータを更新するか否かの判断に使用される情報である判断情報を取得する取得ステップと、
前記複数の画像領域を含んだ画像と、前記判断情報とを、互いに関連付けて記憶部に格納する制御ステップと
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項20】
請求項1に記載の撮像装置によって前記記憶部に格納された前記画像を取得する画像取得ステップと、
前記撮像装置によって前記画像に関連付けて前記記憶部に格納された前記判断情報を取得する情報取得ステップと、
前記調整処理のパラメータを決定する決定ステップと、
前記パラメータを前記画像に関連付ける関連付けステップと、
前記決定ステップにおいて前記画像に基づいてパラメータが更新された場合に、更新後のパラメータを保持する保持ステップと
を有し、
前記決定ステップは、前記画像に基づいてパラメータを更新するか、保持されているパラメータを今回のパラメータとして流用するかが、前記判断情報に基づいて切り替えられる
ことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項21】
コンピュータを、請求項1~10のいずれか1項に記載の撮像装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項22】
コンピュータを、請求項1~10のいずれか1項に記載の撮像装置の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【請求項23】
コンピュータを、請求項11~18のいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項24】
コンピュータを、請求項11~18のいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に複数の画像領域の間の視差を補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
1つのレンズマウント部(および1つの撮像素子)を有し、2つの光学系をそれぞれ介して2つの画像領域を一度に撮像することのできる撮像装置が提案されている。例えば、立体視のために、視差のある2つの画像領域が一度に撮像される。
【0003】
2つの画像領域の間の視差は誤差(視差誤差)を含むことがある。違和感のない立体視のためには、2つの画像領域の間の視差を補正する視差補正処理を行って、視差誤差を低減する必要があるが、視差補正処理のパラメータ(視差補正パラメータ)の決定(生成、更新)には長い時間を要する。
【0004】
特許文献1には、連写、各コマの撮影条件が固定(露出固定)の撮影、または各コマの撮影時間間隔が所定値以下の撮影によって得られた一連の画像(複数の画像)のそれぞれに対して、同じパラメータを用いた画像処理を行う技術が開示されている。特許文献1に開示の技術によれば、パラメータの決定に要する時間を短縮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一連の画像(複数の画像)の間で視差誤差が(大きく)異なることがある。そのため、特許文献1に開示の技術を用いて、一連の画像のそれぞれに対して同じ視差補正パラメータを用いた視差補正処理を行うとすると、一連の画像の少なくともいずれかについて、視差補正処理が高精度に行えず、視差誤差が十分に低減されないことがある。
【0007】
本発明は、視差補正処理のような調整処理(各画像領域の位置とサイズの少なくとも一方の調整処理)を高精度に行えるパラメータの決定と、当該パラメータの決定に要する時間の短縮とを両立することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像装置は、複数の光学系をそれぞれ介して複数の画像領域を撮像する撮像手段と、前記複数の光学系を有するレンズユニットの装着状態と、前記レンズユニットの周囲の温度との少なくとも一方に関する情報であり、且つ前記複数の画像領域それぞれの位置とサイズの少なくとも一方の調整処理のパラメータを更新するか否かの判断に使用される情報である判断情報を取得する取得手段と、前記複数の画像領域を含んだ画像と、前記判断情報とを、互いに関連付けて記憶部に格納する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、視差補正処理のような調整処理(各画像領域の位置とサイズの少なくとも一方の調整処理)を高精度に行えるパラメータの決定と、当該パラメータの決定に要する時間の短縮とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】パーソナルコンピュータ(PC)のブロック図である。
【
図4】撮像装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1(a)~1(c)は、2つの光学系を有するレンズユニット(例えば、VR180に対応した2眼レンズユニット)が装着された撮像装置によって得られた撮像画像を示す模式図である。
図1(a)~1(c)に示す撮像画像は、2つの光学系をそれぞれ介して撮像された2つの画像領域(
図1(a)~1(c)において「AB」が記載された2つの領域)を含んでいる。2つの光学系はレンズユニットの左右方向に並んでおり、2つの画像領域が左右方向に並ぶことが想定されている。2つの画像領域は立体視のための領域であり、2つの画像領域の間には視差がある。2つの光学系それぞれは魚眼レンズを含み、2つの画像領域それぞれは魚眼画像領域(魚眼画像(円周魚眼画像)の領域、イメージサークル)である。
【0013】
図1(a)は、視差の誤差(視差誤差)がない理想的な撮像画像を示す。
図1(a)の撮像画像では、同じ大きさの2つの画像領域が左右方向(水平方向)に並んでおり、2つの画像領域それぞれの中心を通る線101が水平方向に平行になっている。
図1(b)は、撮像装置に対するレンズユニットの装着状態に起因した視差誤差が生じている撮像画像を示す。例えば、撮像装置(レンズマウント部)に対するレンズユニットのガタつきが生じると、撮像装置に対するレンズユニットの装着状態が変化する。
図1(b)では、撮像装置に対してレンズユニットが斜めに装着されている。そのため、2つの画像領域が斜めに並んでおり、2つの画像領域それぞれの中心を通る線102が斜めに傾いている。
図1(c)は、レンズユニットの周囲の温度(撮像装置の周囲の温度、環境温度)に起因した視差誤差が生じている撮像画像を示す。
図1(c)では、環境温度に起因して、左の光学系の特性と右の光学系の特性とのずれが生じている。そのため、2つの画像領域のサイズが異なっている。
図1(c)では、左の画像領域(イメージサークル)の半径と、右の画像領域(イメージサークル)の半径との差103(サイズ差)が生じている。
【0014】
違和感のない立体視のためには、2つの画像領域の間の視差を補正する視差補正処理を行って、視差誤差を低減する必要があるが、視差補正処理のパラメータ(視差補正パラメータ)の決定(生成、更新)には長い時間を要する。
【0015】
図1(b)のような状況では、撮像装置に対するレンズユニットの装着状態が変化しなければ、生成した視差補正パラメータを流用(再利用)することができる。また、
図1(c)のような状況では、環境温度が変化しなければ、生成した視差補正パラメータを流用することができる。このような知見に基づき、本実施形態では、記憶部への撮像画像の格納時に(撮影時に)、上述した装着状態と環境温度の少なくとも一方に関する情報を、撮像画像に関連付けて記憶部に格納する。この情報は、視差補正パラメータを更新するか否かを判断するための判断情報として使用する。例えば、記憶部に格納されている撮像画像を編集したり表示したりする際に、当該撮像画像に関連付けられた判断情報を用いて、視
差補正パラメータを更新するか否かを判断する。こうすることによって、視差補正処理のような調整処理(各画像領域の位置とサイズの少なくとも一方の調整処理)を高精度に行えるパラメータの決定と、当該パラメータの決定に要する時間の短縮とを両立することができる。
【0016】
なお、光学系の数、光学系の配置、光学系に含まれるレンズの種類、画像領域の数、画像領域の配置、および画像領域の形状は特に限定されない。例えば、3つ以上の光学系をそれぞれ介して3つ以上の画像領域が撮像されてもよい。画像領域は、正距円筒画像の領域であってもよい。
【0017】
図2は、本実施形態に係る電子機器の一例としての撮像装置200の構成を示すブロック図である。撮像装置200は、例えば、レンズユニットを脱着可能なデジタルカメラである。なお、本実施形態に係る電子機器は、デジタルカメラに限られず、例えばスマートフォンまたはタブレット端末であってもよい。本実施形態に係る電子機器は、撮像装置に限られず、例えば、撮像装置から撮像画像と情報を受信して記憶部に格納するパーソナルコンピュータ(PC)であってもよい。このように、本実施形態に係る電子機器として、様々な電子機器を用いることができる。
【0018】
制御部201は、例えばCentral Processing Unit(CPU)であり、撮像装置200の全体を制御する。Read Only Memory(ROM)202は、変更を必要としない各種データ(例えばプログラムおよびパラメータ)を記憶する。Random Access Memory(RAM)203は、各種データ(例えばプログラムおよびパラメータ)を一時的に記憶する。
【0019】
記憶装置204は、各種データを記憶する。例えば、記憶装置204は、撮像装置200に固定(内蔵)されたSolid State Drive(SSD)、Hard Disk Drive(HDD)、またはフラッシュストレージである。記憶装置204は、撮像装置200に対して脱着可能な光ディスク、磁気カード、光カード、ICカード、またはメモリーカードであってもよい。
【0020】
操作部205は、ボタンまたはタッチパネルといった操作部材を含み、ユーザによる操作(ユーザ操作)を受け付ける。操作部205は、リモートコントローラといった操作デバイスから、当該操作デバイスに対するユーザ操作に応じた操作信号を、有線または無線で受信する受信部であってもよい。表示部206は、撮像装置200に予め格納されている画像データ、撮像装置200によって生成された画像データ、および撮像装置200に共有された画像データといった様々な画像データに基づく画像を表示する。
【0021】
撮像部207は、Charge Coupled Devices(CCD)といったイメージセンサである。2つの光学系を有するレンズユニット(例えば、VR180に対応した2眼レンズユニット)が撮像装置200に装着された状態においては、撮像部207は、2つの光学系をそれぞれ介して2つの画像領域を撮像する。これによって、
図1(a)~1(c)に示すような撮像画像が得られる。センサ部208は、モーションセンサ、環境温度センサ、および脱着センサ(撮像装置200に対するレンズユニットの脱着を検知するセンサ)といった様々なセンサを含む。システムバス209は、撮像装置200内での通信を可能にするために、撮像装置200の各部に接続されている。
【0022】
図3は、本実施形態に係る情報処理装置の一例としてのパーソナルコンピュータ(PC)300の構成を示すブロック図である。なお、本実施形態に係る情報処理装置は、パーソナルコンピュータに限られず、例えばスマートフォンまたはタブレット端末であってもよい。本実施形態に係る情報処理装置は、表示装置であってもよい。このように、本実施
形態に係る情報処理装置として、様々な情報処理装置を用いることができる。
【0023】
制御部301は、例えばCentral Processing Unit(CPU)であり、PC300の全体を制御する。Read Only Memory(ROM)302は、変更を必要としない各種データ(例えばプログラムおよびパラメータ)を記憶する。Random Access Memory(RAM)303は、各種データ(例えばプログラムおよびパラメータ)を一時的に記憶する。
【0024】
記憶装置304は、各種データを記憶する。例えば、記憶装置304は、PC300に固定(内蔵)されたSolid State Drive(SSD)、Hard Disk Drive(HDD)、またはフラッシュストレージである。記憶装置304は、PC300に対して脱着可能な光ディスク、磁気カード、光カード、ICカード、またはメモリーカードであってもよい。
【0025】
操作部305は、ボタンまたはタッチパネルといった操作部材を含み、ユーザによる操作(ユーザ操作)を受け付ける。操作部305は、リモートコントローラといった操作デバイスから、当該操作デバイスに対するユーザ操作に応じた操作信号を、有線または無線で受信する受信部であってもよい。表示部306は、PC300に予め格納されている画像データ、PC300によって生成された画像データ、およびPC300に共有された画像データといった様々な画像データに基づく画像を表示する。通信部307は、有線または無線で外部装置と接続し、通信するための通信インタフェースである。システムバス308は、PC300内での通信を可能にするために、PC300の各部に接続されている。
【0026】
撮像装置200の動作の概要を説明する。撮像装置200の電源がオフの状態(通電が行われているスタンバイ状態)において、撮像装置200は、撮像装置200に対するレンズユニットの装着状態に関する情報として、モーション情報とレンズ脱着情報を収集する。モーション情報は、モーションセンサの検出結果に基づく情報であり、脱着情報は、脱着センサの検出結果に基づく情報である。モーション情報と脱着情報は特に限定されないが、本実施形態では、モーション情報は、閾値よりも大きい撮像装置200の動きの回数の情報であるとする。そして、脱着情報は、撮像装置200に対するレンズユニットの脱着の回数の情報であるとする。撮像装置200の電源がオンの状態(起動状態)でも、撮像装置200は、モーション情報と脱着情報を収集する。撮影時に、撮像装置200は、撮影日時の情報(撮影日時情報、現在の日時の情報)、および環境温度センサによって検出された環境温度の情報(環境温度情報)を取得する。そして、撮像装置200は、撮像画像と判断情報(撮影日時情報、脱着情報、モーション情報、および環境温度情報)を互いに関連付けて記憶装置204に格納する。
【0027】
PC300の動作の概要を説明する。PC300は、撮像画像に視差補正パラメータを関連付ける処理を、複数の画像について順次行うことができる。撮像画像に視差補正パラメータを関連付ける処理は特に限定されないが、本実施形態では、視差補正パラメータを用いた視差補正処理を画像に施すことによって、視差補正パラメータが画像に関連付けられるとする。1枚目の撮像画像については、PC300は、当該1枚目の撮像画像に基づいて視差補正パラメータを生成する。PC300は、生成した視差補正パラメータを保持する。2枚目以降の撮像画像については、PC300は、上述した判断情報に基づいて、保持している視差補正パラメータを流用するか、撮像画像に基づいて視差補正パラメータを更新(生成)するかを切り替える。
【0028】
図4は、撮像装置200の動作の詳細を示すフローチャートである。
図4の動作は、制御部201が、ROM202に格納されているプログラムをRAM203に展開して実行
することによって実現される。例えば、撮像装置200に電池が挿入され、撮像装置200における通電が開始する(撮像装置200の状態がスタンバイ状態になる)と、制御部201は、
図4の動作を開始する。
【0029】
S401では、制御部201は、センサ部208に含まれたモーションセンサと脱着センサを駆動する。
【0030】
S402では、制御部201は、モーションセンサの出力信号に基づいて、閾値よりも大きい撮像装置200の動きが生じたか否かを判定する。撮像装置200の動きが生じた場合はS403に進み、そうでない場合はS404に進む。閾値は、例えば、撮像装置200(レンズマウント部)に対するレンズユニットのガタつきが生じ得る動き(撮像装置200に対するレンズユニットの装着状態が変化し得る動き)の最小の大きさである。閾値の決定方法は特に限定されないが、例えば、撮像装置200の大きさ、レンズユニットの大きさ、およびレンズマウント部の強度といった情報に基づいて閾値が予め決定される。
【0031】
S403では、制御部201は、閾値よりも大きい撮像装置200の動きの回数を示すカウント値(モーションカウント値、モーション情報)に1を加算する。モーションカウント値の初期値(
図4の動作の開始時におけるモーションカウント値)は、例えば0である。モーションカウント値は、例えばRAM203で保持される。
【0032】
S404では、制御部201は、脱着センサの出力信号に基づいて、撮像装置200に対するレンズユニットの脱着が行われたか否かを判定する。レンズユニットの脱着が行われた場合はS405に進み、そうでない場合はS406に進む。
【0033】
S405では、制御部201は、撮像装置200に対するレンズユニットの脱着の回数を示すカウント値(脱着カウント値、脱着情報)に1を加算する。脱着カウント値の初期値(
図4の動作の開始時における脱着カウント値)は、例えば0である。脱着カウント値は、例えばRAM203で保持される。
【0034】
S406では、制御部201は、ユーザによって撮像装置200の起動(電源オン)が指示されたか否か、例えば操作部205に含まれた電源ボタンが押下されたか否かを判定する。起動が指示された場合はS407に進み、そうでない場合はS402に進む。
【0035】
S407では、制御部201は、起動状態処理を行う。起動状態処理の詳細は、
図5を用いて後述する。
【0036】
S408では、制御部201は、通電が終了したか否かを判定する。電池が取り外されたり、電池の残量が0になったりすると、通電が終了する。通電が終了した場合は
図4の動作を終了し、そうでない場合はS402に進む。
【0037】
図5は、起動状態処理(
図4のS407)のフローチャートである。
図5の起動状態処理は、制御部201が、ROM202に格納されているプログラムをRAM203に展開して実行することによって実現される。
【0038】
S501では、
図4のS402と同様に、制御部201は、モーションセンサの出力信号に基づいて、閾値よりも大きい撮像装置200の動きが生じたか否かを判定する。撮像装置200の動きが生じた場合はS502に進み、そうでない場合はS503に進む。
【0039】
S502では、S403と同様に、制御部201は、モーションカウント値に1を加算
する。
【0040】
S503では、S404と同様に、制御部201は、脱着センサの出力信号に基づいて、撮像装置200に対するレンズユニットの脱着が行われたか否かを判定する。レンズユニットの脱着が行われた場合はS504に進み、そうでない場合はS505に進む。
【0041】
S504では、S405と同様に、制御部201は、脱着カウント値に1を加算する。
【0042】
S505では、制御部201は、ユーザによって撮影開始が指示されたか否かを判定する。例えば、制御部201は、操作部205に含まれたシャッターボタンが押下されたか否かを判定したり、操作部205に含まれた動画撮影ボタンが押下されたか否かを判定したりする。撮影開始が指示された場合はS506に進み、そうでない場合はS501に進む。
【0043】
S506では、制御部201は、撮像装置200に装着されているレンズユニットから、当該レンズユニットに関する情報(レンズ情報)を取得する。例えば、レンズ情報は、レンズユニットの少なくとも種類を識別可能な識別情報であり、レンズユニットの種類、型番、シリアルナンバー、および名前の少なくともいずれかを示す。レンズ情報は、レンズユニットの各種設計値を示してもよいし、レンズユニットの各種個体値を示してもよい。
【0044】
S507では、S501と同様に、制御部201は、モーションセンサの出力信号に基づいて、閾値よりも大きい撮像装置200の動きが生じたか否かを判定する。撮像装置200の動きが生じた場合はS508に進み、そうでない場合はS509に進む。
【0045】
S508では、S502と同様に、制御部201は、モーションカウント値に1を加算する。
【0046】
S509では、制御部201は、撮像部207から撮像画像を取得し、当該撮像画像をファイル形式で記憶装置204に格納する。
【0047】
S510では、制御部201は、センサ部208に含まれた環境温度センサから、環境温度の情報(環境温度情報)を取得する。そして、制御部201は、取得した環境温度情報を、S509で格納した撮像画像のメタデータの一部として記憶装置204に格納する。環境温度センサによって検出される環境温度は、撮像装置200の周囲の温度であり、撮像装置200に装着されたレンズユニットの周囲の温度である。なお、環境温度情報はレンズユニットから取得されてもよい。メタデータが撮像画像のファイルに格納されてもよいし、撮像画像のファイルとは異なるファイルに格納されてもよい。
【0048】
S511では、制御部201は、S506で取得したレンズ情報を、S509で格納した撮像画像のメタデータの一部として記憶装置204に格納する。
【0049】
S512では、制御部201は、RAM203で保持しているモーションカウント値と脱着カウント値を、S509で格納した撮像画像のメタデータの一部として記憶装置204に格納する。
【0050】
S513では、制御部201は、撮影日時の情報(撮影日時情報、現在の日時の情報、撮像画像が記憶装置204に格納した日時の情報)を、S509で格納した撮像画像のメタデータの一部として記憶装置204に格納する。撮影日時情報は、公知の様々な方法で取得することができる。
【0051】
S514では、制御部201は、ユーザによって撮影終了が指示されたか否かを判定する。例えば、制御部201は、シャッターボタンの押下が解除されたか否かを判定したり、動画撮影ボタンが再び押下されたか否かを判定したりする。撮影終了が指示された場合はS515に進み、そうでない場合はS507に進む。S507~S514の処理を繰り返すことによって、1枚の静止画の撮影だけではなく、連写、タイムラプス撮影、動画撮影といった複数のフレームの撮影を行うことができる。
【0052】
S515では、制御部201は、ユーザによって撮像装置200の停止(電源オフ)が指示されたか否か、例えば操作部205に含まれた電源ボタンが押下されたか否かを判定する。停止が指示された場合は
図5の起動状態処理を終了し、そうでない場合はS501に進む。
【0053】
図6は、PC300の動作の詳細を示すフローチャートである。
図6の動作は、制御部301が、ROM302に格納されているプログラムをRAM303に展開して実行することによって実現される。ここでは、撮像装置200から記憶装置204が取り外され、記憶装置304としてPC300に装着されたとする。記憶装置304に格納されている画像ファイル(撮像装置200によって得られた撮像画像)がユーザによって指定(選択)されると、制御部301は、
図6の動作を開始する。ユーザは複数の撮像画像を一度に指定することができ、複数の撮像画像が指定された場合は、制御部301は、指定された撮像画像ごとにS601~S614の処理を行う。指定される複数の撮像画像は、例えば、1回の連写、タイムラプス撮影、または動画撮影によって得られた複数のフレームである。動画ファイルの指定は、動画の複数のフレームの指定と解釈することができる。指定される複数の撮像画像は、個別の静止画撮影によって得られた複数の静止画であってもよい。
【0054】
S601では、制御部301は、ユーザによって指定された撮像画像を、記憶装置304から読み出す(画像取得)。
【0055】
S602では、制御部301は、S601で読み出した撮像画像のメタデータを、記憶装置304から読み出す(情報取得)。メタデータには、
図5のS510~S513で格納された環境温度情報、レンズ情報、モーションカウント値、脱着カウント値、および撮影日時情報が含まれている。
【0056】
S603では、制御部301は、S602で読み出したメタデータから、撮影日時情報を取得する。
【0057】
S604では、制御部301は、S602で読み出したメタデータから、レンズ情報を取得する。
【0058】
S605では、制御部301は、S604で取得したレンズ情報に基づいて、S601で読み出した撮像画像の撮影時において撮像装置200に所定のレンズユニットが装着されていたか否かを判定する。所定のレンズユニットは、例えば、複数の光学系を有する複眼レンズユニットである。ここでは、制御部301は、VR180に対応した2眼レンズユニット(2つの魚眼レンズを有するレンズユニット)が撮像装置200に装着されていたか否かを判定するとする。所定のレンズユニットが装着されていた場合はS606に進み、そうでない場合はS615に進む。
【0059】
S606では、制御部301は、S602で読み出したメタデータから、センサ情報(環境温度情報、モーションカウント値、および脱着カウント値)を取得する。
【0060】
S607では、制御部301は、S601で読み出した撮像画像が1枚目の画像であるか否かを判定する。1枚目の画像である場合はS608に進み、そうでない場合はS611に進む。
【0061】
S608では、制御部301は、S601で読み出した撮像画像に基づいて、視差補正パラメータを生成する。そして、制御部301は、生成した視差補正パラメータを用いた視差補正処理を、S601で読み出した撮像画像に施す。視差補正パラメータは、公知の様々な方法で生成することができる。また、視差補正処理は、公知の様々な方法で行うことができる。
【0062】
S609では、制御部301は、S608で生成した視差補正パラメータ、または後述するS613で生成した視差補正パラメータ(更新後の視差補正パラメータ)を、RAM303で保持する。
【0063】
S610では、制御部301は、S603で取得した撮影日時情報と、S606で取得したセンサ情報とを、S609で保持した視差補正パラメータに関連付けてRAM303で保持する。
【0064】
S611では、制御部301は、更新判断処理(視差補正パラメータを更新するか否かを判断する処理)を行う。視差補正パラメータを更新する場合はリセットフラグが1(オン)に設定され、視差補正パラメータを更新しない(流用する)場合はリセットフラグが0(オフ)に設定される。更新判断処理の詳細は、
図7を用いて後述する。
【0065】
S612では、制御部301は、リセットフラグが1(オン)に設定されているか否かを判定する。リセットフラグが1に設定されている場合はS613に進み、そうでない場合はS614に進む。
【0066】
S613では、制御部301は、S601で読み出した撮像画像に基づいて、視差補正パラメータを生成する。これによって、視差補正処理に用いる視差補正パラメータが更新される。そして、制御部301は、生成した視差補正パラメータを用いた視差補正処理を、S601で読み出した撮像画像に施す。その後、S609とS610の処理が行われ、保持される情報(視差補正パラメータ、撮影日時情報、およびセンサ情報)が更新される。
【0067】
S614では、制御部301は、保持している視差補正パラメータを流用して、S601で読み出した撮像画像に視差補正処理を施す。
【0068】
S615では、制御部301は、指定された全ての撮像画像についてS601~S614の処理を行ったか否かを判定する。全ての撮像画像についてS601~S614の処理を行った場合は
図6の動作を終了し、そうでない場合はS601に進む。
【0069】
図7は、更新判断処理(
図6のS611)のフローチャートである。
図6の更新判断処理は、制御部301が、ROM302に格納されているプログラムをRAM303に展開して実行することによって実現される。
【0070】
図7の更新判断処理では、
図8に示す判断情報(撮影日時情報、脱着カウント値、モーションカウント値、および環境温度情報)を用いて、視差補正パラメータを更新するか否かが判断される。視差補正パラメータの生成(更新)が行われると、生成(更新)された視差補正パラメータはS609で保持され、S603とS606で取得された判断情報は
S610で保持される。その後、S603とS606の処理が再び行われ、新たな判断情報が取得される。
図7の更新判断処理では、取得された新たな判断情報と保持されている判断情報とを比較して、視差補正パラメータを更新するか否かが判断される。
【0071】
S701では、制御部301は、視差補正パラメータを更新するか否かを示すリセットフラグを0(オフ)に設定する。
【0072】
S702では、制御部301は、保持している撮影日時情報と新たな撮影日時情報とを比較する。保持している撮影日時情報は、保持している視差補正パラメータへの更新に用いた撮像画像の撮影日時を示し、新たな撮影日時情報は、処理対象の撮像画像の撮影日時を示す。制御部301は、保持している撮影時日情報が示す撮影日時から、新たな撮影日時情報が示す撮影日時までの時間が閾値よりも長いか否かを判定する。閾値が1時間であり、保持している撮影日時情報が示す撮影日時が3:00であったとする。この場合には、制御部301は、新たな撮影日時情報が示す撮影日時が「2:00よりも前または4:00よりも後」という条件を満たすか否かを判定する。2つの撮影日時の間の時間が長い場合は、2つの撮像画像との間で、撮影時における装着状態(撮像装置200に対するレンズユニットの装着状態)または環境温度が(大きく)異なる可能性が高く、視差誤差が(大きく)異なる可能性が高い。そのため、2つの撮影日時の間の時間が閾値よりも長い場合は、視差補正パラメータを更新すると判断し、S706に進む。そうでない場合は、S703に進む。
【0073】
S703では、制御部301は、保持している脱着カウント値と新たな脱着カウント値とを比較する。保持している脱着カウント値は、保持している視差補正パラメータへの更新に用いた撮像画像の撮影までの期間における脱着(撮像装置200に対するレンズユニットの脱着)の回数を示す。新たな脱着カウント値は、処理対象の撮像画像の撮影までの期間における脱着の回数を示す。制御部301は、保持している脱着カウント値と新たな脱着カウント値とが異なるか否かを判定する。2つの脱着カウント値が異なる場合は、2つの撮像画像の一方の撮影から他方の撮影までの期間に撮像装置200に対するレンズユニットの脱着が行われている。撮像装置200に対するレンズユニットの脱着によって撮像装置200に対するレンズユニットの装着状態が変化することがある。従って、2つの脱着カウント値が異なる場合は、2つの撮像画像との間で、撮影時における装着状態(撮像装置200に対するレンズユニットの装着状態)が(大きく)異なる可能性が高く、視差誤差が(大きく)異なる可能性が高い。そのため、2つの脱着カウント値が異なる場合は、視差補正パラメータを更新すると判断し、S706に進む。そうでない場合は、S704に進む。
【0074】
S704では、制御部301は、保持しているモーションカウント値と新たなモーションカウント値とを比較する。保持しているモーションカウント値は、保持している視差補正パラメータへの更新に用いた撮像画像の撮影までの期間における撮像装置200の動き(閾値よりも大きい動き)の回数を示す。新たなモーションカウント値は、処理対象の撮像画像の撮影までの期間における撮像装置200の動きの回数を示す。制御部301は、保持しているモーションカウント値と新たなモーションカウント値とが異なるか否かを判定する。2つのモーションカウント値が異なる場合は、2つの撮像画像の一方の撮影から他方の撮影までの期間に閾値よりも大きい撮像装置200の動きが生じている。閾値よりも大きい撮像装置200の動きによって撮像装置200に対するレンズユニットの装着状態が変化することがある。従って、2つのモーションカウント値が異なる場合は、2つの撮像画像との間で、撮影時における装着状態(撮像装置200に対するレンズユニットの装着状態)が(大きく)異なる可能性が高く、視差誤差が(大きく)異なる可能性が高い。そのため、2つのモーションカウント値が異なる場合は、視差補正パラメータを更新すると判断し、S706に進む。そうでない場合は、S705に進む。
【0075】
S705では、制御部301は、保持している環境温度情報と新たな環境温度情報とを比較する。保持している環境温度情報は、保持している視差補正パラメータへの更新に用いた撮像画像の撮影時における環境温度を示す。新たなモーションカウント値は、処理対象の撮像画像の撮影時における環境温度を示す。制御部301は、保持している環境温度情報が示す環境温度と、新たな環境温度情報が示す環境温度との差分が閾値よりも大きいか否かを判定する。閾値が5℃であり、保持している環境温度情報が示す環境温度が20℃であったとする。この場合には、制御部301は、新たな環境温度情報が示す環境温度が「15℃よりも低いまたは25℃よりも高い」という条件を満たすか否かを判定する。2つの環境温度の差分が大きい場合は、視差誤差が(大きく)異なる可能性が高い。そのため、2つの環境温度の差分が閾値よりも大きい場合は、視差補正パラメータを更新すると判断し、S706に進む。そうでない場合は、視差補正パラメータを更新しない(流用する)と判断し、
図7の更新判断処理を終了する。
【0076】
S706では、制御部301は、視差補正パラメータを更新するか否かを示すリセットフラグを1(オン)に設定する。
【0077】
以上述べたように、本実施形態によれば、複数の光学系をそれぞれ介して撮像された複数の画像領域を含んだ撮像画像が記憶部に格納される。その際に、撮像装置に対するレンズユニットの装着状態と、環境温度の少なくとも一方に関する情報が、撮像画像に関連付けられて記憶部に格納される。そして、この情報を用いて、視差補正処理のような調整処理(各画像領域の位置とサイズの少なくとも一方の調整処理)のパラメータを更新するか否かが判断される。こうすることによって、調整処理を高精度に行えるパラメータの決定と、当該パラメータの決定に要する時間の短縮とを両立することができる。
【0078】
なお、上記実施形態(変形例を含む)はあくまで一例であり、本発明の要旨の範囲内で上記実施形態の構成を適宜変形したり変更したりすることにより得られる構成も、本発明に含まれる。上記実施形態の構成を適宜組み合わせて得られる構成も、本発明に含まれる。
【0079】
例えば、撮像装置に所定のレンズユニットが装着されていたか否かをレンズ情報に基づいて判定する例(
図6のS605)を説明したが、撮像画像を解析することによって、撮像装置に所定のレンズユニットが装着されていたか否かを判定してもよい。
【0080】
判断情報は
図8に示す情報に限られない。判断情報は、
図8に示す撮影日時情報、脱着カウント値、モーションカウント値、および環境温度情報の少なくともいずれかを含んでいなくてもよい。判断情報は、撮影モード(撮像画像を記憶部に格納するモード)の情報を含んでもよい。所定の時間間隔よりも短い時間間隔で撮影(画像の格納)を繰り返し行う撮影モード(例えば連写撮影を行う撮影モード)で得られる複数の撮像画像の間では視差誤差の変化が生じないまたは小さいことがある。そのため、そのような撮影モードで得られたが得られた一連の撮像について視差補正処理(視差補正パラメータの関連付け、
図6のS601~S614の処理)が行われる場合には、視差補正パラメータの更新を行わないとしてよい。つまり、1枚目の撮像画像に対して生成した視差補正パラメータを、2枚目以降の撮像画像に対して流用するとしてもよい。
【0081】
また、撮像装置は、非通電時にも情報を保持し続けることが可能なストレージを備えてもよい。モーションカウント値と着脱カウント値の少なくとも一方は、そのようなストレージで管理されてもよい。判断情報は、撮像装置における通電のオンとオフに関する情報を含んでもよい。電池の残量が0になった(通電がオフになった)後、電池を入れ替える(通電を再びオンにする)際に、撮像装置に対するレンズユニットの装着状態が変化し、
視差誤差が変化することがある。そのため、そのような状況に対しては、視差補正パラメータの更新を行うとしてもよい。
【0082】
また、判断情報は、撮影に使用されたレンズユニットの種類、型番、シリアルナンバー、および名前といった識別情報を含んでもよい。撮影に使用するレンズユニットが別のレンズユニットに交換されると視差誤差が変化することがあるため、そのような状況に対しては、視差補正パラメータの更新を行うとしてもよい。
【0083】
複数の撮像画像を視差補正処理(視差補正パラメータの関連付け、
図6のS601~S614の処理)の対象として1つずつ選択する際の選択順は特に限定されない。選択順は撮影日時順であってもよいし、そうでなくてもよい。選択順が撮影日時順である場合には、撮影時に、以下の4つの情報の少なくともいずれかを含む判断情報が格納されてもよい。
・前回の撮影日時と今回の撮影日時との間の時間が閾値よりも長いか否かを示す情報(前回の撮影から今回の撮影までに所定時間が経過したか否かを示す情報)
・前回の撮影から今回の撮影までに、撮像装置に対するレンズユニットの脱着が行われたか否かを示す情報
・前回の撮影から今回の撮影までに、閾値よりも大きい撮像装置の動きが生じたか否かを示す情報
・前回の撮影時における環境温度と今回の撮影時における環境温度との差分が閾値よりも大きいか否かを示す情報
【0084】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0085】
本実施形態の開示は、以下の構成、方法、プログラム、および媒体を含む。
(構成1)
複数の光学系をそれぞれ介して複数の画像領域を撮像する撮像手段と、
前記複数の光学系を有するレンズユニットの装着状態と、前記レンズユニットの周囲の温度との少なくとも一方に関する情報であり、且つ前記複数の画像領域それぞれの位置とサイズの少なくとも一方の調整処理のパラメータを更新するか否かの判断に使用される情報である判断情報を取得する取得手段と、
前記複数の画像領域を含んだ画像と、前記判断情報とを、互いに関連付けて記憶部に格納する制御手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
(構成2)
前記判断情報は、前記画像を前記記憶部に格納した日時の情報を含む
ことを特徴とする構成1に記載の撮像装置。
(構成3)
前記判断情報は、前記画像を前記記憶部に格納するまでの期間における、前記撮像装置に対するレンズユニットの脱着の回数の情報を含む
ことを特徴とする構成1または2に記載の撮像装置。
(構成4)
前記判断情報は、前記画像を前記記憶部に格納するまでの期間における、閾値よりも大きい前記撮像装置の動きの回数の情報を含む
ことを特徴とする構成1~3のいずれかに記載の撮像装置。
(構成5)
前記判断情報は、前記画像を前記記憶部に格納した際の前記レンズユニットの周囲の温度の情報を含む
ことを特徴とする構成1~4のいずれかに記載の撮像装置。
(構成6)
前記判断情報は、前記画像を前記記憶部に格納するモードの情報を含む
ことを特徴とする構成1~5のいずれかに記載の撮像装置。
(構成7)
前記複数の画像領域は、立体視のための2つの画像領域である
ことを特徴とする構成1~6のいずれかに記載の撮像装置。
(構成8)
前記複数の光学系は、レンズユニットの左右方向に並んだ2つの光学系である
ことを特徴とする構成1~7のいずれかに記載の撮像装置。
(構成9)
前記複数の光学系それぞれは魚眼レンズを含む
ことを特徴とする構成1~8のいずれかに記載の撮像装置。
(構成10)
前記複数の画像領域それぞれは魚眼画像領域である
ことを特徴とする構成1~9のいずれかに記載の撮像装置。
(構成11)
構成1~10のいずれかに記載の撮像装置によって前記記憶部に格納された前記画像を取得する画像取得手段と、
前記撮像装置によって前記画像に関連付けて前記記憶部に格納された前記判断情報を取得する情報取得手段と、
前記調整処理のパラメータを決定する決定手段と、
前記パラメータを前記画像に関連付ける関連付け手段と、
前記決定手段が前記画像に基づいてパラメータを更新した場合に、更新後のパラメータを保持する保持手段と
を有し、
前記決定手段は、前記画像に基づいてパラメータを更新するか、保持されているパラメータを今回のパラメータとして流用するかを、前記判断情報に基づいて切り替える
ことを特徴とする情報処理装置。
(構成12)
前記パラメータを前記画像に関連付けることは、前記パラメータを用いた前記調整処理を前記画像に施すことである
ことを特徴とする構成11に記載の情報処理装置。
(構成13)
前記保持手段は、前記更新後のパラメータと、取得された判断情報とを保持し、
前記決定手段は、取得された判断情報と保持されている判断情報とを比較して、前記画像に基づいてパラメータを更新するか、保持されているパラメータを今回のパラメータとして流用するかを切り替える
ことを特徴とする構成11または12に記載の情報処理装置。
(構成14)
前記判断情報は、前記画像が前記記憶部に格納された日時の情報を含み、
前記決定手段は、保持されているパラメータへの更新に用いた画像が前記記憶部に格納された日時から、取得された画像が前記記憶部に格納された日時までの時間が閾値よりも長い場合に、前記画像に基づいてパラメータを更新する
ことを特徴とする構成13に記載の情報処理装置。
(構成15)
前記判断情報は、前記画像が前記記憶部に格納されるまでの期間における、前記撮像装置に対するレンズユニットの脱着の回数の情報を含み、
前記決定手段は、保持されているパラメータへの更新に用いた画像が前記記憶部に格納されるまでの期間における前記脱着の回数と、取得された画像が前記記憶部に格納されるまでの期間における前記脱着の回数とが異なる場合に、前記画像に基づいてパラメータを更新する
ことを特徴とする構成11~14のいずれかに記載の情報処理装置。
(構成16)
前記判断情報は、前記画像が前記記憶部に格納されるまでの期間における、閾値よりも大きい前記撮像装置の動きの回数の情報を含み、
前記決定手段は、保持されているパラメータへの更新に用いた画像が前記記憶部に格納されるまでの期間における前記動きの回数と、取得された画像が前記記憶部に格納されるまでの期間における前記動きの回数とが異なる場合に、前記画像に基づいてパラメータを更新する
ことを特徴とする構成11~15のいずれかに記載の情報処理装置。
(構成17)
前記判断情報は、前記画像が前記記憶部に格納された際の前記レンズユニットの周囲の温度の情報を含み、
前記決定手段は、保持されているパラメータへの更新に用いた画像が前記記憶部に格納される際の前記温度と、取得された画像が前記記憶部に格納される際の前記温度との差分が閾値よりも大きい場合に、前記画像に基づいてパラメータを更新する
ことを特徴とする構成11~16のいずれかに記載の情報処理装置。
(構成18)
前記判断情報は、前記画像を前記記憶部に格納するモードの情報を含み、
前記決定手段は、前記モードが、所定の時間間隔よりも短い時間間隔で画像の格納を繰り返し行うモードであった場合に、保持されている前記パラメータを今回のパラメータとして流用する
ことを特徴とする構成11~17のいずれかに記載の情報処理装置。
(方法1)
複数の光学系をそれぞれ介して複数の画像領域を撮像する撮像手段を有する撮像装置の制御方法であって、
前記複数の光学系を有するレンズユニットの装着状態と、前記レンズユニットの周囲の温度との少なくとも一方に関する情報であり、且つ前記複数の画像領域それぞれの位置とサイズの少なくとも一方の調整処理のパラメータを更新するか否かの判断に使用される情報である判断情報を取得する取得ステップと、
前記複数の画像領域を含んだ画像と、前記判断情報とを、互いに関連付けて記憶部に格納する制御ステップと
を有することを特徴とする電子機器の制御方法。
(方法2)
構成1~10のいずれかに記載の撮像装置によって前記記憶部に格納された前記画像を取得する画像取得ステップと、
前記撮像装置によって前記画像に関連付けて前記記憶部に格納された前記判断情報を取得する情報取得ステップと、
前記調整処理のパラメータを決定する決定ステップと、
前記パラメータを前記画像に関連付ける関連付けステップと、
前記決定ステップにおいて前記画像に基づいてパラメータが更新された場合に、更新後のパラメータを保持する保持ステップと
を有し、
前記決定ステップは、前記画像に基づいてパラメータを更新するか、保持されているパラメータを今回のパラメータとして流用するかが、前記判断情報に基づいて切り替えられる
ことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
(プログラム1)
コンピュータを、構成1~10のいずれかに記載の撮像装置の各手段として機能させるためのプログラム。
(媒体1)
コンピュータを、構成1~10のいずれかに記載の撮像装置の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
(プログラム2)
コンピュータを、構成11~18のいずれかに記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
(媒体2)
コンピュータを、構成11~18のいずれかに記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【符号の説明】
【0086】
200:撮像装置 201:制御部
300:パーソナルコンピュータ(PC) 301:制御部 302:RAM