IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -建具 図1
  • -建具 図2
  • -建具 図3
  • -建具 図4
  • -建具 図5
  • -建具 図6
  • -建具 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162518
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/18 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
E06B1/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078083
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】北島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達也
(57)【要約】
【課題】ねじ孔を要因とする外部への漏水を抑制することができるとともに、排水経路250の排水性が確保される建具を提供する。
【解決手段】躯体の開口部7に配置される枠体20と、枠体20の内側に配置される戸体4と、を備える建具であって、枠体20は、排水経路250を有する下枠22Aと、下枠22Aにねじ止めにより接合される縦枠23、24と、を有し、下枠22Aは、排水経路250内にタッピングホール756を有し、縦枠23、24は、ねじ挿通孔23aに挿通されるねじ11がタッピングホール756にねじ込まれることにより下枠22Aに締結され、ねじ11は、ねじ挿通孔23aを液密的に塞ぐシールリング15を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体の開口部に配置される枠体と、
前記枠体の内側に配置される障子と、を備える建具であって、
前記枠体は、排水経路を有する第1の枠体と、
前記第1の枠体にねじ止めにより接合される第2の枠体と、を有し、
前記第1の枠体は、前記排水経路内にねじ孔を有し、
前記第2の枠体は、当該第2の枠体に形成されたねじ挿通孔に挿通されるねじが前記ねじ孔にねじ込まれることにより前記第1の枠体に締結され、
前記ねじは、前記ねじ挿通孔を液密的に塞ぐ止水材を含む、建具。
【請求項2】
前記第1の枠体は、第1の枠部材と、前記第1の枠部材に接合される第2の枠部材と、を含み、
前記排水経路は、前記第1の枠部材と前記第2の枠部材との間に形成され、
前記ねじ孔は、少なくとも前記第1の枠部材及び前記第2の枠部材のいずれか一方に設けられる、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記止水材は、前記ねじの頭部の座面側に配置されるシールリングである、請求項1に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、形材を四周枠組みした枠体の内側に戸体や窓等の障子が組み込まれる建具が知られている。特許文献1には、上枠及び下枠のそれぞれの長手方向の端面を、左右の縦枠のそれぞれの内側の側面に突き当て、側方から縦枠に挿通したねじを、上枠及び下枠に形成されているタッピングホールにねじ込んで締結する構造の建具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-182618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば下枠等の枠体は、内部に侵入する雨水等の水を外部に排水するための排水経路を有するものがある。この種の枠体にあって上記のようなタッピングホールを設ける場合には、タッピングホールを介して排水経路から外部へ水分が漏出することを防ぐために、排水経路を区画する枠体の外側にタッピングホールを設けている。しかしながら、枠体の外側にタッピングホールを設ける構造では、タッピングホールを含む枠体全体の断面寸法等に制約がある場合、排水経路が狭くなって排水性の低下を招く。そこで本開示は、タッピングホール等のねじ孔を要因とする外部への漏水を抑制することができるとともに、排水経路の排水性が確保される建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、躯体の開口部に配置される枠体と、前記枠体の内側に配置される障子と、を備える建具であって、前記枠体は、排水経路を有する第1の枠体と、前記第1の枠体にねじ止めにより接合される第2の枠体と、を有し、前記第1の枠体は、前記排水経路内にねじ孔を有し、前記第2の枠体は、当該第2の枠体に形成されたねじ挿通孔に挿通されるねじが前記ねじ孔にねじ込まれることにより前記第1の枠体に締結され、前記ねじは、前記ねじ挿通孔を液密的に塞ぐ止水材を含む、建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る建具を室外側から見た姿図である。
図2】実施形態に係る建具を室内側から見た姿図である。
図3】実施形態に係る建具であって、当該建具が備える上障子及び下障子が開いた状態を示す斜視図である。
図4図2のIV-IV線に対応する一部破断断面図である。
図5図4のV部拡大図である。
図6】縦枠を下枠に取り付ける構造を示す図であって、図2のVI線で囲った部分に対応する正面断面図である。
図7】実施形態のねじを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ実施形態について説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に形成された開口部に納められた建具における障子の面方向を意味し、「見込方向」とは、上記障子の厚さ方向(奥行方向)を意味する。また、「幅方向」とは、障子を正面から見た場合の左右方向を意味し、「上下方向」とは、障子を正面から見た場合の上下方向を意味する。また、「平行」とは、完全な平行だけでなく、一定の誤差範囲内の実質的な平行も含む。
【0008】
図1は、実施形態の建具1を室外側から見た姿図である。図2は、建具1を室内側から見た姿図である。図3は、建具1が備える上障子5及び下障子6が開いた状態を示す斜視図である。
【0009】
はじめに、図1図3を参照して、建具1の基本構成について説明する。実施形態の建具1は、勝手口ドア等のドアである。建具1は、建物に形成された縦長矩形の開口部7に納められる。建具1は、建物の開口部7に取り付けられる枠体20と、枠体20の内側に開閉可能に配置される障子としての戸体4と、を備える。戸体4は、一方の側部が枠体20にヒンジ結合されたいわゆる開き戸である。
【0010】
枠体20は、上下にそれぞれ配置される上枠21A及び下枠22Aと、吊元側の縦枠23及び戸先側の縦枠24により矩形に枠組みされる。上枠21A及び下枠22Aは本開示に係る枠体ならびに建具部材の一例であって、幅方向(左右方向)に延びている。各縦枠23、24は、上下方向に延びている。戸体4は、スイング框体40と、スイング框体40に嵌め込まれる上障子5及び下障子6と、を備える。
【0011】
スイング框体40は、スイング上框41及びスイング下框42と、吊元側のスイング縦框43及び戸先側のスイング縦框44により矩形に枠組みされる。戸先側のスイング縦框44は、高さ方向の略中央部にドアノブ8aを有する。室内側のドアノブ8aの上下には、図示しない錠が配置される。図2に示すように、戸先側のスイング縦框44は、当該錠を開閉するサムターン8b,8cを有する。サムターン8b、8cを回転させることにより、図示しないデッドボルトを操作して戸体4を施錠できるようになっている。
【0012】
上障子5は、框体50と、框体50に嵌め込まれて固定されたガラス55と、を備える。框体50は、上框51と、下框52と、吊元側の縦框53及び戸先側の縦框54と、により矩形に框組みされる。下障子6は、框体60と、框体60に嵌め込まれて固定されたガラス65と、を備える。框体60は、上框61と、下框62と、吊元側の縦框63及び戸先側の縦框64と、により矩形に框組みされる。
【0013】
上障子5及び下障子6は、採風窓の構造を備える。具体的には、下障子6は、スイング框体40内において見込方向かつ上下方向に移動可能、または、見付方向に移動可能に設けられている。すなわち、下障子6を室内側に引きながら引き上げているときには、下障子6は、見込方向(室内の方向)かつ見付方向(上方向)に移動しており、その後に、下障子6を上方へ引き上げているときには、下障子6は、上下方向にのみ移動する。上障子5及び下障子6は、いわゆるフラットスライド構造を備える。すなわち、上障子5と下障子6とにより構成される採風窓が閉鎖された状態では、下障子6は、上障子5の下方の同一平面内に配置される。
【0014】
建具1は、上下方向に延びるスイング縦框43及びスイング縦框44に沿って、上障子5を下方向に、下障子6を上方向にそれぞれ移動させることにより、室外と室内とを連通させて採風することができる。框体60の上框61は、下障子6を閉鎖状態に固定するための一対のスライドロック8dを有する。一対のスライドロック8dは、上框61の、戸先側と吊元側の両端にそれぞれ配置されている。
【0015】
戸体4は、室内側からドアノブ8aを把持して反時計回りに回動させ、図示しないデットボルトを操作しつつ、戸先側のスイング縦框44を室外側に押し出し、戸体4を図示しないヒンジを介して回動させることにより、開けることができる。
【0016】
上障子5のガラス55及び下障子6のガラス65は、例えば、複数枚(例えば、3枚)の板ガラスを備えた断熱性に優れる複層ガラスが用いられるが、これに限定されない。
【0017】
以上が、実施形態の建具1の基本構成である。次いで、図4及び図5を参照して上枠21A及び下枠22Aについて説明する。図4は、建具1の縦断面図であって、図2のIV-IV線に対応する断面図である。なお、図4では、上障子5及び下障子6の図示を省略している。図5は、図4のV部拡大図である。
【0018】
なお、図4は、図2に示されない上側躯体2A及び下側躯体3Aを示している。上側躯体2Aは、上枠21Aの上方に配置される上側躯体フレーム210Aと、上枠21Aの室内側に配置される室内側躯体フレーム220Aと、壁材230Aと、を含む。これら上側躯体フレーム210A、室内側躯体フレーム220A及び壁材230Aに、上枠21Aが固定される。下側躯体3Aは、下枠22Aの下方に配置される下側躯体フレーム310Aと、床材320Aと、を含む。これら下側躯体フレーム310A及び床材320Aに、下枠22Aが固定される。
【0019】
(上枠21A)
図4に示すように、上枠21Aは、躯体側上枠70と、障子側上枠80と、の2つの部材から構成される。躯体側上枠70は、上側躯体2Aの上側躯体フレーム210A側に配置され、この上側躯体フレーム210Aに固定される。障子側上枠80は、躯体側上枠70よりも見付方向の内側であって戸体4側に配置される。上枠21Aは、躯体側上枠70がねじ101により上側躯体フレーム210Aに固定され、障子側上枠80がねじ102により取付け枠材90を介して室内側躯体フレーム220Aに固定される。
【0020】
(下枠22A)
次に、本開示の実施形態に係る下枠22Aについて詳述する。下枠22Aは、本開示の排水経路を有する第1の枠体の一例である。図4及び図5に示すように、下枠22Aは、躯体側下枠74と、障子側下枠84と、の2つの部材から構成される。躯体側下枠74は、下側躯体フレーム310A側に配置され、この下側躯体フレーム310Aに固定される。障子側下枠84は、躯体側下枠74よりも見付方向の内側であって戸体4側に配置される。
【0021】
(下枠22Aの躯体側下枠74)
躯体側下枠74は、本開示の第1の枠部材の一例である。図5に示すように、躯体側下枠74は、ねじ104により下側躯体フレーム310Aに固定される。躯体側下枠74は、アルミニウム等の金属からなる形材であって、見込方向と概ね平行な平板状のベース部740と、ベース部740の室外側に配置される外側端部750と、ベース部740の室内側に配置される内側端部760と、含む。
【0022】
外側端部750は、ベース部740の室外側端部から下方に傾斜する傾斜部751と、傾斜部751の下端から垂下する垂下部752と、垂下部752の上下端から室外側に延びる上下一対の上板部753及び下板部754と、垂下部752から室内側に延びる上下一対の位置決め片755と、傾斜部751に設けられたタッピングホール756と、を含む。タッピングホール756の室外側には、室外側に突出する突出部757が形成されている。タッピングホール756と傾斜部751の上端との間には、連通孔758が設けられている。連通孔758は、建具1の幅方向(図5で紙面表裏方向)に間隔をおいて複数配置されている。ねじ104は、室外側から、垂下部752の上下の位置決め片755の間に通されて下側躯体フレーム310Aにねじ込まれる。タッピングホール756は、本開示の第1の枠体(下枠22A)が有する排水経路250内のねじ孔の一例である。
【0023】
内側端部760は、ベース部740の室内側の端部から上方に傾斜する傾斜部761と、傾斜部761の上端から室内側に延びる見込方向と平行な結合板部762と、結合板部762の室内側の端部から上下に延びる見付方向と平行な内側端板部763と、を含む。傾斜部761の両端には、タッピングホール764、765が設けられている。タッピングホール764の下部には、下側躯体フレーム310Aに当接して躯体側下枠74の上下方向の位置を定める位置決め片764aが形成されている。内側端板部763の上下方向中央部には、室外側に突出する断面L字状の第2係合片766が形成されている。内側端板部763の上部には、室外側に突出する第3係合片767が形成されている。内側端板部763の下端は、床材320Aの上面に当接し、これにより躯体側下枠74の上下方向の位置が定まる。
【0024】
(下枠22Aの障子側下枠84)
障子側下枠84は、本開示の第2の枠部材の一例である。障子側下枠84は、アルミニウム等の金属からなる断面略L字状の形材であって、見込方向と平行なベース部840と、ベース部840の室内側の内側端部842と、を含む。ベース部840の室外側の先端には、躯体側下枠74の突出部757が嵌入する室外側先端係合溝841が形成されている。
【0025】
内側端部842は、断面略L字状の形状を有し、見込方向と平行な第1結合板部843と、第1結合板部843の室外側端部から上方に立ち上がる第2結合板部846と、を含む。第1結合板部843の室内側の先端には、躯体側下枠74の第2係合片766に係合する室内側先端係合片844が形成されている。第2結合板部846の下端には、室外側に開口する第3係合溝847が形成されている。
【0026】
障子側下枠84には、取付け枠材94が取り付けられる。取付け枠材94は、例えば樹脂製の形材であって、見込方向と平行な上板部941と、上板部941の室外側端部から垂下する室外側垂下部942と、上板部941の室内側端部から垂下する室内側垂下部943と、を含む。取付け枠材94の室外側の上端部には、気密材装着部944が形成され、この気密材装着部944に、気密材945が装着される。気密材945は、閉状態の戸体4におけるスイング下框42の室内側の面に当接する。室外側垂下部942の下端には、障子側下枠84の第3係合溝847に係合する係合凸部946が形成されている。室内側垂下部943における上下方向中央部の室内側には、躯体側下枠74の第3係合片767に係合する第4係合片947が形成されている。
【0027】
(下枠22Aの排水経路250)
下枠22Aは、排水経路250を有する。この排水経路250は、躯体側下枠74のベース部740と、障子側下枠84のベース部840との間に形成されている。排水経路250内の室外側の端部に、タッピングホール756が配置されている。すなわち下枠22Aは、排水経路250内にタッピングホール756を有する。排水経路250内には、雨水が侵入したり結露が生じたりすることにより、水分が存在する場合が起こるが、その水分は、タッピングホール756と傾斜部751の上端との間の連通孔758から、下枠22Aの室外側に排出される。
【0028】
(下枠22Aの組み立てと施工)
障子側下枠84の室外側先端係合溝841に、躯体側下枠74の突出部757が係合されるとともに、躯体側下枠74の第2係合片766に、障子側下枠84の室内側先端係合片844が係合される。そして、躯体側下枠74の結合板部762と障子側下枠84の第1結合板部843とが、カシメ結合される。すなわち、下枠22Aは、躯体側下枠74と障子側下枠84とがカシメ結合により結合されるカシメ結合部410を有する。これにより、下枠22Aが組み立てられる。
【0029】
次いで、障子側下枠84の第3係合溝847に、取付け枠材94の係合凸部946が係合されるとともに、障子側下枠84の第3係合片767に、取付け枠材94の第4係合片947が係合されて、取付け枠材94が下枠22Aに組み込まれる。躯体側下枠74、障子側下枠84及び取付け枠材94は、予め工場等においてこのように組み立てられ、必要に応じて施工現場に運搬されて施工される。
【0030】
施工にあたっては、躯体側下枠74の位置決め片764a及び内側端板部763の下端のそれぞれが、下側躯体フレーム310A及び床材320Aの上面に当接されて位置決めされた状態で、躯体側下枠74の外側端部750がねじ104によって下側躯体フレーム310Aに締結される。また、躯体側下枠74及び取付け枠材94に、上方から嵌合された固定板材110がねじ105により取付け部材105aを介して床材320Aに固定される。
【0031】
躯体側下枠74の突出部757が障子側下枠84の室外側先端係合溝841に嵌入されて係合されるとともに、躯体側下枠74の第2係合片766に障子側下枠84の室内側先端係合片844が係合されることにより、障子側下枠84と躯体側下枠74との上下方向の動きが規制される。また、これに加え、躯体側下枠74の結合板部762と障子側下枠84の第1結合板部843とが、カシメ結合されるので、見込方向及び幅方向(カシメ結合の向きに交差する方向)への動きも規制される。これにより、障子側下枠84と躯体側下枠74とのがたつきを抑制することができる。また、ねじ止めによる結合と異なり、カシメ結合を行うことにより、加工に手間がかかったり、ねじ挿通孔やねじ孔の寸法誤差により施工に不具合が生じたりする事態を回避することができるとともに、部品点数を削減することができる。
【0032】
(下枠22Aへの縦枠23の取り付け)
上述した排水経路250内のタッピングホール756は、吊元側の縦枠23及び戸先側の縦枠24を下枠22Aに取り付けるために設けられている。図6は、吊元側の縦枠23を下枠22Aに取り付ける構造を示す図であって、図2のVI線で囲った部分に対応する正面断面図である。図6に示すように、縦枠23の見込面に下枠22Aの長手方向端面が突き当てられ、縦枠23に形成されたねじ挿通孔23aに外側方から挿通されるねじ11が、タッピングホール756にねじ込まれる。これにより、縦枠23は下枠22Aに締結される。
【0033】
ねじ11はタッピングねじであって、タッピングホール756の内周面をねじ立てしながらねじ込まれる。図7に示すように、ねじ11は、頭部12及びねじ部13を有し、頭部12の座面側にワッシャ14が設けられたワッシャ付きねじである。さらにねじ11は、ワッシャ14のねじ部13側に、止水材としてのシールリング15を有する。シールリング15は、樹脂等の液密性を有する材料によりリング状に形成され、ねじ部13に外装されてワッシャ14に当接する状態で使用される。
【0034】
ねじ11の締結により、シールリング15は頭部12から下枠22A側に押圧されて縦枠23の外面に密着し、ねじ挿通孔23aを塞ぐ。排水経路250内のタッピングホール756から縦枠23のねじ挿通孔23aに到達した水分があった場合、その水分はシールリング15によりそれ以上の流動が遮断される。これにより、排水経路250内の水分がタッピングホール756を伝って縦枠23の側方の外部側、すなわち躯体側に排出されることが抑えられる。
【0035】
なお、戸先側の縦枠24も上記吊元側の縦枠23と同様にして下枠22Aのタッピングホール756にねじ込まれるねじ11により、下枠22Aに締結される。
【0036】
以上が実施形態に係る建具1であり、この建具1は、躯体の開口部7に配置される枠体20と、枠体20の内側に配置される戸体4と、を備え、枠体20は、排水経路250を有する下枠22Aと、下枠22Aにねじ止めにより接合される縦枠23、24と、を有し、下枠22Aは、排水経路250内にタッピングホール756を有し、縦枠23、24は、ねじ挿通孔23aに挿通されるねじ11がタッピングホール756にねじ込まれることにより下枠22Aに締結され、ねじ11は、ねじ挿通孔23aを液密的に塞ぐシールリング15を含む。
【0037】
これにより、排水経路250内のタッピングホール756から縦枠23のねじ挿通孔23aに到達した水分があった場合、その水分はシールリング15によりそれ以上の流動が遮断される。これにより、排水経路250内の水分がタッピングホール756を伝って縦枠23の側方の外部側、すなわち躯体側に排出されることが抑えられる。また、例えば下枠22Aの厚みに設計上の制約がある場合、仮に排水経路250の外側(例えば障子側下枠84のベース部840の上面側)にタッピングホール756を設けると、排水経路250は狭くなり、排水性の低下を招く。しかし本実施形態では、排水経路250内にタッピングホール756を有することから、排水経路250の高さを確保して排水性を確保することができる。すなわち、タッピングホール756を要因とする外部への漏水を抑制することができるとともに、排水経路250の排水性が確保される。
【0038】
(2)実施形態に係る建具1においては、下枠22Aは、躯体側下枠74と、躯体側下枠74に接合される障子側下枠84と、を含み、排水経路250は、躯体側下枠74と障子側下枠84との間に形成され、タッピングホール756は、少なくとも躯体側下枠74及び障子側下枠84のいずれか一方に設けられてよい。
【0039】
これにより、下枠22Aが躯体側下枠74と障子側下枠84との2部材で構成されるため、下枠22Aの設計の自由度が増すとともに、タッピングホール756を排水経路250の内部に形成しやすい。
【0040】
(3)実施形態に係る建具1においては、止水材としては、ねじ11の頭部12の座面側に配置されるシールリング15である形態を含む。
【0041】
これにより、排水経路250内の水分がタッピングホール756を伝って縦枠23の側方の外部側、すなわち躯体側に排出されることが、簡素な構成で容易に達成される。
【0042】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
【0043】
例えば、上記実施形態は、下枠22Aが排水経路250を有するが、上枠21A、あるいは各縦枠23、24が排水経路を有し、その排水経路内に、部材接合用のタッピングホール等のねじ孔を配置し、そのねじ孔に、上述のようなねじ11を用いて接合する対象の部材を接合するようにしてもよい。
【0044】
上記実施形態では、タッピングホール756を本開示のねじ孔として例示しているが、ねじ孔としてはタッピングホール以外に、例えば内周面にねじが切られている雌ねじ孔であってもよい。
【0045】
上記実施形態では、建具1は、採風窓を有するドアにより構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、障子としては、開き戸のほかに、引き戸、各種窓等、いかなる障子にも適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 建具
2A 上側躯体(躯体)
3A 下側躯体(躯体)
4 戸体(障子)
7 開口部
11 ねじ
12 ねじの頭部
15 シールリング(止水材)
20 枠体20
22A 下枠(第1の枠体)
23、24 縦枠(第2の枠体)
23a ねじ挿通孔
74 躯体側下枠(第1の枠部材)
84 障子側下枠(第2の枠部材)
250 排水経路
756 タッピングホール(ねじ孔)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7