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  • 特開-電気機器収納箱 図1
  • 特開-電気機器収納箱 図2
  • 特開-電気機器収納箱 図3
  • 特開-電気機器収納箱 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162528
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】電気機器収納箱
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/18 20060101AFI20241114BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20241114BHJP
   H02B 1/20 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H05K7/18 D
H05K7/00 K
H02B1/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078110
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】富田 寿彦
【テーマコード(参考)】
4E352
5G016
【Fターム(参考)】
4E352AA01
4E352BB02
4E352CC12
4E352FF11
4E352GG12
5G016AA04
5G016DB01
(57)【要約】
【課題】 天板に開口部及び吊り具を備えた構成でも、天板に取り付ける部材を1つにできる電気機器収納箱を提供する。
【解決手段】 天板22の左右端部に吊り上げるためのアイボルト5が取り付けられると共に、ケーブルを上方から挿入するための開口部4が左右のアイボルト5の間の天板22に形成され、アイボルト5は雄ねじ部5aを有して、天板22の裏面に配置したナットに螺入して装着される。天板22の上面にアイボルト5の取り付け位置を越える左右部位まで広がる幅と開口部4を覆う奥行きとを有する補強板6が配置されており、アイボルト5は天板22に装着される際にナットとの間で補強板6を貫通して装着され、補強板6はアイボルト5の装着部近傍を含む複数ヶ所がねじ7により天板22に連結されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り上げるための吊り具が天板の左右端部に取り付けられていると共に、ケーブルを上方から挿入するための開口部が天板に形成された電気機器収納箱であって、
前記吊り具は雄ねじ部を有して、前記天板の裏面に配置したナットに螺入して取り付けられる一方、
前記天板の上面或いは下面に、前記吊り具の設置位置を越える左右部位まで広がる幅と前記開口部を覆う奥行きとを有する補強板が配置されて成り、
前記吊り具は、前記天板に設置される際に前記ナットとの間で前記補強板を貫通して取り付けられ、
更に前記補強板は、前記吊り具の装着部近傍を含む複数ヶ所が連結手段により天板に連結されて成ることを特徴とする電気機器収納箱。
【請求項2】
前記連結手段による前記吊り具の装着部近傍の前記補強板の連結部が、前記吊り具を前後から挟む部位であることを特徴とする請求項1記載の電気機器収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気機器収納箱に関し、特に天面にケーブルを挿入するための開口部を備えた電気機器収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器収納箱には、収容されている電気機器に接続するための通信線や電源線等のケーブルを引き込むための穴等の開口部が、天面或いは底面に設けられている。この開口部は、大きく形成することでケーブル等を挿入するには使い勝手が良いが、発生する隙間を塞ぐ必要があり、弾性を有するシート部材或いはグロメットを必要とした。また、搬入等の運搬時は、塵等の侵入を防止するために閉塞板を取り付けて完全に塞がれた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-135267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
比較的大型の電気機器収納箱になると、運搬時に重機による上げ下げが必要となるため、アイボルト等の吊り具が天面に取り付けられた。そして、このような吊り具を使用して吊り上げる場合は、天板等の変形が問題になるため補強金具が別途取り付けられた。こうすることで、電気機器収納箱の自重による天板の変形或いは箱自体の変形を防止した。
そのため、吊り具が取り付けられた電気機器収納箱に、ケーブル挿入のための開口部を天板に形成する場合は、補強金具が取り付けられることで開口部の形成位置が制約を受けた。また、運搬の際には開口部から塵等が入らないように閉塞部材で閉塞されるため、閉塞のための部材と補強金具の双方を取り付ける状況が発生した。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、天板に開口部及び吊り具を備えた構成でも、天板に新たに取り付ける部材は1つで済む電気機器収納箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、本発明の第1の構成に係る電気機器収納箱は、吊り上げるための吊り具が天板の左右端部に取り付けられていると共に、ケーブルを上方から挿入するための開口部が天板に形成された電気機器収納箱であって、吊り具は雄ねじ部を有して、天板の裏面に配置したナットに螺入して取り付けられる一方、天板の上面或いは下面に、吊り具の設置位置を越える左右部位まで広がる幅と開口部を覆う奥行きとを有する補強板が配置されて成り、吊り具は、天板に設置される際にナットとの間で補強板を貫通して取り付けられ、更に補強板は、吊り具の装着部近傍を含む複数ヶ所が連結手段により天板に連結されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、補強板が天板に密着するよう連結されるため、吊り上げ操作で吊り具の周囲に応力が発生しても、補強板が応力を吸収して電気機器収納箱の変形を防止できる。そして、開口部は補強板で閉塞されるため、運搬時は埃の侵入を防止できるし、開口部が使用されない場合は、補強板を閉塞板として引き続き使用できる。よって、吊り具を備えても、1枚の補強板を取り付けるだけで良い。
また、吊り具を取り付ける部位を別途補強する必要がないため、開口部を吊り具を取り付ける部位の近傍まで広げることが可能となる。
【0007】
本発明の別の態様は、上記構成において、連結手段による吊り具の装着部近傍の補強板の連結部が、吊り具を前後から挟む部位であることを特徴とする。
この構成によれば、吊り具を前後から挟むよう連結手段で連結されるため、吊り上げ操作で発生する応力を効果的に分散させることができ、電気機器収納箱の変形防止に有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、補強板が天板に密着するよう連結されるため、吊り上げ操作で吊り具の周囲に応力が発生しても、補強板が応力を吸収するため電気機器収納箱の変形を防止できる。そして、開口部は補強板で閉塞されるため、運搬時は埃の侵入を防止できるし、開口部が使用されない場合は、補強板を閉塞板として引き続き使用できる。よって、吊り具を備えても、1枚の補強板を取り付けるだけで良い。
また、吊り具を取り付ける部位を別途補強する必要がないため、開口部を吊り具を取り付ける部位の近傍まで広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る電気機器収納箱の一例を示し、前面を開放した斜視図である。
図2図1に示すアイボルト及び補強板を分離した状態を示す斜視図である。
図3】前面に蓋板を取り付けて閉塞した電気機器収納箱の斜視図である。
図4図1のA部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1~3は本発明に係る電気機器収納箱の一例を示す斜視図であり、図1は前面を閉塞する部材を外した状態、図2は更に天板からアイボルト及び補強板を分離した状態、図3は蓋板を取り付けて前面を閉塞した状態をそれぞれ示している。
図示するように電気機器収納箱1は、背板21、天板22、底板23、左右側板24を有し、前面が開放された箱本体2と、開放された前面を閉塞する一対の蓋板3とを有して構成されている。何れの板も鋼板を折り曲げて形成され、箱本体2を構成する板同士は溶接されて連結されている。
【0011】
そして、天板22には、電線や通信線等のケーブル(図示せず)を挿入するための開口部4が形成され、天板22の左右端部には吊り具としてのアイボルト5が取り付けられている。また、天板22を補強すると共に開口部4を閉塞する補強板6を備えている。尚、補強板6は、開口部4が使用される際には撤去される。
【0012】
開口部4は長方形で形成され、アイボルト5の取付位置近くまで左右に広く形成されている。
一方、補強板6はアイボルト5の取付位置を越えて天板22の端部に至る幅を有し、天板22のアイボルト5取り付けのための穴22aに合わせて、同様にアイボルト5の雄ねじ部5aを挿入する穴6aを有している。アイボルト5は、双方に設けた穴22a、6aを介して天板22に取り付けられる。結果、アイボルト5の取り付けにより補強板6が天板22に密着するよう構成されている。
そして、補強板6は開口部4を閉塞する奥行きを有し、取り付けた補強板6により開口部4は閉塞される。
尚、アイボルト5は、天板22の裏面に配置されたナット(図示せず)に雄ねじ部5aを螺入して取り付けられて、箱本体2に装着される。
【0013】
更に補強板6は、他の複数ヶ所が天板22にねじ止めされて、天板22に連結されている。図1に示すB部がねじ止め部であり、図1に示すようにアイボルト5の前後2ヶ所、に加えて、天板22中央の前後2ヶ所がねじ止めされ、計6ヶ所がねじ止めされている。
図4はA部の拡大図であり、アイボルト5の装着部とアイボルト5近傍のねじ止め部Bを示している。図4に示すように、補強板6はアイボルト5を前後から挟むようにアイボルト5の前後2ヶ所にねじ止め部Bが設けられ、連結手段としてのねじ7により補強板6は天板22に密着固定される。
【0014】
このように、補強板6が天板22に密着するよう連結されるため、吊り上げ操作でアイボルト5の周囲に応力が発生しても、補強板6が応力を吸収して電気機器収納箱1の変形を防止できる。そして、開口部4は補強板6で閉塞されるため、運搬時は開口部4からの埃の侵入を防止できるし、開口部4が使用されない場合は、補強板6を開口部42を閉塞する閉塞板として引き続き使用できる。よって、アイボルト5を備えても、1枚の補強板6を取り付けるだけで良い。
また、アイボルト5を取り付ける部位を別途補強する必要がないため、開口部4をアイボルト5を取り付ける部位の近傍まで広げることが可能となる。
加えて、アイボルト5を前後から挟むように補強板6をねじ7で天板22に連結するため、吊り上げ操作で発生する応力を効果的に補強板6に分散させることができ、電気機器収納箱1の変形防止に有効である。
【0015】
尚、上記形態では、補強板6を天板22上に配置しているが、天板22の下面(箱本体2内)に配置しても良く、アイボルト5及びねじ7により天板22へ取り付ける工程は、天板22上に補強板6を取り付ける流れと同様の操作で取り付けできる。
また、ねじ止め部Bはねじを使用しているが、ボルトとナットを使用しても良いし、補強板6の奥行きは開口部4を閉塞する奥行きが有れば良いが、天板22の奥行きと略等しい奥行きとしても良い。
【符号の説明】
【0016】
1・・電気機器収納箱、2・・箱本体、3・・蓋板、4・・開口部、5・・アイボルト(吊り具)、5a・・雄ねじ部、6・・補強板、7・・ねじ(連結手段)、22・・天板、B・・ねじ止め部。
図1
図2
図3
図4