(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162532
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】対象物の処理方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G21F 9/30 20060101AFI20241114BHJP
G21F 9/28 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G21F9/30 101
G21F9/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078116
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗須 ひとみ
(72)【発明者】
【氏名】打道 直孝
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 毅幸
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 展行
(72)【発明者】
【氏名】塚本 泰介
(72)【発明者】
【氏名】前田 一人
(57)【要約】
【課題】対象物の処理方法およびシステムにおいて、対象物の乾燥ムラの発生を抑制して適切に乾燥可能とする。
【解決手段】対象物の比重を算出するステップと、対象物の比重に基づいて乾燥条件を設定するステップと、乾燥条件に基づいて対象物を乾燥するステップと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の比重を算出するステップと、
前記対象物の比重に基づいて乾燥条件を設定するステップと、
前記乾燥条件に基づいて前記対象物を乾燥するステップと、
を有する対象物の処理方法。
【請求項2】
処理容器に所定量の前記対象物を収容し、前記処理容器の重量を計測することで前記対象物の比重を算出する、
請求項1に記載の対象物の処理方法。
【請求項3】
前記処理容器の内部に乾燥用ガスを供給することで前記処理容器の内部に収容された前記対象物を乾燥可能であり、
前記乾燥条件は、前記乾燥用ガスを前記処理容器の内部に供給し続ける乾燥時間であり、前記比重が小さいほど前記乾燥時間を長くする、
請求項2に記載の対象物の処理方法。
【請求項4】
前記乾燥条件は、前記処理容器の内部に供給する前記乾燥用ガスの乾燥温度であり、前記比重が小さいほど前記乾燥温度を高くする、
請求項3に記載の対象物の処理方法。
【請求項5】
前記対象物を粒径分離し、粒径が予め設定された所定範囲の前記対象物を前記処理容器に収容する、
請求項2に記載の対象物の処理方法。
【請求項6】
前記処理容器に収容された前記対象物の平均粒径を推定し、前記平均粒径に応じて前記乾燥条件を補正する、
請求項2に記載の対象物の処理方法。
【請求項7】
対象物を収容可能な処理容器と、
前記処理容器に収容する前記対象物の比重を算出する比重算出装置と、
前記対象物の比重に基づいて乾燥条件を設定する乾燥条件設定部と、
前記乾燥条件に基づいて前記対象物を乾燥する乾燥装置と、
を備える対象物の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象物の処理方法およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラントにて、原子炉圧力容器の内部に配置された炉心燃料が溶融すると、原子炉格納容器の内部の構造物も溶融して固化し、放射性廃棄物としてのデブリとなる。そのため、デブリなどの放射性廃棄物を原子炉格納容器から回収して処理する必要がある。放射性廃棄物を処理する技術として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された技術は、放射性廃棄物をキャニスタに収容し、キャニスタの外部に配置されたヒータによりキャニスタを加熱することで、内部の放射性廃棄物を乾燥するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原子炉圧力容器の内部にある放射性廃棄物は、例えば、金属やコンクリートなど複数種類の部材からなる。また、放射性廃棄物は、水中にあることから、回収された放射性廃棄物は多量の水分を含んでいるものが多い。そのため、複数種類の部材からなる放射性廃棄物を乾燥する場合、乾燥ムラが発生しやすいという課題がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、放射性廃棄物などの対象物の乾燥ムラの発生を抑制して適切に乾燥可能とする対象物の処理方法およびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の対象物の処理方法は、対象物の比重を算出するステップと、前記対象物の比重に基づいて乾燥条件を設定するステップと、前記乾燥条件に基づいて前記対象物を乾燥するステップと、を有する。
【0007】
また、本開示の対象物の処理システムは、対象物を収容可能な処理容器と、前記処理容器に収容する前記対象物の比重を算出する比重算出装置と、前記対象物の比重に基づいて乾燥条件を設定する乾燥条件設定部と、前記乾燥条件に基づいて前記対象物を乾燥する乾燥装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の対象物の処理方法およびシステムによれば、対象物の乾燥ムラの発生を抑制して適切に乾燥することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態の放射性廃棄物の処理システムを表す概略図である。
【
図2】
図2は、放射性廃棄物の種類に対する比重と細孔と熱伝導率を表す表である。
【
図3】
図3は、異なる比重における乾燥時間に対する含水率を表すグラフである。
【
図4】
図4は、異なる粒径における乾燥時間に対する含水率を表すグラフである。
【
図5】
図5は、異なる熱伝導率における乾燥時間に対する含水率を表すグラフである。
【
図6】
図6は、比重に対する乾燥時間を表すグラフである。
【
図7】
図7は、比重に対する乾燥温度を表すグラフである。
【
図8】
図8は、本実施形態の放射性廃棄物の処理方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
<放射性廃棄物の処理システム>
図1は、本実施形態の放射性廃棄物の処理システムを表す概略図である。本実施形態では、対象物を放射性廃棄物として説明する。但し、対象物は放射性廃棄物に限るものではない。
【0012】
原子力発電プラントにて、原子炉容器の内部の炉心などが溶融すると、溶融した燃料などの溶融物が発生し、固化した溶融物(デブリ)は、放射性廃棄物として回収の対象となる。本実施形態の放射性廃棄物の処理方法およびシステムは、例えば、原子力発電プラントで発生した放射性廃棄物を回収して収容し、乾燥処理するものである。但し、放射性廃棄物は、デブリに限定されるものではなく、使用済燃料や廃炉により発生する構造物などであってもよい。
【0013】
図1に示すように、放射性廃棄物の処理システム10は、処理容器11と、比重算出装置12と、乾燥条件設定部13と、乾燥装置14とを備える。また、放射性廃棄物の処理システム10は、粒径分離装置15を備える。
【0014】
なお、放射性廃棄物の処理システム10は、制御装置を有し、制御装置は、比重算出装置12、乾燥条件設定部13、乾燥装置14、粒径分離装置15、マニピュレータ(図示略)を操作制御可能である。ここで、制御装置は、コントローラであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などにより、記憶部に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。
【0015】
処理容器11は、容器本体21と、蓋22とを有する。容器本体21は、下部が閉塞された円筒形状をなし、上方が開放される。蓋22は、円板形状をなす。処理容器11は、容器本体21の内部に放射性廃棄物を収容し、容器本体21の上部に蓋22が固定されることで、放射性廃棄物を密閉可能である。なお、処理容器11は、このような形状に限定されるものではない。
【0016】
比重算出装置12は、処理容器11に収容する放射性廃棄物の比重を算出する。比重算出装置12は、処理容器11に所定量の放射性廃棄物を収容し、処理容器11の重量を計測することで、放射性廃棄物の比重を算出する。
【0017】
まず、放射性廃棄物が収容されていない処理容器11自体の重量を事前に計測する。次に、放射性廃棄物が収容された処理容器11の重量を計測する。そして、放射性廃棄物が収容された処理容器11の重量から処理容器11自体の重量を減算することで、放射性廃棄物の重量(質量)を算出する。また、処理容器11の内部の容積(または、放射性廃棄物の充填高さ)を計測することで、処理容器11の内部に収容された放射性廃棄物の体積が推定される。この場合、処理容器11に対する放射性廃棄物の収容率を考慮することが好ましい。比重算出装置12は、放射性廃棄物の重量(質量)を放射性廃棄物の体積で除算することで、放射性廃棄物の比重を算出する。
【0018】
乾燥条件設定部13は、放射性廃棄物の比重に基づいて、放射性廃棄物を乾燥するための乾燥条件を設定する。乾燥条件設定部13は、予め比重に対する乾燥条件が設定された乾燥条件設定マップを有している。乾燥条件設定部13は、放射性廃棄物の比重と乾燥条件設定マップに基づいて、放射性廃棄物の乾燥条件を設定する。なお、乾燥条件および乾燥条件設定マップについては後述する。
【0019】
乾燥装置14は、乾燥条件設定部13により設定された乾燥条件に基づいて放射性廃棄物を乾燥する。乾燥装置14は、処理容器11の内部に乾燥用ガスを供給することで、処理容器11の内部に収容された放射性廃棄物を乾燥するものである。処理容器11は、例えば、放射性廃棄物を収容する空間部に対して、ガス入口部とガス出口部とを有する。処理容器11は、空間部に放射性廃棄物が収容された状態で、乾燥用ガスをガス入口部から空間部に供給し、空間部のガスをガス出口部から外部に排出する。処理容器11の空間部に収容された放射性廃棄物は、乾燥用ガスにより水分が除去されて乾燥される。ここで、乾燥用ガスは、加熱空気、含有する水分量の少ない乾いた空気、不活性ガス(窒素など)などである。
【0020】
乾燥装置14は、上述した構成に限定されるものではない。乾燥装置14は、例えば、外容器の内部に内容器を配置して外容器の内容器の間に空間部を設け、空間部に加熱空気を供給することで、内容器の内部に収容された放射性廃棄物を加熱乾燥する構成であってもよい。また、乾燥装置14は、処理容器11の外部にヒータを設け、ヒータにより内部に収容された放射性廃棄物を加熱乾燥する構成であってもよい。
【0021】
粒径分離装置15は、処理容器11に収容する多数の放射性廃棄物を粒径分離(分級)する。粒径分離装置15は、例えば、ふるいを用いたふるい分け方法を適用するが、この方法に限定されるものではない。粒径分離装置15は、例えば、気流分級法(重力分級法、慣性分級法、遠心分級法)などを適用してもよい。
【0022】
<放射性廃棄物>
図2は、放射性廃棄物の種類に対する比重と細孔と熱伝導率を表す表、
図3は、異なる比重における乾燥時間に対する含水率を表すグラフ、
図4は、異なる粒径における乾燥時間に対する含水率を表すグラフ、
図5は、異なる熱伝導率における乾燥時間に対する含水率を表すグラフである。
【0023】
図2に示すように、放射性廃棄物は、主に、モルタル(硬化セメントなど)、コンクリート、粗骨材(珪砂など)、金属(鉄材など)などの構成部材が混在している。放射性廃棄物は、構成部材の種類に応じて乾燥度合が異なる。例えば、モルタルは、細孔が多く、コンクリートは、モルタルより細孔が少なく、粗骨材と金属は、細孔がほとんどない。また、モルタルとコンクリートは、熱伝導率が低く、粗骨材は、モルタルやコンクリートより熱伝導率が高く、金属は、熱伝導率が最も高い。
【0024】
放射性廃棄物の構成部材は、細孔が多いと、細孔に水分が残存することから乾燥しにくいと考えられる。また、放射性廃棄物の構成部材は、熱伝導率が低いと、熱が伝わりにくいことから乾燥しにくいと考えられる。放射性廃棄物の構成部材は、細孔が多く、且つ、熱伝導率が低いほど、比重が小さい。例えば、放射性廃棄物に混在するモルタルの比重は2.1、コンクリートの比重は2.3、粗骨材の比重は2.5、金属の比重は7.7である。なお、この比重の数値は、一例である。このような傾向から比重が大きい放射性廃棄物ほど、乾燥しやすいことがわかる。
【0025】
図3は、放射性廃棄物における粒径の違いによる乾燥時間を比較したものである。
図3のグラフからわかるように、細孔を有する放射性廃棄物は、粒径が大きいほど細孔に残存する水分の蒸発に時間を必要とすることから、所定の含水率まで乾燥させるまでの乾燥時間が長くなる傾向にある。
【0026】
また、
図4は、放射性廃棄物における熱伝導率の違いによる乾燥時間を比較したものである。
図4のグラフからわかるように、放射性廃棄物は、熱伝導率が低いほど熱が伝わりにくいことから、所定の含水率まで乾燥させるまでの乾燥時間が長くなる傾向にある。
【0027】
そして、
図5は、放射性廃棄物における比重の違いによる乾燥時間を比較したものである。
図5のグラフからわかるように、放射性廃棄物は、比重が小さいほど、所定の含水率まで乾燥させるまでの乾燥時間が長くなる傾向にある。
【0028】
<乾燥条件設定マップ>
図6は、比重に対する乾燥時間を表すグラフ、
図7は、比重に対する乾燥温度を表すグラフである。
【0029】
乾燥条件設定マップは、放射性廃棄物の比重に対する乾燥条件を表すものであり、乾燥条件として、乾燥時間と乾燥温度がある。
図6に示すように、乾燥条件設定マップは、放射性廃棄物の比重に対する乾燥時間を表すグラフである。乾燥条件設定マップは、放射性廃棄物の比重が高いほど乾燥時間を短く設定するものである。また、
図7に示すように、乾燥条件設定マップは、放射性廃棄物の比重に対する乾燥温度を表すグラフである。乾燥条件設定マップは、放射性廃棄物の比重が高いほど乾燥温度を低く設定するものである。
【0030】
なお、
図6の乾燥条件設定マップにおける放射性廃棄物の比重と乾燥時間との傾向、
図7の乾燥条件設定マップにおける放射性廃棄物の比重と乾燥温度との傾向は、処理容器11の構成や乾燥装置14の構成などにより変わらない。しかし、実際の乾燥時間や乾燥温度は、処理容器11の構成や乾燥装置14の構成などにより変動することから、放射性物質の乾燥に使用する処理容器11や乾燥装置14に応じて、事前に実験やシミュレーションなどにより、放射性廃棄物の比重と乾燥時間との関係、放射性廃棄物の比重と乾燥温度との関係を求めておくことが好ましい。
【0031】
また、乾燥条件は、乾燥時間と乾燥温度に限定されるものではなく、例えば、処理容器11の内部の雰囲気圧力や処理容器11に供給する乾燥用ガスの流速などを適用してもよい。すなわち、処理容器11の内部の圧力が低いほど減圧効果により乾燥しやすくなり、また、乾燥用ガスの流速が高いほど乾燥効果により乾燥しやすくなる。そのため、乾燥条件設定マップは、放射性廃棄物の比重が高いほど処理容器11の内部の圧力を常圧にしたり、乾燥用ガスの流速を低くしたりするものとなる。
【0032】
<放射性廃棄物の処理方法>
図8は、本実施形態の放射性廃棄物の処理方法を表すフローチャートである。なお、放射性廃棄物の処理方法は、作業者が図示しない操作装置により制御装置を介してマニピュレータを遠隔操作することで、各種の処理を行うものである。
【0033】
図1および
図8に示すように、ステップS11にて、粒径分離装置15は、処理容器11に収容する多数の放射性廃棄物を粒径分離(分級)する。ステップS12にて、粒径分離装置15により予め設定された所定粒径の範囲にある放射性廃棄物だけを処理容器11に収容する。すなわち、所定量の放射性物質を容器本体21の内部に入れ、蓋22を固定することで密閉する。
【0034】
ステップS13にて、比重算出装置12は、処理容器11に収容された放射性廃棄物の比重を算出する。この場合、放射性廃棄物が収容された処理容器11の重量を計測し、処理容器11の重量から処理容器11自体の重量を減算することで、放射性廃棄物の重量(質量)を算出する。そして、比重算出装置12は、放射性廃棄物の重量(質量)を放射性廃棄物の体積で除算することで、放射性廃棄物の比重を算出する。
【0035】
ステップS14にて、乾燥条件設定部13は、比重算出装置12が算出した放射性廃棄物の比重に基づいて放射性廃棄物の乾燥条件を設定する。具体的に、乾燥条件設定部13は、放射性廃棄物の比重と乾燥条件設定マップに基づいて、放射性廃棄物を乾燥するための乾燥時間や乾燥温度を設定する。
【0036】
なお、必要に応じて外部から画像診断により処理容器11に収容された多数の放射性廃棄物の粒径を計測する。そして、処理容器11に収容された放射性廃棄物の平均粒径を推定し、放射性廃棄物の平均粒径に応じて乾燥条件を補正してもよい。すなわち、放射性廃棄物の平均粒径に対する乾燥条件のマップを用意しておき、このマップに基づいて乾燥条件を補正する。
【0037】
ステップS15にて、乾燥装置14は、乾燥条件設定部13により設定された乾燥条件(乾燥時間、乾燥温度)に基づいて放射性廃棄物を乾燥する。そして、放射性廃棄物の乾燥作業が終了すると、ステップS16にて、放射性廃棄物を処理容器11により保管する。
【0038】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る放射性廃棄物(対象物)の処理方法は、放射性廃棄物(対象物)の比重を算出するステップと、放射性廃棄物の比重に基づいて乾燥条件を設定するステップと、乾燥条件に基づいて放射性廃棄物を乾燥するステップとを有する。
【0039】
第1の態様に係る放射性廃棄物の処理方法によれば、放射性廃棄物が金属やコンクリートなど複数種類の構成部材からなっていたとしても、放射性廃棄物の比重に基づいて適切な乾燥条件を設定することができる。そのため、放射性廃棄物を、例えば、適正な乾燥時間や乾燥温度で乾燥することができ、放射性廃棄物の乾燥ムラの発生を抑制して適切に乾燥することができる。
【0040】
第2の態様に係る放射性廃棄物の処理方法は、第1の態様に係る放射性廃棄物の処理方法であって、さらに、処理容器11に所定量の放射性廃棄物を収容し、処理容器11の重量を計測することで放射性廃棄物の比重を算出する。これにより、別途、放射性物質を計量するための容器を不要として処理コストの増加を抑制することができると共に、処理の簡素化を図ることができる。
【0041】
第3の態様に係る放射性廃棄物の処理方法は、第1の態様または第2の態様に係る放射性廃棄物の処理方法であって、さらに、処理容器11の内部に乾燥用ガスを供給することで処理容器11の内部に収容された放射性廃棄物を乾燥可能であり、乾燥条件は、乾燥用ガスを処理容器11の内部に供給し続ける乾燥時間であり、比重が小さいほど乾燥時間を長くする。これにより、乾燥温度を一定として乾燥時間を変更するだけでよく、処理の簡素化を図ることができる。
【0042】
第4の態様に係る放射性廃棄物の処理方法は、第1の態様から第3の態様のいずれか一つに係る放射性廃棄物の処理方法であって、さらに、乾燥条件は、処理容器11の内部に供給する乾燥用ガスの乾燥温度であり、比重が小さいほど前記乾燥温度を高くする。これにより、放射性廃棄物の種類に応じた最適な乾燥条件を設定することができる。
【0043】
第5の態様に係る放射性廃棄物の処理方法は、第1の態様から第4の態様のいずれか一つに係る放射性廃棄物の処理方法であって、さらに、放射性廃棄物を粒径分離し、粒径が予め設定された所定範囲の放射性廃棄物を処理容器11に収容する。これにより、放射性物質の粒径が揃うことから、放射性廃棄物の乾燥ムラの発生を抑制することができる。
【0044】
第6の態様に係る放射性廃棄物の処理方法は、第1の態様から第5の態様のいずれか一つに係る放射性廃棄物の処理方法であって、さらに、処理容器11に収容された放射性廃棄物の平均粒径を推定し、平均粒径に応じて乾燥条件を補正する。これにより、放射性廃棄物の乾燥ムラの発生を抑制することができる。
【0045】
第7の態様に係る放射性廃棄物(対象物)の処理システムは、放射性廃棄物(対象物)を収容可能な処理容器11と、処理容器11に収容する放射性廃棄物の比重を算出する比重算出装置12と、放射性廃棄物の比重に基づいて乾燥条件を設定する乾燥条件設定部13と、乾燥条件に基づいて放射性廃棄物を乾燥する乾燥装置14とを備える。これにより、放射性廃棄物を、例えば、適正な乾燥時間や乾燥温度で乾燥することができ、放射性廃棄物の乾燥ムラの発生を抑制して適切に乾燥することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 放射性廃棄物の処理システム
11 処理容器
12 比重算出装置
13 乾燥条件設定部
14 乾燥装置
15 粒径分離装置
21 容器本体
22 蓋