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特開2024-162534収納庫、シート積載装置及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162534
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】収納庫、シート積載装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/04 20060101AFI20241114BHJP
   B65H 1/28 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B65H1/04 320B
B65H1/28 320B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078122
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】多田 和希
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC12
3F343FC30
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA16
3F343HA17
3F343HB04
3F343HC15
3F343HC17
3F343HE02
3F343HE12
3F343HE21
3F343KB03
3F343KB19
3F343LC12
3F343LD22
(57)【要約】
【課題】規制部材の位置が変更可能な状態のまま収納庫が閉じられても規制部材の位置の変更を禁止する状態にする。
【解決手段】シートの端部を規制するために移動可能なサイドガイド部1121及び1122と、サイドガイド部の状態を、サイドガイド部の位置が変更可能な第一の状態とサイドガイド部の位置が固定されてサイドガイド部の位置の変更が禁止される第二の状態とに切り替える操作レバー1129と、を備える収納庫1100aであって、収納庫は、収納庫が押し込まれた閉じ位置と収納庫が引き出された引き出し位置とに移動可能に給送モジュール1000のボックス1200によって保持されるように構成されており、サイドガイド部の状態が第一の状態にあるまま収納庫が引き出し位置から閉じ位置へ押し込まれた場合に、サイドガイド部の状態がボックスによって第一の状態から第二の状態へ切り替えられる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを収納する収納庫であって、
前記収納庫に収納された前記シートを搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記シートの端部を規制するために移動可能な規制部材と、
前記規制部材の状態を、前記規制部材の位置が変更可能な第一の状態と前記規制部材の位置が固定されて前記規制部材の前記位置の変更が禁止される第二の状態とに切り替える切替装置と、
を備え、
前記収納庫は、前記収納庫が押し込まれた閉じ位置と前記収納庫が引き出された引き出し位置とに移動可能に、シート積載装置の本体によって保持されるように構成されており、
前記規制部材の前記状態が前記第一の状態にあるまま前記収納庫が前記引き出し位置から前記閉じ位置へ押し込まれた場合に、前記規制部材の前記状態が前記シート積載装置の前記本体によって前記第一の状態から前記第二の状態へ切り替えられることを特徴とする収納庫。
【請求項2】
ラック歯を備え、前記規制部材と一体的に移動可能なラック部材と、
前記ラック部材の前記ラック歯と噛み合う歯車と、
前記シートが積載される積載板と、を備え、
前記ラック部材は、前記積載板より低い位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の収納庫。
【請求項3】
前記積載板を昇降する駆動部を備えることを特徴とする請求項2に記載の収納庫。
【請求項4】
前記規制部材は、前記搬送方向に直交する前後方向における前記シートの両端部を規制するために前記前後方向に移動可能な一対の規制部材を含み、
前記収納庫は、
前記一対の規制部材のそれぞれと一体的に移動可能であり、それぞれがラック歯を備えた一対のラック部材と、
前記一対のラック部材の前記ラック歯と噛み合う歯車と、を有し、
前記一対のラック部材のそれぞれの前記ラック歯は互いに対面して前記前後方向に延在し、
前記一対の規制部材の一方が前記前後方向の一方向に移動されると、前記一対の規制部材の他方が前記一方向と反対の他方向に同じ距離だけ移動されることを特徴とする請求項1に記載の収納庫。
【請求項5】
前記収納庫は、前記収納庫が後側に向かって押し込まれた前記閉じ位置と前記収納庫が前側に引き出された前記引き出し位置とに前記前後方向に移動可能に、前記シート積載装置の前記本体によって保持されるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の収納庫。
【請求項6】
ラック歯を備え、前記規制部材と一体的に移動可能なラック部材と、
前記ラック部材の前記ラック歯と噛み合う歯車と、
前記規制部材の位置を変更するために操作者により操作されて前記歯車へ駆動力を与える操作部と、を備え、
前記切替装置は、前記規制部材の前記状態を、前記操作者が前記操作部を操作することにより前記規制部材の前記位置を変更可能な前記第一の状態と、前記規制部材の位置が固定され、前記操作者が前記操作部を操作することにより前記規制部材の前記位置を変更することを禁止する前記第二の状態とに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の収納庫。
【請求項7】
前記操作部は、前記操作者がつまむことができる持ち手部と、前記持ち手部が固定される根元面と、を有し、
前記根元面の位置は、前記収納庫の上面よりも低い位置に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の収納庫。
【請求項8】
ラック歯を備え、前記規制部材と一体的に移動可能なラック部材と、
前記ラック部材の前記ラック歯と噛み合う歯車と、を有し、
前記切替装置は、
前記ラック部材の移動を許容する許容位置と前記ラック部材の移動を禁止する禁止位置とに移動可能な係合部材と、
前記係合部材を前記許容位置に位置させる第一の位置と前記係合部材を前記禁止位置に位置させる第二の位置に移動可能なレバー部材と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の収納庫。
【請求項9】
前記レバー部材が前記第一の位置に位置する状態で前記収納庫が前記閉じ位置へ押し込まれた場合に、前記レバー部材は、前記シート積載装置の前記本体に係合して前記第一の位置から前記第二の位置へ移動されることを特徴とする請求項8に記載の収納庫。
【請求項10】
請求項1に記載の収納庫と、
前記収納庫を引き出し可能に保持する本体と、
を備えるシート積載装置。
【請求項11】
請求項10に記載のシート積載装置と、
前記シート積載装置から搬送されるシートに画像を形成する画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの端部を規制するために移動可能な規制部材を備える収納庫、シート積載装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置へシートを供給するシート積載装置は、シートの幅方向の位置を規制するサイドガイド部が設けられている。サイドガイド部は、幅方向に沿って移動可能に構成されている。操作者は、シートのサイズに合わせてサイドガイド部の位置を調整する。サイドガイド部は、ロック切替部材が設けられている。ロック切替部材は、サイドガイド部が移動しないようにサイドガイド部を固定するロック状態(固定状態)と、サイドガイド部の位置を変更可能にするロック解除状態(固定解除状態)と、を切り替えることができる。特許文献1及び特許文献2にみられるように、多くの場合、サイドガイド部の上部の先端に押し込み式のロック解除操作部が設けられている。操作者がロック解除操作部を押し込むとロック切替部材が作動してサイドガイド部が移動可能なロック解除状態になる。操作者は、そのままサイドガイド部を所望の位置へ移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-045141号公報
【特許文献2】特開2004-315159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、多数のシートを積載可能なシート積載装置の場合、サイドガイド部がシートの積み上げ方向に上方に向かって長くなる。特許文献1及び特許文献2のようにサイドガイド部の上部に力をかけてサイドガイド部を移動させる方式を用いる場合、図1(a)に示すようにサイドガイド部1121を倒す方向に力がかかってしまう。サイドガイド部1121の倒れを回避するために、図1(b)に示すように、サイドガイド部1121の上部及び下部に複数のスライド軸1131及び1132を設ける構成、サイドガイド部1121の厚さを移動方向に厚くする構成、補強板を設ける構成がある。そのため、サイドガイド部1121が大型化したり複雑な構造になったりするので、サイドガイド部1121を操作する時の負担が大きくなる。
【0005】
別の方式として、図1(c)に示すように、サイドガイド部1121及び1122の根元に、移動方向に延在し、ラック歯が刻まれたラック部材1123及び1124をそれぞれ設ける。ラック部材1123及び1124と噛み合う歯車1126と、歯車1126に連動する回転式の操作部1125と、を設け、操作部1125を操作することによってサイドガイド部1121及び1122を移動させるものがある。このような構成によれば、サイドガイド部1121及び1122の根元側に力がかかるので、サイドガイド部1121及び1122が倒れるような力がかかることは無く、サイドガイド部1121及び1122を小型化できる。
【0006】
ただし、どちらの方式でも、サイドガイド部1121及び1122のロック忘れ防止機構として、サイドガイド部1121及び1122の操作部1125に押し込み機構が設けられている。操作者が押し込み機構を押し込みながら操作部1125を操作するという構成が多く採用されている。この構成によれば、操作部1125から手を離すとそのままロックされるので、ロック忘れが発生しない。しかし、複数の方向へ同時に力をかける操作が前提となっており、操作者の負担が大きい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例によるシートを収納する収納庫は、
前記収納庫に収納された前記シートを搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記シートの端部を規制するために移動可能な規制部材と、
前記規制部材の状態を、前記規制部材の位置が変更可能な第一の状態と前記規制部材の位置が固定されて前記規制部材の前記位置の変更が禁止される第二の状態とに切り替える切替装置と、
を備え、
前記収納庫は、前記収納庫が押し込まれた閉じ位置と前記収納庫が引き出された引き出し位置とに移動可能に、シート積載装置の本体によって保持されるように構成されており、
前記規制部材の前記状態が前記第一の状態にあるまま前記収納庫が前記引き出し位置から前記閉じ位置へ押し込まれた場合に、前記規制部材の前記状態が前記シート積載装置の前記本体によって前記第一の状態から前記第二の状態へ切り替えられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、規制部材の位置が変更可能な状態のまま収納庫が閉じられても規制部材の位置の変更を禁止する状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】従来のシート積載装置の構成を示す図。
図2】インクジェット記録装置の断面図。
図3】収納庫の斜視図。
図4】収納庫が閉じ位置に装着された状態におけるサイドガイド部と操作部の部分断面図。
図5】一対のサイドガイド部をロック状態とロック解除状態に切り替える動作の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態を用いて、本発明を説明する。なお、本発明の範囲は、以下に述べる実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態で説明される全ての構成が本発明の必須構成要件であると解釈されるべきではない。
【0011】
(インクジェット記録装置)
以下、添付図面を参照して、本実施形態によるインクジェット記録装置(画像形成装置)10について説明する。図2は、インクジェット記録装置10の断面図である。インクジェット記録装置10は、枚葉式であり、反応液とインクとの2液を用いてシートにインク像を形成する。インクジェット記録装置10は、給送モジュール(シート積載装置)1000、プリントモジュール2000、乾燥モジュール3000、定着モジュール4000、冷却モジュール5000、反転モジュール6000及び排出積載モジュール7000を備える。給送モジュール1000から給送されるシートは、搬送経路に沿って搬送され、各モジュールで処理がなされ、排出積載モジュール7000へ排出される。
【0012】
(給送モジュール)
給送モジュール1000は、それぞれ複数枚のシートを収納する3つの収納庫1100a、1100b及び1100cを備える。収納庫1100a、1100b及び1100cは、給送モジュール1000の前側へ引き出し可能に構成されている。収納庫1100a、1100b及び1100cに収納されたシートは、搬送手段としての給送部1102a、1102b及び1102cにより一枚ずつプリントモジュール(画像形成部)2000へ搬送方向CDに搬送される。給送部1102a、1102b及び1102cのそれぞれは、分離ベルト及び搬送ローラを含む。収納庫1100a、1100b及び1100cに積載されたシートは、分離ベルト及び搬送ローラにより1枚ずつ給送され、プリントモジュール2000へ搬送される。なお、収納庫1100a、1100b及び1100cの数は、3つに限定されるものではなく、1つ、2つ又は4つ以上であってもよい。
【0013】
(プリントモジュール)
プリントモジュール2000は、作像前レジ補正部2100、プリントベルトユニット2200及び記録部2300を備える。給送モジュール1000から搬送されたシートは、作像前レジ補正部2100によりシートの傾きや位置が補正され、プリントベルトユニット2200へ搬送される。搬送経路に関してプリントベルトユニット2200に対向する位置に記録部2300が配置される。記録部2300は、搬送されるシートに対して上方から記録ヘッドによりシート上に記録処理(印字)を行なってインク像を形成するシート処理部である。シートは、プリントベルトユニット2200により吸着搬送されることにより、記録ヘッドとのクリアランス(プリントギャップ)が確保される。
【0014】
記録ヘッドは、搬送方向CDに沿って複数並べられている。本実施形態において、記録部2300は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びBk(ブラック)の4色に加えて反応液に対応した計5つのライン型記録ヘッドを有する。なお、色数及び記録ヘッドの数は、5つに限定されるものではなく、1つ、2つ、3つ、4つ又は6つ以上であってもよい。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子を用いた方式等の様々な方式を採用することができる。各色のインクは、インクタンク(不図示)からそれぞれインクチューブを介して記録ヘッドへ供給される。記録部2300によってインク像が形成されたシートは、プリントベルトユニット2200により記録部2300の下流側に配置されたインラインスキャナ(不図示)へ搬送される。インラインスキャナ(不図示)は、記録部2300によってシートに形成されたインク像のズレや色濃度を検出し、検出結果は、その後に形成されるインク像を補正するために用いられる。
【0015】
(乾燥モジュール)
乾燥モジュール3000は、デカップリング部3200、乾燥ベルトユニット3300及び温風吹付部3400を備える。乾燥モジュール3000は、記録部2300でシート上に付与されたインクに含まれる液体分を減少させ、シートとインクとの定着性を高めるユニットである。プリントモジュール2000の記録部2300によりインク像が形成されたシートは、乾燥モジュール3000内に配置されたデカップリング部3200へ搬送される。デカップリング部3200は、上方から風圧を与えてベルト上にシートを弱く保持し、ベルトの摩擦力によりシートを搬送する。これによって、プリントベルトユニット2200上でインク像が形成されているシートがずれることを防ぐ。デカップリング部3200から搬送されたシートは、乾燥ベルトユニット3300により吸着搬送されながら、乾燥ベルトユニット3300の上方に配置された温風吹付部3400から熱風を吹き付けられてシートのインク付与面が乾燥される。なお、乾燥方式は、熱風を付与する方式の他に、電磁波(紫外線や赤外線など)をシート表面に照射する方式、発熱体の接触による伝導伝熱方式又はこれらの方式を組み合わせた方式であってもよい。
【0016】
(定着モジュール)
定着モジュール4000は、定着ベルトユニット4100及び第一の反転部4200を備える。定着ベルトユニット4100は、乾燥モジュール3000から搬送されたシートを、加熱した上ベルトユニットと下ベルトユニットの間を通過させることで、インクをシートに定着させることができる。定着モジュール4000の両面搬送部には、シートの表裏を反転させる第一の反転部4200が設けられている。
【0017】
(冷却モジュール)
冷却モジュール5000は、定着モジュール4000から搬送された高温のシートを冷却する複数の冷却部5100を備える。冷却部5100は、外気をファンで冷却ボックス内に取り込んで、冷却ボックス内の圧力を高め、搬送ガイドに形成されたノズルから噴き出す風をシートに当てることにより、シートを冷却する。冷却部5100は、搬送経路に対し両側に配置され、シートを両面から冷却する。
【0018】
また、冷却モジュール5000は、搬送経路切換え部5200を備える。搬送経路切換え部5200は、シートを反転モジュール6000へ搬送する場合と両面印刷時に使用する両面搬送経路1400へ搬送する場合とに従って、シートの搬送経路を切り換える。両面印刷時、シートは、搬送経路切換え部5200により冷却モジュール5000の下方の搬送経路5300へ搬送される。シートは、搬送経路5300から、定着モジュール4000内の搬送経路4300、乾燥モジュール3000内の搬送経路3500、プリントモジュール2000内の搬送経路2400を介して給送モジュール1000内の両面搬送経路1400へ搬送される。シートは、両面搬送経路1400から、再度、プリントモジュール2000の作像前レジ補正部2100、プリントベルトユニット2200及び記録部2300へ搬送され、記録部2300によりインク像が形成される。
【0019】
(反転モジュール)
反転モジュール6000は、第二の反転部6400を有する。第二の反転部6400は、搬送されるシートの表裏を反転させる。これによって、反転モジュール6000は、排出されるシートの表裏向きを変更することができる。
【0020】
(排出積載モジュール)
排出積載モジュール7000は、トップトレイ7200と積載部7500を備える。排出積載モジュール7000は、反転モジュール6000から搬送されたシートをトップトレイ7200又は積載部7500に積載して整列する。
【0021】
(収納庫)
本実施形態において、給送モジュール1000に引き出し可能に設けられた収納庫1100a、1100b及び1100cは同じ構造を有するので、以下、収納庫1100aについて説明する。しかし、収納庫1100a、1100b及び1100cは、必ずしも同じ構造を有する必要はない。例えば、収納庫1100a、1100b及び1100cは、シートの最大積載枚数が異なるようにそれぞれの高さが異なるように構成されてもよい。
【0022】
図3は、収納庫1100aの斜視図である。図3(a)は、カバーなどの周辺部品の図示を省略した収納庫フレーム1110の斜視図である。図3(b)は、収納庫フレーム1110を取り外した内部構造の斜視図である。収納庫1100aには、その壁面を構成する収納庫フレーム1110が設けられている。収納庫1100aは、その内部構造として、一対のサイドガイド部(規制部材)1121及び1122と、一対のサイドガイド部1121及び1122を操作する操作部1125と、後端ガイド部1130と、リフター板1140と、を有する。一対のサイドガイド部1121及び1122は、搬送方向CDに直交する前後方向FR(幅方向)に関するシートの両端部の位置を規制する側端部規制部材である。後端ガイド部1130は、シートの搬送方向CDに関するシートの後端部の位置を規制する後端部規制部材である。積載板としてのリフター板1140は、駆動部としての駆動モーター(不図示)によって昇降可能である。リフター板1140は、駆動モーター(不図示)の駆動力によって上昇してリフター板(シート積載面)1140上に積載されたシートの束を上昇させる。
【0023】
ここで、収納庫1100aに積載されるシートの幅の端部位置を規制する一対のサイドガイド部1121及び1122を操作する操作機構としての操作部1125の構成について説明する。一対のサイドガイド部1121及び1122には、前後方向FRに平行に伸びたラック部材1123及び1124が設けられている。ラック部材1123は、サイドガイド部1121と一体的に前後方向FRに移動可能に収納庫フレーム1110によって保持される。ラック部材1124は、シートガイド部1122と一体的に前後方向FRに移動可能に収納庫フレーム1110によって保持される。ラック部材1123及び1124には、互いに対面する側面にラック歯1123a及び1124aが刻まれて前後方向FRに延在している。ラック歯1123a及び1124aは、ラック部材1123と1124の間に配置された歯車1126に噛み合っている。一対のサイドガイド部1121及び1122の一方を一方向に移動させると、一対のサイドガイド部1121及び1122の他方へ歯車1126を介して力が伝わり、一対のサイドガイド部1121及び1122の他方は、一方向と反対の他方向に移動される。その結果、一対のサイドガイド部1121及び1122は、互いに反対の方向へ同じ距離だけ移動する。操作部1125は、操作者によって操作され、一対のサイドガイド部1121及び1122の位置を変更するために歯車1126へ駆動力を与える。
【0024】
収納庫1100aの前側で収納庫フレーム1110の上部に、手動により回転可能な操作部1125が設けられている。操作部1125は、回転軸1133により歯車1126と同軸上に接続されている。操作者が操作部1125を操作することにより、歯車1126が回転し、ラック部材1123及び1124を介して一対のサイドガイド部1121及び1122が前後方向FRに移動する。これによって、前後方向FRにおける一対のサイドガイド部1121及び1122の間の幅を、収納庫1100aに積載されるシートの幅に従って広げたり狭めたりすることができる。
【0025】
収納庫1100aは、給送モジュール1000の本体フレームであるボックス1200に対して引き出し可能に装着される。収納庫1100aは、ボックス1200の後側に向かって押し込まれた閉じ位置(装着位置)と、ボックス1200の前側に引き出された引き出し位置との間を前後方向FRに移動可能にボックス1200によって保持される。収納庫1100aが引き出し位置にある状態において、収納庫1100aにシートを追加及び交換することができる。図4は、収納庫1100aが閉じ位置に装着された状態におけるサイドガイド部1121と操作部1125の部分断面図である。収納庫1100aのシート積載量をできるだけ大きくするために、収納庫フレーム1110を構成する前側板1111の高さは、前側板1111の上面1111aがボックス1200の内面1200aにできるだけ近づくように設定されている。操作部1125は、操作者が指でつまむことができる持ち手部1125aと、持ち手部1125aが固定される根元面1125bとを有する。前側板1111の上面1111aとボックス1200の内面1200aとの間の小さな隙間Gにおいて、操作部1125の持ち手部1125aの十分な高さを確保する必要がある。そこで、持ち手部1125aの根元面1125bは、前側板1111の上面1111aより低い位置に配置されている。
【0026】
図5は、一対のサイドガイド部1121及び1122をロック状態とロック解除状態に切り替える動作の説明図である。収納庫1100aは、一対のサイドガイド部1121及び1122の状態をロック状態(第二の状態)とロック解除状態(第一の状態)に切り替える切替装置を備える。切替装置は、ロック部材(係合部材)1127、ロック解除部材1150及び操作レバー(レバー部材)1129を含む。なお、図5(a)において、前側板1111は、説明のために省略されている。前述の通り、一対のサイドガイド部1121及び1122のそれぞれに取り付けられたラック部材1123及び1124は、前後方向FRに移動可能に収納庫フレーム1110によって保持されている。図5(b)及び図5(c)に示すように、ラック部材1123及び1124は、リフター板1140より低い位置に配置されている。一対のラック部材1123及び1124のうち一方のラック部材1124には、ロック部材1127が設けられている。ラック部材1124の軸部1124aは、ロック部材1127に形成された穴部1127aに挿入されている。ロック部材1127は、回転軸1127bを中心に回転可能に前側板1111によって支持されている。ロック部材1127は、引っ張りばね等の付勢部材1128によって図5(b)の反時計回り方向に回転するように付勢されている。
【0027】
図5(b)は、一対のサイドガイド部1121及び1122のロック状態を示す図である。ロック状態において、ロック部材1127の穴部1127aがラック部材1124の軸部1124aに係合するように、ロック部材1127は、付勢部材1128の付勢力によって付勢されてロック部材1127とラック部材1124との間に摩擦力が発生する。このとき、ロック部材1127は、ラック部材1124の移動を禁止する禁止位置に位置する。ロック部材1127とラック部材1124との間の摩擦力により、前後方向FRにおける一対のサイドガイド部1121及び1122の移動が規制される。ロック状態(第二の状態)においては、一対のサイドガイド部1121及び1122の位置が固定され、操作者が操作部1125を操作することによって一対のサイドガイド部1121及び1122の位置を変更することが禁止される。本実施形態において、図5(b)のロック状態では、仮に操作部1125を操作者が回転しようとしてもロック部材1127とラック部材1124との摩擦によって操作部1125は回転できない。
【0028】
収納庫1100aには、操作レバー1129及びロック解除部材1150が設けられている。操作レバー1129は、回転軸1129aを中心に回転可能に支持されている。回転軸1129aに関して操作レバー1129のつまみ部1129bと反対の側には、穴部1129cが設けられている。ロック解除部材1150は、操作レバー1129の穴部1129cに嵌合する突起部1150aが一端部に設けられ、ロック部材1127に接触する接触部1150bが他端部に設けられている。ロック解除部材1150は、上下方向に移動可能に保持されている。操作レバー1129のつまみ部1129bは、前側板1111の上部に設けられた穴部1111bを通して上方へ突き出している。図5(b)に示すロック状態において、操作レバー1129のつまみ部1129bは、前側に倒れている第二の位置に位置する。
【0029】
図5(c)は、一対のサイドガイド部1121及び1122のロック解除状態を示す図である。操作者が操作レバー1129のつまみ部1129bを後側へ向かって押し上げて第一の位置に位置させることにより、ロック解除部材1150が上方へ引き上げられ、ロック解除部材1150の接触部1150bが上方へ引き上げられる。接触部1150bは、付勢部材1128の付勢力に抗してロック部材1127を時計回り方向に回転させる。これにより、ロック部材1127の穴部1127aとラック部材1124の軸部1124aとの間の摩擦力が軽減し、一対のサイドガイド部1121及び1122の移動が可能になる(ロック解除状態)。このとき、ロック部材1127は、ラック部材1124の移動を許容する許容位置に位置する。操作レバー1129は、一対のサイドガイド部1121及び1122の状態を、ロック解除状態(第一の状態)とロック状態(第二の状態)とに切替可能である。ロック解除状態においては、操作者が操作部1125を操作することによって一対のサイドガイド部1121及び1122の位置を変更可能である。
【0030】
ロック解除状態をロック状態へ切り替える場合、操作者は、操作レバー1129のつまみ部1129bを前側に押し下げて操作レバー1129を前側に倒す。しかし、操作者が操作レバー1129を操作せずに、ロック解除状態のまま収納庫1100aをボックス1200に押し込むと、図5(d)に示すように、操作レバー1129のつまみ部1129bがボックス1200の上部に接触して前側に倒れる。これによって、ロック解除状態は、ロック状態へ戻る。
【0031】
本実施例によれば、一対のサイドガイド部1121及び1122を移動させる場合に、複数の方向に同時に力をかける複雑な操作を必要とせずに、一対のサイドガイド部1121及び1122を適切な角度に保ったまま移動させることができる。また、ロック解除状態のまま収納庫1100aをボックス1200に押し込んでも、従来技術よりも部品点数が少なく小型な構成で、ロック解除状態からロック状態へ切り替えることができる。
【0032】
本実施例によれば、構成部品を大型化させることなく一対のサイドガイド部1121及び1122の操作を適切な角度及び少ない力で行うことが可能となる。また、一対のサイドガイド部1121及び1122をロック状態にしないまま収納庫1100aをボックス1200の内部へ押し込んでも、一対のサイドガイド部1121及び1122をロック状態にすることが可能となる。
【0033】
なお、給送モジュール1000の本体に対して移動できる収納庫1100aをロック解除状態のまま押し込むと、操作レバー1129がボックス(本体フレーム)1200の上部に接触して前側に倒れる形態を例示した。しかし操作レバー1129が接触する箇所は、ボックス(本体フレーム)1200に限らず給送モジュール(シート積載装置)1000の本体のうちのいずれの箇所でもよく、例えばボックス1200に取り付けられた外装部材であってもよい。
【0034】
本実施例によれば、一対のサイドガイド部1121及び1122より下に設けられたラック部材1123及び1124へ動力を与える操作部1125が収納庫1100aの上部に設けられている。本実施例によれば、従来よりも小規模で操作時の負担が少なく、ロック忘れが発生しない収納庫1100aを実現することができる。本実施例によれば、一対のサイドガイド部1121及び1122の位置が変更可能な第一の状態のまま収納庫1100aが閉じ位置へ押し込まれた場合であっても、一対のサイドガイド部1121及び1122の位置が禁止される第二の状態にすることができる。
【符号の説明】
【0035】
1000 給送モジュール
1100a、1100b、1100c 収納庫
1121 サイドガイド部
1122 サイドガイド部
1123 ラック部材
1123a ラック歯
1124 ラック部材
1124a ラック歯
1126 歯車
1129 操作レバー
1200 ボックス
図1
図2
図3
図4
図5