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特開2024-162542点光源用光学フィルム、直下型点光源バックライトユニット、及び液晶表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162542
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】点光源用光学フィルム、直下型点光源バックライトユニット、及び液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20241114BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20241114BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20241114BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20241114BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20241114BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241114BHJP
【FI】
G02B5/02 C
G02B5/20
F21S2/00 481
G02F1/13357
G02F1/1335
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078133
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】591162273
【氏名又は名称】株式会社ツジデン
(74)【代理人】
【識別番号】100088214
【弁理士】
【氏名又は名称】生田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100129805
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100189315
【弁理士】
【氏名又は名称】杉原 誉胤
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 竜
(72)【発明者】
【氏名】西岡 純一
【テーマコード(参考)】
2H042
2H148
2H291
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H042BA02
2H042BA04
2H042BA12
2H042BA15
2H042BA20
2H148AA01
2H148AA11
2H148AA19
2H148AA25
2H291FA45Z
2H291FA46Z
2H291FA54Z
2H291FA60Z
2H291FA83Z
2H291FA85Z
2H291LA21
2H391AA03
2H391AB04
2H391AB34
2H391AC13
2H391AC26
2H391AC27
3K244AA01
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA13
3K244GA01
3K244GA02
3K244GA11
3K244GA17
3K244GB02
3K244GB13
3K244GC18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】積層数を3としつつも、光源に離散型点光源を複数使用した場合の局所的暗領域発生問題を解決することが可能で、かつ、色変換フィルムを搭載する直下型点光源バックライトユニットに組み込んだときに、バックライトユニットの出射面における正面輝度と輝度のバラつきとのバランスが良好である点光源用光学フィルムを提供する。
【解決手段】光入射面側に光導入層、光出射面側に光取出層、その間に光導波層を相互に密着させて構成した点光源用光学フィルムであって、光取出層は、光拡散用第1微粒子を含み、光出射面側に第1露出面を有し、該第1露出面はランダムパターンの凹凸面を構成し、光導波層は、光拡散用第2微粒子を含み、光導入層は、光入射面側に、三角プリズムアレイを有し、それが光入射面側に第2露出面を構成し、光取出層の屈折率をn1、光導波層の屈折率をn0、光導入層の屈折率をn2としたときn1<n0≦n2の関係を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光入射面側に光導入層、光出射面側に光取出層、該光導入層と該光取出層との間に光導波層を相互に密着させて構成した点光源用光学フィルムであって、
前記光取出層は、光拡散用第1微粒子を含み、光出射面側に第1露出面を有し、該第1露出面はランダムパターンの凹凸面を構成し、
前記光導波層は、光拡散用第2微粒子を含み、多孔質ではなく、
前記光導入層は、光入射面側に、一方向に延在する複数の三角プリズムから成る三角プリズムアレイを有し、該三角プリズムアレイが光入射面側に第2露出面を構成し、
前記光取出層の屈折率をn1、前記光導波層の屈折率をn0、前記光導入層の屈折率をn2としたときn1<n0≦n2の関係を有する
ことを特徴とする点光源用光学フィルム。
【請求項2】
前記光導波層のヘイズ値が25%以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の点光源用光学フィルム。
【請求項3】
前記三角プリズムアレイの個々の三角プリズムの長手方向に直交する断面における三角形の形状が二等辺三角形であり、その頂角が65~100°である
ことを特徴とする請求項2に記載の点光源用光学フィルム。
【請求項4】
前記三角プリズムアレイのピッチが20~100μmである
ことを特徴とする請求項3に記載の点光源用光学フィルム。
【請求項5】
複数の点光源と、色変換フィルムとを有する直下型点光源バックライト装置であって、
前記点光源と前記色変換フィルムとの間に、請求項1~4のうちいずれか1項に記載の点光源用光学フィルムを少なくとも2枚重ねて搭載する
ことを特徴とする直下型点光源バックライトユニット。
【請求項6】
前記点光源用光学フィルムの搭載の態様が、前記点光源用光学フィルムを、少なくとも2枚重ねて、それぞれ、前記三角プリズムアレイが光源側に面し、前記三角プリズムアレイの三角プリズムの長手方向が相互に直交する又は一致しないように配置されて搭載される
ことを特徴とする請求項5に記載の直下型点光源バックライトユニット。
【請求項7】
前記複数の点光源と前記点光源用光学フィルムとが、該点光源用光学フィルムの前記三角プリズムアレイの三角プリズムの長手方向が、前記点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の一辺または対角線と、平行または垂直となるように積層されている
ことを特徴とする請求項6に記載の直下型点光源バックライトユニット。
【請求項8】
請求項5~7のうちいずれか1項に記載の直下型点光源バックライトユニットを搭載した液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青色LEDからなる点光源を複数配置したバックライトユニットに使用するに適した光学フィルム(以下、「点光源用光学フィルム」)、及びそれを搭載する直下型点光源バックライトユニット並びに該バックライトユニットを搭載する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(本出願の位置付け)
本願は、同一出願人による特願2021-183986号、特願2023-32018号であって、これらの公開前の出願に係る発明を為すに至った過程で得られた知見に基づいて、それらを、更に、改良発展させた発明に係る出願である。従って、背景技術の説明については、同一出願人によるこれら先行出願に記載の内容もその引用により本出願に含まれる。
【0003】
様々な情報機器には液晶装置が広く利用されているが、その基本構造により、表面実装型LEDが平面状に複数配置された光源が、液晶表示装置に搭載されたバックライトユニットの背面側に配置される直下型と、表面実装型LEDが線状に複数配置された光源がバックライトユニットの側面に配置されるエッジライト型に大別される。
【0004】
ノートPC、タブレット、カーナビ、スマートフォンなどの液晶表示装置においては、近年において、薄型化及び低コスト化の要求が益々増大しており、また、液晶表示装置の画質向上と、HDR(High Dynamic Range:明るさの幅を広げる)対応が要求されるようになっている。HDR対応の方法として、直下型バックライトにおいてLEDの点灯、消灯、光量調整を個々のLED毎に行うこと(ローカルディミング)によって、液晶を用いたシャッター機能に加えて、バックライトの光量を調整することが検討されている。LED(Light Emitting Diode)等の点光源を使う直下型とする場合、発光面における光量を増大させると同時に、発光面内輝度の均一性を上げることが要請されていると共に、部品点数の増大を回避することでの低コスト化の要請もある。
【0005】
本出願人は、本出願以前から、白色LEDパッケージ(青色LED素子の封止材に蛍光材の微粒子を分散させることで得られる白色LEDパッケージ)からなる白色点光源を使う直下型点光源バックライトユニット用の光拡散フィルムの製造販売ビジネスを実際に展開しているが、その経験に基づけば、低コスト化もさることながら、軽量化、薄型化、高輝度化、見栄え(表示画面の明るさのムラ低減)という多面的な社会ニーズに対応することが要請されており、LEDを使った直下型バックライトユニットおいても、
1)簡便な製造方法の採用による製造コストの削減
2)部品点数、部材の種類の低減化、共通部品・部材の活用による製造コストの低減
3)部品自体の薄型化もさることながら、1部品多機能化による全体の薄型化
4)光出射面における輝度の均一化・最適化(輝度ムラの低減)
5)光出射面における正面輝度の高輝度化
等々、多面的な観点からの改良開発努力が要請されている。なお、上記ファクターは相互に複雑に影響しあっているものもあり、特に、バックライトユニットの出射面における正面輝度の均一化(正面輝度のムラの解消)の要請と、正面輝度の高輝度化(光出射面からの出射光量の増大)の要請とは、相互に相反する傾向を示すので、一方だけの向上を企図するのではなく、相互の絶妙なバランスを図ることが重要である。
【0006】
従来技術における直下型点光源バックライトユニット(液晶パネルにカラーの付いた光を入射するユニット)の一般的な構成は、相互に光学的に独立した点光源が格子状に複数平面配置された光源(一般的には表面実装型LEDであり、それらは透明な樹脂で覆われている)と、その光源の上方に、所定の距離(Optical distanceと一般的に呼称される)を開けて、相互に独立した離散型光源からの離散光から連続的平面光に変換するシート状(又はフィルム状)の光学部材(光路変更シート、光拡散整形シート(Light Shaping sheet)、光拡散シート、光拡散フィルム、光偏向シート、等いろいろ呼称される)が配置され、更にその光出射面側の上にQDフィルム等の色変換フィルムが配置され、更にその上に三角プリズムアレイを一方の面に有するBEF(Brightness Enhancement Film)が2枚、そのBEFに形成された三角プリズムアレイの方向が相互に交差する態様で重ねられる構成となっている。なお、光学部材が、2枚の光学フィルム(シート)の積層体から構成されているときには、QDフィルム等の色変換フィルムの配置位置が、これら2枚の光学フィルムの間に間挿される場合もある。
【0007】
上記における光学部材の役割・機能は、相互に独立した離散型光源からの離散光から連続的平面光源からの平面光に変換すると同時に、出射面からガウス分布を有する光に近い光として出射することであると推定されており、一般的に、light shaping film(光拡散整形フィルム)と言う用語で表現されている。
【0008】
一方、BEFは2枚重ねで使用され、各々の一面に微細な三角プリズムアレイが形成されており、その三角プリズムの延在方向が直交するように2枚重ねることで集光機能を有し、その役割・機能は、上記光学部材の出射面から出射された光の伝搬方向を垂直方向に偏向することで集光して、液晶パネル面に垂直に入射するようにすることであると言われている。なお、この三角プリズムの頂角は90°に設定されていると言われている。
【0009】
点光源として一般的に使用される微小な青色LEDパッケージは、封止材に蛍光材(一般的に蛍光特性のある微粒子)を含む一般的な白色LED素子とは異なり、封止材には蛍光材が含まれていない。従って、出射される光は、指向性が比較的強い(一般的には、(-30°~25°)から(+25°~30°)の角度範囲に出射光が集中されるとも言われている)ことがその特徴の1つとしてある。
【0010】
かかる直下型点光源バックライトユニットの性能として実際のユーザが求める代表的なものは、高い正面輝度と低いバラつき(正面輝度のムラが少ないこと)であるが、上述の構成を有する直下型点光源バックライトユニットの場合、これら二つの特性を左右する主な変動ファクター(制御対象ファクター)は:
1) 光源に関わるファクター
2) 光源と、光配向変更フィルムとの空間的位置関係に関わるファクター
3) 光配向変更フィルムの光学特性に繋がる表面形状・使用材料等に関わるファクター
4) 光配向変更フィルムが異なる光学特性を有する層を積層して構成される場合は、それらの境界面における光学特性に関わるファクター
である。なお、当然のことながら、上記4)のファクターは、上記3)のファクターに影響されるファクターであるが、これが注目される先行発明の例は数が極限られているようである。
【0011】
さて、上述の本出願人による先行特許出願(特願2021-183986)については、その審査過程において、主引例を特開2010-32719号公報(特許文献1)とする進歩性欠如の拒絶理由通知が発せられている。しかし、同文献に記載の発明の目的とするところは、積層構造を有する光学シートの中間層の屈折率を空気の屈折率に近づけて多孔質層とするために必要な中空の光拡散用微粒子を開発することであり、その結果として、中間層の複合屈折率を、上下に積層された層の屈折率よりも小さくしつつ、「光学シートの色ムラや輝度ムラの発生を少なく・・・」(特許文献1の段落〔0136〕)することであるが、この主張の根拠として評価に使用した光源は、フナテック社製のFLR3と呼称される平面光源であり、下記サイトに掲載されている同社カタログ
(http://www.funatech.com/pdf/kensa_all_20191028.pdf)によれば、この光源は蛍光管からの白色光を、ヘーズ値の高い樹脂板を透過させて得られる高度に拡散された白色光であるので、青色LEDを点光源としてそこからの離散型光を連続型平面光に変換する(光配向変更する)ことを目的の一部とする発明ではない。
【0012】
特許文献1においては、その表1を見ると、比較例3について、評価項目の1つである正面輝度に×が付けられている。この比較例3の作成方法は、同文献の明細書〔0127〕に、「(比較例3)実施例1において、多孔質層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にしてプリズム層と表面凹凸型光拡散層とからなる光学シートを作製した」と記載されているので、その構成は、図8に図示されたものである。図中の参照番号1はプリズム層であり、参照番号2は支持体(PETフィルム)であり、参照番号3は表面凹凸型光拡散層である。同文献の表1には、それぞれの屈折率が記載されており、プリズム層は1.58,表面凹凸型光拡散層は1.49となっている。一方、支持体となっているPETフィルムの屈折率は一般的に1.58と言われているので、この比較例3の各層の屈折率の相互関係は、少なくとも、中間層の屈折率が上下の層の屈折率よりも小さくなることはなく、具体的には、光入射側の層である光拡散層が1.49、中間層が1.58、光出射側の層であるプリズム層が1.58となり、光入射側から順に、1.49、1.58、1.58となっている。
【0013】
特許文献1では、比較例3のような構成は正面輝度が好ましくない(ネガティブ)と判断されているが、ポジティブな特徴として、積層する層の数が3であり、同文献に開示の発明に係る構成が4(上から下への順に、プリズム層、支持体層、多孔質層、表面凹凸型光拡散層)であるのに対して、1つ少ない。積層する層の数が1つ少ないと言うことは、製造に要する工程数が1つ少ない、と言うことでもあり、製造コストがその分低くできると言うことである。また、特殊な多孔質層を作成するための材料費が不要となり、その観点からも、低コスト化に直結する。このような低コスト化に直結するポジティブな特徴は、大量生産のビジネスでは極めて重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2010-32719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、大量生産に基づくビジネスの観点から見て極めて重要と言われる製造コストの観点から見ると、積層数が3であることは大きなメリットがあるので、積層数を3としつつも、光源に離散型点光源を複数使用した場合の局所的暗領域(local dimming zone)発生問題を解決することが可能で、かつ、廉価で、色変換フィルムを搭載する直下型点光源バックライトユニットに組み込んだときに、バックライトユニットの出射面における正面輝度と輝度のバラつき(正面輝度の標準偏差)とのバランスが良好で、現実の市場ニーズにマッチした点光源用光学フィルムを提供することを課題とした。
【0016】
なお、ここで言う局所的暗領域(local dimming zone)発生問題とは、光源に離散型点光源を複数使用した場合に特有の以下のような問題である。光源に離散型点光源を複数使用した場合の一例として、図18に、その配列と、正面から見たときの写真を掲載する。この点光源分布を見ると、直観的に、点光源からの離散光を面光源からの連続光とするためには、各点からの半値角度(例えば、図17に図示された光強度角度分布曲線において、正面輝度を表す縦軸の値が50%になるときの横軸の角度)を大きくすれば、点光源からの離散光が連続光に変換できると期待するのが一般的である。しかし、単一の点光源を使った場合は、光学部材の光出射面に現れる光の分布がガウス分布に近い分布となるので、この分布曲線の裾の部分を立ち上げることが制御対象となるところ、格子状に複数点光源が配置される場合に、格子の辺に沿った方向において、点光源からの離散光を連続化しようとしても、格子の辺に沿った局所的暗領域(local dimming zone)の正面輝度(A)は格子の4辺全て同じであるが、格子の対角線に沿った局所的暗領域の正面輝度(B)は、常に、正面輝度(A)よりも低い値にならざるを得ないので、潜在的に、正面輝度のバラつきは解消されないことになる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は、上述の背景の下、本出願以前の出願の際に得られた知見等を基に、鋭意努力した結果、離散型点光源からの離散光を連続平面光に変換する際に、直接一度に変換するのではなく、離散型点光源からの離散光を、一旦、疑似線光源からの帯状の連続光に変換した上で、この帯状の連続光の帯の幅を更に広げることで、複数点光源による局所的暗領域発生問題が解決できると言う知見を得て、本発明を為したのである。
【0018】
即ち、第1の発明は、
光入射面側に光導入層、光出射面側に光取出層、該光導入層と該光取出層との間に光導波層を相互に密着させて構成した点光源用光学フィルムであって、
前記光取出層は、光拡散用第1微粒子を含み、光出射面側に第1露出面を有し、該第1露出面はランダムパターンの凹凸面を構成し、
前記光導波層は、光拡散用第2微粒子を含み、多孔質ではなく、
前記光導入層は、光入射面側に、一方向に延在する複数の三角プリズムから成る三角プリズムアレイを有し、該三角プリズムアレイが光入射面側に第2露出面を構成し、
前記光取出層の屈折率をn1、前記光導波層の屈折率をn0、前記光導入層の屈折率をn2としたときn1<n0≦n2の関係を有する
ことを特徴とする点光源用光学フィルムとする。
【0019】
第2の発明は、前記第1の発明において、
前記光導波層のヘイズ値が25%以上であることを特徴とする。
【0020】
第3の発明は、前記第2の発明において、
前記三角プリズムアレイの個々の三角プリズムの長手方向に直交する断面における三角形の形状が二等辺三角形であり、その頂角が65~100°である
ことを特徴とする。
【0021】
第4の発明は、前記第3の発明において、
前記三角プリズムアレイのピッチが20~100μmである
ことを特徴とする。
【0022】
第5の発明は、前記第1~第4の発明のうちいずれか1つの発明に係る点光源用光学フィルムを少なくとも2枚重ねて搭載することを特徴とする直下型点光源バックライトユニットである。
【0023】
第6の発明は、前記第5の発明において、前記点光源用光学フィルムの搭載の態様が、前記点光源用光学フィルムを、少なくとも2枚重ねて、それぞれ、前記三角プリズムアレイが光源側に面し、前記三角プリズムアレイの三角プリズムの長手方向が相互に直交する又は一致しないように配置されて搭載される
ことを特徴とする。
【0024】
第7の発明は、前記第6の発明において、
前記複数の点光源と前記点光源用光学フィルムとが、該点光源用光学フィルムの前記三角プリズムアレイの三角プリズムの長手方向が、前記点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の一辺または対角線と、平行または垂直となるように積層されている
ことを特徴とする。
【0025】
第8の発明は、前記第5~7の発明のうちいずれか1つの発明に係る直下型点光源バックライトユニットを搭載した液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0026】
1) 本発明に係る点光源用光学フィルムは、点光源からの入射光が、屈折率の一番大きな層に入射して、光出射面に向かうに従って、順次屈折率が小さくなるように構成されていることにより、この点光源用光学フィルムは、色変換フィルムを搭載する直下型点光源バックライトユニット用として有用である。
2) また、この点光源用光学フィルムは、Roll-to-Roll生産方式(ロールtoロール生産方式)でもって光導入層である三角プリズムをエンボス方式で作成可能であり、また、光取出層はコーティング方式で作成が可能であるので、大面積の連続フィルムを一体成形した後、その連続フィルムから、適宜必要な寸法に裁断するだけという、簡便でありながら、量産に適した製法で得られるので、この観点からの製造コストの削減を図ることが期待される。
3) 前記の効果は、本発明に係る直下型点光源バックライトユニットを搭載する液晶表示装置についても同様に言える。
4) 本発明に係る点光源用光学フィルムを搭載した直下型点光源バックライトユニットは、光源と点光源用光学フィルムの光入射側に形成された三角プリズムの頂角部との間の距離をほぼゼロにすることができるので、バックライトユニット、更には、それを搭載する液晶表示装置の厚さを、従来にも増して薄くできることが期待されるので、産業上有用である。
【0027】
また、本発明に係る点光源用光学フィルムは、その特性評価の際に、以下説明するように、LEDの封止材に蛍光材を使用しない青色LEDを点光源として、色変換フィルムを搭載した直下型点光源バックライトユニットにおいて、光源と色変換フィルムとの間に配置すると、バックライトユニットからの光出射面において、Haze値(ヘイズ値)が上がると正面輝度が上がる、即ち、光出射面における正面輝度とHaze値(ヘイズ値)とが、正の相関関係を示すというユニークな特性も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、QDフィルム等の色変換フィルムを搭載する従来技術による直下型点光源バックライトユニットの断面を模式的に示す概念図である。
図2図2は、本発明に係る積層型光学シートを構成する光学フィルム(1枚)の拡大断面(特に、厚み方向に拡大)を模式的に示す概念図である。
図3図3は、本発明に係る光学フィルムの光取り出し層の表面(露出面)のランダムパターンの凹凸面の一例を真上から見た写真である(倍率は図に記載のとおりである)。
図4図4は、本発明に係る積層型光学シートを搭載する直下型点光源バックライトユニットの断面構成を示す概念図である。
図5図5は、実施例、比較例における輝度の測定時の測定範囲を分割したときの1つのセルとLED点光源とのサイズ関係、位置関係を図式的に示す。
図6図6は、測定時における1個のセルでカバーされるLED点光源の数等を図式的に示す。
図7図7は、表2の測定データを、縦軸に輝度の標準偏差、横軸に比較例2の平均輝度を100として正規化した平均輝度を取ってグラフで表した図である。
図8】従来技術の1つを図示するものであり、特許文献1に開示の比較例3の積層態様を、同文献の明細書中の記載に基づいて再現したものを図示する。同文献の記載によれば、参照番号1はプリズム層、参照番号2は支持体(具体的には、光拡散用微粒子を含まないPETフィルム)、参照番号3は表面凹凸型光拡散層である。
図9】従来技術の1例(三角プリズムの頂角部が上向き(光出射面側)の構成(a))のコンター図bと光強度角度曲線cを示す。
図10】本発明の範囲に属する1例(三角プリズムの頂角部が下向き(光入射面側)の構成(a))のコンター図bと光強度角度曲線c
図11】三角プリズムの頂角部が下向きの場合のデータポイントのプロット図である。縦軸は標準偏差、横軸は正面輝度である。
図12】三角プリズムの頂角部が上向きの場合のデータポイントのプロット図である。縦軸は標準偏差、横軸は正面輝度である。
図13】表7のデータポイントのプロット図である。縦軸は標準偏差、横軸は正面輝度である。
図14】新実施例1~3の測定データ分布の図である。aは、データポイントのプロット図、bは、中心部の最小二乗法による1次関数を特定した参考図及びバウンダリーの推定範囲を特定した参考図である。
図15】新比較例1の測定データの分布図である。aは、データポイントのプロット図、bは、中心部の最小二乗法による1次関数を特定した参考図である。
図16】三角プリズムの頂角を80°に固定し、ヘーズ値を一定とし、屈折率の相互関係を変動させたときの測定データポイントのプロット図である。
図17】三角プリズムを使うことなく光拡散微粒子だけによる拡散機能を呈する光学シートのコンター図a、輝度角度分布図bの一例を示す。
図18】本発明の点光源用光学フィルムを搭載した直下型点光源バックライトユニットの評価に使用した青色LEDの点光源を格子状に配列した光源の1例の概念図である。
図19】本発明の点光源用光学フィルムをその三角プリズムアレイを光源側に向けて、かつ、その三角プリズムの長手方向がほぼ直交する態様で2枚重ねたとき(a)のコンター図bと光強度角度曲線cの一例(参考図)
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明について、以下、図面を参照しつつ詳述する。
本発明に係る点光源用光学フィルムは、光取出層(最上層、光出射側)と、光導波層(中間層)と、光導入層(最下層、光入射側)との三層構成となっており、これらの層は相互に密着されて一体製造化されており、それぞれ、以下の特徴・特性を有する。
【0030】
1. 光取出層(光出射側、最上層)
(製法・使用材料)
本発明に係る光取出層の製法は、基本的には、同一出願人による特開平6-59108号公報又は再表2003-032074号公報に開示の方法に準じた製法が好適に採用できる。その概要は、光拡散用第1微粒子を透光性有機接着剤でもって、以下詳述する光導波層の一方の面に固定することであり、より具体的には、光拡散用第1微粒子と透光性有機接着剤との混錬物(混合物)を、以下詳述する光拡散用第2微粒子(内部は中実であり中空ではない)を含有する樹脂フィルムの一方の表面にほぼ均一に塗布して硬化させることで光拡散用第1微粒子を表面に固定して、その表面に固定された光拡散用第1微粒子(但し、各微粒子は透光性有機接着剤の硬化の被膜により覆われている)によるランダムパターンの凹凸面を形成することで形成される。ここで使用する透光性有機接着剤としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、シリコーンアクリル樹脂、フッ素樹脂若しくはフッ素-アクリル樹脂又はこれらの樹脂に硬化機能を有する架橋性樹脂を添加したものやポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等の硬化性樹脂等のなかから選択される少なくとも1種以上の樹脂を好適に使用できる。この混錬物の硬化方法には、使用する透光性有機接着剤に最適な硬化方法が適宜採用できることは論を待たない。
【0031】
この場合の透光性有機接着剤に対する光拡散用第1微粒子の混合比率(重量比率又は容量比率)は、透光性有機接着剤が硬化した後に、光拡散用微粒子の少なくとも一部の量の光拡散用微粒子が透光性有機接着剤の硬化体(硬化した膜)とにより表面に凹凸を形成するような混合比率が好適に使用できる。具体的には、この表面の凹凸のプロフィール形状特性の一つの指標としてのSsk(スキューネス:偏り度)が、好ましくは3.0以下、より好ましくは、1.40~2.30となり、光取出層だけのHaze値が、好ましくは20%~70%の範囲内に入り、より好ましくは、40%~60%の範囲内に入るような混合比率である。但し、このような数値範囲は、直下型点光源バックライトユニットに搭載するLED光源の配列ピッチ、光源からの出射光の配光分布の特性等々の他の変動ファクターによっても好適な数値範囲が左右されることがあるので、このような数値はあくまでも参考レベルであり、全体として、本件発明の作用効果が得られるような範囲であれば、どのような数値範囲でも好適に使用できる。
【0032】
本発明に係る光取出層の形成方法として、上述するような簡便な方法を採用することで、工程の簡易化、しいては、製造コストの低減化を図ることができる。
【0033】
この表面のランダムパターンの凹凸面の形成方法としては、上述の塗布方法以外に、目標とする所定のSsk値を有する凹凸形状を反転させた金型(母型)を準備し、この金型と、後述する光導波層を構成する光拡散フィルムの一方の面との間に熱硬化樹脂又は紫外線硬化樹脂を流し込んだ後その樹脂を硬化させることで光導波層を構成する光拡散フィルムの一方の表面に母材形状を転写する方法、又は、光拡散フィルムの一方の表面に熱プレスで母型の形状を転写する方法若しくはサンドブラストなどの方法で光拡散フィルムの表面を直接荒らす方法も好適に採用できる。
【0034】
本発明の技術的範囲を何ら制限するものではないが、光拡散用第1微粒子の存在は必須ではなく、ランダムな凹凸面を提供することで、本発明の一部を構成する光取出層の目的と機能が得られるのであれば、光散乱用第1微粒子が存在しない構成であっても好適に使用できる。一般的な光学的な観点からすると、屈折率の異なる2つの物質が境界面で接しているときに、一方の物質Aから他方の物質Bへ向かう光がその境界面に当たると、その光の一部は境界面で屈折して物質Bの中に伝搬し、残りの光の一部は境界面で反射して物質Aの方向に戻る現象が起こる。従って、この光取出層が存在せず、光導波層の光出射面が露出していると(大気と接していると)、その光出射面の裏側(光導波層の内側の面)面では、大気の屈折率(1.0)と光導波層に使用されている樹脂の屈折率(ポリカーボネートを使用した場合は1.58)との相違による反射(光導波層内への反射)現象が生じる(この差が大きければ大きいほど、光導波層内への反射による出射光量のロスが生じる)ということが一般的には言える。しかしながら、この光取出層の微細構造は、複雑な構造となっており、光拡散用第1微粒子の一部は、それを固定する樹脂バインダーの厚さよりも突出していてその突出部分は固定用樹脂バインダーの極薄の膜で覆われていたりするので、それらを透過する光の伝搬挙動は極めて複雑である。更には、固定用樹脂バインダーのみの部分もあり得ることも相まって、境界面における一般的な光の屈折・反射現象では予測が付かない現象が出現している。このことにより、以下詳述するが、光取出層のヘイズ値(Haze値)を上げると、かかる光取出層を有する本発明の点光源用光学フィルムを、色変換フィルムを搭載した直下型点光源バックライトユニットに、光源の直上に配置して、そのバックライトユニットの光出射面での正面輝度が上がり、結果的に、見栄えが悪くなる(正面輝度の平均値からの標準偏差が大きく成る)というトレードオフがあることを鑑みると、場合によっては、光取出層の屈折率を光導波層の屈折率よりも高くする(境界面での反射光量を増やす)ことの方が、本発明が求める好ましい効果が得られる場合もあり得る。
【0035】
この光拡散用第1微粒子としては、例えばガラス、シリカ等の無機材料、およびウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリルニトリル、ポリエステル、シリコーン、ポリエチレン、エポキシ、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物またはベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物よりなる有機材料のうちより選択される少なくとも1種以上の材料からなる微粒子が好適に使用可能であるが、好ましくは、ウレタン、ポリアミド、ポリカーボネートなどの微粒子、より好ましくはポリメチルメタアクリレートの微粒子が好適に使用できる。但し、その材質の選択においては、その屈折率と光取出層を構成する樹脂の屈折率との差による乱反射が、本発明に係る点光源用光学フィルムを使用する環境下において、多くならないように、その屈折率は樹脂の屈折率に近い値となるような材質であれば、どのような材質でも好適に使用できる。
【0036】
また、その粒径は、好ましくは約1~20μm、より好ましくは約5~15μmであり、1μm未満では本発明における光取出層の光取り出し機能(以下詳述する光導波層内で拡散された光をその光出射面から取り出す機能という意味の取り出し機能)が十分でなく、また、使用する透光性有機接着剤の粘性や光拡散用第1微粒子の混合比率にも左右されるが、粒径が大きくなると、以下言及する透光性接着剤が硬化して光拡散用第1微粒子が固定された後の表面(露出表面、光出射面)のSskの制御が難しく、塗工難易度が高くなり、また、点光源用光学フィルム全体の層厚が厚く成り過ぎる点から、本発明の特性を発現させることのできる粒径の範囲は約20μmが上限と考えられるが、本発明に係る点光源用光学フィルムと同様な効果が得られるのであれば、どのような粒径も好適に採用できると考えられる。
【0037】
なお、一般的に、2つの屈折率の異なる光学物質の境界面において、一方の光学物質から他方の光学物質に光が入る際に、双方の屈折率の相違により、境界面で光が他方の光学物質内に伝播する際にその光の全てが境界面で屈折して伝播する訳ではなく、境界面での入射角が大きくなると、その光の一部が境界面で反射されてその一方の光学物質内に戻される現象が生じる。また、光の伝搬元の光学物質の屈折率が、光の伝搬先の光学物質の屈折率より大きいときは、境界面での入射角が大きくなり過ぎると全反射も起こり得るので、屈折率の相互関係の選択には注意が必要となる。
【0038】
光取出層の機能は、光取出層と光導波層との境界面において光を屈折させて一方の物質内から境界面に向かって伝播して来た光を他方の物質内に伝播させることであるが、光取出層の中には光拡散用微粒子が含まれており、この微粒子の存在により、この層が単一の樹脂から構成されている場合と比べて遥かに複雑な光の伝搬が起こることからすると、光導波層からの光が境界面で反射して再度光導波層内に戻る光量を本発明の求める最適なものとするためには、使用する材料構成、屈折率の組み合わせを試行錯誤的に見出すことが必要となる場面もあり得る。
【0039】
透光性有機接着剤としては、ウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、シリコーンアクリル樹脂、フッ素樹脂またはフッ素-アクリル樹脂、ウレタン-アクリル樹脂等もしくはこれらの樹脂をベースにして、紫外線硬化、電子線硬化、熱硬化、イソシアネート硬化、アミンエポキシ硬化の架橋可能な樹脂のうちから選択される少なくとも1種以上の樹脂又はそれらの混合物が好適に使用可能である。また、場合によっては、熱可塑性の樹脂も使用可能と考えられる。上述したとおり、光取出層と光導波層との境界面における光の伝播は複雑な挙動を示すことを鑑みると、その屈折率は、光導波層に使用される樹脂の屈折率との関係で適宜選択されるべきものであり、その伝搬挙動が本発明の目的と趣旨から外れなければいかなる値となっても好適に使用される。
【0040】
(特徴・特性)
透光性有機接着剤に対する光拡散用微粒子の混合比率は、透光性有機接着剤が硬化した後に、光拡散用微粒子の少なくとも一部の量の光拡散用微粒子が透光性有機接着剤の硬化体(硬化膜)と相まって表面に凹凸を形成するような混合比率である。この表面の凹凸のプロフィール形状特性の一つの指標としてのSsk(スキューネス:偏り度)が、好ましくは3.0以下、より好ましくは、1.40~2.30となるような混合比率である。但し、このような数値範囲は、直下型点光源バックライトユニットに搭載するLED光源の配列ピッチ、光源からの出射光の配光分布の特性等々の他の変動ファクターにも好適な数値範囲が左右されることがあるので、このような数値はあくまでも参考レベルであり、全体として、本件発明の作用効果が得られるような範囲であれば、どのような数値範囲でも使用できることは論を待たない。
【0041】
光取出層の特徴は上記表面凹凸形状特性だけではなく、接着剤が硬化して最終的に得られた光取出層の複合屈折率が、1.30~1.70の範囲内に入り、好ましくは、1.45~1.55の範囲内に入り、また、光取出層全体(樹脂と光拡散用微粒子との複合体)のHaze値が、10%~100%の範囲内に入り、好ましくは、20%~80%、より好ましくは40%~60%の範囲内に入るような光学特性を有するように透光性有機接着剤と光拡散用第1微粒子との組み合わせ、光拡散用第1微粒子の平均粒径、粒度分布、混合比率及び塗布厚を採用することが好ましい。光取出層内の光拡散用第1微粒子の主な機能は、上述のとおり光拡散・光散乱がメインとなっていることから鑑みると、本発明の範囲を何ら制限しないとの前提の下で、光取出層に含まれる光拡散用第1微粒子が光導波層の光出射面の上に単層(微粒子が相互に重ならなない状態)が形成されるような混合量(図3参照)が好適に選択される。この光取出層はバインダーとしての樹脂と光分散用微粒子の混合体であるのでその屈折率は複合屈折率であるが、バインダー樹脂は光分散用微粒子を固定するためのものでその体積量は少ない。そのため、複合屈折率とは言え、光分散用微粒子の屈折率に限りなく近い値になる傾向がある。バインダー樹脂の屈折率は、好ましくは、後述する光導波層の屈折率以下であって、光分散用微粒子の屈折率よりも大きく、より好ましくは、1.52±10%である。こうすることにより、ミクロで見たときの光取出層と光導波層との境界面での戻り光量を低減することが可能になると考えられる。
【0042】
本発明に含まれる光取出層の機能は、主に、後述する光導波層からできるだけ多量の光を取り出してその光の向きを光出射面に垂直に近づけることで正面輝度を向上させる(高輝度化)ことをメインとしているが、本発明の範囲を制限することはないとの前提で言えば、主に、以下の3つの機能を有すると考えられる。
(1)以下詳述する光導波層から光を取り出す、即ち、光導波層で全方向に拡散された光を正面に戻し正面輝度を向上させる。
(2)以下詳述する光導波層による光の導波(光の拡散)を促進させて、点光源の直上点以外の場所からの出射光の光量を増やす。
(3)光の吸収、損失を抑制することで、正面輝度が著しく低下することを防ぐという効果を呈する。
【0043】
2. 光導波層(中間層)
(製法・使用材料)
光導波層は、全体の光学特性に影響を与えるような空隙は含まれず、多孔質ではなく、好適には乳白色半透明の中実のプラスチックフィルムから構成され、一般的な光拡散用フィルムの製造方法と同じ製法で製造可能である。具体的には、透明樹脂をフィルムまたはシート状に成形する前に、例えば乳白半透明となるように、酸化チタン,硫酸バリウム,炭酸カルシウム,水酸化アルミニウム,炭酸マグネシウムまたは酸化アルミニウムなどの無機微粒子、又はウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、シリコーンなどの有機微粒子(光拡散用第2微粒子)を透明樹脂に添加して得られたペレットを、フィルム押出成形法(Tダイ法)によりフィルム状に形成することで得られる。この光拡散用第2微粒子として、上述の光拡散用第1微粒子と同じ化学組成(種類)のもの(但し、粒径、粒度分布等の粉体特性は異なることがある)を使用することも可能であり、シリコーン微粒子が好適に使用される。
【0044】
光導波層を構成する上述のプラスチックフィルムの樹脂は、光導波層の光の導波能力の観点からすると、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、スチレン・メチルメタアクリレート共重合体などの透明樹脂で、その屈折率が本発明に適したものが好ましいが、信頼性の観点と入手し易さの観点からポリカーボネートがより好適に使用される。
【0045】
上記プラスチックフィルムの樹脂を選定する際には、バックライトユニットの構成要素の観点から考慮する必要があり、点光源として白色LEDを使用する場合は可視光だけの光透過率を考慮して選定すれば良いが、QDフィルムや蛍光体を用いた色変換フィルムを使用する構成の場合は、可視光の波長よりも短波長の光も可視光へ変換されるので、短波長の光の吸収の少ない樹脂を選定する必要がある。
【0046】
光導波層を構成するプラスチックフィルムの厚みについては、光導波の効果を向上させるという観点からするとできるだけ厚い方が好ましいとは言えるが、バックライトユニット全体の薄型化という観点からの制約もあり、また、本発明の点光源用光学フィルムの製法として好適に採用されるRoll-to-Roll生産方式(ロールtoロール生産方式)の観点から400μm程度が最大と考えられる。
【0047】
光導波層に含まれる微粒子の含有量は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限定されるものではないが、光導波層だけのHaze値が、好ましくは、25%~100%の範囲内、より好ましくは、50%~90%の範囲内になるような含有量が好適に採用される。また、これらの数値範囲とは直接的な1対1の対応は取れないものの、重量%の観点からすると、経験的に、光導波層を構成するプラスチックの重量に対して5重量%以下が好ましく、より好ましくは、1重量%以下である。
【0048】
かかる微粒子の種類としては、光拡散機能を有する微粒子であって本発明の効果が得られるものであれば基本的には如何なる微粒子も使用可能ではあるが、バックライトユニットに、QDフィルムや蛍光体を用いた色変換フィルムを使用する場合は、可視光の波長よりも短波長の光も可視光へ変換されるので、短波長の光の吸収の少ない微粒子を使用する必要があり、この観点から、TiO2粒子は短波長側の吸収を持っていることから選定しない方が好ましい。
【0049】
(特徴・特性)
光導波層を構成するプラスチックの屈折率は、使用するプラスチックの種類が決まれば、自ずと屈折率の数値が決まるが、本発明においては、上述のとおり、ポリカーボネートが好適に使用でき、その場合の公称屈折率は1.58である。なお、本発明に係る光導波層は、このポリカーボネートの中に上述の光拡散用第2微粒子が分散されている。
【0050】
なお、本発明に係る点光源用光学フィルムにおいては、光導波層を構成するプラスチックの屈折率と、以下詳述する光導入層を構成するプラスチックの屈折率とは、相互に独立にコントロールできると言う特徴がある。
【0051】
本発明の範囲の解釈に影響がないとの前提で言えば、本発明に含まれる光導波層の機能は、光拡散機能を提供するもので、少なくとも、以下の3つの機能を有すると考えられる。
1) 光を光導波層に沿って水平方向の一定方面に導波することで、LED点光源の直上以外の場所の光量を増やす。
2) 導波した光が伝搬する次の光拡散層から散乱出光することで、LED点光源の直上以外の場所の正面光量を増やす。
3) 光の屈折面の角度と屈折率を制御することで、吸収、損失を抑制して、正面輝度が著しく低下することを防ぐ。
【0052】
3.光導入層(光入射側、最下層)
(製法・使用材料)
本発明に含まれる光導入層は、透明な樹脂であればどのような樹脂からも形成することが可能であり、かかる樹脂が未硬化の状態で上記光導波層を構成するプラスチックフィルムの片面の上に塗布して、それを、表面に、一方向に沿って並置された微細なプリズム(断面略二等辺三角形のプリズム)模様を形成した成形用ローラーに押し当ててローラー表面の凹凸形状を転写することで好適に形成される。使用する樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、シリコーンアクリル樹脂、フッ素樹脂またはフッ素-アクリル樹脂、ウレタン-アクリル樹脂等、もしくはこれらの樹脂をベースにして、紫外線硬化、電子線硬化、熱硬化、イソシアネート硬化、アミンエポキシ硬化の架橋可能な樹脂のうちから選択される少なくとも1種以上の樹脂又はそれらの混合物が好適に使用できる。場合によっては、単なる熱可塑性の樹脂も使用可能と考えられる。また、製法の一変形タイプとして、適宜選択された樹脂をフィルム状に成形加工して上述の光導波層を構成するプラスチックフィルムの片面上に面接着させる時に、表面に、一方向に沿って並置された微細なプリズム(断面略二等辺三角形のプリズム)模様を形成した成形用ロールを用い、そこで面接着した成形加工フィルムの表面に上記断面略二等辺三角形のプリズム模様を転写させて製造する方法も好適に使用できる。
【0053】
なお、本発明に係る点光源用光学フィルムにおいては、この光導入層の屈折率(光導入層を構成する樹脂の屈折率)と、それに平面的に接している光導波層の屈折率(光導波層に使用されている樹脂の屈折率)とは相互に独立にコントロールできると言う特徴がある。
【0054】
この場合の断面略二等辺三角形のプリズムにおける三角形の頂角は、60°~100°が好ましく、70°~90°がより好ましい。その頂点は、必ずしも2つの直線が交差した点でなくても良く、本発明の効果が得られる範囲内であれば、多少の丸みを帯びていたり、微少なフラット面となっていても良い。また、その頂点部に小さな凹部(凹条)を設け、その中に、更に断面略二等辺三角形の小さな凸部(凸条)を形成したものであっても良い。
【0055】
この断面略二等辺三角形のプリズムの配列ピッチは、直下型点光源バックライトユニットに搭載されるLED点光源の配列ピッチとの関係で一律には決められないが、LED点光源の一般的な配列ピッチの場合は、好ましくは20~100μmであるが、LED点光源から三角形プリズム層(光導入層)に入射した1条の光が、三角形プリズム層でもって、分岐又は偏向されて、その三角プリズム層からの光出射面において、あたかも2つ以上の光源から光が出射しているように見える効果が得られれば、この範囲を越えるピッチでも良く、また、光の屈折現象の原理を鑑みれば、断面の大きさが異なる相似形の断面形状を有する三角プリズムがランダムに混じって形成された状態のものであっても、同様に、2つ以上の光源から光が出射しているように見える効果が得られるので、このような態様も好適に適用できる。
【0056】
(特性)
本発明に係る点光源用光学フィルムにおいては、光導入層の屈折率(光導入層を構成する樹脂の屈折率)と、それに平面的に接している光導波層の屈折率(光導波層に使用されている樹脂の屈折率)とは、相互に独立してコントロールできると言う特徴があるが、これらの間に屈折率の差を持たせても良く、また、同じとしても良い。
【0057】
本発明の技術的範囲を何ら制限するものではないが、本発明は、QDフィルム等の色変換フィルムを搭載した直下型点光源バックライトユニットに使用される青色LED点光源からの光の光束の幅が狭く、また、その光の指向性が極めて高いという特殊な点光源との組み合わせのときにその顕著な作用効果が奏されると考えられ、推測されるそのメカニズムは、光導入層に採用されている三角プリズム層のように幾何学形状でもって光の伝播方向を複数に分割・分岐させて(偏向させて)、ここで分岐された光を、それぞれ異なる拡散機能を有する機能層の中を伝播させて最終的な正面輝度のムラを解消するというものである。従って、光導入層の光入射面側における表面凹凸の形状による光軸の分岐(偏向)現象は非常に重要な要素となる。同様の形状でも屈折率を上げることで偏向方句変化させ光の導波をより促すことも可能である。また、かかる観点に立てば、光導入層は、光の伝播方向を複数に分割・分岐させて(偏向させて)、ここで分岐された光を拡散機能を有する機能層の中を伝播させることができるものであれば、その露出面がどのような形状でも、また、どのような材質でも好適に使用できるとも言える。
【0058】
本発明に含まれる光導入層は、LEDの点光源と上述の光導波層との間に敢えて介在させるものであって、QDフィルム等の色変換フィルムを搭載した直下型点光源バックライトユニットにおいて、青色LED光源からの指向性が比較的強い光を規則的に分岐させて(分割・偏向させて)光導波層に向けて導入する機能を呈するものであり、以下の3つの機能を有する。
(1) LED点光源の直上の0°近傍の光量(正面光量)を少なくする。
(2) LED点光源からの直進光を任意の角度へ偏向することで、光導入層から出た光を光導波層へ導入してその中で配光分布を更に変形させる。
(3) LED点光源からの光の吸収、損失を抑制することで、正面輝度が著しく低下することを防ぐ。
【0059】
なお、上記の製法で調製され上記の特徴を有する各層の間の境界面は、必ずしも平坦であることは要請されておらず、本発明の目的、効果の範囲を越えない限り、微細な波を打っていても好適に採用できることは論を待たない。
【0060】
本発明の特徴の1つは、各層の屈折率の相互関係が、光取出層の屈折率をn1、光導入層の屈折率をn2、光導波層の屈折率をn0としたとき、少なくとも、n1<n0≦n2の関係を有することである。このことは、特許文献1の発明の範囲を、本発明の範囲から明示的に除外することでもある。本発明は、特許文献1に開示の発明から積極的に除外された同文献に開示の比較例3のように、中間層の屈折率がその上下の層の屈折率よりも「小さくない」という技術的パラダイムの中に、特異的に、見出された発明でもある。なお、本発明の範囲の解釈に影響がないとの前提で言えば、光導入層に形成された三角プリズムの頂角が同じ(即ち、斜面の角度が同じ)であれば、その屈折率が大きくなると、光導入層で屈折して光出射面から出る光は、光の屈折式(n1×sin(Θ1)=n2×sin (Θ2)の関係式)を鑑みると、入射点からより遠くに配向される。すると、光導入層と光導波層との間の境界面(三角プリズムの底面に沿った境界面)において、光導入層側に反射して帰って来る光の成分が多くなる。2つの光学物質の境界面での反射現象は、入射側の屈折率が出射側の屈折率よりも大きいときに顕著に表れ、入射角の値により全反射現象が起きることはよく知られた現象である。このことを鑑みると、光導入層の屈折率が光導波層の屈折率よりも大きくなることは、システム全体の正面輝度の観点からして、好ましくはない。一方、同等の場合は、光学距離が一致するので、好ましい側に入る。
【0061】
4.積層型光学シート(2枚積層型)
(製法)
上記詳述した光学フィルム(光取り出し層、光導波層、光導波導入層の三層から構成される光学フィルムであって同一の構成を有する光学フィルム)を、2枚(あるいはそれ以上の枚数)、それぞれ、光導波導入層を構成する前記断面略二等辺三角形のプリズム層が光源側に面するような態様で重ねることで積層型光学シートが得られる。この場合の重ね方として、三角プリズム層の断面略二等辺三角形のプリズムの長手方向が相互に略直交するようにして重ねることが好適に採用できる。なお、この重ねた光学フィルムの相対位置が変化しないように何らかの方法で固定することも好適に採用できる。
【0062】
5.本発明の直下型点光源バックライトユニット、及び液晶表示装置
(製法)
QDフィルム等の色変換フィルムを搭載した従来の直下型点光源バックライトユニットにおいて点光源からの光を直接受けるように(即ち、点光源との間が空気層となるように)搭載されている光拡散フィルム又はシートを、本発明の積層型光学シート(少なくとも2枚積層型)で置き換えるだけで、すなわち、部品点数を増大させることなく、本発明の顕著な作用効果を奏する直下型点光源バックライトユニット、及び液晶表示装置が得られる。
【実施例0063】
本発明に係る光学フィルムを重ねて積層型光学シートとして直下型点光源バックライトユニットに搭載した態様での実施例(以下、便宜上、旧実施例と呼称する)を以下に詳述する。なお、本明細書全体を通して、正面輝度の単位はcd/m2である。
【0064】
1. 本発明に係る直下型点光源バックライトユニットの構成(断面概念図):
実施例の評価に使用した直下型点光源バックライトユニットの断面構成は図4に示した概念図のとおりである。同図の最下層に相当する部分に、青色LED点光源が、所定のピッチで(一般的に格子状に)配置され、その上に、本発明に係る光学フィルムを2枚重ねた態様の積層型光学シートが、LED点光源の全てを通る平面に平行になるように配置され、更にその上に、従来型の配置と同じ配置で色変換フィルムを含む一連のシート状体が配置され、最上層に、ディフューザーが配置されて本発明に係る直下型点光源バックライトユニットが構成される。
【0065】
2. LED点光源(480):
使用したLEDは、EPISTER社製(型番:ES-FFBCPE05C)であり、使用時の駆動電流は11.4mA、駆動電圧は30Vである。本発明に係る直下型点光源バックライトユニットの光源として、上記LED素子を使用したLED点光源(480)を、格子状に、ピッチ2.5mm×2.5mmで、20個×20個配置したものを使用した。このときの光量特性は、正面から測定したときに、以下となるように設定した。
最大輝度:16494.747 cd/m2
最小輝度:204.847 cd/m2
最小輝度/最大輝度:1.24 %
平均輝度:821.365 cd/m2
標準偏差:1.7980
【0066】
3. 積層型光学シート(光学フィルム460と光学フィルム470の積層型):
上記のように配列した青色LED点光源の上に、本発明に係る光学フィルム(460、470)を上述のようにその三角プリズム層の三角プリズムの延在方向が相互に直交するようにして2枚重ねて得られる積層型光学シートを配置した。この青色LED点光源の上端から、本発明に係る積層型光学シートを構成する下側光学フィルム(図4の三角プリズム層の三角プリズムの頂点が構成する平面までの間隔は、該積層型光学シートを搭載した直下型点光源バックライトユニットの光出射面におけるホットスポットが一番表出し易いように(即ち、一番劣悪な条件での比較検討が出来るように)、意図的に、ほぼゼロとしたが、実際の使用時においては、直下型点光源バックライトユニットに求められる総合厚さを考慮して適宜設定できる。
【0067】
この三角プリズム層(図2の参照番号230)の三角プリズムのピッチは、41μmである。三角プリズム層の三角プリズムの頂角は80°である。この三角プリズム層の一部を構成する樹脂(図2の参照番号230)は、アクリル樹脂である。その硬化後の屈折率は1.58である。
【0068】
また、積層型光学シートを構成する2枚の本発明に係る光学フィルムの一部を構成する光導波層に使用された樹脂はポリカーボネート樹脂である。この光導波層の厚さは200μmである。
【0069】
光導波層内に分散されて含有されている光拡散用第2微粒子はシリコーン微粒子であり、屈折率が1.42で平均粒径が約4μmの散微粒子であり、概ね球形であり、その含有率は、光導波層単体のHaze値が58%となるような含有率である。
【0070】
また、光学フィルムの光取出層において微粒子を固定している樹脂(図2の参照番号210)はアクリルウレタン樹脂であり、その硬化後の屈折率は1.52であり、その中に、屈折率1.49の光拡散用微粒子(図2の参照番号200)を固定させた。このときの光取出層単体のHaze値は45%である。また、光取出層のランダムパターンの凹凸面の粗さ指標となるSa,Sskは、それぞれ、1.74と1.92である。
【0071】
4. 色変換フィルム(図4の参照番号440):
上記による積層型光学シートの上に、所定の間隔を開けて、所定の機能フィルム材と重ねられた色変換フィルム(440)が配置される。図4の参照番号470で示される下側配置の光学フィルムの光出射面は、凹凸面となっており、その上に配置される参照番号460で示される上側の光学フィルムの下面は、三角プリズムが突起しているので、その突起が、下側配置の光学フィルムの凹凸面に食い込まないようにして配置してある。この色変換フィルム(440)の光出射面から上に配置される3M製BEF(420,430)の構成、相互の間隔は、それぞれ、従前の直下型点光源バックライトユニットにおけるものと同じである。
【比較例】
【0072】
比較例1(以下、便宜上、旧比較例1と呼称する):
上記実施例に使用した光学フィルムの構成から三角プリズム層だけを取り除いた従来型の光学フィルムを使用した以外は、上記実施例と同じ条件のものを使用して、直下型点光源バックライトユニットを構成して評価した。
【0073】
比較例2(以下、便宜上、旧比較例2と呼称する):
上記実施例に使用した光学フィルムの代わりに、三層構造ではあるが、光出射層と、光入射層を、上記実施例に使用した光学フィルムの光取出層の材料構成とは異なる構成とし(表1参照)、また、光導波層を透明の(光拡散用微粒子を含まない)PET(ポリエチレンテレフタレート)の厚さ188μmの層とすることで、正面輝度ができるだけ実施例における正面輝度に近いものとしたこと以外は上記実施例と同じ条件のものを使用して、直下型点光源バックライトユニットを構成して評価した。なお、比較例2の構成は、概念的には、同一出願人による特開平6-59108号公報に開示の発明の構成を応用した構成となっている。
【0074】
比較例3(以下、便宜上、旧比較例3と呼称する):
使用した光学フィルムは実施例に使用した光学フィルムであるが、それを2枚重ねにして搭載する際に、上下反転して、各光学フィルムの三角プリズム層が、光出射面側になるように重ねて直下型点光源バックライトユニットを構成して評価した。
【0075】
上記旧実施例と旧比較例の構成の詳細データは一覧表に以下の一覧表のとおりである。
(注:以下の表1中の実施例、比較例は、それぞれ、旧実施例、旧比較例と読み替えるものとする。)
【0076】
旧実施例と旧比較例の上記構成において、以下の条件で光出射面(ディフューザーからの光出射面)における各ピクセル点における輝度を測定した。使用した輝度測定器は、ハイランド社製ACE3-2000の2次元輝度色度計測装置である。測定条件は以下のとおりである。
測定範囲:バックライトユニットの中央部に配置されたLED点光源の8個×8個に相当する領域(1辺が約17.5mmの矩形状の領域)
分割数:64×64(計4096セル)
圧縮数:0%(圧縮なし)
計測サイズ:4ピクセル(1ピクセルが計測カメラの1画素)
測定エリア(測定位置):64×64セルの中央
シャッタースピード:Auto(ハイダイナミックサンプリングモード)
なお、LED点光源と、上記分割セルとのサイズ的相対関係は、図4図5に模式的に図示されたとおりである。
【0077】
見栄え評価(輝度のムラの解消度の評価)は、上記による4096セルにおける輝度値の平均値を正面輝度の評価値、その標準偏差を見栄え評価値として評価した。その評価結果は以下の一覧表のとおりである。
(注:以下の表2中の実施例、比較例は、それぞれ、旧実施例、旧比較例と読み替えるものとする。)
【0078】
上記比較データから明らかなとおり、旧実施例は旧比較例に比較して、平均輝度が若干ではあるが大きく(比較例よりも0.24%大きく)、同時に、輝度の標準偏差(即ち、バラつき(見栄えの評価ファクター))が202.318から178.901に低下している。即ち、旧実施例は、旧比較例に比べて、輝度が維持されつつ、見栄えが良くなっている、ということである。
【0079】
上記表2の測定データを、縦軸に輝度の標準偏差、横軸に比較例2の平均輝度を100として正規化した平均輝度を取ってグラフで表すと図7(注:同図中の実施例、比較例は、それぞれ、旧実施例、旧比較例と読み替えるものとする)のとおりとなる。同図からも、旧実施例は、平均輝度を旧比較例2とほぼ同じに維持しつつ、標準偏差が示す見栄えが良くなっていることが明らかである。
【0080】
本発明をより詳細に説明するための更なる新実施例、新比較例について以下詳述する。
本発明に係る点光源用光学フィルムの特徴、使用する材料、調製方法、評価方法(色変換フィルムを搭載する直下型点光源バックライトユニットに組み込んでの評価方法)等については、基本的に、概ね、同一出願人による特願2021-183986号、特願2023-32018号に記載されたとおりであるが、以下詳述する新実施例、新比較例について、強いて特記すれば、以下のようになる。
【0081】
(1) 点光源用光学フィルムの特徴
新実施例1の三角プリズム層の三角プリズムのピッチは、それぞれ39μm、41μm、45μm、50μmであり、三角プリズム層の三角プリズムの頂角は、それぞれ76°、80°、84°、90°である。この三角プリズム層の一部を構成する樹脂はアクリル樹脂である。光導波層に使用された樹脂はポリカーボネート樹脂である。光導波層内に分散されて含有されている光拡散用第2微粒子はシリコーン微粒子であり、屈折率が1.42で平均粒径が約4μmまたは約1~2μmの散微粒子であり、概ね球形であり、その含有率は、光導波層単体のHaze値が61%または88%となるような含有率である。また、光学フィルムの光取出層において微粒子を固定している樹脂はアクリルウレタン樹脂であり、その硬化後の屈折率は1.49であり、その中に、屈折率1.49の光拡散用微粒子を固定させた。このときの光取出層単体のHaze値は50%である。光取出層の屈折率は(1.49)、光導波層の屈折率は(1.58)、光導入層の屈折率は(1.52)である。光取出し層の厚みは8μm、光導波層の厚みは250μm、光導入層の厚みは27μmであり、光取出層+光導波層+光導入層の厚みを合わせたフィルムの総厚は285μmである。なお、光導入層の厚み27μmの内訳は、プリズムの高さが25μmであり、これに加えて三角プリズムの谷と基材(光導波層)の間の樹脂の厚みが約1~5μmが好ましく、さらに好ましくは約2μmと考えられる。これが薄すぎるとプリズムの形状に悪影響があり、また一方厚すぎると、ほかの部分の厚みを削らないといけなくなるので、不都合である。また、この谷の底の角度は、多少丸みを帯びることもある。
【0082】
新実施例2の三角プリズム層の三角プリズムのピッチは新実施例1に記載のプリズムである。この三角プリズム層の一部を構成する樹脂はアクリル樹脂である。光導波層に使用された樹脂は新実施例1に記載のポリカーボネート樹脂である。また、光取出層は新実施例1の光取出層である。光取出層の屈折率は(1.49)、光導波層の屈折率は(1.58)、光導入層の屈折率は(1.58)である。光取出し層の厚みは8μm、光導波層の厚みは250μm、光導入層の厚みは27μmであり、光取出層+光導波層+光導入層の厚みを合わせたフィルムの総厚は285μmである。
【0083】
新実施例3の三角プリズム層の三角プリズムのピッチは新実施例1に記載のプリズムである。光導波層に使用された樹脂は新実施例1に記載のポリカーボネート樹脂である。また、光取出層は光拡散用微粒子を含まず、表面がランダムな凹凸形状になっている。凹凸形状を形成している樹脂はアクリル樹脂である。このときの光取出層単体のHaze値は43%である。光取出層の屈折率は(1.58)、光導波層の屈折率は(1.58)、光導入層の屈折率は(1.58)である。光取出し層の厚みは8μm、光導波層の厚みは250μm、光導入層の厚みは27μmであり、光取出層+光導波層+光導入層の厚みを合わせたフィルムの総厚は285μmである。
【0084】
新比較例1の三角プリズム層の三角プリズムのピッチは新実施例1に記載のプリズムである。光導波層に使用された樹脂は新実施例1に記載のポリカーボネート樹脂である。また、光取出層は新実施例3の光取出層である。このときの光取出層単体のHaze値は51%である。光取出層+光導波層+光導入層の厚みを合わせたフィルムの総厚は285μmである。光取出層の屈折率は(1.65)、光導波層の屈折率は(1.58)、光導入層の屈折率は(1.65)である。光取出し層の厚みは8μm、光導波層の厚みは250μm、光導入層の厚みは27μmであり、光取出層+光導波層+光導入層の厚みを合わせたフィルムの総厚は285μmである。
【0085】
以上の新実施例1~3、新比較例1における各層の屈折率の相互関係は以下の表のとおりである。
【0086】
(2) 点光源用光学フィルムの調製方法
基本的に、概ね、同一出願人による特願2021-183986号、特願2023-32018号に記載されたとおりであるが、以下詳述する新実施例、新比較例について、強いて特記すれば、以下のようになる。
a) 光取出層:
微粒子を用いる場合:
微粒子と微粒子を固定している樹脂と溶剤を混合し、得られた混合溶液をポリカーボネート樹脂の上にバーコーターを用いて塗布した後、乾燥させることで微粒子を含みランダムな凹凸形状を持つ光取出層を形成した。(粒子は概ね単層を形成する。)
微粒子を用いない場合:
例えばブラスト等によってランダムな凹凸形状が形成された金型を用いて、ポリカーボネート樹脂と金型の間に未硬化のアクリル樹脂を垂らし、ローラーで加圧した。樹脂を硬化させた後、金型から剥離することで、ポリカーボネート樹脂の表面にランダムな凹凸形状をもつ光取出層を形成した。
b) 光導入層:
上記光導波層を構成するポリカーボネート樹脂と三角プリズムが彫刻された金型の間に未硬化のアクリル樹脂を垂らし、ローラーで加圧した。樹脂を硬化させた後、金型から剥離することで、金型のプリズム形状をポリカーボネート樹脂の表面に転写した。
【0087】
(3) 点光源用光学フィルムを2枚重ねて搭載する直下型点光源バックライトユニットの調製
基本的に、概ね、同一出願人による特願2021-183986号、特願2023-32018号に記載されたとおりであるが、以下詳述する新実施例、新比較例について、強いて特記すれば、以下のようになる。
a) 点光源:
使用したLEDは、EPISTER社製(型番:ES-FFBCPE05C)であり、使用時の駆動電流は11.4mA、駆動電圧は30Vである。LEDは白色の基盤に表面実装されているタイプである。表面実装用の基板から突出している青色LEDパッケージの部分の厚みは約80μmである。青色LEDパッケージの頭頂からそのLEDパッケージを覆っている透明樹脂の表面までの距離(厚さ)は約150~160μm。
b) 直下型点光源バックライトユニットの光源:
本発明に係る直下型点光源バックライトユニットの光源として、上記LED素子を使用した青色LED点光源(470)を、格子状に、ピッチ2.5mm×2.5mmで、20個×20個配置したものを使用した。このときの光量特性は、正面から測定したときに、以下となるように設定した。
最大輝度:16494.747 cd/m2
最小輝度:204.847 cd/m2
最小輝度/最大輝度:1.24 %
平均輝度:821.365 cd/m2
標準偏差:1.7980
c) スタッキングする際の最上面の拡散フィルムには本出願人が製造している商品番号D153GSの拡散フィルムを使用した。
d) 光源と点光源用光学フィルムとの間の距離:
点光源となっている青色LEDパッケージの頭頂からそのLEDパッケージを覆っている透明樹脂の平面状の表面までの距離(厚さ)は約150~160μmである。透明樹脂とプリズムは接しているので、LEDパッケージの頭頂と点光源用光学フィルムの三角プリズムの頂点までの距離は約150~160μmとなる。
【0088】
(4) 点光源用光学フィルム単体の評価方法
単体の特徴の特定には、波長465nmの単一光線を出射する測定器Mini-Diff V2(Light TEC社製)を使用した。点光源用光学フィルムの三角プリズムアレイの頂角部を下向き(光源側に向かわせて)にして、測定台に直接乗せて測定した。そこで得られるコンター図及び光強度角度分布図)を作成し、これに基づいて評価した。
【0089】
(5) 点光源用光学フィルムを2枚重ねて搭載する直下型点光源バックライトユニットでの評価方法
光源に使用した青色LEDは、EPISTER社製(型番:ES-FFBCPE05C)であり、使用時の駆動電流は11.4mA、駆動電圧は30Vである。本発明に係る直下型点光源バックライトユニットの光源として、上記LED素子を使用した青色LED点光源(470)を、格子状に、ピッチ2.5mm×2.5mmで、20個×20個配置した表面実装型(各素子は出射面が平坦な透明樹脂で覆われている)タイプのものを使用した。このタイプは、上述の旧実施例、旧比較例の測定においても、同じである。このときの光量特性は、正面から測定したときに、以下となるように設定した。
最大輝度:16494.747 cd/m2
最小輝度:204.847 cd/m2
最小輝度/最大輝度:1.24 %
平均輝度:821.365 cd/m2
標準偏差:1.7980
【0090】
測定結果について以下詳述する。
(1) 点光源用光学フィルム単体の評価結果
a) 同一の1枚の点光源用光学フィルムであっても、その向き(三角プリズムの頂角部の光源に対する向き)が正方向か逆方向かによる効果の根本的な違いがあることが、図9(逆方向:三角プリズムの頂角部が光出射面側)と図10(正方向:三角プリズムの頂角部が光入射面側)との比較から一目瞭然である。
図9図10は同一の1枚の点光源用光学フィルムの向き(三角プリズムの頂角部の光源に対する向き)を反転した場合のそれぞれのコンター図、光強度角度分布図である。点光源用光学フィルムの全体の厚さが同じ、使用材料が同じ、各層厚もそれぞれ同じであっても、即ち、光が伝搬する距離が同じであっても、向きの違いにより、全体の光学特性が全く異なるが、このような違いは、多層フィルムの内部における光の伝搬メカニズムや配光分布が未だ解明されていないことからして、当業者の通常の予想を超える現象であることは明らかである。本発明の範囲に何ら影響しないとの前提で言えば、特に、三角プリズムの頂角部が光源側に向いている場合は、点光源の直上の光の強さが抑えられて、その部分には、出射面に垂直な光(正面輝度となる光)が出射されない、またはゼロに近い値となるが、この特異な現象が本発明の特徴の1つである。
【0091】
b) 新実施例1~3と新比較例1の光ピーク角度

本発明の範囲に何ら影響しないとの前提で言えば、上記一覧表から明らかなとおり、三角プリズムの頂角の角度が大きくなったり、その屈折率が大きくなるに従って、光ピーク角度が大きくなる傾向が見て取れる。
【0092】
c) 本発明に係る点光源用光学フィルム(1枚単体)であっても、その向き(三角プリズムの頂角部の光源に対する向き)が正方向か逆方向かによる効果の根本的な違いがあることを示す測定データを下記表5に示す。

この表5に記載のデータポイントをプロットしたものが図11(三角プリズムの頂角部が下向きの場合)と図12(三角プリズムの頂角部が上向きの場合)である。図11(三角プリズムの頂角部が下向き)と図12(三角プリズムの頂角部が上向き)とを比べると、三角プリズムの頂角部が下向きの場合は、正面輝度が全体的に、三角プリズムの頂角部が上向きの場合よりも低くなっているが、標準偏差はその逆となっている。本発明の範囲を制約することがないとの前提で言えば、このことが、以下説明する直下型点光源バックライトユニットに搭載したきに、正面輝度と標準偏差のバランスと言う観点の効果を左右していると考えられる。
【0093】
(2) 点光源用光学フィルムを2枚重ねたときの三角プリズムの頂角部の向きの違いによる効果の違い

上記表の測定データを、各層の屈折率の相互関係に注目して、各データグループの平均値を算出して整理すると下記表7のようになる。なお、下記表では、新実施例のデータ、新比較例のデータだけでなく、旧実施例のデータ、旧比較例のデータも列記してある。

(注:上記表中、◎は実際のユーザ候補者から評価が高かったもの、〇は次席、×は正面輝度が低すぎたり、標準偏差が高すぎたりしたものである。)

上記表7のデータポイントをプロットしたものが図13である。図の縦軸は標準偏差、横軸は正面輝度である。本発明の範囲を制約することではないとの前提で言えば、表7の評価結果は、実際のユーザ候補からの評価に基づくと、青色LEDパッケージを点光源とし、色変換フィルムを搭載する直下型点光源バックライトユニットに最適な光学フィルム(点光源用光学フィルム)の特性として、バックライトユニットのレベルでの評価において、正面輝度と標準偏差がそれぞれ、ほどほどの値になっている(例えば、実際のユーザ候補者から評価が高かった◎の付いた旧実施例1からの図中におけるベクトル空間距離が所定の距離以下の領域内(同図の楕円領域内)に分布する)ことが好ましいことを示唆しているとも言える。
【0094】
これも、本発明の範囲を制約することではないとの前提であるが、図14から明らかなとおり、三角プリズムの頂角、光導波層のヘイズ値、各層の屈折率の相互関係と言う変動ファクターをいろいろ変えても、全体の効果には1次関数の周辺に密集している。その結果、製造プロセスにおいての品質管理が容易になることが期待され、この特徴は、当業者の通常の予想を超えるものであることは明らかである。
【0095】
図15は、単なる参考図であって、新比較例1(即ち、中央層である光導波層の屈折率が、その層の上下の層の屈折率よりも小さい場合であっても、1次関数的な変動を示すが、本発明においては、特許文献1に記載の発明の範囲の外側での発明であるので、これら比較例は本発明の範囲には含まれない。
【0096】
図16は、上記の変動の傾向につてより詳しく検討すべく、1例として、三角プリズムの頂角を80°に固定して、各層の屈折率の相互関係だけを変動させ、その余の変動ファクターを一定としたときの作用効果の変動を示す。この図には比較例のデータポイントも含まれているが、全体として見ると、データポイントが全て1次関数式にきれいに乗ることが理解できる。このことは、製造プロセスにおける品質管理の観点から、有利となることが期待される。
【0097】
本発明の点光源用光学フィルムをその三角プリズムアレイを光源側に向けて、かつ、その三角プリズムの長手方向がほぼ直交する態様で2枚重ねたときのコンター図と光強度角度曲線の一例(参考図)を参考までに図17に図示する。
【0098】
以上詳細に説明した本発明は、また、以下のような発明特定事項を有するとも言える。即ち、
光入射面側に光導入層、光出射面側に光取出層、該光導入層と該光取出層との間に光導波層を相互に密着させて構成した点光源用光学フィルムであって、
前記光取出層は、光拡散用第1微粒子を含み、光出射面側に第1露出面を有し、該第1露出面はランダムパターンの凹凸面を構成し、
前記光導波層は、光拡散用第2微粒子を含み、
前記光導入層は、光入射面側に、一方向に延在する複数の三角プリズムから成る三角プリズムアレイを有し、該三角プリズムアレイが光入射面側に第2露出面を構成し、
前記光導波層の屈折率が、前記光取出層の屈折率及び前記光導入層の屈折率よりも小さくはない
ことを特徴とする点光源用光学フィルム。
【0099】
以上代表的な実施態様に基づいて本発明を詳細に説明したが、本発明は上記の実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的、趣旨の範囲を越えない限り、様々なバリエーションも本発明の範囲に含まれる。そのようなバリエーションの例としては、1)三角プリズムアレイのピッチサイズが光の波長に近いサイズとなるタイプ、2)三角プリズムアレイを構成する三角プリズムが、凸型ではなく凹型となるタイプ、3)三角プリズムアレイの三角プリズムの内部にも光拡散用微粒が含まれるタイプ、4)表面にランダム凹凸を有する層が突起型又は窪地型(recess型)錐体(例えば、角錐体、円錐体)等になるタイプ、5)ランダム凹凸表面を有する層を部分的に有機溶剤でエッチングして、そこに含まれる光拡散用微粒子を部分的にその表面を露出させたタイプ、等々が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明により、特許文献1に代表される従来技術によるものよりも、製造工程が簡易で、廉価でありながら、市場が求めるニーズにマッチした直下型点光源バックライトユニットの中でも、離散型の点光源に青色LED素子を使い、色変換フィルムを搭載する直下型点光源バックライトユニットに好適に使用できる点光源用光学フィルムが提供され、かかるバックライトユニットを搭載する液晶表示装置が、低コスト化の要請に応えることが期待される。また、本発明に係る点光源用光学フィルムを搭載した直下型点光源バックライトユニットは、光源と点光源用光学フィルムの光入射側に形成された三角プリズムの頂角部との間の距離をほぼゼロにすることができるので、バックライトユニット、更には、それを搭載する液晶表示装置の厚さを、従来にも増して薄くできることが期待されるので、産業上有用である。
【符号の説明】
【0101】
1:従来技術による直下型点光源バックライトユニット
100:ディフューザー
110:3M製BEF(三角プリズムは上向きでその延在方向は紙面に平行)
120:3M製BEF(三角プリズムは上向きでその延在方向は紙面に垂直)
130:色変換フィルム
140:BLT
150:点光源用光学フィルム
160:青色LED光源
2:本発明の点光源用光学フィルム
200:光取出層に固定された微粒子
210:光取出層の樹脂(硬化後)
220:光導波層
230:光導入層(三角プリズムの延在方向は紙面に垂直)
4:本発明の直下型点光源バックライトユニット断面概念図
410:ディフューザー
420:3M製BEF(三角プリズムは上向きでその延在方向は紙面に平行)
430:3M製BEF(三角プリズムは上向きでその延在方向は紙面に垂直)
440:色変換フィルム
450:BLT
460:上側配置の本発明の点光源用光学フィルム(図2参照)。明細書本文中に記載のとおり、三層構造であり、紙面の上から下に向かって、光取出層、光導波層、光導入層(三角プリズム層の三角プリズムの延在方向は紙面に平行)から構成されているが、図面では三層構造は図示されていない。また、光取出層と光導波層の内部構成についても図示されていない。
470:下側配置の本発明の点光源用光学フィルム(図2参照)。明細書本文中に記載のとおり、三層構造であり、紙面の上から下に向かって、光取出層、光導波層、光導入層(三角プリズム層の三角プリズムの延在方向は紙面に垂直)から構成されているが、図面では三層構造は図示されていない。また、光取出層と光導波層の内部構成についても図示されていない。
480:青色LED点光源
500:1つのセルの範囲
510:青色LED点光源
520:1つの計測サイズ(4ピクセル)
600:全測定範囲(64×64セル)
610:全測定範囲のうち、4つのLED点光源をカバーする領域の拡大図
620:1つのセル(図5の中の参照番号500に対応)
630:図5の中の参照番号520(1つの計測サイズ(4ピクセル))に対応
640:個々の青色LED点光源(図5の中の参照番号510に対応)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19