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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162546
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/52 20060101AFI20241114BHJP
   E06B 7/22 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
E06B9/52 B
E06B9/52 C
E06B9/52 A
E06B7/22 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078146
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】白浜 朋彦
(72)【発明者】
【氏名】相馬 剛
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036AA06
2E036BA01
2E036CA03
2E036DA21
2E036EB07
2E036EC03
2E036HB14
(57)【要約】
【課題】枠体に対して見込方向に開閉される障子を備える建具において、網戸を容易に着脱できる建具を提供すること。
【解決手段】建具1は、枠体10と、枠体10に対して見込み方向に開閉される障子20と、枠体10に着脱可能に取り付けられた網戸5と、を備える。枠体10は、網戸5が取り付けられる取付溝部35を有する。網戸5は、ネット70と、ネット70の外周に沿って配置されるフレーム50とを備える。フレーム50は、ネット70の外周端部71が固定されるネット固定部61と、取付溝部35に取り付けられる枠取付部62と、枠取付部62を取付溝部35から取り外す方向にフレーム50を移動する際に把持される把持部64と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、
前記枠体に対して見込み方向に開閉される障子と、
前記枠体に着脱可能に取り付けられた網戸と、を備え、
前記枠体は、前記網戸が取り付けられる取付溝部を有し、
前記網戸は、ネットと、前記ネットの外周に沿って配置されるフレームとを備え、
前記フレームは、
前記ネットの外周端部が固定されるネット固定部と、
前記取付溝部に取り付けられる枠取付部と、
前記枠取付部を前記取付溝部から取り外す方向に前記フレームを移動する際に把持される把持部と、を備える
ことを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具において、
前記フレームは、閉鎖位置に配置された前記障子に当接する当接部をさらに備える
ことを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項1に記載の建具において、
前記障子は、矩形枠状に構成される框体と、前記框体に保持される面材とを備え、
前記枠体は、
前記框体の外周面に沿って配置される見込面部と、
前記見込面部から見付方向に突出されて前記框体の室外面または室内面に対向する見付面部と、を備え、
前記フレームの内周側端面の見付方向の位置は、前記見付面部の内周側端面と同一または外周側である
ことを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項1に記載の建具において、
前記取付溝部は、
前記枠体の長手方向に連続する取付溝を区画する一対の係合片を備えて構成され、
前記把持部は、前記フレームにおいて、前記枠体の長手方向および前記枠取付部の挿入方向に直交する方向に、一方の係合片から突出した突出部で構成されている
ことを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項1に記載の建具において、
前記障子は、矩形枠状に構成される框体と、前記框体に保持される面材とを備え、
前記枠体は、
前記框体の外周面に沿って配置される見込面部と、
前記見込面部から見付方向に突出されて前記框体の室外面または室内面に対向する見付面部と、を備え、
前記取付溝部は、
前記見付面部から延出された第1係合片と、
前記見付面部から延出され、かつ、前記第1係合片よりも前記枠体の外周側に設けられた第2係合片と、を備え、
前記第1係合片および前記第2係合片は、見付方向に離れて配置されて各係合片間に取付溝が形成され、
前記ネット固定部は、
前記第1係合片および前記第2係合片に跨がって配置される第1固定片部と、
前記第1固定片部に前記ネットの外周端部を挟んで配置される第2固定片部と、
前記第1固定片部および前記第2固定片部の外周側端部を連結する連結片部と、を備え、
前記枠取付部は、前記第1固定片部から突出して形成されて前記取付溝内に挿入されて前記第1係合片および前記第2係合片に係合可能に構成され、
前記把持部は、前記ネット固定部において前記第2係合片よりも外周側に突出される突出部で構成される
ことを特徴とする建具。
【請求項6】
請求項1に記載の建具において、
前記障子は、矩形枠状に構成される框体と、前記框体に保持される面材とを備え、
前記枠体は、
前記框体の外周面に沿って配置される見込面部と、
前記見込面部から見付方向に突出されて前記框体の室外面または室内面に対向する見付面部と、を備え、
前記取付溝部は、
前記見付面部から延出された第1係合片と、
前記見付面部から延出され、前記第1係合片よりも前記框体側に配置された第2係合片と、を備え、
前記第1係合片および前記第2係合片は、見込方向に離れて配置されて各係合片間に取付溝が形成され、
前記ネット固定部は、
第1固定片部と、
前記第1固定片部に前記ネットの外周端部を挟んで配置される第2固定片部と、
前記第1固定片部および前記第2固定片部の外周側端部を連結する連結片部と、を備え、
前記枠取付部は、前記連結片部から突出して形成されて前記取付溝内に挿入されて前記第1係合片および前記第2係合片に係合され、
前記把持部は、前記第2係合片から見込方向に突出される突出部で構成される
ことを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網戸を備える建具に関する。
【背景技術】
【0002】
枠体と、枠体に対して見込方向に開閉される障子と、枠体に装着された網戸とを備える建具が知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1の建具では、金属製の外枠部および合成樹脂製のカバー部材を備える複合枠である枠体に、網戸を着脱可能に取り付けている。網戸は、各カバー部材の見込み部に取り付けられる装着部材と、この装着部材に保持される網体とを備えている。具体的には、カバー部材には、見込み部に開口する取付部が形成され、装着部材にはカバー部材に向かって突出する係合突起が形成され、この係合突起を取付部内の係合部に引っ掛けて係合することで、装着部材はカバー部材に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-80462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の建具では、網戸の装着部材には取り外し用の特別な構造が設けられていないため、例えば、カバー部材と装着部材との間にドライバーなどの治具を挿入して装着部材を取り外す必要があり、利用者が網戸を枠体から容易に取り外すことができないという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、枠体に対して見込方向に開閉される障子を備える建具において、網戸を容易に着脱できる建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建具は、枠体と、前記枠体に対して見込み方向に開閉される障子と、前記枠体に着脱可能に取り付けられた網戸と、を備え、前記枠体は、前記網戸が取り付けられる取付溝部を有し、前記網戸は、ネットと、前記ネットの外周に沿って配置されるフレームとを備え、前記フレームは、前記ネットの外周端部が固定されるネット固定部と、前記取付溝部に取り付けられる枠取付部と、前記枠取付部を前記取付溝部から取り外す方向に前記フレームを移動する際に把持される把持部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、枠体に対して見込方向に開閉される障子を備える建具において、網戸を容易に着脱できる建具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の建具を示す内観姿図である。
図2】第1実施形態の建具を示す縦断面図である。
図3】第1実施形態の建具を示す横断面図である。
図4】第1実施形態の網戸の取付構造を示す拡大図である。
図5】第2実施形態の建具の要部を示す横断面図である。
図6】第2実施形態の網戸の取付構造を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態の建具について説明する。
図1から図3に示すように、第1実施形態の建具1は、枠体10および障子20を備え、障子20は、枠体10に対して見込方向に開閉可能に支持されている。本実施形態の建具1は、枠体10に対して障子20を内開きおよび内倒しの2通りの開き方で開閉できるいわゆるドレーキップ窓である。
以下の説明において、建具1の左右方向をX軸方向、建具1の上下方向をY軸方向、建具1の見込方向(室内外方向)をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。また、図2、3では、枠体10や障子20の断面を示すハッチングを省略する。
【0010】
枠体10は、上枠11、下枠12および左右の縦枠13、14を四周枠組みすることによって構成したものである。
障子20は、矩形板状の面材25と、面材25の四周に装着されて面材25を保持する框体26とを備えて構成される。框体26は、上框21、下框22および左右の縦框23、24を四周枠組みすることで構成されている。また、上框21、下框22、縦框23、24には、図2および図3に示すように、障子20を閉めた際に枠体10の室内面に当接する室内側タイト材27が四周連続して取り付けられている。
【0011】
本実施形態では、上枠11、下枠12、縦枠13、14は、同一断面形状の合成樹脂製の押出形材で構成されている。また、上枠11、下枠12の左右両端部と、左右の縦枠13、14の上下両端部とは、長手方向に対して45度に切断され、切断された各小口を互いに当接させて溶着されている。
同様に、上框21、下框22、縦框23、24は、同一断面形状の合成樹脂製の押出形材で構成されている。また、上框21、下框22の左右両端部と、左右の縦框23、24の上下両端部とは、長手方向に対して45度に切断され、切断された各小口を互いに当接させて溶着されている。面材25は、スペーサを介して設けられた3枚のガラスを有するトリプルガラスである。
【0012】
次に、上枠11、下枠12、縦枠13、14の構成について説明する。なお、上枠11、下枠12、縦枠13、14は、前述したように同一断面形状であるため、対応する構成には同一符号を付して説明する。また、上枠11、下枠12、縦枠13、14は、同一断面形状であり、かつ、端部が45度切断されて溶着されるため、各枠11~14の中空部や溝部は、四周連続して設けられる。
上枠11、下枠12、縦枠13、14は、障子20の外周面に対向する見込面部31と、見込面部31から見付方向に延出されて障子20の室外側に配置される見付面部32と、躯体2にネジ3で固定される釘ヒレ部33と、躯体2にネジ3で固定される室内側取付片部34とを備える。なお、見付方向は、上枠11、下枠12では、Y軸方向(上下方向)であり、縦枠13、14では、X軸方向(左右方向)である。
【0013】
見込面部31には、保持溝部311が形成され、この保持溝部311には、障子20の框体26に当接するメインタイト材40が取り付けられている。保持溝部311は、枠体10の内周面に沿って四周連続して形成されるため、1本のメインタイト材40を上枠11、下枠12、縦枠13、14の保持溝部311に連続して取り付け、メインタイト材40の両端縁を、例えば上枠11の保持溝部311部分で互いに当接させることができる。これにより、枠体10や障子20の角部においてもメインタイト材40が連続して配置されるため、気密性および水密性を向上できる。
【0014】
見付面部32の室内面、つまり障子20に対向する面には、取付溝部35がそれぞれ形成されている。取付溝部35の構造について、図4を参照して詳細に説明する。
図4は、縦枠13に設けられた取付溝部35を示す。取付溝部35は、第1係合片351と、第2係合片352とを備えて構成される。
第1係合片351は、縦枠13の見付面部32の室内面から障子20の框体26に向かって見込方向つまり室内側に延出され、その先端部は外周側に突出されて断面略L字状に形成されている。本実施形態では、第1係合片351は、見付面部32の内周側端部から延出されており、見付面部32および第1係合片351の内周側の面は連続して形成されている。
第2係合片352は、縦枠13の見付面部32の室内面から障子20の框体26に向かって見込方向つまり室内側に延出され、その先端部は内周側に突出されて断面略L字状に形成されている。第2係合片352は、第1係合片351よりも枠体10の外周側に設けられている。
第1係合片351および第2係合片352の先端は、互いに近づく方向に突出され、第1係合片351および第2係合片352間に取付溝355を区画形成している。なお、第1係合片351および第2係合片352の先端部分は傾斜曲面とされ、取付溝355の幅寸法が、室内側が最も大きく、室外側に向かうにしたがって小さくなるように形成されている。
【0015】
[網戸]
網戸5は、図2および図3に示すように、方形枠状のフレーム50と、フレーム50により保持された方形状のネット70とを備えて構成されている。
フレーム50は、上フレーム部51、下フレーム部52、左右の縦フレーム部53、54で構成され、同一断面形状の各フレーム部51~54の端部を45度に切断し、その小口を互いに突き合わせて溶着することで方形枠状に接合されている。
各フレーム部51~54は、前述したように同一断面形状であるため、図4に示す縦フレーム部53を例にその構造を説明する。
【0016】
図4に示すように、縦フレーム部53は、ネット固定部61と、枠取付部62と、当接部63とを備えている。なお、本実施形態では、ネット固定部61および枠取付部62は、硬質樹脂または半硬質樹脂で構成され、当接部63は軟質樹脂で構成されている。
ネット固定部61は、第1固定片部611と、第2固定片部612と、連結片部613とを備え、断面略U字状に形成され、縦枠13の長手方向であるY軸方向に沿った長尺材である。
第1固定片部611は、第1係合片351および第2係合片352に跨がって配置されている。第2固定片部612は、第1固定片部611に平行に配置され、ネット70の外周端部71を挟んで第1固定片部611に対向配置されている。連結片部613は、第1固定片部611および第2固定片部612の外周側端部を連結している。
【0017】
ネット70の外周端部71は、ネット固定部61の第1固定片部611、第2固定片部612間に配置され、超音波溶着でネット固定部61に固定されている。なお、ネット70の固定方法は、超音波溶着に限定されず、接着剤や両面テープなどで取り付けてもよい。
【0018】
枠取付部62は、ネット固定部61の第1固定片部611から室外側に突出して形成されている。枠取付部62は、断面が略矢印形状に形成され、かつ、中空部を有する突起である。このため、枠取付部62は中空部を有するため、取付溝部35側に押し込むことで変形しながら取付溝355に取り付けられる。また、取付溝部35に取り付けられた枠取付部62を室内側に引き離すと、変形しながら取付溝355から取り外される。
当接部63は、第2固定片部612の内周側端部から室内側に延出され、障子20を閉めた際には、框体26の室外面に沿って折曲されて当接する。当接部63は、各フレーム部51~54に設けられて四周連続しているため、障子20の框体26と枠体10との間の1次シールとして機能する。
各フレーム部51~54のネット固定部61の外周側端部は、第2係合片352よりも外周側に突出した突出部であり、この突出部によって、障子20を開いた状態で室内側から利用者が操作することができる把持部64が構成される。すなわち、室内側から把持部64の室外側の空間に指を差し込み、把持部64を掴んで室内側に移動させると、枠取付部62が変形して取付溝355から外すことができる。
【0019】
[第1実施形態の効果]
網戸5の枠取付部62を、枠体10の取付溝部35に取り付けることで、網戸5を枠体10に容易に取り付けることができる。また、把持部64を把持して枠取付部62を取付溝部35から取り外す方向にフレーム50を移動することで、網戸5を枠体10から容易に取り外すことができる。このため、網戸5を容易に着脱できる網戸付きの建具1を提供できる。
各フレーム部51~54のネット固定部61の内周側端部は、見付面部32および第1係合片351の内周面よりも外周側に位置している。このため、枠体10の開口よりもフレーム50の開口部分は一回り大きくされ、枠体10の開口全体にネット70が配置される。したがって、建具1において、障子20を開いた場合の開口面積は、枠体10の開口面積となり、フレーム50によってその開口面積が小さくなることはなく、障子20を開いた際の通風面積を大きくできる。さらに、フレーム50が枠体10の開口内に露出しないので、建具1の意匠性を向上できる。
【0020】
網戸5のフレーム50に、障子20を閉めた際に当接する当接部63を設けたので、当接部63を、メインタイト材40の室外側に設けられる1次シールとして機能させることができる。このため、建具1の水密性や気密性を向上できる。
また、枠体10に網戸5を設置しない場合には、取付溝部35にタイト材を取り付けることもできる。このため、網戸5の有無に関係無く、枠体10を共通化できてコストを低減できる。
【0021】
把持部64は、ネット固定部61において、第2係合片352よりも外周側に突出する突出部で構成され、ネット固定部61の一部分を兼用しているので、ネット固定部61と把持部64とを別々に形成する場合に比べて、フレーム50の構造を簡易化でき、製造コストも低減できる。
また、見付面部32の室内面から室内側に突出する第1係合片351、第2係合片352で取付溝部35を構成したので、ネット固定部61の外周端部の位置を、第2係合片352よりも外周側にすることで、把持部64と見付面部32との間に、利用者が指を差し込むことができる空間を確保でき、利用者は把持部64を簡単に把持することができる。また、把持部64は、フレーム50の外周端部であり、障子20を閉めた状態では框体26で隠されて室内側に露出しないので意匠性を向上できる。さらに、把持部64は、シンプルなデザインであるため、障子20を開いた場合も意匠性は低下しない。
【0022】
第1係合片351および第2係合片352は、見付面部32から室内側に延出され、さらに、枠体10の見付方向に離れて配置されることで室内側に開口する取付溝355を区画形成しているので、網戸5は、フレーム50の枠取付部62を室内側から取付溝355に挿入することで枠体10に取り付けることができ、把持部64を把持してフレーム50を室内側に移動することで、枠体10から取り外すことができる。すなわち、網戸5を枠体10に対して、室内外方向に移動するだけで枠体10から着脱できるので、網戸5の着脱操作を容易に行うことができる。
【0023】
[第2実施形態]
第2実施形態の建具1Bについて、図5および図6を参照して説明する。建具1Bは、枠体10B、障子20および網戸5Bを備えて構成される。障子20は、第1実施形態と同じ構成であるため、説明を省略する。
枠体10Bは、第1実施形態と同様に、同一断面形状の上枠、下枠、左右の縦枠の端部を45度に切断し、その小口を互いに突き合わせて溶着することで構成されている。各枠は、図5の縦枠13Bで例示するように、見込面部31B、見付面部32B、釘ヒレ部33B、室内側取付片部34Bを備える。見込面部31Bには、メインタイト材40が取り付けられる保持溝部311が形成され、見付面部32Bには、網戸5Bが取り付けられる取付溝部35Bが形成されている。
取付溝部35Bは、図6に拡大して示すように、第1係合片351Bと、第2係合片352Bとで構成されている。第1係合片351Bは見付面部32Bの室内面からZ軸方向の室内側に突出されている。第2係合片352Bは、見付面部32Bの室内面から延出されて断面略L字状に形成されている。すなわち、第2係合片352Bは、見付面部32Bの室内面からZ軸方向室内側に向かって延出され、その先端部から内周側に延出され、さらにその先端部から第1係合片351Bに向かって突出されている。このため、第1係合片351Bの先端部と、第2係合片352Bの先端部とは、Z軸方向つまり見込方向に離れてかつ互いに対向して配置され、これらの間には取付溝355Bが形成されている。
【0024】
網戸5Bは、方形枠状のフレーム50Bと、フレーム50Bにより保持された方形状のネット70とを備えて構成されている。ネット70は、第1実施形態と同じものであり、説明を省略する。
フレーム50Bは、第1実施形態と同様に、同一断面形状の上フレーム部、下フレーム部、左右の縦フレーム部で構成され、各フレーム部の端部を45度に切断し、その小口を互いに突き合わせて溶着することで方形枠状に接合されている。
なお、各フレーム部は同一断面形状であるため、図6に示す縦フレーム部53Bを例にその構造を説明する。
【0025】
図6に示すように、縦フレーム部53Bは、ネット固定部61Bと、枠取付部62Bと、当接部63Bと、把持部64Bとを備えている。ネット固定部61B、枠取付部62Bおよび把持部64Bは、硬質樹脂または半硬質樹脂で構成され、当接部63Bは軟質樹脂で構成されている。
ネット固定部61Bは、第1固定片部611Bと、第2固定片部612Bと、連結片部613Bとを備え、断面略U字状に形成され、縦枠13Bの長手方向であるY軸方向に沿った長尺材である。
第1固定片部611Bは、見付面部32Bの室内面に沿って配置されている。第2固定片部612Bは、第1固定片部611Bに平行に配置され、ネット70の外周端部71を挟んで第1固定片部611Bに対向配置されている。連結片部613Bは、第1固定片部611Bおよび第2固定片部612Bの外周側端部を連結し、さらに、第1係合片351Bおよび第2係合片352Bに跨がって配置されている。第1固定片部611Bの室外面には、長手方向に連続する3本の突条部が形成されている。このため、障子20を閉めてフレーム50Bに室外側への力が加わった際に、突条部が見付面部32Bの室内面に当接することで、フレーム50Bの変形を抑制している。
【0026】
ネット70の外周端部71は、ネット固定部61Bの第1固定片部611B、第2固定片部612B間に配置され、第1実施形態と同様に超音波溶着等でネット固定部61Bに固定されている。
【0027】
枠取付部62Bは、ネット固定部61Bの連結片部613Bから外周側に突出して形成されている。枠取付部62Bは、第1実施形態の枠取付部62と同じく、断面が略矢印形状に形成され、かつ、中空部を有する突起である。したがって、枠取付部62Bは、取付溝部35B側つまり枠体10Bの外周側に押し込むことで変形しながら取付溝355Bに取り付けられ、取付溝部35Bに取り付けられた枠取付部62Bを枠体10Bの内周側に引き離すと、変形しながら取付溝355Bから取り外される。
当接部63Bは、第2固定片部612Bの内周側端部から室内側に延出され、障子20を閉めた際には、框体26の室外面に沿って折曲されて当接する。当接部63Bは、各フレーム部に設けられて四周連続しているため、第1実施形態の当接部63と同様に、障子20の框体26と枠体10との間の1次シールとして機能する。
【0028】
ネット固定部61Bは見付面部32の内周面よりも外周側に位置している。このため、第1実施形態と同様に、枠体10Bの開口よりもフレーム50Bの開口部分は一回り大きくされ、枠体10Bの開口全体にネット70が配置される。
把持部64Bは、フレーム50Bのネット固定部61Bの連結片部613Bから室内側に向かって突出された突出片(突出部)で構成されている。利用者は、室内側から把持部64Bを掴んで把持部64Bを枠体10Bの内周側に移動させると、枠取付部62Bが変形して取付溝355Bから外すことができる。
また、網戸5Bのフレーム50Bを、枠体10Bの取付溝部35Bの内周側に配置し、フレーム50Bを外周側に移動して枠取付部62Bを取付溝355Bに挿入することで、網戸5Bを枠体10Bに取り付けることができる。
【0029】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態の建具1Bにおいても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、取付溝部35Bの取付溝355Bが枠体10Bの開口内周面に向かって開口されているので、フレーム50Bを、外周側に移動させることで枠取付部62Bを取付溝355Bに挿入して網戸5Bを取り付けることができる。このため、枠体10Bに網戸5Bを取り付けると、ネット70には外周側に引っ張る張力が加わるため、ネット70が撓むことなく、網戸5Bを設置することができる。
【0030】
[変形例]
本発明の建具としては、前記各実施形態のドレーキップ窓に限らず、すべり出し窓、外開き窓、内開き窓、突出し窓、外倒し窓など、障子を枠体に対して見込方向、つまり室外側あるいは室内側に開閉可能な各種の建具が利用できる。
網戸のフレームは、当接部を備えるものに限定されず、当接部を備えないものでもよい。また、網戸のフレームは、内周側端面の見付方向の位置が、枠体の見付面部の内周側端面よりも内周側に突出してもよい。
網戸の把持部の構成は、前記各実施形態に限定されず、利用者が手で掴んで枠取付部を枠体の取付溝部から取り外す方向にフレームを移動できるものであればよい。フレームのネット固定部の構造は、前記各実施形態に限定されず、ネットの外周端部を固定でき、かつ、枠取付部および把持部を備えるものであればよい。フレームの枠取付部および枠体の取付溝部の構造も前記実施形態に限定されず、フレームを枠体に着脱可能に取り付けるものであればよい。
【0031】
[本発明のまとめ]
本発明の建具は、枠体と、前記枠体に対して見込み方向に開閉される障子と、前記枠体に着脱可能に取り付けられた網戸と、を備え、前記枠体は、前記網戸が取り付けられる取付溝部を有し、前記網戸は、ネットと、前記ネットの外周に沿って配置されるフレームとを備え、前記フレームは、前記ネットの外周端部が固定されるネット固定部と、前記取付溝部に取り付けられる枠取付部と、前記枠取付部を前記取付溝部から取り外す方向に前記フレームを移動する際に把持される把持部と、を備えることを特徴とする。
網戸は、ネットおよびフレームで構成され、フレームは、ネットが固定されるネット固定部に加えて、枠取付部および把持部を備える。このため、フレームの枠取付部を、枠体の取付溝部に取り付けることで、網戸を枠体に取り付けることができる。また、把持部を把持して枠取付部を取付溝部から取り外す方向にフレームを移動することで、網戸を枠体から取り外すことができる。このため、網戸を容易に着脱できる建具を提供することができる。
【0032】
本発明の建具において、前記フレームは、閉鎖位置に配置された前記障子に当接する当接部をさらに備えることが好ましい。
このような構成によれば、障子を閉めた際に、網戸のフレームの当接部が障子に当接するため、網戸のフレームをタイト材としても兼用することができる。このため、網戸を設置しない場合に、枠材および障子間のタイト材が取り付けられる取付溝部を、網戸のフレームの枠取付部が取り付けられる取付溝部として利用することもでき、網戸の有無に関係無く、枠体を共通化できてコストを低減できる。
【0033】
本発明の建具において、前記障子は、矩形枠状に構成される框体と、前記框体に保持される面材とを備え、前記枠体は、前記框体の外周面に沿って配置される見込面部と、前記見込面部から見付方向に突出されて前記框体の室外面または室内面に対向する見付面部と、を備え、前記フレームの内周側端面の見付方向の位置は、前記見付面部の内周側端面と同一または外周側であることが好ましい。
このような構成によれば、障子を開いた際に、枠体に取り付けられる網戸のフレームが、枠体の開口内周面よりも内側に突出することがない。このため、網戸のフレームによって、枠体の開口面積つまり通風面積が減少することを防止できる。さらに、フレームが枠体の開口内に露出しないので、建具の意匠性を向上できる。
【0034】
本発明の建具において、前記取付溝部は、前記枠体の長手方向に連続する取付溝を区画する一対の係合片を備えて構成され、前記把持部は、前記フレームにおいて、前記枠体の長手方向および前記枠取付部の挿入方向に直交する方向に、一方の係合片から突出した突出部で構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、フレームの一部を一方の係合片から突出させた突出部で把持部を構成できるので、フレームの構造を簡易化でき、製造コストも低減できる。
【0035】
本発明の建具において、前記障子は、矩形枠状に構成される框体と、前記框体に保持される面材とを備え、前記枠体は、前記框体の外周面に沿って配置される見込面部と、前記見込面部から見付方向に突出されて前記框体の室外面または室内面に対向する見付面部と、を備え、前記取付溝部は、前記見付面部から延出された第1係合片と、前記見付面部から延出され、かつ、前記第1係合片よりも前記枠体の外周側に設けられた第2係合片と、を備え、前記第1係合片および前記第2係合片は、見付方向に離れて配置されて各係合片間に取付溝が形成され、前記ネット固定部は、前記第1係合片および前記第2係合片に跨がって配置される第1固定片部と、前記第1固定片部に前記ネットの外周端部を挟んで配置される第2固定片部と、前記第1固定片部および前記第2固定片部の外周側端部を連結する連結片部と、を備え、前記枠取付部は、前記第1固定片部から突出して形成されて前記取付溝内に挿入されて前記第1係合片および前記第2係合片に係合可能に構成され、前記把持部は、前記ネット固定部において前記第2係合片よりも外周側に突出される突出部で構成されるものでもよい。
このような構成によれば、枠体の見付面部から延出した第1係合片および第2係合片によって取付溝部を構成しているので、例えば、障子が室内側に開閉する建具であれば、枠体の見付面部の室内側に取付溝が開口し、フレームの室外面から突出させた枠取付部を有する網戸を、建具の室内側から枠体に向かって移動し、枠取付部を取付溝に挿入することで網戸を取り付けることができる。また、把持部を把持してフレームを室内側に移動することで、枠取付部を取付溝から取り外して網戸を枠体から外すことができる。このため、網戸の着脱操作を容易に行うことができる。
【0036】
本発明の建具において、前記障子は、矩形枠状に構成される框体と、前記框体に保持される面材とを備え、前記枠体は、前記框体の外周面に沿って配置される見込面部と、前記見込面部から見付方向に突出されて前記框体の室外面または室内面に対向する見付面部と、を備え、前記取付溝部は、前記見付面部から延出された第1係合片と、前記見付面部から延出され、前記第1係合片よりも前記框体側に配置された第2係合片と、を備え、前記第1係合片および前記第2係合片は、見込方向に離れて配置されて各係合片間に取付溝が形成され、前記ネット固定部は、第1固定片部と、前記第1固定片部に前記ネットの外周端部を挟んで配置される第2固定片部と、前記第1固定片部および前記第2固定片部の外周側端部を連結する連結片部と、を備え、前記枠取付部は、前記連結片部から突出して形成されて前記取付溝内に挿入されて前記第1係合片および前記第2係合片に係合され、前記把持部は、前記第2係合片から見込方向に突出される突出部で構成されるものでもよい。
このような構成によれば、枠体の見付面部から延出され、かつ取付溝を挟んで見込方向に離れて配置される第1係合片および第2係合片によって取付溝部を構成しているので、取付溝を枠体の内周面に向かって開口させることができる。このため、網戸のフレームを外周側に移動することで、枠取付部を取付溝部に挿入することで網戸を取り付けることができる。このため、網戸のネットを外周側に広げて張ることができる。
【符号の説明】
【0037】
1…建具、1B…建具、5…網戸、5B…網戸、10…枠体、10B…枠体、11…上枠、12…下枠、13…縦枠、13B…縦枠、14…縦枠、20…障子、25…面材、26…框体、27…室内側タイト材、31…見込面部、31B…見込面部、32…見付面部、32B…見付面部、35…取付溝部、35B…取付溝部、40…メインタイト材、50…フレーム、50B…フレーム、51…フレーム部、52…下フレーム部、53…縦フレーム部、53B…縦フレーム部、54…縦フレーム部、61…ネット固定部、61B…ネット固定部、62…枠取付部、62B…枠取付部、63…当接部、63B…当接部、64…把持部、64B…把持部、70…ネット、71…外周端部、351…第1係合片、351B…第1係合片、352…第2係合片、352B…第2係合片、355…取付溝、355B…取付溝、611…第1固定片部、611B…第1固定片部、612…第2固定片部、612B…第2固定片部、613…連結片部、613B…連結片部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6