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特開2024-162553植物栽培管理装置、植物栽培管理方法及び植物栽培管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162553
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】植物栽培管理装置、植物栽培管理方法及び植物栽培管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20241114BHJP
   G06Q 50/02 20240101ALI20241114BHJP
【FI】
A01G7/00 603
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078159
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 祐二
(72)【発明者】
【氏名】金森 公平
(72)【発明者】
【氏名】小川 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】江田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】宮本 豊
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恵一
(72)【発明者】
【氏名】進藤 義剛
(72)【発明者】
【氏名】藤井 篤
(72)【発明者】
【氏名】山田 実希
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】植物を栽培して果実を収穫する場合において適切な栽培管理を行う。
【解決手段】植物栽培管理装置は、植物を栽培して果実を収穫する際の植物の栽培状況を示す環境データを説明変数とし、収穫される果実に関する果実データを目的変数として機械学習した学習モデルに対して所望の果実データを入力した場合の逆推定による推定結果を取得する取得部と、推定結果に基づいて、所望の果実データに対応する環境データを提示する提示部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を栽培して果実を収穫する際の前記植物の栽培状況を示す環境データを説明変数とし、収穫される前記果実に関する果実データを目的変数として機械学習した学習モデルを生成する学習部と、
生成された前記学習モデルに対して所望の前記果実データを入力した場合の逆推定による推定結果を取得する取得部と、
前記推定結果に基づいて、所望の前記果実データに対応する前記環境データを提示する提示部と
を備える植物栽培管理装置。
【請求項2】
前記果実データは、前記果実の収量を示す収量データ及び前記果実の品質を示す品質データの少なくとも一方を含む
請求項1に記載の植物栽培管理装置。
【請求項3】
前記環境データは、前記植物の花房の数を示す花房データを含み、
前記提示部は、前記環境データとして前記花房データを提示する
請求項2に記載の植物栽培管理装置。
【請求項4】
前記環境データは、前記植物の周囲の温度を示す温度データを含み、
前記提示部は、前記環境データとして前記温度データを提示する
請求項2に記載の植物栽培管理装置。
【請求項5】
前記環境データは、前記植物に対する単位期間当たりの日照時間を示す日長データを含み、
前記提示部は、前記環境データとして前記日長データを提示する
請求項2に記載の植物栽培管理装置。
【請求項6】
前記環境データは、前記植物に対する単位期間当たりの赤色光の照射時間を示す赤色光データを含み、
前記提示部は、前記環境データとして前記赤色光データを提示する
請求項2に記載の植物栽培管理装置。
【請求項7】
前記果実データは、前記収量データを含み、
前記収量データは、所定期間において単位期間ごとの収量が平準化するように設定されたデータ、又は、所定期間において一の前記単位期間の収量が他の前記単位期間の収量に対して突出して多くなるように設定されたデータを含む
請求項2に記載の植物栽培管理装置。
【請求項8】
前記環境データは、前記植物の花房の数を示す花房データ、前記植物の周囲の温度を示す温度データ、前記植物に対する1日当たりの日照時間を示す日長データ、及び、前記植物に対する1日当たりの赤色光の照射時間を示す赤色光データを含み、
前記提示部は、所定の抽出条件に基づいて前記花房データ、前記温度データ、前記日長データ及び前記赤色光データから少なくとも1つのデータを抽出し、抽出したデータを前記環境データとして提示する
請求項2に記載の植物栽培管理装置。
【請求項9】
前記提示部により提示された前記環境データに基づいて、前記植物の周囲の環境を制御する環境制御部を更に備える
請求項1に記載の植物栽培管理装置。
【請求項10】
植物を栽培して果実を収穫する際の前記植物の栽培状況を示す環境データを説明変数とし、収穫される前記果実に関する果実データを目的変数として機械学習した学習モデルに対して所望の前記果実データを入力した場合の逆推定による推定結果を取得するステップと、
前記推定結果に基づいて、所望の前記果実データに対応する前記環境データを提示するステップと
を含む植物栽培管理方法。
【請求項11】
植物を栽培して果実を収穫する際の前記植物の栽培状況を示す環境データを説明変数とし、収穫される前記果実に関する果実データを目的変数として機械学習した学習モデルに対して所望の前記果実データを入力した場合の逆推定による推定結果を取得する処理と、
前記推定結果に基づいて、所望の前記果実データに対応する前記環境データを提示する処理と
をコンピュータに実行させる植物栽培管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、植物栽培管理装置、植物栽培管理方法及び植物栽培管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通年栽培で、連続して果実が生産できるイチゴの生産技術が知られている。通年栽培でイチゴを生産する際、摘花、温度、日照時間等において適切な栽培管理を行わない場合、例えば生産月による生産量のばらつきが発生する。出荷を効果的に行うためにも、植物の栽培状況に基づいて、植物の成長の予測を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-170217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、植物の成長を予測することは可能であるが、通年での生産量のばらつきを予測することは困難である。生産が不安定の場合は出荷量にばらつきが生じ、生産者は販売先の確保することや需要者は入手先確保に苦慮する。その結果、生産者側の収益に多大な影響が発生する可能性がある。上記のような通年栽培のイチゴは、例えば月ごとに安定した生産量を確保することが求められる。そのため、適切な栽培管理を行う技術が求められる。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、植物を栽培して果実を収穫する場合において適切な栽培管理を行うことが可能な植物栽培管理装置、植物栽培管理方法及び植物栽培管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る植物栽培管理装置は、植物を栽培して果実を収穫する際の前記植物の栽培状況を示す環境データを説明変数とし、収穫される前記果実に関する果実データを目的変数として機械学習した学習モデルを生成する学習部と、生成された前記学習モデルに対して所望の前記果実データを入力した場合の逆推定による推定結果を取得する取得部と、前記推定結果に基づいて、所望の前記果実データに対応する前記環境データを提示する提示部とを備える。
【0007】
本開示に係る植物栽培管理方法は、植物を栽培して果実を収穫する際の前記植物の栽培状況を示す環境データを説明変数とし、収穫される前記果実に関する果実データを目的変数として機械学習した学習モデルを生成するステップと、生成された前記学習モデルに対して所望の前記果実データを入力した場合の逆推定による推定結果を取得するステップと、前記推定結果に基づいて、所望の前記果実データに対応する前記環境データを提示するステップとを含む。
【0008】
本開示に係る植物栽培管理プログラムは、植物を栽培して果実を収穫する際の前記植物の栽培状況を示す環境データを説明変数とし、収穫される前記果実に関する果実データを目的変数として機械学習した学習モデルを生成する処理と、生成された前記学習モデルに対して所望の前記果実データを入力した場合の逆推定による推定結果を取得する処理と、前記推定結果に基づいて、所望の前記果実データに対応する前記環境データを提示する処理とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、植物を栽培して果実を収穫する場合において適切な栽培管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る植物栽培施設の一例を模式的に示す図である。
図2図2は、植物栽培管理装置の一例を模式的に示す機能ブロック図である。
図3図3は、学習モデルMの概念的な模式図である。
図4図4は、植物栽培管理方法の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、通年栽培のイチゴの栽培期間と収量との関係を模式的に示す図である。
図6図6は、摘花の管理を行う場合の通年栽培のイチゴの栽培期間と収量との関係の一例を模式的に示す図である。
図7図7は、摘花の管理を行う場合の通年栽培のイチゴの栽培期間と収量との関係の他の例を模式的に示す図である。
図8図8は、温度の管理を行う場合の通年栽培のイチゴの栽培期間と収量との関係の一例を模式的に示す図である。
図9図9は、温度を行う場合の通年栽培のイチゴの栽培期間と収量との関係の他の例を模式的に示す図である。
図10図10は、日長の管理を行う場合の通年栽培のイチゴの栽培期間と収量との関係の一例を模式的に示す図である。
図11図11は、日長を行う場合の通年栽培のイチゴの栽培期間と収量との関係の他の例を模式的に示す図である。
図12図12は、赤色光の照射時間の管理を行う場合の通年栽培のイチゴの栽培期間と収量との関係の一例を模式的に示す図である。
図13図13は、赤色光の照射時間の管理を行う場合の通年栽培のイチゴの栽培期間と収量との関係の他の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る植物栽培管理装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
図1は、本実施形態に係る植物栽培施設1の一例を模式的に示す図である。植物栽培施設1は、植物を栽培して果実を収穫するための設備である。本実施形態では、果実としてイチゴを例に挙げて説明する。なお、植物栽培施設1は、ミカン等の他の果実を栽培する場合に用いられてもよい。図1に示すように、植物栽培施設1は、温室101と、電照灯102と、赤色LED灯103と、環境調整装置104と、植物栽培管理装置100とを備える。
【0013】
温室101は、温室本体101aと、土壌部101bと、を有する。温室本体101aは、太陽光を透過可能な透光性材料で形成され、その内部には、植物を収容するための空間が形成されている。温室本体101aの下部には土壌部101bが敷設されている。土壌部101bは、植物の生育に適した成分を含有する土や砂である。植物は、この土壌部101bから上方に向かって生育し、温室本体101aの天井や壁面を透過した太陽光に露呈している。
【0014】
温室101の内部には、電照灯102と、赤色LED灯103と、が設けられている。電照灯102は、数ワット/m程度の弱光を照射する照明装置(通常照明)であり、具体的には白熱電球等が好適に用いられる。赤色LED灯103は、波長600~700nmの可視光(赤色光)を照射する。赤色LED灯103は、温室101内で植物に対して上方からそれぞれ光を照射する。赤色LED灯103は、赤色光を照射した照射時間を植物栽培管理装置100に出力する。電照灯102及び赤色LED灯103は、いずれも温室101内で植物に対して上方からそれぞれ光を照射する。
【0015】
環境調整装置104は、温室101の内部の環境を調整する。環境調整装置104は、例えば温室101の内部の温度を調整する温調機構、温室101の内部の湿度を調整する湿度調整機構、温室101の内部の二酸化炭素濃度を調整する二酸化炭素濃度調整機構等を含む。
【0016】
温室101の内部には、栽培状況に関する情報を取得する情報取得部105が設けられる。情報取得部105は、例えば温室101内の温度を検出する温度センサ105a、植物に対する日照時間を検出する日長計測センサ105b、温室101内の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素濃度センサ105c、温室101内の湿度を検出する湿度センサ105d、植物の花の大きさを計測する花サイズ計測システム105eを含む。温度センサ105a、日長計測センサ105b、二酸化炭素濃度センサ105c、湿度センサ105dは、それぞれ検出結果を植物栽培管理装置100に出力する。また、花サイズ計測システム105eは、例えばカメラにより温室101内を撮影し、撮影結果に対して画像処理を行うことで花を検出し、検出した花の大きさを算出して、算出結果を植物栽培管理装置100に出力する。
【0017】
図2は、植物栽培管理装置100の一例を模式的に示す機能ブロック図である。図2に示すように、植物栽培管理装置100は、コンピュータであり、処理部10と、記憶部20とを備える。
【0018】
処理部10は、各種の情報処理を行う。処理部10は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリとを含む。
【0019】
処理部10は、学習部11と、取得部12と、提示部13と、環境制御部14とを有する。学習部11は、未学習の学習モデルを学習させて、機械学習済みの上記学習モデルMを生成し、生成した学習モデルMを記憶部20に記憶させる。本実施形態において、学習部11は、植物を栽培して果実を収穫する際の植物の栽培状況を示す環境データを説明変数とし、収穫される果実に関する果実データを目的変数として機械学習した学習モデルMを生成する。
【0020】
取得部12は、生成された学習モデルに対して所望の果実データを入力した場合の逆推定による推定結果を取得する。学習モデルMについては後述する。
【0021】
提示部13は、学習モデルMにおける推定結果に基づいて、所望の前記果実データに対応する前記環境データを提示する。
【0022】
環境制御部14は、環境調整装置104の動作を制御することで、温室101内の環境を制御する。
【0023】
記憶部20は、各種プログラム、データ等の情報を記憶する。記憶部20は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のストレージを含む。
【0024】
記憶部20は、例えば、処理部10で処理を行うための各種プログラム、データ等を記憶する。また、記憶部20は、上記した環境データ、果実データ及び学習モデルMを記憶する。
【0025】
記憶部20は、植物を栽培して果実を収穫する際の植物の栽培状況を示す環境データを説明変数とし、収穫される果実に関する果実データを目的変数として機械学習した学習モデルMに対して所望の果実データを入力した場合の逆推定による推定結果を取得する処理と、推定結果に基づいて、所望の果実データに対応する環境データを提示する処理とをコンピュータに実行させる植物栽培管理プログラムを記憶する。
【0026】
植物栽培管理装置100では、処理部10においてプロセッサが各種プログラムを読み出してメモリに展開することで、上記各部の機能に対応した情報処理を実行する。各種プログラムとしては、例えば不図示の通信部が受信したプログラム、記憶部20に記憶されたプログラム、外部の記録媒体に記録されたプログラム等が挙げられる。植物栽培管理装置100は、各種の情報処理を実行する情報処理装置(コンピュータ)として機能する。なお、植物栽培管理装置100とは異なる他の情報処理装置が各種プログラムを実行してもよいし、植物栽培管理装置100と他の情報処理装置とが協働して各種プログラムを実行してもよい。
【0027】
図3は、学習モデルMの概念的な模式図である。学習モデルMは、AI(Artificial Interigence)における学習モデルを指す。具体的には、学習モデルMは、ディープラーニングによって学習された学習モデルであり、ディープラーニングによって学習された分類器を構成するニューラルネットワークを定義するモデル(ニューラルネットワークの構成情報)と、変数とで構成される。学習モデルMは、入力されたデータと学習済みのデータとを比較して、類似の度合い、例えば類似度が何%であるか、を判定できるものである。ディープラーニングは、機械学習のうちの1つの手法であり、狭義には例えば4層以上のニューラルネットワークから構成される。本実施形態の例では、学習モデルMは、CNN(Conventional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)モデルである。図3に示すように、学習モデルMは、複数の畳み込み層及び複数のプーリング層を含む中間層MNと、全結合層を含む最終層FNと、を備える。学習モデルMは、入力データINが入力された場合に、中間層MNと最終層FNとで演算を行って、出力データONを出力する。ただし、学習モデルMは、CNNモデルに限られず、任意の方式の学習モデルであってもよい。
【0028】
本実施形態における学習モデルMは、植物を栽培して果実を収穫する際の植物の栽培状況を示す環境データを説明変数とし、収穫される果実に関する果実データを目的変数として対応関係を機械学習させた学習モデルである。
【0029】
環境データは、植物の花房の数を示す花房データ、植物の周囲の温度を示す温度データ、植物に対する単位期間当たりの日照時間を示す日長データ、植物に対する単位期間当たりの赤色光の照射時間を示す赤色光データ、植物の周囲の二酸化炭素濃度を示す二酸化炭素濃度データ、植物の周囲の湿度を示す湿度データ、投入した肥料の量を示す肥料データ等の各種データを含む。なお、環境データとして、例えば土壌部101bの栄養塩等、他の条件が含まれてもよい。
【0030】
学習部11は、赤色LED灯103の照射時間、温度センサ105a、日長計測センサ105b、二酸化炭素濃度センサ105c及び湿度センサ105dの検出結果、及び花サイズ計測システム105eの算出結果、植物に投入した肥料の投入量等に基づいて、環境データを生成する。
【0031】
果実データは、果実の収量を示す収量データ及び果実の品質を示す品質データを含む。収量データは、例えば果実の収穫量を重量で規定したデータ等が挙げられる。収量データは、所定期間(例えば、1年)の収穫量を示すデータ、当該所定期間のうちの単位期間(例えば、1か月)ごとの収穫量を示すデータ、を含む。品質データは、例えば個々の果実についての等級(形状や色沢等の外観、病虫害の程度、熟度等)を示すデータ、階級(重量等のサイズ)を示すデータ等が挙げられる。品質データは、果実の収穫時期に対応付けることができる。
【0032】
学習部11は、果実の収量、品質について外部から入力されるデータに基づいて、果実データ(収量データ及び品質データ)を生成する。
【0033】
学習部11は、生成した環境データ及び果実データを教師データとして用いて学習モデルにおける重み係数及びバイアス値を設定することで、学習モデルMを生成することができる。この場合、学習モデルMは、学習部11によって重み係数及びバイアス値が学習された学習モデルであるといえる。
【0034】
生成された学習モデルMは、環境データに基づいて果実データを推定(順推定)するための学習モデルである。具体的には、学習モデルMは、入力データINとして環境データが入力された場合に、出力データONとして果実データを出力する。
【0035】
本実施形態に係る学習モデルMは、環境データと果実データとの対応関係に基づいて、果実データから環境データを推定(逆推定)することができる。具体的には、学習モデルMは、入力データINとして果実データが入力された場合に、出力データONとして環境データを出力することができる。
【0036】
次に、上記のように構成された植物栽培管理装置100を用いた植物栽培管理方法について説明する。図4は、植物栽培管理方法の一例を示すフローチャートである。図4に示すように、植物栽培管理方法は、学習モデル生成ステップS10と、推定結果取得ステップS20と、提示ステップS30と、管理ステップS40とを含む。
【0037】
学習モデル生成ステップS10において、学習部11は、植物を栽培して果実を収穫する際の植物の栽培状況を示す環境データを説明変数とし、収穫される果実に関する果実データを目的変数として対応関係を機械学習させた学習モデルMを生成する。
【0038】
この植物栽培方法では、環境調整装置104により温室101の内部の環境を調整しつつ、植物の栽培を行う。また、植物の生育期間を日ごとに区切り、その一日ごとに以下の各動作を行うことができる。すなわち、日長時間(つまり、日光が得られる時間帯)の前に、例えば上記の電照灯102による電照を2時間程度行う(電照時間と呼ぶ)。この電照時間では、電照灯102のみ点灯させ、赤色LED灯103はオフ状態とする。日長時間が経過した後、再び電照灯102を点灯させ、規定の時間(一例として2時間程度)が経過した後に電照灯102をオフにし、赤色LED灯103のみ点灯させる。赤色LED灯103を1時間から2時間程度点灯させた後、赤色LED灯103をオフにする。赤色LED灯103は、赤色光を照射した照射時間を植物栽培管理装置100に出力する。以上の各ステップを生育期間の間、日ごとに繰り返すことで植物を栽培することができる。
【0039】
情報取得部105は、植物を栽培する期間において、温度センサ105a、日長計測センサ105b、二酸化炭素濃度センサ105c及び湿度センサ105dの各センサにおいて栽培状況を検出する。温度センサ105a、日長計測センサ105b、二酸化炭素濃度センサ105c及び湿度センサ105dは、検出結果を植物栽培管理装置100に出力する。また、植物に花が咲いた場合、花サイズ計測システム105eは、各花のサイズを算出し、算出結果を植物栽培管理装置100に出力する。また、作業者は、植物に投入した肥料の投入量を植物栽培管理装置100に入力する。
【0040】
植物栽培管理装置100において、学習部11は、赤色LED灯103の照射時間、温度センサ105a、日長計測センサ105b、二酸化炭素濃度センサ105c及び湿度センサ105dの検出結果、及び花サイズ計測システム105eの算出結果、植物に投入した肥料の投入量等に基づいて、環境データを生成する。
【0041】
植物が果実を実らせ、果実の収穫を行った場合、作業者は、果実の収量及び品質の情報を収穫日と対応付けて植物栽培管理装置100に入力する。植物栽培管理装置100において、学習部11は、果実の収量、品質について、入力されたデータに基づいて、果実データ(収量データ及び品質データ)を生成する。
【0042】
学習部11は、生成した環境データ及び果実データについて、環境データを説明変数とし、果実データを目的変数として対応関係を機械学習させた学習モデルMを生成する。学習部11は、生成した学習モデルMを記憶部20に記憶させる。
【0043】
次に、推定結果取得ステップS20において、取得部12は、生成された学習モデルMに対して所望の果実データを入力した場合の逆推定による推定結果を取得する。所望の果実データとしては、例えば果実の収量を示す収量データが挙げられる。この場合、所定期間(例えば、1年)において単位期間(例えば、1か月)ごとの収量が平準化するように当該単位期間あたりの目標収量が設定されたデータを用いることができる。
【0044】
また、所定期間(例えば、1年)において一の単位期間(例えば、12月)の収量が他の単位期間(1月~11月)の収量に対して突出して多くなるように当該単位期間あたりの目標収量が設定されたデータを用いることができる。
【0045】
提示ステップS30において、提示部13は、学習モデルMにおける推定結果に基づいて、所望の果実データに対応する環境データを提示する。
【0046】
管理ステップS40において、植物栽培管理装置100又は作業者は、提示された環境データに基づいて植物の栽培状況の管理を行う。図5は、通年栽培のイチゴの栽培期間と収量との関係を模式的に示す図である。図5に示すように、通年栽培のイチゴを生産する際、摘花、温度、日照時間等において適切な栽培管理を行わない場合、例えば生産月による収量のばらつきが発生する。適切な栽培管理を行う必要がある。以下、栽培状況の管理の例を説明する。なお、図5では、収量の実測値Qrを破線で示し、機械学習による内挿値Qを実線で示している。以下では、内挿値Qを収量の値として説明する。
【0047】
<例1:摘花の管理>
図6は、摘花の管理を行う場合の通年栽培のイチゴの栽培期間と収量との関係の一例を模式的に示す図である。提示部13は、環境データとして、花房データを提示することができる。花房の数は、イチゴの果実の収量に対応する。つまり、花房の数が多いほど、収量が多くなる。また、花房の数が少ないほど、収量が少なくなる。作業者は、図6に示すように、提示された花房データに基づいて、収量のピークとなる日の1週間前から3週間前の間(図6のタイミングT1、T2、T3、T4)に、摘房、摘花、摘果の作業を行う。この作業により、収量のピークを抑制できる。摘房、摘花、摘果により残す花房、果実の比率は、例えば全体の75%以上とすることができる。
【0048】
なお、摘房、摘花、摘果の順で、収量のピークを抑える効果が高くなる。収量のピークに対して早いタイミング(例えば、ピークの3週間前)で作業を行うことが好ましい。ピークに対して早すぎると(例えば、ピークの4週間前等)、花房が小さすぎるため作業を行うことができない。
【0049】
また、イチゴの栽培において、花のサイズが大きいほど果実のサイズが大きくなることが知られている。したがって、摘花の際には、花サイズ計測システム105eの算出結果に基づいて、サイズが小さい花を摘花することで、サイズの大きい花をより多く残すことができる。この場合、サイズが大きい果実が多く実ることになる。一般的に大きな果実の重量当たり単価は高いことから、本操作を行うことで単位面積当たりの農家収入が向上する。
【0050】
図7は、摘花の管理を行う場合の通年栽培のイチゴの栽培期間と収量との関係の他の例を模式的に示す図である。図7に示すように、複数の収量のピークのうち、所定のピークについては摘房、摘花、摘果を行うことなく、他のピークについてはピークとなる日の1週間前から3週間前の間(図6のタイミングT5、T6、T7)に摘房、摘花、摘果を行い、当該摘房、摘花、摘果で残す花房、果実の比率を著しく少なく(例えば全体の10%程度)する。これにより、上記摘房、摘花、摘果を行わない所定のピークの収量を突出して多くすることができる。これを用いることで、所定期間において一の単位期間の収量を他の単位期間の収量に対して突出して多くすることができる。
【0051】
<例2:温度の管理>
図8は、温度の管理を行う場合の通年栽培のイチゴの栽培期間と収量との関係の一例を模式的に示す図である。提示部13は、環境データとして、温度データを提示することができる。植物は、例えば昼間等に高温状態になると花房発生が抑制される。この現象を利用して、図8に示すように、環境制御部14は、例えば2週間毎に昼間の温度を低温モードL(例えば、25℃)と高温モードH(例えば、28℃)との間で切り替える動作を繰り返す。温度を低温モードとすることで、花房発生を促進する。また、温度を高温モードとすることで、花房発生を抑制することができ、収量のピークを抑制できる。
【0052】
図9は、温度の管理を行う場合の通年栽培のイチゴの栽培期間と収量との関係の他の例を模式的に示す図である。図9に示すように、環境制御部14は、複数の収量のピークのうち、所定のピークを迎える6週間前から10週間前までの期間については昼間の温度を高温モードHに設定して、花房の発生を抑制する。その後、環境制御部14は、昼間の温度を低温モードLに設定して、花房の発生を促進する。花房が出現(出蕾)した後、環境制御部14は、2週間以内に高温モードHに設定して、再び花房の発生を抑制する。この結果、所定のピークの収量を突出して多くすることができる。これを用いることで、所定期間において一の単位期間の収量を他の単位期間の収量に対して突出して多くすることができる。
【0053】
なお、摘房、摘花、摘果の作業を併せて行ってもよい。摘房、摘花、摘果の作業を行う際、花サイズ計測システム105eの算出結果に基づいて、サイズが小さい花を摘花することで、サイズの大きい花をより多く残すことができる。この場合、サイズが大きい果実が多く実ることになる。
【0054】
<例3:日長>
図10は、日長の管理を行う場合の通年栽培のイチゴの栽培期間と収量との関係の一例を模式的に示す図である。提示部13は、環境データとして、日長データを提示することができる。日長については、電照灯102を点灯させることで調整することができる。日長は、植物の花芽を誘導する場合がある。長日植物の場合は、長日になるほど花をつけやすい。この現象を利用して、環境制御部14は、図10に示すように、例えば2週間毎に日長を短時間モードS(例えば、14時間)と長時間モードL(例えば、16時間)との間で切り替える動作を繰り返す。日長を短時間モードとすることで、日長を長時間モードとする場合に比べて、花房発生を抑制することができ、収量のピークを抑制できる。なお、長時間モードの日長については、16時間よりも長くしてもよく、例えば18時間であってもよいし、24時間であってもよい。
【0055】
図11は、日長の管理を行う場合の通年栽培のイチゴの栽培期間と収量との関係の他の例を模式的に示す図である。図11に示すように、環境制御部14は、複数の収量のピークのうち、所定のピークを迎える6週間前から10週間前までの期間については日長を短時間モードとして、花房の発生を抑制する。その後、環境制御部14は、日長を長時間モードとして、花房の発生を促進する。花房が出現(出蕾)した後、環境制御部14は、2週間以内に短時間モードとして、再び花房の発生を抑制する。この結果、所定のピークの収量を突出して多くすることができる。これを用いることで、所定期間において一の単位期間の収量を他の単位期間の収量に対して突出して多くすることができる。
【0056】
なお、摘房、摘花、摘果の作業を併せて行ってもよい。摘房、摘花、摘果の作業を行う際、花サイズ計測システム105eの算出結果に基づいて、サイズが小さい花を摘花することで、サイズの大きい花をより多く残すことができる。この場合、サイズが大きい果実が多く実ることになる。
【0057】
<例4:赤色光の照射時間>
図12は、赤色光の照射時間の管理を行う場合の通年栽培のイチゴの栽培期間と収量との関係の一例を模式的に示す図である。提示部13は、環境データとして、赤色光データを提示することができる。赤色LED灯103からの赤色光は、日照の効果を弱めるはたらきがある。赤色光の照射時間が長いほど、日照の効果を弱めることができる。この現象を利用して、環境制御部14は、図12に示すように、例えば日長が終了した後、2週間毎に赤色光を非照射モード(OFF:赤色光を照射しない)と照射モード(ON:赤色光を1時間から2時間照射する)との間で切り替える動作を繰り返す。赤色光を照射モードとすることで、非照射モードとする場合に比べて、花房発生を抑制することができ、収量のピークを抑制できる。
【0058】
図13は、赤色光の照射時間の管理を行う場合の通年栽培のイチゴの栽培期間と収量との関係の他の例を模式的に示す図である。図13に示すように、環境制御部14は、複数の収量のピークのうち、所定のピークを迎える6週間前から10週間前までの期間については赤色光を照射モードとして、花房の発生を抑制する。その後、環境制御部14は、赤色光を非照射モードとして、花房の発生を促進する。花房が出現(出蕾)した後、環境制御部14は、2週間以内に赤色光を照射モードして、再び花房の発生を抑制する。この結果、所定のピークの収量を突出して多くすることができる。これを用いることで、所定期間において一の単位期間の収量を他の単位期間の収量に対して突出して多くすることができる。
【0059】
なお、摘房、摘花、摘果の作業を併せて行ってもよい。摘房、摘花、摘果の作業を行う際、花サイズ計測システム105eの算出結果に基づいて、サイズが小さい花を摘花することで、サイズの大きい花をより多く残すことができる。この場合、サイズが大きい果実が多く実ることになる。
【0060】
<例5:環境データの組み合わせ>
提示部13は、所定の抽出条件に基づいて、花房データ、温度データ、日長データ及び赤色光データから少なくとも1つのデータを抽出し、抽出したデータを環境データとして提示することができる。
【0061】
所定の抽出条件としては、例えば収量の調整を効果的に行うこと(最適化モード)、コストが低くなること(コスト低減モード)、必要な作業者の人数が少なくなること(人的コスト低減モード)等が挙げられる。この場合、抽出条件に対応するデータ、例えば栽培期間と発生するコストとを対応付けたデータ、栽培期間と作業員の人数とを対応付けたデータ等を環境データとして植物栽培管理装置100に入力しておく。
【0062】
所定の抽出条件については、例えば提示部13において予め設定された構成であってもよいし、学習モデルMに果実データを入力する際に併せて入力するようにしてもよい。
【0063】
以上のように、本開示の第1態様に従えば、植物を栽培して果実を収穫する際の植物の栽培状況を示す環境データを説明変数とし、収穫される果実に関する果実データを目的変数として機械学習した学習モデルMを生成する学習部11と、生成された学習モデルMに対して所望の果実データを入力した場合の逆推定による推定結果を取得する取得部12と、推定結果に基づいて、所望の果実データに対応する環境データを提示する提示部13とを備える植物栽培管理装置100が提供される。
【0064】
この構成によれば、所望の果実データの内容を達成するための適切な環境データを得ることができるため、植物を栽培して果実を収穫する際、得られた環境データに基づいて適切な栽培管理を行うことができる。また、植物栽培管理装置100によれば、植物栽培施設1を運営及び運転しながら、所望の果実データに近づくように栽培状況を制御する。植物の生育は地域や場所に強く影響されるため、異なる栽培場所で学習モデルMを構築することで、より確実性の高い環境データの提案が可能となる。
【0065】
本開示の第2態様に従えば、第1態様に係る植物栽培管理装置において、果実データは、果実の収量を示す収量データ及び果実の品質を示す品質データの少なくとも一方を含む。
【0066】
この構成によれば、所望の収量及び品質の少なくとも一方を達成するための適切な環境データを得ることができる。
【0067】
本開示の第3態様に従えば、第2態様に係る植物栽培管理装置において、環境データは、植物の花房の数を示す花房データを含み、提示部13は、環境データとして花房データを提示する。
【0068】
この構成によれば、所望の果実データの内容を達成するための適切な花房データを得ることができる。
【0069】
本開示の第4態様に従えば、第2態様又は第3態様に係る植物栽培管理装置において、環境データは、植物の周囲の温度を示す温度データを含み、提示部13は、環境データとして温度データを提示する。
【0070】
この構成によれば、所望の果実データの内容を達成するための適切な温度データを得ることができる。
【0071】
本開示の第5態様に従えば、第2態様から第4態様のいずれかに係る植物栽培管理装置において、環境データは、植物に対する単位期間当たりの日照時間を示す日長データを含み、提示部13は、環境データとして日長データを提示する。
【0072】
この構成によれば、所望の果実データの内容を達成するための適切な日長データを得ることができる。
【0073】
本開示の第6態様に従えば、第2態様から第5態様のいずれかに係る植物栽培管理装置において、環境データは、植物に対する単位期間当たりの赤色光の照射時間を示す赤色光データを含み、提示部13は、環境データとして赤色光データを提示する。
【0074】
この構成によれば、所望の果実データの内容を達成するための適切な赤色光データを得ることができる。
【0075】
本開示の第7態様に従えば、第2態様から第6態様のいずれかに係る植物栽培管理装置において、果実データは、収量データを含み、収量データは、所定期間において単位期間ごとの収量が平準化するように設定されたデータ、又は、所定期間において一の単位期間の収量が他の単位期間の収量に対して突出して多くなるように設定されたデータを含む。
【0076】
この構成によれば、栽培状況を適切に管理することにより、単位期間ごとの収量を標準化することができ、又は、一の単位期間の収量を他の単位期間の収量に対して突出して多くすることができる。
【0077】
本開示の第8態様に従えば、第2態様から第7態様のいずれかに係る植物栽培管理装置において、環境データは、植物の花房の数を示す花房データ、植物の周囲の温度を示す温度データ、植物に対する1日当たりの日照時間を示す日長データ、及び、植物に対する1日当たりの赤色光の照射時間を示す赤色光データを含み、提示部13は、所定の抽出条件に基づいて花房データ、温度データ、日長データ及び赤色光データから少なくとも1つのデータを抽出し、抽出したデータを環境データとして提示する。
【0078】
この構成によれば、所定の抽出条件に応じた環境データを得ることができるため、例えばコスト、作業可能な作業者の数等に応じて柔軟に栽培状況の設定を管理することができる。
【0079】
本開示の第9態様に従えば、第1態様に係る植物栽培管理装置において、提示部13により提示された環境データに基づいて、植物の周囲の環境を制御する環境制御部14を更に備える。
【0080】
この構成によれば、提示された環境データに基づいて、植物の周囲の環境を自動的に制御することができるため、作業者の人数を抑えることができる。
【0081】
本開示の第10態様に従えば、植物を栽培して果実を収穫する際の植物の栽培状況を示す環境データを説明変数とし、収穫される果実に関する果実データを目的変数として機械学習した学習モデルMに対して所望の果実データを入力した場合の逆推定による推定結果を取得するステップと、推定結果に基づいて、所望の果実データに対応する環境データを提示するステップとを含む植物栽培管理方法が提供される。
【0082】
この構成によれば、所望の果実データの内容を達成するための適切な環境データを得ることができるため、植物を栽培して果実を収穫する際、得られた環境データに基づいて適切な栽培管理を行うことができる。
【0083】
本開示の第11態様に従えば、植物を栽培して果実を収穫する際の植物の栽培状況を示す環境データを説明変数とし、収穫される果実に関する果実データを目的変数として機械学習した学習モデルMに対して所望の果実データを入力した場合の逆推定による推定結果を取得する処理と、推定結果に基づいて、所望の果実データに対応する環境データを提示する処理とをコンピュータに実行させる植物栽培管理プログラムが提供される。
【0084】
この構成によれば、所望の果実データの内容を達成するための適切な環境データを得ることができるため、植物を栽培して果実を収穫する際、得られた環境データに基づいて適切な栽培管理を行うことができる。
【0085】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、環境データとして、作業者の手により収穫を行う場合の収穫日時を示す収穫履歴データを含めてもよい。植物自体の生育に周期的な事象が存在することに加えて、作業者の手による収穫が収量の変動を引き起こしている可能性がある。従って、収穫履歴データを環境データとして含めて学習モデルMに学習させることで、より精度の高い学習が可能となる。
【0086】
また、上記実施形態では、果実データとして主として収量データを例に挙げて説明したが、この構成に限定されず、品質データ等の他のデータを用いても同様の説明が可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 植物栽培施設
10 処理部
11 学習部
12 取得部
13 提示部
14 環境制御部
20 記憶部
100 植物栽培管理装置
101 温室
101a 温室本体
101b 土壌部
102 電照灯
103 赤色LED灯
104 環境調整装置
105 情報取得部
105a 温度センサ
105b 日長計測センサ
105c 二酸化炭素濃度センサ
105d 湿度センサ
105e 花サイズ計測システム
M 学習モデル
FN 最終層
IN 入力データ
MN 中間層
ON 出力データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13