(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162555
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】分析デバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 27/333 20060101AFI20241114BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20241114BHJP
B01J 19/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G01N27/333 331F
G01N27/333 331M
G01N27/333 331C
G01N27/416 361A
B01J19/00 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078162
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】深津 慎
(72)【発明者】
【氏名】三浦 淳
(72)【発明者】
【氏名】山本 毅
(72)【発明者】
【氏名】前田 晴信
(72)【発明者】
【氏名】田中 正典
(72)【発明者】
【氏名】榎戸 風花
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 啓司
【テーマコード(参考)】
4G075
【Fターム(参考)】
4G075AA13
4G075AA39
4G075AA56
4G075AA65
4G075BA10
4G075BB05
4G075BB10
4G075CA14
4G075DA02
4G075EB50
4G075EC21
4G075FA12
4G075FA14
4G075FA16
4G075FB01
4G075FB02
4G075FB03
4G075FB06
4G075FB12
(57)【要約】
【課題】長期保管後でも良好な測定感度を保ち、選択イオンに対し適正な電位が得られる分析デバイスを提供すること。
【解決手段】多孔質基材、前記多孔質基材の内部、表面上、又は内部から表面上にかけて形成される電極、前記電極を覆うイオン選択膜、及び保護層、を有する分析デバイスであって、前記イオン選択膜は可塑剤を含み、前記保護層は、前記多孔質基材内部に、前記イオン選択膜の少なくとも一部と近接して形成され、前記可塑剤の浸透を阻害する成分を含む、分析デバイスを提供する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質基材、
前記多孔質基材の内部、表面上、又は内部から表面上にかけて形成される電極、
前記電極を覆うイオン選択膜、及び
保護層、
を有する分析デバイスであって、前記イオン選択膜は可塑剤を含み、
前記保護層は、前記多孔質基材内部に、前記イオン選択膜の少なくとも一部と近接して形成され、前記可塑剤の浸透を阻害する成分を含む、
分析デバイス。
【請求項2】
前記多孔質基材内部に形成される流路壁で囲まれた流路領域を有する
請求項1に記載の分析デバイス。
【請求項3】
前記電極、前記イオン選択膜、及び前記保護層は、前記流路領域に形成される、
請求項2に記載の分析デバイス。
【請求項4】
前記可塑剤は親油性イオン交換材料である
請求項1又は2に記載の分析デバイス。
【請求項5】
前記保護層は、少なくとも樹脂を含む
請求項1又は2に記載の分析デバイス。
【請求項6】
前記保護層は、前記可塑剤が相溶しない材料である
請求項1又は2に記載の分析デバイス。
【請求項7】
前記保護層は、少なくともフッ素系樹脂を含む
請求項1又は2に記載の分析デバイス。
【請求項8】
保護層部の接触角は、前記多孔質基材の接触角よりも高い
請求項1又は2に記載の分析デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質基材の内部に流路領域を形成した分析デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、小型の微細流路を利用して、生化学における分析を1つのチップ内で効率的に行うことができる分析デバイスが、幅広い分野で注目されている。具体的には、生化学の研究はもとより、医療、創薬、ヘルスケア、環境、食品等の各分野において小型の分析デバイスは注目されている。
【0003】
1990年代前半に、フォトリソグラフィ法や金型等を用いて、ガラスやシリコン上にマイクロメータサイズの微細流路を形成し、サンプルの前処理、撹拌、混合、反応、検出を1チップ上で行うマイクロ分析チップが開発された。その結果、検査システムの小型化や迅速な分析、並びに検体や廃液の低減等が実現された。
【0004】
電気化学分析は、分析対象となる検体に浸漬した電極間の電位を計測することにより対象の濃度等を測定するものであり、医療や環境等の分野において広く使用されている。従来の電気化学分析は、技術者によって高度な機器を用いて行われるため、測定を行うフィールドやリソースがある程度制限される。しかし、医療設備が十分ではない途上国や僻地や災害現場での医療や、感染症の拡がりを水際で食い止める必要がある空港等での使用のために、安価で、取り扱いが容易で、使い捨て可能な、電気化学分析用マイクロ分析チップが求められる。
【0005】
特許文献1には、多孔質基材を用いた電位差測定が可能なマイクロ分析チップを含むデバイスが提案されており、低コストかつ取り扱いが容易で廃棄性の高い電気化学測定を可能にしている。このデバイスでは、多孔質基材上に1つ以上の作用電極と1つの参照電極を含み、作用電極としてイオン選択膜を用いたイオン選択電極と、参照電極との電位差測定を行うための構成が記載されている。また、このデバイスのイオン選択膜は、通常親油性イオン受容体(イオノフォア)と、最適化されたモル比で、親油性イオン交換体を含み、両方とも可塑化ポリ(塩化ビニル)(PVC)のようなポリマー膜マトリックスに組み込まれており、このイオン選択膜を用いることで、電位差を測定できる。
【0006】
また、非特許文献1では、Naイオン及びKイオンの濃度を測定する濾紙ベースの測定デバイスについて提案されている。このデバイスは、検体を分注するための分注部を持ち、分注された検体が分注部から作用電極及び参照電極それぞれの領域へと浸透することによって、両電極を電気的に接続し、電位差測定が可能となる。またこのデバイスのイオン選択膜は、イオノフォア・アニオン除剤・PVCに加え、Naイオン・Kイオンそれぞれにおいて、可塑剤としてDOS・NPOEを用いて調製が行われ、このようなイオン選択膜を用いることで、電位差を測定できるようにしている。
【0007】
また、非特許文献1では、参照電極において安定した電位を得るために、KClイオン結晶を参照電極上に堆積させることが記載されている。これにより、測定時においてKClが検体へ溶解し、参照電極領域のClイオンを高濃度に保持し、安定した参照電極の電位を得ることができる。さらに、非特許文献1では、作用電極を被覆するように形成したイオン選択膜で測定対象のイオンのみを選択し、他のイオンの影響を受けずに測定できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/033438号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Nipapan Ruecha, Orawon Chailapakul, Koji Suzuki and Daniel Citterio『Fully Inkjet-Printed Paper-Based Potentiometric Ion-Sensing Devices』Analytical chemistry August 29, 2017 Published, 89, pp.10608-10616
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、先述のような多孔質基材を用いた分析デバイスの構成においては、長期保管時の性能維持ができない場合がある。具体的には、多孔質基材を用いた分析デバイスは、多孔質基材の上に電極、及びイオン選択膜が形成されており、該イオン選択膜は多孔質基材に一部接触した構成になっている。また、イオン選択膜には親油性イオン交換体である可塑剤が含まれており、測定時にはイオノフォアを輸送する働きをもつようにするため、通常は測定時(常温以上)で液体となっており、イオン選択膜内を流動できる。そのため、長期保管時にイオン選択膜から可塑剤が染み出す。染み出した可塑剤が多孔質基材に接すると、多孔質基材の毛細管現象により可塑剤の染み出しが加速され、多孔質基材側へ可塑剤がさらに拡散してしまう場合がある。それによりイオン選択膜内の可塑剤が低減し、イオン選択膜内の材料比率が適正な状態を保てなくなり、その結果、検体のイオン濃度に対する応答性、すなわち測定感度が変化してしまい、同じ濃度の検体でも、作用電極側の電位が変わってしまう場合がある。
【0011】
この問題は、可塑剤のイオン選択膜内での流動性が影響するため、特に高温環境下での長期保管でより顕著に発生しやすい。そのため、分析デバイスの保管環境を10℃以下等低温に設定することで問題の発生度合いを低減可能である。一方分析デバイスを低温で保管するためには、保管のための装置や電源設備が必要となり、POCT等医療現場環境によっては使用できない場合がある。そのため、低温での保管でなくても、長期保管後でもより安定した分析が可能なチップが求められている。
【0012】
本発明では以上に鑑み、長期保管後でも良好な測定感度を保ち、選択イオンに対し適正な電位が得られる電解質濃度測定用の分析デバイスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、
多孔質基材、
前記多孔質基材の内部、表面上、又は内部から表面上にかけて形成される電極、
前記電極を覆うイオン選択膜、及び
保護層、
を有する分析デバイスであって、前記イオン選択膜は可塑剤を含み、
前記保護層は、前記多孔質基材内部に、前記イオン選択膜の少なくとも一部と近接して形成され、前記可塑剤の浸透を阻害する成分を含む、
分析デバイス
が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、長期保管時においても良好な測定感度を保ち、選択イオンに対し適正な電位が得られる電解質濃度測定用の分析デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】実施例1の分析デバイスを説明する概略図である。
【
図2A】実施例1の変形例の分析デバイスを示す概略図である。
【
図3】実施例1の分析デバイスを説明する概略図である。
【
図4A】分析デバイスの電位差測定の例を示す概略図である。
【
図4B】分析デバイスに検体を分注した際の状態を説明する概略図である。
【
図5A】本発明の比較例の分析デバイスを説明する概略図である。
【
図6A】実施例2、4の分析デバイスを示す概略図である。
【
図7A】実施例3の変形例の分析デバイスを示す概略図である。
【
図8A】実施例5の分析デバイスを示す概略図である。
【
図9A】実施例5の分析デバイスを用いた検体の測定の様子を示す概略図である。
【
図10】分析デバイスの変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態は、多孔質基材、前記多孔質基材の内部、表面上、又は内部から表面上にかけて形成される電極、前記電極を覆うイオン選択膜、及び保護層、を有する分析デバイスであって、前記イオン選択膜は可塑剤を含み、前記保護層は、前記多孔質基材内部に、前記イオン選択膜の少なくとも一部と近接して形成され、前記可塑剤の浸透を阻害する成分を含む、分析デバイスを提供する。
【0017】
分析デバイスは、多孔質基材内部に形成される流路壁で囲まれた流路領域(単に流路という場合がある)を有することができる。この場合、電極、イオン選択膜、及び前記保護層は、流路領域に形成される。流路領域は、第1流路室と、第2流路室と、それらをつなぐ流路とを含み、電極、イオン選択膜、及び保護層は、第1流路室に形成され、第2流路室に参照電極を含むことができる。
【0018】
イオン選択膜は、多孔質基材の内部、表面上、又は内部から表面上にかけて形成されることができ、可塑剤を含む。
【0019】
保護層は、イオン選択膜の裏面部又は周囲の少なくともいずれかの少なくとも一部と近接して形成される。裏面とは、表面と対向する側の面を指している。なお、本明細書において、「近接」「近接している」、とは、隣接している場合、あるいは、隣接せずとも、近傍に存在する場合のいずれも意味する。保護層は、電極あるいはイオン選択膜の底面及び周囲等、イオン選択膜の少なくとも一部と近接して形成される。保護層は、イオン選択膜に含まれる可塑剤の浸透を阻害し、イオン選択膜内の可塑剤が、多孔質基材の空隙や多孔質基材を構成する繊維を通じて多孔質基材へ染み出し、拡散することを抑制する。したがって、保護層は可塑剤が相溶しない材料であることが好ましい。保護層は樹脂を含むことが好ましく、そのような樹脂として、ポリイミド系樹脂やフッ素系樹脂を挙げることができる。ポリイミド系樹脂とは、イミド結合(-CO-NR-CO-)を含む高分子化合物からなる樹脂であることが好ましい。また、フッ素系樹脂とは、フルオロアルキレン構造を含む樹脂であり、-(CF)-や-(CF2)-の繰り返し構造を含むものであることが好ましい。あるいは、保護層は樹脂粒子を印字及びさらに加熱することにより形成することができる。この場合、樹脂粒子の好ましい例としてトナー粒子を挙げることができる。
【0020】
以下、本発明の実施例及び比較例について図面を参照して説明する。なお、以下の実施例は例示であり、本発明を実施形態の内容に限定するものではない。また、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。
【0021】
[実施例1]
本実施例の分析デバイスの構成を、図を用いて説明する。
図1A、
図1Bは、実施例1の分析デバイス100を示す。多孔質基材1の内部に設けられた流路壁2で囲まれた流路領域3を有する。分析デバイス100は横幅L1=22mm、縦幅H1=17mmであった。流路領域3は、各6mm四方の第一流路室3a、第二流路室3b、及びベース電極の接点部として幅6mm高さ3mmの第三流路室3c及び第四流路室3d、さらに第一流路室3aと第二流路室3bとを繋ぐ幅6mm、高さ4mmの流路及び、第一流路室3aと第三流路室3c、第二流路室3bと第四流路室3dを繋ぐ幅2mm、高さ3mmの流路を有する。第三流路室3c及び第四流路室3dは、基材と電極の密着性の観点から設けることができるが、これらはなくてもよい。第一流路室3aには作用電極4が配置されており、作用電極4は、第三流路室から繋がる2mm四方のベース電極5とそれを覆うように設けられた4mm四方のイオン選択膜6で構成される。イオン選択膜6内には、可塑剤7が含まれている。また、作用電極4において、分析デバイス100における、作用電極4のイオン選択膜6が存在する部分の裏面に、保護層8が配置されている。なお、保護層8は、本実施例においては、実際は、イオン選択膜6の裏面にあるため上面からは見えないが、
図1Aでは、便宜上、保護層8を示している。
図1Bは、分析デバイス100における
図1Aの点線部の断面図である。
【0022】
本実施例の分析デバイスの具体的な構成及び作製方法について説明する。本実施例では多孔質基材1として、厚さ100μm、空隙率50%の濾紙を用いた。多孔質基材として濾紙を用いることで、液体に対し毛細管現象を発生させることができ、測定される検体が無電環境下でも流路内を流進することができる。
【0023】
なお、本実施例では多孔質基材として濾紙を用いたが、これに限らず、液体に対し毛細管現象を発生させるものであればよい。例えば、多孔質基材は、内部に連泡並びにナノファイバー等、網目状の構造等の多孔質を有するものでも良く、樹脂、ガラス、無機基板、布地、金属紙、等を用いてもよい。
【0024】
また、多孔質基材1の厚さに関して、厚さ100μmのものを用いたが、これに限らず、目的に応じ適宜選択可能であるが、20μm~300μm程度がよく使用される。20μm以下だと、基材としての強度が保てなくなることがある。また、300μm以上だと、イオン選択膜6や保護層8等の材料が分析デバイス内に拡散しやすくなり、寸法精度が悪化する場合があるが、用途によっては分析デバイス内の配置を調整し厚さ600μm程度の厚い多孔質基材1を使用する場合もある。
【0025】
流路領域3の形成については、特開2021-37612号公報に記載された方法で行った。具体的には、溶融性に特徴を持つ流路壁形成用粒子T1(トナー)を用いて、電子写真方式で、多孔質基材上に所望の流路パターンを未定着の状態で形成し、その後、オーブン若しくはヒーター等で加熱し、流路パターンを多孔質基材内部に浸透させることで、流路壁2を形成し、流路領域3を形成した。
【0026】
本実施例においては、流路壁形成用粒子として、以下の製造方法で作製した個数平均粒径6.5μmの粒子T1を用いた。粒子T1の製造法について次に述べる。
【0027】
<粒子T1の製造>
[重合性単量体組成物の調製]
下記組成を混合後、ボールミルで3時間分散させた。
・スチレン 70.0部
・n-ブチルアクリレート 30.0部
・ジビニルベンゼン 0.1部
・ポリエステル樹脂 5.0部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物(ガラス転移点65℃、重量平均分子量(Mw)10000、数平均分子量(Mn)6000))
得られた分散液を、プロペラ撹拌羽根を備えた反応器に移し、回転数300rpmで撹拌しながら60℃に加熱した後、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)3.0部を加え、溶解し、重合性単量体組成物とした。
【0028】
[水系分散媒体の調製]
高速撹拌装置T.K.ホモミクサー(プライミクス社製)を取り付けた2L用四つ口フラスコ中にイオン交換水710部と0.1mol/L-リン酸ナトリウム水溶液450部を添加し、回転数12000rpmで撹拌しながら、60℃に加熱した。ここに1.0mol/L-塩化カルシウム水溶液68.0部を添加し、リン酸カルシウム(難水溶性分散安定剤)を含む水系分散媒体を調製した。
【0029】
[造粒・重合]
上記水系分散媒体中に前記重合性単量体組成物を投入し、回転数12000rpmを維持し、重合開始剤であるt-ブチルパーオキシピバレート10部を展開し、15分間造粒した。その後、高速撹拌機からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を交換し、内温を60℃に維持して重合反応を5時間継続させた後、内温を80℃に昇温し維持して、さらに3時間重合反応を継続させた。重合反応終了後、80℃、減圧下で残存単量体を留去した後、30℃まで冷却し、重合体微粒子分散液を得た。
【0030】
[洗浄]
上記重合体微粒子分散液を洗浄容器に移し、撹拌しながら、希塩酸を添加し、pH1.5に調整した。分散液を2時間撹拌後、ろ過器で固液分離し、重合体微粒子を得た。これをイオン交換水1200部中に投入して撹拌し、再び分散液とした後、ろ過器で固液分離した。この操作を3回行い粒子T1の母粒子を得た。
【0031】
[外添]
さらに、得られた母粒子100.0部に対し、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された流動性向上剤(一次粒子の個数平均粒径7nmのシリカ)1.0部をヘンシェルミキサーで5分間乾式混合した。そして、個数平均粒径D1が6.5μmの流路パターン画像形成用の粒子T1を得た。
【0032】
なお、流路の形成方法は本実施例の手法に限るものではない。流路パターンとなるように形成できればよく、多孔質基材1をカットし、流路形状のみを残してカッティングする手法の他、流路壁2をワックスプリンタで形成する等、別の手法を用いてもよい。
【0033】
次に、本発明の特徴である、保護層について説明する。
本実施例では、保護層8の材料として、流路壁形成用粒子T1(トナー)を用いた。作製方法としては、前述した流路壁形成工程と同様、電子写真方式で、多孔質基材1上のイオン選択膜5形成部分に流路壁2をパターン描画することで作製した。ここで、保護層部分は、なるべく多くの流路壁形成用粒子が多孔質基材に浸透していることが、多孔質基材の封止の観点で好ましい。そのため、保護層8部分の流路壁2のパターン描画量が流路壁形成工程の流路壁2の描画量より多くなるよう、電子写真方式での流路壁パターン描画形成工程と、オーブン若しくはヒーターによる多孔質基材内部への浸透工程とを、繰り返し4回行った。すなわち、保護層においては、流路壁と比較しおよそ4倍の流路壁形成用粒子を含んだ。形成された保護層パターンは、
図1A及び
図1Bに示すとおりである。
【0034】
なお、本実施例では、流路壁形成工程を行った後に、保護層形成工程を行ったが、流路壁形成工程でのパターン形成と、保護層形成工程のパターン形成を同時に行ってもよい。この場合、多孔質基材への流路壁形成用粒子の転写量には限界があるため、必要に応じ本実施例のように、保護層形成工程を追加で行い、保護層部分の描画量を増やしてもよい。
【0035】
また、本実施例では、保護層8の材料として、流路壁形成用粒子であるトナーを用いたが、これに限るものではない。保護層8が、イオン選択膜6と多孔質基材1とが近接する領域を封止できればよい。実施例1の変形例の分析デバイスを
図2A,
図2Bに示す。例えば
図2Bに示す断面図に示すように、公知のトナーであって多孔質基材1への染み込みが少ないトナーを、イオン選択膜6と多孔質基材1とが接する部位に、予め保護層として配置しておくこともできる。このように保護層を形成した多孔質基材1を裏返して用いて、その上にベース電極5及びイオン選択膜6を形成すれば、例えば
図8Bに示す構成とすることができる。なお、より、局所的にトナーを描画することで、
図7Bに示すように、イオン選択膜の周囲に保護層を形成することができる。また、局所的に描画量を増減することで、例えば
図6Bに示すような、イオン選択膜の裏面と周囲に保護層を形成することもできる。保護層の厚さ(デバイスの面と垂直方向の厚さ)は、保護層がイオン選択膜の裏面に配置される場合は、10μm以上が好ましく上限は特にない。10μm以下であると、可塑剤の浸透を十分に阻害できない可能性がある。イオン選択膜の周囲に保護層が配置される場合、イオン選択膜の上に滴下された検体が多孔質基材に移動することができるよう、保護層の幅は調整されることが望ましい。
図10に示すように、イオン選択膜が多孔質基材の内部に形成されている場合は、保護層の幅(デバイスの面方向の厚さ)は1mm以下が好ましい。イオン選択膜が基材表面上に位置する場合は、
図4Bに示すように、検体はイオン選択膜と多孔質基材の高低差を利用して移動するため、保護層の幅の上限は2mmとすることができる。
【0036】
本実施例では、
図1Bに示した通り、イオン選択膜形成部分の多孔質基材内部に保護層を配置したが、これに限らず、後述する実施例でもあるように、イオン選択膜6と多孔質基材1とが接する領域の周囲を保護層で埋めることで、イオン選択膜6に含まれる可塑剤7の多孔質基材1への拡散を低減させることが可能である。
【0037】
次いで、上記で形成した流路パターン3に、作用電極4をスクリーン印刷やインクジェット装置、若しくはディスペンサー等により形成した。
【0038】
本実施例では
図1Aに示すように、流路パターン3上に、作用電極のベース電極5として、Ag/AgCl電極をスクリーン印刷により印字した。次いで、ベース電極5上に、不図示の中間層であるNaClをインクジェット法で形成した後、目的イオンについての選択性を有するイオン選択膜6を積層し、作用電極4として、固体接触型のイオン選択電極を形成した。本実施例では、Naイオンを目的イオンとするイオン選択電極とした。
【0039】
ベース電極5は、公知のAg/AgClやカーボン、並びにPEDOT/PSS等を使った電極等が、特に限定されることなく用いられる。Ag/AgCl、あるいはカーボンを用いた電極の作製については、例えば特許文献1を参照することができる。PEDOT/PSSを用いた電極の作製については例えば非特許文献1を参照することができる。ベース電極には、コストや性能等、デバイスの必要特性に合わせた電極を選択すればよく、本実施例では、Ag/AgCl電極をベース電極5とした。
【0040】
中間層としては、一般的に用いられるものであればよく、NaClやKClの電解質が用いられている。本実施例では、NaCl水溶液をインクジェット法で塗布することで作製した。
【0041】
イオン選択膜6としては、一般的に用いられるものであればよく、目的のイオンに対して感度を持ち、且つ妨害イオンに対し十分な選択性を持つ膜を用いればよい。
【0042】
イオン選択膜に使われる材料は、一般的に用いられるものであればよい。イオン選択膜は好ましくはイオン選択性を示すイオノフォア及びアニオン除剤を含む。イオノフォアとしては、クラウンエーテル構造をもつ12-クラウン4-エーテルを例示でき、アニオン除剤としては、テトラフェニルホウ酸ナトリウム(NaTPB)を例示できる。本実施例でも上記材料を用いた。イオン選択膜に使われる材料については公知のあらゆるものを用いることができ、そのような材料としては、例えば株式会社同仁化学研究所の「イオン濃度を電極で測りたい」の138ページから140ページを参照することができる。
【0043】
また、イオン選択膜の構造維持のために、イオン選択膜には高分子剤が含まれる。高分子剤としてポリ塩化ビニル(略称:PVC)や、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体等が例示される。本実施例では、ポリ塩化ビニルを用いた。
【0044】
また、イオン選択膜は、イオノフォアを動作可能にするために可塑剤7を含む。可塑剤7は公知のものが適用可能であるが、イオン選択膜において親油性イオン交換として作用する材料である親油性イオン交換材料がより好ましく、公知の材料として、2-ニトロフェニルオクチルエーテル(略称:NPOE)やセバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)(略称:DOS)、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)(略称:DOA)、ジ-n-オクチルフェニルホスホネート(略称:DOPP)等が例示される。本実施例では、可塑剤7として、DOSを用いた。
【0045】
以上で述べた各成分をそれぞれ適量混合し、それらを溶媒であるTHFやシクロヘキサノンに溶解あるいは分散させ、得られた液を、NaCl等の中間層を積層したベース電極(Ag/AgCl電極)上にインクジェット法で塗布することにより、イオン選択膜6を作製できる。
【0046】
なお、イオン選択膜6の塗布方法は、インクジェット方式に限らず、ディスペンサーやスクリーン印刷等が適宜用いられる。それぞれの塗布方法に合わせて、溶液の粘度を調整した上でベース電極5上にイオン選択膜6を積層すればよい。
【0047】
なお、本実施例では、本発明に係る作用電極の構成及び作製方法について説明したが、検体の電解質測定を行うために、
図3に示すように、作用電極4に加え参照電極9を設け、2電極間の電位差を用いて測定する構成を用いても構わない。この図においては、参照電極は、電極のみからなる場合を示す。参照電極の構成及び作製方法については、公知のものを用いることができるため、説明を割愛する。
【0048】
次に、本発明の分析デバイスを用いた検体の電解質濃度測定方法について説明する。
本実施例では、作用電極の性能だけに注目するため、
図4Aに示すように、本体分析デバイスに参照電極が形成される片側に、市販の参照電極10を置き、参照電極10と作用電極4を検体でつなぎ、両極間の電位差を測定した。
【0049】
また、本実施例では、作用電極4の表面に検体を分注し、測定を行った。
図4A及び
図4Bに示すように、検体11は、第一流路室3aにあるイオン選択膜6の表面に分注された後、毛細管現象により流進し、第一流路室3aと第二流路室3bとを繋ぐ流路を経て、第二流路室3bの参照電極部に到達する。これにより、参照電極10と作用電極4が検体11により電気的に接続され、電位差が測定される。
【0050】
本実施例では、分注する検体11のNa濃度を10-5mol/Lから1mol/Lまで濃度を変化させて測定を行い、参照電極10と作用電極4との電位差をプロットし、その傾きを感度として算出した。
【0051】
次に、分析デバイスの長期保管性能の評価方法について説明する。
本実施例では、長期保管の加速試験として、55℃30%の恒温恒湿槽に分析デバイスを3カ月保管し、保管前後でのNaイオンに対する感度変化を評価した。
【0052】
加速試験の評価結果の指標は、
保管前後での感度変化の割合の絶対値が1%未満の場合を「良」、1%以上2%未満の場合を「可」、2%以下の場合を「不可」とした。なお、感度変化の割合の絶対値は以下の式(1)で求めた。
100×|保管後感度-保管前感度|/保管前感度 式(1)
【0053】
また、本実施例の効果を比較するための、比較例として、
図5A及び
図5Bの構成の分析デバイス200を用いて、同様の評価を行った。
比較例の分析デバイス200の構成は、保護層8がないこと以外は、実施例1と同一である。評価結果を表1に示す。
【0054】
比較例の分析デバイス200を用いた場合は、保管後に感度が大幅に上昇していたが、実施例1の分析デバイス100を用いた場合では、感度変化が抑制されていることが分かる。
【0055】
実施例1の分析デバイスにはイオン選択膜6形成部分の裏面部の多孔質基材1内部に保護層8を配置した構成であるため、イオン選択膜6と多孔質基材1が直接接触する部分を減少させることができる。また、多孔質基材1内が保護層8で充填、封止されていることで、イオン選択膜6内の可塑剤7が、多孔質基材1の空隙や多孔質基材1を構成する繊維を通じて多孔質基材1へと染み出し、拡散することを抑制するよう作用している。
【0056】
また、本実施例の保護層部分の、水に対する接触角を、接触角計(協和界面化学製:DropMaster)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0057】
比較例の保護層のない分析デバイス200に対し、実施例1の分析デバイス100の保護層8の水に対する接触角が上昇していた。保護層8部分の表面自由エネルギーが低下し、それにより多孔質基材1への可塑剤7の濡れ性が下がる作用があるため、保護層8部分において、可塑剤7の多孔質基材1への浸透を低減することができた。
【0058】
[実施例2]
本実施例では、保護層部に、実施例1で用いた流路壁形成用粒子に替えて、多孔質基材のイオン選択膜が配置された内部及びその周囲にポリイミド樹脂を充填して保護層とした。
【0059】
本実施例では、
図6A及び
図6Bに示すように、実施例1と同様の手法で多孔質基材1上に流路パターン3を形成し、その後ベース電極5、中間層、イオン選択膜6を形成した。その後さらに、イオン選択膜6が配置された多孔質基材1の裏面(
図6Bで斜線で示され位置)に、ポリイミドワニス(河村産業株式会社製KPI-MX300Fをメチルエチルケトンに溶解させたワニス)をインクジェット方式で描画し、150℃で乾燥させて、ポリイミド膜を、多孔イオン選択膜6が配置された多孔質基材1内部及びその近接周囲部に形成し、これを保護層8とした。本実施例の評価結果は表1に示すとおりである。
【0060】
[実施例3]
本実施例では、保護層部に、実施例2で用いたポリイミドに替えて、多孔質基材のイオン選択膜が配置された近傍周囲にフッ素系樹脂を充填して保護層とした。
【0061】
本実施例では、
図7A及び
図7Bに示すように、実施例2と同様の手法で多孔質基材1上に流路パターン3、ベース電極5、中間層、イオン選択膜6を形成した。その後、イオン選択膜6が配置された多孔質基材の
図7Bで斜線で示される位置、すなわち多孔質基材1のイオン選択膜6が配置された近傍周囲に、フッ素系樹脂(AGCセイミケミカル製エスエフコート:SFE-B002H)をインクジェット方式で描画し、常温で自然乾燥させて、フッ素ポリマー膜を形成し、保護層8とした。本実施例の評価結果は表1に示すとおりである。
【0062】
[実施例4]
本実施例では、保護層部に、実施例2で用いたポリイミドに替えて、多孔質基材のイオン選択膜が配置された内部及びその近傍周囲にフッ素系樹脂を充填して保護層とした。
【0063】
本実施例では、
図6A及び
図6Bに示すように、実施例2と同様の手法で多孔質基材1上に流路パターン3、ベース電極5、中間層、イオン選択膜6を形成した。その後、イオン選択膜6が配置された多孔質基材1の
図6Bで斜線で示される位置に、フッ素系樹脂(ソマール社製ソマフロンAF)をインクジェット方式で描画し、常温で自然乾燥させて、フッ素ポリマー膜を形成し、保護層とした。本実施例の評価結果は表1に示すとおりである。
【0064】
[実施例5]
本実施例は実施例4と、保護層の配置の点において異なる。保護層を多孔質基材のイオン選択膜が配置された内部にフッ素系樹脂を充填した点が異なる。
【0065】
本実施例では、
図8A及び
図8Bに示すように、実施例2と同様の手法で多孔質基材1上に流路パターン3、ベース電極5、中間層、イオン選択膜6を形成した。その後、イオン選択膜6が配置された多孔質基材1の
図8Bで斜線で示される位置に、フッ素系樹脂(ソマール社製ソマフロンAF)をインクジェット方式で描画し、常温で自然乾燥させて、保護層としてフッ素ポリマー膜を形成し、これを保護層とした。
【0066】
また、本実施例では、
図9A及び
図9Bに示すように、作用電極と参照電極部間の流路表面に検体を分注し、測定を行った。検体11は、第一流路室3aと第二流路室3bとを繋ぐ流路間に分注した後、毛細管現象により流進し、第一流路室3aにある作用電極4の側面部、及び第二流路室3bの参照電極部に到達する。それにより、市販の参照電極10と作用電極4が検体11により接続され、電位差を測定する。本実施例の評価結果は表1に示すとおりである。
【0067】
【0068】
各実施例について、表1を用いて説明する。
イオン選択膜の近接領域に保護層のない比較例に対し、どの実施例においても、保護層部の接触角は、多孔質基材の接触角よりも高い。すなわち、保護層部での接触角が上昇し、表面自由エネルギーが低下していることがわかる。
【0069】
また、実施例3ではイオン選択膜と多孔質基材の接する部分であるイオン選択膜の裏面に保護層が設けられていないため、多孔質基材に可塑剤が拡散する度合いが大きくなり、実施例2や実施例4に対し感度変化の割合が大きい。しかしながら、少なくともその近接部である周囲に保護層のある構成であれば、イオン選択膜からの可塑剤の流出を抑制する効果が得られることがわかる。よって、保護層の配置構成に関しては、本実施例で示した位置に限定するものではなく、イオン選択膜の周囲や裏面といった、近接した領域にあればよい。
【0070】
近接領域については、イオン選択膜と多孔質基材の接触面積をより低減するよう保護層を配置することで、イオン選択膜から流出した可塑剤が毛細管現象により多孔質基材側に浸透拡散することを抑制できるため、イオン選択膜と多孔質基材の接触部に保護層を配置することがより好ましい。
【0071】
また、保護層の材料については、本実施例で示した材料に限らず、公知のものを使用できる。保護層を配置することで、多孔質基材内の空孔を封止するとともに、多孔質基材の接触角を高め、表面自由エネルギーを低下させることで可塑剤の浸透をより抑制できるため、好ましい。保護層部の接触角としては、多孔質基材1の接触角よりも高い方が好ましく、より具体的には、表面自由エネルギーの低下の観点から、80°以上が好ましく、100°以上がより好ましい。
【0072】
また、保護層の厚さについて、特に規定はないが、実施例4のように、イオン選択膜の近接部である周囲に保護層を配置する場合は、測定時においてイオン選択膜と流路との間で測定検体が繋がりやすくなるようにするため、イオン選択膜の高さより保護層の高さの方が低くなるように、保護層の厚さを設定するとより好ましい。ただし、イオン選択膜は、必ずしも多孔質基材の表面上に出ている必要はなく、
図10のように、多孔質基材内部に配置され、その周囲に保護層が配置される場合もある。このような場合は、イオン選択膜と流路との間で測定検体が繋がりやすくするため、周囲の保護層の幅は1mm以下が好ましい。
【0073】
本発明の実施形態は以下の構成を含む。
[構成1]
多孔質基材、
前記多孔質基材の内部、表面上、又は内部から表面上にかけて形成される電極、
前記電極を覆うイオン選択膜、及び
保護層、
を有する分析デバイスであって、前記イオン選択膜は可塑剤を含み、
前記保護層は、前記多孔質基材内部に、前記イオン選択膜の少なくとも一部と近接して形成され、前記可塑剤の浸透を阻害する成分を含む、
分析デバイス。
[構成2]
前記多孔質基材内部に形成される流路壁で囲まれた流路領域を有する
構成1に記載の分析デバイス。
[構成3]
前記電極、前記イオン選択膜、及び前記保護層は、前記流路領域に形成される、
構成1又は2に記載の分析デバイス。
[構成4]
前記可塑剤は親油性イオン交換材料である
構成1から3のいずれか1項に記載の分析デバイス。
[構成5]
前記保護層は、少なくとも樹脂を含む
構成1から4のいずれか1項に記載の分析デバイス。
[構成6]
前記保護層は、前記可塑剤が相溶しない材料である
構成1から5のいずれか1項に記載の分析デバイス。
[構成7]
前記保護層は、少なくともフッ素系樹脂を含む
構成1から6のいずれか1項に記載の分析デバイス。
[構成8]
前記保護層部の接触角は、前記多孔質基材の接触角よりも高い
構成1から9のいずれか1項に記載の分析デバイス。
【符号の説明】
【0074】
1 多孔質基材
2 流路壁
3 流路領域(流路パターン)
4 作用電極
5 ベース電極
6 イオン選択膜
7 可塑剤
8 保護層
9 参照電極
10 市販の参照電極
11 検体
100 分析デバイス