(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016256
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】遊技用代用貨幣及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/04 20060101AFI20240130BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20240130BHJP
A63F 1/06 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
G06K19/04 070
G06K19/077 144
G06K19/077 300
A63F1/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194472
(22)【出願日】2023-11-15
(62)【分割の表示】P 2022149044の分割
【原出願日】2021-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2020023346
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
(57)【要約】
【課題】 セキュリティパーツによってRFIDタグを内蔵する遊技用代用貨幣において、複数の遊技用代用貨幣が任意の向きに積み重ねられた場合にも、積み重ねられた複数の遊技用代用貨幣に内蔵される複数のRFIDタグを比較的安定して読み取ることができる遊技用代用貨幣を提供する。
【解決手段】 遊技用代用貨幣100は、セキュリティパーツ50と、セキュリティパーツ50を受け入れる受入パーツ10とを備えている。セキュリティパーツ50は、受入パーツ10の直径より小さい直径の形状であって、複数のプラスチック層が積層された構造であって、RFIDタグ42を有し、遊技用代用貨幣10の種類又はIDを示す視認可能な印刷層201を有し、受入パーツ10は、表面にセキュリティパーツ50を受け入れるためのくぼみ部分11を有し、くぼみ部分11の深さは遊技用代用貨幣100の厚さの25%以上である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技用代用貨幣であって、
第1くぼみ部分を有する受入パーツと、ここで、前記第1くぼみ部分の深さは前記受入パーツの厚さの25%以上であり、
前記第1くぼみ部分に収容されるRFIDタグと、
前記第1くぼみ部分に収容され、前記RFIDタグを覆う板形状のプラスチック層と、
前記第1くぼみ部分に収容されて前記プラスチック層に固定される第1中心パーツと、
を備え、
前記第1中心パーツと前記受入パーツとで、前記遊技用代用貨幣の第1表面を構成する、遊技用代用貨幣。
【請求項2】
前記受入パーツは、前記第1くぼみ部分の反対側に前記第1くぼみの深さより浅い深さの第2くぼみ部分を有し、
前記遊技用代用貨幣は、さらに、前記第2くぼみ部分に収容されて固定されることで、前記受入パーツとともに前記遊技用代用貨幣の第2表面を構成する第2中心パーツを備え、
前記第1表面と前記第2表面の外観が同じである、請求項1に記載の遊技用代用貨幣。
【請求項3】
前記第1中心パーツにおける前記第1表面を構成する表面は、前記第1表面を構成する前記受入パーツの表面より低い位置にあり、
前記第2中心パーツにおける前記第2表面を構成する表面は、前記第2表面を構成する前記受入パーツの表面より低い位置にある、請求項2に記載の遊技用代用貨幣。
【請求項4】
前記RFIDタグは、前記遊技用代用貨幣の厚さ方向の中心から上下25%未満の位置に配置される、請求項1に記載の遊技用代用貨幣。
【請求項5】
前記第1中心パーツは印刷層を有し、
RFIDタグは、前記印刷層で表される前記遊技用代用貨幣の種類又はIDと関連する情報を記憶している、請求項1に記載の遊技用代用貨幣。
【請求項6】
前記第1中心パーツは、内側面に前記印刷層を有する、請求項5に記載の遊技用代用貨幣。
【請求項7】
前記RFIDタグは、前記受入パーツの外観と関連する情報を記憶している、請求項1に記載の遊技用代用貨幣。
【請求項8】
一方の面に第1の深さの第1くぼみ部分を有し、他方の面に第1の深さより浅い第2の深さの第2くぼみ部分を有する受入パーツと、
前記第2くぼみ部分にはめ込まれる第2の中心パーツと、
前記第1くぼみ部分にはめ込まれる板形状のプラスチック層と、
前記第1くぼみ部分にはめ込まれ、前記受入パーツと前記遊技用代用貨幣の第1表面を構成する第1の中心パーツと、
前記第1くぼみ部分の前記第2の深さより深い位置に配置されるRFIDタグと、
を備えた、遊技用代用貨幣。
【請求項9】
前記受入パーツは、内部に錘部材を含んで構成され、前記錘部材は、前記受入パーツを構成する前記錘部材以外の部材よりも比重が大きい、請求項8に記載の遊技用代用貨幣。
【請求項10】
前記錘部材は、前記遊技用代用貨幣の厚さ方向の中心から偏った位置に配置され、及び/又は、前記遊技用代用貨幣の厚さ方向に非対称の形状を有し、それによって前記第1の中心パーツと前記第2の中心パーツとによる重量のアンバランスを緩和する、請求項9に記載の遊技用代用貨幣。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティパーツとそのセキュリティパーツを受け入れる受入パーツとを備えた遊技用代用貨幣及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技場では、貨幣の代わりをするものとして、例えば、ゲーミングチップ、プラーク等の遊技用代用貨幣が用いられる。遊技用代用貨幣は、二つの平行な平面(表面)を持つ板状であり、その外郭は、例えば円形や長方形である。遊技用代用貨幣として、表面の中央部分に中心パーツを埋め込んだタイプの遊技用代用貨幣が知られている。中心パーツとその外側の受入パーツとの材質を異ならせることで(例えば、中心パーツをセラミック製とし、受入パーツを樹脂製とする)、遊技用代用貨幣の外観に高級感を与えることができる。
【0003】
また、このような中心パーツを有する遊技用代用貨幣において、中心パーツの内側面にRFIDタグ等のセキュリティ要素を設けて、中心パーツが受入パーツに固定された、RFIDタグ内蔵の遊技用代用貨幣も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図9は、RFIDタグを内蔵した従来の遊技用代用貨幣の断面を模式的に示した断面図である。遊技用代用貨幣500は、樹脂を成形することによって形成された受入パーツ510を備えている。受入パーツ510の両表面の中央部には、くぼみ部分が形成されている。このくぼみ部分には、それぞれ中心パーツ520、530がはめ込まれる。くぼみ部分の底と中心パーツ520、530とはそれぞれ接着剤で接着される。
【0005】
RFIDタグ550は、一方側(
図9の例では上側)のくぼみ部分に配置され、くぼみ部分の底と中心パーツ521とに挟まれることで、遊技用代用貨幣500に内蔵されることになる。RFIDタグ550には、遊技用代用貨幣500を固有に特定する情報(識別情報)、当該遊技用代用貨幣500の製造に関する情報(製造年月日、製造工場、製造ライン)等の情報が記録される。
【0006】
このようなRFIDタグ550に記憶された情報は、遊技場においてRFIDリーダを用いることで読み取られる。RFIDリーダは、よく知られているように、アンテナから電磁波を生成することで、非接触でRFIDタグと通信をして、RFIDタグに記憶された情報を読み取る。あるいは、RFIDリーダに代えて、RFIDリーダライタが用いられることもある。RFIDリーダライタは、RFIDタグに記憶された情報を読み取るだけでなく、RFIDタグの書込み可能領域に対して情報を書き込むこともできる。
【0007】
これらの情報は、遊技用代用貨幣500のセキュリティを保証するため、即ち、適切な情報を記憶したRFIDタグを内蔵しない偽造の遊技用代用貨幣を見つけ出すために用いることができる。このため、RFIDタグ550と、RFIDタグを遊技用代用貨幣500内に保持して取り出せないようにするための中心パーツ521とを合わせて、セキュリティパーツ520と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
遊技場では、RFIDリーダが、積み重ねられた複数の遊技用代用貨幣にそれぞれ内蔵された複数のRFIDタグを一括して読み取る必要がある場合がある。例えば、遊技用代用貨幣は、チップトレイに収容される場合には、厚さ方向に積み重ねられるので、RFIDリーダがチップトレイ内の遊技用代用貨幣のRFIDタグを読み取るこの場合には、重ねられた複数の遊技用代用貨幣のRFIDタグを同時に読み取る必要がある。また、テーブルに遊技用代用貨幣をベットする場合は、通常は複数の遊技用代用貨幣を重ねてベットするので、これをRFIDリーダで読み取る場合にも重ねられた複数の遊技用代用貨幣のRFIDタグを同時に読み取る必要がある。
【0010】
図10は、RFIDタグを内蔵した従来の遊技用代用貨幣を積み重ねた状態を示す模式図である。
図10に示すように、セキュリティパーツ520が遊技用代用貨幣500の一方表面側に設けられる場合には、このような遊技用代用貨幣500が任意の向きで積み重ねられると、
図10に示すように、積み重ねられた複数の遊技用代用貨幣500において、隣り合う2つの遊技用代用貨幣500にそれぞれ内蔵される複数のRFIDタグ550の間の距離は一様ではなくなり、それらの距離の差は比較的大きくなる。そうすると、電磁波によるRFIDタグ550の読取り、ないし書込みが不安定になる。
【0011】
なお、セキュリティパーツ520を埋め込む側の表面と、当該表面とは反対側の表面とを区別可能な外観デザインを採用し、積み重ねる場合には、表裏を確認しながら向きがそろうように積み重ねるようにすることで、隣り合うRFIDタグ550の間の距離を一様にできる。しかしながら、そのような操作をすることが煩わしいことは明らかである。
【0012】
一方、従来のゲーミングチップとして、
図11に示すような構成のものも知られている。このゲーミングチップ500´は、RFIDタグ550を内蔵したカプセル551をセキュリティパーツ552として、このカプセル551の周囲に受入パーツ510を設け、受入パーツ510とカプセル551との間に段差を設けることでくぼみを形成する。そして、このくぼみに中心パーツ520、530を貼り付けることでゲーミングチップ500´を完成させる。
【0013】
このようなゲーミングチップ500´によれば、上記のようにゲーミングチップ500´を重ねた際のRFIDタグ550の偏りが少なく、読取ないし書込みが不安定になるということもない。しかしながら、このようなゲーミングチップ500´は、カプセル551の内部にRFIDタグ550を収容する必要があり、このための工程にコストがかかり、かつ歩留まりもよくない。
【0014】
そこで、本発明の目的の1つは、セキュリティパーツによってRFIDタグを内蔵する遊技用代用貨幣において、複数の遊技用代用貨幣が任意の向きに積み重ねられた場合にも、積み重ねられた複数の遊技用代用貨幣に内蔵される複数のRFIDタグを比較的安定して読み取ることができる遊技用代用貨幣を提供することである。
【0015】
また、本発明の他の目的は、安価にセキュリティを確保できる遊技用代用貨幣を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様の遊技用代用貨幣は、セキュリティパーツと前記セキュリティパーツを受け入れる受入パーツとを備えた遊技用代用貨幣であって、前記セキュリティパーツは、前記受入パーツの直径より小さい直径の形状であって、複数のプラスチック層が積層された構造であって、RFIDタグを有し、前記遊技用代用貨幣の種類又はIDを示す視認可能な印刷層を有し、前記受入パーツは、表面に少なくとも1つの前記セキュリティパーツを受け入れるためのくぼみ部分を有し、前記くぼみ部分の深さは前記遊技用代用貨幣の厚さの25%以上である構成を有している。
【0017】
この構成により、受入パーツにおけるセキュリティパーツを受け入れるためのくぼみ部分の深さが遊技用代用貨幣の厚さの25%以上であるので、従来の遊技用代用貨幣と比較して、RFIDタグを遊技用代用貨幣の厚さ方向の中心に近い位置に配置することができる。よって、複数の遊技用代用貨幣が任意の向きで積み重ねられた場合にも、RFIDタグの間の距離の差分を比較的小さくすることができ、RFIDタグの読出しを安定させることがする。
【0018】
前記RFIDタグは、前記遊技用代用貨幣の厚さ方向の中心から上下25%未満の位置に配置されてよい。
【0019】
この構成により、複数の遊技用代用貨幣が任意の向きで積み重ねられた場合にも、RFIDタグの間の距離の差分が比較的小さなり、RFIDタグの読み出しが安定する。
【0020】
前記RFIDタグは、前記複数のプラスチック層の間に配置されてもよい。
【0021】
この構成により、セキュリティパーツを受入パーツから取り出したとしても、RFIDタグを容易に取り出すことはできず、セキュリティが向上する。
【0022】
前記RFIDタグは、前記セキュリティパーツの内側表面に設けられてもよい。
【0023】
この構成により、製造が容易になる。
【0024】
前記RFIDタグは、前記印刷で表される前記遊技用代用貨幣の種類又はIDと関連する情報を記憶していてよい。
【0025】
この構成により、RFIDタグを読み取ることで、当該遊技用代用貨幣の種類又はIDを特定することができる。
【0026】
前記RIFDタグは、前記受入パーツの外観と関連する情報を記憶していてよい。
【0027】
この構成により、RFIDタグを読み取ることで、外観に関連する情報を得ることができる。
【0028】
前記セキュリティパーツは、前記プラスチック層を熱圧着して構成されていてよい。
【0029】
この構成により、熱圧着の方法により複数のプラスチック層が積層された構造を実現することができる。
【0030】
前記セキュリティパーツは、前記プラスチック層を接着剤で接着して構成されてよい。
【0031】
この構成により、接着剤による接着の方法で複数のプラスチック層が積層された構造を実現することができる。
【0032】
本発明の別の態様の遊技用代用貨幣は、一方の面に第1の深さの第1のくぼみ部分を有し、他方の面に第1の深さより深い第2の深さの第2のくぼみ部分を有する受入パーツと、前記第1のくぼみ部分にはめ込まれる第1のパーツと、前記第2のくぼみ部分にはめ込まれる第2のパーツと、前記第2のくぼみ部分の前記第1の深さより深い位置に配置されるRFIDタグとを備えた構成を有している。
【0033】
この構成により、RFIDタグがより遊技用代用貨幣の厚さ方向の中心に近い位置に配置されることになる。これにより、複数の遊技用代用貨幣が任意の向きで積み重ねられた場合にも、RFIDタグの間の距離の差分が比較的小さくなり、RFIDタグの読み出しが安定する。
【0034】
前記第2のパーツの比重は、前記第1のパーツの比重より大きくてよい。
【0035】
この構成により、遊技用代用貨幣の厚さ方向の重さをバランスさせるように調整できる。
【0036】
前記第2のパーツの比重は、前記受入パーツの比重より小さくてよい。
【0037】
この構成によっても、遊技用代用貨幣の厚さ方向の重さをバランスさせるように調整できる。
【0038】
前記受入パーツは、内部に錘部材を含んで構成され、前記錘部材は、前記受入パーツを構成する前記錘部材以外の部材よりも比重が大きくてよい。
【0039】
この構成により、遊技用代用貨幣の重さを調整でき、また、錘部材の位置に応じて厚さ方向の重さをバランスさせることができる。
【0040】
前記錘部材は、前記遊技用代用貨幣の厚さ方向の中心から偏った位置に配置され、及び/又は、前記遊技用代用貨幣の厚さ方向に非対称の形状を有し、それによって前記セキュリティパーツによる重量のアンバランスを緩和してよい。
【0041】
この構成により、錘部材を用いて遊技用代用貨幣の厚さ方向の重さをバランスさせることができる。
【0042】
本発明の別の態様の遊技用代用貨幣は、少なくとも一方の面にくぼみ部分を有する受入パーツと、RFIDタグを有し、前記くぼみ部分にはめ込まれるセキュリティパーツとを備えた遊技用代用貨幣であって、前記くぼみ部分の深さは、前記受入パーツの厚さの25%以上であり、前記RFIDタグは、前記遊技用代用貨幣の厚さ方向の中心から上下25%未満の位置に配置される構成を有している。
【0043】
この構成により、RFIDタグが受入パーツの厚さ方向の中心から上下25%未満の位置に配置されるので、複数の遊技用代用貨幣が任意の向きで積み重ねられた場合にも、RFIDタグの間の距離の差分を比較的小さくすることができ、RFIDタグの読出しを安定させることがする。
【0044】
本発明の別の態様の遊技用代用貨幣は、少なくとも一方の面にくぼみ部分を有する受入パーツと、前記くぼみ部分にはめ込まれるセキュリティパーツとを備えた遊技用代用貨幣であって、前記セキュリティパーツは、複数のプラスチック層を含む積層構造を有し、層間にRFIDタグが内蔵されている構成を有している。
【0045】
この構成により、積層構造のセキュリティパーツを受入パーツのくぼみ部分に取り付けるだけでRFIDタグ内蔵の遊技用代用貨幣を構成することができる。
【0046】
本発明の一態様の遊技用代用貨幣の製造方法は、成形により、くぼみ部分を有する受入パーツを製造する工程と、複数のプラスチック層を層間にRFIDタグを挟んで一体化することでセキュリティパーツを製造する工程と、前記くぼみ部分に前記セキュリティパーツを接着する工程とを含んでいる。
【0047】
これにより、積層構造のセキュリティパーツを受入パーツのくぼみ部分に取り付けるだけでRFIDタグ内蔵の遊技用代用貨幣を構成することができる。
【0048】
本発明の別の態様の遊技用代用貨幣の製造方法は、成形により、くぼみ部分を有する受入パーツを製造する工程と、複数のプラスチック層を一体化することで積層構造体を製造する工程と、前記くぼみ部分と前記積層構造体とを、間にRFIDタグを挟んで接着する工程とを含んでいる。
【0049】
この構成により、セキュリティパーツを容易に製造することができ、RFIDタグ内蔵の遊技用代用貨幣を容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る遊技用代用貨幣の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る遊技用代用貨幣の断面の一部を模式的に示した断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る遊技用代用貨幣の製造過程を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る複数の遊技用代用貨幣を積み重ねた様子を示す模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る遊技用代用貨幣の断面の一部を模式的に示した断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る遊技用代用貨幣の製造過程を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第3の実施の形態の第1の例に係る遊技用代用貨幣の断面を示す模式図である。
【
図8】
図8は、本発明の第3の実施の形態の第2の例に係る遊技用代用貨幣の断面を示す模式図である。
【
図9】
図9は、RFIDタグを内蔵した従来の遊技用代用貨幣の断面を模式的に示した断面図である。
【
図10】
図10は、RFIDタグを内蔵した従来の遊技用代用貨幣を積み重ねた状態を示す模式図である。
【
図11】
図11は、RFIDタグを内蔵した従来の遊技用代用貨幣の断面を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下に、この発明に係る遊技用代用貨幣につき図面を参照しつつ詳細に説明する。以下では、本発明の実施の形態の遊技用代用貨幣として、円板形状のゲーミングチップを説明するが、下記実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。例えば、遊技用代用貨幣の形状は矩形板状であってもよいし、その他の形状であってもよい。また、遊技用代用貨幣は、プラークであってもよい。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものまたは実質的に同一のものが含まれる。
【0052】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る遊技用代用貨幣の斜視図である。
図1に示すように、遊技用代用貨幣100は板状であって、2つの平行な表面(おもて面及びうら面)を有する。また、遊技用代用貨幣100は円板形状である。遊技用代用貨幣100は、平面視(円形)で、受入パーツ10の中央に中心パーツ20、30を有している(中心パーツ30については、
図2を参照)。中心パーツ20、30は、デカールとも呼ばれる。
【0053】
図1では図示は省略しているが、遊技用代用貨幣100には、複数の価値ないし種類のいずれかが定義されており、価値ないし種類ごとに異なる外観を有している。例えば、価値ないし種類は、受入パーツ10の色によって表されてよい。また、例えば、受入パーツ10の円周状の側面に帯模様が付され、帯の色によって価値ないし種類が表されてもよい。さらに、中心パーツ20、30の表面には価値を示す数字が表記されている。また、遊技用代用貨幣100の外観には、通常の使用状況で視認可能な方法で、又は、視認不可能な方法で、当該遊技用代用貨幣100のID(例えば、識別コード、識別番号)が表記されてもよい。
【0054】
特に、後述するように、中心パーツ20は後述する積層構造体40とともにセキュリティパーツ50を構成する部品として、セキュリティに関する情報が表記されていてもよい。例えば、中心パーツ20には、当該遊技用代用貨幣100を唯一に特定するためのID(例えば、識別コード、識別番号)、当該遊技用代用貨幣100の価値又は種類を示す情報、真贋を判定するための情報等が、コード形式その他の形式で表記されていてよい。中心パーツ20に表記される情報は、可視光下で観察することで視認可能なインクで印刷されてよく、あるいは特殊な光の下で観察することで視認可能なインク(例えば、紫外線下で視認可能なUVインク、赤外光下で視認可能な赤外線吸収インク等)を用いて印刷されてもよい。
【0055】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る遊技用代用貨幣の断面の一部を模式的に示した断面図である。遊技用代用貨幣100は、受入パーツ10と、受入パーツ10の両側にそれぞれ設けられる2つの中心パーツ20、30とを備えている。中心パーツ20、30の直径は、受入パーツ10の直径より小さく、受入パーツ10の外周部によって囲まれている。
【0056】
中心パーツ20より内側には、積層造像体40が配置されており、中心パーツ20と積層構造体40とでセキュリティパーツ50が構成されている。積層構造体40は、2枚のプラスチック層41、43でRFIDタグ42を挟んだ構成を有している。プラスチック層41は白色のPETG樹脂(以下、「白色PETG」という。)からなり、プラスチック層43は透明のPETG樹脂(以下、「透明PETG」という。)からなる。プラスチック層41とプラスチック層43とは、RFIDタグ42を挟んで熱圧着されることで、RFIDタグ42を内蔵した積層構造体40を構成する。なお、RFIDタグ42は、プラスチック層41とプラスチック層43とが熱圧着されることで、プラスチック層41及びプラスチック層43にめり込んで、内部に保持されることになる。なお、プラスチック層41はその他の有色又は透明であってもよく、プラスチック層43は、白色その他の色であってもよい。また、プラスチック層41、43は、PETG樹脂に限られず、A-PETその他の素材であってもよい。
【0057】
受入パーツ10の2つの表面(おもて面及びうら面)の中央には、それぞれくぼみ部分11、12が形成され、セキュリティパーツ50及び中心パーツ30は、それぞれこれらのくぼみ部分11、12に受け入れられることで、遊技用代用貨幣100のおもて面及びうら面に、受入パーツ10と中心パーツ20及び中心パーツ30との間に実質的な段差のないフラットな面を有する遊技用代用貨幣100が構成される。受入パーツ10は、樹脂を成形することで製造される。これに代えて、受入パーツ10は、複数のプラスチック層を積層して製造されてもよく、あるいは、クレイ、セラミック、金属その他の材料で製造されてもよい。
【0058】
なお、
図2の例では、セキュリティパーツ50と受入パーツ10との区別を明確にするために、セキュリティパーツ50と受入パーツ10のくぼみ部分11との間に径方向の隙間が示されているが、実際には、このような隙間が実質的にないように、くぼみ部分11とセキュリティパーツ50との寸法設計が行われる。また、中心パーツ30と受入パーツ10のくぼみ部分12との隙間についても同様であり、実際には
図2に示されている隙間がないようにくぼみ部分12と中心パーツ30との寸法設計が行われる。
【0059】
中心パーツ20、30には、それぞれ受入パーツ10に受け入れられたときに内側となる面に印刷が施されており、この印刷によってインクからなる印刷層201、301が形成されている。中心パーツ20、30は、それぞれ透明であり、印刷層201、301は透明の中心パーツ20、30を介して遊技用代用貨幣100の外側から視認可能である。
【0060】
積層構造体40は、糊シート51によって受入パーツ10の深い方のくぼみ部分11の底に接着(固定)される。また、中心パーツ20は、積層構造体40のおもて側の面に接着剤によって接着される。
【0061】
中心パーツ20の厚さは0.2~0.4mmであり、本実施の形態では0.3mmである。プラスチック層41の厚さは0.8~1.2mmであり、その比重は2.00~2.30であり、本実施の形態では、厚さは1.0mm、比重は2.13である。RFIDタグ42はプリント方式のRFIDタグであり、その厚さは0.08~0.12mmであり、本実施の形態では0.1mmである。プラスチック層43の厚さは0.12~0.18mmであり、本実施の形態では0.15mmである。
【0062】
すなわち、内部にRFIDタグ43を保持する積層構造体40において、外側の層であるプラスチック層41の厚さは、内側の層であるプラスチック層43の厚さよりも十分に大きい。この構成によって、後述するように、RFIDタグ42を遊技用代用貨幣100の厚さ方向の中心により近く配置できる。
【0063】
セキュリティパーツ50と糊シート51とを合わせた厚さは、1.4~1.8mmであり、本実施の形態では1.55mmである。セキュリティパーツ50の比重は、中心パーツ30の比重より大きく、受入パーツ10の比重より小さい。
【0064】
糊シート51の厚さは0.05mm程度である。セキュリティパーツ50を受け入れる深いくぼみ部分11の深さは1.600~1.800mmであり、本実施の形態では1.675mmである。よって、このくぼみ部分11に、合計の厚さが1.55mmであるセキュリティパーツ50が0.05mmの糊シート51によって接着されることでセキュリティパーツ50の表面と受入パーツ10の表面とは、ほぼフラットになり、セキュリティパーツ50の表面が受入パーツ10の表面より0.075mm程度低くなる。
【0065】
中心パーツ30は透明PETGからなり、その上面(内側面)には印刷層301を有する。中心パーツ30の厚さは0.2~0.4であり、本実施の形態では0.3mmである。中心パーツ30は、両面に粘着性を有する糊シート52によって受入パーツ10のくぼみ部分12の底に接着される。中心パーツ30は透明であるので、印刷層301の印刷は、中心パーツ30を介して、遊技用代用貨幣100の外部から視認可能である。
【0066】
糊シート52の厚さは0.5mm程度である。中心パーツ30を受け入れる浅いくぼみ部分12の深さは0.45mmである。よって、このくぼみ部分12に厚さ0.3mmの中心パーツ30が0.05mmの糊シート52によって接着されることで、中心パーツ30の表面と受入パーツ10の表面とは、ほぼフラットになり、中心パーツ30の表面が受入パーツ10の表面より0.1mm程度低くなる。
【0067】
セキュリティパーツ50を受け入れるくぼみ部分11の深さは、遊技用代用貨幣100の厚さの25%~65%であることが好ましく、より好ましくは40~55%であり、本実施の形態では50%である。
【0068】
遊技用代用貨幣100の厚さは3.35mmである。よって、セキュリティパーツ50を受け入れる受入パーツ10のくぼみ部分11は、受入パーツ10の外周部の厚さ(即ち、遊技用代用貨幣の厚さ)の半分であり、くぼみ部分11の底は受入パーツ10の厚さ方向の中心に位置している。このように、くぼみ部分11が十分深く形成され、そこに受け入れられるセキュリティパーツ50において、RFIDタグ42が遊技用代用貨幣100の厚さ方向の中心寄りに偏って配置されることで、RFIDタグ42の遊技用代用貨幣100における厚さ方向の位置が、遊技用代用貨幣100の厚さ方向の中心に寄ることになる。
【0069】
RFIDタグ42の遊技用代用貨幣100における厚さ方向の中心からのオフセット量は、小さいことが好ましく、具体的には0.4mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.375mm以下である。本実施の形態では、オフセット量は、0.25mm程度である。このオフセット量は、遊技用代用貨幣100の厚さの0~25%であることが好ましく、より好ましくは0~10%であり、本実施の形態では約7.5%である。
図2には、遊技用代用貨幣100の厚さ方向の中心を示す線71と、オフセット量が25%である位置を示す線72が示されている。
【0070】
RFIDタグ42には、各種の情報が記録される。RFIDタグ42には、当該遊技用代用貨幣100の外観から得られる情報(例えば、価値ないし種類の情報)、当該遊技用代用貨幣100のID(例えば、識別コード、識別番号等)等の固定情報が記録される。RFIDタグ42には、印刷層201及び301で表される情報(例えば、価値ないし種類、ID等)と関連する情報が記録されてよい。RFIDタグ42は、RFIDリーダライタによって書き換え可能な書換可能領域を備えていてよい。書換可能領域には、遊技用代用貨幣100の所有者の履歴等の変動情報が記録される。
【0071】
中心パーツ20にセキュリティ情報が表記されている場合には、当該セキュリティ情報とRFIDタグ42に記録される情報とがデータベースにおいて関連付けられていてもよい。このような遊技用代用貨幣100は、テーブルその他の場所でRFIDタグ42を読み取る際、あるいは専ら検査をする際に、検査装置を用いて、ID、真贋、その他の検査をすることができる。検査装置は、中心パーツ20に表記されたセキュリティ情報を読み取るとともに、RFIDタグ42を読み取り、それらをデータベースで照合することで、遊技用代用貨幣100を検査することができる。
【0072】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る遊技用代用貨幣の製造過程を示す図である。
積層構造体40のプラスチック層43となる透明PETGのシートとプラスチック層41となる白色PETGのシートとの間にプリント方式のRFIDタグ42を挟んでそれらを熱圧着し、円形にくり抜くことによって積層構造体40を形成する。この積層構造体40のプラスチック層41と中心パーツ20の印刷層201とを接着剤で接着することで、積層構造体40と中心パーツ20とを一体化してセキュリティパーツ50を構成する。
【0073】
受入パーツ10は樹脂を成形することによって製造する。上述のようにして形成された円形のセキュリティパーツ50を受入パーツ20の深い方のくぼみ部分11の底に対して、両面に粘着性を有する糊シート51によって接着する。
【0074】
また、中心パーツ30についても同様に、透明PETGのシートに印刷を施して円形にくり抜くことによって、印刷層301を有する中心パーツ30を形成する。このようにして形成された円形の中心パーツ30を浅い方のくぼみ部分12の底に対して、両面に粘着性を有する糊シート52によって接着する。
【0075】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る複数の遊技用代用貨幣を積み重ねた様子を示す模式図である。上述のように、本実施の形態では、遊技用代用貨幣100の厚さ方向の中心からのRFIDタグ42のオフセット量が比較的小さい。よって、
図4を
図10と比較すると明らかなように、複数の遊技用代用貨幣100が任意の向きで重ねられた場合にも、隣り合うRFIDタグ42の距離の差は比較的小さくなる。これにより、RFIDリーダで、積み重ねられた複数の遊技用代用貨幣100を一括して読む場合にも読取りを安定させることができる。
【0076】
本実施の形態によれば、
図11に示したカプセルの内部にRFIDタグを内蔵させるという発想ではなく、
図9に示したように、受入パーツにデカールとよばれる中心パーツをはめ込んで接着するという構成を踏襲しつつ、そのような中心パーツにRFIDタグを内蔵させるという構成を採用しているので、製造コストを抑えることができる。さらに、
図9に示す従来の構造ではデカールを剥がすことでRFIDタグが露出してしまう構成であったところ、本実施の形態の遊技用代用貨幣100では、受入パーツ10のくぼみに設置するセキュリティパーツ(
図9の従来技術の中心パーツに相当する)の内部にRFIDタグ40を内蔵させたので、中心パーツ20ないしセキュリティパーツ50を剥がしたとしてもRFIDタグ42が露出することはなく、よってセキュリティを確保できる。
【0077】
なお、上記の実施の形態では、複数のプラスチック層を熱圧着することで積層構造体40を構成したが、これに代えて、複数のプラスチック層を接着剤で接着することで積層構造体40を構成してもよい。また、積層構造体40に代えて、RFIDタグ42をインサート部品とするインサート成形によってRFIDタグ42を保持するパーツが製造されてもよい。
【0078】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る遊技用代用貨幣の断面の一部を模式的に示した断面図である。第2の実施の形態では、下面に印刷層201を有する中心パーツ20とプラスチック層41とが接着剤で接着されて、その下面にRFIDタグ42が配置されて、セキュリティパーツ50´が構成される。すなわち、本実施の形態では、RFIDタグ42は、セキュリティパーツ50´の内側表面に設けられる。
【0079】
中心パーツ20は透明PETGであり、その厚さは0.2mm~0.3mmであり、本実施の形態では0.25mmである。プラスチック層41は白色PETGであり、その厚さは0.7~0.8mmであり、本実施の形態では0.76mmである。RFIDタグ42はプリント方式のRFIDタグであり、その厚さは0.08~0.12mmであり、本実施の形態では0.1mmである。セキュリティパーツ50は、全体で1.0~1.2mmであり、本実の形態では、1.11mmである。
【0080】
糊シート51の厚さは、0.075mm程度である。セキュリティパーツ50´を受け入れる深いくぼみ部分11の深さは、1.260~1.300mmであり、本実施の形態では1.285mmである。よって、このくぼみ部分11に厚さ1.11mmのセキュリティパーツ50´が0.075mmの糊シート51によって接着されることで、セキュリティパーツ50´の表面と受入パーツ10の表面とは、ほぼフラットになり、セキュリティパーツ50´の表面が受入パーツ10の表面より0.1mm程度低くなる。
【0081】
セキュリティパーツ50´を受け入れるくぼみ部分11の深さは、遊技用代用貨幣100の厚さの約38%である。このように、くぼみ部分11が十分深く形成され、そこに受け入れられるセキュリティパーツ50において、RFIDタグ42が遊技用代用貨幣100の厚さ方向の中心寄りに偏って配置されることで、RFIDタグ42の遊技用代用貨幣100における厚さ方向の位置が、遊技用代用貨幣100の厚さ方向の中心に寄ることになる。
【0082】
上述のように、RFIDタグ42の遊技用代用貨幣101における厚さ方向の中心からのオフセット量は、小さいことが好ましく、本実施の形態では、オフセット量は、0.515mm程度である。このオフセット量は、遊技用代用貨幣100の厚さの約15.4%である。
【0083】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る遊技用代用貨幣の製造過程を示す図である。まず、下面(内側面)に印刷層201を有する透明PETGの中心パーツ20と、白色PETGのプラスチック層41とを接着剤で接着して積層構造体を構成する。成形によって受入パーツ10を作成して、深いくぼみ部分11の底に糊シート51、RFIDタグ42、積層構造体をこの順で積層して、糊シート51と積層構造体との間にRFIDタグ42を挟んで、積層構造体を糊シート51の上面に接着させて、くぼみ部分11に固定する。このとき、積層構造体とその表面に設けられたRFIDタグ42とでセキュリティパーツ50が構成される。中心パーツ30については、第1の実施の形態と同様である。
【0084】
第2の実施の形態によれば、複数のプラスチック層の間にRFIDタグ42を挟んだ上で複数のプラスチック層を熱圧着するという煩雑な処理が不要となり、製造が容易になる。
【0085】
なお、本実施の形態において、プラスチック層41に相当する部材を成形によって生成してもよいし、複数のプラスチック層を重ねて熱圧着することで形成されてもよい。
【0086】
また、上記の実施の形態では、RFIDタグ42とくぼみ部分11の底との間に接着剤である糊シート51を設けたが、これに加えて、RFIDタグ42とプラスチック層41との間にも糊シートを設けて、セキュリティパーツ50´をくぼみ部分11から剥がそうとしたときに、RFIDタグ42が破壊されることを促すようにしてよい。
【0087】
(第3の実施の形態)
図7は、本発明の第3の実施の形態の第1の例に係る遊技用代用貨幣の断面を示す模式図である。上述のように、遊技用代用貨幣の一方の表面のくぼみ部分11を深くして、セキュリティパーツ50を配置し、他方の表面のくぼみ部分12を浅くして、中心パーツ30を配置することで、遊技用代用貨幣は、厚さ方向に従量のバランスが取れなくなる。すなわち、セキュリティパーツ50の比重が中心パーツ30の比重より大きい場合には、セキュリティパーツ50が設けられる側の方が重たくなる。
【0088】
そこで、本実施の形態では、遊技用代用貨幣102の厚さ方向の中心からから偏った位置に錘部材61を設ける。この錘部材61は、遊技用代用貨幣102の表面の中心を基準とする点対称の形状を有する。本実施の形態では、厚さ方向の中心よりも、セキュリティパーツ50がない側に錘部材61を設けて、遊技用代用貨幣102の厚さ方向の中心を基準とする重量のバランスをとるようにしている。錘部材61の比重は、受入パーツ10の比重より大きい。錘部材61は、例えば、鉛等の比重の重い金属からなる。また、錘部材61は、円環状であり、受入パーツ10のくぼみ部分11、12の外側にインサート成形によって内蔵される。
【0089】
このように、錘部材61によって、遊技用代用貨幣102における厚さ方向の中心を基準としたセキュリティパーツ50側と、中心パーツ30側との重さをバランスさせる。なお、錘部材61によって両側の重量が完全に等しくならなくとも、アンバランスを緩和するものであればよい。
【0090】
図8は、本発明の第3の実施の形態の第2の例に係る遊技用代用貨幣の断面を示す模式図である。本例の遊技用代用貨幣103では、中心パーツ30を受け入れるくぼみ部分12の底の中心に錘部材62を埋め込んでいる。錘部材62の比重は受入パーツ10の比重より大きい。この例によってもセキュリティパーツ50を設けたことによる遊技用代用貨幣103の重量のアンバランスが解消ないし緩和される。
【0091】
なお、セキュリティパーツ50、中心パーツ30、及び受入パーツ10の比重の大小関係により、セキュリティパーツ50を設けた側の方が軽くなる場合には、セキュリティパーツ50を設けた側に錘部材を配置させることで、重量のアンバランスが解消ないし緩和される。
【0092】
以上のように、本発明の実施の形態の遊技用代用貨幣では、受入パーツ10は、一方の面に深さの浅いくぼみ部分12を有し、他方の面にくぼみ部分12より深いくぼみ部分11を有する。中心パーツ30は、くぼみ部分12にはめ込まれ、セキュリティパーツ50は、くぼみ部分11にはめ込まれる。その結果、セキュリティパーツ50が有するRFIDタグ42は、くぼみ部分11の、くぼみ部分12の深さより深い位置に配置されることになる。このようにRFIDタグ42を有するセキュリティパーツ50を深いくぼみ部分11にはめ込むので、遊技用代用貨幣の厚さ方向の中心からのRFIDタグ42の偏りであるオフセット量を従来と比較して小さくできる。
【0093】
特に、第1の実施の形態では、RFIDタグ42が予め積層構造体40に内蔵された状態で受入パーツ10に受け入れられるので、RFIDタグ42を受入パーツ10のくぼみ部に配置する際にRFIDタグ42に応力がかかったり、RFIDタグ42が擦れたりして、RFIDタグ42が故障する等の不具合が生じることを防止できる点で有利である。
【0094】
また、上記の実施の形態では、錘部材が遊技用代用貨幣の厚さ方向の中心から偏った位置に配置されたが、これに加えて、あるいはこれに代えて、遊技用代用貨幣の厚さ方向に非対称の形状を有するものであってもよい。また、遊技用代用貨幣の厚さ方向に非対称の形状を有する錘部材が遊技用代用貨幣の中心を跨ぐように配置されていてもよい。
【0095】
また、上記の実施の形態では、1つの遊技用代用貨幣に1つのセキュリティパーツが設けられたが、1つの遊技用代用貨幣に複数のセキュリティパーツが設けられてもよい。この場合に、1つのセキュリティパーツが一方の表面側に設けられ、もう1つのセキュリティパーツがもう一方の表面側に設けられてよい。このような2つのセキュリティパーツにおけるRFIDタグのオフセット量をいずれも25%とすることで、複数の遊技用代用貨幣を任意の向きで積み重ねた場合に、RFIDタグの間隔を一様に遊技用代用貨幣の厚さの50%とすることができる。
【0096】
また、上記の実施の形態では、中心パーツ20、30を透明PETGで構成して、その内側面に印刷を施したが、中心パーツ20、30に代えて、シールが用いられてもよい。この場合には、上記の実施の形態における各くぼみ部分11、12は、中心パーツ20、30とシールとの厚さの差に相当する分だけ浅く形成されてよい。あるいは、セキュリティパーツを受け入れるくぼみ部分11の反対側にはくぼみ部分を設けないようにしてよい。また、上記の実施の形態における中心パーツ20を省略して、プラスチック層41の表面に印刷をしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
10 受入パーツ
11、12 くぼみ部分
20、30 中心パーツ
201、203 印刷層
40 積層構造体
41、43 プラスチック層
42 RFIDタグ
50 セキュリティパーツ
51、52 糊シート
61、62 錘部材
100~103 遊技用代用貨幣