(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162571
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】自由空間の光通信に用いる光送受信器
(51)【国際特許分類】
H04B 10/118 20130101AFI20241114BHJP
【FI】
H04B10/118
【審査請求】未請求
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078201
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】518236960
【氏名又は名称】株式会社ワープスペース
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日野 泰守
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA15
5K102AA23
5K102AA24
5K102AB07
5K102AL23
5K102AL28
5K102PB01
5K102PH01
5K102PH11
5K102PH25
5K102PH31
5K102PH36
5K102PH41
5K102RB02
5K102RD28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】格段に光学系の構成を簡素になり、ポイントアヘッド精度が高く高転送レートで低レーテンシーで宇宙空間での安定運用が可能な光通信機を提供する。
【解決手段】自由空間で円偏光の光を用いてデータ通信を行うために通信相手側の衛星401からの受信光を受信すると共に通信相手にデータための送信光を送出する送受信アンテナと、受信光を用いて通信相手側の衛星をトラッキングするためのガイド機構(ジンバル機構402、2軸ステアリングミラー409)と受信光の角度を検出する角度検出器と角度検出器の出力を用いガイド機構の制御を行い、通信相手側の衛星をトラッキングするトラッキング制御器を有する光通信機において、送信光と受信光が共に通過し概ね送信光に空間位相変調がなされる空間光位相変調器411を備える。
【選択図】
図4-4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由空間で円偏光の光を用いてデータ通信を行うために通信相手側からの受信光を受信すると共に前記通信相手にデータための送信光を送出する送受信アンテナと前記受信光を用いて相手方の衛星をトラッキングするためのガイド機構と前記受信光の角度を検出する角度検出器と角度検出器の出力を用い前記ガイド機構の制御を行い前記通信相手をトラッキングするトラッキング制御器を有する光通信機において、前記送信光と前記受信光が共に通過し概ね送信光に空間位相変調がなされる空間光位相変調器を備えたことを特徴とする光通信機。
【請求項2】
請求項1に記載の光通信機において、前記受信光と前記送信光が空間的にほぼ同一の点から出射もしくは前記ほぼ同一の点に入射する光学光路を備えたことを特徴とする光通信機。
【請求項3】
請求項1に記載の光通信機において、前記空間光位相変調器が入射する光の偏光方向の違いにより位相変調量が異なる空間光位相変調器であることを特徴とした光通信機。
【請求項4】
請求項3に記載の光通信機において、前記空間光位相変調器がLCOSで行使されていることを特徴とした光通信機。
【請求項5】
請求項1に記載の光通信機において、入射する光の波長の違いにより位相変調量が異なる空間位相変調器であることを特徴とした光通信機。
【請求項6】
請求項1に記載の光通信機において、前記送信光に空間光位相変調を行うためのパターンを保持もしくは生成し前記空間位相変調器に空間位相変調パターンを設定する制御処理ブロックを備えたことを特徴とする光通信機。
【請求項7】
請求項1に記載の光通信機において、前記送信光と前記受信光の前記送受信アンテナに対するアパーチャーが前記送信光の方が小さいことを特徴とする光通信機。
【請求項8】
請求項1に記載の光通信機において、前記トラッキング制御器が光の方向を変更する角度範囲の広い租調整機構と光の方向を変更する範囲が狭い精調整機構を制御対象として制御を行い、前記精調整機構が2軸もしくは3軸の方向に稼働する光学素子で構成されていることを特徴とする光通信端末。
【請求項9】
請求項8に記載の光通信機において、前記精調整機構の光学素子が集光レンズであることを特徴とする光通信端末。
【請求項10】
請求項2に記載の光通信機において、前記送信光と前記受信光を入力が光ファイバー入力で構成され、入力された前記受信光と前記送信光が光サーキュレータで結合され前記空間的なほぼ同一の点を形成することを特徴とする光通信機。
【請求項11】
請求項2に記載の光通信機において、前記空間的なほぼ同一の点に光ファイバーで結合されることを光通信機。
【請求項12】
請求項6に記載の光通信機において、前記制御処理ブロックが空間光位相変調を行うためのパターンを2つ以上保持し、前記空間位相変調器の応答速度より早い速度で2つ以上のパターンを切り替えることを特徴とする光通信機。
【請求項13】
請求項7に記載の光通信機において、前記受信光の周辺部の光から前記受信光の角度を検出する角度検出器を備えたことを特徴とする光通信機。
【請求項14】
自由空間で円偏光の光を用いてデータ通信を行うために通信相手側からの受信光を受信すると共に前記通信相手にデータための送信光を送出する送受信アンテナと前記受信光を用いて相手方の衛星をトラッキングするためのガイド機構と前記受信光の角度を検出する角度検出器と角度検出器の出力を用い前記ガイド機構の制御を行い前記通信相手をトラッキングするトラッキング制御器を有する光通信機において、前記送信光と前記受信光が共に通過し概ね受信光に空間位相変調がなされる空間光位相変調器を備えたことを特徴とする光通信機。
【請求項15】
請求項14に記載の光通信機において、前記受信光と前記送信光が空間的にほぼ同一の点から出射もしくは前記ほぼ同一の点に入射する光学光路を備えたことを特徴とする光通信機。
【請求項16】
請求項14に記載の光通信機において、前記空間光位相変調器が入射する光の偏光方向の違いにより位相変調量が異なる空間光位相変調器であることを特徴とした光通信機。
【請求項17】
請求項16に記載の光通信機において、前記空間光位相変調器がLCOSで行使されていることを特徴とした光通信機。
【請求項18】
請求項14に記載の光通信機において、入射する光の波長の違いにより位相変調量が異なる空間位相変調器であることを特徴とした光通信機。
【請求項19】
請求項14に記載の光通信機において、前記受信光に空間光位相変調を行うためのパターンを保持もしくは生成し前記空間位相変調器に空間位相変調パターンを設定する制御処理ブロックを備えたことを特徴とする光通信機。
【請求項20】
請求項14に記載の光通信機において、前記送信光と前記受信光の前記送受信アンテナに対するアパーチャーが前記送信光の方が小さいことを特徴とする光通信機。
【請求項21】
請求項14に記載の光通信機において、前記トラッキング制御器が光の方向を変更する角度範囲の広い租調整機構と光の方向を変更する範囲が狭い精調整機構を制御対象として制御を行い、前記精調整機構が2軸もしくは3軸の方向に稼働する光学素子で構成されていることを特徴とする光通信端末。
【請求項22】
請求項21に記載の光通信機において、前記精調整機構の光学素子が集光レンズであることを特徴とする光通信端末。
【請求項23】
請求項15に記載の光通信機において、前記送信光と前記受信光を入力が光ファイバー入力で構成され、入力された前記受信光と前記送信光が光サーキュレータで結合され前記空間的なほぼ同一の点を形成することを特徴とする光通信機。
【請求項24】
請求項15に記載の光通信機において、前記空間的なほぼ同一の点に光ファイバーで結合されることを光通信機。
【請求項25】
請求項19に記載の光通信機において、前記制御処理ブロックが空間光位相変調を行うためのパターンを2つ以上保持し、前記空間位相変調器の応答速度より早い速度で2つ以上のパターンを切り替えることを特徴とする光通信機。
【請求項26】
請求項20に記載の光通信機において、前記受信光の周辺部の光から前記受信光の角度を検出する角度検出器を備えたことを特徴とする光通信機。
【請求項27】
請求項19に記載の光通信機において、前記制御処理ブロックが前記光通信機の状態を入力として、前記入力に応じて複数のパターンを切り替える事を特徴とした光通信機。
【請求項28】
請求項27に記載の光通信機において、前記光通信機の状態がアクエジションフェーズでは制御用の光量が通信用の光量よりも大きくパターンを設定し、トラッキングフェーズでは制御用の光量が通信用の光量よりも小さくなるパターンを設定する設定する制御ブロックを備えたことを特徴とする光通信機。
【請求項29】
請求項27に記載の光通信機において、前記光通信機の状態がアクエジションフェーズでは前記空間位相変調器に前記空間位相変調器の中心に照射された光は空間位相変調がなされず、中心以外に照射された光は中心部に向かって光軸が傾く空間変調パターンを設定する制御ブロックを備えたことを特徴とする光通信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自由空間での相互光通信を実現する光通信装置に用いる光送受信機に関する技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線による通信では利用できる電波の周波数帯域が多くの通信方式によって既に使用されており新たに使用できる電波帯域の枯渇が発生し、通信速度の向上や通信端末数の増加などに対応できず大きな問題が発生している。この電波帯域の枯渇問題を解消するために、現在、送信キャリアとして光を用いた光通信方式が盛んに研究されている。光による地上での通信は、遮断物や天候によって通信が容易に遮断されるために電波による通信に優位性がある。しかしながら宇宙空間では、この光の直進性の良さによって送信電力を低下、高速の通信が実現など非常に大きなメリットがあるため実用化に向けての様々な取り組みが行われている。光通信技術は、主に「ビームステアリング技術」、「高速追尾技術」、「送受信偏光分離技術」、「アダプティブ光学技術」の4要素の技術によって構成されており、それぞれの技術を改善する事で、より高速で信頼性の高い通信技術として実用化に向けた取り組みが行われている。以下、これらの主要4要素技術に関して従来例を交えて説明を行う。
【0003】
「ビームステアリング技術」は、光通信端末の指向性を向上させ、衛星の移動に追従しながら信号を送受信できるように技術である。非特許文献1の1060ページには、高速で移動する衛星に対して衛星間の相対速度を考慮した送信光ビームのステアリング技術が開示されており、この技術について
図1を用いて説明を行う。
図1において101は、光通信で衛星1、102は101に搭載された受信光アンテナ、103は101に搭載された送信光アンテナ、104は衛星105からの送信光、105は衛星1と通信を行う衛星2、106は102に搭載された送信光アンテナ、107は102に搭載された受信光アンテナ、108は101の衛星1から出射された送信光である。
図1は相互に通信を行う101と105の2つの衛星が8km/sの相対速度で移動しているケースを示している。それぞれの衛星に搭載されている送信および受信用の光通信アンテナ(102,103,106,107)は開口径が9cm、通信に用いる光波長は101の衛星1から105の衛星2への通信が1550nm、105の衛星2から101の衛星1への通信が1570nmである。宇宙空間で衛星間での光通信を行う際に、これらパラメータは一般的な数値である。データの受信は、例えば
図1に示したように105の衛星2から出射した送信光104を頼りに、受信アンテナ102の方向に正しく制御することができれば、105の衛星2からの送信光104を受信できるため105の衛星2からのデータ受信は成立する。これは105の衛星2が101の衛星1からのデータを受信する際にも同様である。一方で、衛星1および衛星2からデータを送信する際には、お互いの相対速度を考慮した光ビームステアリング制御が必要となる。
図1は、101の衛星1が105の衛星2に送信光108を出射する際の状況を示しており、101の衛星1は105の衛星2の送信光104を受信して受信光アンテナ102の方向を精度よく制御を行っているが、同じ方向に送信光アンテナ103を向けて光を送信しても105の衛星2には到達しない。これは、101の衛星1と105の衛星2は、
図1の例では、相対速度が8km/sで移動しており、105の衛星2から光を出射して101の衛星1に到達した後に101の衛星が105の衛星2に向かって光を照射して105の衛星2に光が到達するまでの時間で101と102の衛星の位置関係が変化するためである。102衛星に送信光を照射するには、101の衛星1は送信する光ビーム108の方向を移動する2つの衛星の位置関係の変化を考慮した方向に正確に制御をする必要が発生する。
図1には2000km離れた衛星に開口径8cmの送信アンテナで平行光を送信した例を示しており、この場合、送信光の広がり角は0.00126°となる。これは光の到達時間に変化する衛星間の相対位置関係で発生する角度差の0.00305°より小さいために、2つの衛星の位置関係を考慮して送信アンテナ103の角度制御をおこなわないと通信が行えない事を意味している。この位置関係を考慮した送信アンテナ103の制御は、ポイントアヘッド制御と言われており、多くの衛星間の光通信端末間で導入されている。このポイントアヘッド制御に関しては、特許文献1や特許文献2に開示されている。特許文献1や特許文献2に開示されている技術は、ポイントアヘッド技術に加えて「高速追尾技術」と「送受信偏光分離技術」を利用することによって光通信端末を実現しており、これらの技術について特許文献1や特許文献2の開示内容に基づき
図2を用いて説明する。
【0004】
図2において、201は光通信を行う相手側の衛星、202は光通信端末の光学系部分が乗ったジンバル機構、203は光通信端末のメカ制御や通信データの送受信の処理を行うデータ信号処理・制御処理ブロック、204は光アンテナの鏡筒、205は光アンテナ鏡筒204をチルト方向に回転させるジンバル機構、206は光アンテナ鏡筒204を平面内で回転させるジンバル機構、207は通信光を集光させる集光ミラー、208は集光ミラー207からの光を平行光として反射させる凸形状ミラー、209は光通信光のビーム角度を変化させる2軸ステアリングミラー、210は1/4λ板、211は光通信光の偏光面の状態によって反射または透過させる偏光ビームスプリッタ、212は通信光の70%を反射させ30%を透過させるビームスプリッタ、213はビームスプリッタ212で反射した光を光ファイバーに結合させるための集光レンズ、214は光ファイバーを固定するファイバーコネクタ、215は光ファイバー、216は受信光の光強度を増幅する受信光アンプ、217は光ファイバー、218はデータ受信用のInGaAsフォトダイオード、219は212のビームスプリッタを通過した光を更に1対1に分割するビームスプリッタ、220は219のビームスプリッタで反射した光ビームのサイズを小さくする集光レンズ、221は220で集光された光の位置から通信光の荒い角度を検出する4分割のInGaAsフォトダイオードで構成された粗角度検出センサー、222は219で分割された透過光のビームサイズを小さくする集光レンズ、223は222で集光された光の位置から通信光の高精度の角度を検出する4分割のInGaAsフォトダイオードで構成された精角度検出センサー、224は203のデータ信号処理・制御処理ブロックから出力された送信データに応じて出力をオン・オフする送信レーザ、225は光ファイバー、226は送信レーザ224の出力を増幅する送信光アンプ、227は光ファイバー、228は光ファイバーコネクタ、228は光ファイバーコネクタ228の出力を平行光に変換する集光レンズ、230は、前述したポイントアヘッド制御を実現する2軸ポイントアヘッドミラー、231は2軸ポイントアヘッドミラーの角度を校正する校正用のレーザ、232は光ファイバー、233は1/4波長板、234は調整光を入射した方向と同じ方向に反射させるレトロリフレクタである。226の光ファイバーと231の光ファイバーは融合結合されており、レーザ223とレーザ230から出射した光は、この融合部で結合して同一の光ファイバーコネクタ227より出射される。
【0005】
まず、
図2を用いて光通信端末からデータを衛星201に送信する際の送信光の経路について説明を行う。衛星201に出射される通信光は203のデータ信号処理・制御処理ブロックから出力された送信データは、224の送信レーザに入力され224の送信レーザは入力された送信データに応じてオン・オフされ、225の光ファイバーを通じて226の光アンプに入力され約100倍に増幅され5ワットの出力まで増幅される。226の光アンプから出力された光は227の光ファイバーを通じて集光レンズ229の焦点位置に配置された光ファイバーコネクタ228と結合して平行光に変換され、230の2軸ポイントアヘッドミラーに入射する。2軸ポイントアヘッドミラー230は、通信を行う衛星間で予め交換されている軌道情報に基づいて相対速度を求めることで、その速度に対応する角度を設定することで送信光の角度が前述したビームアヘッド制御される。230で角度制御された送信光はP偏光のため211の偏光ビームスプリッタを通過し、210の1/4波長板を通過する事で円偏光となり、209のステアリングミラーで正確に衛星の方向に制御され、208の凸形状ミラーと207の集光ミラーを経由して平行光で衛星201に向かって照射される。
【0006】
一方、衛星201から出射された円偏光の光は、受信光として204の光アンテナの鏡筒を通過して207の集光ミラーで集光され208の凸ミラーで平行光に変換される。平行光は、更に209のステアリングミラーで反射され、210の1/4波長板を通過してS偏光に変換されるために、211の偏光ビームスプリッタで反射され212のビームスプリッタに入射する。212のビームスプリッタに入射した光は212のビームスプリッタで70%の光を反射させ受信データを復調するための信号として利用される。この反射光は、213の集光レンズを通して214の光ファイバーコネクタ、215の光ファイバーを通じて216の光アンプに導かれ100倍に増幅された後に、218のInGaAsフォトダイオードで電気信号に変換され、203のデータ信号処理・制御処理ブロックにおいて通信データが復調される。212のビームスプリッタを通過した光は、219のビームスプリッタで更に1対1に分割され反射光と透過光に分かれる。反射光は集光レンズ220によって集光され、センサー部分が4分割に分割されたInGaAsフォトダイオード221に入射する。透過光も集光レンズ222を通過後にセンサー部分が4分割に分割されたInGaAsフォトダイオード223に入射する。集光レンズ220と222は、焦点距離がそれぞれ異なっており、一般的に221の粗角度検出センサーは受信光の方向を±0.2度程度の比較的広い角度範囲で、223の精角度検出センサーは±0.006度と高感度で検出できる光学構成が用いられる。安定な光通信を実現するためには、受信用のファイバー215に安定に受信光を導く必要があり、そのために必要な制御角度精度は±0.0001度程度が要求され、一方で衛星が通信を開始する際には、お互いの衛星の位置情報に誤差があり、±0.2度程度の通信光の角度誤差が発生するために±0.2度程度の角度ずれに対しても制御が可能で、その制御精度は±0.0001度を実現する必要がある。このために光通信端末は、誤差検出範囲が比較的大きい粗角度検出センサー221と精角度センサー223によって、誤差が大きい場合の角度制御時には221の粗角度検出センサーの情報を用い、ある程度制御によって誤差が小さくなり223の精調整角度検出センサーの検出範囲内に入った後は、223の精調整角度検出センサーの情報を用いて制御を行う方式が一般的に用いられている。これらの制御は、粗角度検出センサー221と精角度検出センサー221にそれぞれ入力されている光量によって221と223の角度誤差信号を切り替えながら制御を行う事で実現できる。また適切な割合で221と223の角度誤差信号を加算して制御を行う事でも実現可能である。これらの制御を行っているのが203のデータ信号処理・制御処理ブロックである。203の制御ブロックは、ジンバル機構202と2軸ステアリングミラー209に接続されており、制御を行う周波数帯域と制御角度範囲に応じてジンバル機構202と2軸ステアリングミラー209を適切に制御し、受光した受信光を安定に215の光ファイバーに結合させる。シングルモードの光ファイバーは、そのコア系が10μm前後のため安定に受信光を213の集光レンズで集光し215の光ファイバーに安定に結合させために必要な受信光の制御角度精度は±0.0001度程度となる。一般的に光アンテナの鏡筒204は重量が重く、これを可動させるジンバル機構204と205の制御帯域は10から30Hz程度となる。しかし高速で移動する衛星を追随し衛星内の振動で発生する揺れによる受信光の角度ずれを±0.0001度以下に補正するためには、一般的に300Hz以上の制御帯域を持つ制御システムが必要になる。これを実現するための技術が「高速追尾技術」である。この「高速追尾技術」を実現するために
図2の従来例では、209の2軸ステアリングミラーを備えた構成となっている。209の2軸ステアリングミラーは、通信光の角度をコントロール出来る角度範囲は±2度程度だが、可動部であるミラーの重量が軽いために高い帯域まで制御が可能となる。203の制御ブロックは、221と223の角度誤差信号を帯域分割して低速で応答が必要だが広い可動範囲が必要な制御はジンバル機構202を制御し、高速な通信光の角度変動要素に対しては209のステアリングミラーを制御する事で、広い応答範囲と広い制御周波数特性を実現している。「高速追尾技術」は、この様に広帯域のステアリングミラー209を用いて従来の30Hz程度から約10倍の300Hzと高いゲイン交点を持つ制御特性を実現し制御精度を向上させる技術である。
【0007】
「送受信偏光分離技術」は、前述したポイントアヘッドを行うために光の偏光特性を利用して送信光と受信光の光路を分離する技術である。従来例の実施形態である
図2の光通信端末は、送信光の発光点である228の光ファイバーコネクタと受信光の受光点である214の光ファイバーコネクタは空間的に別々の場所に分離されており、送信光だけがポイントアヘッドミラー230を通過し、偏光ビームスプリッタ211で同一の光路に合成されている。この送信光と受信光の光路を分離する構成によって送信の通信光の方向と受信の受信光の角度を変える事が出来ており、これを実現するのが「送受信偏光分離技術」である。安定に通信を行うには、ポイントアヘッドミラー230は、±0.0002度程度の精度で正確に制御する必要がある。
【0008】
しかしながら、一般的なポイントアヘッドミラー230はミラーをボイスコイル等で傾ける機構のためにフィードフォワード制御で±0.0002度の精度を実現する事は非常に難しく、ポイントアヘッドミラー230を駆動した駆動量と実際にミラーが傾いた量の関係を測定して校正を行うプロセスが必要となる。そのプロセスを実行するための光学系が、
図2の従来の光通信端末には搭載されている。この校正系の動作について、
図2を用いて以下説明を行う。231の校正用レーザは偏光面が224受信光と同じS偏光方向に配置されており、231の校正用レーザは232の光ファイバーに結合したのちに送光用の光ファイバー227と融合して228の光ファイバーコネクタより出射され229の集光レンズで平行光に変換された後に、ポイントアヘッドミラー230で反射され偏光ビームスプリッタ211に入射する。校正用のレーザはS偏光であるためビームスプリッタ221で反射され1/4波長板233に入射し円偏光となり、レトロリフレクタで入射した方向と同じ角度で反射され再度1/4波長板を通過してP偏光となり偏光ビームスプリッタ211を透過する。透過した校正用レーザ光は受信光と同様に粗角度検出センサー221と精角度センサー223で校正用レーザの光軸の角度が検出される。ビームアヘッドミラー230の駆動量を変化させながら、この校正用レーザの光軸の角度を逐次測定する事で、ビームアヘッドミラー230の駆動量と光軸の角度の関係を取得する事ができる。従来の光通信端末は、この校正処理を行う事でフィードフォワードでありながら正確なビームアヘッド制御を実現する。
【0009】
最後に「アダプティブ光学システム」について、
図3を用いながら説明を行う。「アダプティブ光学システム」は、例えば衛星と衛星の地上局間のような、大気中での光通信を高精度に行う際に用いられる技術である。大気の乱れによって引き起こされる光通信信号の劣化を補正する技術である。
図3の光通信端末は、
図2で説明を行った従来の光通信端末に、液晶素子で構成した送信光の位相補正を変調する送信光位相変調器301と同じく液晶素子で構成した受信光位相変調器302が追加されており、送信光と受信光の空間光位相を203の制御ブロックから制御を行う事が可能となっている。例えば特許文献3では、送信光と受信光の両方が通過する箇所に補償光学ミラーを配置して光の位相を制御する事で、受信光を最大化する技術が開示されている。
図3の従来例では、特許文献3と同様な手法を用いて大気中の擾乱で乱された受信光の光学的な光の空間位相を受信光変調器302で光の空間位相をコントロールしてフラットにすることで受信光の最大化を図っている。
図3の従来例では、送信光位相変調器301によって送信光の空間光位相をコントロールする事が可能となっており、2つの衛星が光通信を開始時する際に、送信光の広がり角を送信光位相変調器301によってコントロールする事が可能となっており、送信光のビーム幅を広げて通信を開始する事で安定に通信を開始する制御を行う事が可能となっている。この様に、送信光と受信光の光位相をアダプティブにコントロールする「アダプティブ光学技術」は、通信開始時の安定性や通信時に発生する大気擾乱などによる通信光の減衰を防止する事を可能とする技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平01-025218号公報
【特許文献2】特開2000-082996公報
【特許文献3】特開2000-068934公報
【0011】
【非特許文献1】Springer Handbook of Optical Networks
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
光通信端末は、主に「ビームステアリング技術」、「高速追尾技術」、「送受信偏光分離技術」、「アダプティブ光学技術」の4要素の技術によって構成されており、ビームステアリングを実現するためには
図2に示したように、送信光の発光点である光ファイバー227の端面の光ファイバーコネクタ228と受信光の受光点である光ファイバー215の端面の光ファイバーコネクタ214を、「送受信偏光分離技術」によって空間的に分離してする必要があった。高速で移動する衛星などの移動体間で通信を行う際には、送信光の送信角度を受信光に対して出射方向を変化させるビームアヘッドが必要となり、そのためには送信光と受信光の光路を分離して、送信光だけにビームアヘッドミラー230のような光の角度を変化させるデバイスを通過させて光ビームの角度を受信光に対して変化させる技術が用いられていた。しかしながら、宇宙のような過酷な環境のみならず長期の通信端末の信頼性を確保する上で、従来の光学構成は大きな課題があった。
図2に示すように従来の光通端末の光学系は、受信光と送信光を分離するために偏光ビームスプリッタ212の様な偏光分離素子が用いられており、この偏光ビームスプリッタの反射面の角度は通常45度に設定されているが、この反射面の角度が変わると受信光と送信光の角度ずれ要因となってしまう。「ビームステアリング技術」ではビームアヘッドミラーをフィードフォワード制御することで受信光と送信光の間に角度差を設けるが、この角度差に求められる設定精度は±0.0002度が必要となる。偏光ビームスプリッタ212の反射面の角度の変動は、送信光と受信光の角度差となるために受信光を精角度センサー223で検出して高精度で受信光が光アンテナに平行に入射するように制御を行っても偏光ビームスプリッタ212の反射面の角度が変動してしまった場合に送信光の角度差を正確に保てなくなる。更に送信光と受信光の角度差は、ビームスプリッタ219の反射面の角度によっても変動してしまうために、送信光と受信光の角度差の挙動は更に複雑になってしまう。また、データを受信するための受信光はビームスプリッタ212の反射面で反射して光ファイバー215に効率よく結合する必要があり、ビームスプリッタ212の反射面の変動も光通信端末の性能に影響を与えることになる。接着等で固定されたビームスプリッタ211、212、219の反射面の角度を、±0.0002度以下の精度で長期間に渡って保つことは非常に難しく、特に宇宙空間のような温度変化が激しい環境では実現が難しく光通信端末のコストアップや寿命低下など光通信を低コストで信頼性高い技術として普及させるための大きな阻害要因となっていた。高信頼性を実現するには、高い強度の光学ベース上に光学部品を精度良く配置する必要があり、これは光通信端末の重量アップを招き今後普及が予測される小型の衛星端末で光通信を実用化する事を困難としていた。光通信端末の光学系の構成をシンプルにして小型化と軽量化を実現する事ができれば、電波の帯域が不足している自由空間の通信にとって非常に大きな技術革新になると予測される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の光通信機は上記課題に鑑みなされたもので、自由空間で円偏光の光を用いてデータ通信を行うために通信相手側からの受信光を受信すると共に通信相手にデータための送信光を送出する送受信アンテナと受信光を用いて相手方の衛星をトラッキングするためのガイド機構と受信光の角度を検出する角度検出器と角度検出器の出力を用いガイド機構の制御を行い通信相手をトラッキングするトラッキング制御器を有しており、送信光と受信光が共に通過する空間位相変調を備え、主に送信光に空間位相変調がなされる空間光位相変調器を有する事を特徴としている。また、上記特徴を備える事で、受信光と送信光が空間的にほぼ同一の点から出射もしくは入射する光学光路を備えたことも特徴とする光通信機を実現可能となる。今回の発明のポイントである空間光位相変調器は入射する光の偏光方向の違いにより位相変調量が異なる空間光位相変調器であることも一つの特徴としており、偏向方向の違いによって空間位相変調量が異なるデバイスであるLCOSを空間光位相変調器使用することも特徴となっている。また、同様の効果は、入射する光の波長の違いにより位相変調量が異なる空間位相変調器を用いても実現可能である。この空間位相変調器のパターンの変更は、空間光位相変調を行うためのパターンを保持もしくは生成し空間位相変調パターンを設定する制御処理ブロックを備える事で受信光に対する送信光の角度を自由に変更することが容易に実現可能となる。送信光と受信光の特性として、送信光と受信光の送受信アンテナに対するアパーチャーが送信光の方が小さいことが望ましく、この構成によって送信の電力効率の改善を行う事が可能となる。また、トラッキング制御を行う制御器は、光の方向を変更する角度範囲の広い租調整機構と光の方向を変更する範囲が狭い精調整機構を制御対象として制御を行い、精調整機構が2軸もしくは3軸の方向に稼働する光学素子で構成することで従来に比べて高速な制御が可能となり、具体的なの光学素子としては集光レンズもしくは集光ミラーを用いることができる。また本発明の特徴である受信光と送信光が空間的にほぼ同一の点から出射もしくは入射する光学光路を実現するために、送信光と受信光の光路を結合する必要があるが、その接続形態としては、送信光と記受信光を入力が光ファイバー入力で構成され、入力された受信光と送信光が光サーキュレータで結合することで効率的に、また送信光と受信光の光学的なクロストークを防止して空間的なほぼ同一の点を形成することが可能となり、より性能の良い光通信機が実現できる。また、本発明の光通信機は、空間的にほぼ同一の点に光ファイバーを結合することで送信光と受信光を1本の光ファイバーで接続することも可能である。また、空間光位相変調器の変調分解能が低いデバイスを用いても制御処理ブロックが空間光位相変調を行うためのパターンを2つ以上保持し、前記空間光変調器の応答速度より早い速度で2つ以上のパターンを切り替えることで高い分解能の空間光変調器と同等の性能を実現可能である。また送信光と受信光が空間的にほぼ同一の点となるという本発明の特徴により受信光の周辺部の光から前記受信光の角度を検出することも可能となり、光集光点の近傍に光学素子を配置できるために光学的に安定な角度検出器を実現でき性能が高い光通信端末が実現できる。
【0014】
また、上記の選択性のある空間光位相変調器を受信光の変調に適用することで従来の光通信機では実現できなかった優れた特性の実現が可能となる。具体的には、自由空間で円偏光の光を用いてデータ通信を行うために通信相手側からの受信光を受信すると共に通信相手にデータための送信光を送出する送受信アンテナと受信光を用いて相手方の衛星をトラッキングするためのガイド機構と受信光の角度を検出する角度検出器と角度検出器の出力を用い前記ガイド機構の制御を行い通信相手をトラッキングするトラッキング制御器を有する光通信機において、送信光と受信光が共に通過し概ね受信光に空間位相変調がなされる空間光位相変調器を備えることである。また、概ね受信光に空間位相変調がなされる空間光位相変調器を備え光通信端末は、受信光と送信光が空間的にほぼ同一の点から出射もしくはほぼ同一の点に入射する光学光路を備えることが可能となり安定な受信性能を実現可能となる。また、本発明の光通信機は受信光に空間光位相変調を行うためのパターンを保持もしくは生成し空間光制御処理器に空間位相変調パターンを設定する制御処理ブロックを備えており、容易に受信時の特性を変更可能となっている。具体的には、制御処理ブロックに光通信機の状態を入力として、この入力に応じて複数の空間光位相変調パターンを切り替える事で通信状態に応じて最適な受信光学系を構成することができる。具体的には、光通信機の状態がアクジションフェーズでは制御用の光量が通信用の光量よりも大きくパターンを設定し、トラッキングフェーズでは制御用の光量が通信用の光量よりも小さくなるパターンを設定することで高速のアクジションと高い転送レートでの通信が両立可能となる。また、空間位相変調器に空間位相変調器の中心に照射された光は空間位相変調がなされず、中心以外に照射された光は中心部に向かって光軸が傾く空間変調パターンを設定することで、角度誤差の検出範囲が広くかつ角度誤差の検出精度の高い角度誤差検出器が実現可能となり高性能で低コストの光通信機が実現可能となる。
【発明の効果】
【0015】
上述した構成によって具現化された光通信端末は、今までの光通信端末に比べて格段に光学系の構成が簡素になるばかりでなく、非常に精密な角度制御が要請される光通信機において、受信光と送信光の光路が共通化された特徴からポイントアヘッド精度が従来に比べて高くばかりではなく、簡素な光学系で実現が可能なため低コスト化とメンテナンスフリーで長期の使用が求められる宇宙空間での安定運用が可能な光通信機が実現できる発明である。また、受信光に対して光通信機の状態に応じて光学特性を変更できるため高転送レートで低レーテンシーな光通信機が本発明によって実現される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】衛星間の光通信の通信状況を説明するための図である。
【
図2】従来の光通信端末の技術を説明するための図である。
【
図3】空間位相変調器を搭載した従来の光通信端末の技術を説明するための図である。
【
図4-1】実施形態に係る衛星システムを説明するための図である。
【
図4-2】実施形態に係る通信制御システムを説明するための図である。
【
図4-3】通信制御装置として機能するコンピュータの概略ブロック図である。
【
図4-4】本発明の光通信端末の第1の実施形態を説明するための図である。
【
図5】本発明の光通信端末の第1の実施形態における角度検出センサーと受信および送信光の光ファイバーへの結合状態を説明するための図である。
【
図6-1】本発明の光通信端末の第1の実施形態における空間位相変調器の動作を説明するための図である。
【
図6-2】本発明の光通信端末の第1の実施形態における空間位相変調器の動作を説明するための図である。
【
図7】本発明の光通信端末の第2の実施形態を説明するための図である。
【
図8】本発明の光通信端末の第2の実施形態における角度検出センサーと受信および送信光の光ファイバーへの結合状態を説明するための図である。
【
図9】本発明の光通信端末の第3の実施形態における空間位相変調器の動作を説明するための図である。
【
図10】本発明の光通信端末の第4の実施形態を説明するための図である。
【
図11-1】本発明の光通信端末の第4の実施形態におけるフォーカス位置検出センサーならびに角度検出センサーと受信および送信光の光ファイバーへの結合状態を説明するための図である。
【
図11-2】本発明の光通信端末の第4の実施形態におけるフォーカス位置検出センサーならびに角度検出センサーと受信および送信光の光ファイバーへの結合状態を説明するための図である。
【
図11-3】本発明の光通信端末の第4の実施形態におけるフォーカス位置検出センサーならびに角度検出センサーと受信および送信光の光ファイバーへの結合状態を説明するための図である。
【
図12】本発明の光通信端末の第5の実施形態を説明するための図である。
【
図13】本発明の光通信端末の第5の実施形態におけるアクエジションの動作を説明するための図である。
【
図14-1】本発明の光通信端末の第5の実施形態における動作モードによる空間位相変調器の動作を説明するための図である。
【
図14-2】本発明の光通信端末の第5の実施形態における動作モードによる空間位相変調器の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の光通信端末の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図4-1は、本実施形態の衛星システム1を示す図である。
図4-1に示されるように、実施形態の衛星システム1は、中継衛星2と、中継衛星2とは異なる他の衛星3A,3B,3C(以下、単に「ユーザ衛星」とも称する。)と、地球上の無線局である地上局4と、を備える。中継衛星2及びユーザ衛星3A,3B,3Cは、人工衛星である。地上に設置される地上局4は、無線通信又は光通信を行う地球局の一例であり、また地上局4が複数設置されている場合はそれらの総称であっても良い。
【0019】
なお、ユーザ衛星3A,3B,3Cの各々は、宇宙空間における第1の軌道を周回する。また、中継衛星2は、宇宙空間における第2の軌道を周回する。第1の軌道及び第2の軌道の地表からの高度は、対地同期軌道の地表からの高度(高度約36,000km)よりも低い。なお、静止軌道(GEO: Geostationary Orbit)は対地同期軌道の一例である。さらに、第2の軌道の地表からの高度は、第1の軌道の地表からの高度よりも高い。第1の軌道は、例えば地球低軌道(LEO: Low Earth Orbit)である。地球低軌道の遠地点の地表からの高度は、例えば地表から20km~2,000kmの高度である。第2の軌道は、例えば中高度軌道(MEO: Medium Earth Orbit)である。中高度軌道の遠地点の地表からの高度は、例えば、地表から1,000km~約36,0000kmの高度である。
【0020】
複数のユーザ衛星3A,3B,3Cの各々は、中継衛星2と無線通信を行い、中継衛星2を介して地上局4とデータ通信を行う。中継衛星2は、複数のユーザ衛星3A,3B,3Cとデータ通信を行うと同時に、並列して地上局4とデータ通信を行うことにより複数のユーザ衛星3A,3B,3Cと地上局4との間のデータ通信をリアルタイムで中継する。地上局4とサーバ6とは、例えばインターネット等のネットワーク5によって接続されており、サーバ6は地上局4を介してユーザ衛星3A,3B,3Cによって取得されたデータを受信する。これにより、サーバ6は地上に居ながらにしてユーザ衛星3A,3B,3Cにより取得されたデータを得ることができると共に、
図4-1の衛星システムを運用するために必要な機能を備える。なお、複数のユーザ衛星3A,3B,3Cのうちの何れか1つのユーザ衛星を称呼する場合には、単に「ユーザ衛星3」と称呼する。
【0021】
図4-2は、実施形態の通信制御システム12の詳細な構成例を示す図である。
図4-2に示されるように、通信制御システム12は、複数の光通信機14A,14B,14Cと、通信制御装置16と、信号切替回路18と、データ多重化回路19Aと、多重化データ分離回路19Bと、高周波無線機20とを備えている。通信制御システム12は、中継衛星2に搭載される。なお、複数の光通信機14A,14B,14Cのうちの何れか1つの光通信機を称呼する場合には、単に「光通信機14」と称呼する。なお、ユーザ衛星3の数は、
図4-2に例示した3つに限定されず、3つを超えても良い。さらにユーザ衛星3の数は、光通信機14の台数と同じ台数である必要もなく、光通信機14の台数を超えても良い。ユーザ衛星3は複数の衛星を連携させて一つの機能やサービスを達成する衛星コンステレーションの一部でも良い。
【0022】
(光通信機)
複数の光通信機14A,14B,14Cの各々は、
図4-2の光通信機14Aに示されるように、光望遠鏡22Aと、光受信機24Aと、光送信機26Aとを備えている。
図4-2に示す光通信機14B,14Cの構成は、光通信機14Aと同様である。このため、以下では、光通信機14Aの構成についてのみ説明する。
【0023】
光望遠鏡22Aは、ユーザ衛星3A,3B,3Cとの間においてレーザ光の送受信を行う。なお、光通信機14Aが光通信するユーザ衛星は、ユーザ衛星3Aに限られるものではない。光通信機14Aは、ユーザ衛星3B及びユーザ衛星3Cとも光通信をし得る。光望遠鏡22Aは、レーザ光の出入口となる窓(図示省略)を有する。また、光望遠鏡22Aは、ビームステアリングミラー(図示省略)を有している。ビームステアリングミラーによって光路が調整される。
【0024】
光望遠鏡22Aは、ビームステアリングミラーを介して、後述する光受信機24Aに対して他の衛星から受信したレーザ光を出力する。また、光望遠鏡22Aは、ビームステアリングミラーを介して、後述する光送信機26Aから出力されたレーザ光を他の衛星へ出力する。
【0025】
光受信機24Aは、光望遠鏡22Aから出力されたレーザ光を光復調することにより、光望遠鏡22Aが受信したレーザ光に対応するデジタル電気信号を得る。そして、光受信機24Aは、デジタル電気信号を後述する高周波無線機20へ出力する。
【0026】
光送信機26Aは、後述する高周波無線機20から出力されたデジタル電気信号に対して光変調をすることにより、デジタル電気信号に対応するレーザ光を得る。そして、光送信機26Aは、レーザ光を光望遠鏡22Aに出力する。
【0027】
(通信制御装置)
通信制御装置16は、
図4-2に示されるように、設定部28と、制御部30とを備えている。設定部28は、光通信に必要な各種情報を設定する。制御部30は、通信制御システム1内の各機器を制御する。
【0028】
(信号切替回路)
信号切替回路18は、通信制御装置16から出力される制御信号に応じて、複数の光通信機14A,14B,14Cの間の信号経路及び複数の光通信機14A,14B,14Cと後述する高周波無線機20との間の信号経路を切り替える。
【0029】
(データ多重化回路及び多重化データ分離回路)
データ多重化回路19Aは、複数の光通信機による光通信が可能なようにデータを多重化する。また、多重化データ分離回路19Bは、複数の光通信機による光通信が可能なように、多重化されたデータを分離する。
【0030】
(高周波無線機)
高周波無線機20は、中継衛星2が地上局4等と通信を行うための中継用通信機の一例である。高周波無線機20は、高周波変調回路32と、高周波送信アンテナ33と、高周波送信機34と、高周波受信アンテナ35と、高周波受信機204と、高周波復調回路37とを備えている。高周波無線機20は、複数の光通信機14A,14B,14Cによって取得されたデータを変調し、地上局4へ送信する。また、高周波無線機20は、地上局4から送信されたデータを復調し、複数の光通信機14A,14B,14Cへ受け渡す。
【0031】
高周波変調回路32は、光通信機14から出力されたデジタル電気信号を変調し、高周波送信機34へ出力する。
【0032】
高周波送信機34は、高周波変調回路32によって変調された信号を高周波信号に変換し、その信号を増幅する。
【0033】
高周波送信アンテナ33は、高周波送信機34から出力された高周波を地上局4に向けて放射する。
【0034】
高周波受信アンテナ35は、地上局4から送信された高周波を受信する。
【0035】
高周波受信機204は、高周波受信アンテナ35によって受信された高周波から変調信号を取り出し、その変調信号を出力する。
【0036】
高周波復調回路37は、高周波受信機204から出力された変調信号を復調し、デジタル電気信号へ変換する。
【0037】
通信制御システム12の通信制御装置16は、例えば、
図4-3に示すコンピュータ70で実現することができる。コンピュータ70はCentral Processing Unit(CPU)71、一時記憶領域としてのメモリ72、及び不揮発性の記憶部73を備える。また、コンピュータ70は、入出力装置等(図示省略)が接続される入出力interface(I/F)74、及び記録媒体に対するデータの読み込み及び書き込みを制御するread/write(R/W)部75を備える。また、コンピュータ70は、通信制御システム12がインターネット等の地上の通信システムに接続可能なネットワークinterface(I/F)76を備える。CPU71、メモリ72、記憶部73、入出力I/F74、R/W部75、及びネットワークI/F76は、バス77を介して互いに接続される。
【0038】
記憶部73は、Hard Disk Drive(HDD)、solid state drive(SSD)、フラッシュメモリ等によって実現できる。記憶媒体としての記憶部73には、コンピュータ70を機能させるためのプログラムが記憶されている。CPU71は、プログラムを記憶部73から読み出してメモリ72に展開し、プログラムが有するプロセスを順次実行する。
【0039】
なお、プログラムにより実現される機能は、例えば半導体集積回路、より詳しくはApplication Specific Integrated Circuit(ASIC)等で実現することも可能である。
【0040】
また、通信制御システム12が備える各機器も、
図4-3に示すコンピュータ70によって実現される場合がある。
【0041】
なお、上記の構成のうち説明されていない構成については、特許6987420号公報を参照されたい。特許6987420号公報に開示されている内容は、その内容が本願明細書において具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0042】
なお、以下の各実施形態の光通信端末は光通信機の一例であり、上記の衛星システム1の光通信機に相当し得る。また、以下の各実施形態の角度検出センサーは、角度検出器の一例である。以下の各実施形態のデータ信号処理・制御処理ブロックは、トラッキング制御器の一例である。なお、データ信号処理・制御処理ブロックは、上記の衛星システム1の通信制御装置16によって実現されてもよい。また、以下の各実施形態の、ジンバル機構(光ビームの角度を大きく変える機構)と、ステアリングミラー又はステアリングレンズ(光ビームの角度を小さく変える機構)とが、相手方の衛星をトラッキングするためのガイド機構の一例である。
【0043】
<第1実施形態の光通信端末>
図4-4は、本発明の光通信端末の第1の実施形態の例を示したものである。
図4-4において、401は光通信を行う相手側の衛星、402は光通信端末の光学系部分が乗ったジンバル機構、403は光通信端末のメカ制御や通信データの送受信の処理を行うデータ信号処理・制御処理ブロック、404は光アンテナの鏡筒、405は光アンテナ鏡筒404をチルト方向に回転させるジンバル機構、406は光アンテナ鏡筒404を平面内で回転させるジンバル機構、407は通信光を集光させる集光ミラー、408は集光ミラー407からの光を平行光として反射させる凸形状ミラー、409は光通信光のビーム角度を変化させる2軸ステアリングミラー、410は1/4λ板、411はP偏光の成分に対して光位相を変調するLCOS(Liquid Crystal on Silicon)で構成された空間光位相変調器、412は集光レンズ、413は中心部分に光が通過できるホールを形成した4分割のInGaAsフォトダイオードで構成した角度検出センサー、414は光ファイバーコネクタ、415は受信光と送信光を分離する光サーキュレータ、416は受信光用の光ファイバー、417は受信光用の光アンプ、418は光ファイバー、419はデータ受信用のInGaAsフォトダイオード、420は送信光用の光ファイバー、421は送信光を増幅する光アンプ、422は光ファイバー、423は送信光を発生するレーザである。416の受信光用の光ファイバーと420の送信光用の光ファイバーは光サーキュレータ415で結合されており受信光と送信光は同一の光ファイバーコネクタ414より出射もしくは入射される。
図4-4に示すように、従来の光通信端末の光学系に比べて本発明の光学系は、受信光の受信と送信光の送信が空間的に同一の点から行われる点が大きな特徴となっている。受信光から送信光の角度を進めるビームアヘッド制御を行うために送信光と受信光の光路を分けてビームアヘッドミラー(
図1の230)等が配置されていた。本発明の光通信端末では送信光と受信光が空間的に同一の発光点もしくは受光点にあり、送信光と受信光が同一の光路を共有しながら受信光の角度に対して送信光の角度を進めるビームアヘッドの機能を実現している。
【0044】
まず
図4-4に点線で示した受信光の光路について説明を行う。通信を行う相手方の衛星401から出射された光は、4-4図の光通信端末に受信光として入射する。
図4-4では、受信光を点線で示してある。光アンテナの鏡筒404に入射した受信光は407の集光ミラーで集光された後に408の凸形状ミラー平行光となったのちに、409の2軸ステアリングミラーで反射され、410の1/4λ板によってS偏光の直線偏光となる。411の空間光位相変調器で反射されるが、411の空間光位相変調器はS偏光に対しては光の位相変調を行われないので受信光は空間位相変調を受けずに反射され412の集光レンズによって集光される。集光された受信光は角度検出センサー413で集光された外周部分の光を受光し受信光の角度が検出される。角度検出センサー413の詳細を
図5に示す。
図5は、角度検出センサー上に受信光が照射されている状態を示している。501の受信光は光ファイバー415/420の中心に受信光が集光レンズ412で集光されて光ファイバーに受信光が結合されている状態を示している。502の受信光は、受信光の角度ずれがあり光ファイバーに結合されていない受信光である。角度検出センサー413の光入射面には、その中心に受信光が通過できるホールが形成されており受信光が中心部分にある状態では、受信光はホールを通過して受信光の光ファイアー415と結合する。受信光の角度ずれがある場合には、受信光は
図5の502の様な中心とは異なる位置に移動するため受信光の光ファイバー415と結合ができなくなる。この際の受信光のずれ量に応じて受信光が501の位置となるようにステアリングミラー409を制御することが出来れば受信光を安定に光ファイバー415に結合することが出来る。本実施例においては、受信光が通過するホール503の周辺に4分割したセンサーを配置しており、受信光の角度に応じて受信光の一部もしくは全部が4分割されたセンサー504/505/506/507のいずれかに入射する構成となっている。この4分割センサー504/505/506/507の出力に対して以下の演算を行う事で、光ビームの中心からのずれ量を検出できる。
図5の光入射面の水平方向をX軸、垂直方向をY軸、センサー504の出力をA、センサー505の出力をB、センサー506の出力をC、センサー507の出力をD、X軸方向のずれをEx、Y軸方向のずれをEyとするとExとEyは、Ex=(A-B-C+D)/(A+B+C+D)、Ey=(A+B-C-d)/(A+B+C+D)で求める事が出来る。ExとEyが共にゼロとなるようにファインステアリングミラーの角度をX軸方向とY軸方向に制御すれば、受信光は501の位置に制御され安定に受信光を光ファイバーと結合することが出来るようになる。Ex,Eyは角度検出センサー413に入力される全光量であるA+B+C+Dで割り算の処理が行われているが、これは受信光量が変化した際に制御系の制御ゲインが変化しないようにするための措置である。ファインステアリングミラー409は高速に応答するので、高い周波数まで制御が可能であるが動作範囲が±0.2度程度と狭い場合が多い。さらに広い角度範囲まで衛星を捕捉追尾するために第1の実施形態の光通信端末は、角度検出センサー413の低域成分を用いて光アンテナ鏡筒をチルト方向に回転させるジンバル機構405と平面内で回転させるジンバル機構406にデータ信号処理・制御処理ブロック403よりフィードバック制御している。このフィードバック制御によって角度検出センサー413の中心部に導かれた受信光の中心部分は、414の光ファイバーコネクタを通過して415の光サーキュレータに導入され受信光のみが光ファイバー416に結合し光アンプ417で100倍に増幅される。増幅された受信光は418の光ファイバーを通過して419のデータ受信用のInGaAsフォトダイオードで受光され光の強度が電気信号の強度に変換された後に403のデータ信号処理・制御処理ブロックで受信データとして復調される。
【0045】
次に
図4-4に一点鎖線で示した送信光の光路について説明を行う。データ信号処理・制御処理ブロック403より出力される通信データでプリ変調された信号は、送信光用レーザ423でオンオフキーイング変調が施され、光ファイバー422に結合され、光アンプ421で300倍に増幅され3Wのレーザ光となり光ファイバー420を通して415の光サーキュレータに入力され光ファイバーコネクタ414に接続されたファイバーよりP偏光で出射される。415の光サーキュレータは光の進行方向を制限するデバイスで、414の光コネクターから入力された光は光ファイバー416に導入され、光ファイバー420側からの光は415の光コネクター側のファイバーに導入されるため受信光と送信光を分離する働きを行っている。415の光コメクターから出射された光は、角度検出センサー413の中心部に設けられたホール503を通過して集光レンズ412で平行光に変換され空間光位相変調器411に入射する。空間位相変調器411に、P偏光に対しては光の位相を変調しS偏光に対しては光の位相を変調しないという偏光選択性を持つ空間位相変調器を用いることで、送信光の発光点と受信光の受光点が空間的に同じ点にありながら送信光の送信角度を受信光の角度に対して自由に変更できる光通信端末を実現している。送信光の送信角度を受信光の角度対して変更する411の空間位相変調器の動作について
図6を用いて説明を行う。本発明の第1実施形態では、空間位相変調器としてLCOSを用いた。LCOSは、液晶に電圧を加える事で光の位相差をコントロールするデバイスであり、第1の実施形態で用いたLCOSは
図6-1に示したように16mm×13mmのサイズで1280×1024のピクセルに分かれており、それぞれのピクセルに照射される光の位相を0から1λまで256諧調コントロールする事が出来る。例えばLCOSを用いて光の反射角度をX方向に変更したい場合は、
図6-2に示したように各ピクセルのX方向の位相を直線的に変化させることで、反射角度を変化させることが出来る。例えば本実施形態1の波長1.55μmの光を用い
図6-2に示したように1280ピクセルの間の光位相を0~1λまで変化させるパターンをLCOSに設定した場合、反射光を約0.0056度傾かせることができる。位相変調を行う各ピクセルの分解能は1/256λと非常に小さな光位相をコントロールできるため、光の反射角を非常に細かく精度よくコントロールする事が可能となる。具体的に送信光を
図6のX方向にAx度、Y方向にAy度傾ける際のLCOSの各ピクセルの位相設定値V(x,y)は、LCOSのX方向のサイズをLx、Y方向のサイズをLy、X方向のピクセル数をPx、Y方向のピクセル数をPy、ピクセル座標をx,y、送信光の波長をλとすると以下の様な(数1)となる。本発明の光通信端末では、送信光をビームアヘッドする角度Ax,Ayにもとづいて(数1)に従いLCOSのピクセルに位相を設定することが可能で、光の波長の256分の1の分解能で送信光の空間位相をコントロールする事ができ非常に高い精度で送信光の角度を受信光に対して変化させることが可能となる。
【0046】
【0047】
従来の光通信端末では、ビームアヘッドをミラーの角度を調整する事で行っており、1/1000度のような高い精度を実現することが非常に難しくビームアヘッドミラー(230)の角度を事前に調整用のレーザ(231)を用いて校正するなど複雑な手順が必要だけでなく、温度変化などによる光学部品の変形などにも弱く精度の高い光通信端末を実現する事が難しく、光通信端末の転送レートの向上や低コストの光通信端末を実現する上で大きな障害となっていた。これに対して本発明の光通信端末は、光の偏向方向に対して選択的に空間位相変調を加えることが可能な空間位相変調器411を用いる事でP偏光である送信光のみに空間位相変調を加えることが可能となり、同一光路を通過する相手方の衛星から送信されるS偏光の受信光に対して411で空間位相変調が行われない構成としたところに大きな特徴があり、受信光を用いて2軸ステアリングミラー409を制御することで相手方の衛星の方向を高い精度で捕捉すると共に、この受信光を基準に送信光に空間位相変調を加える事で非常に高い精度で送信光の角度を受信光に対して変化させる事が可能となった。ビームアヘッドの角度に応じて411の空間位相変調器に(数1)のパターンの生成と転送は403のデータ信号処理・制御処理ブロックによって行われる。このように実現をした第1の実施形態による光通信端末を動作させ送信光のビームアヘッドの角度分解能が約5×10-5度の精度でコントロール出来る事が確認された。これは光通信端末のビームアヘッドに用いるのに十分な性能である。また、本実施例では受信光の制御系のゲイン交点を300Hzに設定してPID制御を用いファインステアリングミラー409の制御をデータ信号処理・制御処理ブロック403で行う事で概ね0.3μradの制御精度で受信光の角度制御が実施できることも同時に確認された。その際のエラーレートも10-12と光通信端末として十分な特性が確認された。
【0048】
第1実施形態で用いた偏光選択性を持つ空間位相変調器は、S偏光に対する感度が0%、P偏光に関する感度が100%であることが理想ではあるが、おおむねP偏光に対する感度が70%以上あれば送信光の70%を通信光に利用でき問題なく通信が可能となる。また、この場合S偏光に対する感度が最大30%存在する事になり受信光の30%をロスする事になるが、光通信端末として十分に機能する光量を得る事ができる。よってS偏光に対する位相変調感度が30%以下でP偏光に対する位相変調感度が70%以上の空間光変調器を用いる事が本発明を実施する際の空間光変調器に望まれる特性となる。第1の実施形態において空間位相変調器をP偏光の変調特性が70%、S偏光の変調特性が30%の空間光変調器を用いてもP偏光の変調特性がほぼ100%、S偏光の変調特性がほぼ0%の空間光変調器と同等の追随特性とエラーレートが確認された。なお、第1実施形態においては、空間位相変調を行う偏光選択特性を持った位相変調器としてLCOSを用いたが、位相変調特性に偏光選択性を持つ空間位相変調器であれば、第1の実施形態と同様の性能を実現できる。例えば、送信と受信光の波長を変えることで波長選択性を持つ空間位相変調器やカー効果による複屈折特性を利用した空間位相変調器を用いても同様の特性を得る事ができる。また、ビームアヘッド量を変える必要が無い場合には、複屈折特性を持つ結晶を用いた空間位相変調器を用いても良い。また、第1の実施形態においては、送信光を増幅するための光アンプ417と受信光を増幅する光アンプ421を用いたが、これは長距離通信を実現するためであり、これらの光アンプが無くても本発明の機能は同様に発揮されるため必ずしも必要するものではない。
【0049】
<第2実施形態の光通信端末>
図7は、本発明の光通信端末の第2の実施形態の例を示したものである。
図7において、701は光通信を行う相手側の衛星、702は光通信端末の光学系部分が乗ったジンバル機構、703は光通信端末のメカ制御や通信データの送受信の処理を行うデータ信号処理・制御処理ブロック、704は光アンテナの鏡筒、705は光アンテナ鏡筒704をチルト方向に回転させるジンバル機構、706は光アンテナ鏡筒704を平面内で回転させるジンバル機構、707は通信光を集光させる集光ミラー、708は集光ミラー707からの光を平行光として反射させる凸形状ミラー、709は光通信光のビーム角度を変化させる2軸ステアリングミラー、710は1/4λ板、711はP偏光の成分に対して光位相を変調するLCOS(Liquid Crystal on Silicon)で構成された空間光位相変調器、712は集光レンズ、713は中心部分に光が通過できるホールを形成した4分割のInGaAsフォトダイオードで構成した角度検出センサー、714は光ファイバーコネクタ、715は受信光と送信光を分離する光サーキュレータ、716は受信光用の光ファイバー、717は受信光用の光アンプ、718は光ファイバー、719はデータ受信用のInGaAsフォトダイオード、720は送信光用の光ファイバー、721は送信光を増幅する光アンプ、722は光ファイバー、723は送信光を発生するレーザである。716の受信光用の光ファイバーと720の送信光用の光ファイバーは光サーキュレータ715で結合されており受信光と送信光は同一の光ファイバーコネクタ714より出射もしくは入射される。第2の実施形態は第1の実施形態と近い構成であるが、集光ミラー707への送信光の取り込み範囲である送信光アパーチャーサイズに対して受信光の取り込み範囲である受信光アパーチャーサイズを大きくした事を特徴としている。
図7に受信光を点線で、送信光を一点鎖線で示しており、点線で示した707の集光ミラーに入射する受信光の範囲より一点鎖線で示した送信光の範囲が狭くなっとり、この特徴によって第2の実施形態では送信光の伝達効率を第1の実施形態に対して高められるという特徴がある。第2の実施形態においては、送信光のアパーチャーサイズを受信光のアパーチャーサイズに対して小さくしたことによって、光通信端末を校正する光学部品等の設計パラメータは第1の実施形態と異なっているが、その機能は同一であるので送信光と受信光に光路に対する詳細な説明は省略し、第2の実施形態の特徴である送信光の伝達効率を高められるという特徴に関して以下詳しく説明を行う。
【0050】
図8は、713の角度検出センサー上の受信光と送信光の状態を示す拡大で、713の角度検出センサーで検出された受信光801の角度情報から703のデータ信号処理・制御処理ブロックから709の2軸ステアリングミラーによって受信光の角度の制御を行い受信光が713の角度検出センサーの中心部に制御されている状態を示している。第1および第2の実施形態では、この状態で受信光外周部分の約20%が角度検出センサー713の4分割された光センサー受光部804/805/806/807に入射する光学設計がなされている。受信光と送信光のアパーチャーサイズが同一に設計された第1の実施形態では、
図5に示したように、光コネクター414に接続された光ファイバー415から出力される送信光の外周部分がホールを通過できないために約20%が送信光として利用されず送信の電力効率の低下を招いた。第2の実施形態は、第1の実施形態の送信光の電力効率が低下するという課題を解決するためになされたもので、送信光のレーザ出射の効率を約100%に近い値に高める事ができる。第2の実施形態では、送信光アパーチャーサイズに対して受信光アパーチャーサイズを大きくした事を特徴としており、送信光のアパーチャーサイズを受信光のアパーチャーサイズより小さくすることで、
図8に示した様に光ファイバー715から出射した送信光802の多くがホール803を通過する事が可能となり、送信光の電力効率を95%程度まで高める事が出来た。第2の実施形態では、送信光のアパーチャーサイズを受信光のアパーチャーサイズ対して20%小さく設定をしたが、送信光のアパーチャーサイズを受信光のアパーチャーサイズ対して小さくすれば、送信光の電力効率が高まり第2の実施形態と同様の効果を得る事ができる。受信光の外周部分をどの程度角度制御用の信号として、残りをデータ通信用の光として利用するかは、光通信端末として実現必要な制御の精度と送受信の転送レートとのトレードオフ設計問題となるが、一般的に、50%から10%程度の光を制御用の信号として利用する事が望ましく、この場合は送信光のアパーチャーサイズを受信光のアパーチャーサイズも同様に50%から10%程度と設定することが望ましい。
【0051】
<第3実施形態の光通信端末>
光通信端末のビームアヘッド精度をさらに向上させることが出来る第3の実施形態の光通信端末について
図9を用いて説明を行う。
図9において903は、空間位相変調器711に設定する複数のパターンを保持し変調パターンの設定を行うデータ信号処理・制御処理ブロックである。第3の実施形態ある光通信端末は、第2の実施形態の光通信端末に対して、711のLCOSで構成された空間光位相変調器に設定するパターンを変化させることによって、ビームアヘッドの角度の分解能を向上させビームアヘッドの精度をさらに向上させている。第2の実施形態と第3の実施形態の差分であるLCOSのコントロール部分を
図9には示している。
図9に示すように第3の実施形態である光通信端末は、ビームアヘッドを行う角度に応じて903のデータ信号処理・制御処理ブロックによって位相変調パターンをセットすることで受信光と角度差を発生させるが、一般的にLCOSのような空間位相変調器に設定できるパターンはデジタル設定値のため例えば
図9のパターンAやパターンBのようなデジタル値となる。更にビームアヘッドの精度を向上するためには、LCOSに設定できる位相値の分解能を上げAとBの中間の状態が設定できるようにする必要がある。しかしLCOSの分解能を高くするとコストアップやパターンを設定するインターフェースが複雑になってしまうなどの課題がありビームアヘッドの精度を更に向上する際の障害となっていた。第3の実施形態は、この課題を解決するためになされた発明であり空間変調器の持つ分解能以下の精度で空間変調器の位相をコントロールする事が可能となる。第3の実施形態の光通信端末のデータ信号処理・制御処理ブロック903は、例えばパターンAとパターンBを、それぞれ所定の時間T1とT2の時間位相変調する機能を有している。T1+T2のパターンが繰り返し変化する時間となるが、この時間を空間変調器711の変調応答速度よりも早くすることで、T1とT2の時間比に応じてパターンAとパターンBの中間値である
図9に示した位相変調パターンを設定可能となる。これは、T1+T2を所定の値であるが空間位相変調器の応答時間よりも早い周期に設定し、パターンAとパターンBを切り替えると空間位相変調器711はT1とT2の比率で決まる中間値となる。このようなコントロールを行うことで空間位相変調器711は設定できる分解能を大きく向上する事ができることになる。例えば、空間位相変調器の各ピクセルがONとOFFの1ビットの分解能しかなくてもT1とT2の比率の設定分解能で空間位相変調を行う事も可能となる。903のデータ信号処理・制御処理ブロックに、このような空間位相変調器制御を導入する事で第3の実施形態では第2の実施形態に対してビームアヘッドの分解能を約20倍に向上することが可能となった。
【0052】
<第4実施形態の光通信端末>
図10は、本発明の光通信端末の第4の実施形態の例を示したものである。
図10において、1001は光通信を行う相手側の衛星、1002は光通信端末の光学系部分が乗ったジンバル機構、1003は光通信端末のメカ制御や通信データの送受信の処理を行うデータ信号処理・制御処理ブロック、1004は光アンテナの鏡筒、1005は光アンテナ鏡筒1004をチルト方向に回転させるジンバル機構、1006は光アンテナ鏡筒704を平面内で回転させるジンバル機構、1007は通信光を集光させる集光レンズ、1008は光通信光のビーム角度を変化させる3軸ステアリングレンズ、1009は通信光を反射させるミラー、1010は1/4λ板、1011はP偏光の成分に対して光位相を変調するLCOS(Liquid Crystal on Silicon)で構成された空間光位相変調器、1012はS偏光の成分に対して光位相を変調するLCOS(Liquid Crystal on Silicon)で構成された空間光位相変調器、1013集光レンズ、1014は4分割のInGaAsフォトダイオードで構成した前光角度検出センサー、1015は4分割のInGaAsフォトダイオードで構成した後光角度検出センサー、1016は光ファイバーコネクタ、1017は受信光と送信光を分離する光サーキュレータ、1018は受信光用の光ファイバー、1019は受信光用の光アンプ、1020は光ファイバー、1021はデータ受信用のInGaAsフォトダイオード、1022は送信光用の光ファイバー、1023は送信光を増幅する光アンプ、1024は光ファイバー、1025は送信光を発生するレーザである。1018の受信光用の光ファイバーと1022の送信光用の光ファイバーは光サーキュレータ1017で結合されており受信光と送信光は同一の光ファイバーコネクタ1016より出射もしくは入射される。第4の実施形態は第2の実施形態と近い構成であるが、受信光と送信光の集光に集光レンズ1007を用い、第1の実施形態で用いていた2軸のステアリングミラーの代わりに送受信の光ビームと垂直な平面内で2軸方向と送受信の光ビームと平行な方向に1軸の移動軸を持つステアリングレンズ1008によって送信光もしくは受信光の角度を変化させる点が、第4の実施形態の特徴となっている。第1、第2および第3の実施形態では、光サーキュレータ(415/715)の光ファイバーに受信光を高い効率で結合する必要があり、集光レンズ(412/712)によって10μm以下に集光し結合を行っていた。しかしながら、衛星内の振動や温度変化などによって集光状態が変化するために、高い結合状態を維持するために集光レンズ(412/712)や光ファイバーコネクター(414/714)を剛性の高く温度変化が少ない基台に固定する必要があり光通信端末の低コスト化や信頼性の向上に課題が発生していた。第4の実施形態の光通信端末は、この課題を解決するためになされたもので光ファイバー1017に集光される受信光の集光状態をフォーカス方向に稼働する3軸のステアリングレンズ1008を用いて制御するとことに特徴がある。これによって、衛星内での振動、光学系の経時変動や温度変動などによって光サーキュレータの光ファイバー1017に結合する集光ビームの状態が変化した際にもフィードバック制御を行う事で安定な光通信が維持される。このフィードバック制御を実現するためには、集光レンズ1013の集光状態であるフォーカス位置検出を行う必要がある。このフォーカス位置の検出方法に関して、以下、
図11を用い説明を行う。
図11-1は、フォーカス位置を検出するための光学構成の一例であり、1101と1102は空間光位相変調器1102から反射した受信光の1次回折光である。空間光位相変調器1012は、S偏光成分にのみ空間位相変調されるLCOS素子で構成されており、S偏光で入射する受信光のみが空間位相変調を受ける。1012の空間位相変調器には、データ信号処理・制御処理ブロック1003より
図11-2で示したようなグレーティング1120の空間位相変調パターンが転送されており、このグレーティングパターン1120によってS偏光である受信光は、直進する0次光1103と回折された1次光の1101と1102に分かれ、0次光は光ファイバーコネクタ1106を経由して光サーキュレータ1017と結合をする。空間位相変調器1012で回折された1次光は、フォーカス位置と受信光の角度を検出するために設けられた前光角度検出センサー1014と後光角度検出センサー1105で検出される。空間位相変調器1012には、送信光も入射をするがP偏光である送信光は1102で位相変調は受けずに反射されるために回折されず、ほぼ100パーセントの光が送信光として利用される。第4の実施形態にでは、制御に利用される1次回折光と受信データの復調に用いられる0次光の比率を0.2対0.8とするために、
図11-2で示したグレーティングパターン1120の間隔を2.54μm、空間位相変調器で変調されるグレーティング部分の位相差を1/12λ(λ:光通信で用いる受信光の光波長)とした。0次光が光サーキュレータ1017の光ファイバーに焦点を結んで結合している状態で、前光角度検出センサー1014は1次光の焦点位置より手前に配置され、後光角度検出センサー1105は1次光の焦点位置より奥に配置され、この状態で前光角度検出センサー1014と後光角度検出センサー1105上のビームスポットサイズが等しくなる位置関係としている。0次光の焦点位置が手前にずれると、前光角度検出センサー1014上のビームスポットは大きくなり、後光角度検出センサー1105上のビームサイズは小さくなるので、1014と1015のセンサー上の光ビームサイズの差を検出すれば、0次光のフォーカス位置を反映したフォーカス位置信号が検出される。同時に1014と1015のセンサーから受信光の角度を検出する必要があるために、1014と1015のセンサーを
図11―3に示すような分割を行う事で、センサー上の光ビームサイズと位置を同時に検出した。
図11-3において、1101は空間位相変調器で回折された1次光の後焦点光スポット、1102は空間位相変調器で回折された1次光の前焦点光スポット、1103は光ファイバーコネクタ1016に接続された光サーキュレータ1107の光ファイバーに結合する0次光、1104~1110は角度検出センサー1014と1015上に形成されている光検出器である。
【0053】
以下、1014と1015のセンサーから得られて信号を演算して、フォーカス位置検出信号と受信光の角度検出信号を演算する手段について説明を行う。各センサーからの出力を、
図11-3に示した記号番号をXXXXとした際の信号をSXXXXとした場合、以下の演算を行う事で、フォーカス位置検出信号FEと受信光の角度検出信号PX,PYを得る事が出来る。
【0054】
FE = {(S1104+S1107+S1108+S1111) - (S1112+S1115+S1116+S1119) - (S1105+S1106+S1109+S1110) - (S1113+S1114+S1117+S1118)} / (S1104+S1105+S1106+S1107+S1108+S1109+S1110+S1111)
【0055】
PX = {(S1104+S1105+S1111+S1110) - (S1106+S1107+S1108+S1109) + (S1112+S1113+S1119+S1118) - (S1114+S1115+S1116+S1117)} / (S1104+S1105+S1106+S1107+S1108+S1109+S1110+S1111)
【0056】
PY = {(S1104+S1105+S1106+S1107) - (S1108+S1109+S1110+S1111) + (S1112+S1113+S1114+S1115) - (S1116+S1117+S1118+S1119)} / (S1104+S1105+S1106+S1107+S1108+S1109+S1110+S1111)
【0057】
受信光の角度検出信号であるPXとPYを用いて、データ信号処理・制御処理ブロック1003によりステアリングレンズ1008を光軸と垂直な面内でXとYの2軸にそれぞれ制御することで、光サーキュレータ1017の光ファイバーの中心に受信光を制御する事ができる。その後、フォーカス位置検出信号FEがゼロもしくは所望の値になるように、データ信号処理・制御処理ブロック1003によりステアリングレンズ1008を光軸と平行な方向に制御をすることで、集光レンズ1103の焦点位置が安定し空間位相変調器1012で反射した受信0次回折光を安定に光サーキュレータ1017に結合する事が可能となった。フォーカス位置検出信号FEの検出は、角度検出センサー1014、1015のほぼ中心に光ビームが位置する状態で行う方が正しいビームサイズの検出ができるため、受信光の角度制御後にフォーカス位置制御を行うことが望ましい制御手順となる。第4の実施形態の光通信端末は、光サーキュレータ1017に結合する受信光の集光状態を制御することで、従来に比べより安定に光通信のリンクを行う事が可能となり、第1および第2の実施形態における光通信端末に対して、通信データのエラーレートを1桁から2桁程度改善を行う事ができた。なお、第4の実施形態においてフォーカス位置の一検出手段として焦点位置の前後のスポットサイズ差を用いる検出方法を用いたが、かならずしもこの検出手段に限らず、フォーカス位置の検出方法としては1014の集光レンズに非点収差特性を付加する事で非点収差法によるフォーカス位置検出を用いる事も可能である。また、受信光の位相を変調する空間位相変調器のパターンを変更する事で光ビームの回折方向を変化させフォーカス用の検出信号を得ることも可能である。また、第4の実施形態においては、1011の送信光をビームアヘッドするための空間位相変調器を同時に用いたが、光通信端末間の相対速度が遅い場合には、1011の送信光をビームアヘッドするための送信光を位相変調する空間位相変調器は必要なく受信光に対する空間変調器1012だけで第4の実施形態で得られた効果を得る事が出来る。第4の実施形態は、受信光のみに変調を行う空間位相変調器1012を用いたことが特徴となっており、送信光に全く影響をあたえずに、受信光を分割して必要な制御信号を得る事ができるという従来にない大きな効果を生み出している。これによって、空間的に同一の点から出射される送信光と同一の点に入射する受信光で構成された光通信端末を実現でき、非常に安定で信頼性が高い光通が実現可能となった。
【0058】
<第5実施形態の光通信端末>
図10は、本発明の光通信端末の第5の実施形態の例を示したものである。第5の実施形態は、光通信端末間で通信を開始する際のアクエジションを高速に行い通信開始前の時間を短くして通信のレーテンシーを改善するためになされたものである。衛星間で光通信を開始する際には、お互いの軌道位置情報から相手の方向に光ビームを出射して、相手方の光ビームにトラッキングする事で通信が開始される。しかしながら、お互いの軌道情報には誤差があるために軌道情報から求まった方向に光ビームを出射しても相手の衛星に光ビームは届かず通信がスタートできない。初期に相手方の衛星との通信を開始するための通信開始シーケンスが決められており
図13に概要を示す。
図13において1301は通信を行う相手方の衛星、1302は通信を行う自衛星、1303は自衛星の光通信光、1304相手方の衛星の光通信光である。
図13に示した通信を開始するまでのシーケンスは、予めスケジューリングがされており、スケジューリングされた時刻をトリガーに次の5段階のステップを実行する事でお互いの衛星間での光通信チャンネルのリンクつまり衛星間のトラッキングが開始される。第1のステップは、衛星1302が軌道情報から計算された衛星1301の位置を中心に光ビームをスパイラル状にスキャンを行い、衛星1301は衛星1302からの通信光の検出を試みる。スパイラル状にスキャンをする衛星1302の通信光1303が衛星1301に照射されると、衛星1301は内部の受信光角度検出センサーの検出値に基づき衛星1302の方向を検出して、その方向に衛星を向ける動作を行う。これがアクジションフェーズ1である。次に衛星1301は、前ステップで検出した衛星1302の方向を中心に通信光をスパイラル状にスキャンを行い、衛星1302は衛星1301の方向の検出を試みる。衛星1301の通信光が衛星1302に照射されると、衛星1302は内部の受信光角度検出センサーの検出値に基づき衛星1301の方向を検出して、その方向に衛星を向ける動作を行う。これがアクジッションフェーズ2である。次のファインアクジションのフェーズでは、衛星1301と1302が再度スパイラル状のスキャンを行う事で内部の受信光角度検出センサーの値から双方の衛星の方向をより正確に求めお互いの方向を修正するファインアクジションのフェーズを経て、双方の送信光をガイドに双方の衛星をトラッキング制御するトラッキングフェーズに移行する。上述した第1から第4までの実施形態はトラッキングフェーズ以降の通信が開始された後の動作について説明を行ってきた。第5の実施形態の光通信端末は、第4の端末とその構成は酷似しているが、P偏光もしくはS偏光の光にのみ空間位相変調を行う空間位相変調器によって、通信開始シーケンスにおいても従来にない優れた特性を発揮することができる。この通信開始シーケンスにおける具体的な動作について
図12および
図14を用いて説明を行う。
【0059】
図12に示した本発明の第5の実施形態は、既に説明を行った第4の実施形態から1201の光通信端末のメカ制御や通信データの送受信の処理を行うデータ信号処理・制御処理ブロック、1202の光通信光のビーム角度を変化させる2軸ステアリングレンズ、1203の集光レンズを光軸方向に移動させフォーカス位置を調整する機構を具したフォーカス調整用のフォーカス調整レンズに置き換えた構成となっている。その他の構成要素は、第4の実施形態と同じであるために同一の符号を用いている。第4の実施形態と同じ構成要素については、すでに説明を行っているので、その説明を省略し変更された1201、1202、1203について以下説明を行う。アクジションフェーズ1および2では、光通信端末は、相手方の通信光の角度を検出する動作だけとなり、このフェーズではデータの復調を行うために必要な通信光は不要である。従来の光通信端末では受信光の光路や制御信号光と通信信号光の比率は、ビームスプリッタの様な予め決められた光学素子の特性で決められており変更する事が不可能であった。特にアクジションフェーズでは相手方衛星の通信光はガウシアンビームをしておりビーム周辺部で1/2から1/3に低下する通信光から角度検出を行う必要があり、角度検出精度とアクジションフェーズ1および2のスキャンスピードとのトレードが発生して性能がリンク時間を短縮できないという課題があった。本発明の光通信端末は、S偏光で空間位相変調器1012に入射する受信光のみに空間位相変調を付加することが可能なため、例えば1次回折光による角度検出信号と0次光によるデータ受信光の光量比率を変更できる優れた特性を有しており、この特性によってアクジションフェーズ1と2およびファインアクジションフェーズでは、1次回折光の強度がほぼ100%に近くなるパターンを空間位相変調器1012に設定し、トラッキングフェーズでは、第4の実施形態の様なパターンに変更する事でアクジションフェーズ1と2およびファインアクジションフェーズの引き込み性能を従来に比べて大きく改善する事が出来る。具体的な空間位相変調器1012の設定例を
図14-1に示す。1401は、アクジションフェーズおよびファインアクジションフェーズの際のグレーティングパターンで、グレーティングパターン1401の間隔を2.54μm、空間位相変調器で変調されるグレーティング部分1401の位相差をλ(λ:光通信で用いる受信光の光波長)とすることで、受信データ光である0次回折光と制御信号光である1次回折光の強度比を、ほぼ100対0とすることができる。トラッキングフェーズでは、第4の実施形態と同じグレーティング部分1402の位相差を1/12λとすることで、0次回折光と制御信号光である1次回折光の強度比を約0.8対0.2と動作状態に応じて動的に変更が可能となり動作モード毎に最適な信号配分が可能となる。
【0060】
本発明の第5の実施形態は、位相変調器1012の空間変調パターンを変更することでアクエジションフェーズとトラッキングフェーズで1014と1015の角度検出感度を動的に変更できる機能も提供する事も可能である。従来の光通信端末では、
図2に示した様に221の粗角度検出器と223の精角度検出器の2種類の感度を持つセンサーが用いられており、制御用の信号を219のビームスプリッタで光学部品の特性で決まる比率で分割する必要があるために制御信号の信号量が低下し制御性能を向上することが難しく、データ通信速度の向上を阻んでいた。本発明の第5の実施形態は、アクジションフェーズ1と2およびファインアクジションフェーズとトラッキングフェーズで動的に受信光角度検出器の検出感度を変更する事も可能である。アクジションフェーズ1と2およびファインアクジションフェーズでは、受信光の角度を広い範囲で検出が求められ検出範囲を広くできればスパイラルスキャンのピッチを広く設定できるためにアクジション時間の短縮が図れる。トラッキングフェーズでは制御信号の検出精度を向上することが必要なために検出の角度範囲は狭いが検出の感度を向上することが必要となる。一般的には、受信光の角度検出感度はアクジションフェーズ1と2およびファインアクジションフェーズでは、±0.2度程度の検出範囲が要求され、トラッキングフェーズでは±0.006度程度の検出範囲に設計される。約30倍異なる検出感度を同一の光学系で実現できれば良いが、従来は受信光を分割して2種類の検出感度を持つ検出系を使って制御を行っていた。
【0061】
本発明の第5の実施形態は、空間位相変調器1012の空間変調パターンを変更することでアクエジションフェーズとトラッキングフェーズで1014と1015の角度検出感度を動的に変更する事が可能である。
図14-2を用いて、その具体的な実現手段について以下に説明を行う。
図14-2は、本発明の空間位相変調器の変調パターンと受信光の角度検出感度の関係を模式的に示した図である。1403は受信光が傾いていない場合の光軸中心、1404は受信光の光軸がプラス側に傾いた際の光軸中心、1405は受信光の光軸がマイナス側に傾いた際の光軸中心、1406は本発明の空間変調パターンも模式図、1407は受信光の光軸が傾いていない場合の角度検出センサー1015上の光スポット、1408は受信光の光軸がプラス側に傾いた際の角度検出センサー1015上の光スポット、1409は受信光の光軸がプラス側に傾いた際の角度検出センサー1015上の光スポットである。1406は中心から離れるほど位相周期パターンが密になる設定となっており、この様な位相変調を行うことで1406の外周を通過したほど中心に向かって光軸を変化させることが出来る。受信光の光軸に傾きが発生すると空間位相変調器1012の中心からずれた位置に受信光のスポットが移動するが、このずれ量に応じて光の進行方向を中心部に傾ける
図14-2の1406の様な位相パターンを1012の空間位相変調器に加える事で、受信光の傾き角が大きくなった際に角度検出センサー上のビームスポットを中心部に近づける事によって、角度検出センサーの検出器上から光スポットが外れなくなり角度検出範囲の拡大が可能となる。このように位相変調器1012の空間変調パターンを変更することでアクエジションフェーズとトラッキングフェーズで1014と1015の角度検出感度を動的に変更することが可能となる。従来に比べて、受信光を分割して複数の傾き角検出感度が異なるセンサーで検出する必要がなくなり、受信光量を増加させることが可能となり、より転送レートが高く安定な光通信端末が実現可能となる。
【0062】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0063】
例えば、本願明細書中において、コンピュータ70の記憶部73にプログラムが予めインストールされている実施形態として説明したが、当該プログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。例えば、プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的(non-transitory)記憶媒体に記憶された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0064】
なお、上記実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。または、プロセッサとしては、GPGPU(General-purpose graphics processing UNIT)を用いてもよい。また、各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0065】
また、本実施形態の各処理を、汎用演算処理装置及び記憶装置等を備えたコンピュータ又はサーバ等により構成して、各処理がプログラムによって実行されるものとしてもよい。このプログラムは記憶装置に記憶されており、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。もちろん、その他いかなる構成要素についても、単一のコンピュータやサーバによって実現しなければならないものではなく、ネットワークによって接続された複数のコンピュータに分散して実現してもよい。
【0066】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0067】
なお、上記実施形態においては、「××のみに基づいて」、「××のみに応じて」、「××のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」ことを必ずしも意味しない。
【0068】
また、何らかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、開示の技術の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本開示の技術の各態様の範囲外とするものではない。
【0069】
なお、以下に付記を開示する。
【0070】
(付記1)
自由空間で円偏光の光を用いてデータ通信を行うために通信相手側からの受信光を受信すると共に前記通信相手にデータための送信光を送出する送受信アンテナと前記受信光を用いて相手方の衛星をトラッキングするためのガイド機構と前記受信光の角度を検出する角度検出器と角度検出器の出力を用い前記ガイド機構の制御を行い前記通信相手をトラッキングするトラッキング制御器を有する光通信機において、前記送信光と前記受信光が共に通過し概ね送信光に空間位相変調がなされる空間光位相変調器を備えたことを特徴とする光通信機。
【0071】
(付記2)
付記1に記載の光通信機において、前記受信光と前記送信光が空間的にほぼ同一の点から出射もしくは前記ほぼ同一の点に入射する光学光路を備えたことを特徴とする光通信機。
【0072】
(付記3)
付記1に記載の光通信機において、前記空間光位相変調器が入射する光の偏光方向の違いにより位相変調量が異なる空間光位相変調器であることを特徴とした光通信機。
【0073】
(付記4)
付記3に記載の光通信機において、前記空間光位相変調器がLCOSで行使されていることを特徴とした光通信機。
【0074】
(付記5)
付記1に記載の光通信機において、入射する光の波長の違いにより位相変調量が異なる空間位相変調器であることを特徴とした光通信機。
【0075】
(付記6)
付記1に記載の光通信機において、前記送信光に空間光位相変調を行うためのパターンを保持もしくは生成し前記空間位相変調器に空間位相変調パターンを設定する制御処理ブロックを備えたことを特徴とする光通信機。
【0076】
(付記7)
付記1に記載の光通信機において、前記送信光と前記受信光の前記送受信アンテナに対するアパーチャーが前記送信光の方が小さいことを特徴とする光通信機
【0077】
(付記8)
付記1に記載の光通信機において、前記トラッキング制御器が光の方向を変更する角度範囲の広い租調整機構と光の方向を変更する範囲が狭い精調整機構を制御対象として制御を行い、前記精調整機構が2軸もしくは3軸の方向に稼働する光学素子で構成されていることを特徴とする光通信端末。
【0078】
(付記9)
付記8に記載の光通信機において、前記精調整機構の光学素子が集光レンズであることを特徴とする光通信端末。
【0079】
(付記10)
付記2に記載の光通信機において、前記送信光と前記受信光を入力が光ファイバー入力で構成され、入力された前記受信光と前記送信光が光サーキュレータで結合され前記空間的なほぼ同一の点を形成することを特徴とする光通信機。
【0080】
(付記11)
付記2に記載の光通信機において、前記空間的なほぼ同一の点に光ファイバーで結合されることを光通信機。
【0081】
(付記12)
付記6に記載の光通信機において、前記制御処理ブロックが空間光位相変調を行うためのパターンを2つ以上保持し、前記空間位相変調器の応答速度より早い速度で2つ以上のパターンを切り替えることを特徴とする光通信機。
【0082】
(付記13)
付記7に記載の光通信機において、前記受信光の周辺部の光から前記受信光の角度を検出する角度検出器を備えたことを特徴とする光通信機。
【0083】
(付記14)
自由空間で円偏光の光を用いてデータ通信を行うために通信相手側からの受信光を受信すると共に前記通信相手にデータための送信光を送出する送受信アンテナと前記受信光を用いて相手方の衛星をトラッキングするためのガイド機構と前記受信光の角度を検出する角度検出器と角度検出器の出力を用い前記ガイド機構の制御を行い前記通信相手をトラッキングするトラッキング制御器を有する光通信機において、前記送信光と前記受信光が共に通過し概ね受信光に空間位相変調がなされる空間光位相変調器を備えたことを特徴とする光通信機。
【0084】
(付記15)
付記14に記載の光通信機において、前記受信光と前記送信光が空間的にほぼ同一の点から出射もしくは前記ほぼ同一の点に入射する光学光路を備えたことを特徴とする光通信機。
【0085】
(付記16)
付記14に記載の光通信機において、前記空間光位相変調器が入射する光の偏光方向の違いにより位相変調量が異なる空間光位相変調器であることを特徴とした光通信機。
【0086】
(付記17)
付記16に記載の光通信機において、前記空間光位相変調器がLCOSで行使されていることを特徴とした光通信機。
【0087】
(付記18)
付記14に記載の光通信機において、入射する光の波長の違いにより位相変調量が異なる空間位相変調器であることを特徴とした光通信機。
【0088】
(付記19)
付記14に記載の光通信機において、前記受信光に空間光位相変調を行うためのパターンを保持もしくは生成し前記空間位相変調器に空間位相変調パターンを設定する制御処理ブロックを備えたことを特徴とする光通信機。
【0089】
(付記20)
付記14に記載の光通信機において、前記送信光と前記受信光の前記送受信アンテナに対するアパーチャーが前記送信光の方が小さいことを特徴とする光通信機
【0090】
(付記21)
付記14に記載の光通信機において、前記トラッキング制御器が光の方向を変更する角度範囲の広い租調整機構と光の方向を変更する範囲が狭い精調整機構を制御対象として制御を行い、前記精調整機構が2軸もしくは3軸の方向に稼働する光学素子で構成されていることを特徴とする光通信端末。
【0091】
(付記22)
付記21に記載の光通信機において、前記精調整機構の光学素子が集光レンズであることを特徴とする光通信端末。
【0092】
(付記23)
付記15に記載の光通信機において、前記送信光と前記受信光を入力が光ファイバー入力で構成され、入力された前記受信光と前記送信光が光サーキュレータで結合され前記空間的なほぼ同一の点を形成することを特徴とする光通信機。
【0093】
(付記24)
付記15に記載の光通信機において、前記空間的なほぼ同一の点に光ファイバーで結合されることを光通信機。
【0094】
(付記25)
付記19に記載の光通信機において、前記制御処理ブロックが空間光位相変調を行うためのパターンを2つ以上保持し、前記空間位相変調器の応答速度より早い速度で2つ以上のパターンを切り替えることを特徴とする光通信機。
【0095】
(付記26)
付記20に記載の光通信機において、前記受信光の周辺部の光から前記受信光の角度を検出する角度検出器を備えたことを特徴とする光通信機。
【0096】
(付記27)
付記19に記載の光通信機において、前記制御処理ブロックが前記光通信機の状態を入力として、前記入力に応じて複数のパターンを切り替える事を特徴とした光通信機。
【0097】
(付記28)
付記27に記載の光通信機において、前記光通信機の状態がアクエジションフェーズでは制御用の光量が通信用の光量よりも大きくパターンを設定し、トラッキングフェーズでは制御用の光量が通信用の光量よりも小さくなるパターンを設定する設定する制御ブロックを備えたことを特徴とする光通信機。
【0098】
(付記29)
付記27に記載の光通信機において、前記光通信機の状態がアクエジションフェーズでは前記空間位相変調器に前記空間位相変調器の中心に照射された光は空間位相変調がなされず、中心以外に照射された光は中心部に向かって光軸が傾く空間変調パターンを設定する制御ブロックを備えたことを特徴とする光通信機。
【符号の説明】
【0099】
101 衛星1
102 衛星1に搭載された受信光アンテナ
103 衛星1に搭載された送信光アンテナ
104 衛星1からの送信光
105 衛星2
106 衛星2の送信光アンテナ
107 衛星2の受信光アンテナ
108 衛星1からの送信光
201 光通信を行う相手側の衛星
202 ジンバル機構
203 データ信号処理・制御処理ブロック
204 光アンテナの鏡筒
205 チルト方向回転ジンバル機構
206 平面内回転ジンバル機構
207 集光ミラー
208 凸形状ミラー
209 2軸ステアリングミラー
210 1/4λ板
211 偏光ビームスプリッタ
212 ビームスプリッタ
213 集光レンズ
214 光ファイバーを固定するファイバーコネクタ
215 光ファイバー
216 光アンプ
217 光ファイバー
218 InGaAsフォトダイオード
219 ビームスプリッタ
220 レンズ
221 粗角度検出センサー
222 集光レンズ
223 精角度検出センサー
224 送信レーザ
225 光ファイバー
226 送信光アンプ
227 光ファイバー
228 光ファイバーコネクタ
229 集光レンズ
230 2軸ポイントアヘッドミラー
231 校正用のレーザ
232 光ファイバー
233 1/4波長板
234 レトロリフレクタ
301 送信光光位相変調器
302 受信光光位相変調器
401 光通信を行う相手側の衛星
402 ジンバル機構
403 データ信号処理・制御処理ブロック
404 光アンテナの鏡筒
405 チルト方向ジンバル機構
406 回転ジンバル機構
407 集光ミラー
408 凸形状ミラー
409 2軸ステアリングミラー
410 1/4λ板
411 空間光位相変調器
412 集光レンズ
413 角度検出センサー
414 光ファイバーコネクタ
415 光サーキュレータ
416 受信光用の光ファイバー
417 受信光用の光アンプ
418 光ファイバー
419 InGaAsフォトダイオード
420 光ファイバー
421 光アンプ
422 光ファイバー
423 送信光レーザ
501 角度ずれのない受信光
502 角度ずれのある受信光
503 受信光が通過するホール
504、505、506、507 4分割されたセンサー
701 光通信を行う相手側の衛星
702 ジンバル機構
703 データ信号処理・制御処理ブロック
704 光アンテナの鏡筒
705 チルト方向ジンバル機構
706 平面内回転ジンバル機構
707 通信光を集光させる集光ミラー
708 凸形状ミラー
709 2軸ステアリングミラー
710 1/4λ板
711 空間光位相変調器
712 集光レンズ
713 角度検出センサー
714 光ファイバーコネクタ
715 光サーキュレータ
716 光ファイバー
717 光アンプ
718 光ファイバー
719 InGaAsフォトダイオード
720 光ファイバー
721 光アンプ
722 光ファイバー
723 送信光レーザ
801 受信光
802 送信光
803 ホール
804、805,806,807 光センサー受光部
903 データ信号処理・制御処理ブロック
1001 光通信を行う相手側の衛星
1002 ジンバル機構
1003 データ信号処理・制御処理ブロック
1004 光アンテナの鏡筒
1005 チルト方向回転ジンバル機構
1006 平面内回転ジンバル機構
1007 集光レンズ
1008 3軸ステアリングレンズ
1009 反射させるミラー
1010 1/4λ板
1011 空間光位相変調器
1012 空間光位相変調器
1013 集光レンズ
1014 前光角度検出センサー
1015 後光角度検出センサー
1016 光ファイバーコネクタ
1017 受信光と送信光を分離する光サーキュレータ
1018 光ファイバー
1019 光アンプ
1020 光ファイバー
1021 InGaAsフォトダイオード
1022 光ファイバー
1023 光アンプ
1024 光ファイバー
1025 送信光レーザ
1101 1次回折光
1102 1次回折光
1103 0次回折光
1104~1119 光検出器センサー部
1120 グレーティング
1201 データ信号処理・制御処理ブロック
1202 2軸ステアリングレンズ
1203 フォーカス調整レンズ
1301 通信を行う相手方の衛星
1302 通信を行う自衛星
1303 自衛星の光通信光
1304 相手方の衛星の光通信光
1401 空間位相変調器上のグレーティング
1402 空間位相変調器上のグレーティング
1403 受信光が傾いていない場合の光軸中心
1404 受信光の光軸がプラス側に傾いた際の光軸中心
1405 受信光の光軸がマイナス側に傾いた際の光軸中心
1406 空間変調パターン模式図
1407 受信光の光軸が傾いていない場合の光スポット
1408 受信光の光軸がプラス側に傾いた際の光スポット
1409 受信光の光軸がプラス側に傾いた際の光スポット