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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162574
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】分散体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/46 20060101AFI20241114BHJP
   B29C 48/40 20190101ALI20241114BHJP
   B29C 48/63 20190101ALI20241114BHJP
   B29C 48/64 20190101ALI20241114BHJP
【FI】
B29B7/46
B29C48/40
B29C48/63
B29C48/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078210
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】591229440
【氏名又は名称】住化カラー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】眞田 隆
(72)【発明者】
【氏名】佐野 晃一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 照三
【テーマコード(参考)】
4F201
4F207
【Fターム(参考)】
4F201AA07
4F201AB12
4F201AB16
4F201AJ08
4F201AR02
4F201AR17
4F201BA01
4F201BC01
4F201BC13
4F201BC33
4F201BK02
4F201BK13
4F201BK26
4F201BK41
4F201BK42
4F201BK49
4F201BK74
4F207AA07
4F207AB12
4F207AB16
4F207AJ08
4F207AR02
4F207AR17
4F207KA04
4F207KK13
4F207KL15
4F207KL23
4F207KM14
(57)【要約】
【課題】分散媒体と当該分散媒体中に分散されている液体又は粉体とを含む分散体の製造方法であって、生産性及び分散性に優れる方法を提供する。
【解決手段】分散媒体と、当該分散媒体中に分散されている液体又は粉体とを含む分散体の製造方法であって、混練ゾーンを有し、かつ、材料が上流から下流に向かって流れる二軸混練機の混練ゾーンで、前記分散媒体と前記液体又は前記粉体とを混練する混練工程を備え、前記混練ゾーンは、例えば、(A)1条フライトと、当該1条フライトの下流端に0.1MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有し、前記混練工程は、前記分散媒体の粘度が200poise以下であり、前記液体の粘度は、前記分散媒体の粘度の10倍以上であるような条件で施される、分散体の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散媒体と、当該分散媒体中に分散されている液体又は粉体とを含む分散体の製造方法であって、
混練ゾーンを有し、かつ、材料が上流から下流に向かって流れる二軸混練機の混練ゾーンで、前記分散媒体と前記液体又は前記粉体とを混練する混練工程を備え、
前記混練ゾーンは、
(A)1条フライトと、当該1条フライトの下流端に0.1MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、
(B)2条フライトと、当該2条フライトの下流端に0.1MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、
(C)1条フライトと、前記1条フライトの下流端及び前記1条フライトの下流端からみて1D上流側の位置で0.01MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、又は
(D)2条フライトと、前記2条フライトの下流端及び前記2条フライトの下流端からみて1D上流側の位置で0.01MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有し、
前記混練工程は、前記分散媒体の粘度が200poise以下であり、前記液体の粘度は、前記分散媒体の粘度の10倍以上であるような条件で施される、分散体の製造方法。
【請求項2】
前記混練ゾーンが、
(a)2D以上の長さの1条フライトと、当該1条フライトの下流端に0.5MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、
(b)2D以上の長さの2条フライトと、当該2条フライトの下流端に0.5MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、
(c)2D以上の長さの1条フライトと、前記1条フライトの下流端及び前記1条フライトの下流端からみて1D上流側の位置で0.1MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、又は
(d)2D以上の長さの2条フライトと、前記2条フライトの下流端及び前記2条フライトの下流端からみて1D上流側の位置で0.1MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有する、請求項1に記載の分散体の製造方法。
【請求項3】
前記1条フライト又は前記2条フライトのリード長が0.7D以上である、請求項1又は2に記載の分散体の製造方法。
【請求項4】
前記二軸混練機は、複数の前記混練ゾーンを備える、請求項1又は2に記載の分散体の製造方法。
【請求項5】
前記混練ゾーンより上流側で、前記分散媒体の一部と、前記液体又は前記粉体とを、二軸混練機に供給し、残りの分散媒体を前記混練ゾーンに供給する、請求項1又は2に記載の分散体の製造方法。
【請求項6】
前記分散体の全質量に対する前記分散媒体の含有量が、20質量%以上90質量%以下である、請求項1又は2に記載の分散体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分散媒体と当該分散媒体中に分散されている液体又は粉体とを含む分散体は、各種用途に用いられている。これに伴い、分散媒体に液体又は粉体を分散させる方法が種々検討されている。
【0003】
例えば、低粘度の媒体に他の成分を分散する場合、ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;エム・テクニック(株)製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社「フィルミックス」等のホモジナイザー類;又はペイントコンディショナー(レッドデビル(株)製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス(株)製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ(株)製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機のようなバッチ式の混合機が用いられる場合が多い。バッチ式の混合機は、少量であれば効率的に混合できるが、分散性を保ちつつスケールアップしようとすると、処理時間を長くする必要があり、生産性が低下する傾向にある。
【0004】
低粘度の媒体に、固形分を分散する技術としては、例えば、電池の電極材ペーストを得る工程がある。
【0005】
特許文献1ではバンバリー型混練翼を用いて加圧機構を有する混練機で、固形分濃度82~84wt%で電極材を混練する方法が提案されている。バンバリー型混練翼は、一般的に、混練槽との間のクリアランスが大きいため、固形分濃度が低い場合や、系全体の粘度が低い場合に適切な剪断応力が得られず、良好な分散が得られないことがある。
【0006】
特許文献2では最初、固形分だけをプラネタリーミキサーで混合し、最終的に用いられるよりも少ない量の溶媒を加え、固形分濃度が高い状態で二軸混練押出機を用いて湿式混練を行い、さらに溶剤を加え、もう一度プラネタリーミキサーを用いて活物質を分散させる方法が提案されている。この方法では、混練における塗料の圧密性が高いことが想定され、プラネタリーミキサーのような剪断力の小さい装置を用いて均一に分散された塗料を得ることは困難であると考えられる。また、連続的な工程による塗料作製ができないため、生産性に劣ると考えられる。さらに、混練されたペーストが均一に分散されないことにより、粗大な凝集ブツがその塗料中に多く残存することとなり、このような凝集ブツがその後形成される塗膜中に突起として存在し、非水二次電池中での凝集ブツの脱落、セパレータの破損、短絡など生産上支障をきたす懸念がある。また、塗膜の塗工前にフィルターでろ過した場合、その透過性が著しく低下し、かつ、生産性が低下すると考えられる。
【0007】
特許文献3に開示されている技術では、電極を作製する際に、正極活物質、導電材、結着剤、及び溶剤などを混練して電極ペーストを作製している。このとき、導電材は二軸混練機に一度に投入されている。導電材を二軸混練機に一度に投入する方法では、電極ペースト中における導電材の分散度が略同一となり易く、分散度が異なる導電材を備える電極ペーストを作製することが困難となる場合がある。このため、正極活物質間において良好な導電ネットワークが形成され難い傾向にあり、正極における内部抵抗を十分に低減できず、電池性能が低下する懸念がある。
【0008】
特許文献4には、正極材料である正極活物質とアセチレンブラックとバインダーと溶媒を混練して、正極合材ペーストを製造する正極合材ペースト製造用二軸混練機が開示されている。この正極合材ペースト製造用二軸混練機は、平行に配置された二つの軸と、前記軸が延びる方向である軸方向に延びる筒状のバレルと、前記バレルの内部に配置されたせん断パドルを有し、前記軸を回転軸として回転するせん断パドル部と、前記バレルの内部に配置された抵抗パドルを有し、前記せん断パドル部と共に前記軸を回転軸として回転する抵抗パドル部とを備えている。バレルは、前記軸方向の一方端側に位置し、前記正極材料を当該バレルの内部に投入するための投入口と、前記軸方向の他方端側に位置し、前記正極材料が混練されてなる前記正極合材ペーストを当該バレルの外部に排出するための排出口と、を有している。抵抗パドル部は、それぞれの前記軸において、複数、前記投入口側から前記排出口側に向かって前記軸方向に並んで配置されている。また、せん断パドル部は、それぞれの前記軸において、各々の前記抵抗パドル部に対し、前記軸方向に隣接して配置されている。この正極合材ペースト製造用二軸混練機では、いずれの抵抗パドルも同一寸法とされており、正極合材ペースト製造用二軸混練機の全体にわたって、バレルの内周面と抵抗パドルの外周面との間のクリアランスは一定とされている。しかしながら、この方法では、正極合材ペースト製造用二軸混練機によって作製された同一ロット内の正極合材ペーストにおいて、アセチレンブラックの長さ(一次粒子が線状に繋がった二次粒子の長さ)のバラツキが大きくなることがある。
【0009】
特許文献5には、顔料粉末を媒体中に分散する際に、ニーダ、ロール等のバッチ式の混練機や一軸、二軸の押出機等で溶融混練し、顔料を分散する方法が記載されている。一方で、バッチ式混練機では製品のロット毎の品質にムラが生じたり、生産効率が劣ったりする傾向にある。また、一軸、二軸の押出機では顔料粗粒子の分散が不十分となる懸念がある。これら一軸、二軸の押出機で顔料中に存在する硬い粗粒子を分散させるには、2回以上の混練操作を行う必要があると考えられるが、この場合、能率上の損失や、時には混練に伴う組成物の温度上昇等によって組成物の粘度変化等の悪影響をもたらすことが懸念される。また、顔料粉末中に多数存在する粗大な2次凝集粒子は混練操作を数回行っても全てを数μm程度以下の微粒子にするのは困難で、ごく僅かの粗粒子分は残りがちであり、その僅かな粗粒子のため製品のツヤ、平滑性が損なわれ、商品価値が低下する懸念もある。
【0010】
特許文献6及び7には、回転円板と固定円板との間で混練する機構を有する連続混練押出機を用いて溶融混練する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平04-253157号公報
【特許文献2】特開2000-353516号公報
【特許文献3】特開2005-222772号公報
【特許文献4】特開2015-109175号公報
【特許文献5】特開2000-167826号公報
【特許文献6】特公昭55─41139号公報
【特許文献7】特公昭54─24743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、上記従来の方法は、生産性及び分散性の両立に関して充分とは言えない。そこで、本発明は、分散媒体と、当該分散媒体中に分散されている液体又は粉体とを含む分散体の製造方法であって、生産性及び分散性に優れる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は以下に関する。
[1]分散媒体と、当該分散媒体中に分散されている液体又は粉体とを含む分散体の製造方法であって、
混練ゾーンを有し、かつ、材料が上流から下流に向かって流れる二軸混練機の混練ゾーンで、前記分散媒体と前記液体又は前記粉体とを混練する混練工程を備え、
前記混練ゾーンは、
(A)1条フライトと、当該1条フライトの下流端に0.1MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、
(B)2条フライトと、当該2条フライトの下流端に0.1MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、
(C)1条フライトと、前記1条フライトの下流端及び前記1条フライトの下流端からみて1D上流側の位置で0.01MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、又は
(D)2条フライトと、前記2条フライトの下流端及び前記2条フライトの下流端からみて1D上流側の位置で0.01MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有し、
前記混練工程は、前記分散媒体の粘度が200poise以下であり、前記液体の粘度は、前記分散媒体の粘度の10倍以上であるような条件で施される、分散体の製造方法。
[2]前記混練ゾーンが、
(a)2D以上の長さの1条フライトと、当該1条フライトの下流端に0.5MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、
(b)2D以上の長さの2条フライトと、当該2条フライトの下流端に0.5MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、
(c)2D以上の長さの1条フライトと、前記1条フライトの下流端及び前記1条フライトの下流端からみて1D上流側の位置で0.1MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、又は
(d)2D以上の長さの2条フライトと、前記2条フライトの下流端及び前記2条フライトの下流端からみて1D上流側の位置で0.1MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有する、[1]に記載の分散体の製造方法。
[3]前記1条フライト又は前記2条フライトのリード長が0.7D以上である、[1]又は[2]に記載の分散体の製造方法。
[4]前記二軸混練機は、複数の前記混練ゾーンを備える、[1]~[3]のいずれかに記載の分散体の製造方法。
[5]前記混練ゾーンより上流側で、前記分散媒体の一部と、前記液体又は前記粉体とを、二軸混練機に供給し、残りの分散媒体を前記混練ゾーンに供給する、[1]~[3]のいずれかに記載の分散体の製造方法。
[6]前記分散体の全質量に対する前記分散媒体の含有量が、20質量%以上90質量%以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の分散体の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、分散媒体と当該分散媒体中に分散されている液体又は粉体とを含む分散体の製造方法であって、生産性及び分散性に優れる方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る二軸混練機の一例を示す概略図である。
図2】1条フライトとシリンダーとの間のクリアランスを説明する図である。
図3】2条フライトとシリンダーとの間のクリアランスを説明する図である。
図4】実施例1の圧力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0017】
本実施形態の分散体の製造方法は、分散媒体と、当該分散媒体中に分散されている液体又は粉体とを含む分散体の製造方法であって、混練ゾーンを有し、かつ、材料が上流から下流に向かって流れる二軸混練機の混練ゾーンで、前記分散媒体と前記液体又は前記粉体とを混練する混練工程を備え、前記混練ゾーンは、(A)1条フライトと、当該1条フライトの下流端に0.1MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、(B)2条フライトと、当該2条フライトの下流端に0.1MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、(C)1条フライトと、前記1条フライトの下流端及び前記1条フライトの下流端からみて1D上流側の位置で0.01MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、又は(D)2条フライトと、前記2条フライトの下流端及び前記2条フライトの下流端からみて1D上流側の位置で0.01MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有し、前記混練工程は、前記分散媒体の粘度が200poise以下であり、前記液体の粘度は、前記分散媒体の粘度の10倍以上であるような条件で施される。この方法によれば、優れた分散性及び生産性を両立できる。また、この方法によれば、粉体又は粘度の高い液体を、粘度の低い分散媒体に分散させる場合であっても、優れた生産性を維持しつつ、凝集塊等の発生等を低減できる。
【0018】
1条フライト及び2条フライトは、通常、搬送用のセグメントとして使用されるものであり、二軸混練機の混練ゾーンには、順ニーディングディスク(KD)、逆ニーディングディスク、ニュートラルニーディング、ローター等のような、一般的に混練セグメントとして使用されるスクリューセグメントを組み合わせて用いることが一般的である。これに対し、本実施形態に係る方法は、1条フライト及び2条フライトを混練ゾーンに用いるものである。この方法によれば、粉体又は液体(例えば、高粘度の液状物質)の分散及び混合を優れた生産性で達成できる。
【0019】
Dは、通常、シリンダー径の概略値をいう。すなわち、「1条フライトの下流端からみて1D上流側の位置」とは、「1条フライトの下流端」から、約「1×D」上流側の位置を意味する。また、後述の「2D」との記載は「Dの約2倍」の長さを、「3D」との記載は「Dの約3倍」の長さをそれぞれ示す。「4D」等のその他の類似の記載も同様である。
【0020】
ここで、本明細書においては、1Dはシリンダー径の-7.0%~+7.0%の範囲と定義する。すなわち、シリンダー径をD’と定義した場合、1Dは、「0.93×D’~1.07×D’」を意味する。同様に、「2D」は、「0.93×2×D’~1.07×2×D’」を意味し、「3D」は、「0.93×3×D’~1.07×3×D’」を意味する。
【0021】
本明細書において、混練工程での分散媒体、液体の粘度は、フローテスターCFT-500D、又はB型(Brookfield)粘度計により測定される値をいう。
【0022】
以下、本実施形態に係る方法の具体例について説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る二軸混練機の一例を示す概略図である。この二軸混練機は、シリンダー(図示せず)と、シリンダーに配設されたスクリュー2と、シリンダーの下流側端部に設けられたダイ(図示せず)と、を備える。二軸混練機は、互いに回転して噛み合うスクリューを備えた構成であってもよい。二軸混練機としては、例えば、同方向噛み合い型二軸混練押出機が挙げられる。
【0024】
上記二軸混練機は、材料の流れ方向からみて上流から順に、供給ゾーン20、第一の混練ゾーン21、搬送ゾーン22、第二の混練ゾーン23、搬送ゾーン24を備える。供給ゾーン20及び搬送ゾーン22には、それぞれ第一の供給口1a及び第二の供給口1bが配され、搬送ゾーン24には、ベント口5が配されている。すなわち、この二軸混練機は、材料の流れ方向からみて上流から順に、第一の供給口1a、第一の混練ゾーン21、第二の供給口1b及び第二の混練ゾーン23を備える。本実施形態の分散体の製造方法に係る混練工程は、第二の混練ゾーン23で施される。第一の供給口1a及び第二の供給口1bには、例えば、プランジャーポンプ、ダイアフラムポンプ、チューブポンプ、二軸ポンプ等の送液ポンプ;重量式フィーダー;又はホッパ(図示せず)が接続されている。これらは供給する材料の種類により適宜選択することができる。供給口から液体状の材料を供給する場合、供給口には送液ポンプが接続されていることが好ましく、供給口から固体状の材料を供給する場合、供給口には重量式フィーダーが接続されていることが好ましい。これにより材料を定量的に供給することができる。
【0025】
第二の混練ゾーン23は、材料の流れ方向からみて上流側に混合分散部23aを、下流側に抵抗部23bをそれぞれ有する。抵抗部は抵抗部23bの上流端の圧力が最も高く、下流に向かって圧力は低く、混合分散部23aは下流端(抵抗部23bの上流端)から上流側に向かって圧力が低くなるスクリューセグメントの構成である領域である。第二の混練ゾーン23が抵抗部23bを備えることにより、分散媒体中に分散される液体又は粉体と分散媒体との混合物が、フライトとシリンダーとの空隙へ充満し易くなり、分散性が向上すると考えられる。
【0026】
混合分散部23aは、1条フライト又は2条フライトから構成される。混合分散部23aを構成する1条フライト又は2条フライトの長さは、分散性の観点から、例えば、1D以上であってもよく、2D以上であってもよく、3D以上であってもよい。1条フライト又は2条フライトのリード長は、例えば、0.7D以上とすることができる。このリード長は、例えば、1.0D以上であってもよく、1.5D以上であってもよい。
【0027】
リード長とは、フライトの弦巻線に沿って軸の周りを1周するとき、軸方向に進む距離をいう。
【0028】
混合分散部23aを構成するフライト(1条フライト又は2条フライト)とシリンダーとの間のクリアランスは、シリンダー径の1.50%以下であることが好ましく、1.00%以下であることがより好ましい。
【0029】
図2は、1条フライトとシリンダーとの間のクリアランスを説明する図である。図2において、aはクリアランスを、bはシリンダーを、cはフライト幅を、dxはシリンダー径をそれぞれ示す。
【0030】
1条フライトを用いる場合、フライト幅はフライトのリード長の20%以上であることが好ましく、30%近傍であるとより好ましい。フライト幅を広くすることでスクリューとフライトの隙間での分散及び混合の効果が得られやすい傾向にある。
【0031】
図3は、2条フライトとシリンダーとの間のクリアランスを説明する図である。図3において、aはクリアランスを、bはシリンダーを、dxはシリンダー径をそれぞれ示す。
【0032】
抵抗部23bは、1条フライト若しくは2条フライトの下流端に0.1MPa以上の圧力を生じるような抵抗部;又は1条フライト若しくは2条フライトの下流端及び1条フライト若しくは2条フライトの下流端からみて1D上流側の位置で0.01MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部である。抵抗部23bは、1条フライト又は2条フライトの下流端に0.5MPa以上、1.0MPa以上、又は2.0MPa以上の圧力を生じるような抵抗部であってもよい。抵抗部23bは、1条フライト若しくは2条フライトの下流端及び1条フライト若しくは2条フライトの下流端からみて1D上流側の位置で0.1MPa以上、0.2MPa以上、又は0.3MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部であってもよい。
【0033】
抵抗部23bは、例えば、逆フライト、シールリング、ニュートラルニーディングディスク、逆ニーディングディスク、切り欠きセグメント(切り欠き付きのフライト又はリング)等のスクリューエレメント、及びこれらを組み合わせであってもよい。抵抗部23bは、例えば、下流側への搬送力が二軸混練機を運転する条件の吐出量を下回るようスクリューエレメントの組み合わせ及び長さを調整することによって形成してもよい。中でも、1条又は2条の逆フライトは、効率的に抵抗部を形成できる。抵抗部をフライトから構成する場合、フライトとシリンダーとのクリアランスは、1%以下であることが好ましい。フライトは、例えば、2周以上のフライトであってもよく、好ましくは4周のフライトである。
【0034】
以下に、上記二軸混練機を用いて、分散媒体と当該分散媒体中に分散されている液体又は粉体とを含む分散体を製造する方法について説明する。
【0035】
まず、第一の供給口1aから供給ゾーン20に分散媒体を供給する。第一の供給口1aから供給ゾーン20に供給された分散媒体は、第一の混練ゾーン21に搬送される。
【0036】
分散媒体は、200poise以下の粘度になり得る材料であれば特に制限はない。分散媒体は、常温では、例えば、液体であってもよく、固体であってもよい。分散媒体は、使用目的に応じて必要とされる耐熱性、耐薬品性、成形性等の特性から適宜選択することができる。
【0037】
常温で液体である分散媒体としては、例えば、水;ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型等のエポキシ樹脂;エチレンαオレフィンコオリゴマー;及びこれらの混合物が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0038】
分散媒体は、必要に応じて分散剤を含んでいてもよい。分散剤としては、特に限定されることは無く、アニオン、カチオン、両性、非イオン性の界面活性剤等を使用することができる。
【0039】
常温で固体である分散媒体としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等のオレフィン系ワックス;低分子量ポリエステル、ミツロウ、カルナバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の天然ワックス;アマイドワックス等の合成ワックス;及びこれらの混合物が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0040】
第一の混練ゾーン21では、第一の供給口1aから供給された分散媒体の粘度を必要に応じ調整する。第一の混練ゾーン21を出た分散媒体は、搬送ゾーン22に搬送され、搬送ゾーン22で液体又は粉体と合流する。
【0041】
液体又は粉体は、供給口1bから搬送ゾーン22に供給され、搬送ゾーン22で分散媒体と合流する。
【0042】
液体は、混練工程において、分散媒体の粘度の10倍以上であるような粘度になり得る材料である。液体又は粉体は、使用目的に応じて必要とされる耐熱性、耐薬品性、成形性等の特性から適宜選択することができる。
【0043】
液体としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型等のエポキシ樹脂;エチレンαオレフィンコオリゴマー;及びこれらの混合物が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0044】
粉体としては、例えば、無機顔料、有機顔料、無機充填剤及びこれらの混合物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0045】
無機顔料としては、例えば、酸化チタン(C.I.Pigment W-6、W-7)、酸化鉄(C.I.Pigment R-101、Y-42、BL-11など)、硫酸バリウム(C.I.Pigment W-21、W-22など)、酸化亜鉛(C.I.Pigment W-4など)、炭酸カルシウム(C.I.Pigment W-18)、シリカ(C.I.Pigment W-27)、アルミニウム(C.I.Pigment W-24)、パール顔料(C.I.Pigment W-20など)、真鍮、及びマイカが挙げられる。
【0046】
有機顔料としては、例えば、溶性アゾ系(C.I.Pigment R-48:3、R-57:1、R-53:1、R-48:1など)、不溶性アゾ系(C.I.Pigment Y-12、Y-13、Y-14、Y-17、Y-55、Y-81、Y-83、Y-87、Y-124、Y-152、Y-165、O-16、R-146など)、ナフトールAS系(C.I.Pigment R-146など)、縮合アゾ系(C.I.Pigment Y-93、Y-128、Y-166、R-144、R-166、R-214、R-262、O-31など)、ベンズイミダゾロン系(C.I.Pigment Y-120、Y-180、R-171、V-32、O-36など)、フタロシアニン系(C.I.Pigment B-15:3、B-15:4、B-75、G-7、G-36などC.I.PB(ピグメントブルー)15:1、PB15:2、PB15:3、PB15:4、PB15:5、PB15:6、PB16、PG(ピグメントグリーン)7、PG36C.I.PB(ピグメントブルー)15:1、PB15:2、PB15:3、PB15:4、PB15:5、PB15:6、PB16、PG(ピグメントグリーン)7、PG36)、ジオキサジン系(C.I.Pigment V-23など)、キナクリドン系(C.I.Pigment R-122、R-202、V-19、O-48など)、ペリレン系(C.I.Pigment R-123、R-149、V-29など)、ペリノン系(C.I.Pigment R-194、O-43など)、チオインジゴ系(C.I.Pigment B-63、R-181など)、アンサンスロン系、イソインドリン系(C.I.Pigment Y-139、Y-185、R-260、O-66などPO66)、イソインドリノン系(C.I.Pigment Y-109、Y-110、O-61など)、スレン系(C.I.Pigment R-168、R-177など)、アントラキノン系(C.I.Pigment Y-24、Y-108、R-168、B-60など)、キノフタロン系(C.I.Pigment Y-138など)、アゾメチン系、ジケトピロロピロール系(C.I.Pigment R-254、R-255、O-71など)、及びカーボンブラック(C.I.Pigment BL-6、BL-7など)などが挙げられる。
【0047】
無機充填剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウム等の金属酸化物;フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等のフッ化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩;硫化鉄、硫化マグネシウム、硫化亜鉛等の硫化物;及び窒化マグネシウム、窒化炭素等の窒化物が挙げられる。
【0048】
搬送ゾーン22を出た分散媒体と液体又は粉体とは、第二の混練ゾーン23において、本実施形態に係る混錬工程を施される。これにより、本実施形態に係る分散体を得ることができる。
【0049】
第二の混練ゾーン23には上述の抵抗部が形成される。また、第二の混練ゾーン23では、分散媒体と液体又は粉体とが下記条件で混錬される。
混錬条件:
分散媒体の粘度は、200poise以下である。
液体の粘度は、分散媒体の粘度の10倍以上である。
粉体は、固体状態であることができる。
【0050】
混練工程での分散媒体の粘度は、例えば、100poise以下であってもよく、50poise以下であってもよい。混練工程での分散媒体の粘度は、例えば、0.1poise以上であってもよく、1poise以上であってもよく、5poise以上であってもよく、10poise以上であってもよい。
【0051】
混練工程での液体の粘度は、例えば、2000poise以下であってもよく、200poise以下であってもよく、100poise以下であってもよく、50poise以下であってもよい。混練工程での液体の粘度は、例えば、1poise以上であってもよく、5poise以上であってもよく、10poise以上であってもよい。
【0052】
混練工程での液体の粘度は、例えば、50倍以上であってもよく、100倍以上であってもよい。混練工程での液体の粘度は、例えば、分散媒体の粘度の10000倍以下であってもよく、5000倍以下であってもよく、1000倍以下であってもよい。
【0053】
第二の混練ゾーン23を出た分散体は、搬送ゾーン24経て、ダイから二軸混練機の外に排出される。
【0054】
分散体の全質量に対する分散媒体の含有量は、例えば、20質量%以上90質量%以下であってもよく、30質量%以上80質量%以下であってもよく、40質量%以上70質量%以下であってもよい。
【0055】
分散体の全質量に対する液体又は粉体の含有量は、例えば、10質量%以上80質量%以下であってもよく、20質量%以上70質量%以下であってもよく、30質量%以上60質量%以下であってもよい。
【0056】
分散媒体100質量部に対する液体又は粉体の含有量は、例えば、15質量部以上、30質量部以上、又は50質量部以上であってもよく、400質量部以下、300質量部以下、又は200質量部以下であってもよい。
【0057】
以上、本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法の一例について説明したが、この方法はこれに限定されるものではない。
【0058】
例えば、液体又は粉体は、分散媒体と共に第一の供給口1aから供給してもよい。この場合、第一の混錬ゾーン21においてニーディングディスク等による予備的な混練を行うことが好ましい。
【0059】
混練ゾーン23より上流側で、分散媒体の一部と液体又は粉体とを二軸混練機に供給し、残りの分散媒体を混練ゾーン23に供給してもよい。
【0060】
供給ゾーン20、第一の混練ゾーン21、搬送ゾーン22、搬送ゾーン24及びベント口はあってもなくてもよい。混練ゾーン23は複数存在してもよい。
【0061】
以上説明した分散体の上記の製造方法は、分散媒体と、当該分散媒体中に分散されている液体又は粉体とを含む分散体の製造方法であって、混練ゾーンを有し、かつ、材料が上流から下流に向かって流れる二軸混練機の混練ゾーンで、前記分散媒体と前記液体又は前記粉体とを混練する混練工程を備え、前記混練ゾーンは、(A)1条フライトと、当該1条フライトの下流端に0.1MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、(B)2条フライトと、当該2条フライトの下流端に0.1MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、(C)1条フライトと、前記1条フライトの下流端及び前記1条フライトの下流端からみて1D上流側の位置で0.01MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、又は(D)2条フライトと、前記2条フライトの下流端及び前記2条フライトの下流端からみて1D上流側の位置で0.01MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有し、前記混練工程は、前記分散媒体の粘度が200poise以下であり、前記液体の粘度は、前記分散媒体の粘度の10倍以上であるような条件で施される。この方法によれば、優れた分散性及び生産性を両立できる。
【0062】
この方法において、混練ゾーンは、(a)2D以上の長さの1条フライトと、当該1条フライトの下流端に0.5MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、(b)2D以上の長さの2条フライトと、当該2条フライトの下流端に0.5MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、(c)2D以上の長さの1条フライトと、前記1条フライトの下流端及び前記1条フライトの下流端からみて1D上流側の位置で0.1MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有するか、又は(d)2D以上の長さの2条フライトと、前記2条フライトの下流端及び前記2条フライトの下流端からみて1D上流側の位置で0.1MPa以上の圧力を生じさせる抵抗部とを有することが好ましい。これにより、更に分散性及び生産性を向上できる。
【0063】
この方法において、1条フライト又は2条フライトのリード長は、0.7D以上であることが好ましい。これにより、更に分散性及び生産性を向上できる。
【0064】
上記二軸混練機は、複数の前記混練ゾーンを備えていてもよい。これにより、更に分散性及び生産性を向上できる。
【0065】
この方法においては、混練ゾーンより上流側で、分散媒体の一部と、液体又は粉体とを、二軸混練機に供給し、残りの分散媒体を混練ゾーンに供給してもよい。これにより、更に分散性及び生産性を向上できる。
【実施例0066】
以下、本発明について実施例及び比較例を用いて説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0067】
(材料)
実施例及び比較例で用いた材料を以下に示す。
【0068】
[分散媒体]
低分子量PE樹脂:三井化学社製、ハイワックスNL-800(融点(m.p.):105℃、105℃での粘度:181poise、140℃での粘度:35poise)
【0069】
[粉体]
無機顔料1:ケマーズ社製、Ti-Pure R-104
無機顔料2:第一化成工業社製、群青No.2000
【0070】
(二軸混練機の構成及び条件)
二軸混練機として、以下の加工機を用いた。また、下記のスクリューセグメントを、混合分散部及び抵抗部を構成するスクリューセグメントとして用いた。
【0071】
加工機1:同方向回転二軸押出機TEM-26SX(芝浦機械株式会社製)、シリンダーの口径:26.6mm
加工機2:手動式加熱3本ロールミル、SH-4;3/4×11型(株式会社井上製作所製)
【0072】
[スクリューセグメント]
(混合分散部)
1条フライトA:フライトのリード長bが1Dでシリンダーとのクリアランスが、シリンダー径の0.66%であり、フライト幅cがシリンダー径の30%である1条フライト
1条フライトB:フライトのリード長bが1Dでシリンダーとのクリアランスが、シリンダー径の1.50%であり、フライト幅cがシリンダー径の30%である1条フライト
(抵抗部)
1条逆フライト:フライトのリード長bが1Dでシリンダーとのクリアランスが、シリンダー径の0.66%であり、フライト幅cがシリンダー径の30%である1条逆フライト
【0073】
[実施例1~4]
50重量%の低分子量PE樹脂、45重量%の無機顔料1、及び5重量%の無機顔料2を同方向回転二軸押出機TEM-26SXを用いて混練し、評価用の試料を得た。二軸押出機の混練分散部および抵抗部の構成、吐出量、スクリュー回転数を表1に示す。また、混練時の混合分散部下流端(フライトの下流端)からみて65.0mm上流側(2.40D上流側に相当)の位置の樹脂圧力を表2に示す。押出機出口での材料の温度は、105℃であった。
【0074】
[比較例1]
50重量%の低分子量PE樹脂、45重量%の無機顔料1、及び5重量%の無機顔料2を90~100℃に加熱した手動式加熱3本ロールミル SH-4;3/4×11型で3回混練し、評価用の試料を得た。
【0075】
[試料の評価]
得られた試料は下記の手順で評価した。
【0076】
[顔料の分散度]
LDPE樹脂(スミカセンL-705)90重量%と、上記試料10重量%とを、設定温度180℃で40μmのフィルターを装着させた株式会社東洋精機製作所製 ラボプラストミル4C150型の押出試験機(単軸スクリュー)を用いて、1kg/hの条件で、1kg押出した後の昇圧値を測定した。この昇圧値が、1.0MPa未満である場合を良好として評価した。この数値は小さいほど分散性が良好であることを表す。結果を表2に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
実施例1について、抵抗部の上流端(すなわち、混合分散部の下流端)の樹脂圧力、並びに抵抗部の上流端(すなわち、混合分散部の下流端)からみて2.40D上流側、4.00D上流側及び1.60D下流側の位置の圧力を図4に示す。図4において、「0.00D」は、抵抗部の上流端(すなわち、混合分散部の下流端)の位置を、「-2.40D」は、抵抗部の上流端(すなわち、混合分散部の下流端)からみて2.40D上流側の位置を、「-4.00D」は、抵抗部の上流端(すなわち、混合分散部の下流端)からみて4.00D上流側の位置を、「1.60D」は、抵抗部の上流端(すなわち、混合分散部の下流端)からみて1.60D下流側の位置を、それぞれ示す。図4からも明らかなとおり、実施例1は、抵抗部の上流端の圧力が最も高く、下流に向かって圧力は低く、混合分散部は下流端(抵抗部の上流端)から上流側に向かって圧力が低くなるスクリューセグメントの構成である領域を有する。
【0080】
実施例に係る方法は、生産性を保ちつつも優れた分散性を有することがわかる。
【符号の説明】
【0081】
1a,1b…供給口、5…ベント口、20…供給ゾーン、21…第一の混練ゾーン、22,24…搬送ゾーン、23…第二の混練ゾーン、23b…抵抗部、23a…混合分散部。
図1
図2
図3
図4