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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162575
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】注入材施工管理システム
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/04 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
E21D9/04 Z
E21D9/04
E21D9/04 F
E21D9/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078216
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000129758
【氏名又は名称】株式会社ケー・エフ・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【弁理士】
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】田村 兼一
(72)【発明者】
【氏名】間野 真至
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054FA02
(57)【要約】
【課題】所定の抽出キーを用いてチャートを自動的に出力する。
【解決手段】管理サーバ1が、ポンプユニット4のレジストリ格納部422に記憶されている、注入ポンプ43で注入材の注入を担う区分領域を特定可能な情報を含むポンプユニット4の識別情報と、注入開始日時及び注入終了日時と、注入材の経時的に変化する吐出流量の推移データ及び注入材の積算流量と、注入初期圧と注入最終圧とを有する特定の確定注入孔番号に対応する注入データを取り込み、特定の確定注入孔番号に対応する運転状態記録として確定注入孔運転情報格納部124に記憶し、この運転状態記録と管理項目格納部123の管理項目とから、施工断面識別情報とこれに対応する確定注入孔番号を抽出キーとして表示項目のデータを抽出し、抽出したデータが示された表示テンプレートを出力する注入材施工管理システム。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理サーバと、注入材の注入ポンプをそれぞれが有する複数のポンプユニットとを備え、
前記管理サーバが、
表示フォームを規定する表示テンプレートを表示テンプレート格納部に記憶し、
施工断面識別情報と、前記施工断面識別情報と対応する確定注入孔番号と、施工工法名と、施工日とを少なくとも有する管理項目を管理項目格納部に記憶し、
前記ポンプユニットのレジストリ格納部に記憶されている、注入孔の長さ方向における前記注入ポンプで注入材の注入を担う区分領域を特定可能な情報を含む前記ポンプユニットの識別情報と、前記ポンプユニットが有する前記注入ポンプの注入材の注入開始日時及び注入終了日時と、注入材の経時的に変化する吐出流量の推移データ及び注入材の積算流量と、注入材の注入初期圧と、注入材の注入最終圧とを有する特定の前記確定注入孔番号に対応する注入データを取り込んで、前記特定の確定注入孔番号に対応する運転状態記録として確定注入孔運転情報格納部に記憶し、
前記管理項目格納部の管理項目と前記確定注入孔運転情報格納部の運転状態記録とから、前記施工断面識別情報とこれに対応する前記確定注入孔番号を抽出キーとして前記表示テンプレートの表示項目のデータを抽出し、抽出したデータが示された前記表示テンプレートを出力することを特徴とする注入材施工管理システム。
【請求項2】
前記ポンプユニットが前記管理サーバと通信接続され、
前記管理サーバが、前記ポンプユニットにデータリセット指令を送信し、
前記ポンプユニットが、前記データリセット指令の受信に応じて、前記ポンプユニットのレジストリ格納部に記憶されている前記注入データを前記管理サーバに送信することを特徴とする請求項1記載の注入材施工管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバが、前記特定の確定注入孔番号に対応する注入データとして仮孔番号が付された注入データを取り込み、前記仮孔番号を前記特定の確定注入孔番号に修正した形で前記運転状態記録を前記確定注入孔運転情報格納部に記憶することを特徴とする請求項1又は2記載の注入材施工管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば長尺先受け工法(AGF工法)や鏡補強工のようなトンネル補助工法や、斜面等の地盤の補強において、地山に注入する注入材の施工を管理する注入材施工管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地山に注入する注入材の施工を管理する注入材施工管理システムとして、作業者の注入孔番号の入力違いに拘わらず注入材の注入作業を継続できる特許文献1の注入材施工管理システムがある。この注入材施工管理システムでは、サーバ装置が、地山の注入孔の注入孔番号と注入孔番号に対する注入材注入要求の入力に応じて、注入孔番号の運転状態記録の有無を格納している運転状態記録と照合して確認し、注入孔番号の運転状態記録が有る場合に、注入孔番号に代えて仮孔番号を付与し、仮孔番号に対応させて注入材注入開始指令を生成し、注入材注入開始指令とポンプユニットのレジストリ格納部の仮孔番号に対応する記録領域への運転状態記録指令をポンプユニットに送信する。
【0003】
そして、サーバ装置が、ポンプユニットのレジストリ格納部の運転状態の記録を所定周期で読み込み、注入材の積算注入量の目標注入量への到達に応じて、注入材注入終了指令とレジストリ格納部の仮孔番号に対応する記録領域への運転状態記録終了指令をポンプユニットに送信し、ポンプユニットのレジストリ格納部に格納されている仮孔番号に対応する運転状態記録を取得して格納し、仮孔番号の正規の注入孔番号への修正入力に応じて、格納されている仮孔番号の運転状態記録の仮孔番号を正規の注入孔番号の運転状態記録に修正して格納するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7063529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1におけるポンプユニットのような地山の注入孔に注入材を注入するポンプユニットは、ポンプユニットの注入ポンプの識別情報を記憶部に格納すると共に、施工断面(STA)の識別情報、各注入材注入作業における注入材の注入開始日時及び注入終了日時、注入材の積算注入量、注入材注入の注入初期圧や注入最終圧、注入材注入中の圧力変化等の注入データをリセットボタンが押されるまで記憶部に格納し、各注入材注入作業における注入材の注入開始日時及び注入終了日時、注入材の積算注入量、注入材注入の注入初期圧や注入最終圧、注入材注入中の圧力変化等の注入データを、時系列的な注入順番号を付してチャート紙の形式で出力部から印字出力する機能を備えることが一般的である(図11参照)。
【0006】
そして、注入材の施工管理では、それぞれの注入ポンプにおける各注入材注入作業の注入開始日時及び注入終了日時、注入材の積算注入量、注入材注入の注入初期圧や注入最終圧が注入日報として管理すると共に、印字出力されたチャート紙に基づく注入データを管理することが求められる。
【0007】
ここで、例えば長尺先受け工法では、注入孔及び注入孔に打設される鋼管は標準で12.5mのように長尺になるため、1つの注入孔の注入領域を長さ方向に3つの区分領域のように複数の区分領域に分け、3台のように複数台の注入ポンプで同時に注入することが行われる。更に、大断面トンネルでは、1つの施工断面を2セットの注入ポンプのセットで注入することも行われるため、例えば、1つの注入孔を3つの区分領域に分けて3台の注入ポンプで注入すると共に2セットの注入ポンプのセットで注入する場合、使用される注入ポンプの台数は6台となり、作業者は6台の注入ポンプに対応する6個のポンプユニットから印字出力されたチャート紙を回収する。
【0008】
作業者は回収したチャート紙に基づき注入データを管理することになるが、各ポンプユニットが印字出力したチャート紙に付されている注入順番号はポンプユニットの注入ポンプの注入材注入作業の順番を示す単なる注入順の番号であるため、現状では、それぞれの注入順番号の注入データに、該当する注入孔の注入孔番号と、注入孔の区分領域のどの区分領域に注入を行った注入ポンプであるか、換言すれば注入孔の区分領域を特定する情報を手書きで書き込み、注入孔番号と区分領域特定情報を書き込んだ部分毎にハサミ等で切り離し、切り離した部分毎に台紙に貼り付け、注入孔とその区分領域の注入データを整理している。
【0009】
しかしながら、例えば1つの施工断面に30個の注入孔を形成し、各注入孔を3つの区分領域に分けて注入材の注入を行う場合、1つの注入孔に対して3台の注入ポンプ×30個の注入孔で、印字出力されるチャート紙は90枚と大量になる。そのため、大量のチャート紙を、注入孔とその区分領域毎の注入データとして整理し直す作業は多大な労力を要する人為的作業となる。
【0010】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、注入ポンプのポンプユニットが印字出力するチャート紙の注入データを注入孔毎の注入データとして人為的に整理し直す作業を無くし、ポンプユニットが格納する注入データを注入孔毎の注入データとして効率的に整理し、所定の抽出キーを用いてチャートを自動的に出力することができる注入材施工管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の注入材施工管理システムは、管理サーバと、注入材の注入ポンプをそれぞれが有する複数のポンプユニットとを備え、前記管理サーバが、表示フォームを規定する表示テンプレートを表示テンプレート格納部に記憶し、施工断面識別情報と、前記施工断面識別情報と対応する確定注入孔番号と、施工工法名と、施工日とを少なくとも有する管理項目を管理項目格納部に記憶し、前記ポンプユニットのレジストリ格納部に記憶されている、注入孔の長さ方向における前記注入ポンプで注入材の注入を担う区分領域を特定可能な情報を含む前記ポンプユニットの識別情報と、前記ポンプユニットが有する前記注入ポンプの注入材の注入開始日時及び注入終了日時と、注入材の経時的に変化する吐出流量の推移データ及び注入材の積算流量と、注入材の注入初期圧と、注入材の注入最終圧とを有する特定の前記確定注入孔番号に対応する注入データを取り込んで、前記特定の確定注入孔番号に対応する運転状態記録として確定注入孔運転情報格納部に記憶し、前記管理項目格納部の管理項目と前記確定注入孔運転情報格納部の運転状態記録とから、前記施工断面識別情報とこれに対応する前記確定注入孔番号を抽出キーとして前記表示テンプレートの表示項目のデータを抽出し、抽出したデータが示された前記表示テンプレートを出力することを特徴とする。
これによれば、管理サーバが、管理項目格納部の管理項目とポンプユニットから取り込まれた確定注入孔運転情報格納部の運転状態記録とから、施工断面識別情報とこれに対応する確定注入孔番号を抽出キーとして表示テンプレートの表示項目のデータを抽出し、抽出したデータが示された表示テンプレートを出力することにより、注入ポンプのポンプユニットが印字出力するチャート紙の注入データを注入孔毎の注入データとして人為的に整理し直す作業を無くし、管理サーバにおいて、ポンプユニットが格納する注入データを注入孔毎の注入データとして効率的に整理し、所定の抽出キーを用いてチャートを自動的に出力することができる。また、表示テンプレートで出力される注入データの所要項目は、ポンプユニットから取り込まれたものであるため、作業者の注入データの改ざんを防止することができ、信憑性の高い注入データの所要項目が示された表示テンプレートを出力することができる。
【0012】
本発明の注入材施工管理システムは、前記ポンプユニットが前記管理サーバと通信接続され、前記管理サーバが、前記ポンプユニットにデータリセット指令を送信し、前記ポンプユニットが、前記データリセット指令の受信に応じて、前記ポンプユニットのレジストリ格納部に記憶されている前記注入データを前記管理サーバに送信することを特徴とする。
これによれば、注入材注入作業の区切りの良い作業シフト切り替えのタイミングでポンプユニットにデータリセット指令を送信し、注入材注入作業の区切り毎の注入データを管理サーバに自動的に取り込ませることができる。
【0013】
本発明の注入材施工管理システムは、前記管理サーバが、前記特定の確定注入孔番号に対応する注入データとして仮孔番号が付された注入データを取り込み、前記仮孔番号を前記特定の確定注入孔番号に修正した形で前記運転状態記録を前記確定注入孔運転情報格納部に記憶することを特徴とする。
これによれば、管理サーバに入力された注入孔番号が正規の確定注入孔番号と相違する場合に、仮孔番号を付与し、仮孔番号の注入孔への注入材の注入作業として注入材の注入作業を実行し、後で仮孔番号を正規の注入孔の確定注入孔番号に修正して施工管理することができる。従って、注入孔番号の入力違いに拘わらず、注入材の注入作業を停止することなく継続することができ、施工効率の低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の注入材施工管理システムによれば、注入ポンプのポンプユニットが印字出力するチャート紙の注入データを注入孔毎の注入データとして人為的に整理し直す作業を無くし、ポンプユニットが格納する注入データを注入孔毎の注入データとして効率的に整理し、所定の抽出キーを用いてチャートを自動的に出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による実施形態の注入材施工管理システムの全体構成を示すブロック図。
図2】実施形態の注入材施工管理システムにおける操作端末のブロック図。
図3】実施形態の注入材施工管理システムにおけるポンプユニットのブロック図。
図4】実施形態の注入材施工管理システムにおけるポンプユニットの説明図。
図5】実施形態の注入材施工管理システムを用いて注入材が注入される地山の注入孔及びその周辺の例を示す断面説明図。
図6】実施形態の注入材施工管理システムを用いて注入材の注入が行われるトンネルの例を示す説明図。
図7】実施形態の注入材施工管理システムによる運転状態記録処理を示すフローチャート。
図8】(a)は実施形態の注入材施工管理システムによる運転状態表示処理の第1例を示すフローチャート、(b)は実施形態の注入材施工管理システムによる運転状態表示処理の第2例を示すフローチャート。
図9】1個の注入孔における各注入ポンプの注入圧と注入量を表示する表示画面例を示す図。
図10】1つの作業シフトにおける各注入ポンプの注入状況を表示する表示画面例を示す図。
図11】従来のポンプユニットが印字出力するチャート紙の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔実施形態の注入材施工管理システム〕
本発明による実施形態の注入材施工管理システムは、図1図3に示すように、管理事務所等に設置されるPCサーバのような管理サーバ1と、通信回線CLを介して管理サーバ1と通信接続されるWebサーバのような通信制御サーバ2と、管理サーバ1と通信回線CLを介して通信接続されると共に、通信制御サーバ2と通信回線CLを介して通信接続される操作タブレット、スマートフォン、或いは携帯型パーソナルコンピュータ等の操作端末3と、通信制御サーバ2と通信回線CLを介して通信接続され、通信制御サーバ2を介して管理サーバ1と通信接続されると共に、注入ポンプ43で地山100の注入孔101に注入材を注入する複数のポンプユニット4とを備える。
【0017】
管理サーバ1は、MPU、CPU等の制御部11と、HDD、SSD、ROM、RAM等で構成される記憶部12と、マウス、キーボード、タッチパネル等の入力部13と、ディスプレイ、プリンター等の出力部14と、内蔵タイマー15と、管理サーバ1を無線或いは有線の通信回線に接続する通信部16を備える。
【0018】
管理サーバ1の記憶部12には、制御部11と協働して管理サーバ1の主制御を担う主制御プログラムを格納する制御プログラム格納部121と、表示フォームを規定する表示テンプレートを格納する表示テンプレート格納部122と、管理項目を格納する管理項目格納部123と、確定注入孔番号に対応する運転状態記録を格納する確定注入孔運転情報格納部124と、確定前の注入孔番号に対応する運転状態記録や仮孔番号に対応する運転状態記録を格納する仮注入孔運転情報格納部125が設けられている。尚、確定注入孔運転情報格納部124と仮注入孔運転情報格納部125は機能的に記憶部12の記憶領域に設定されるものであり、仮注入孔運転情報格納部125の確定前の注入孔番号や仮孔番号が確定注入孔番号に修正されて格納された記憶領域を確定注入孔運転情報格納部124としてもよい。
【0019】
表示テンプレート格納部122には、例えば図6の1個の注入孔101における各注入ポンプの注入圧と注入量を表示する表示画面の表示テンプレートや、図7の1つの作業シフトにおける各注入ポンプの注入状況を表示する表示画面の表示テンプレート等が格納され、表示テンプレートの所定項目に抽出したデータを挿入することで表示画面が生成されるようになっている。
【0020】
管理項目格納部123に格納される管理項目には、施工断面識別情報(STA識別情報)と、施工断面識別情報と対応する確定注入孔番号と、施工工法名と、施工日等が設定され、必要に応じて打設管長、注入管理条件等が設定される。各管理項目は、例えば管理サーバ1への入力部13からの入力、通信制御サーバ2からの取り込み、操作端末3からの取り込み等で管理サーバ1が取得し、管理項目格納部123に格納される。
【0021】
確定注入孔運転情報格納部124には、注入孔101の長さ方向における注入ポンプ43で注入材の注入を担う区分領域を特定可能な情報を含むポンプユニット4の識別情報と、ポンプユニット4が有する注入ポンプ43の注入材の注入開始日時及び注入終了日時と、注入材の経時的に変化する吐出流量の推移データ及び注入材の積算流量と、注入材の注入初期圧と、注入材の注入最終圧等の注入データを確定注入孔番号に対応させ、それぞれの確定注入孔番号に対応する運転状態記録として格納される。
【0022】
仮注入孔運転情報格納部125には、注入孔101の長さ方向における注入ポンプ43で注入材の注入を担う区分領域を特定可能な情報を含むポンプユニット4の識別情報と、ポンプユニット4が有する注入ポンプ43の注入材の注入開始日時及び注入終了日時と、注入材の経時的に変化する吐出流量の推移データ及び注入材の積算流量と、注入材の注入初期圧と、注入材の注入最終圧、さらに実施例においては注入圧の経時変化等の注入データを、確定前の注入孔番号に対応させるか、仮孔番号に対応させ、確定前の注入孔番号に対応する運転状態記録か、仮孔番号に対応する運転状態記録として格納される。
【0023】
通信制御サーバ2は、MPU、CPU等の制御部21と、HDD、SSD、ROM、RAM等で構成される記憶部22と、マウス、キーボード、タッチパネル等の入力部23と、ディスプレイ、プリンター等の出力部24と、内蔵タイマー25と、通信制御サーバ2を無線或いは有線の通信回線に接続する通信部26を備える。尚、通信制御サーバ2は、それぞれのポンプユニット4に機能的に対応して設けられ、物理的に1個の通信制御サーバ2を全てのポンプユニット4に対応して設ける、物理的に複数のサーバ装置を複数のポンプユニット4のそれぞれに対応して設け、複数のサーバ装置で通信制御サーバ2を構成する、或いは物理的に1個のサーバ装置を後述するポンプユニットセットに対応して設け、各ポンプユニットセットに対応する複数のサーバ装置で通信制御サーバ2を構成する等とすることが可能である。
【0024】
通信制御サーバ2の記憶部22には、制御部21と協働して通信制御サーバ2の主制御を担う主制御プログラムを格納する制御プログラム格納部221と、通信制御サーバ2の制御部21に注入孔番号の重複判定処理を実行させる重複判定プログラムを格納する重複判定プログラム格納部222と、ポンプユニット4の主制御を担うユニット主制御プログラムを格納するユニット主制御プログラム格納部223と、ポンプユニット4のポンプ運転条件を変更可能に格納すると共に注入材の目標注入量を変更可能に格納するポンプ運転条件格納部224が設けられている。
【0025】
更に、記憶部22には、確定前の注入孔番号を含む注入孔運転情報を格納する注入孔運転情報格納部225と、仮孔番号を含む仮孔運転情報を格納する仮孔運転情報格納部226が設けられている。注入孔運転情報格納部225に格納されている注入孔運転情報は、注入孔101への注入材がまだ行われていない注入孔101の注入孔運転情報の場合は基本的に確定前の注入孔番号であり、注入孔101への注入材が既に行われた注入孔101の注入孔運転情報の場合は確定前の注入孔番号に加え、注入開始日時及び注入終了日時と、注入材の経時的に変化する吐出流量の推移データ及び注入材の積算流量と、注入材の注入初期圧と、注入材の注入最終圧等の注入データ等の運転状態記録とされる。
【0026】
仮孔運転情報格納部226に格納されている仮孔運転情報は、使用されていない仮孔番号の仮孔運転情報の場合は基本的に仮孔番号であり、仮孔番号に対応して注入孔への注入材が行われた仮孔運転情報の場合は仮孔番号に加え、注入開始日時及び注入終了日時と、注入材の経時的に変化する吐出流量の推移データ及び注入材の積算流量と、注入材の注入初期圧と、注入材の注入最終圧等の注入データ等の運転状態記録とされる。
【0027】
操作端末3は、CPU等の制御部31と、ROM、RAM、フラッシュメモリ等で構成される記憶部32と、タッチパネル、マウス、キーボード等の入力部33と、入力部33を兼ねるタッチパネル、ディスプレイ等の出力部34と、操作端末3を無線或いは有線の通信回線に接続する通信部35を備える。記憶部32には、制御部31と協働して操作端末3の制御を担う制御プログラムを格納する制御プログラム格納部321が設けられている。
【0028】
ポンプユニット4は、CPU等のユニット制御部41と、HDD、ROM、RAM、フラッシュメモリ等で構成されるユニット記憶部42と、注入材を注入する注入ポンプ43と、チャート紙を印字出力可能な出力部44と、電磁バルブ45と、圧力検出部461と、流量検出部462と、内蔵タイマー47と、ポンプユニット4或いはその制御部41を無線或いは有線の通信回線に接続する通信部48を備える。
【0029】
ポンプユニット4のユニット記憶部42には、ポンプユニット4の補助制御を担うユニット補助制御プログラムを格納するユニット補助制御プログラム格納部421と、注入孔番号や仮孔番号に対応する注入孔101への注入材注入の運転状態記録を格納するレジストリ格納部422と、注入孔101の長さ方向における注入ポンプ43で注入材の注入を担う先端領域R1、中間領域R2、端末領域R3等の区分領域を特定可能な情報を含むポンプユニットの識別情報を格納するポンプユニット識別情報格納部423が設けられている。
【0030】
ポンプユニット4のユニット制御部41は、通信制御サーバ2から送信されるユニット主制御プログラムによる主制御指令とユニット補助制御プログラム格納部421に格納されているユニット制御プログラムとから構成される制御指令と協働し、通信制御サーバ2から送信されるポンプ運転条件に基づき、注入ポンプ43の運転を駆動制御すると共に、注入孔番号や仮孔番号に対応する注入孔101への注入材注入のポンプ運転状態の記録をレジストリ格納部422に格納する。
【0031】
レジストリ格納部422には、ポンプ運転状態記録として、ポンプユニット4が有する注入ポンプ43の注入材の注入開始日時及び注入終了日時と、注入材の経時的に変化する吐出流量の推移データ及び注入材の積算流量と、注入材の注入初期圧と、注入材の注入最終圧とを有する注入データが、ポンプユニット識別情報格納部423に格納されたポンプユニットの識別情報と、確定前の注入孔番号又は仮孔番号とに対応するようにして格納される。この注入データは、最終的に管理サーバ1に取り込まれ、特定の確定注入孔番号に対応する注入データとして確定注入孔運転情報格納部124に格納される。
【0032】
尚、ユニット補助制御プログラムは、通信制御サーバ2からポンプユニット4に送信される主制御指令の実行を補助するプログラムであり、例えば通信制御サーバ2から主制御指令と併せて送信される注入材注入の流量や注入圧のポンプ運転条件に応じて、この運転条件で注入ポンプ43が運転するようにユニット制御部41を制御するプログラムや、通信制御サーバ2から送信される主制御指令に相当するレジストリ格納部422の確定前の特定の注入孔番号に対応する記録領域への運転状態記録指令に応じて、運転状態をレジストリ格納部422に格納するようにユニット制御部41を制御するプログラム等である。
【0033】
図4及び図5の例では、ポンプユニット4の注入ポンプ43として、注入孔101を長さ方向に先端領域R1と中間領域R2と端末領域R3の3つの区分領域に区分した場合の先端領域R1への注入材の注入を担う注入ポンプ43aと、中間領域R2への注入材の注入を担う注入ポンプ43bと、端末領域R3への注入材の注入を担う注入ポンプ43cが設けられ、これに対応して3個のポンプユニット4a、4b、4cが設けられている。尚、注入孔101を長さ方向における区分領域の個数、及び各区分領域に対応して用いられるポンプユニット4及び注入ポンプ43の個数は必要に応じて適宜であり、例えば注入孔101を長さ方向に4つの区分領域で区分した場合には、それぞれの区分領域への注入材の注入を担う4個のポンプユニット4及び注入ポンプ43が用いられる。
【0034】
注入ポンプ43a、43b、43cのそれぞれは、ポンプユニット4に供給される二液混合硬化タイプの注入材の第1液を貯留している第1液タンク5から第1液を吸い上げて第1液移送路491に吐出する注入ポンプ部431と、二液混合硬化タイプの注入材の第2液を貯留している第2液タンク6から第2液を吸い上げて第2液移送路492に吐出する注入ポンプ部432とから構成され、直接的にはそれぞれユニット制御部41によって駆動制御される。二液混合硬化タイプの注入材の第1液と第2液は、注入材の種類に応じて所定比率で吐出されるようにして、ユニット制御部41により注入ポンプ部431、432の注入動作が制御される。
【0035】
第1液移送路491と第2液移送路492には、それぞれ電磁バルブ45と、圧力計で構成される圧力検出部461と、流量計で構成される流量検出部462が設けられていると共に、ポンプユニット4から導出された第1液移送路491と第2液移送路492の先端部付近には手動操作されるボールバルブ71が設けられ、第1液移送路491の先端部と第2液移送路492の先端部は第1液と第2液を合流させる合流管72に接続されている。注入ポンプ部431、432は、第1液と第2液を合流管72に向かって吐出するように、ユニット制御部41で注入動作を制御される。注入材を構成する第1液と第2液の混合液を吐出する合流管72の吐出側には注入材の注入管73が接続されている。
【0036】
注入ポンプ部431、432の各々に対応して設けられている電磁バルブ45と、圧力検出部461と、流量検出部462はそれぞれユニット制御部41に電気的に接続されている。第1液移送路491の電磁バルブ45と、第2液移送路492の電磁バルブ45は、ユニット制御部41の駆動制御によって開閉され、第1液移送路491への第1液の流入・移送と流入停止、第2液移送路492への第2液の流入・移送と流入停止が実行される。
【0037】
圧力検出部461と、流量検出部462は、注入ポンプ部431の第1液の吐出圧力と吐出流量、注入ポンプ部432の第2液の吐出圧力と吐出流量を検出し、検出された第1液の吐出圧力と吐出流量と、検出された第2液の吐出圧力と吐出流量は、それぞれユニット制御部21に取り込まれ、第1液の吐出圧力と第2液の吐出圧力の高い方の圧力が注入材の注入圧としてレジストリ格納部422に格納され、第1液の吐出流量と第2液の吐出流量の合計流量が注入材の吐出流量としてレジストリ格納部422に格納され、更に注入材の吐出流量を積算した注入材の積算流量がレジストリ格納部422に格納される。
【0038】
本実施形態の注入材施工管理システムは、例えば図5に示す地山100の注入孔101に注入材を注入する場合に用いられる。図5の例では、地山100のトンネル鏡面に吹付コンクリート102が形成されていると共に、注入材の吐出孔が周壁に形成されている補強管103が地山100に打設されて注入孔101が形成されている。注入孔101の口元には口元コーキング104が設けられ、口元コーキング104の内側には管内コーキング105が設けられている。
【0039】
管内コーキング105には、隙間を貫通するようにして注入管73が挿入され、注入管73は予め管内コーキング105に所定本数挿通セットされた状態で補強管103内に挿入される。図示例では、同一の注入孔101及び補強管103に挿入されている3本の注入管73のうち、端末領域R3への注入材注入を担う1本目の注入管73と、先端領域R1と中間領域R2への注入材注入を担う2本目、3本目の注入管73、73が管内コーキング105に挿通された状態で補強管3内にセットされる。
【0040】
各注入管73には、後端部に設けられている合流管72を介して第1液と第2液の混合液で構成される注入材が供給される。各注入管73は、その先端部のスタティックミキサー74で第1液と第2液の混合を促進して補強管103の内部に注入材を吐出する。各々の注入管73のスタティックミキサー74は、同一の注入孔101の深さ方向で異なる位置に配置され、注入孔101の深さ方向の異なる先端領域R1、中間領域R2、端末領域R3に対応配置されている各スタティックミキサー74から注入材が補強管103の内部に吐出され、補強管103の吐出孔を介して注入孔101の周囲の地山100の先端領域R1、中間領域R2、端末領域R3に対応する地山領域に注入材が浸透するようになっている。
【0041】
更に、本実施形態の注入材施工管理システムは、例えば図6に示すようなトンネル空間Tの施工断面107において、放射状に複数設けられる注入孔101のそれぞれに確定前の注入孔番号又は仮孔番号を設定し、それぞれの確定前の注入孔番号の注入孔101や仮孔番号の注入孔101に注入材を注入するようにして用いられる。この例では、トンネル空間Tにおける吹付コンクリート102を貫通するようにして地山100の注入孔101が形成されている。それぞれの注入孔101には、注入孔101の長さ方向に区分して先端領域R1、中間領域R2、端末領域R3の区分領域が設定される。図6中の108は、吹付コンクリート102の内側に打設される覆工コンクリートである。
【0042】
また、図6の例では、図4の注入ポンプ53aを有するポンプユニット4aと、注入ポンプ53bを有するポンプユニット4bと、注入ポンプ53cを有するポンプユニット4cの3個のポンプユニット4で構成されるポンプユニットセットが2組設けられ、一方の1組のポンプユニットセットで図6の左範囲に位置する注入孔101に注入材を順次注入し、他方の1組のポンプユニットセットで図6の右範囲に位置する注入孔101に注入材を順次注入する作業が並行して行われる。この注入材の注入作業は、例えば一方の1組のポンプユニットセットで注入材が注入される左範囲と、他方の1組のポンプユニットセットで注入材が注入される右範囲のそれぞれについて、図6の奇数番号の注入孔に対して注入材の注入作業を順次行った後、偶数番号の注入孔に対して注入材の注入作業を順次行う等により行われる。
【0043】
本実施形態の注入材施工管理システムで注入材注入の運転状態記録処理を行う際には、注入材を注入する作業者の入力により、操作端末3から注入孔番号とこの注入孔番号に対する注入材注入要求が通信制御サーバ2に送信される。通信制御サーバ2の制御部21は、図7に示すように、操作端末3から受信した注入孔番号とこの注入孔番号に対する注入材注入要求の入力に応じて、重複判定プログラムに従い、受信した注入孔番号の運転状態記録の有無を注入孔運転情報格納部225に格納されている運転状態記録と照合して確認する(S101、S102)。尚、通信制御サーバ2への注入孔番号とこの注入孔番号に対する注入材注入要求の入力は、通信制御サーバ2の入力部23から直接入力することも可能である。
【0044】
通信制御サーバ2の制御部21は、注入孔運転情報格納部225に受信して入力された注入孔番号の運転状態記録が無い場合、主制御プログラムに従い、入力された確定前の注入孔番号に対応させて注入材注入開始指令を生成し、注入材注入開始指令と、ポンプ運転条件格納部224に格納されているポンプ運転条件と、ポンプユニット4の主制御を担うユニット主制御プログラムの一部を構成するレジストリ格納部422の注入孔番号に対応する記録領域への運転状態記録指令と、内蔵タイマー25で取得した送信時刻に相当する注入開始日時をポンプユニット4a、4b、4cに送信する(S103)。尚、注入開始日時には、ポンプユニット4が内蔵タイマー47で取得した注入材注入開始指令の受信時刻等を用いることも可能である。
【0045】
また、通信制御サーバ2の制御部21は、注入孔運転情報格納部225に受信して入力された注入孔番号の運転状態記録が有る場合、主制御プログラムに従い、入力された注入孔番号に代えて、仮孔運転情報格納部226に格納されている注入材注入の運転状態記録が無い仮孔番号の中から昇順等で抽出して、入力された注入孔番号と関係付けしながら仮孔番号を付与し、付与した仮孔番号に対応させて注入材注入開始指令を生成し、注入材注入開始指令と、ポンプ運転条件格納部224に格納されているポンプ運転条件と、ポンプユニット4の主制御を担うユニット主制御プログラムの一部を構成するレジストリ格納部422の仮孔番号に対応する記録領域への運転状態記録指令と、内蔵タイマー25で取得した送信時刻に相当する注入開始日時をポンプユニット4a、4b、4cに送信する(S104)。尚、仮孔番号には、例えば数字の注入孔番号に対して頭文字に特定の数列や「K」等の記号を付加した番号を仮孔番号にするなど注入孔番号と異なる種別の番号を用いてもよく、又、トンネル隔壁の注入材注入等で使用が想定されない注入孔番号と同種の番号で大きな数の番号を用いてもよい。
【0046】
地山100の注入孔101に注入ポンプ43a、43b、43cのそれぞれ対応する注入管73が挿入され(図5参照)且つポンプユニット4a、4b、4cの注入ポンプ43a、43b、43cが起動された状態において、ポンプユニット4a、4b、4cのそれぞれのユニット制御部41は、ユニット補助制御プログラムと協働し、注入材注入開始指令とポンプ運転条件とレジストリ格納部422の確定前の注入孔番号に対応する記録領域への運転状態記録指令と注入開始日時の受信に応じて、受信したポンプ運転条件で注入ポンプ43a、43b、43cの運転を制御して注入管73が挿入されている地山100の注入孔101の先端領域R1、中間領域R2及び端末領域R3に注入材を注入する。
【0047】
ポンプユニット4a、4b、4cのユニット制御部41のそれぞれは、注入ポンプ43a、43b、43cの運転制御と並行して、圧力検出部461の検出値と流量検出部462の検出値と内蔵タイマー56の日時を取得し、圧力検出部461の検出値と流量検出部462の検出値と内蔵タイマー56の日時に基づき、注入ポンプ43a、43b、43cの注入材の注入開始日時及び注入終了日時と、注入材の経時的に変化する吐出流量の推移データ及び注入材の積算流量と、注入材の注入初期圧と、注入材の注入最終圧とを有する注入データを、ポンプユニット4の識別情報と、確定前の注入孔番号とに対応させてレジストリ格納部422に記録していく(S105)。
【0048】
また、地山100の注入孔101に注入ポンプ43a、43b、43cのそれぞれ対応する注入管73が挿入され(図5参照)且つポンプユニット4a、4b、4cの注入ポンプ43a、43b、43cが起動された状態において、ポンプユニット4a、4b、4cのそれぞれのユニット制御部41は、ユニット補助制御プログラムと協働し、注入材注入開始指令とポンプ運転条件とレジストリ格納部422の仮孔番号に対応する記録領域への運転状態記録指令と注入開始日時の受信に応じて、受信したポンプ運転条件で注入ポンプ43a、43b、43cの運転を制御して注入管73が挿入されている地山100の注入孔101の先端領域R1、中間領域R2及び端末領域R3に注入材を注入する。
【0049】
ポンプユニット4a、4b、4cのユニット制御部41のそれぞれは、注入ポンプ43a、43b、43cの運転制御と並行して、圧力検出部461の検出値と流量検出部462の検出値と内蔵タイマー56の日時を取得し、圧力検出部461の検出値と流量検出部462の検出値と内蔵タイマー56の日時に基づき、注入ポンプ43a、43b、43cの注入材の注入開始日時及び注入終了日時と、注入材の経時的に変化する吐出流量の推移データ及び注入材の積算流量と、注入材の注入初期圧と、注入材の注入最終圧とを有する注入データを、ポンプユニット4の識別情報と、仮孔番号とに対応させてレジストリ格納部422に記録していく(S105)。
【0050】
そして、通信制御サーバ2の制御部21は、主制御プログラムに従い、注入材注入を開始したポンプユニット4a、4b、4cのそれぞれのレジストリ格納部422に格納されたポンプユニット4aの識別情報及び積算流量、ポンプユニット4bの識別情報及び積算流量、ポンプユニット4cの識別情報及び積算流量を所定周期で読み込んで取得し、記憶部22に格納している目標流量と取得した積算流量とを照合し(S106)、それぞれのポンプユニット4a、4b、4cの積算流量の目標流量への到達に応じて、注入材注入終了指令と、レジストリ格納部422の注入孔番号に対応する記録領域又は仮孔番号に対応する記録領域への運転状態記録終了指令と、内蔵タイマー25で取得した日時に相当する注入終了日時をポンプユニット4a、4b、4cに送信する(S107)。尚、注入終了日時には、ポンプユニット4a、4b、4cが内蔵タイマー47で取得した注入材注入終了指令の受信日時等を用いることも可能である。
【0051】
ポンプユニット4a、4b、4cのそれぞれのユニット制御部41は、ユニット補助制御プログラムと協働し、注入材注入終了指令と、注入孔番号又は仮孔番号に対応する記録領域への運転状態記録終了指令と、注入終了日時の受信に応じて、注入ポンプ43a、43b、43cの運転を停止し、注入終了日時をレジストリ格納部422の注入孔番号又は仮孔番号に対応する記録領域に記録して運転状態記録を終了する(S108)。
【0052】
なお、各ポンプユニット4a、4b、4cの注入ポンプ43a、43b、43cは、ポンプ自体の運転制御機構により、例えば所定の圧力を超過したときにモータへの負荷を避けるために運転状態記録終了指令を待たずに運転停止することがあるが、その場合、ユニット制御部41は運転停止時の注入最終圧を含む注入データと圧力過大による運転停止情報を通信制御サーバ2の制御部21に送り、これを受けた制御部21はユニット主制御プログラムに従って運転条件格納部224に格納されている運転条件を更新し、他の注入ポンプの目標注入量を再分配し、残りの注入ポンプの運転状態記録が継続される。
【0053】
更に、通信制御サーバ2の制御部21は、主制御プログラムに従い、ポンプユニット4a、4b、4cのそれぞれのレジストリ格納部422に格納されている確定前の注入孔番号に対応する運転状態記録を取得し、注入孔運転情報格納部225に取得した注入孔番号に対応する運転状態記録を格納する処理、或いはポンプユニット4a、4b、4cのそれぞれのレジストリ格納部422に格納されている仮孔番号に対応する運転状態記録を取得し、仮孔運転情報格納部226に取得した仮孔番号に対応する運転状態記録を格納する処理を実行する(S109)。
【0054】
この処理により、通信制御サーバ2の注入孔運転情報格納部225には、注入ポンプ43a、43b、43cの注入材の注入開始日時及び注入終了日時と、注入材の経時的に変化する吐出流量の推移データ及び注入材の積算流量と、注入材の注入初期圧と、注入材の注入最終圧とを有する注入データが、ポンプユニット4の識別情報と、確定前の注入孔番号と対応するようにして格納され、又、通信制御サーバ2の仮孔運転情報格納部226には、注入ポンプ43a、43b、43cの注入材の注入開始日時及び注入終了日時と、注入材の経時的に変化する吐出流量の推移データ及び注入材の積算流量と、注入材の注入初期圧と、注入材の注入最終圧とを有する注入データが、ポンプユニット4の識別情報と、仮孔番号と対応するようにして格納される。
【0055】
本実施形態の注入材施工管理システムにおける注入材注入の運転状態記録処理は、例えばその日の作業終了など所定の区切りのタイミングまで継続して行われ、注入材注入の運転状態記録処理の終了の際には、管理サーバ1から通信制御サーバ2を介してそれぞれのポンプユニット4にデータリセット指令を送信する。データリセット指令は、操作端末3の入力部33で入力されたデータリセット指令を管理サーバ1に送信し、これに対応するデータリセット指令を管理サーバ1の制御部11がポンプユニット4に送信するようにしてもよいし、管理サーバ1の入力部13で入力されたデータリセット指令を管理サーバ1の制御部11がポンプユニット4に送信するようにしてもよい。
【0056】
ポンプユニット4のユニット制御部41は、データリセット指令の受信に応じて、レジストリ格納部422に格納されているポンプユニット4の識別情報と確定前の注入孔番号に対応する注入データを、通信制御サーバ2を介して管理サーバ1に送信する処理と、レジストリ格納部422に格納されているポンプユニット4の識別情報と仮孔番号に対応する注入データを、通信制御サーバ2を介して管理サーバ1に送信する処理を実行すると共に、レジストリ格納部422に格納されているポンプユニット4の識別情報と確定前の注入孔番号に対応する注入データとポンプユニット4の識別情報と仮孔番号に対応する注入データをレジストリ格納部422の所定記憶領域から消去してリセットする(S110)。
【0057】
管理サーバ1の制御部11は、ポンプユニット4の識別情報と確定前の注入孔番号に対応する注入データと、ポンプユニット4の識別情報と仮孔番号に対応する注入データを通信制御サーバ2を介して各ポンプユニット4から受信し、受信したポンプユニット4の識別情報と確定前の注入孔番号に対応する注入データと、ポンプユニット4の識別情報と仮孔番号に対応する注入データを、仮注入孔運転情報格納部125に各ポンプユニット4の運転状態記録として格納する(S111)。
【0058】
そして、管理サーバ1の制御部11は、それぞれの仮孔番号に対する正規の注入孔番号の入力部13からの入力に応じて、仮注入孔運転情報格納部125に格納されている仮孔番号の運転状態記録の仮孔番号を正規の確定注入孔番号の運転状態記録に修正すると共に、仮注入孔運転情報格納部125に格納されている確定前の注入孔番号の運転状態記録をそのまま確定注入孔番号の運転状態記録とし、確定注入孔運転情報格納部124に格納する(S112)。尚、特定の仮孔番号に対する正規の注入孔番号の認識、特定は、例えば各注入孔番号の注入孔に対して注入材を注入する順番の注入順番表と、特定の仮孔番号に対する運転状態記録の注入開始に時事及び注入終了日時と、その前後の注入孔番号に対する運転状態記録の注入開始日時及び注入終了日時を対比する等によって行われる。
【0059】
次に、本実施形態の注入材施工管理システムで注入材注入の運転状態表示処理を行う際には、例えば図8(a)に示すように、作業者が操作端末3の入力部33から入力した施工断面識別情報(STA識別情報)とこれに対応する特定の確定注入孔番号が管理サーバ1に送信される(S201)。管理サーバ1の制御部11は、操作端末3から受信した施工断面識別情報(STA識別情報)とこれに対応する特定の確定注入孔番号を抽出キーとして、管理項目格納部123の管理項目と確定注入孔運転情報格納部125の運転状態記録とから、表示テンプレートの所要の表示項目のデータを抽出し(S202)、表示テンプレート格納部122の表示テンプレートを用いて抽出したデータが示された表示テンプレートを出力部14で出力する(S203)。この出力によって出力部14には、例えば図9のような、1個の注入孔101における各注入ポンプ43a、43b、43cの注入圧と注入量を表示する表示画面が表示される。
【0060】
また、別の注入材注入の運転状態表示処理として、例えば図8(b)に示すように、
作業者が操作端末3の入力部33から入力した施工断面識別情報(STA識別情報)とこれに対応する奇数だけの確定注入孔番号が管理サーバ1に送信される(S301)。管理サーバ1の制御部11は、操作端末3から受信した施工断面識別情報(STA識別情報)とこれに対応する奇数だけの確定注入孔番号を抽出キーとして、管理項目格納部123の管理項目と確定注入孔運転情報格納部125の運転状態記録とから、表示テンプレートの所要の表示項目のデータを抽出し(S302)、表示テンプレート格納部122の表示テンプレートを用いて抽出したデータが示された表示テンプレートを出力部14で出力する(S303)。この出力によって出力部14には、例えば図10のような、1つの作業シフトにおける各注入ポンプ43a、43b、43cの注入状況を表示する表示画面が表示される。
【0061】
本実施形態の注入材施工管理システムによれば、管理サーバ1が、管理項目格納部123の管理項目とポンプユニット4から取り込まれた確定注入孔運転情報格納部124の運転状態記録とから、施工断面識別情報(STA識別情報)とこれに対応する確定注入孔番号を抽出キーとして表示テンプレートの表示項目のデータを抽出し、抽出したデータが示された表示テンプレートを出力することにより、注入ポンプ43のポンプユニット4が印字出力するチャート紙の注入データを注入孔毎の注入データとして人為的に整理し直す作業を無くし、管理サーバ1において、ポンプユニット4が格納する注入データを注入孔毎の注入データとして効率的に整理し、所定の抽出キーを用いてチャートを自動的に出力することができる。また、表示テンプレートで出力される注入データの所要項目は、ポンプユニット4から取り込まれたものであるため、作業者の注入データの改ざんを防止することができ、信憑性の高い注入データの所要項目が示された表示テンプレート、表示画面を出力することができる。
【0062】
また、管理サーバ1が、ポンプユニット4にデータリセット指令を送信し、ポンプユニット4が、データリセット指令の受信に応じて、ポンプユニット4のレジストリ格納部422に記憶されている注入データを管理サーバ1に送信する場合には、注入材注入作業の区切りの良い作業シフト切り替えのタイミングでポンプユニット4にデータリセット指令を送信し、注入材注入作業の区切り毎の注入データを管理サーバ1に自動的に取り込ませることができる。
【0063】
また、管理サーバ1が、特定の確定注入孔番号に対応する注入データとして仮孔番号が付された注入データを取り込み、仮孔番号を特定の確定注入孔番号に修正した形で運転状態記録を確定注入孔運転情報格納部124に記憶する構成により、管理サーバ1に操作端末3から入力された注入孔番号が正規の確定注入孔番号と相違する場合に、仮孔番号を付与し、仮孔番号の注入孔101への注入材の注入作業として注入材の注入作業を実行し、後で仮孔番号を正規の注入孔101の確定注入孔番号に修正して施工管理することができる。従って、注入孔番号の入力違いに拘わらず、注入材の注入作業を停止することなく継続することができ、施工効率の低下を防止することができる。
【0064】
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記内容や変形例も含まれる。
【0065】
例えば上記実施形態では、ポンプユニット4のユニット制御部41が、データリセット指令の受信に応じて、レジストリ格納部422に格納されている注入データを通信制御サーバ2を介して管理サーバ1に送信する構成としたが、ポンプユニット4に表示部とリムーバブルメディア挿入部を設け、リムーバブルメディア挿入部に挿入されたリムーバブルメディアに、レジストリ格納部422に格納されているポンプユニット4の識別情報と確定前の注入孔番号に対応する注入データとポンプユニット4の識別情報と仮孔番号に対応する注入データを格納し、これらの注入データを格納したリムーバブルメディアを管理サーバ1に設けられたリムーバブルメディア挿入部に挿入し、管理サーバ1の制御部11が、リムーバブルメディアからポンプユニット4の識別情報と確定前の注入孔番号に対応する注入データと、ポンプユニット4の識別情報と仮孔番号に対応する注入データを取得して、仮注入孔運転情報格納部125に格納する構成としてもよい。
【0066】
この場合には、例えばポンプユニット4のユニット制御部41が、データリセット指令の受信に応じて、データリセット指令受信のメッセージとリムーバブルメディアをリムーバブルメディア挿入部に挿入することを促すメッセージを表示部で表示し、リムーバブルメディア挿入部へのリムーバブルメディアの挿入に応じて、レジストリ格納部422に格納されているポンプユニット4の識別情報と確定前の注入孔番号に対応する注入データとポンプユニット4の識別情報と仮孔番号に対応する注入データをリムーバブルメディアに格納する共に、レジストリ格納部422に格納されているポンプユニット4の識別情報と確定前の注入孔番号に対応する注入データとポンプユニット4の識別情報と仮孔番号に対応する注入データ自体をレジストリ格納部422の所定記憶領域から消去してリセットする処理等を行う。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、例えば長尺先受け工法(AGF工法)や鏡補強工のようなトンネル補助工法や、斜面等の地盤の補強において、地山に注入する注入材の施工を管理する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…管理サーバ 11…制御部 12…記憶部 121…制御プログラム格納部 122…表示テンプレート格納部 123…管理項目格納部 124…確定注入孔運転情報格納部 125…仮注入孔運転情報格納部 13…入力部 14…出力部 15…内蔵タイマー 16…通信部 2…通信制御サーバ 21…制御部 22…記憶部 221…制御プログラム格納部 222…重複判定プログラム格納部 223…ユニット主制御プログラム格納部 224…ポンプ運転条件格納部 225…注入孔運転情報格納部 226…仮孔運転情報格納部 23…入力部 24…出力部 25…内蔵タイマー 26…通信部 3…操作端末 31…制御部 32…記憶部 321…制御プログラム格納部 33…入力部 34…出力部 35…通信部 4、4a、4b、4c…ポンプユニット 41…ユニット制御部 42…ユニット記憶部 421…ユニット補助制御プログラム格納部 422…レジストリ格納部 423…ポンプユニット識別情報格納部 43、43a、43b、43c…注入ポンプ 431、432…注入ポンプ部 44…出力部 45…電磁バルブ 461…圧力検出部 462…流量検出部 47…内蔵タイマー 48…通信部 491…第1液移送路 492…第2液移送路 5…第1液タンク 6…第2液タンク 71…ボールバルブ 72…合流管 73…注入管 74…スタティックミキサー 100…地山 101…注入孔 102…吹付コンクリート 103…補強管 104…口元コーキング 105…管内コーキング 107…施工断面 108…覆工コンクリート CL…通信回線 R1…先端領域 R2…中間領域 R3…端末領域 T…トンネル空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11