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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162595
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】運行管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241114BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/09 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078276
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】大竹 茉希
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA07
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC12
5H181FF05
5H181FF10
5H181FF17
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL09
5H181MB02
(57)【要約】
【課題】車両の運転モードを区別して把握することができる運行管理システムを提供する。
【解決手段】運行管理システム1は、車載器10と、管理サーバ30とを備える。車載器10は、自動運転機能を有するトラックVに搭載され、トラックVの運転モードを自動運転モード及び手動運転モードの一方から他方に切り替えたことを検出するCPU、及び、CPUにより検出された検出結果である運転モード切替結果(隊列走行設定通知、隊列走行解除通知)をトラックVの外部に送信する広域通信部を有する。管理サーバ30は、トラックVの外部に設けられ、車載器10の広域通信部から送信された運転モード切替結果を受信する受信部、及び、受信部により受信した運転モード切替結果に基づいてトラックVの運転モードの履歴を管理する運転モード管理部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転機能を有する車両に搭載され、前記車両の運転モードを自動運転モード及び手動運転モードの一方から他方に切り替えたことを検出する検出部、及び、前記検出部により検出された検出結果である運転モード切替結果を前記車両の外部に送信する送信部を有する車載器と、
前記車両の外部に設けられ、前記車載器の前記送信部から送信された前記運転モード切替結果を受信する受信部、及び、前記受信部により受信した前記運転モード切替結果に基づいて前記車両の前記運転モードの履歴を管理する運転モード管理部を有する管理サーバと、を備えることを特徴とする運行管理システム。
【請求項2】
前記車載器は、隊列走行を行う車両群を構成する前記車両に搭載され、前記自動運転モードから前記手動運転モードに切り替えたことを検出した場合、前記運転モード切替結果を前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、前記車載器から送信された前記運転モード切替結果に基づいて、前記車両の前記運転モードが前記手動運転モードに切り替えられたことを表す手動運転モード切替通知を、前記車両群を構成する他の車両に送信する請求項1に記載の運行管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、前記車載器から前記手動運転モードに切り替えたことを表す前記運転モード切替結果を受信した際に、当該運転モード切替結果及び予め定められた自動走行計画に基づいて、前記車両の前記運転モードが前記自動走行計画に反して前記手動運転モードに切り替えられたと判定した場合、前記手動運転モード切替通知を前記他の車両に送信し、前記車両の前記運転モードが前記自動走行計画に沿って前記手動運転モードに切り替えられたと判定した場合、前記手動運転モード切替通知を前記他の車両に送信しない請求項2に記載の運行管理システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、前記車載器から送信された前記運転モード切替結果に基づいて、前記車両の前記運転モードが前記手動運転モードである場合と前記自動運転モードである場合とで区別して前記車両の運転者の運行を管理する運行管理部を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の運行管理システム。
【請求項5】
前記運行管理部は、前記運転モードに応じて前記運転者の運転を評価する運転評価部、及び、前記運転モードに応じて前記運転者の運転時間を管理する運転時間管理部を有する請求項4に記載の運行管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運行管理システムとして、例えば、特許文献1には、車両の運転状態を自動運転と手動運転とに切換可能な自動運転システムが記載されている。この自動運転システムは、地図情報を記憶する地図データベースと、地図情報に対して予め設定された興味対象ランドマークの情報を記憶するランドマークデータベースと、車両の地図上の位置を認識する車両位置認識部と、車両の運転状態が手動運転である場合に、地図データベースの地図情報、ランドマークデータベースの興味対象ランドマークの情報、及び車両の地図上の位置に基づいて、車両が興味対象ランドマークから予め設定された距離内に位置するか否かを判定する位置判定部と、位置判定部により車両が興味対象ランドマークから予め設定された距離内に位置すると判定された場合、車両の地図上の位置に基づいて、車両の自動運転切換が可能であるか否かを判定する自動運転可否判定部と、自動運転可否判定部により車両の自動運転切換が可能であると判定された場合、車両の運転状態を手動運転から自動運転に切り換える運転状態切換部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-156954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載の自動運転システムは、車両が興味対象ランドマークに近づいた際に手動運転から自動運転に切り換えるものであるが、例えば、それぞれの運転モードに応じて、運行に関わる情報を適切に管理するために、車両の運転モードを区別して把握することが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両の運転モードを区別して把握することができる運行管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る運行管理システムは、自動運転機能を有する車両に搭載され、前記車両の運転モードを自動運転モード及び手動運転モードの一方から他方に切り替えたことを検出する検出部、及び、前記検出部により検出された検出結果である運転モード切替結果を前記車両の外部に送信する送信部を有する車載器と、前記車両の外部に設けられ、前記車載器の前記送信部から送信された前記運転モード切替結果を受信する受信部、及び、前記受信部により受信した前記運転モード切替結果に基づいて前記車両の前記運転モードの履歴を管理する運転モード管理部を有する管理サーバと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る運行管理システムは、車載器から送信される運転モード切替結果に基づいて、車両の運転モードの履歴を管理するので、車両の運転モードを区別して把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る運行管理システムの構成例を示す概略図である。
図2図2は、実施形態に係る車載器の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る管理サーバの構成例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る管理データの一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る運行管理システムの動作例を示すフローチャート(その1)である。
図6図6は、実施形態に係る運行管理システムの動作例を示すフローチャート(その2)である。
図7図7は、実施形態に係る運行管理システムの動作例を示すフローチャート(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0010】
図面を参照しながら実施形態に係る運行管理システム1について説明する。運行管理システム1は、輸送業者等が所有する複数の車両(例えば、トラックV)を隊列走行する際の運行を管理するものである。ここで、隊列走行とは、複数の車両(トラックV)が連なった状態で、自動で車間距離を保って走行することである。ここでは、図1に示すように、3台のトラックVが隊列走行する例を示し、先頭のトラックV1にトラックV2、V3が追従する形で隊列走行を行っている。トラックV1~V3には、隊列走行を行う場合、全て運転者(乗務員)が乗車している。先頭のトラックV1は、隊列走行において、手動運転モードで運転される。ここで、手動運転モードとは、運転者がアクセル操作やブレーキ操作などの操作を手動で行う運転モードである。トラックV1に追従して走行するトラックV2は、自動で運転する機能である自動運転機能を有し、予め定められた自動走行計画に沿って自動運転モードで運転され、隊列走行を行う。ここで、自動運転モードとは、トラックV1の自動運転機能がアクセル操作やブレーキ操作などの操作を自動で行う運転モードである。トラックV2に追従して走行するトラックV3は、自動運転機能を有し、予め定められた自動走行計画に沿って自動運転モードで運転され、隊列走行を行う。
【0011】
運行管理システム1は、このような複数のトラックVを隊列走行する際の運行を管理するものであり、例えば、図1に示すように、車載器10と、管理サーバ30と、事務所端末40とを備える。
【0012】
車載器10は、隊列走行を行う車両群を構成するトラックVに搭載され、当該トラックVの運行時における情報を記録するものであり、例えば、デジタルタコグラフ、ドライブレコーダー等である。車載器10は、例えば、図1に示すように、隊列走行を行う複数のトラックV(V1~V3)にそれぞれ搭載される。車載器10は、例えば、図2示すように、速度I/F11と、エンジンI/F12と、GPS13と、アナログI/F14と、外部入力I/F15と、カメラI/F16と、送信部としての広域通信部17と、不揮発メモリ18と、揮発メモリ19と、SDカードI/F20と、SW入力I/F21と、LCD(Liquid Crystal Display)22と、アンテナ23と、検出部としてのCPU24とを有する。
【0013】
速度I/F11は、トラックVの走行速度を取得してCPU24に出力する。エンジンI/F12は、トラックVに搭載されたエンジンの回転速度を取得してCPU24に出力する。GPS13は、GPSアンテナを含む受信回路である。GPS13は、GPS衛星から送信される信号を受信し、トラックVの現在位置を算出する。GPS13は、算出した現在位置の情報をCPU24に出力する。アナログI/F14は、トラックVの状態を検知するセンサに接続されている。アナログI/F14は、例えば、エンジン温度を検出するセンサや、燃料量を検出するセンサに接続されている。
【0014】
外部入力I/F15は、各種の外部機器が接続される。外部入力I/F15は、例えば、アクセル装置AC、ブレーキ装置BK、自動運転装置ADなどが接続される。アクセル装置ACは、トラックVに設けられ、運転者のアクセル操作又は自動運転装置ADからの制御指令により、トラックVに駆動力を付与するものである。アクセル装置ACは、運転者又は自動運転装置ADによりアクセルが操作された場合、アクセルが操作されたことを表すアクセル操作信号を外部入力I/F15を介してCPU24に出力する。ブレーキ装置BKは、トラックVに設けられ、運転者のブレーキ操作又は自動運転装置ADからの制御指令により、トラックVに制動力を付与するものである。ブレーキ装置BKは、運転者又は自動運転装置ADによりブレーキが操作された場合、ブレーキが操作されたことを表すブレーキ操作信号を外部入力I/F15を介してCPU24に出力する。自動運転装置ADは、トラックVに設けられ、当該トラックV1のアクセル操作やブレーキ操作などの操作を自動で行うものである。自動運転装置ADは、自動運転機能を有し、運転者により自動運転モードが設定された場合、自動運転を開始し、自動運転モードが設定されたことを表す自動運転設定信号を外部入力I/F15を介してCPU24に出力する。また、自動運転装置ADは、運転者により自動運転モードが解除された場合、自動運転を解除し、自動運転モードが解除されたことを表す自動運転解除信号を外部入力I/F15を介してCPU24に出力する。
【0015】
カメラI/F16は、トラックVに搭載されたカメラCAが接続される。カメラCAは、トラックVの運転席に着座した運転者の運転操作を撮影するものである。カメラCAは、例えば、運転者によるアクセル操作、ブレーキ操作などの運転操作を撮影する。カメラI/F16は、カメラCAにより撮影された画像をCPU24に出力する。
【0016】
広域通信部17は、無線基地局WNとの間で通信を行なう通信モジュールである。広域通信部17は、CPU24の指令に従い、アンテナ23を介してトラックVの外部の無線基地局WNと無線通信を行なう。不揮発メモリ18は、CPU24によって実行される処理プログラムや各種データを記憶する不揮発性のメモリである。不揮発メモリ18は、例えば、隊列走行に関する処理プログラムや各種データを記憶している。揮発メモリ19は、例えば、CPU24による処理結果等を記憶する揮発性のメモリである。SDカードI/F20は、例えば、SDカードが挿抜されるスロットである。運転者は、トラックVに乗務するときに、所持するSDカードをSDカードI/F20に差し込む。SDカードI/F20に挿入されたSDカードには、運転者コード、運行状況、故障情報等のデータが記録される。SW入力I/F21は、運転者からの操作を受け付けるインターフェースである。LCD22は、画像を表示する液晶表示装置である。LCD22は、CPU24からの指令に応じて、車載器10の動作状態、通信状態、時刻、運行状況、注意、警告、故障情報等を表示する。アンテナ23は、電波を放電又は受電するものである。
【0017】
CPU24は、各種機器を制御するものである。CPU24は、例えば、GPS13から出力されるトラックVの現在の位置情報を、広域通信部17を介して管理サーバ30に送信する。
【0018】
また、CPU24は、トラックVの運転モードを自動運転モード及び手動運転モードの一方から他方に切り替えたことを検出する。CPU24は、例えば、自動運転装置ADから自動運転設定信号が出力された場合、トラックVの運転モードを手動運転モードから自動運転モードに切り替えたことを検出する。CPU24は、トラックVの運転モードを手動運転モードから自動運転モードに切り替えたことを検出した場合、広域通信部17を介して隊列走行設定通知(運転モード切替結果)を管理サーバ30に送信する。ここで、隊列走行設定通知とは、追従走行するトラックVの運転モードを手動運転モードから自動運転モードに切り替えることで、当該トラックVが自動運転によって隊列を構成して走行する隊列走行を設定したことを表す通知である。
【0019】
また、CPU24は、自動運転装置ADから自動運転解除信号が出力された場合、トラックVの運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えたことを検出する。CPU24は、トラックVの運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えたことを検出した場合、広域通信部17を介して隊列走行解除通知(運転モード切替結果)を管理サーバ30に送信する。ここで、隊列走行解除通知とは、追従走行するトラックVの運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えることで、当該トラックVが自動運転によって隊列を構成して走行する隊列走行を解除したことを表す通知である。
【0020】
CPU24は、自動運転モードの際に、アクセル装置ACから出力されるアクセル操作信号、及び、カメラCAから出力される運転者の運転操作を表す画像に基づいて、トラックVの運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えたことを検出する。CPU24は、例えば、自動運転モードの際に、アクセル装置ACからアクセル操作信号が出力され、かつ、カメラCAから出力される画像に基づいて、運転者がアクセルペダルを操作したと判定した場合、トラックVの運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えたことを検出する。なお、CPU24は、カメラCAから出力される画像に基づいて、周知の画像処理によって運転者がアクセルペダルを操作したか否かを判定する。CPU24は、トラックVの運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えたことを検出した場合、広域通信部17を介して隊列走行解除通知を管理サーバ30に送信する。
【0021】
また、CPU24は、自動運転モードの際に、ブレーキ装置BKから出力されるブレーキ操作信号、及び、カメラCAから出力される運転者の運転操作を表す画像に基づいて、トラックVの運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えたことを検出する。CPU24は、例えば、自動運転モードの際に、ブレーキ装置BKからブレーキ操作信号が出力され、かつ、カメラCAから出力される画像に基づいて、運転者がブレーキペダルを操作したと判定した場合、トラックVの運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えたことを検出する。なお、CPU24は、カメラCAから出力される画像に基づいて、周知の画像処理によって運転者がブレーキペダルを操作したか否かを判定する。CPU24は、トラックVの運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えたことを検出した場合、広域通信部17を介して隊列走行解除通知を管理サーバ30に送信する。CPU24は、例えば、図1に示すように、先頭のトラックV1を追従するトラックV2、V3が自動運転モードで隊列走行を実施しているときに、トラックV2の前に乗用車Qが急に割り込んできた際に、トラックV2の運転者がブレーキペダルを踏みこんでブレーキをかけた場合に隊列走行解除通知を管理サーバ30に送信する。
【0022】
管理サーバ30は、トラックVの外部に設けられ、トラックVの隊列走行を管理するものである。管理サーバ30は、無線基地局WNを介して無線通信可能にトラックVの車載器10に接続される。管理サーバ30は、図3に示すように、受信部31と、送信部32と、記憶部33と、運転モード管理部34と、運行管理部35とを有する。
【0023】
受信部31は、無線基地局WNを介して無線で情報を受信するものである。受信部31は、例えば、車載器10の広域通信部17から送信された情報を受信する。受信部31は、車載器10からトラックVの現在の位置情報、隊列走行設定通知、隊列走行解除通知などを受信する。受信部31は、例えば、トラックVの現在の位置情報と共に、隊列走行設定通知、隊列走行解除通知などを受信する。
【0024】
送信部32は、運転モード管理部34及び運行管理部35の指令に従い、無線基地局WNやインターネット通信網INと無線通信を行なうものである。
【0025】
記憶部33は、メモリ等の記憶装置である。記憶部33は、運転モード管理部34及び運行管理部35によって出力される情報を記憶する。記憶部33は、例えば、図4に示す管理データを記憶する。この管理データは、自動運転モード又は手動運転モードで運転した際の運転者ごとの各種データである。
【0026】
運転モード管理部34は、隊列走行を行うトラックVの車載器10から送信される隊列走行設定通知及び隊列走行解除通知に基づいて、トラックVの運転モードの履歴を管理するものである。運転モード管理部34は、例えば、先頭のトラックV1を追従するトラックV2、V3の車載器10から隊列走行設定通知が送信された場合、当該トラックV2、V3が自動運転モードで隊列走行をしていることを事務所端末40に送信し、当該トラックV2、V3が自動運転モードで走行をしていることを記憶部33に記録する。また、運転モード管理部34は、トラックV2、V3の車載器10から隊列走行解除通知が送信された場合、当該トラックV2、V3の隊列走行が解除されたことを事務所端末40に送信し、当該トラックV2、V3が手動運転モードで走行をしていることを記憶部33に記録する。なお、運転モード管理部34は、先頭のトラックV1を追従するトラックV2、V3の車載器10から隊列走行設定通知が送信された場合、当該トラックV2、V3が自動運転モードで隊列走行をしていることを各トラックV1~V3の間で相互に共有してもよい。
【0027】
運転モード管理部34は、隊列走行を行っている際に、先頭のトラックV1を追従するトラックV2、V3の車載器10から隊列走行解除通知が受信された受信結果に基づいて、隊列走行を構成する他のトラックV(V1~V3)に対して、隊列走行に異常が発生したことを表す隊列走行異常通知(手動運転モード切替通知)を送信する。
【0028】
運転モード管理部34は、例えば、トラックV2の車載器10から隊列走行解除通知を受信した際に、隊列走行解除通知及び予め定められた自動走行計画に基づいて、トラックV2の運転モードが自動走行計画に反して手動運転モードに切り替えられたと判定した場合、隊列走行異常通知を他のトラックV1、V3に送信する。一方で、運転モード管理部34は、トラックV2の車載器10から隊列走行解除通知を受信した際に、トラックV2の運転モードが自動走行計画に沿って手動運転モードに切り替えられたと判定した場合、隊列走行異常通知を他のトラックV1、V3に送信しない。なお、自動走行計画は、予め自動運転モードで隊列走行を行うことが定められた走行計画である。
【0029】
具体的には、運転モード管理部34は、トラックV2の車載器10から隊列走行解除通知を受信した際に、トラックV2が予め定められた自動走行計画ルート内、すなわち自動走行で隊列走行を行う予定の場所で隊列走行を解除したと判定した場合、隊列走行異常通知を他のトラックV1、V3に送信する。なお、自動走行計画ルートは、予め自動運転モードで隊列走行を行うことが定められた走行ルートである。一方で、運転モード管理部34は、トラックV2の車載器10から隊列走行解除通知を受信した際に、トラックV2が自動走行計画ルート外、すなわち自動走行で隊列走行を行う予定の走行ルートが終了した後に隊列走行を解除したと判定した場合、隊列走行異常通知を他のトラックV1、V3に送信しない。なお、トラックV2に追従するトラックV3は、トラックV2が自動走行計画ルート内で運転モードを手動運転モードに切り替えても、自動運転モードでトラックV2に追従する。
【0030】
運転モード管理部34は、例えば、トラックV3の車載器10から隊列走行解除通知を受信した際に、隊列走行解除通知及び自動走行計画に基づいて、トラックV3の運転モードが自動走行計画に反して手動運転モードに切り替えられたと判定した場合、隊列走行異常通知を他のトラックV1、V2に送信する。一方で、運転モード管理部34は、トラックV3の車載器10から隊列走行解除通知を受信した際に、トラックV3の運転モードが自動走行計画に沿って手動運転モードに切り替えられたと判定した場合、隊列走行異常通知を他のトラックV1、V2に送信しない。
【0031】
具体的には、運転モード管理部34は、トラックV3の車載器10から隊列走行解除通知を受信した際に、トラックV3が予め定められた自動走行計画ルート内、すなわち自動走行で隊列走行を行う予定の場所で隊列走行を解除したと判定した場合、隊列走行異常通知を他のトラックV1、V2に送信する。一方で、運転モード管理部34は、トラックV3の車載器10から隊列走行解除通知を受信した際に、トラックV3が自動走行計画ルート外、すなわち自動走行で隊列走行を行う予定の走行ルートが終了した後に隊列走行を解除したと判定した場合、隊列走行異常通知を他のトラックV1、V2に送信しない。なお、トラックV2は、トラックV3が自動走行計画ルート内で運転モードを手動運転モードに切り替えても、自動運転モードでトラックV1に追従する。
【0032】
運行管理部35は、車載器10から送信された隊列走行設定通知及び隊列走行解除通知に基づいて、トラックVの運転モードが手動運転モードである場合と自動運転モードである場合とで区別してトラックVの運転者の運行を管理するものである。運行管理部35は、例えば、図4に示す管理データに基づいて、トラックVの運転者の運行を管理する。この管理データには、例えば、運転者の識別番号を表す運転者コード、トラックVの運転者の識別番号を表す車両コード、手動運転モードで運転した運転時間、自動運転モードで運転した運転時間、手動運転モードで急加減速を行った回数、自動運転モードで急加減速を行った回数、手動運転モードで警報イベントが発生した回数、自動運転モードで警報イベントが発生した回数等が記録されている。このように、管理データには、トラックVの運転モードが手動運転モードである場合と自動運転モードである場合とで区別されて、運転時間、急加減速の回数、警報イベントの回数などの各項目が記録されている。運行管理部35は、運転評価部351と、運転時間管理部352とを有する。
【0033】
運転評価部351は、運転モードに応じて運転者の運転を評価するものである。運転評価部351は、例えば、管理データに基づいて、トラックVの運転モードが手動運転モードである場合と自動運転モードである場合とで区別してトラックVの運転者を評価する。具体的には、運転評価部351は、急加減速の回数に基づいて運転者を評価する際に、自動運転モードで急加減速した回数を除外し、手動運転モードで急加減速した回数のみを評価の対象とする。
【0034】
運転時間管理部352は、運転モードに応じて運転者の運転時間を管理する。運転時間管理部352は、例えば、管理データに基づいて、トラックVの運転モードが手動運転モードである場合と自動運転モードである場合とで区別してトラックVの運転者の運転時間を管理する。具体的には、運転時間管理部352は、運転者の実際の運転時間を演算する際に、自動運転モードで運転した時間を除外し、手動運転モードで運転した時間のみを運転時間の対象とする。
【0035】
事務所端末40は、輸送業者等が隊列走行の状況を管理する端末であり、輸送業者等の事務所に設置されている。事務所端末40は、例えば、先頭のトラックV1を追従するトラックV2、V3の車載器10から隊列走行設定通知が送信された場合、管理サーバ30から、当該トラックV2、V3が自動運転モードで隊列走行をしていることを受信する。また、事務所端末40は、トラックV2、V3の車載器10から隊列走行解除通知が送信された場合、管理サーバ30から、当該トラックV2、V3の隊列走行が解除されたことを受信する。
【0036】
次に、図5図7のフローチャートを参照して、運行管理システム1の動作例について説明する。運行管理システム1は、図5に示すように、トラックVのIGNがONされた後(ステップS1)、認証用のカードが挿入されるか、又は、認証デバイスに接続する(ステップS2)。運行管理システム1は、認証用のカード又は認証デバイスに認証設定がある場合(ステップS3;Yes)、認証用のカード又は認証デバイスに労務データが保存されているか否かを判定する(ステップS4)。運行管理システム1は、認証用のカード又は認証デバイスに労務データが保存されている場合(ステップS4;Yes)、認証用のカード又は認証デバイスから労務データを読み込む(ステップS5)。一方で、運行管理システム1は、認証用のカード又は認証デバイスに労務データが保存されていない場合(ステップS4;No)、出庫手続きに進む(ステップS10)。
【0037】
上述のステップS3で、運行管理システム1は、認証用のカード又は認証デバイスに認証設定がない場合(ステップS3;No)、認証用のカード認証、認証デバイス以外で出庫処理を行い(ステップS6)、認証運転者の引継ぎ労務データを管理サーバ30に問い合わせる(ステップS7)。運行管理システム1は、認証運転者の引継ぎ労務データがある場合(ステップS8;Yes)、管理サーバ30から労務データを読み込んで(ステップS9)、出庫する(ステップS10)。運行管理システム1は、認証運転者の引継ぎ労務データがない場合(ステップS8;No)、管理サーバ30から労務データを読み込まずに出庫する(ステップS10)。
【0038】
管理サーバ30は、先頭のトラックV1を追従するトラックV2、V3の車載器10から隊列走行設定通知が送信された場合、当該トラックV2、V3が自動運転モードで隊列走行を開始していることを検出し(ステップS11)、隊列走行の監視を開始する(ステップS12)。自動運転モードで隊列走行を行うトラックV2、V3の車載器10は、トラックVの車間距離が短い等の警報イベントが発生した際に(ステップS13;Yes)、隊列走行時に警報を抑制する設定がある場合(ステップS14;Yes)、警報を鳴動せずに警報抑制フラグを記録し(ステップS15)、警報イベントを図4に示す管理データに記録する(ステップS17)。一方で、当該車載器10は、隊列走行時に警報を抑制する設定がない場合(ステップS14;No)、警報を鳴動し(ステップS16)、警報イベントを管理データに記録する(ステップS17)。車載器10は、事務所端末40への送信の設定がある場合(ステップS18;Yes)、管理サーバ30を介して警報情報を事務所端末40に送信し(ステップS19)、事務所端末40への送信の設定がない場合(ステップS18;No)、警報情報を事務所端末40に送信しない。
【0039】
車載器10は、前方トラックVとの距離が基準距離未満、もしくは前方トラックVを見失っていない場合(ステップS20;No)、上述のステップS13に戻って、警報イベントの発生を検出する。また、車載器10は、前方トラックVとの距離が基準距離以上、もしくは前方トラックVを見失った際に(ステップS20;Yes)、アクセル操作又はブレーキ操作が行われていない場合(ステップS21;No)、上述のステップS13に戻って、警報イベントの発生を検出する。一方で、車載器10は、アクセル操作又はブレーキ操作が行われた場合(ステップS21;Yes)、運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えたことを検出し(ステップS22)、隊列走行解除通知を管理サーバ30に送信する(ステップS23)。管理サーバ30は、隊列走行が解除されたことを事務所端末40に送信する(ステップS24)。
【0040】
管理サーバ30は、手動運転モードに切り替えたトラックV(例えば、トラックV2)が走行する現地点は自動走行計画ルート外である場合(ステップS25;No)、トラックV2が自動運転モード(隊列走行)に切り替わるか否かを判定する(ステップS28)。一方で、管理サーバ30は、トラックV2が走行する現地点は自動走行計画ルート内であるときに(ステップS25;Yes)、隊列走行グループ登録(例えば、トラックV1~V3)がある場合(ステップS26;Yes)、隊列走行グループに所属する他のトラックV1、V3に隊列走行異常通知を送信する(ステップS27)。管理サーバ30は、トラックV2が自動運転モード(隊列走行)に切り替わる場合(ステップS28;Yes)、上述のステップS12に戻り、隊列走行の監視を再開する。一方で、管理サーバ30は、トラックV2が自動運転モード(隊列走行)に切り替わらないときに(ステップS28;No)、入庫操作が実施されていない場合(ステップS29;No)、上述のステップS28に戻り、トラックV2が自動運転モード(隊列走行)に切り替わるか否かを判定する。一方で、管理サーバ30は、入庫操作が実施されたときに(ステップS29;Yes)、カードレス運用である場合(ステップS30;Yes)、運行データを管理サーバ30へ送信し(ステップS31)、労務データを管理サーバ30へ送信する(ステップS32)。一方で、カードレス運用でない場合(ステップS30;No)、運行データをSDカードに保存し(ステップS33)、労務データをSDカードに保存する(ステップS34)。車載器10は、トラックVの状態を入庫状態に変更し(ステップS35)、処理を終了する。
【0041】
以上のように、実施形態に係る運行管理システム1は、車載器10と、管理サーバ30とを備える。車載器10は、自動運転機能を有するトラックVに搭載され、トラックVの運転モードを自動運転モード及び手動運転モードの一方から他方に切り替えたことを検出するCPU24、及び、CPU24により検出された検出結果である運転モード切替結果(隊列走行設定通知、隊列走行解除通知)をトラックVの外部に送信する広域通信部17を有する。管理サーバ30は、トラックVの外部に設けられ、車載器10の広域通信部17から送信された運転モード切替結果を受信する受信部31、及び、受信部31により受信した運転モード切替結果に基づいてトラックVの運転モードの履歴を管理する運転モード管理部34を有する。この構成により、運行管理システム1は、車載器10から送信される運転モード切替結果に基づいて、トラックVの運転モードの履歴を管理するので、トラックVの運転モードを区別して把握することができる。
【0042】
運行管理システム1において、車載器10は、隊列走行を行う車両群を構成するトラックVに搭載され、自動運転モードから手動運転モードに切り替えたことを検出した場合、運転モード切替結果を管理サーバ30に送信する。管理サーバ30は、車載器10から送信された運転モード切替結果に基づいて、トラックVの運転モードが手動運転モードに切り替えられたことを表す手動運転モード切替通知(隊列走行異常通知)を、車両群を構成する他のトラックVに送信する。この構成により、運行管理システム1は、トラックVが手動運転モードに切り替え、隊列走行に異常が発生したことを他のトラックVに認知させることができる。
【0043】
運行管理システム1において、管理サーバ30は、車載器10から手動運転モードに切り替えたことを表す運転モード切替結果を受信した際に、当該運転モード切替結果及び予め定められた自動走行計画に基づいて、トラックVの運転モードが自動走行計画に反して手動運転モードに切り替えられたと判定した場合、手動運転モード切替通知(隊列走行異常通知)を他のトラックVに送信し、トラックVの運転モードが自動走行計画に沿って手動運転モードに切り替えられたと判定した場合、手動運転モード切替通知を他のトラックVに送信しない。この構成により、運行管理システム1は、隊列走行が計画に反して解除された異常事態を他のトラックVを運転する運転者に認知させることができる。また、運行管理システム1は、隊列走行が計画に沿って解除された場合には他のトラックVを運転する運転者に通知しないので、煩わしさを抑制できる。
【0044】
運行管理システム1において、管理サーバ30は、車載器10から送信された運転モード切替結果に基づいて、トラックVの運転モードが手動運転モードである場合と自動運転モードである場合とで区別してトラックVの運転者の運行を管理する運行管理部35を有する。この構成により、運行管理システム1は、運転者の運行状態を手動運転モードと自動運転モードとに区別して把握することができる。
【0045】
運行管理システム1において、運行管理部35は、運転モードに応じて運転者の運転を評価する運転評価部351、及び、運転モードに応じて運転者の運転時間を管理する運転時間管理部352を有する。この構成により、運行管理システム1は、運転者を手動運転モードの運転と自動運転モードの運転とに区別して評価することができる。運行管理システム1は、例えば、急加減速の回数に基づいて運転者を評価する際に、自動運転モードで急加減速した回数を除外し、手動運転モードで急加減速した回数のみを評価の対象とすることができる。また、運行管理システム1は、運転者を手動運転モードの運転と自動運転モードの運転とに区別して運手時間を管理することができる。運行管理システム1は、例えば、運転者の実際の運転時間を演算する際に、自動運転モードで運転した時間を除外し、手動運転モードで運転した時間のみを運転時間の対象にできるので、日報作成や労務管理を適正に実施することができる。
【0046】
なお、上述した本発明の実施形態に係る運行管理システム1は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0047】
例えば、管理サーバ30は、手動運転モードである場合と自動運転モードである場合とで区別してトラックVの運転者の運行を管理する運行管理部35を有する例について説明したが、これに限定されず、運行管理部35を有していなくてもよい。
【0048】
また、運行管理部35は、運転者の運転を評価する運転評価部351及び運転者の運転時間を管理する運転時間管理部352を有する例について説明したが、これに限定されず、その他の運転者の運行に関する情報を管理してもよい。
【0049】
また、先頭のトラックV1は、隊列走行において、手動運転モードで運転される例について説明したが、これに限定されず、例えば、自動運転モードで運転されてもよい。
【0050】
また、隊列走行の一例として、3台のトラックVが隊列走行する例を示したが、これに限定されず、例えば、2台のトラックVが隊列走行してもよいし、4台以上のトラックVが隊列走行してもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 車載器
V トラック(車両)
24 CPU(検出部)
17 広域通信部(送信部)
30 管理サーバ
31 受信部
34 運転モード管理部
35 運行管理部
351 運転評価部
352 運転時間管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7