(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162601
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、プログラム、及び光通信システム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/27 20130101AFI20241114BHJP
H04J 14/00 20060101ALI20241114BHJP
H04B 10/07 20130101ALI20241114BHJP
【FI】
H04B10/27
H04J14/00
H04B10/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078282
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】柳町 成行
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AD00
5K102AD01
5K102AL02
5K102AL07
5K102AL10
5K102KA01
5K102MH03
5K102MH04
5K102MH14
5K102MH21
5K102NA02
5K102PA01
5K102PD00
5K102PH11
5K102RB12
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】MCFを用いるネットワークにおいて、伝送品質を向上させること。
【解決手段】始点ノードから終点ノードまでの光通信経路を設定する要求を受信する受信部と、前記始点ノードで使用するマルチコア光ファイバ(Multi Core Optical Fiber:MCF)の複数のコアのそれぞれでの光伝送路の品質に基づいて、当該複数のコアに含まれる第1コアを使用する経路を設定する制御部と、を有する制御装置が提供される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
始点ノードから終点ノードまでの光通信経路を設定する要求を受信する受信部と、
前記始点ノードで使用するマルチコア光ファイバ(Multi Core Optical Fiber:MCF)の複数のコアのそれぞれでの光伝送路の品質に基づいて、当該複数のコアに含まれる第1コアを使用する経路を設定する制御部と、
を有する制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記始点ノードから中継ノードまでの第1区間における第1マルチコア光ファイバで前記第1コアを用い、
前記中継ノードから前記終点ノードまでの第2区間における第2マルチコア光ファイバの複数のコアのそれぞれでの光伝送路の品質に基づいて、当該複数のコアに含まれる第2コアを使用する経路を設定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記始点ノードから前記終点ノードまで同一の波長で光信号を伝送可能な経路を設定する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記光伝送路の品質は、前記終点ノードで測定された光信号対雑音比である、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記マルチコア光ファイバの複数のコアのそれぞれの使用状況に基づいて、前記光伝送路の品質を推定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
始点ノードから終点ノードまでの光通信経路を設定する要求を受信し、
前記始点ノードで使用するマルチコア光ファイバ(Multi Core Optical Fiber:MCF)の複数のコアのそれぞれでの光伝送路の品質に基づいて、当該複数のコアに含まれる第1コアを使用する経路を設定する、
制御方法。
【請求項7】
始点ノードから終点ノードまでの光通信経路を設定する要求を受信し、
前記始点ノードで使用するマルチコア光ファイバ(Multi Core Optical Fiber:MCF)の複数のコアのそれぞれでの光伝送路の品質に基づいて、当該複数のコアに含まれる第1コアを使用する経路を設定する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項8】
始点ノードと、
終点ノードと、
前記始点ノードから前記終点ノードまでの光通信経路を設定する要求を受信する受信部と、
前記始点ノードで使用するマルチコア光ファイバ(Multi Core Optical Fiber:MCF)の複数のコアのそれぞれでの光伝送路の品質に基づいて、当該複数のコアに含まれる第1コアを使用する経路を設定する制御部と、
を有する、光通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、制御方法、プログラム、及び光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン等の端末の普及と、端末による高精細画像等の大容量データ通信により、ネットワークに流れるトラフィックが増加している。ある調査によると、国内の2020年度のブロードバンド契約者の総ダウンロードトラフィックは約19Tbpsで年率約57%の割合で増大を続けており、今後もトラフィックの増大が見込まれている。
【0003】
これに対し、大容量通信を支えるコアネットワークでは、複数の異なる波長の光信号を1本の光ファイバに多重して伝送する波長分割多重技術(Wavelength Division Multiplexing:WDM)、DP-QPSK(Dual Polarization Differential Quadra-ture Phasa Shift Keying)、16-QAM(16-Quadrature Amplitude Modulation)等の高度変調方式など、大容量化技術の開発が進められてきた。しかしながら、WDMで利用できる波長数は限られているため、近い将来、WDMによる通信容量の増大は頭打ちとなることが予想されている。
【0004】
また、これらの高度変調方式でも、信号のS/N要求が厳しいため、到達距離が制限される等、限界が近づきつつある。これに対し、近年、光ファイバ1本当たりの伝送容量拡大を目的として、従来のシングルモード光ファイバ(Single Mode Optical Fiber:SMF)に代わり、1つのクラッド内に複数のコアを充填するマルチコア光ファイバ(Multi Core Optical Fiber:MCF)の研究開発も進められている。
【0005】
このように、大容量化の技術開発は進められているが、一方、限られた周波数資源を有効活用する技術開発も進められている。例えば、エラステック収容技術においては、従来のWDM波長間隔を短縮して、周波数利用効率を高めている。さらに、ネットワーク制御の観点では、例えば、光伝送路の品質、通信信号の帯域、通信距離に応じてパスを割り当てることにより、パスのブロッキングを低減して、周波数利用効率を高める取り組みもある。
【0006】
例えば、特許文献1には、すべてのリンクのマルチコアファイバの使用状況情報に基づき、ネットワーク全体の波長使用状況を平準化して光パスを収容するコアとリンクと光パス経路を選択する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の技術には、伝送品質を更に向上できる余地がある。
【0009】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、MCFを用いるネットワークにおいて、伝送品質を向上させることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る第1の態様では、始点ノードから終点ノードまでの光通信経路を設定する要求を受信する受信部と、前記始点ノードで使用するマルチコア光ファイバ(Multi Core Optical Fiber:MCF)の複数のコアのそれぞれでの光伝送路の品質に基づいて、当該複数のコアに含まれる第1コアを使用する経路を設定する制御部と、を有する制御装置が提供される。
【0011】
また、本開示に係る第2の態様では、始点ノードから終点ノードまでの光通信経路を設定する要求を受信し、前記始点ノードで使用するマルチコア光ファイバ(Multi Core Optical Fiber:MCF)の複数のコアのそれぞれでの光伝送路の品質に基づいて、当該複数のコアに含まれる第1コアを使用する経路を設定する、制御方法が提供される。
【0012】
また、本開示に係る第3の態様では、始点ノードから終点ノードまでの光通信経路を設定する要求を受信し、前記始点ノードで使用するマルチコア光ファイバ(Multi Core Optical Fiber:MCF)の複数のコアのそれぞれでの光伝送路の品質に基づいて、当該複数のコアに含まれる第1コアを使用する経路を設定する、処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0013】
また、本開示に係る第4の態様では、始点ノードと、終点ノードと、前記始点ノードから前記終点ノードまでの光通信経路を設定する要求を受信する受信部と、前記始点ノードで使用するマルチコア光ファイバ(Multi Core Optical Fiber:MCF)の複数のコアのそれぞれでの光伝送路の品質に基づいて、当該複数のコアに含まれる第1コアを使用する経路を設定する制御部と、を有する、光通信システムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
一側面によれば、MCFを用いるネットワークにおいて、伝送品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る光通信システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係るノードの構成の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る制御装置の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る制御装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態に係るコア管理DB(データベース)に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図8】実施形態に係るノードの処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】MCFを用いたネットワークでの光伝送路の品質のシミュレーション結果の一例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る7コアのMCFの断面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の原理は、いくつかの例示的な実施形態を参照して説明される。これらの実施形態は、例示のみを目的として記載されており、本開示の範囲に関する制限を示唆することなく、当業者が本開示を理解および実施するのを助けることを理解されたい。本明細書で説明される開示は、以下で説明されるもの以外の様々な方法で実装される。
【0017】
以下の説明および特許請求の範囲において、他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0018】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。
図1を参照し、実施形態に係る光通信システム1の構成について説明する。
<システム構成>
図1は、実施形態に係る光通信システム1の構成の一例を示す図である。
図1の例では、光通信システム1は、制御装置10を有する。なお、制御装置10は、例えば、ネットワークマネージメントシステム(NMS)等と称されてもよい。また、光通信システム1は、ノード20A~L(以下で、区別する必要が無い場合は、単に、「ノード20」とも称する。)を有する。なお、制御装置10及びノード20の数は、
図1の例に限定されない。
【0019】
制御装置10と各ノード20は、例えば、図示しない光伝送路(例えば、光ファイバ)を介して通信可能なように接続されている。ノード20A~Dは、光伝送路30Aにより通信可能なように接続されている。また、ノード20E~Hは、光伝送路30Bにより通信可能なように接続されている。また、ノード20I~Lは、光伝送路30Cにより通信可能なように接続されている。
【0020】
また、ノード20Cとノード20Eとが、光伝送路30Dにより通信可能なように接続されている。また、ノード20Dとノード20Iとが、光伝送路30Eにより通信可能なように接続されている。また、ノード20Hとノード20Jとが、光伝送路30Fにより通信可能なように接続されている。なお、光伝送路30A~Fには、光の伝送損失を補償する光増幅器が含まれていてもよい。
【0021】
なお、
図1の例では、光伝送路30A~Cのネットワークトポロジはリング型であるが、本開示はこれに限定されない。各ノード20のネットワークトポロジは、例えば、ポイントツーポイント型、スター型、またはメッシュ型等でもよい。
【0022】
<ノード20の構成>
次に、
図2を参照し、実施形態に係るノード20の構成について説明する。
図2は、実施形態に係るノード20の構成の一例を示す図である。
【0023】
ノード20は、入力MCF(Multi Core Optical Fiber、マルチコア光ファイバ)201、マルチコア光アンプ202A、マルチコア光スイッチ203、マルチコア光アンプ204A、ファンアウト205、光回線スイッチ206、WSS(Wavelength Selective Switch、波長選択型スイッチ)208、TRPD(Transponder、送受信器)207、ファンイン209、マルチコア光アンプ204B、マルチコア光アンプ202B、出力MCF210、及びノードコントローラ211を有する。
【0024】
入力MCF201及び出力MCF210は、一つのクラッドの中に複数のコアが配置された光ファイバ(MCF)である。なお、MCFでは、コアごとに異なるデータを送信できるため、1本のファイバで送信できるデータ量(伝送容量)を増加させることができる。
なお、MCFのような多重方式は、空間分割多重方式(SDM:Space Division Multiplexing)とも称されている。
【0025】
入力MCF201及び出力MCF210は、例えば、コア間の間隔を離し、コア間のクロストークを抑えた光ファイバである非結合型MCFでもよい。この場合、入力MCF201及び出力MCF210は、例えば、7つのコアを有する非結合型MCFでもよい。なお、非結合型MCFでは、それぞれのコアを独立した光伝送路として用いることができるため、従来のSMF用に開発された光通信技術の少なくとも一部を活用(流用)することが可能である。
【0026】
入力MCF201は、他のノード20からの光信号を入力する。マルチコア光アンプ202Aは、入力MCF201の伝送損失をマルチコアファイバ単位で補償する。マルチコア光スイッチ203は、マルチコア光アンプ202AからのMCFのマルチコア単位のスイッチングを行う。
【0027】
マルチコア光アンプ204Aは、マルチコア光スイッチ203のDropポートからの光信号の損失を補償する。ファンアウト205は、マルチコア光アンプ204からマルチコア単位の光信号をシングルコア(SMF)単位に分離する。光回線スイッチ206は、ファンアウト205からのシングルコア単位の光信号を切り替える。
【0028】
WSS208は、波長単位の切り替え、および、TRPD207へのAdd/Dropを行う。TRPD207は、WSSからのトラフィックを受信、またはWSSへトラフィックを送信する。ファンイン209は、WSS208からのシングルコア単位の光信号をマルチコア単位に束ねる。マルチコア光アンプ204Bは、ファンイン209からのマルチコア単位の光信号の損失を補償する。
【0029】
また、マルチコア光スイッチ203は、マルチコア光アンプ204Bの光信号をAddポートで受けマルチコア単位のスイッチングを行う。マルチコア光アンプ202Bは、マルチコア光スイッチ203からの光信号の損失を補償する。出力MCF210は、マルチコア光アンプ202Bからの光信号を伝送する。ノードコントローラ211は、ノード20内の各デバイスを制御する。
【0030】
<制御装置10の構成>
次に、
図3を参照し、実施形態に係る制御装置10の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る制御装置10の構成の一例を示す図である。制御装置10は、受信部11、及び制御部12を有する。これら各部は、制御装置10にインストールされた1以上のプログラムと、制御装置10のプロセッサ101、及びメモリ102等のハードウェアとの協働により実現されてもよい。
【0031】
受信部11は、データを送信するノード20(始点ノード)からデータを受信するノード20(終点ノード)までの経路(光通信経路)を設定する要求(パスリクエスト)を、始点ノードから受信する。
【0032】
制御部12は、始点ノードで使用するマルチコア光ファイバ(Multi Core Optical Fiber:MCF)の複数のコアのそれぞれでの光伝送路の品質に基づいて、当該複数のコアに含まれる第1コアを使用する経路を設定する。
【0033】
<ハードウェア構成>
図4は、実施形態に係る制御装置10のハードウェア構成例を示す図である。
図4の例では、制御装置10(コンピュータ100)は、プロセッサ101、メモリ102、通信インターフェイス103を含む。これら各部は、バス等により接続されてもよい。メモリ102は、プログラム104の少なくとも一部を格納する。通信インターフェイス103は、他のネットワーク要素との通信に必要なインターフェイスを含む。
【0034】
プログラム104が、プロセッサ101及びメモリ102等の協働により実行されると、コンピュータ100により本開示の実施形態の少なくとも一部の処理が行われる。メモリ102は、ローカル技術ネットワークに適した任意のタイプのものであってもよい。メモリ102は、非限定的な例として、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体でもよい。また、メモリ102は、半導体ベースのメモリデバイス、磁気メモリデバイスおよびシステム、光学メモリデバイスおよびシステム、固定メモリおよびリムーバブルメモリなどの任意の適切なデータストレージ技術を使用して実装されてもよい。コンピュータ100には1つのメモリ102のみが示されているが、コンピュータ100にはいくつかの物理的に異なるメモリモジュールが存在してもよい。プロセッサ101は、任意のタイプのものであってよい。プロセッサ101は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、および非限定的な例としてマルチコアプロセッサアーキテクチャに基づくプロセッサの1つ以上を含んでよい。コンピュータ100は、メインプロセッサを同期させるクロックに時間的に従属する特定用途向け集積回路チップなどの複数のプロセッサを有してもよい。
【0035】
本開示の実施形態は、ハードウェアまたは専用回路、ソフトウェア、ロジックまたはそれらの任意の組み合わせで実装され得る。いくつかの態様はハードウェアで実装されてもよく、一方、他の態様はコントローラ、マイクロプロセッサまたは他のコンピューティングデバイスによって実行され得るファームウェアまたはソフトウェアで実装されてもよい。
【0036】
本開示はまた、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に有形に記憶された少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品は、プログラムモジュールに含まれる命令などのコンピュータ実行可能命令を含み、対象の実プロセッサまたは仮想プロセッサ上のデバイスで実行され、本開示のプロセスまたは方法を実行する。プログラムモジュールには、特定のタスクを実行したり、特定の抽象データ型を実装したりするルーチン、プログラム、ライブラリ、オブジェクト、クラス、コンポーネント、データ構造などが含まれる。プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態で望まれるようにプログラムモジュール間で結合または分割されてもよい。プログラムモジュールのマシン実行可能命令は、ローカルまたは分散デバイス内で実行できる。分散デバイスでは、プログラムモジュールはローカルとリモートの両方のストレージメディアに配置できる。
【0037】
本開示の方法を実行するためのプログラムコードは、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれてもよい。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、またはその他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはコントローラに提供される。プログラムコードがプロセッサまたはコントローラによって実行されると、フローチャートおよび/または実装するブロック図内の機能/動作が実行される。プログラムコードは、完全にマシン上で実行され、一部はマシン上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、一部はマシン上で、一部はリモートマシン上で、または完全にリモートマシンまたはサーバ上で実行される。
【0038】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例には、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光ディスク媒体、半導体メモリ等が含まれる。磁気記録媒体には、例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ等が含まれる。光磁気記録媒体には、例えば、光磁気ディスク等が含まれる。光ディスク媒体には、例えば、ブルーレイディスク、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、CD-R(Recordable)、CD-RW(ReWritable)等が含まれる。半導体メモリには、例えば、ソリッドステートドライブ、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory)等が含まれる。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0039】
<処理>
<<制御装置10の処理>>
次に、
図5から
図7を参照し、実施形態に係る制御装置10の処理の一例について説明する。
図5は、実施形態に係る制御装置10の処理の一例を示すフローチャートである。
図6は、実施形態に係るコア管理DB(データベース)601に記録される情報の一例を示す図である。
図7は、実施形態に係る経路の一例を示す図である。
【0040】
なお、
図5の処理は、例えば、制御装置10の受信部11が、データを送信するノード20(始点ノード)からデータを受信するノード20(終点ノード)までの経路を設定する要求(パスリクエスト)を、始点ノードから受信した際に実行されてもよい。なお、パスリクエストには、例えば、始点ノードの識別情報、及び終点ノードの識別情報が含まれてもよい。
【0041】
ステップS101において、制御部12は、コア管理DB601を参照して、始点ノードから終点ノードまでの経路上の各区間において、使用可能な(空いている、未使用な)1以上のMCFのコアをそれぞれ特定する。本開示において、区間とは、始点ノードから終点ノードまでの経路上での、あるノード20から他のノード20までの伝送路のことである。
【0042】
ここで、制御部12は、経路上の中継ノード(経路上の各ノード20のうち、始点ノード20及び終点ノード20以外のノード20)の数(ホップ数)が最小となる経路を特定してもよい。
【0043】
また、制御部12は、コア管理DB601を参照して、始点ノードから終点ノードまでの経路で同一の波長で光信号を伝送可能となる経路を特定してもよい。これにより、例えば、中継ノードでの波長変換が不要となるため、始点ノードから終点ノードまでの経路での伝送遅延をより低減できる。この場合、制御部12は、例えば、各区間において、使用可能な(空いている、未使用な)波長を特定してもよい。
【0044】
図6の例では、コア管理DB601には、区間IDに対応付けて、送信元ノードID、及び送信先ノードIDが記録されている。また、区間ID、コアID、及び波長IDの組み合わせに対応付けて、使用状況、及び特性が記録されている。
【0045】
区間IDは、区間の識別情報である。送信元ノードIDは、当該区間のMCFが接続されている送信元側のノード20の識別情報である。送信先ノードIDは、当該区間のMCFが接続されている送信先側のノード20の識別情報である。
【0046】
コアIDは、当該区間のMCFに含まれるコアの識別情報である。波長IDは、当該コアで伝送可能な光信号の波長の識別情報である。使用状況は、当該コアで当該波長での使用状況である。使用状況には、当該コアで当該波長での光信号の伝送が行われていることを示す「使用中」、及び当該コアで当該波長での光信号の伝送が行われていないことを示す「未使用」が含まれてもよい。特性は、当該区間における当該コアに応じた、伝送に関する特性である。特性には、例えば、伝送速度、及び伝送距離等の情報が含まれてもよい。
【0047】
図6の例では、ノード20Bからノード20BAまでの区間において、コアC1では、波長FAが使用中であり、波長FBは未使用である(使用中でない)ために使用可能であることが示されている。
【0048】
なお、コア管理DB601は、制御装置10の内部の記憶装置に記録されてもよいし、制御装置10の外部の記憶装置に記録されてもよい。コア管理DB601での区間ID、送信元ノードID、送信先ノードID、コアID、及び波長IDの情報は、例えば、制御装置10の管理者等により予め設定(登録)されていてもよい。コア管理DB601での使用状況の情報は、例えば、制御部12が経路を設定、及び設定解除する際に、制御部12が記録(更新)してもよい。
【0049】
続いて、制御部12は、経路上の各区間での使用可能なコアの組み合わせのうち、未選択の組み合わせを選択する(ステップS102)。ここで、制御部12は、例えば、始点ノードから中継ノードまでの第1区間における第1マルチコア光ファイバで第1コアを用い、当該中継ノードから終点ノードまでの第2区間における第2マルチコア光ファイバで第2コアを使用する経路を選択する。
【0050】
続いて、制御部12は、選択した各区間でのコアの組み合わせを、特定の波長で用いる経路を設定する(ステップS103)。ここで、制御部12は、当該経路上の各ノード20へ、経路を設定するための各コマンドを送信してもよい。
【0051】
続いて、制御部12は、特定の波長に対する、設定した経路での光信号の伝送の品質(光伝送路の品質)を取得(算出、推定、決定)する(ステップS104)。ここで、制御部12は、例えば、OSNR(Optical Signal to Noise Ratio、光信号対雑音比)を、当該品質を示す値として算出してもよい。
【0052】
(終点ノード20及び中継ノード20の少なくとも一方にて光伝送路の品質を算出する例)
制御部12は、終点ノード20及び中継ノード20の少なくとも一方にて算出(測定)された、光信号の伝送の品質を示す情報を、算出を行ったノード20から取得してもよい。この場合、各ノード20は、例えば、ファンアウト205等からの出力に基づいてOSNR等の品質を測定するためのモニタ(測定装置)を有してもよい。
【0053】
この場合、各ノード20が、後述するステップS106の判定処理を実行してもよい。そして、各ノード20は、判定結果を制御装置10へ通知するようにしてもよい。または、各ノード20は、光信号の伝送の品質が閾値以下である場合、今回の送信に用いたコア以外の他のコアを用いる要求を送信元のノード20へ送信してもよい。そして、当該要求を受信した送信元ノード20は、他のコアに切り替えて光信号を伝送してもよい。
【0054】
(制御装置10にて光伝送路の品質を推定する例)
制御部12は、MCFの複数のコアのそれぞれの使用状況に基づいて、経路上の全区間における光伝送路の品質、及び経路上の各区間における光伝送路の品質の少なくとも一方を推定してもよい。この場合、制御部12は、例えば、コア管理DB601を参照し、各区間における特定の波長での各コアでのクロストークの量を、特定の数式に基づいて推定(シミュレーション)してもよい。そして、制御部12は、例えば、各区間における特定の波長での各コアでのクロストークの量に基づいて、経路上の全区間における光伝送路の品質(例えば、OSNR)の値を推定してもよい。
【0055】
続いて、制御部12は、光伝送路の品質が特定の条件に合致するか否かを判定する(ステップS105)。制御部12は、光伝送路の品質が閾値以上である場合に、特定の条件に合致すると判定してもよい。また、制御部12は、経路上の各区間での使用可能なコアの組み合わせにおいて、光伝送路の品質が最高値である場合に、特定の条件に合致すると判定してもよい。
【0056】
光伝送路の品質が特定の条件に合致する場合(ステップS105でNO)、ステップS102の処理へ進む。再度のステップS102の処理で、制御部12は、例えば、始点ノードから中継ノードまでの第1区間における第1マルチコア光ファイバで第1コアとは異なる第3コアを用い、当該中継ノードから終点ノードまでの第2区間における第2マルチコア光ファイバで第2コアを使用する経路を選択する。これにより、例えば、MCFを用いたネットワークにおいて、コア間にクロストーク(交錯、混信、漏話、混線)が生じる場合でも、経路上の各区間のMCFで使用するコアを適切に選択できる。一方、光伝送路の品質が特定の条件に合致場合(ステップS105でYES)、処理を終了する。
【0057】
図7を参照し、ノード20Bが始点ノードであり、ノード20Kが終点ノードである場合を例として説明する。この場合、制御部12は、例えば、ノード20A、ノード20D、ノード20I、ノード20Lの順に中継ノードを伝送される最小ホップ数の第1経路701を選択してもよい。そして、制御部12は、例えば、ノード20C、ノード20E、ノード20H、ノード20Jの順に中継ノードを伝送される最小ホップの第2経路702を選択してもよい。
【0058】
そして、制御部12は、第1経路701及び第2経路702のそれぞれについて、各区間で使用するコアと波長の組み合わせ毎に、光伝送路の品質が最高または閾値以上となる組み合わせを選択してもよい。
【0059】
<<ノード20の処理>>
次に、
図8を参照し、実施形態に係るノード20の処理の一例について説明する。
図8は、実施形態に係るノード20の処理の一例を示すフローチャートである。
図8の処理は、経路上の各ノード20にて、制御装置10からの各コマンドを受信した場合に実行されてもよい。
【0060】
ステップS201において、ノードコントローラ211は、経路を設定するためのコマンドを制御装置10から受信する。ここで、当該コマンドには、区間を示す情報(例えば、送信元のノード20の識別情報、及び送信先のノード20の識別情報)、コアID、及び波長IDが含まれてもよい。
【0061】
続いて、ノードコントローラ211は、TRPD207を制御し、TRPD207が送受信する光信号の波長を、制御装置10により指定された波長に設定する(合わせる)(ステップS202)。
【0062】
続いて、ノードコントローラ211は、WSS208を制御し、特定のシングルコアに設定された経路を収容する(光信号を伝送させる)(ステップS203)。
【0063】
続いて、ノードコントローラ211は、ファンイン209を制御し、WSS208からのシングルコア単位の光信号を特定のMCFのコアに収容する(ステップS204)。
【0064】
続いて、ノードコントローラ211は、マルチコア光スイッチ203を制御し、制御装置10により指定された送信先となるように経路を切り替える(ステップS205)。なお、中継ノード20では、ノードコントローラ211は、光回線スイッチ206を制御して、コアの切り替えを行う。
【0065】
<その他>
MCFを用いたネットワークでは、光ファイバの中にクロストークが生じない程度のピッチで各コアを設ける非結合型光ファイバであっても、多少のコア間クロストークが発生する。そのため、MCFを用いたネットワークでは、シングルコアファイバを用いたネットワークと比較して伝送特性が劣化する可能性がある。
【0066】
図9は、MCFを用いたネットワークでの光伝送路の品質のシミュレーション結果の一例を示す図である。
図9の横軸はチャネル当たりの入力光パワー、縦軸はSNRである。シミュレーションでの条件は、50GHz間隔での80個の波長、チャネルスピード100Gbps、伝送距離575km(例えば、東京-大阪間)、ホップ数を6つとしている。
図9には、当該条件下でコア間のクロストークを-40dBから無限小(w/o)までの各値に対するOSNRの推定値が示されている。
図9によれば、コア間のクロストークが大きくなるに従ってOSNRが悪化することが分かる。
【0067】
図10は、実施形態に係る7コアのMCFの断面の一例を示す図である。
図10の例では、コアC1~C7が1本の光ファイバF中に設けられている。中心部のコアであるコアC1は、他のコアC2~C7と比較して、隣接するコア数が多いため、クロストークの特性が悪い可能性がある。また、コアC2は、例えば、隣接する各コアC3、C1、及びC7のいずれかが特定の波長で使用されている場合、クロストークの特性が悪化する可能性がある。つまり、光伝送路の品質は、経路上の各区間(ノード間リンク)において使用するコアに依存する可能性があると考えられる。
【0068】
一方、本開示によれば、始点ノードで使用するMCFの複数のコアのそれぞれでの光伝送路の品質に基づいて、当該複数のコアに含まれる特定のコアを使用する経路を設定する。そのため、MCFを用いるネットワークにおいて、伝送品質を向上させることができる
【0069】
<変形例>
制御装置10は、一つの筐体に含まれる装置でもよいが、本開示の制御装置10はこれに限定されない。制御装置10の各部は、例えば1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。また、制御装置10とノード20とを同一の筐体内に収容し、一体の制御装置として構成してもよい。
【0070】
また、制御装置10の各機能部の少なくとも一部の処理を、ノード20のノードコントローラ211(制御装置)等が実行するようにしてもよい。これらのような制御装置についても、本開示の「制御装置」の一例に含まれる。
【0071】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0072】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
始点ノードから終点ノードまでの光通信経路を設定する要求を受信する受信部と、
前記始点ノードで使用するマルチコア光ファイバ(Multi Core Optical Fiber:MCF)の複数のコアのそれぞれでの光伝送路の品質に基づいて、当該複数のコアに含まれる第1コアを使用する経路を設定する制御部と、
を有する制御装置。
(付記2)
前記制御部は、
前記始点ノードから中継ノードまでの第1区間における第1マルチコア光ファイバで前記第1コアを用い、
前記中継ノードから前記終点ノードまでの第2区間における第2マルチコア光ファイバの複数のコアのそれぞれでの光伝送路の品質に基づいて、当該複数のコアに含まれる第2コアを使用する経路を設定する、
付記1に記載の制御装置。
(付記3)
前記制御部は、
前記始点ノードから前記終点ノードまで同一の波長で光信号を伝送可能な経路を設定する、
付記2に記載の制御装置。
(付記4)
前記光伝送路の品質は、前記終点ノードで測定された光信号対雑音比である、
付記1に記載の制御装置。
(付記5)
前記制御部は、前記マルチコア光ファイバの複数のコアのそれぞれの使用状況に基づいて、前記光伝送路の品質を推定する、
付記1に記載の制御装置。
(付記6)
始点ノードから終点ノードまでの光通信経路を設定する要求を受信し、
前記始点ノードで使用するマルチコア光ファイバ(Multi Core Optical Fiber:MCF)の複数のコアのそれぞれでの光伝送路の品質に基づいて、当該複数のコアに含まれる第1コアを使用する経路を設定する、
制御方法。
(付記7)
始点ノードから終点ノードまでの光通信経路を設定する要求を受信し、
前記始点ノードで使用するマルチコア光ファイバ(Multi Core Optical Fiber:MCF)の複数のコアのそれぞれでの光伝送路の品質に基づいて、当該複数のコアに含まれる第1コアを使用する経路を設定する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
(付記8)
始点ノードと、
終点ノードと、
前記始点ノードから前記終点ノードまでの光通信経路を設定する要求を受信する受信部と、
前記始点ノードで使用するマルチコア光ファイバ(Multi Core Optical Fiber:MCF)の複数のコアのそれぞれでの光伝送路の品質に基づいて、当該複数のコアに含まれる第1コアを使用する経路を設定する制御部と、
を有する、光通信システム。
【符号の説明】
【0073】
1 光通信システム
10 制御装置
11 受信部
12 制御部
20A~L ノード
30A~F 光伝送路
100 コンピュータ
101 プロセッサ
102 メモリ
103 通信インターフェイス
104 プログラム
202A マルチコア光アンプ
202B マルチコア光アンプ
203 マルチコア光スイッチ
204A マルチコア光アンプ
204B マルチコア光アンプ
205 ファンアウト
206 光回線スイッチ
209 ファンイン
211 ノードコントローラ