(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162603
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】大気中への排出が禁じられたガスのガス回収装置及び当該ガスのガス回収方法
(51)【国際特許分類】
H02B 13/055 20060101AFI20241114BHJP
H01H 33/56 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H02B13/055 D
H01H33/56 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078287
(22)【出願日】2023-05-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】507401498
【氏名又は名称】中京フロン 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太等 達宣
(72)【発明者】
【氏名】石川 裕司
(72)【発明者】
【氏名】白神 大介
【テーマコード(参考)】
5G017
5G028
【Fターム(参考)】
5G017DD07
5G028GG05
(57)【要約】
【課題】 ガス内蔵函の種類、ガス内蔵函に収納されるガスの種類あるいは/及びガスの収納状態に対応できる構造を備え、使い勝手がよく、汎用性のあるガス回収装置を提供する。
【解決手段】 貫通部に第一規格Oリングを装着し、ガス内蔵函体の外面と第二端面の外周側との間に第三規格Oリングを装着し、第二空間部に連通した真空吸引手段による真空吸引で第二空間部の真空排気を可能とし、第二規格Oリング及び第三規格Oリングをガス内蔵函体の外面に押圧する治具外側でガス漏洩防止を行うジャケットが形成され、当該ジャケットが治具に装着される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気中への排出が規制されたガスを内蔵するガス内蔵函体(以下、ガス内蔵函体という)に装着され、ガス内蔵函体にガス引き抜き孔を形成して、当該ガスを真空吸引手段で吸引することで、ガス内蔵函体内の大気中への排出が規制されたガスを回収するガス回収装置において、
治具本体、治具本体内部に設けた第一空間部、ガス内蔵函体外面に対向する第一端面、治具本体治具本体外面に形成された治具側接続部を有し、治具本体に連結され、回転駆動力を付与するドリルチャック、及び第一空間部内に配設され、ドリルチャックによって回転方向に駆動されガス内蔵函体の壁にガス回収用のガス回収孔を開けるドリルを備えた治具と、ドリルチャックを軸方向に移動し、回転駆動する電動駆動源と、治具本体に真空吸引孔を有して、第一空間部に連通した真空吸引手段とを備え、
蓋体形状のジャケットを備え、治具本体が貫通する貫通部、第一空間部の外周側に設けられた第二空間部、ガス内蔵函体外面に対向する第二端面、及び治具側接続部に対向して形成されたジャケット側接続部を有し、
ガス内蔵函体の外面と第一端面の内周側との間に、第二規格Oリングが装着される治具が形成され、
貫通部に第一規格Oリングを装着し、ガス内蔵函体の外面と第二端面の外周側との間に第三規格Oリングを装着し、第二空間部に連通した真空吸引手段による真空吸引で第二空間部の真空排気を可能とし、第二規格Oリング及び第三規格Oリングをガス内蔵函体の外面に押圧する治具外側でガス漏洩防止を行うジャケットが形成され、
当該ジャケットが当該治具に装着され、第二空間部に連通した真空吸引手段による真空吸引によって、治具外側でガス漏洩防止がなされて、治具のガス漏洩防止がなされ、ドリルが吸引固定用治具本体の軸方向に移動され、回転駆動され、ガス内蔵函体にガス回収孔が開けられ、ガス回収孔から真空吸引手段による真空吸引によってガス内蔵函体内の当該ガスを回収すること
を特徴とする大気中への排出が規制されたガスを回収するガス回収装置。
【請求項2】
請求項1に記載された大気中への排出が規制されたガスを回収するガス回収装置において、
真空吸引手段が真空回収ポンプ及び回収ガス圧縮機から構成され、外側でのガス漏洩防止に真空回収ポンプが用いられ、大気中への排出が規制されたガスの回収に真空回収ポンプ及び回収ガス圧縮機が用いられること
を特徴とする大気中への排出が規制されたガスを回収するガス回収装置。
【請求項3】
請求項1に記載された大気中への排出が規制されたガスを回収するガス回収装置において、
ドリル着脱手段が設けられて、ドリルが装着自在に取り付けられること
を特徴とする大気中への排出が規制されたガスを回収するガス回収装置。
【請求項4】
ガス内蔵函体に装着され、ガス内蔵函体にガス引き抜き孔を形成して、当該ガスを真空吸引手段で吸引するもので、
治具本体、治具本体内部に設けた第一空間部、ガス内蔵函体外面に対向する第一端面、治具本体治具本体外面に形成された治具側接続部を有し、治具本体に連結され、回転駆動力を付与するドリルチャック、及び第一空間部内に配設され、ドリルチャックによって回転方向に駆動されガス内蔵函体の壁にガス回収用のガス回収孔を開けるドリルを備えた治具と、ドリルチャックを軸方向に移動し、回転駆動する電動駆動源と、治具本体に真空吸引孔を有して、第一空間部に連通した真空吸引手段とを備え、
蓋体形状のジャケットを備え、治具本体が貫通する貫通部、第一空間部の外周側に設けられた第二空間部、ガス内蔵函体外面に対向する第二端面、及び治具側接続部に対向して形成されたジャケット側接続部を有し、
ガス内蔵函体の外面と第一端面の内周側との間に、第二規格Oリングが装着される治具が形成され、
貫通部に第一規格Oリングを装着し、ガス内蔵函体の外面と第二端面の外周側との間に第三規格Oリングを装着し、第二空間部に連通した真空吸引手段による真空吸引で第二空間部の真空排気を可能とし、第二規格Oリング及び第三規格Oリングをガス内蔵函体の外面に押圧する治具外側でガス漏洩防止を行うジャケットが形成され、大気中への排出が規制されたガスを回収するガス回収装置によるガス回収方法において、
当該ジャケットを当該治具に装着して、第二空間部に連通した真空吸引手段による真空吸引によって、治具外側でガス漏洩防止をして、治具のガス漏洩防止を行い、ドリルが吸引固定用治具本体の軸方向に移動され、回転駆動され、ガス内蔵函体に孔が開けられ、ガス回収孔から真空吸引手段による真空吸引によってガス内蔵函体内の当該ガスを回収すること
を特徴とする大気中への排出が規制されたガスを回収するガス回収装置によるガス回収方法。
【請求項5】
ガス内蔵函体に装着され、ガス内蔵函体にガス引き抜き孔を形成して、当該ガスを真空吸引手段で吸引するもので、
治具本体、治具本体内部に設けた第一空間部、ガス内蔵函体外面に対向する第一端面、治具本体治具本体外面に形成された治具側接続部を有し、治具本体に連結され、回転駆動力を付与するドリルチャック、及び第一空間部内に配設され、ドリルチャックによって回転方向に駆動されガス内蔵函体の壁にガス回収用のガス回収孔を開けるドリルを備えた治具と、ドリルチャックを軸方向に移動し、回転駆動する電動駆動源と、治具本体に真空吸引孔を有して、第一空間部に連通した真空吸引手段とを備え、
蓋体形状のジャケットを備え、治具本体が貫通する貫通部、第一空間部の外周側に設けられた第二空間部、ガス内蔵函体外面に対向する第二端面、及び治具側接続部に対向して形成されたジャケット側接続部を有し、
ガス内蔵函体の外面と第一端面の内周側との間に、第二規格Oリングが装着される治具が形成され、
貫通部に第一規格Oリングを装着し、ガス内蔵函体の外面と第二端面の外周側との間に第三規格Oリングを装着し、第二空間部に連通した真空吸引手段による真空吸引で第二空間部の真空排気を可能とし、第二規格Oリング及び第三規格Oリングをガス内蔵函体の外面に押圧する治具外側でガス漏洩防止を行うジャケットが形成され、大気中への排出が規制されたガスを回収するガス回収装置によるガス回収方法において、
ガス内蔵函体の外面に対向する位置が外面方向に異なった第二端面の形態を有した同一の形状のジャケットを複数個準備し、
選択されたジャケットを当該治具に装着し、第二空間部に連通した真空吸引手段による真空吸引によって、治具外側でガス漏洩防止をして、治具のガス漏洩防止を行い、
ドリルを吸引固定用治具本体の軸方向に移動し、回転駆動し、ガス内蔵函体にガス回収孔を開け、ガス回収孔から真空吸引手段による真空吸引によってガス内蔵函体内の当該ガスを回収すること
を特徴とする大気中への排出が規制されたガスを回収するガス回収装置によるガス回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気中への排出が禁じられたガスのガス回収装置及び当該ガスのガス回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、SF6ガスが電気遮断器等の大型、中型の高電圧電気設備内の接点等の放電事故防止のために電気絶縁ガスとしてこれらの設備内に封入されている。
【0003】
また、フロンガスが低温冷凍機、各種のエアコンあるいは電気冷蔵庫に冷却のための媒体として使用されている。フロンガスには、フレオロカーボンあるいは炭化フッ素の化合物などが知られている。
【0004】
これらの電気設備は、SF6ガス封入及びガス抜き取りのための専用のガス封入開閉弁が付けられており、ガス封入開閉弁を通して設備内のSF6ガスの封入及び抜き取り回収が実施される。
【0005】
また小型の遮断器等にも大型、中型の高電圧電気設備と同様に、SF6ガス封入及びガス抜き取りのための専用のガス封入開閉弁が付けられている。
【0006】
2010年代より、風力発電用の設備需要の拡大によって、小型のガス封入遮断器が採用されており、これらの遮断器には、価格の安価な外国製のものが多く採用されてきた。
【0007】
これらの遮断器にあっては、遮断器の不都合時、設備を開封して点検修理するのではなく、デスポーザブル製品として廃棄される。
【0008】
デスポーザブル製品として設置された設備は、封入されたSF6ガスが漏れないように、ガス封入部を圧着し、圧着端部をシール溶接して気密な構造とされる。シール溶接をしているために、遮断器内蔵の函体にバルブ及びガス抜きのためのガス回収継手は設けられておらず、開閉継手が設けられた設備に用いられるガス回収方法が採用されない。
【0009】
これらのガス封入した函体からSF6ガスを回収するために、ドリルでガス封入した函体に孔を開けて回収する方法が採用される。
【0010】
特許文献1には、回収栓本体の板体の前面に貫通孔を穿ち、円盤及び押さえ金具を設け、押さえ金具で支持された環状の内周パッキンが、そして内周パッキンの外側で環状の外周パッキンを突出させて設けて、貫通孔の外側に形成された空間部内が真空吸引されることでガス漏洩防止を行う構造が記載され、貫通孔の外側配置のガス漏洩防止構造利用による簡便にガス回収を行うことが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1には、上述したように、ガス漏洩防止を行う構造が記載され、貫通孔の外側配置で、真空吸引によるガス漏洩防止構造利用による簡便にガス回収を行うことが記載される。
【0013】
特許文献1に記載されたガス回収装置によれば、真空吸引によるガス漏洩防止構造利用による簡便にガス回収を行う利点があるが、円盤及び押さえ金具を設け、押さえ金具で支持された環状の内周パッキンが、そして内周パッキンの外側で環状の外周パッキンを突出させて設けた構造を提供するものであり、円盤が回収栓本体に一体的になっていて、ガス回収装置の種類、ガス回収装置に収納されるガスの種類及びガスの収納状態に対応できる構造ではなく、ガス回収装置を、ガス回収装置の種類、ガス回収装置に収納されるガスの種類及びガスの収納状態に対応して複数準備することが求められて、高価になり汎用性が乏しい。
【0014】
また、特許文献1に記載されたガス回収装置によれば、円盤内に押さえ金具を設け、押さえ金具で内周パッキン及び外周パッキンを保持する構造で、複雑で高価であり、また内周パッキン及び外周パッキンは、当該ガス回収装置に使用するために特注で製造されることを要して、高価になり汎用性が乏しい。
【0015】
本発明は、係る点に鑑み、ガス内蔵函の種類、ガス内蔵函に収納されるガスの種類あるいは/及びガスの収納状態に対応できる構造を備え、複数のガス回収装置を準備することなく、使い勝手がよく、汎用性のあるガス回収装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、大気中への排出が規制されたガスを内蔵するガス内蔵函体(以下、ガス内蔵函体という)に装着され、ガス内蔵函体にガス引き抜き孔を形成して、当該ガスを真空吸引手段で吸引することで、ガス内蔵函体内の大気中への排出が規制されたガスを回収するガス回収装置に係る。
【0017】
ガス内蔵函体は、多くの場合、板厚1~5mmのステンレス鋼平板の長方体で溶接接合の構造とされ、軽量化、コスト低減のために製作されたものは、溶接ひずみ、経年変化により鋼板歪みで、その外形の表面が歪んでいることが多い。
【0018】
当該ガス回収装置は、次の構成を持つ。
【0019】
治具本体、治具本体内部に設けた第一空間部、ガス内蔵函体外面に対向する第一端面、治具本体治具本体外面に形成された治具側接続部を有し、治具本体に連結され、回転駆動力を付与するドリルチャック、及び第一空間部内に配設され、ドリルチャックによって回転方向に駆動されガス内蔵函体の壁にガス回収用の孔を開けるドリルを備えた治具と、ドリルチャックを軸方向に移動し、回転駆動する電動駆動源と、治具本体に真空吸引孔を有して、第一空間部に連通した真空吸引手段とを備える。
【0020】
蓋体形状のジャケットを備え、治具本体が貫通する貫通部、第一空間部の外周側に設けられた第二空間部、ガス内蔵函体外面に対向する第二端面、及び治具側接続部に対向して形成されたジャケット側接続部を有する。
【0021】
貫通部に第一規格Oリングを装着する。
【0022】
ガス内蔵函体の外面と第一端面の内周側との間に第二規格Oリングを装着する。もって、第二規格Oリングが装着される治具が形成される。
【0023】
ガス内蔵函体の外面と第一端面の内周側との間に第二規格Oリングを装着し、ガス内蔵函体の外面と第二端面の外周側との間に第三の規格Oリングを装着する。第二空間部に連通した真空吸引手段による真空吸引によって、第二規格Oリング及び第三規格Oリングを介してガス内蔵函体の外面に押圧して密着させる。
【0024】
もって、第一規格Oリング、第二規格Oリング及び第三規格Oリングが装着された、外側でガス漏洩防止を行う着脱自在のジャケットが形成される。
【0025】
当該ジャケットが当該治具に装着され、外側でガス漏洩防止を行うジャケットの装着状態形成で、内側でガス漏洩防止を行う治具が形成される。
【0026】
ドリルが吸引固定用治具本体の軸方向に移動され、回転駆動され、ガス内蔵函体にガス回収孔が開けられ、ガス回収孔から真空吸引手段による真空吸引によってガス内蔵函体内の当該ガスが回収される。
【発明の効果】
【0027】
上述したように、本発明によれば、治具の外側に、規格Oリングを用いた外側ガス漏洩防止構造を有するジャケットが形成され、ジャケットが治具に装着されて、治具の内側に内側ガス漏洩防止構造を有する治具が形成される。
【0028】
これによって、ガス内蔵函の種類、ガス内蔵函装置に収納されるガスの種類あるいは/及びガスの収納状態に対応できるジャケットを備え、複数のガス回収装置を準備することを要せず、使い勝手がよく、汎用性のあるガス回収装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施例であるガス内蔵函体に内蔵されたガスを回収するガス回収装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の実施例である大気中への排出が規制されたガスを内蔵するガス内蔵函体(以下、ガス内蔵函体という)に内蔵されたガスを回収するガス回収装置を示す図である。
【0031】
以下、ガス回収装置に、ガス内蔵函体内に大気中への排出が規制されたガスとして、SF6ガスが収納されている場合について説明する。
【0032】
従来、SF6ガスあるいはフッ素系のガスであるフルオロニトリルとCO2との混合ガスが電気遮断器等の大型、中型あるいは小型電気設備内の接点等の放電事故防止のために電気絶縁ガスとしてこれらの設備内に封入されている。
【0033】
また、フロンガスが低温冷凍機、各種のエアコンあるいは電気冷蔵庫に冷却のための媒体として使用されている。フロンガスには、フレオロカーボンあるいは炭化フッ素の化合物など知られている。
【0034】
図1において、ガス回収装置100が、長年使用されたガス内蔵函体101のガス封入設備に対向近接して配置される。ガス内蔵函体101としては、典型的には、風力発電設備に設置される小型のガス封入遮断器が該当する。当該ガス封入遮断器は、デスポーザブル化された製品とされ、内部にSF
6ガスを封入し、ガス封入部が圧着され、圧着端部がシール溶接され気密な函体に形成される。
【0035】
ガス回収装置100は、次の構成を持つ。
【0036】
治具本体3、治具本体内部に設けた第一空間部4、ガス内蔵函体外面102に対向する第一端面5、治具本体治具本体外面に形成された治具側接続部6を有し、治具本体3に連結され、回転駆動力を付与するドリルチャック7、及び第一空間部内に配設され、ドリルチャック7によって回転方向に駆動されガス内蔵函体101の壁103にガス回収用の孔を開けるドリル8を備えた治具1と、治具1に着脱自在に取り付けられるジャケット21、ドリルチャック7を軸方向に移動し、回転駆動する電動駆動源9(
図2参照)と、治具本体3に真空吸引孔11を有して、第一空間部4に連通した真空吸引手段12(
図2参照)と、を備える。電動駆動源9の典型的な例として、
図2に示すように電気ドリルが挙げられる。ドリル8は、ドリルシャフト10に保持される。第一空間部4と真空吸引孔11とは、真空吸引路13、この真空排気路に設けた着脱手段を介して結ばれる。ドリルシャフト10とドリル8との間にドリル継手17が設けられる。ドリル8には、例えば5mmφのドリルが採用される。
【0037】
ドリル継手17がドリル着脱手段として設けられて、ドリルが装着自在に取り付けられる。
【0038】
真空吸気孔11の内面にネジが設けられ、当該ネジは、真空吸引路13(
図2)を構成する配管の表面に設けられたネジに螺合される。
【0039】
ドリル継手17を設けることで、ドリル8の取付姿勢の影響が少なくなり、ドリル8を取り付ける自由度が向上する。
【0040】
下端部が外方に曲がった治具本体下端部を形成し、ガス内蔵函体外面102に対向する第一端面5が形成される。
【0041】
第一空間部内に、治具本体内面とドリルシャフト10との間に、フイルタ18がネジ機構20で上下動可能にして設けられる。フイルタ18を設けることで、ドリル8による切子を取り除くことができる。
【0042】
治具本体上方に、テーパーシールキャップ15を備え、テーパーシールキャップ15は、ネジ機構19によって治具本体3の上部に螺合され固定される。テーパーシールキャップ15の内面のテーパー部に規格Oリングが設けられる。
【0043】
テーパーシールキャップ下方で、治具本体上部に焼結ベアリングリング16が設けられる。
【0044】
上述したように、治具1に、取り付け自在にジャケット21が設けられる。ジャケット21は、治具1に嵌合し、固定される。治具1とジャケット21は、分離可能にセット化される。ジャケット21は、蓋体形状をなし、中央部を治具本体3が貫通する貫通部26を有し、貫通部26に、ジャケット21を治具1に嵌合するため、治具側接続部23とジャケット側接続部24とになる接続部が形成され、外周部に、ガス内蔵函体101に向けて曲がった治具本体下端部を有し、その先端部に、ガス内蔵函体101の外面102に対向する第二端面25を有する。
【0045】
治具側接続部23として、図に示されるように典型的に治具側ネジが形成され、ジャケット側接続部24として、図に示されるように典型的にジャケット側ネジが形成され、ネジ螺合による接続部が形成される。ネジ螺合による接続部に代えて、他の継手手段が採用されてもよい。
【0046】
ジャケット内部に、第一空間部4の外周側に設けられた第二空間部22が設けられる。第二空間部22は、ジャケット21と治具本体3の下部外面とから形成される。
【0047】
ジャケット21に真空排気孔27を有して、第二空間部22、真空排気孔27に連通した真空吸引手段12を備える。真空吸引手段12は、先に説明した真空吸引手段12を併用して使用できる。真空吸引手段12を併用して使用できるが別系統で真空吸引手段を設けてもよいが、安価にするために先に説明した真空吸引手段12を併用して使用することが推奨される。
【0048】
真空排気孔27の内面にネジが設けられ、当該ネジは、真空排気路44(
図2)を構成する配管の表面に設けられたネジに螺合される。
【0049】
第二端面25には、第一規格Oリング31及び第二規格Oリング32を装着するためのOリング挿入溝35、36が形成される。
【0050】
貫通部に第一規格Oリングを装着する。第一規格Oリングを装着する第一規格Oリングを装着溝が形成される。
【0051】
ガス内蔵函体の外面と第一端面との間に第二規格Oリングを装着し、ガス内蔵函体の外面とジャケットの第二端面との間に第三規格Oリングを装着する。もって、規格Oリングで密封可能な治具が形成される。
【0052】
第二空間部に連通した真空吸引手段による真空吸引によって、第二規格Oリング及び第三規格Oリングを介してガス内蔵函体の外面に押圧して密着させ、第一規格Oリング、第二規格Oリング及び第三規格Oリングが装着、密着された、治具外側でガス漏洩防止を行うジャケットが形成される。
【0053】
ジャケット21が治具1に装着されて、外方でガス漏洩防止を行うジャケット21の装着状態形成で、内方でガス漏洩防止された治具1が形成される。
【0054】
第二端面25には、第一規格Oリング31及び第二規格Oリング32を装着するためのOリング挿入溝35、36が形成される。
【0055】
第二空間部22に連通した真空吸引手段12による真空吸引によって、ガス内蔵函体101の外面102に押圧して密着させ、治具外側でガス漏洩防止を行うジャケット21が形成される。すなわち、治具外側に外側ガス漏洩防止構造が形成され、外側ガス漏洩防止構造によって、治具内に、ガス漏洩防止構造が形成され、内側ガス漏洩防止構造となる。このように、ジャケット21は、治具1に対して着脱自在の真空吸着継手となる。
【0056】
同一形態の第二規格Oリング32及び第三規格Oリング33を用いる場合、ジャケット21の治具1への装着時、第一端面5及び第二端面25のガス内蔵函体101の外面102に対向する位置は、図面で、垂直方向で同一とされる。同一とすることで、同一形状の規格Oリングが採用可能となる。異なる位置設定としてもよく、この場合、形成された隙間の大きさに対応した第二規格Oリング32及び第三規格Oリング33が採用される。
【0057】
第二規格Oリング32及び第三規格Oリング33には、第一規格Oリング31に比べて太径の規格Oリングが採用される。
【0058】
Oリング寸法に関して、線径(太さ)、内径及び外径は、規格化されており、規格Oリング寸法には、P規格サイズ、G規格サイズ、V規格サイズ及びその他の規格サイズがあることが知られている。Oリング材質に、アクリロニトリルブタジエンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴムを用いるものが知られる。
【0059】
本実施例にあっては、第一端面5及び第二端面25を形成しているので、特注設計で製作されたOリングを用いることなく、安価で、気密性に優れ信頼性のある市販の規格Oリングを選択使用して、接合面の隙間、ガス内蔵函の外面の変形に対応できるメリットがある。使用する規格Oリングは、市販されているものであり、交換に要する費用、時間は極めて少なくて済む。
【0060】
ジャケット21が治具1に装着される。ジャケット21が治具1に装着されて、ドリル8が吸引固定用治具本体の軸方向に移動される。ジャケット21の下面は、ガス内蔵函体101に向けて曲がった治具本体下端部の上面に接触し、ジャケット21は、治具1に固定される。
図1は、ドリル8の尖端がガス内蔵函体101の外面102に接触した状態を示す。
【0061】
ドリル8が回転駆動され、ガス内蔵函体101にガス回収孔(図示せず)が開けられ、ガス回収孔から真空吸引手段12による真空吸引によってガス内蔵函体内のSF6ガスが回収される。
【0062】
本実施例にあっては、ガス内蔵函の種類、ガス内蔵函に収納されるガスの種類あるいは/及びガスの収納状態に対応できる構造を提供し、複数のガス回収装置を準備することなく、着脱自在のガスケット21を準備すれば足り、使い勝手がよく、汎用性のあるガス回収装置を提供することができる。板厚1~5mmのステンレス鋼平板の長方体で溶接接合の構造とされ、軽量化、コスト低減のために製作されたもので、溶接ひずみ、経年変化により鋼板歪みで、その外形の表面が歪んでいることが多いガス内蔵函体に適切に採用される。
【0063】
ガス回収装置100とガス内蔵函体101との間に、接合面1cm2あたり1kgの吸引力を発生することができる。真空吸着面積が10cm2のジャケット21を採用した場合、10kgの吸引力を発生することができ、ジャケット21の交換によって吸引力を任意に変えることができる。吸引力100kg発生させた場合、ガス回収装置自体を吊り下げて搬送することができ、作業の便に供することができる。
【0064】
ガス内蔵函体101の外面102に対向する位置が外面方向に異なった第二端面25の形態を有した同一の形状のジャケット21が複数個準備され、選択されたジャケットが当該治具1に装着される方法が採用され得る。
【0065】
ガス内蔵函体の外面に対向する位置が外面方向に異なった第二端面の形態を有した同一の形状のジャケットを複数個準備し、
選択されたジャケットを当該治具に装着し、第二空間部に連通した真空吸引手段による真空吸引によって、治具外側でガス漏洩防止をして、第二空間部のガス漏洩防止を行い、
ドリルを吸引固定用治具本体の軸方向に移動し、回転駆動し、ガス内蔵函体にガス回収孔を開け、ガス回収孔から真空吸引手段による真空吸引によってガス内蔵函体内の当該ガスを回収する。
【0066】
大気中への排出が規制されたガスが、SF6ガスの場合、封入ガス量の99%回収を行う。
【0067】
【0068】
図2において、ガス真空吸引装置200は、真空吸引手段12、真空吸引手段12を構成する真空回収ポンプ41及び回収ガス圧縮機42、ガス回収容器43、及び治具側の真空吸引孔11、真空吸引路13、真空吸引弁19及びジャケット側の真空排気孔27、真空排気路44、真空排気弁45から形成される。
【0069】
真空吸引路13及び真空排気路44が真空回収ポンプ41及び回収ガス圧縮機に開閉弁51、52、53、54を介して接続され、真空吸引及び真空排気に、真空吸引手段12、真空吸引手段12を構成する真空回収ポンプ41及び回収ガス圧縮機が併用される。
【0070】
図2は、真空排気して、治具内、すなわち第二空間部22の内部を真空状態にして、第三規格Oリングを介してガス内蔵函体の外面に押圧し、第三規格Oリングをガス内蔵函体101の外面102に密着させて、治具外側でガス漏洩防止を行う例を示す。
【0071】
真空排気後、開閉弁45を閉止するだけで、真空回収ポンプ41を継続して作動させなくても、真空継手を構成するジャケット21は、長時間真空吸着力を保持する。
【0072】
真空吸引手段12の真空回収ポンプ41が作動されて、第二空間部22の空気が真空排気されて第二空間部内が真空状態とされて第三規格Oリングを介してガス内蔵函体の外面に押圧して治具外側でガス漏洩防止がなされる。
【0073】
外側でガス漏洩防止構造が形成されると、真空回収ポンプ41及び回収ガス圧縮機が作動されて、当初、第一空間部内の空気が真空吸引手段12のよって排出され、バルブ切り替えて、ガス内蔵函体101であるガス封入設備内のSF6封入ガス55が真空吸引され、ガス圧縮されて、ガス回収容器43に減容されて収納され、再使用に供される。
【0074】
SF6封入ガス55が正圧である場合、SF6封入ガス55は、真空吸引弁19、開閉弁53及び回収ガス圧縮機42を持つ系統でガス回収容器43に回収され、SF6封入ガス55を真空排気する場合、SF6封入ガス55は、真空吸引弁19、開閉弁51及び真空回収ポンプ41、回収ガス圧縮機42を持つ系統でガス回収容器43に回収される。
【0075】
例えば、第1ステップで、回収ガス圧縮機42で、ガス内蔵函体101の封入ガスが大気圧になるまでガス回収容器43に回収し、第2ステップで、真空回収ポンプ41と回収ガス圧縮機42を連動させて、ガス内蔵函体101の封入ガスが大気圧から真空状態になるまでガス回収容器43に回収し、ガス回収容器43に充填する。
【0076】
ガス内蔵函体の外面に対向する位置が外面方向に異なった第二端面の形態を有した同一の形状のジャケットが複数個準備され、選択されたジャケットが当該治具に装着され、
ドリルを吸引固定用治具本体の軸方向に移動し、回転駆動し、ガス内蔵函体にガス回収孔を開け、ガス回収孔から真空吸引手段による真空吸引によってガス内蔵函体内の当該ガスを回収する。
【符号の説明】
【0077】
100…ガス回収装置、101…ガス内蔵函体(ガス封入設備)、200…ガス真空吸引装置、1…治具、2…ジャケット、3…治具本体、4…第一空間部、5…第一端面、6…治具側接続部(治具側ネジ)、7…ドリルチャック、8…ドリル、9…電動駆動源(電動ドリル)、10…ドリルシャフト、11…真空吸引孔、12…真空吸引手段、13…真空吸引路、14…ガス回収路、15…テーパーシールキャップ、16…焼結ベアリングリング、17…ドリル継手、18…フイルタ、19…真空吸引弁、
21…ジャケット、22…第二空間部、23…治具側接続部(治具側ネジ)、24…ジャケット側接続部(ジャケット側ネジ)、25…第二端面、26…貫通部、27…真空排気孔、44…真空排気路、45…真空排気弁、
31…第一規格Oリング、32…第二規格Oリング、33…第三規格Oリング、35、36…規格Oリング挿入溝、
41…真空回収ポンプ、42…回収ガス圧縮機、43…ガス回収容器、51、52、53、54…開閉弁、55…SF6封入ガス。