(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162612
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】見守り装置、および見守りシステム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/55 20230101AFI20241114BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20241114BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20241114BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20241114BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20241114BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20241114BHJP
H04N 23/695 20230101ALI20241114BHJP
G03B 11/04 20210101ALI20241114BHJP
【FI】
H04N23/55
G08B25/04 K
G08B21/02
G08B25/00 510M
G03B15/00 S
G03B15/00 P
G03B17/56 A
H04N23/695
G03B11/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078303
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】一谷 修司
(72)【発明者】
【氏名】新田 和馬
【テーマコード(参考)】
2H083
2H105
5C086
5C087
5C122
【Fターム(参考)】
2H083CC01
2H083DD04
2H083DD12
2H083DD31
2H105AA13
5C086AA22
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA40
5C086FA18
5C087BB74
5C087DD03
5C087DD29
5C087DD30
5C087EE20
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG30
5C087GG80
5C122DA11
5C122DA16
5C122EA07
5C122EA66
5C122FB01
5C122FH11
5C122FH14
5C122GC52
5C122GD06
5C122GE23
5C122GG04
5C122HA75
5C122HA82
5C122HB01
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】被介護者等の映り込みを防止して、映り込みによる被介護者等の不安等を抑制できる、見守り装置を提供する。
【解決手段】看介護施設においてベッド上方に設置されて被看介護者の見守りに用いられる見守り装置であって、赤外光を用いて被看介護者の画像を撮像する撮像部と、人感センサーと、人感センサーの検知情報に基づき撮像部の撮像方向を変更する駆動部と、撮像部および駆動部を覆うカバー部材とを含み、カバー部材は、カバー部材への映り込み防止機能を備える、見守り装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
看介護施設においてベッド上方に設置されて被看介護者の見守りに用いられる見守り装置であって、
赤外光を用いて前記被看介護者の画像を撮像する撮像部と、
人感センサーと、
前記人感センサーの検知情報に基づき、前記撮像部の撮像方向を変更する駆動部と、
前記撮像部および前記駆動部を覆うカバー部材と、有し、
前記カバー部材は、前記カバー部材への映り込み防止機能を備える、
見守り装置。
【請求項2】
前記カバー部材は、凹凸形状を有することによる前記映り込み防止機能、または拡散反射による前記映り込み防止機能の少なくともいずれか一方を備える、請求項1に記載の見守り装置。
【請求項3】
前記撮像部により撮像される前記画像に基づき、前記被看介護者の行動を判定する行動判定部を有する、請求項1に記載の見守り装置。
【請求項4】
前記被看介護者の3次元画像を取得する3次元画像取得部を有し、
前記行動判定部は、前記撮像部により撮像される前記画像と、取得される前記3次元画像とに基づき、前記被看介護者の行動を判定する、請求項3に記載の見守り装置。
【請求項5】
前記被看介護者の3次元画像を取得する3次元画像取得部を有し、
前記撮像部により撮像される前記画像と、取得される前記3次元画像とを出力する出力部を有する、請求項1に記載の見守り装置。
【請求項6】
前記カバー部材は、10%以下の透過率で可視光を透過させる、請求項1に記載の見守り装置。
【請求項7】
前記駆動部は、設定された時間の情報に基づき、前記撮像部の前記撮像方向を変更する速度を遅くする、請求項1に記載の見守り装置。
【請求項8】
前記見守り装置の全体が、前記カバー部材と同一色である、請求項1に記載の見守り装置。
【請求項9】
前記行動判定部は、学習済みのニューラルネットワークを用いて、前記画像に基づいて、前記被看介護者の骨格を認識し、認識される前記骨格に基づき、前記被看介護者の行動を判定する、請求項3に記載の見守り装置。
【請求項10】
請求項5に記載の前記見守り装置と、
前記出力部により出力される前記画像と、前記3次元画像とを受信する受信部と、
前記受信部により受信される、前記画像と、前記3次元画像とに基づき、前記被看介護者の行動を判定する行動判定部と、
を有する、見守りシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見守り装置、および見守りシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
我が国は、戦後の高度経済成長に伴う生活水準の向上、衛生環境の改善、および医療水準の向上等により、長寿命化が顕著となっている。このため、出生率の低下と相まって、高齢化率が高い高齢化社会になっている。このような高齢化社会では、病気、怪我、および加齢などにより、介護等の対応を必要とする要介護者等の増加が想定される。
【0003】
要介護者等は、病院や老人福祉施設などの施設において、歩行中に転倒したり、ベッドから転落して怪我をするおそれがある。そのため、要介護者等の行動等に応じて介護者や看護師等のスタッフがすぐに駆けつけられるようにするためのシステムの開発が進められている。
【0004】
下記特許文献1には、次の先行技術が開示されている。多目的ポールに内蔵される撮像モジュールを所定の回転軸を中心として回転させる駆動をすることで360度の範囲を撮像可能とする。撮像モジュールを覆い包む、黒や茶等の濃い色のカバー体を設ける。人感センサにより訪問者等を検知すると、人感センサによる訪問者等の検知位置に対応する位置で撮像モジュールの回転を停止し、訪問者等の撮像を開始する。カバー体を設けることで、カメラの存在が外部から確認できなくなり、訪問者が不快になったり、侵入者がカメラを避けることを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記先行技術を看介護施設における被介護者等の見守り装置に適用すると次のような問題がある。看介護施設では、被介護者等の入居者の見守りをする観点から居室のベッドの上方の天井等に見守り用のカメラを設置する必要がある。このため、カメラを覆うカバーの反射によりベッドで寝ている入居者の顔がカバーに写り込む。これにより、入居者が監視されているという不安や不快を感じる。
【0007】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものである。すなわち、被介護者等の映り込みを防止して、映り込みによる被介護者等の不安等を抑制できる、見守り装置、および見守りシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0009】
(1)看介護施設においてベッド上方に設置されて被看介護者の見守りに用いられる見守り装置であって、赤外光を用いて前記被看介護者の画像を撮像する撮像部と、人感センサーと、前記人感センサーの検知情報に基づき、前記撮像部の撮像方向を変更する駆動部と、前記撮像部および前記駆動部を覆うカバー部材と、有し、前記カバー部材は、前記カバー部材への映り込み防止機能を備える、見守り装置。
【0010】
(2)前記カバー部材は、凹凸形状を有することによる前記映り込み防止機能、または拡散反射による前記映り込み防止機能の少なくともいずれか一方を備える、上記(1)に記載の見守り装置。
【0011】
(3)前記撮像部により撮像される前記画像に基づき、前記被看介護者の行動を判定する行動判定部を有する、上記(1)に記載の見守り装置。
【0012】
(4)前記被看介護者の3次元画像を取得する3次元画像取得部を有し、前記行動判定部は、前記撮像部により撮像される前記画像と、取得される前記3次元画像とに基づき、前記被看介護者の行動を判定する、上記(3)に記載の見守り装置。
【0013】
(5)前記被看介護者の3次元画像を取得する3次元画像取得部を有し、前記撮像部により撮像される前記画像と、取得される前記3次元画像とを出力する出力部を有する、上記(1)に記載の見守り装置。
【0014】
(6)前記カバー部材は、10%以下の透過率で可視光を透過させる、上記(1)に記載の見守り装置。
【0015】
(7)前記駆動部は、設定された時間の情報に基づき、前記撮像部の前記撮像方向を変更する速度を遅くする、上記(1)に記載の見守り装置。
【0016】
(8)前記見守り装置の全体が、前記カバー部材と同一色である、上記(1)に記載の見守り装置。
【0017】
(9)前記行動判定部は、学習済みのニューラルネットワークを用いて、前記画像に基づいて、前記被看介護者の骨格を認識し、認識される前記骨格に基づき、前記被看介護者の行動を判定する、上記(3)に記載の見守り装置。
【0018】
(10)請求項5に記載の前記見守り装置と、前記出力部により出力される前記画像と、前記3次元画像とを受信する受信部と、前記受信部により受信される、前記画像と、前記3次元画像とに基づき、前記被看介護者の行動を判定する行動判定部と、を有する、見守りシステム。
【発明の効果】
【0019】
看介護施設においてベッド上方に設置される見守り装置に、赤外光を用いて看介護者の画像を撮像する撮像部と、人感センサーとを設ける。そして、当該撮像部、および人感センサーの検知情報に基づき撮像部の撮像方向を変更する駆動部を覆うカバー部材に映り込み防止機能を備える。これにより、被介護者等の映り込みを防止して、映り込みによる被介護者等の不安等を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】情報処理装置の概略構成を示す説明図である。
【
図4】情報処理装置の概略構成の他の例を示す説明図である。
【
図7】撮像画像において検知された人矩形を示す図である。
【
図9】人矩形に基づいて検知された関節点を示す模式図である。
【
図10】見守りシステムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る見守り装置、および見守りシステムについて説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0022】
図1は、見守りシステム10の概略構成を示す図である。
【0023】
見守りシステム10は、情報処理装置100、通信ネットワーク200、および携帯端末300を含む。情報処理装置100は、見守り装置を構成する。情報処理装置100の一部、または見守りシステム10の一部または全部が見守り装置を構成してもよい。
【0024】
情報処理装置100は、通信ネットワーク200によりアクセスポイント210を介して携帯端末300と相互に通信可能に接続される。情報処理装置100は、1つの一体化された装置であり得る。情報処理装置100は、分離配置される複数の装置であってもよい。なお、通信ネットワーク200を介して情報処理装置100および携帯端末300と相互に通信可能なサーバー(図示せず)を設けてもよい。そして、情報処理装置100の機能の一部をサーバーが実施するようにしてもよい。また、通信ネットワーク200を介して情報処理装置100および携帯端末300と相互に通信可能な固定端末(図示せず)を設けてもよい。そして、携帯端末300の一部または全部の機能を固定端末が実施するようにしてもよい。
【0025】
情報処理装置100は、対象者500の各居室の天井または壁の高い位置等にそれぞれ配設され得る。対象者500は、例えば、介護または看護を必要とする者である。対象者500は、被看介護者を構成する。携帯端末300は、対象者500の介護または看護をする各スタッフに携帯される。携帯端末300には、スマートフォンやタブレット端末が含まれる。
【0026】
図2は、情報処理装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。情報処理装置100は、制御部110、通信部120、記憶部130、およびカメラユニット140を備え、これらはバスによって、相互に接続されている。
【0027】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、およびRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリにより構成され、プログラムに従って情報処理装置100の各部の制御および演算処理を行う。制御部110の機能の詳細については後述する。
【0028】
通信部120は、通信ネットワーク200を介して、携帯端末300等と通信するためのインターフェース回路(例えばLANカード等)である。
【0029】
記憶部130は各種プログラムおよび各種データを記憶する。記憶部130は、例えば、SDDまたはHDDにより構成される。
【0030】
カメラユニット140は、カメラ141、駆動機構142、および人感センサー143を含む。カメラ141は対象者500の画像を撮像する撮像部を構成する。駆動機構142は駆動部を構成する。人感センサー143は、3次元画像取得部を構成する。
【0031】
カメラユニット140は、情報処理装置100と一体化されて、ベッド70の上方に設置される。具体的には、例えば、カメラユニット140は、情報処理装置100とともに、対象者500の居室の天井、または壁(側面)の高い位置(ベッドよりも少なくとも高い位置)等に配置される。
【0032】
カメラ141は、2次元の撮像画像700(
図8を参照。以下、単に「撮像画像700」とも称する)を撮像する。撮像画像700には動画および静止画が含まれる。撮像画像700は、複数のフレーム(静止画)で構成される動画であってもよい。カメラ141は赤外線カメラであるが、これに換えて可視光カメラを用いてもよく、これらを併用してもよい。以下、説明を簡単にするために、撮像画像700は、赤外線カメラによる、複数のフレームから構成される動画である場合を例に説明する。赤外線カメラは、レンズ等の光学系と、撮像センサーとを含んで構成され得る。
【0033】
カメラ141により、ベッド70で寝ている対象者500を俯瞰する撮像画像700が撮像され得る。
【0034】
図3は、情報処理装置100の概略構成を示す説明図である。駆動機構142は、カメラ141の撮像方向を変更する。駆動機構142は、モーター、ギア、およびカメラ141との接合部材を含んで構成され得る。カメラ141は、例えば、
図3において矢印で示す方向に、所定の軸に対して回動することにより、撮像方向が変更され得る。
【0035】
図3に示すように、カメラユニット140は、カメラ141および駆動機構142を覆うカバー部材144を備える。カバー部材144は、
図3においてグレー色が付されている。
【0036】
仮に、駆動機構142が情報処理装置100の外部から視認できない位置にある場合等においては、カバー部材144は、カメラ141のみを覆ってもよい。
【0037】
カバー部材144は、凹凸形状144aをもつことにより、カバー部材144への映り込み防止機能を備え得る。映り込み防止機能により、カバー部材144の反射によりベッド70で寝ている対象者500の顔がカバー部材144に写り込むことを防止できる。凹凸形状144aには、単純なふくらみやへこみの他、線状のくぼみ、または線状のふくらみによる模様等が含まれる。
【0038】
カバー部材144は、拡散反射による映り込み防止機能を備えてもよい。例えば、カバー部材144の母材に適当な粒状物を埋め込むことにより拡散反射を実現してもよい。
【0039】
カバー部材144は、凹凸形状144aおよび拡散反射により映り込み防止機能を実現してもよい。
【0040】
映り込み防止機能とは、例えば、カバー部材144から3m離れた位置で、カバー部材144に顔が認識できない状態にする機能である。当該映り込み防止機能により、平均的な天井高さの居室の天井に情報処理装置100が設置される場合に、カバー部材144に顔が認識できない状態にすることができる。映り込み防止機能は、カバー部材144から2m離れた位置で、カバー部材144に顔が認識できない状態であることが好ましい。映り込み防止機能は、カバー部材144から1m離れた位置で、カバー部材144に顔が認識できない状態であることがより好ましい。
【0041】
カバー部材144は、10%以下の透過率で可視光を透過させるように構成され得る。このために、カバー部材144は、例えば、近赤外線透過ブラック分散液と、一般的なカーボンブラック分散液を用いて製造されてもよい。10%以下の可視光透過率のカバー部材144で覆われた、カメラ141および駆動機構142は、カバー部材144を通して肉眼では視認できない。一方、10%以下の可視光透過率のカバー部材144を透過した可視光を、カメラ141の撮像センサーは検知できる。従って、カバー部材144を10%以下の可視光透過率とする。これにより、カメラ141および駆動機構142を対象者500により視認できなくできる。これとともに、カバー部材144を透過した可視光でカラーの撮像画像700を撮像できる。カラーの撮像画像700とは、例えば、RGB値の3値のうち少なくともいずれか1つが0でない画像である。
【0042】
情報処理装置100の全体が、カバー部材144と同一色とすることが好ましい。これにより、情報処理装置100におけるカメラ141の実装箇所を対象者500が意識することを抑制できる。このため、カメラ141等をより目立たなくすることができる。
【0043】
人感センサー143は、対象者500の位置を検知するためのセンサーである。人感センサー143は、例えば、ステレオカメラ、またはTOF(Time Of Flight)センサーにより構成される。人感センサー143は、所定の検知範囲について、画素ごとの深度情報を検知することで距離画像800(
図7を参照。以下、単に「距離画像800」とも称する)を生成する。深度情報は、物体(例えば、人、床、壁、ベッド、および家具)までの、カメラユニット140からの距離の情報である。深度情報は、撮像画像700に垂直な方向(法線方向)における距離の情報であり得る。距離画像800は、画素ごとの深度情報である。従って、距離画像800は、3次元の画像とも言える。距離画像800は、人感センサー143の検知情報を構成する。
【0044】
人感センサー143による深度情報の検知方向および検知範囲は固定とされ得る。人感センサー143による深度情報の検知範囲は、カメラ141による撮像画像700の各フレームの撮像範囲より広くされ得る。なお、カメラ141の撮像方向が変更させることにより、カメラ141による撮像範囲は拡大される。人感センサー143の固定の検知範囲に、カメラ141による、撮像方向の変更前後の複数の撮像範囲が包含され得る。なお、距離画像800においては、模様や色等を含むテクスチャー情報は含まれていない。
【0045】
人感センサー143は、人の位置を検知する他の装置により置換され得る。他の装置には、例えばビーコンが含まれる。
【0046】
図4は、情報処理装置100の概略構成のさらに他の例を示す説明図である。
図4においては、人感センサー143等は図示を省略している。
図4の情報処理装置100では、カメラ141の撮像方向が変更される際に動く部分の割合が比較的大きくなっている。この場合、カメラ141のレンズをカバー部材144で覆っても、カメラ141の撮像方向の変更に伴う動きが対象者500により認識される可能性が高い。この場合、情報処理装置100の、天井等への設置部分を除く全体を覆うカバー部材144とし得る。これにより、カメラ141の撮像方向の変更に伴う動きの、対象者500による認識可能性を低減できる。
【0047】
制御部110の機能について説明する。
【0048】
図5は、制御部110の機能を示すブロック図である。制御部110は、位置検知部111、駆動制御部112、認識部113、推定部114、および行動認識部115として機能する。行動認識部116は行動判定部を構成する。
【0049】
位置検知部111は、人感センサー143から距離画像800を取得し、距離画像800から対象者500の位置を検知する。
【0050】
図6は、距離画像800を示す図である。
図6の距離画像800においては、深度情報(カメラユニット140から物体までの距離)が、色のトーンにより示されている。なお、
図6に示す距離画像800は、色の違いにより深度情報が示された距離画像800をグレー色に変換した画像である。このため、
図6に示す距離画像800は、トーンの濃度が深度情報を正確に反映しているとは限らない。
図6の例では、距離画像800において対象者500(人)が検知されている。
【0051】
位置検知部111は、時間差分法(フレーム差分法)または背景差分法といった公知の技術により対象者500の位置を検知し得る。位置検知部111は、距離画像800から人を検知するための学習がされた、ニューラルネットワークの学習済みモデルを用いて、対象者500の位置を検知してもよい。
【0052】
駆動制御部112は、位置検知部111により検知された対象者500がカメラ141の撮像範囲に入るように駆動機構142によりカメラ141を回動させる。これにより、位置検知部111により検知された対象者500が撮像画像700に含まれるようにカメラ141の撮像方向が変更される。距離画像800において複数の人が検知される場合、少なくとも1人が撮像画像700に含まれるようにカメラ141の撮像方向が変更され得る。距離画像800と撮像画像700は互いの各画素が対応付けされるキャリブレーションがなされる。
【0053】
認識部113は、撮像画像700から対象者500を認識(検知)する。
【0054】
図7は、撮像画像700において検知された人矩形710を示す図である。認識部113は、撮像画像700に含まれる対象者500を、対象者500を含む領域である人矩形710として検知し得る。具体的には、認識部113は、撮像画像700上で物体(オブジェクト)が存在する領域を検知する。そして、認識部113は、検知した領域に含まれる物体のカテゴリーを推定することで、対象者500を検知する。物体が存在する領域は、撮像画像上で物体が含まれる候補矩形として検知される。検知された候補矩形のうち、物体のカテゴリーが人であると推定された候補矩形を、人矩形710として検知することで、対象者500を検知する。認識部113は、撮像画像700から人矩形710を検知するための辞書(パラメーター)が反映されたニューラルネットワークの学習済みモデルを用い得る。そして、認識部113は、当該学習済みモデルにより、撮像画像700から人矩形710を検知し得る。学習済みモデルとして、例えば、公知のモデルであるRegion Proposal Network(RPN)を用い得る。認識部113は、人矩形710を、撮像画像700と、当該人矩形710の対向する2つの頂点e1、e2の座標との組合せとして出力し得る。
【0055】
なお、認識部113は、時間差分法(フレーム差分法)または背景差分法といった公知の技術により、撮像画像700からシルエットとして対象者500を検知してもよい。
【0056】
推定部114は、認識部113により認識される対象者500の関節点720を推定する。具体的には、推定部114は、人矩形710から関節点720を認識する。関節点720は、骨格を構成する。
【0057】
【0058】
図8の例においては、関節点720には、頭部の関節点720a、肩部の関節点720b、腰部の関節点720c、および体幹を構成する関節点720dが含まれる。
【0059】
図9は、人矩形710に基づいて検知された関節点720を示す模式図である。
【0060】
図9の例においては、椅子上で座位の姿勢の対象者500の関節点720が示されている。推定部114は、人矩形710から関節点720を検知するための学習がされた、ニューラルネットワークの学習済みモデルを用いて、関節点720を推定してもよい。学習済みモデルとしては、Deep Pose等の公知のモデルを用い得る。DeepPoseについては、公知の文献(Alexander Toshev, et al. “DeepPose: Human Pose Estimation via Deep Neural Networks”, in CVPR, 2014)に詳細が記載されている。
【0061】
行動認識部115は、推定部114により推定される関節点720に基づいて、対象者500の行動を認識(判定)する。行動認識部115は、例えば、関節点720から対象者500の立位の姿勢が検知された状態から短時間に臥位の姿勢が検知された場合、「転倒」の行動を認識し得る。対象者500の行動は、ニューラルネットワークの学習済みモデルを用いて認識されてもよい。当該学習済みモデルは、時系列で隣接する複数の撮像画像からそれぞれ推定される、複数の関節点720に基づいて行動が推定されるように学習されたモデルである。対象者500の行動は、関節点720と物体(例えば、ベッド70)との相対的位置関係を用いて認識されてもよい。例えば、撮像画像700にベッド70の外で、かつベッド70から比較的近い範囲の関節点720から臥位の姿勢が検知された場合、「転落」の行動が認識され得る。ベッド70の位置および範囲は、関節点720の座標の座標系において予め設定され得る。
【0062】
制御部110は、行動認識部115により認識される、対象者500の行動から、対象者500に関するイベントを検知し得る。イベントとは、対象者500に関する状態や状況の変化であって、例えば、起床、離床、転倒、および転落等の介助者等に発報(報知)を行うべき事象である。制御部110は、イベントを検知した場合は、イベントの内容を通知するイベント通知を携帯端末300や、管理者の固定端末(図示せず)等の外部装置へ送信してもよい。
【0063】
見守りシステム10の動作について説明する。
【0064】
図10は、見守りシステム10の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、情報処理装置100の制御部110によりプログラムに従い実行され得る。
【0065】
制御部110は、人感センサー143により距離画像800を取得する(S101)。
【0066】
制御部110は、距離画像800から対象者500を検知する(S102)。
【0067】
制御部110は、検知した対象者500がカメラ141の撮像範囲に入るようにカメラ141の撮像方向を変更する(S103)。
【0068】
制御部110は、カメラ141による撮像画像700から対象者500を検知する(S104)。
【0069】
制御部110は、撮像画像700から検知された対象者500の関節点720を推定(認識)する(S105)。
【0070】
制御部110は、推定された関節点720等に基づいて、対象者500の行動を判定する(S106)。
【0071】
ステップS101~ステップS106は繰り返し実行される。すなわち、距離画像800から検知しされる対象者500が、カメラ141の撮像方向が変更されることで継続的に追従される。そして、撮像画像700に含まれる対象者500の画像から推定される関節点720に基づいて対象者500の行動が継続的に判定される。
【0072】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なる点は次の点である。第1実施形態においては、2次元の撮像画像700に基づいて2次元の関節点720を推定する。一方、本実施形態においては、2次元の撮像画像700と距離画像800に基づいて、3次元の関節点720Tを推定する。これ以外の点においては、本実施形態は第1実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0073】
【0074】
推定部114は、人矩形710および距離画像800に基づいて3次元の関節点720Tを推定する。3次元の関節点720Tとは、3次元の座標により表現される関節点720である。
【0075】
推定部114は、具体的には、例えば、次のように3次元の関節点720Tを推定する。第1実施形態と同様に、人矩形710から2次元の関節点720を推定する。2次元の関節点720の画素に対応する深度情報を、2次元の関節点720ごとに距離画像800から抽出する。抽出した深度情報を、対応する2次元の関節点720にそれぞれ関連付ける。2次元の関節点720を、当該関節点720にそれぞれ関連付けられた深度情報を用いて、所定の3次元座標系における3次元の関節点720Tに変換する。所定の3次元座標系とは、対象者500の居室において、ベッド70の位置および範囲等が予め設定された3次元座標系であり得る。
【0076】
行動認識部116は、3次元の関節点720Tに基づいて、対象者500の行動を認識する。3次元の関節点720Tに基づいて行動を認識することで、行動の検知精度を向上できる。
【0077】
なお、距離画像800を生成する人感センサー143は、赤外線カメラと赤外線プロジェクタとにより構成されてもよい。この場合、赤外線カメラはカメラ141と兼用されてもよい。赤外線プロジェクタは、赤外線による所定のドットパターンを所定範囲内へ照射する。赤外線カメラは、対象者500を含む対象物体に照射されたドットパターンを撮像した赤外線画像を撮像する。撮像されたドットパターンの幾何学的な形状が対象物体までの距離によって変化することを利用して、対象物体までの距離(深度情報)を算出する。これにより、距離画像800が生成される。
【0078】
また、推定部114および行動認識部116の機能は、情報処理装置100および携帯端末300と通信可能に接続されたサーバー(図示せず)により実行されてもよい。この場合、情報処理装置100からサーバーへ撮像画像700と距離画像800が送信(出力)される。サーバーは撮像画像700および距離画像800を受信部により受信する。通信部120は出力部を構成する。
【0079】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態においては、時間に応じて、カメラ141の撮像方向を変更する速度を遅くする。
【0080】
カメラ141の撮像方向を変更する駆動機構142には、モーター、およびギア等の動力伝達機構が含まれ得る。そして、カメラ141の撮像方向を変更する速度が速いほど、モーターや動力伝達機構が発生する音が大きくかつ高くなる。そこで、本実施形態では、設定された時間の情報に基づき、カメラ141の撮像方向を変更する速度を遅くする。設定された時間の情報は予め記憶部130に記憶され得る。制御部110は、設定された時間において、駆動機構142を制御することにより、カメラ141の撮像方向を変更する速度を遅くする。設定された時間は、例えば、対象者500の睡眠時間等に応じて適当に設定され得る。設定された時間は、例えば、夜間とされ得る。これにより、環境音が比較的小さくなることで駆動機構142の発生音に敏感になり得る時間において、当該発生音を小さくできる。従って、駆動機構142の発生音が対象者500の睡眠に与える影響等を抑制できる。
【0081】
実施形態は、以下の効果を奏する。
【0082】
看介護施設においてベッド上方に設置される見守り装置に、赤外光を用いて看介護者の画像を撮像する撮像部と、人感センサーとを設ける。そして、当該撮像部、および人感センサーの検知情報に基づき撮像部の撮像方向を変更する駆動部を覆うカバー部材に映り込み防止機能を備える。これにより、被介護者等の映り込みを防止して、映り込みによる被介護者等の不安等を抑制できる。
【0083】
また、カバー部材は、凹凸形状を有することによる前記映り込み防止機能、または拡散反射による前記映り込み防止機能の少なくともいずれか一方を備える。これにより、簡単かつ効果的に、カバー部材に映り込み防止機能をもたせることができる。
【0084】
また、撮像部により撮像される画像に基づき、被看介護者の行動を判定する。これにより、映り込みによる被介護者等の不安等を抑制しつつ被看護者等の行動を判定できる。
【0085】
また、被看介護者の3次元画像を取得し、撮像部により撮像される画像と3次元画像とに基づき、被看介護者の行動を判定する。これにより、被看介護者の行動の判定精度を向上できる。
【0086】
また、被看介護者の3次元画像を取得し、撮像部により撮像される画像と、取得される3次元画像とを出力する。これにより、画像および3次元画像を用いた被看介護者の行動を、外部の装置に実行させることができる。そして、より柔軟に、被看介護者の行動の判定精度を向上できる。
【0087】
また、カバー部材を、10%以下の透過率で可視光を透過させる構成とする。これにより、カメラ等を被介護者により視認できなくすることができるとともに、カラーの撮像画像を撮像できる。
【0088】
また、設定された時間の情報に基づき、撮像部の撮像方向を変更する速度を遅くする。これにより、駆動部の発生音が被介護者の睡眠に与える影響等を抑制できる。
【0089】
また、見守り装置の全体を、カバー部材と同一色とする。これにより、見守り装置における撮像部が実装されている箇所を被介護者が意識することを抑制できる。
【0090】
また、学習済みのニューラルネットワークを用いて、画像に基づいて、被看介護者の骨格を認識し、認識される骨格に基づき、被看介護者の行動を判定する。これにより、より簡単な構成で、被看介護者の行動を高精度で判定できる。
【0091】
以上に説明した、見守り装置、および見守りシステムの構成は、上述の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのである。従って、見守り装置、および見守りシステムは、上述の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。また、一般的な見守り装置、および見守りシステムの構成を排除するものではない。
【0092】
例えば、上述したフローチャートは、一部のステップを省略してもよく、他のステップが追加されてもよい。また各ステップの一部は同時に実行されてもよく、一つのステップが複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【0093】
また、上述したシステムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路よっても実現することが可能である。上述したシステムにおける各種処理を行う手段および方法は、プログラムされたコンピューターによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、一機能としてその情報処理装置等の装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0094】
10 見守りシステム、
70 ベッド、
100 情報処理装置、
110 制御部、
111 位置検知部、
112 駆動制御部、
113 認識部、
114 推定部、
115 行動認識部、
120 通信部、
130 記憶部、
140 カメラユニット、
141 カメラ、
142 駆動機構、
143 人感センサー、
200 通信ネットワーク、
210 アクセスポイント、
300 携帯端末、
500 対象者、
700 撮像画像、
710 人矩形、
720 関節点。