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2024-162627ミラブル型シリコーンゴムコンパウンド及びミラブル型シリコーンゴム組成物
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  • -ミラブル型シリコーンゴムコンパウンド及びミラブル型シリコーンゴム組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162627
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ミラブル型シリコーンゴムコンパウンド及びミラブル型シリコーンゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20241114BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20241114BHJP
   C08K 5/541 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C08L83/07
C08K3/36
C08K5/541
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078333
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平林 佐太央
(72)【発明者】
【氏名】土田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】木村 恒雄
(72)【発明者】
【氏名】荒木 正
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CP042
4J002CP141
4J002DD008
4J002DJ016
4J002EK038
4J002EK048
4J002EK088
4J002EX067
4J002FD016
4J002FD142
4J002FD148
4J002GT00
(57)【要約】
【課題】低硬度の硬化物を与えるミラブル型シリコーンゴムコンパウンドにおいても高い可塑度を有し、可塑戻りの少ないミラブル型シリコーンゴムコンパウンド及びシリコーンゴム組成物を提供すること。
【解決手段】(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有する平均重合度が3000~100000のオルガノポリシロキサン生ゴム
(B)所定の比表面積を有する補強性シリカ
(C)式(1)で表される3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマー
(R1は1価炭化水素基、R2はグリシジルオキシ基で置換されていてもよい1価炭化水素基、R3は1価の脂肪族炭化水素基、a、b、c及びdはa≧0.5、b≧0、c≧0、d≧0、a+b+c+d=1を満たす数、x及びyはx≧1.0、y≦0.5を満たす数である。)
を含むミラブル型シリコーンゴムコンパウンド、及びこのシリコーンゴムコンパウンドに(D)硬化剤を配合したミラブル型シリコーンゴム組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有する平均重合度が3,000~100,000のオルガノポリシロキサン生ゴム:100質量部、
(B)BET吸着法による比表面積が50~450m2/gの補強性シリカ:5~50質量部、
(C)下記式(1)で表される3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマー:0.1~15質量部
【化1】
(式中、R1は、炭素数1~10の1価炭化水素基であり、R2は、それぞれ独立して、グリシジルオキシ基で置換されていてもよい炭素数1~10の1価炭化水素基であり、R3は、炭素数1~10の1価の脂肪族炭化水素基であり、a、b、c及びdは、a≧0.5、b≧0、c≧0、d≧0、かつa+b+c+d=1を満たす数であり、x及びyは、x≧1.0、y≦0.5を満たす数である。)
を含むミラブル型シリコーンゴムコンパウンド。
【請求項2】
上記(C)成分の重量平均分子量が、500~10,000である請求項1記載のミラブル型シリコーンゴムコンパウンド。
【請求項3】
上記式(1)において、b、c、dが、b=0、0≦c≦0.5、0≦d≦0.2を満たす数である請求項1記載のミラブル型シリコーンゴムコンパウンド。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項記載のミラブル型シリコーンゴムコンパウンド100質量部、
(D)硬化剤:硬化有効量
含むミラブル型シリコーンゴム組成物。
【請求項5】
前記(D)成分が、(D1)付加反応型硬化剤であって、前記(D1)成分は、
(a)1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:上記(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基に対する(a)オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のヒドロシリル基のモル比(ヒドロシリル基/アルケニル基)が、0.5~10となる量、及び
(b)ヒドロシリル化触媒:(A)成分の質量に対して白金族金属の質量に換算して1ppm~1質量%
を含むものである請求項4記載のミラブル型シリコーンゴム組成物。
【請求項6】
前記(D)成分が、(D2)有機過酸化物硬化剤であって、前記ミラブル型シリコーンコンパウンド100質量部に対して前記(D2)成分を0.1~8質量部含有する請求項4記載のミラブル型シリコーンゴム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラブル型シリコーンゴムコンパウンド及びミラブル型シリコーンゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ミラブル型のシリコーンゴムコンパウンドやシリコーンゴム組成物を製造する際、オルガノポリシロキサン生ゴムと、補強性充填剤を混練する必要がある。その際、分散剤(ウェッター)とよばれる補強性充填剤の表面処理剤を使用する。通常、表面処理剤としては、シラノール基を有するオルガノシラン又はシロキサンが使用される。
しかし、表面処理剤を大量に用いると、シリコーンゴム組成物の可塑度が低下し、成型方法によっては、自重で成形品が変形し、不良品となってしまう問題が生じていた。加えて、シリコーンゴム組成物の表面に粘着感が生じて、加工性が劣化するという欠点もあった。逆に、表面処理剤の添加量が十分でない場合は、可塑度が上がるが、クレープ硬化(可塑戻り)が大きくなってしまうという問題があった。
【0003】
上記のような問題点を解決するため、レジンや多環芳香族化合物を添加することで可塑度を上昇させる方法が取られてきたが、可塑戻りについては解決できていない。また、シリコーンゴムコンパウンドを200℃以上の高温で長時間加熱することで、可塑戻りを抑制する方法もあるが、エネルギーコストなどの観点から経済的とはいえない。特許文献1には、シリコーンゴムコンパウンドに特定の有機金属化合物の縮合反応用触媒を添加して熱処理を行うことで、シラノールを縮合させて可塑度を上昇させるという報告がなされている。確かにこの方法は、シリコーンゴムコンパウンドの可塑度の上昇には効果があるが、経時安定性という点では不十分であり、また、組成物とした際に硬化物の圧縮永久歪が大きく悪化する場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-109014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、低硬度の硬化物を与えるミラブル型シリコーンゴムコンパウンドにおいても、高い可塑度を有し、可塑戻りの少ないミラブル型シリコーンゴムコンパウンド及びミラブル型シリコーンゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、オルガノポリシロキサン生ゴム(ベースポリマー)と補強性シリカとを含有するミラブル型シリコーンゴムコンパウンドに、特定の3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマーを配合することで、シリコーンゴムコンパウンドの可塑度が上昇し、かつ可塑戻りが少なくなることを見出し、本発明をなすに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記のミラブル型シリコーンゴムコンパウンド及びシリコーンゴム組成物を提供する。なお、本発明において、下記(A)~(C)成分を含有し、硬化剤を配合する前の混合物をシリコーンゴムコンパウンドと称し、このコンパウンドに硬化剤を配合したものをシリコーンゴム組成物と称する。
1. (A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有する平均重合度が3,000~100,000のオルガノポリシロキサン生ゴム:100質量部、
(B)BET吸着法による比表面積が50~450m2/gの補強性シリカ:5~50質量部、
(C)下記式(1)で表される3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマー:0.1~15質量部
【化1】
(式中、R1は、炭素数1~10の1価炭化水素基であり、R2は、それぞれ独立して、グリシジルオキシ基で置換されていてもよい炭素数1~10の1価炭化水素基であり、R3は、炭素数1~10の1価の脂肪族炭化水素基であり、a、b、c及びdは、a≧0.5、b≧0、c≧0、d≧0、かつa+b+c+d=1を満たす数であり、x及びyは、x≧1.0、y≦0.5を満たす数である。)
を含むミラブル型シリコーンゴムコンパウンド。
2. 上記(C)成分の重量平均分子量が、500~10,000である1記載のミラブル型シリコーンゴムコンパウンド。
3. 上記式(1)において、b、c、dが、b=0、0≦c≦0.5、0≦d≦0.2を満たす数である1記載のミラブル型シリコーンゴムコンパウンド。
4. 1~3のいずれかに記載のミラブル型シリコーンゴムコンパウンド100質量部、
(D)硬化剤:硬化有効量
含むミラブル型シリコーンゴム組成物。
5. 前記(D)成分が、(D1)付加反応型硬化剤であって、前記(D1)成分は、
(a)1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:上記(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基に対する(a)オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のヒドロシリル基のモル比(ヒドロシリル基/アルケニル基)が、0.5~10となる量、及び
(b)ヒドロシリル化触媒:(A)成分の質量に対して白金族金属の質量に換算して1ppm~1質量%
を含むものである4記載のミラブル型シリコーンゴム組成物。
6. 前記(D)成分が、(D2)有機過酸化物硬化剤であって、前記ミラブル型シリコーンコンパウンド100質量部に対して前記(D2)成分を0.1~8質量部含有する4記載のミラブル型シリコーンゴム組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低硬度の硬化物を与えるミラブル型シリコーンゴムコンパウンドにおいても、高い可塑度を有し、可塑戻りの少ないミラブル型シリコーンゴムコンパウンド及びミラブル型シリコーンゴム組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】合成例1で合成した本発明で用いる(C)3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマーの1H-NMRのスペクトルチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
(1)シリコーンゴムコンパウンド
本発明のミラブル型シリコーンゴムコンパウンドは、下記(A)~(C)成分を含有する。
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有する平均重合度が3,000~100,000のオルガノポリシロキサン生ゴム
(B)BET吸着法による比表面積が50~450m2/gの補強性シリカ
(C)下記式(1)で表される3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマー
【化2】
【0011】
-(A)成分-
本発明において、(A)成分は、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン生ゴムである。ここで、生ゴムとは25℃で自己流動性のない状態を指す。
【0012】
上記アルケニル基としては、炭素数2~8のものが好ましく、炭素数2~6のものがより好ましい。その具体例としては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル基等が挙げられる。中でも、ビニル基が好ましい。
【0013】
また、(A)成分は、上記アルケニル基を1分子中に2個以上有することが特徴であり、好ましくは2~50個、より好ましくは2~20個のアルケニル基を有する。この場合、オルガノポリシロキサンの全シロキサン単位中0.01~20モル%、特に0.02~10モル%がアルケニル基を有するシロキサン単位であることが好ましい。なお、このアルケニル基は、分子鎖末端でケイ素原子に結合していても、分子鎖の途中(分子鎖非末端)のケイ素原子に結合していても、その両方であってもよいが、少なくとも分子鎖末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。
また、オルガノポリシロキサンの全シロキサン単位中80モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、更に好ましくはアルケニル基を有するシロキサン単位を除く全てのシロキサン単位が、ジアルキルシロキシ基であることが好ましく、ジメチルシロキシ基であることがより好ましい。
【0014】
ケイ素原子に結合するアルケニル基以外の置換基としては、特に限定されるものではないが、炭素数1~12、好ましくは炭素数1~8の1価炭化水素基が挙げられる。1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル、トリル基等のアリール基;ベンジル、2-フェニルエチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
なお、これらの1価炭化水素基の水素原子の一部が、ハロゲン原子で置換されたフルオロアルキル基などのハロゲン置換1価炭化水素基を用いてもよい。
これらの中でも、メチル基、フェニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0015】
上記(A)成分であるオルガノポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、又は一部分岐構造を有する直鎖状であることが好ましい。具体的には、該オルガノポリシロキサンの主鎖を構成するジオルガノシロキサン単位の繰り返し構造が、ジメチルシロキサン単位のみの繰り返しからなるもの、又はこの一部として、ジフェニルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位、メチルビニルシロキサン単位等のジオルガノシロキサン単位を導入したもの等が好適である。
【0016】
また、分子鎖両末端は、例えば、トリメチルシロキシ基、ジメチルフェニルシロキシ基、ビニルジメチルシロキシ基、ジビニルメチルシロキシ基、トリビニルシロキシ基、メチルフェニルビニルシロキシ基等から選ばれる基で封鎖されていることが好ましく、ビニルジメチルシロキシ基で封鎖されていることが特に好ましい。
上記(A)成分のオルガノポリシロキサンの具体例としては、例えば、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端メチルフェニルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体等を挙げることができる。これらの中でも、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体が好ましい。
【0017】
このようなオルガノポリシロキサンは、例えば、オルガノハロゲノシランの1種又は2種以上を(共)加水分解縮合することにより、あるいは環状ポリシロキサン(シロキサンの3量体、4量体等)をアルカリ性又は酸性の触媒を用いて開環重合することによって得ることができる。
【0018】
上記オルガノポリシロキサンの平均重合度は、3,000~100,000であり、好ましくは3,500~50,000、より好ましくは4,000~30,000、更に好ましくは4,500~20,000、特に好ましくは4,500~10,000である。平均重合度が小さすぎると(B)成分のシリカの分散が凝集物となったり、その凝集物が原因で分散が困難となったりする場合がある。
なお、この平均重合度は、下記に示す条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析により分子量既知のポリスチレンを標準物質として換算して求めた重量平均分子量から算出した重量平均重合度として求めたものである。
[測定条件]
装置:東ソー(株)製HLC-8320GPC
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-H
TSKgel SuperHM-N(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2500(6.0mmI.D.×15cm×1)
(いずれも東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50μL(濃度2.0質量%のTHF溶液)
【0019】
(A)成分は、1種を単独で用いても、分子量(重合度)や分子構造の異なる2種又は3種以上の混合物であってもよい。
【0020】
-(B)成分-
(B)成分は、補強性シリカである。(B)成分の補強性シリカは、機械的強度の優れたシリコーンゴム組成物を得るために添加される充填剤である。この目的のためには補強性シリカのBET吸着法による比表面積が、50~450m2/gであることが必要であり、好ましくは100~450m2/g、より好ましくは100~300m2/gである。比表面積が50m2/g未満であると、硬化物の機械的強度が低くなってしまう。
【0021】
このような補強性シリカとしては、例えば、煙霧質シリカ(ヒュームドシリカ)、沈降シリカ(湿式シリカ)等が挙げられ、またこれらの表面をクロロシランやヘキサメチルジシラザン等で疎水化処理したものも好適に用いられる。これらのなかでも動的疲労特性に優れる煙霧質シリカが好ましい。なお、疎水化処理については、補強性シリカを配合する際に前記疎水化処理剤で処理しながら配合してもよいし、市販の疎水化処理済みの補強性シリカ微粉末を用いてもよい。
(B)成分は1種単独でも2種以上を併用してもよい。
【0022】
(B)成分の補強性シリカの配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して5~50質量部であり、10~45質量部が好ましい。(B)成分の配合量が少なすぎる場合には補強効果が得られず、多すぎる場合には加工性が悪くなり、また機械的強度が低下してしまい、動的疲労耐久性も悪化してしまう。
【0023】
-(C)成分-
本発明においては、(C)成分として、下記式(1)で表される3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマーを使用する。この(C)成分は、前述した(B)成分であるシリカの表面に存在する水酸基と相互作用あるいは反応し、(B)成分を(A)成分に速やかに分散させるための必須成分である。
【0024】
【化3】
【0025】
上記式中、R1は、炭素数1~10の1価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1~6の1価炭化水素基である。R1の1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル、アリル基等のアルケニル基;フェニル、ナフチル基等のアリール基などが挙げられる。中でも、メチル、エチル、プロピル、フェニル基が好ましく、メチル、エチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0026】
2は、それぞれ独立して、グリシジルオキシ基で置換されていてもよい炭素数1~10の1価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1~6の1価炭化水素基である。R2の1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、上記R1で例示されたものと同様のもの、及びグリシジルオキシプロピル、グリシジルオキシオクチル基等のグリシジルオキシ基置換アルキル基などが挙げられる。なお、R2がグリシジルオキシ基で置換された1価炭化水素基の場合、前記炭素数はグリシジルオキシ基の炭素の数を含めないものとする。これらの中でも、メチル、エチル、プロピル、グリシジルオキシプロピル、フェニル基が好ましく、メチル、エチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0027】
3は、炭素数1~10、好ましくは炭素数1~4、より好ましくは炭素数1又は2の脂肪族炭化水素基であり、更に好ましくは炭素数1又は2のアルキル基である。R3の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル基等のアルキル基;ビニル、アリル基等のアルケニル基などが挙げられるが、メチル、エチル、プロピル、ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0028】
a、b、c及びdは、それぞれのシロキサン単位の存在モル比率を示し、a≧0.5、b≧0、c≧0、d≧0、かつa+b+c+d=1を満たす数である。
aは、0.5≦a≦1を満たす数が好ましい。aが0.5未満である場合には、有効エポキシ基量が少なくなり、意図する使用での効果が期待できない他、得られるシラノールオリゴマーが、高粘度又はガム状、固体状となり、ハンドリングが困難となる。
bは、0≦b<0.5を満たす数が好ましく、0がより好ましい。
cは、0≦c≦0.5を満たす数が好ましい。
dは、0≦d≦0.2を満たす数が好ましく、0がより好ましい。
【0029】
x及びyは、前記a~dのシロキサン単位のケイ素原子1モルに対して結合しているヒドロキシ基又はアルコキシ基の数であり、x≧1.0、y≦0.5を満たす数である。
xは、1≦x≦2を満たす数が好ましい。
yは、y≦0.4を満たす数が好ましく、y≦0.3を満たす数がより好ましい。
【0030】
(C)成分としては、下記式(1a)で表されるものが好ましく、下記式(1a’)で表されるものがより好ましい。
【化4】
【0031】
上記式中、R2及びR3は、上記と同じであり、a1、c1、d1は、a1≧0.5、0≦c1≦0.5、0≦d1≦0.2、かつa1+c1+d1=1を満たす数であり、x1、y1は、x1≧1、y1≦0.5を満たす数である。
(C)成分としては、上記式(1a’)において、R2がメチル基又は3-グリシジルオキシプロピル基であり、R3がメチル基であるものが更に好ましい。
なお、(C)成分は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0032】
(C)成分のオリゴマーの重量平均分子量は、本発明の組成物の取り扱い粘度等の観点から、500~10,000が好ましく、500~1,000がより好ましい。(C)成分の重量平均分子量が500未満のオリゴマーを用いた場合、(C)成分が揮発しやすいため、混練中に揮散し、得られるコンパウンド組成物の可塑度が不安定となる場合がある。加えて、揮発する成分量が多いため、工業的に危険を伴う場合がある。逆に、(C)成分の重量平均分子量が10,000を超えると、(C)成分の粘度が非常に高くなるため配合しにくくなったり、(B)成分をウェッティングする性能が低くなり、配合時間の延長や得られるコンパウンド組成物の可塑度が不安定になったり、最悪の場合、(B)成分のシリカと(A)成分のポリマーが分離したままになってしまい、コンパウンド組成物を得ることができなくなったりする場合がある。
なお、上記重量平均分子量は、GPCにより(A)成分で説明した条件と同じ条件で求めた値である。
【0033】
本発明で用いる(C)成分の製造方法は特に制限されないが、例えば、下記式(i)で表される3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン等の3-グリシジルオキシプロピル基含有シラン化合物又はそれらの混合物を必須のシラン単量体原料とし、必要により、下記式(ii)で表されるシラン化合物と、下記式(iii)で表されるシラン化合物と、下記式(iv)で表されるシラン化合物のいずれか1種又は2種以上を含むシラン単量体を、酸性条件において、(共)加水分解させることによって製造することができる。
【0034】
【化5】
(式中、R1~R3は、上記と同じである。)
【0035】
上記式(i)で表される3-グリシジルオキシプロピル基含有シラン化合物の具体例としては、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランのほかに、3-グリシジルオキシプロピルトリプロポキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリブトキシシラン等が挙げられる。
上記式(ii)で表されるシラン化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記式(iii)で表されるシラン化合物の具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルオクチルジメトキシシラン等が挙げられる。
上記式(iv)で表されるシラン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
また、これらの加水分解縮合物も用いることができる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0036】
加水分解縮合反応に用いる水の量は、原料として使用するシランモノマーのアルコキシシリル基等のSi(OR3)基(R3は、上記と同じである。)1モルに対し、0.8倍モル~1.1倍モル量が好ましい。
【0037】
加水分解反応時に酸性条件に調整する酸分としては、市場に流通するブレンステッド酸であれば特に制限されないが、その中でも入手の容易度の観点から、ギ酸、酢酸、クエン酸、塩酸、硝酸が好ましい。酸の使用量は、シラノール間の過度な脱水縮合反応により得られるオルガノポリシロキサンの分子量の増大及びシラノール基量の減少による水溶性の低下を抑制する観点から、シランモノマー1モルに対して0.0001~0.01モルが好ましい。
【0038】
加水分解反応において、反応を阻害しない範囲で、必要に応じて有機溶媒を使用してもよい。使用する有機溶媒としては、反応原料である水と相溶するものが好ましく、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類等が好ましい。また、発生するアルコールを除去する際の留去条件を勘案すると、有機溶媒の沸点は、低い方が好ましく、大気圧下において150℃以下の沸点を有する溶媒であることが望ましい。
アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール等が挙げられる。
エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等が挙げられる。
【0039】
反応条件としては、上記シランモノマーと水を混合し、55~70℃で1~5時間にわたって撹拌し、シランモノマーの加水分解縮合反応を進行させ、その後、減圧下で30~80℃の温度範囲において水/アルコール混合物を留去することが好ましい。
【0040】
本発明で用いる3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマーは、水及び遊離アルコールの含有量がそれぞれ1質量%以下であることが好ましい。このような組成であることで、揮発性有機化合物(VOC)不含物質とすることができ、添加したシリコーン組成物全体のVOC低減に有利である。なお、本発明において、VOC不含とは、上記オリゴマー又は本発明の組成物中の遊離アルコールの含有量が好ましくは1質量%以下であることをいう。ここで、アルコールは、特に、メタノール又はエタノールをいうものとする。また、水は、VOCに該当しないが、過剰に存在した場合、エポキシ基と反応し得るため、極力含まれないことが望ましい。1質量%以下であれば、保管中に揮発することによる有効成分の低下や、シリコーン組成物中の水分や空気中の水分によって加水分解することでアルコール類が発生することが少なく、シリコーン組成物の加熱硬化時に発泡やピンホール発生の懸念がなく、使用前の乾燥工程等が不要となる。
【0041】
(C)成分の3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマーの添加量は、前記(A)成分100質量部に対し、0.1~15質量部であり、0.5~10質量部が好ましく、1~8質量部がより好ましい。(C)成分の添加量が0.1質量部未満である場合、可塑戻りがおきて、その後の加工性に不具合を生じたり、最悪の場合、コンパウンド組成物が得られなくなったりする。また、(C)成分の添加量が15質量部を超える場合、得られるコンパウンド組成物にべたつきが発生し、その後の加工性が悪くなったり、このコンパウンド組成物を硬化させたシリコーンゴムの機械的特性が低下したりする。
【0042】
(2)シリコーンゴムコンパウンドの製造方法
本発明に係るシリコーンゴムコンパウンドの製造方法は特に制限されないが、例えば、上記した成分を2本ロール、バンバリーミキサー、ドウミキサー(ニーダー)等のゴム混練り機を用いて均一に混合して、必要に応じて加熱処理を施すことにより本発明のシリコーンゴムコンパウンドを得ることができる。
【0043】
また、上記(A)~(C)成分のベースコンパウンドは加熱混合してもよい。好ましい温度は0~200℃、より好ましくは10~180℃、更に好ましくは20~170℃である。また、(A)~(C)成分を混合する時間は、特に制限されないが、製造上の効率を考えると、好ましくは1~300分間、より好ましくは10~120分間である。
【0044】
また、加熱混合する場合は、(A)~(C)成分の所定量を均一混合してコンパウンド状なってから、20~80℃の温度領域で低温混合(コールドブレンド)を10~60分行うことが好ましい。低温混合時間を設けることにより、(C)成分であるシラノールオリゴマーが熱分解したり配合時に揮散する心配がなく、(B)成分の表面処理反応を促進させることができる。
【0045】
(3)シリコーンゴム組成物
以上のようにして得られたミラブル型シリコーンゴムコンパウンドに、更に(D)硬化剤(加硫剤)を配合することにより、ミラブル型シリコーンゴム組成物を得ることができる。
【0046】
-(D)成分-
(D)成分の硬化剤としては、上記(A)成分を硬化させ得るものであれば特に限定されるものではないが、一般的に、ゴム硬化剤として公知のものを使用することができ、例えば、下記(D1)、(D2)成分等が挙げられる。中でも、(D2)成分の有機過酸化物が好ましい。
(D1)付加反応(ヒドロシリル化反応)型硬化剤、即ちオルガノハイドロジェンポリシロキサン(架橋剤)とヒドロシリル化触媒との組み合わせからなる、ヒドロシリル化反応の硬化剤
(D2)有機過酸化物
【0047】
(D1)付加反応型硬化剤
(a)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
上記(D1)付加反応型硬化剤の架橋剤としてのオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有するものが好ましい。特に、下記式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。
【0048】
【化6】
【0049】
ここで、R4は、それぞれ独立して、水素原子、並びに炭素数1~8、好ましくは1~6のアルキル基;炭素数6~10、好ましくは6~8のシクロアルキル基;炭素数6~10、好ましくは6~8のアリール基、及び炭素数7~10、好ましくは7~9のアラルキル基から選ばれる基である。ただし、1分子中、2個以上、好ましくは2~200個、より好ましくは2~130個のR4が水素原子である。なお、同じケイ素原子上に2個以上の水素原子が存在することはない。
【0050】
4のアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル基等が挙げられる。
シクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル、トリル基等が挙げられる。
アラルキル基の具体例としては、ベンジル、2-フェニルプロピル基等が挙げられる。
なお、これらの基の水素原子の一部又は全部が、フッ素原子等のハロゲン原子で置換されたフルオロアルキル基等を用いてもよい。
【0051】
eは、2≦e≦30、好ましくは2≦e≦20を満たす整数である。
fは、0≦f≦300、好ましくは3≦f≦200を満たす整数である。
gは、0≦g≦10、好ましくは0≦g≦5を満たす整数である。
hは、0≦h≦30、好ましくは0≦h≦20を満たす整数である。
なお、各シロキサン単位の結合は、ブロックであってもランダムであってもよい。
【0052】
また、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網目状のいずれの構造であってもよい。この場合、1分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は、好ましくは2~300個、より好ましくは4~200個程度であり、25℃で液状のものが好適に用いられる。なお、ヒドロシリル基は、分子鎖末端にあっても側鎖(分子鎖途中)にあっても、その両方にあってもよい。なお、重合度の測定方法は、(A)成分において説明したとおりである。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0053】
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、例えば、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、環状メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C65)SiO3/2単位とからなる共重合体等や、上記各例示化合物において、メチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基やフェニル基等のアリール基で置換されたものなどが挙げられる。
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、具体的に、下記構造式の化合物を例示することができる。
【0054】
【化7】
(式中、kは、2~10の整数、s及びtは、それぞれ0~10の整数、p及びqは、それぞれ1~30の整数である。)
【0055】
(a)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、25℃における粘度が、0.5~10,000mPa・sであるものが好ましく、1~300mPa・sがより好ましい。なお、上記粘度は、JIS K7117-1:1999記載の方法で、回転粘度計により測定した値である。
【0056】
(a)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、上記(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基に対するオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のヒドロシリル基のモル比(ヒドロシリル基/アルケニル基)が、好ましくは0.5~10、より好ましくは0.8~6、更に好ましくは1~5となる量で配合することが望ましい。0.5未満だと架橋が十分でなく、硬化後に十分な機械的強度が得られない場合があり、また、10を超えると硬化後の物理特性が低下し、特に、耐熱性と耐圧縮永久歪性が著しく劣化する場合がある。
【0057】
(b)ヒドロシリル化触媒
上記(D1)付加反応型硬化剤に用いられるヒドロシリル化触媒は、上記(A)成分中のアルケニル基と、架橋剤としての上記オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のヒドロシリル基の付加反応を促進する触媒である。
ヒドロシリル化触媒としては、例えば、ルテニウムや白金などの白金族金属系触媒が挙げられる。白金族金属系触媒には、白金族の金属単体とその化合物がある。これには、従来、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の触媒として公知のものが使用できる。
その具体例としては、例えば、白金黒、シリカ、アルミナ又はシリカゲルのような担体に吸着させた微粒子状白金金属、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、塩化白金酸とビニル基含有(ポリ)シロキサンとの錯体、塩化白金酸と亜リン酸エステルとの錯体及びそれらとビニル基含有(ポリ)シロキサンとの錯体等の白金系触媒;パラジウム触媒;ロジウム触媒;ルテニウム触媒などが挙げられる。中でも、白金又は白金化合物が特に好ましい。
【0058】
ヒドロシリル化触媒の添加量は、付加反応を促進できる、いわゆる触媒量であればよく、通常、上記(A)成分の質量に対して、白金族金属の質量に換算して1ppm~1質量%が好ましく、10~500ppmがより好ましい。添加量が1ppm未満だと、付加反応が十分促進されず、硬化が不十分である場合があり、一方、1質量%を超えると、これより多く加えても、反応性に対する影響も少なく、不経済となる場合がある。
【0059】
また、上記の触媒のほかに硬化速度を調整する目的で、付加架橋制御剤を使用してもよい。その具体例としては、エチニルシクロヘキサノール、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。
【0060】
(D2)有機過酸化物
一方、上記(D2)有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p-メチルベンゾイルパーオキサイド、o-メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーベンゾエート、1,6-ヘキサンジオール-ビス-t-ブチルパーオキシカーボネート等が挙げられる。中でも、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。
【0061】
有機過酸化物の添加量は、硬化有効量であるが、(A)成分100質量部に対して、0.1~8質量部が好ましく、0.2~3質量部がより好ましい。添加量が十分であれば架橋反応が十分に進行し、硬度低下やゴム強度不足、圧縮永久歪増大等の物性悪化を生じることがない。また、上記の添加量を超えない場合には、経済的に好ましく、硬化剤の分解物が十分に少なく、圧縮永久歪増大等の物性悪化や得られたシートの変色を増大させることがない。
【0062】
-その他の成分-
本発明のミラブル型シリコーンゴム組成物には、上記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、カーボンブラック等の導電性付与剤、酸化鉄やハロゲン化合物のような難燃性付与剤、帯電防止剤、軟化剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤等を添加することは任意である。
【0063】
(4)組成物の製造方法及び硬化方法
本発明に係るシリコーンゴム組成物の製造方法は特に制限されないが、例えば、上述したシリコーンゴムコンパウンドの製造方法と同様の方法により得ることができる。この場合、例えば、(A)オルガノポリシロキサン、(B)補強性シリカとしての微粉状シリカ系充填剤と(C)シラノールオリゴマー等を予め混合してベースコンパウンドを調製しておき、これに(D)硬化剤を添加、混合することが好ましい。
【0064】
このようにして得られた本発明のミラブル型シリコーンゴム組成物を好ましくは80~300℃、より好ましくは100~200℃で、好ましくは1分~10時間、より好ましくは5分~5時間硬化させることにより、シリコーンゴム硬化物を得ることができる。
【実施例0065】
以下、合成例、比較合成例、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記の例において、特に断らない限り、「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、実施例で用いた各装置及び測定条件は、以下のとおりである。
【0066】
(1)GPC測定条件 (重量平均分子量の測定)
装置:東ソー(株)製HLC-8320GPC
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-H
TSKgel SuperHM-N(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2500(6.0mmI.D.×15cm×1)
(いずれも東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50μL(濃度2.0質量%のTHF溶液)
標準:単分散ポリスチレン
(2)プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H-NMRスペクトル)測定条件
装置:BURKER社製AVANCE III400
溶媒:CDCl3(重クロロホルム)
内部標準:テトラメチルシラン(TMS)
(3)動粘度:JIS Z8803:2011記載の方法で、キャノン-フェンスケ粘度
計により25℃で測定した。
【0067】
(4)可塑度の測定:シリコーンゴムコンパウンドを三本ロールにて15回混練りし、そ
の10分後(初期)にJIS K6249:2003記載の方法で可塑度を測定し
た。また、40℃で24時間エージング後の可塑度(40℃促進)も同様に測定し
、シリコーンゴムコンパウンドの保存安定性を調査した。初期の可塑度と40℃促
進の可塑度の差が50以上であると長期保存安定性が悪化したと判断し、可塑度の
差が50未満のものを合格と判定した。
【0068】
(5)シリコーンゴム硬化物の物性測定:後述するシリコーンゴムコンパウンド100部
に対し、(D)の硬化剤を所定量加え、2本ロールにて均一に混合した後、この組
成物を120℃で10分間(実施例5、比較例6)、又は165℃で10分間(
実施例1~4、比較例1~5)プレスキュアーを行った。次いで、200℃で4時
間のポストキュアーを行って、試験用2mm厚シート及び6mm厚、29.5mm
Φの円筒状ゴム成形物を作製した。作製した試験用シート成形物又は円筒状ゴム成
形物を用いてJIS K6249:2003の記載に基づいて、密度、硬さ(デュ
ロメーターA)、及び圧縮永久歪(180℃/22時間、25%圧縮)を測定した
。また、JIS K6255:2013記載の方法で、反発弾性率を測定した。反
発弾性率の数値が高く、圧縮永久歪の数値が低いものがゴム特性として良好と判断
した。
【0069】
[1]3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマーの合成
[合成例1](C-1)成分の合成
撹拌装置、冷却管、滴下ロート及び温度計を備えた1Lの3つ口フラスコに3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン472g(2.0モル)を納めた。この中に0.2%塩酸を108g(水量として6.0モル)滴下した。滴下中は、内温が20~40℃の範囲になるよう適宜冷却して温度管理を行った。滴下終了後、70℃で1時間加熱撹拌し、メトキシシリル基の加水分解縮合反応を進行させ、その後、70℃下で副生成物のメタノールと余剰の水を減圧留去することで無色透明な液体を得た。
この液体は、任意に水と相溶、溶解可能であり、得られたオリゴマーの動粘度は726mm2/s、含有するエポキシ基の官能基量は189g/モル、重量平均分子量は830であった。上記を1H-NMR、GPC等により分析した結果、このものは下記式(3)に示す平均組成構造であることが判明した。1H-NMRのスペクトルチャートを図1に示した。
【0070】
【化8】
【0071】
[合成例2](C-2)成分の合成
3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランを236g(1.0モル)及びジメチルジメトキシシランを120g(1.0モル)とし、0.2%塩酸を90g(水量として5.0モル)としたこと以外は合成例1と同様の操作にて目的とする3-グリシジルオキシプロピル基含有シラノールオリゴマーを得た。
得られたオリゴマーの動粘度は218mm2/s、含有するエポキシ基の官能基量は258g/モル、重量平均分子量は700であった。1H-NMR及びGPC測定により分析した結果、このものは下記式(4)に示す構造であった。
【0072】
【化9】
【0073】
[合成例3](C-3)成分の合成
3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランを425g(1.8モル)及び3-グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシランを44g(0.2モル)とし、0.2%塩酸を104.4g(水量として5.8モル)としたこと以外は合成例1と同様の操作にて目的とする3-グリシジルオキシプロピル基含有シラノールオリゴマーを得た。
得られたオリゴマーの動粘度は361mm2/s、含有するエポキシ基の官能基量は200g/モル、重量平均分子量は510であった。1H-NMR及びGPC測定により分析した結果、このものは下記式(5)に示す構造であった。
【0074】
【化10】
【0075】
[比較合成例4](C-4比)成分の合成
3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランの代わりに、トリメチルメトキシシラン31.2g(0.3モル)、ジメチルジメトキシシラン48.0g(0.4モル)及びメチルトリメトキシシラン40.8g(0.3モル)を用いたこと以外は合成例1と同様の操作にて3-グリシジルオキシプロピル基を含有しないシラノール基含有オリゴマーを得た。
得られたオリゴマーの動粘度は15mm2/s、重量平均分子量は1,150であった。1H-NMR及びGPC測定により分析した結果、このものは下記式(6)に示す構造であった。
【0076】
【化11】
【0077】
[比較合成例5](C-5比)成分の合成
3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランの代わりに、ジメチルジメトキシシラン120g(1.0モル)のみを用い、0.2%塩酸を90g(水量として5.0モル)としたこと以外は合成例1と同様の操作にて3-グリシジルオキシプロピル基を含有しない直鎖状両末端シラノールポリマーを得た。
得られたポリマーの動粘度は13mm2/s、重量平均分子量は270であった。1H-NMR及びGPC測定により分析した結果、このものは下記式(7)に示す構造であった。
【0078】
【化12】
【0079】
[2]配合成分
以下に、本発明の実施例、比較例で用いた各成分を示す。
(A)オルガノポリシロキサン生ゴム
ジメチルシロキサン単位99.825モル%、メチルビニルシロキサン単位0.15モル%、ジメチルビニルシロキシ単位0.025モル%からなり、ケイ素原子に結合したビニル基を分子鎖両末端に各1個、分子鎖側鎖に10個有し、平均重合度が8,000であるオルガノポリシロキサン生ゴム
(B)補強性シリカ
(B-1)補強性シリカとして表面処理されていないBET法比表面積が200m2/gのヒュームドシリカ(商品名:アエロジル200、日本アエロジル(株)製)
(B-2)補強性シリカとしてジメチルジクロロシランで表面処理されたBET比表面積110m2/g、炭素含有量0.9%であるヒュームドシリカ(商品名:R-972、日本アエロジル(株)製)を使用した。
(C)3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマー
(C-1):合成例1で合成したオリゴマー
(C-2):合成例2で合成したオリゴマー
(C-3):合成例3で合成したオリゴマー
(比較成分)
(C-4比):比較合成例4で合成したオリゴマー
(C-5比):比較合成例5で合成したポリマー
(C-6比):3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM-403、信越化学工業(株)製、動粘度3.0mm2/s、分子量236)
(D)硬化剤
(D-1)付加反応型硬化剤:(a)下記式(8)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(信越化学工業(株)製、動粘度17mm2/s)0.85部、
(b)ヒドロシリル化触媒として塩化白金酸-ジビニルジシロキサン錯体を白金原子質量換算で1%含有する白金触媒(信越化学工業(株)製)0.01部、
及び、付加反応制御剤として、エチニルシクロヘキサノール0.05部をシリコーンゴムコンパウンド100部に添加した。
【0080】
【化13】
(D-2)有機過酸化物硬化剤:2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン0.5部をシリコーンゴムコンパウンド100部に添加した。
【0081】
[3]シリコーンゴムコンパウンドの製造及び評価
[実施例1-1]
(A)オルガノポリシロキサン生ゴム100部に(B-1)補強性シリカ25部、3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマーとして(C-1)3部を加熱機能付きニーダーに仕込み、上記成分が均一混合するまで室温混合した後30分間コールドブレンドを行った。その後、ニーダーの加熱温調機能を用いて170℃に昇温後2時間加熱混練し、シリコーンゴムコンパウンド1を得た。得られたコンパウンド1について可塑度を測定した。結果を表1に示す。
【0082】
[実施例1-2~1-4、比較例1-1~1-5]
(C-1)成分3部の代わりに、(C-2)、(C-3)及び(C-4比)~(C-6比)成分を表1に示す割合で用いた以外は実施例1-1と同様にしてそれぞれシリコーンゴムコンパウンド2~4、比較シリコーンゴムコンパウンド1~5を得た。得られたシリコーンゴムコンパウンドについて可塑度を測定した。結果を表1に示す。
【0083】
[実施例1-5、比較例1-6]
(A)オルガノポリシロキサン生ゴム100部に(B-2)補強性シリカ40部、3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマーとして(C-2)5部(実施例1-5)又は(C-4比)5部(比較例1-6)をニーダーに仕込み、上記成分が均一混合するまで2時間単純混合を行い、シリコーンゴムコンパウンド5(実施例1-5)又は比較シリコーンゴムコンパウンド6(比較例1-6)を得た。到達最高温度は76℃であった。得られたコンパウンドについて可塑度を測定した。結果を表1に示す。
【0084】
[4]シリコーンゴム組成物の製造、硬化物の製造及び評価
[実施例2-1]
上記シリコーンゴムコンパウンド1を100部に対して、硬化剤(D-2)0.5部を2本ロールで均一に混合した。次いで、165℃で10分間金型加熱成形を行ったのち、200℃で4時間のポストキュアーを行って、試験用2mm厚シート及び6mm厚、29.5mmΦの円筒状ゴム成形物を作製した。
得られたシート又は円筒状ゴム成形物を用いて表1に示すゴム特性を評価した。結果を表1に併記する。
【0085】
[実施例2-2~2-4、比較例2-1~2-5]
シリコーンゴムコンパウンド1の代わりにシリコーンゴムコンパウンド2~4、比較シリコーンゴムコンパウンド1~5をそれぞれ用いた以外は実施例2-1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製し、実施例1と同様にしてゴムシート及び円筒状ゴム成形物を作製し、各種ゴム特性を評価した。結果を表1に併記する。
【0086】
[実施例2-5、比較例2-6]
上記シリコーンコンパウンド5(実施例2-5)又は比較シリコーンゴムコンパウンド6(比較例2-6)を100部に対して、所定量の硬化剤(D-1)をそれぞれ加えて2本ロールで均一に混合した。次いで、120℃で10分間金型加熱成形を行ったのち、200℃で4時間のポストキュアーを行って、試験用2mm厚シート及び6mm厚、29.5mmΦの円筒状ゴム成形物を作製した。
得られたゴムシート又は円筒状ゴム成形物を用いて表1に示すゴム特性を評価した。結果を表1に併記する。
【0087】
【表1】
【0088】
[評価結果]
実施例1-1~1-5にて得られた各シリコーンゴムコンパウンドは、本発明の要件を満たすものであり、表1に示したとおり、(C)成分の3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマーが添加された実施例の各ミラブル型シリコーンゴムコンパウンドの初期可塑度は高く、また40℃/24h後の可塑度上昇も低く抑えられ、長期保存性に優れていることがわかる。
【0089】
これに対し、比較例1-1においては、(C)成分が、3-グリシジルオキシプロピル基が含まれないシラノールオリゴマーであり、初期可塑度が低く、かつ長期保存性も不合格となった。
【0090】
比較例1-2においては、(C)成分に3-グリシジルオキシプロピル基が含まれない直鎖状シラノールポリマーが使用されているが、シリカ表面は良く処理されており長期保存性は良好であるが、可塑度が大幅に低くなっている。比較例1-2のウエッターを半分に低減させたものが比較例1-4であるが、こちらの初期可塑度は高く、良好であるが、シリカの表面処理ができておらず、40℃/24h後に可塑度は大幅に上昇しており、高可塑度と長期保管安定性が両立できていないことがわかる。
【0091】
比較例1-3は、(C-1)成分の3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマーの出発原料である3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403)を添加したコンパウンドであるが、初期可塑度は低く、40℃/24h後の可塑度変化は大きく、不合格であり、かつ比較例2-3の組成物の硬化物の圧縮永久歪が、比較例2-1の組成物の硬化物に比べて大幅に悪化しており、シリカの表面処理剤として機能を有していないことがわかる。
【0092】
実施例1-4と比較例1-5は、直鎖状シラノールポリマーと3-グリシジルオキシプロピル基を有するシラノールオリゴマーを併用したものと、直鎖状シラノールポリマーと3-グリシジルオキシプロピル基が含まれないシラノールオリゴマーを併用したものを比較検証したしたものであり、直鎖状シラノールポリマーを併用しても3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマーの添加により高可塑度と長期保管安定性が保持されていることがわかる。
【0093】
実施例1-5と比較例1-6は、処理シリカを用いて熱処理を実施しない単純配合系での3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマーの効果を検証したもので、単純配合系でも3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマーの添加により高可塑度及び長期保存性が良好であることが確認できた。
【0094】
上記の結果から、3-グリシジルオキシプロピルシラノールオリゴマーが添加された実施例1-1~1-5のシリコーンゴムコンパウンドは高い可塑度を有し、また長期保管安定性に優れることがわかった。
図1