(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162634
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ゴム部材の接触面の観察方法
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
G01L5/00 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078350
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】諫山 直生
(72)【発明者】
【氏名】石神 直大
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA01
2F051AB03
2F051BA07
(57)【要約】
【課題】ゴム部材の接触面におけるより正確な接触圧分布を取得できる方法を提供する。
【解決手段】透明体11の上に紙15を配置するステップと、紙15の上から複数水準の圧力を負荷し、それぞれの圧力を負荷されたときの輝度分布のある画像である第1画像を透明体11の下から撮影するステップと、それぞれの圧力についての第1画像に基づき、撮影範囲の1ピクセルごとの圧力と輝度との関係式を求めるステップと、紙15の上からゴム部材16を押圧し、輝度分布のある画像である第2画像を透明体11の下から撮影するステップと、圧力と輝度との関係式に基づき、第2画像の輝度を1ピクセルごとに圧力に変換することにより、ゴム部材16と紙15との接触面における接触圧分布を表す画像である圧力分布画像を取得するステップとを有する、ゴム部材16の接触面の観察方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム部材を接触部材に対して押圧し、前記ゴム部材と前記接触部材との接触面についての画像を撮影する、ゴム部材の接触面の観察方法において、
透明体の上に前記接触部材を配置するステップと、
圧力負荷治具を用いて前記接触部材の上から複数水準の圧力を負荷し、それぞれの圧力を負荷されたときの輝度分布のある画像である第1画像を前記透明体の下から撮影するステップと、
それぞれの圧力についての前記第1画像に基づき、撮影範囲の1ピクセルごとの圧力と輝度との関係式を求めるステップと、
前記接触部材の上から前記ゴム部材を押圧し、輝度分布のある画像である第2画像を前記透明体の下から撮影するステップと、
圧力と輝度との前記関係式に基づき、前記第2画像の輝度を1ピクセルごとに圧力に変換することにより、前記ゴム部材と前記接触部材との接触面における接触圧分布を表す画像である圧力分布画像を取得するステップと、
を有する、ゴム部材の接触面の観察方法。
【請求項2】
それぞれの前記第1画像に対してメディアンフィルタをかけてそれぞれの補正後第1画像とし、それぞれの圧力についての前記補正後第1画像に基づき、撮影範囲の1ピクセルごとの圧力と輝度との前記関係式を求める、請求項1に記載のゴム部材の接触面の観察方法。
【請求項3】
前記メディアンフィルタのサイズが3×3ピクセルである、請求項2に記載のゴム部材の接触面の観察方法。
【請求項4】
前記圧力分布画像に対してメディアンフィルタをかける、請求項1に記載のゴム部材の接触面の観察方法。
【請求項5】
前記メディアンフィルタのサイズが3×3ピクセル、5×5ピクセル又は7×7ピクセルである、請求項4に記載のゴム部材の接触面の観察方法。
【請求項6】
前記透明体に光を入射して前記透明体の内部において全反射させ、
前記接触部材の上から圧力を負荷して前記接触部材を前記透明体に対して押し付けることにより、押し付けた場所において光が全反射しないようにして、前記第1画像を撮影し、
前記接触部材の上から前記ゴム部材を押圧して前記接触部材を前記透明体に対して押し付けることにより、押し付けた場所において光が全反射しないようにして、前記第2画像を撮影する、
請求項1~5のいずれか1項に記載のゴム部材の接触面の観察方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴム部材の接触面の観察方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤ(以下「タイヤ」とする)の設計等の分野において、タイヤから切り出したゴム部材等とガラス板等との接触面の観察が行われている。例えば、温度条件を変えながらガラス板の上でゴム部材等を滑らせ、それぞれの温度でのゴム部材等の接触面形状、接触面積又は接触圧分布を取得し、接触面形状等の温度依存性を調べて設計に活かすことが行われている。
【0003】
従来、ゴム部材等の接触面の観察方法として、例えば特許文献1、2に記載されているような方法が知られていた。
【0004】
特許文献1の方法は、表面に凹凸のある梨地シートを透明板の上に配置し、梨地シートの上からタイヤを押し付けてタイヤと梨地シートの凹凸とを密着させ、タイヤと凹凸との密着部分とその他の部分とで光の反射率を異ならせてタイヤ接地面の形状がわかるようにし、透明板の下のカメラでその形状を撮影する方法である。
【0005】
また、特許文献2の方法は、透明体の内部に光を入射して透明体の上面で全反射させ、透明体の上面にゴムサンプルが接触したときにその接触部分で全反射しなくなるようにし、撮影装置で透明体を撮影したときに接触部分がわかるようにした方法である。
【0006】
しかし、特許文献1のように梨地シートを利用する方法では、梨地シートの表面にある凹凸が比較的大きなものであるため、タイヤと凹凸面との密着部分の形状が本来のタイヤ接地面の形状と一致せず、接地面の精密な形状を観察することが困難であった。
【0007】
また、特許文献2のように透明体の上面にゴムサンプルを接触させる方法では、透明体の上面に付着した汚れ等が、撮影装置で撮影される画像に写り込んでしまい、接触部分と汚れ等との区別を付けることが難しくなるという問題があった。またこの方法では、透明体の上面より上から来る光も撮影装置に入ってしまうため、撮影される画像においてゴムサンプルの接触部分とその周囲の部分との輝度の差が小さく、ゴムサンプルの接触部分を明確に区別できないという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003-14428号公報
【特許文献2】特開2016-188767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
最近、出願人は、ゴム部材の接触面の新たな観察方法で、特に接触面における接触圧分布を求める方法を検討している。具体的には、ガラス板等の透明体の上に紙等の接触部材を配置し、接触部材の上からゴム部材を押圧し、その押圧部分の画像を透明体の下から撮影し、撮影された画像の輝度分布を接触圧分布に変換する方法である。接触圧分布からは、接触面形状や接触面積等もわかる。
【0010】
しかし、この方法では、接触部材に凹凸があったり、透明体と接触部材との間に異物があったりした場合に、撮影される画像の輝度分布に影響が出て、正しい接触圧分布が取得できない可能性がある。
【0011】
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、ゴム部材の接触面におけるより正確な接触圧分布を取得できる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以下に示される実施形態を含む。
【0013】
[1]ゴム部材を接触部材に対して押圧し、前記ゴム部材と前記接触部材との接触面についての画像を撮影する、ゴム部材の接触面の観察方法において、透明体の上に前記接触部材を配置するステップと、圧力負荷治具を用いて前記接触部材の上から複数水準の圧力を負荷し、それぞれの圧力を負荷されたときの輝度分布のある画像である第1画像を前記透明体の下から撮影するステップと、それぞれの圧力についての前記第1画像に基づき、撮影範囲の1ピクセルごとの圧力と輝度との関係式を求めるステップと、前記接触部材の上から前記ゴム部材を押圧し、輝度分布のある画像である第2画像を前記透明体の下から撮影するステップと、圧力と輝度との前記関係式に基づき、前記第2画像の輝度を1ピクセルごとに圧力に変換することにより、前記ゴム部材と前記接触部材との接触面における接触圧分布を表す画像である圧力分布画像を取得するステップと、を有する、ゴム部材の接触面の観察方法。
【0014】
[2]それぞれの前記第1画像に対してメディアンフィルタをかけてそれぞれの補正後第1画像とし、それぞれの圧力についての前記補正後第1画像に基づき、撮影範囲の1ピクセルごとの圧力と輝度との前記関係式を求める、[1]に記載のゴム部材の接触面の観察方法。
【0015】
[3]前記メディアンフィルタのサイズが3×3ピクセルである、[2]に記載のゴム部材の接触面の観察方法。
【0016】
[4]前記圧力分布画像に対してメディアンフィルタをかける、[1]に記載のゴム部材の接触面の観察方法。
【0017】
[5]前記メディアンフィルタのサイズが3×3ピクセル、5×5ピクセル又は7×7ピクセルである、[4]に記載のゴム部材の接触面の観察方法。
【0018】
[6]前記透明体に光を入射して前記透明体の内部において全反射させ、前記接触部材の上から圧力を負荷して前記接触部材を前記透明体に対して押し付けることにより、押し付けた場所において光が全反射しないようにして、前記第1画像を撮影し、前記接触部材の上から前記ゴム部材を押圧して前記接触部材を前記透明体に対して押し付けることにより、押し付けた場所において光が全反射しないようにして、前記第2画像を撮影する、[1]~[5]のいずれかに記載のゴム部材の接触面の観察方法。
【発明の効果】
【0019】
上記の方法によれば、ゴム部材の接触面におけるより正確な接触圧分布を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図5】事前試験において撮影された写真。(a)は負荷された圧力が100kPaのときの写真。(b)は負荷された圧力が200kPaのときの写真。(c)は負荷された圧力が300kPaのときの写真。
【
図6】事前試験のときの圧力負荷治具の配置を上から見た図。(a)は円形の圧力負荷治具を用いて複数の場所に圧力を負荷する様子を示す図。(b)は長方形の圧力負荷治具を用いて複数の場所に圧力を負荷する様子を示す図。(c)は円形の圧力負荷治具を用いて1つの場所に圧力を負荷する様子を示す図。(d)は長方形の圧力負荷治具を用いて1つの場所に圧力を負荷する様子を示す図。
【
図7】1ピクセルごとに圧力と輝度との関係式を求めるイメージを示す図。
【
図8】(a)はゴム部材が紙に押圧されている様子を示す図。(b)は(a)の押圧時に取得される画像。
【
図9】(a)は第2画像。(b)は(a)の輝度を圧力に変換して得られた圧力分布画像。
【
図10】(a)は第1画像。(b)は第1画像の一部の拡大図。(c)は(b)の画像に3×3ピクセルのメディアンフィルタをかけた画像。(d)は(b)の画像に7×7ピクセルのメディアンフィルタをかけた画像。
【
図11】(a)は圧力分布画像。(b)は(a)に3×3ピクセルのメディアンフィルタをかけた画像。(c)は(a)に7×7ピクセルのメディアンフィルタをかけた画像。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更されたものについては、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0022】
図1に示す本実施形態の撮影装置10は、透明体としてのガラス板11と、ガラス板11より上においてゴム部材16を保持する保持部12と、ガラス板11より下に配置されたカメラ13と、ガラス板11の左右両側(横方向両側)に設けられた照明装置としてのライトガイド14と、カメラ13に接続された解析装置17を備えている。撮影装置10は、ガラス板11の上に紙15を配置し、紙15の上にゴム部材16を押圧したときの、ゴム部材16と紙15との接触状態を下からカメラ13で撮影する装置である。
【0023】
ガラス板11は無色透明なガラスの板である。ガラス板11は、上から見て長方形で、厚みが一定のガラスの板である。ガラス板11の上面11b及び下面11cは平面である。ガラス板11は、その上でゴム部材16を滑らせるために必要な面積と、ゴム部材16を押圧しても割れない厚み(上下方向の長さ)を有している。ガラス板11の具体的な大きさは、限定されないが、例えば奥行(
図1における奥行方向の長さ、
図2における上下方向の長さ)320mm~400mm、横(
図1及び
図2における左右方向の長さ)90mm~110mm、厚み10mm~30mmである。なお、ガラス板11は1枚のガラスからなる板でも良いが、2枚のガラスが重なって上記のような厚みとなった板でも良い。
【0024】
ガラス板11の上面11b、下面11c及び側面11aの表面粗さは、算術平均粗さRaで0.01μm~0.12μmが好ましい。算術平均粗さRaの測定方法は、JISB0601:2013(ISO4287:187, Amd.1:2009)による。
【0025】
保持部12は、ゴム部材16が取り付けられた治具21を保持する。保持部12は、不図示の制御部からの指示に基づき、ガラス板11の奥行方向、横方向及び上下方向に移動できる。ガラス板11上に配置された紙15へのゴム部材16の押圧は、保持部12が下降することによって行われる。保持部12の下降量によってゴム部材16への負荷の大きさが調整される。また、ゴム部材16のすべり試験は、保持部12が奥行方向へ移動することによって行われる。ゴム部材16の移動速度でもある保持部12の移動速度は制御可能である。
【0026】
カメラ13は、例えば、連続して複数枚の写真を撮影できるCCDカメラである。カメラ13の撮影する写真(画像)は、例えば、白を255、黒を0とする256階調の輝度からなるデジタル画像である。カメラ13は、ガラス板11を下から撮影する向きで設けられている。カメラ13の撮影方向は、
図1のようにガラス板11の下面11cに直交する方向である。ただし、カメラ13の撮影方向は、ガラス板11の下面11cに直交する方向に対して若干傾斜した方向でも良い。
【0027】
解析装置17は、所定の解析プログラムがインストールされたPC(Personal Computer)からなる。図示省略するが、解析装置17は、解析等を行う処理装置、作業者が入力を行う入力装置、解析結果を表示する表示装置等から構成されている。解析装置17は、カメラ13の撮影した写真(画像)について所定の解析を行う。
【0028】
図2及び
図3に示すように、ライトガイド14は、多数本の光ファイバーが結束された結束ファイバー22と、結束ファイバー22の一端を収納する筐体23とを有している。ライトガイド14は、LED等の光源(不図示)から発せられた光を、結束ファイバー22を通して筐体23の内部へ到達させ、筐体23に形成されたスリット24から外部へ発する照明装置である。ライトガイド14から発せられる光は例えば白色光である。また、スリット24の全体から、均一な明るさの光が発せられる。
【0029】
ガラス板11の左右両側のライトガイド14は、それぞれガラス板11に向かって光を照射するように配置されている。すなわち、筐体23のスリット24から発せられた光がガラス板11へ入射するように配置されている。入射方向(光の光軸の方向)はガラス板11の側面11aに垂直な方向で、ガラス板11の上面11b及び下面11cに平行な方向である。左右両側のライトガイド14からガラス板11に入射した光は、ガラス板11の表面で全反射する。ただし、光が全反射するのは、ガラス板11の表面が空気と接している場合である。全反射している領域では、ガラス板11に入射した光は、ガラス板11の上面11bより上へ透過したり、ガラス板11の下面11cより下に透過したりしない。
図1においてガラス板11の中に描かれている二点鎖線は、全反射する光を表している。
【0030】
左右それぞれのライトガイド14のスリット24は、ガラス板11の左右の側面11aに平行に奥行方向(
図1の奥行方向、
図2の上下方向)に延びている。スリット24とガラス板11の側面11aとの間には一定の隙間が設けられている。その隙間の左右方向の長さL1(
図1、
図2参照)は一定であり、0.1mm~1.0mmである。
【0031】
スリット24の厚みL2(上下方向の長さ、
図1、
図3参照)は、ガラス板11の厚みより薄く、例えばガラス板11の厚みの10%以下である。スリット24の厚みは、具体的数値としては例えば0.2mm~1.0mmである。スリット24の厚み方向(上下方向)の中心位置は、ガラス板11の厚み方向(上下方向)の中心位置と一致していることが好ましい。
【0032】
また、スリット24の奥行方向の長さL3(
図2参照)は、ガラス板11の奥行方向の長さL4(
図2参照)より短い。また、スリット24の奥行方向の長さの下限は、限定されないが、例えばガラス板11の奥行方向の長さの半分である。スリット24の奥行方向の長さの具体的数値は、例えば180mm~220mmである。
【0033】
ガラス板11の上に配置される紙15は、ゴム部材16が接触する部材(接触部材)である。紙15は、植物等の天然繊維を膠着させて製造したシート状のものであり、具体例としては写真印画紙である。紙15は、表面が滑らかで、反射率が高く、白色で、適度な強度が保証される範囲でできるだけ薄く、全体が均質なものが好ましい。具体的には、紙15の表面の算術平均粗さRaは0.1μm~2.0μmが好ましい。また、紙15の表面の白色度は85~102%が好ましい。ここで、白色度とは、国際規格ISO白色度(ISO12470)に準拠した拡散照明方式(JISP8148)によって定まる値である。また、紙15の厚みは0.2mm~0.5mmが好ましく、0.2mm~0.3mmがより好ましい。
【0034】
このような紙15が、ガラス板11と同じ形状及び大きさにカットされる。そして、ガラス板11の四辺において、カット後の紙15とガラス板11の上面11bとが両面テープで貼り付けられる。なお、両面テープには、ゴム部材16が紙15の上を摺動したときに紙15がガラス板11に対してずれることを防ぐことのできるだけの接着力がある。ガラス板11に貼り付けられた紙15は、ガラス板11の上面11bに対して少し浮く。そのため、ガラス板11の上面11bとそこに貼り付けられた紙15との間には薄い空気層が形成される。
【0035】
上記の通り、ガラス板11に入射した光は、ガラス板11の表面が空気と接している場所に置いては、その表面で全反射する。しかし、紙15の上からゴム部材16が押し付けられると、ゴム部材16と紙15との接触面の下において、ガラス板11と紙15との間の空気層が非常に薄くなったり、ガラス板11と紙15とが密着したりする。その結果、ゴム部材16が押し付けられた部分(押圧部分)において、ガラス板11の表面での光の反射条件が変わり、光が全反射しなくなる。そのため、ガラス板11の下のカメラ13の位置においては、押圧部分が明るく見え、それ以外の部分がほぼ黒に見える。また、押圧の圧力が大きくガラス板11と紙15との間の空気層が薄い部分ほど明るく見え、ガラス板11と紙15が密着した部分は一番明るく見える。
【0036】
なお、ガラス板11と空気の境界で全反射し、ガラス板11と紙15の境界で全反射しないのは、ガラスの屈折率が約1.52、空気の屈折率が約1.00、紙の屈折率が約1.50という違いがあり、それによってガラスと空気との境界と、ガラスと紙との境界とで臨界角が異なるからである。
【0037】
また、ゴム部材16の押圧部分において当然ゴム部材16と紙15とが接触するので、ゴム部材16の押圧部分として明るく見える部分の形状及び大きさは、ゴム部材16と紙15との接触面の形状及び大きさと一致する。また、ゴム部材16と紙15との接触面の形状及び大きさは、ゴム部材16をガラス板11に直接押し付けたと仮定したときのゴム部材16とガラス板11との接触面の形状及び大きさとほぼ同じとみなすことができる。
【0038】
撮影装置10による観察方法に使用されるゴム部材16は、タイヤからプライやベルト等を剥がしたうえトレッドゴムの一部を切り出すことにより作製される。例えば、1つのゴム部材16は、タイヤから1つのブロックを切り出したものや、複数のブロックのまとまりを切り出したものである。
【0039】
撮影装置10による観察方法の実施の際、作業者は、紙15をガラス板11の上面11bに両面テープで貼り付けて固定する。次に、作業者は、撮影装置10が配置されている試験室の照明を消灯する。また、作業者は、太陽光等の光が試験室に入り込まないようにし、試験室の中にある機器等ができるだけ発光しないようにする。その状態で、作業者は、左右両側のライトガイド14を点灯させる。ライトガイド14のスリット24から発せられた光は、ガラス板11へ入射し、ガラス板11の内部で全反射する。
【0040】
次に、作業者は、カメラ13により撮影される写真(画像)における輝度と圧力との関係を求めるための事前試験を行う。事前試験においては、作業者は、紙15の上から複数水準の圧力を負荷し、それぞれの圧力を負荷したときにカメラ13による撮影を行う。
【0041】
事前試験のために、作業者は、圧力を負荷するための圧力負荷治具25(
図6参照)を準備する。圧力負荷治具25は、上から見て円形又は長方形のものであり、その円形又は長方形の圧力負荷範囲に、一定の圧力を負荷するものである。詳細には、
図4に示すように、圧力負荷治具25の下面26にはその縁に沿って円形又は長方形(
図4の場合は円形)のゴムパッキン27が設けられている。さらに、圧力負荷治具25には、ゴムパッキン27の内側へ空気を導入するための不図示の流路と、その流路に接続された不図示のエアーコンプレッサーとが設けられている。また、圧力負荷治具25を上から押さえ付けるための重りや機構等の押さえ付け具が、圧力負荷治具25に付属している。この構造により、エアーコンプレッサーからゴムパッキン27の内側へ空気が送られ、ゴムパッキン27の内側の圧力負荷範囲において圧力が高まることとなる。圧力負荷範囲は、限定されないが、円形の場合は直径が例えば60mm~70mm程度であり、長方形の場合は例えば奥行260mm~270mm×横25mm~35mmである。圧力負荷範囲の圧力が高まっても、押さえ付け具の作用により、圧力負荷治具25は浮き上がらない。
【0042】
作業者は、押さえ付け具を利用してこの圧力負荷治具25を紙15の上から押し付けることでゴムパッキン27の内側を密閉し、ゴムパッキン27の内側に空気を導入することで圧力負荷範囲の圧力を高め、それにより紙15の上から圧力を負荷する。作業者は、このようにして紙15の上から圧力を負荷している間に、カメラ13によりガラス板11の下から写真を撮影する。圧力負荷範囲では光の全反射が阻害される(つまり、光が全反射しなくなりガラス板11の上面11bを透過して紙15に当たる)ので、カメラ13の撮影する写真においては、圧力負荷範囲が明るく写り、それ以外の部分はほぼ黒に見える。また、
図5(a)~(c)に示すように、負荷された圧力が大きいほど、ガラス板11と紙15との間の空気層が薄くなり、圧力負荷範囲がより明るく見える。また、紙15の表面には小さな凹凸があり、時にはガラス板11と紙15との間に異物があるため、撮影される写真においては、圧力負荷範囲全体が均一な輝度になるのではなく、1ピクセルごとに異なる輝度となる。
【0043】
作業者は、紙15の上から複数水準の圧力を負荷し、それぞれの圧力の負荷中にカメラ13で写真を撮影する。圧力の大きさは、後述する本試験におけるゴム部材16による押圧の圧力を含むように設定される。圧力の水準は、少なくとも3水準以上、好ましくは8水準以上である。例えば、作業者は、負荷する圧力を100kPa、200kPa、300kPa、と徐々に増加させ、圧力を変えるごとにカメラ13で写真を撮影する。
【0044】
負荷する圧力が変わっても、紙15及びカメラ13の位置は変わらない。そのため、常に紙15の同じ範囲が写真(画像)に写る。
【0045】
カメラ13により撮影されたそれぞれの圧力での写真(画像)は、解析装置17に取得される。このようにして取得されるそれぞれの圧力についての写真(画像)を、それぞれ第1画像とする。
【0046】
なお、1つの圧力負荷治具25による圧力負荷範囲は限られている。そのため、後述する本試験において広範囲にゴム部材16を押圧する予定の場合は、作業者は、1つの圧力負荷治具25を使用して
図6(a)、(b)に示すように複数の場所でそれぞれ同じ圧力を負荷し、それら複数の場所の写真を撮影する。そして、それら複数の場所の写真のデータを結合することにより、その圧力についての広範囲の第1画像を取得する。なお、写真のデータは輝度のマトリクスデータであり、例えばマトリクスの1~400行目を1枚目の写真のデータとし401~1000行目を2枚目の写真のデータとする等してデータを結合する。このようにして取得した第1画像の範囲内で、本試験の際にゴム部材16を押圧する。もちろん、本試験においてゴム部材16を押圧する範囲が狭い場合は、作業者は、それぞれの圧力において、
図6(c)、(d)に示すように圧力負荷治具25による圧力の負荷を1つの場所で行えば十分である。
【0047】
次に、解析装置17は、事前試験で負荷されたそれぞれの圧力と、それぞれの圧力において取得された第1画像における1ピクセルごとの輝度とから、圧力と輝度との関係式を1ピクセルごとに求める。
【0048】
具体的には、解析装置17は、事前試験で負荷されたそれぞれの圧力と、それぞれの圧力において取得された第1画像における輝度とのデータについて、一次関数や二次関数等の関数を使用してフィッティングを行う。解析装置17は、このフィッティングを第1画像のそれぞれのピクセルについて行う。フィッティングの方法は、最小二乗法等の公知の方法である。その結果求まる関数を、それぞれのピクセルにおける圧力と輝度との関係式とする。
【0049】
図7に、それぞれのピクセルにおける圧力と輝度との関係式を求めるイメージを示す。この図のように、解析装置17は、第1画像の1ピクセルごとに、圧力と輝度との関係を示すデータ(各グラフの中の点)を関数(各グラフの中の直線)でフィッティングし、その関数をそのピクセルにおける圧力と輝度との関係式とする。
図7には3ピクセル分しか示されていないが、実際には、解析装置17は全てのピクセルについてこのようにして関係式を求める。
【0050】
このように1ピクセルごとに関係式を求める理由は、実際に、1ピクセルごとに圧力と輝度との関係が異なるためである。詳細には、紙15の表面の凹凸、紙15とガラス板11との間の異物(例えば、埃、ゴミ、汚れ等)、周囲の光の入り込み等の影響で、同じ圧力が負荷されても、撮影される写真における輝度は1ピクセルごとに異なる。そのため、圧力と輝度との関係が、1ピクセルごとに異なるためである。
【0051】
次に、作業者は本試験を行う。本試験は、事前試験のときにガラス板11に貼り付けた紙15をそのまま使用して行われる。事前試験と本試験では、ガラス板11、紙15、カメラ13及びライトガイド14の位置関係は変わらない。そのため、事前試験のときと同じ光の条件で、事前試験のときと同じ撮影範囲の写真が、本試験でも撮影される。
【0052】
本試験において、作業者は、ゴム部材16を治具21に取り付け、その治具21を撮影装置10の保持部12に保持させる。保持部12は、治具21を介してゴム部材16を保持すると、そのゴム部材16をガラス板11上の紙15に押圧し、さらに、紙15の上を一定の速度で移動させて滑らせる。滑りにより、ゴム部材16はせん断変形する。
【0053】
このような保持部12の動作の間、カメラ13がガラス板11の下から複数枚の写真を撮影する。撮影範囲は、ゴム部材16の押圧部分を含む範囲である。ゴム部材16の押圧部分では光の全反射が阻害される(つまり、光が全反射しなくなりガラス板11の上面11bを透過して紙15に当たる)ので、カメラ13の撮影する写真においては、押圧部分が明るく写り、それ以外の部分はほぼ黒に見える。また、写真には輝度分布がある。具体的には、押圧の圧力が大きくガラス板11と紙15との間の空気層が薄い部分ほど明るく見え、ガラス板11と紙15が密着した部分は一番明るく見える。
【0054】
一例として、
図8(a)のようにゴム部材16の左側の部分が紙15に押圧されているときに取得される画像を、
図8(b)に示す。
図8(a)、(b)から、ゴム部材16の押圧部分が明るく、その他の部分が黒い画像が取得されることがわかる。また、紙15に強く押し付けられて圧力が大きい部分ほど明るいことがわかる。
【0055】
ゴム部材16をガラス板11上の紙15に押圧してから、ゴム部材16の滑りが終了しカメラ13による複数枚の写真の撮影が完了するまでが、1回の滑り試験である。
【0056】
本試験においてカメラ13により撮影された写真(画像)は、解析装置17に取得される。本試験において取得されるそれぞれの写真(画像)を第2画像とする。解析装置17に取得される第2画像には、その第2画像の撮影時刻が紐付けられている。
【0057】
次に、解析装置17が、圧力と輝度との上記関係式を使用して、それぞれの第2画像の輝度を、1ピクセルごとに圧力に変換する。これにより、輝度分布画像であった第2画像が、ゴム部材16と紙15との接触面における接触圧分布を表す画像である圧力分布画像が取得される。
【0058】
参考として、第2画像の例を
図9(a)に示し、その第2画像の輝度を圧力に変換して得られた圧力分布画像を
図9(b)に示す。
図9(a)、(b)からわかるように、第2画像に見られるまだら模様が、圧力分布画像では軽減される。
【0059】
解析装置17は、圧力分布画像を利用して様々な解析を行うことができる。例えば、第2画像と同様に、圧力分布画像も撮影時刻と紐付けられている。そのため、所定長さの時間に撮影された複数の圧力分布画像に基づき、滑り中のゴム部材16における接触圧分布の時系列変化を明らかにすることができる。また、異なる複数の温度条件下でそれぞれ本試験を行い、温度の違いによる接触圧分布の違いを明らかにすることもできる。また、圧力分布画像からゴム部材16と紙15との接触面積を求め、接触面積に時系列変化を明らかにすることもできる。
【0060】
以上のように、本実施形態の観察方法は、事前試験として、ガラス板11の上に紙15を配置し、紙15の上から複数水準の圧力を負荷し、それぞれの圧力を負荷されたときの輝度分布のある画像である第1画像をガラス板11の下から撮影するステップと、それぞれの圧力についての第1画像に基づき撮影範囲の1ピクセルごとの圧力と輝度との関係式を求めるステップとを含んでいる。これにより、紙15の表面の凹凸、紙15とガラス板11との間の異物(例えば、埃、ゴミ、汚れ等)、周囲の光の入り込み等が存在することにより1ピクセルごとに圧力と輝度との関係が異なるとしても、その1ピクセルごとの関係を式として把握することができる。
【0061】
さらに、本実施形態の観察方法は、本試験として、紙15の上からゴム部材16を押圧し、紙15についての輝度分布のある画像である第2画像をガラス板11の下から撮影するステップを含んでいる。このとき取得される第2画像には、紙15の表面の凹凸、紙15とガラス板11との間の異物、周囲の光の入り込み等によるムラがある。
【0062】
しかし、本実施形態の観察方法は、上記関係式に基づき、第2画像の輝度を1ピクセルごとに圧力に変換し、それによりゴム部材16と紙15との接触面における接触圧分布を表す圧力分布画像を取得するステップを含んでいる。このように、上記関係式を利用して1ピクセルごとに第2画像の輝度を圧力に変換することにより、第2画像に含まれる紙15の表面の凹凸等によるムラを除去した形で、接触圧分布を取得することができる。従って、ゴム部材16の接触面におけるより正確な接触圧分布を取得することができる。
【0063】
また、本実施形態の観察方法においては、作業者がガラス板11に光を入射してガラス板11の内部において全反射させる。また、作業者がガラス板11の上に紙15を配置する。その上で、保持部12が紙15の上からゴム部材16を押圧することにより、ゴム部材16と紙15との接触面を生じさせるとともに、その接触面の下において光が全反射しないようにする(つまり、光がガラス板11の上面11bを透過して紙15に当たるようにする)。その押圧部分をカメラ13がガラス板11の下から撮影することにより、ゴム部材16と紙15の表面との接触面の画像を取得する。
【0064】
この方法により、上記のように、押圧部分が明るくそれ以外の部分が黒い画像を取得することができ、ゴム部材16の接触面をより正確に観察することができる。また、画像における明るい部分は、ゴム部材16とガラス板11とが接触した場合の両者の接触面の形状及び大きさとほぼ同じとみなすことができる。
【0065】
また、ガラス板11の上に紙15が配置されるため、試験室に太陽光が差し込んでいたり試験室内で照明が点いていたりしても、その光がガラス板11を通過してカメラ13に入り込むことを防ぐことができる。つまり、紙15が太陽光等の外乱光を遮断する。そのため、カメラ13に入り込む光をライトガイド14からの間接照明のみとすることができる。また、ガラス板11の上に紙15が配置されるため、紙15より上にあるゴム部材16や治具21等がカメラ13で撮影する画像に入り込むことを防ぐことができる。このような紙15の効果により、画像において押圧部分のみが明るく写ることになり、ゴム部材16の接触面をより正確に観察することができる。
【0066】
以上の実施形態に対し様々な変更を行うことができる。以下で説明する変更例のいずれか1つを上記実施形態に適用しても良いし、いずれか2つ以上を選択して組み合わせて上記実施形態に適用しても良い。例えば、メディアンフィルタに関して、次の変更例1と変更例2の両方を適用しても良いし、変更例1を適用せず変更例2を適用しても良いし、変更例2を適用せず変更例1を適用しても良い。
【0067】
<変更例1>
事前試験で取得される第1画像には、ノイズが含まれる場合がある。そのような場合には第1画像に対してメディアンフィルタ(Median Filter)をかけることが有効である。メディアンフィルタは、あるピクセルの輝度を、その周りのピクセルの輝度の中央値に変換するものである。第1画像にかけるメディアンフィルタのサイズは、3×3ピクセル(つまり、変換対象のピクセルを中心とする正方形で、縦3ピクセル、横3ピクセル)が好ましい。
【0068】
上記の通り、第1画像は複数水準の圧力についてそれぞれ取得されるので、解析装置17が、それら複数の第1画像にそれぞれメディアンフィルタをかける。第1画像にメディアンフィルタをかけたものを、補正後第1画像とする。このようにして、複数の圧力についてのそれぞれの補正後第1画像が取得される。
【0069】
解析装置17は、複数の圧力についてのそれぞれの補正後第1画像に基づき、撮影範囲の1ピクセルごとの圧力と輝度との関係式を求める。解析装置17は、その関係式を使用して、本試験で取得した第2画像の輝度を1ピクセルごとに圧力に変換し、ゴム部材16と紙15との接触面における接触圧分布を表す画像である圧力分布画像を取得する。これにより、第1画像にノイズが含まれていても、その影響を軽減することができ、接触圧分布の精度向上が見込める。
【0070】
第1画像に対してメディアンフィルタをかけることは、第1画像にノイズがある場合だけでなく、事前試験と本試験の間で紙15がガラス板11に対して僅かにずれることが懸念される場合にも有効である。そのような僅かなずれがあっても、第1画像に対してメディアンフィルタをかけることにより第1画像の輝度分布を平滑化することができ、1ピクセルごとに求まる圧力と輝度との関係式へのずれの影響を小さくすることができるためである。
【0071】
ただし、メディアンフィルタをかけることにより、紙15の表面の小さな凹凸等の第1画像への影響が失われてしまう可能性もある。そのため、第1画像にノイズが少ない場合や紙15のずれの可能性がない場合等、メディアンフィルタをかける必要性が低い場合は、第1画像に対してメディアンフィルタをかけない方が良い。
【0072】
この変更例の実施例として、第1画像の例を
図10(a)に示し、
図10(a)の四角枠の部分を拡大して
図10(b)に示す。そして、
図10(b)の画像に3×3ピクセルのメディアンフィルタをかけた画像を
図10(c)に、7×7ピクセルのメディアンフィルタをかけた画像を
図10(d)に、それぞれ示す。これらの図から、メディアンフィルタのサイズが大きくなるほど、画像が平滑化される一方で、細かい情報が失われることがわかる。
【0073】
<変更例2>
一般に、圧力分布画像における微小な斑点は、圧力分布画像を使用した各種の解析において不要な情報として取り扱われる場合が多い。そこで、圧力分布画像に微小な斑点がある場合はそれをノイズとみなし、その圧力分布画像に対してメディアンフィルタをかけて微小な斑点を除去することが好ましい。圧力分布画像に対してかけるメディアンフィルタのサイズは、3×3ピクセル、5×5ピクセル又は7×7ピクセルが好ましい。
【0074】
また、事前試験のときになかった異物が、本試験のときに紙15とガラス板11の間に入り込んだ場合には、圧力分布画像にその異物の影響が出てしまう。そのような場合には、圧力分布画像に対してメディアンフィルタをかけることが有効である。
【0075】
この変更例の実施例として、圧力分布画像の例を
図11(a)に示す。そして、この圧力分布画像に3×3ピクセルのメディアンフィルタをかけた画像を
図11(b)に、7×7ピクセルのメディアンフィルタをかけた画像を
図11(c)に、それぞれ示す。これらの図から、メディアンフィルタのサイズが大きくなるほど画像が平滑化されることがわかる。
【0076】
<変更例3>
撮影装置10の構造は上記実施形態のものに限定されない。例えば、透明体として、ガラス板11の代わりにアクリル板等が使用されても良い。また、カメラ13として動画を撮影できるものが使用され、動画の中から画像が取得されても良い。
【0077】
<変更例4>
ゴム部材16は、タイヤから切り出したものではなく、サンプルモールドによってサンプルとして作製されたものでも良い。
【0078】
<変更例5>
事前試験において紙15の上から圧力を負荷するために使用する圧力負荷治具は、上記実施形態のものに限定されない。圧力負荷治具は、紙15の上から圧力を負荷できるものであれば良い。ただし、圧力負荷治具は、上記実施形態の圧力負荷治具25のように、空気等の流体を、紙15と圧力負荷治具との間に形成される密閉空間に導入することにより、紙15に均等な圧力を負荷するものが好ましい。
【0079】
<変更例6>
植物等の天然繊維からなる紙15の代わりに、他のシート状のものを接触部材として使用することができる。例えば、繊維状高分子材料又は繊維状無機材料からなる紙や、繊維状ではなくシート状のものとして成形された合成樹脂シート等を、接触部材として使用することができる。
【0080】
いずれの接触部材も、表面の算術平均粗さ、表面の白色度及び厚みの好ましい範囲は、上記実施形態における紙15と同じである。
【符号の説明】
【0081】
10…撮影装置、11…ガラス板、11a…側面、11b…上面、11c…下面、12…保持部、13…カメラ、14…ライトガイド、15…紙、16…ゴム部材、17…解析装置、21…治具、22…結束ファイバー、23…筐体、24…スリット、25…圧力負荷治具、26…下面、27…ゴムパッキン