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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162643
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/59 20110101AFI20241114BHJP
【FI】
H01R12/59
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078366
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】中村 恵介
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA30
5E223AB01
5E223AB45
5E223AB59
5E223BA01
5E223BA08
5E223BB12
5E223BB17
5E223CB26
5E223CB62
5E223CD02
5E223DB08
5E223EA03
5E223EA13
(57)【要約】
【課題】導体が接続対象物の表面および裏面のいずれに露出していても、コンタクトを接続対象物の導体に電気的に接続することができるコネクタを提供する。
【解決手段】インナーコンタクト18は、プラグコンタクト13の凹部13Eの内面に接触する第1接点部P1と、第1接点部P1とは嵌合軸Cを挟んだ反対側で凹部13Eの内面に接触する第2接点部P2と、プラグコンタクト13のフランジ13Bの裏面に対向する第3接点部P3と、第2接点部P2よりも凹部13Eの基端に近い位置においてボトムインシュレータ17の規制部17Hに接触する被規制部P4を有し、シート状導電部材15の一部が、嵌合軸Cに沿った方向においてフランジ13Bの裏面とインナーコンタクト18の第3接点部P3との間に挟まれ、フランジ13Bの裏面がシート状導電部材15の表面に接触し、第3接点部P3がシート状導電部材15の裏面に接触する。
【選択図】図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合軸に沿って延び且つ内側に凹部が形成された筒状部と、前記筒状部の基端から前記嵌合軸に直交する方向に延びるフランジとを有する導電性のプラグコンタクトと、
一部が前記凹部内に挿入された状態で支持される導電性のインナーコンタクトと、
前記プラグコンタクトを保持するハウジングと
を備え、
前記ハウジングは、前記プラグコンタクトの前記凹部内に配置され且つ前記インナーコンタクトの回転を規制する規制部を有し、
前記インナーコンタクトは、前記凹部の内面に接触して前記プラグコンタクトに電気的に接続される第1接点部と、前記第1接点部とは前記嵌合軸を挟んだ反対側で且つ前記第1接点部よりも前記凹部の前記基端に近い位置における前記凹部の内面に接触する第2接点部と、前記嵌合軸に直交する方向に延び且つ前記フランジに対向する第3接点部と、前記第2接点部よりも前記凹部の前記基端に近い位置において前記第2接点部とは反対方向を向いて前記規制部に接触する被規制部を有し、
少なくとも一方の面に導体が露出しているシート状の接続対象物の一部が、前記嵌合軸に沿った方向において前記プラグコンタクトの前記フランジの裏面と前記インナーコンタクトの前記第3接点部との間に挟まれ、前記フランジの裏面が前記接続対象物の表面に接触し、前記第3接点部が前記接続対象物の裏面に接触することにより、前記導体が前記接続対象物の表面に露出する場合は、前記プラグコンタクトが直接前記導体に電気的に接続され、前記導体が前記接続対象物の裏面に露出する場合は、前記プラグコンタクトが前記インナーコンタクトを介して前記導体に電気的に接続されるコネクタ。
【請求項2】
前記インナーコンタクトは、
前記凹部内を横断するように前記嵌合軸に沿う軸方向および前記嵌合軸に直交する直交方向の双方に沿って延びる平板部と、
前記直交方向における前記平板部の一端から前記嵌合軸に沿い且つ前記凹部の前記基端に向かって延びる第1伸長部と、
前記第1伸長部の先端から前記直交方向に延びる腕部と、
前記直交方向における前記平板部の他端から前記嵌合軸に沿い且つ前記凹部の前記基端に向かって延びる第2伸長部と
を有し、
前記第1接点部は、前記直交方向における前記平板部の前記一端に配置され、
前記第2接点部は、前記直交方向における前記平板部の前記他端に配置され、
前記第3接点部は、前記腕部の先端に配置され、
前記被規制部は、前記第1伸長部に対向する前記第2伸長部の側面上に配置されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記インナーコンタクトは、前記平板部の前記一端から前記直交方向に突出し且つ先端に前記第1接点部が配置された引っ掛け部を有し、
前記プラグコンタクトは、前記凹部の内側に形成され且つ前記引っ掛け部を受け止める受け止め部を有する請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第3接点部は、弾性変位した状態で前記接続対象物の裏面に接触する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記嵌合軸に沿って延び且つ前記プラグコンタクトの前記凹部内に挿入される突起を有し、
前記突起は、前記インナーコンタクトが収容されるインナーコンタクト収容溝を有し、
前記規制部は、前記インナーコンタクト収容溝の内部に配置されている請求項1~4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記突起が形成されたボトムインシュレータを有し、
前記規制部は、前記突起の前記インナーコンタクト収容溝の内部に形成されている請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記インナーコンタクトは、前記平板部の表面から前記平板部の前記表面に直交する方向に突出形成された凸状の圧入部を有し、
前記インナーコンタクト収容溝は、前記インナーコンタクト収容溝の開口端部に配置された第1収容溝と、前記第1収容溝よりも前記インナーコンタクト収容溝の奥部に配置され且つ前記第1収容溝に連通する第2収容溝とを有し、
前記第1収容溝は、前記インナーコンタクトの前記圧入部が形成された部分を挿入可能な第1溝幅を有し、
前記第2収容溝は、前記圧入部が形成された部分における前記インナーコンタクトの厚さ寸法よりも狭い第2溝幅を有する請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記ハウジングは、
凹状のボス収容部が形成されたボトムインシュレータと、
前記ボス収容部に収容され且つ前記突起が形成されたボス部材と
を有し、
前記ボトムインシュレータは、前記ボス収容部の底部から前記嵌合軸に沿って突出する凸部を有し、
前記ボス部材は、前記インナーコンタクト収容溝に連通し且つ前記凸部が収容される凸部収容孔を有し、
前記規制部は、前記凸部の側面により形成されている請求項5に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記突起は、前記インナーコンタクト収容溝の底部に配置され且つ前記嵌合軸に沿った方向において前記インナーコンタクトに突き当たる突き当たり部を有する請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記プラグコンタクトの前記筒状部が貫通し且つ前記フランジよりも小さいコンタクト用貫通孔が形成されたトップインシュレータを備える請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コネクタに係り、特に、少なくとも一方の面に導体が露出しているシート状の接続対象物に接続されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、着用するだけで心拍数、体温等のユーザの生体情報を取得することができる、いわゆるスマート衣料が注目を浴びている。このスマート衣料は、計測箇所に配置された電極を備え、電極に計測機器としてのウエアラブルデバイスを電気的に接続することで、生体情報をウエアラブルデバイスに伝送することが可能となる。
電極とウエアラブルデバイスとの接続は、例えば、電極から引き出された導体に接続されるコネクタを用いることにより行うことができる。
【0003】
この種のコネクタとして、例えば、特許文献1に、図39に示されるようなコネクタが開示されている。コネクタは、フレキシブル基板1を間に挟んでフレキシブル基板1の両側に配置されたハウジング2およびベース部材3を有し、コンタクト4の筒状部4Aがハウジング2のコンタクト用貫通孔2Aに通され、コンタクト4のフランジ4Bがハウジング2とフレキシブル基板1の表面に露出する導体1Aとの間に挟まれる。
【0004】
この状態で、ベース部材3をハウジング2に向けて押し込むことで、図40に示されるように、ベース部材3の突起3Aが、フレキシブル基板1を間に挟んでコンタクト4の突起収容部4Cに挿入され、突起収容部4Cの内面が導体1Aに所定の接触力で接触し、これによりコンタクト4が導体1Aに電気的に接続される。
また、図39に示されるように、ベース部材3に突出形成されたハウジング固定用ポスト3Bをハウジング2のポスト収容部2Bに圧入することで、ハウジング2とベース部材3が、互いに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-129244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたコネクタにウエアラブルデバイスを嵌合することにより、導体からなる電極にウエアラブルデバイスを接続することができる。
しかしながら、導体1Aがフレキシブル基板1の裏面上に露出している場合には、特許文献1のコネクタでは、導体1Aをコンタクト4に電気的に接続することができないという問題がある。
【0007】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、導体が接続対象物の表面および裏面のいずれに露出していても、コンタクトを接続対象物の導体に電気的に接続することができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るコネクタは、
嵌合軸に沿って延び且つ内側に凹部が形成された筒状部と、筒状部の基端から嵌合軸に直交する方向に延びるフランジとを有する導電性のプラグコンタクトと、
一部が凹部内に挿入された状態で支持される導電性のインナーコンタクトと、
プラグコンタクトを保持するハウジングと
を備え、
ハウジングは、プラグコンタクトの凹部内に配置され且つインナーコンタクトの回転を規制する規制部を有し、
インナーコンタクトは、凹部の内面に接触してプラグコンタクトに電気的に接続される第1接点部と、第1接点部とは嵌合軸を挟んだ反対側で且つ第1接点部よりも凹部の基端に近い位置における凹部の内面に接触する第2接点部と、嵌合軸に直交する方向に延び且つフランジに対向する第3接点部と、第2接点部よりも凹部の基端に近い位置において第2接点部とは反対方向を向いて規制部に接触する被規制部を有し、
少なくとも一方の面に導体が露出しているシート状の接続対象物の一部が、嵌合軸に沿った方向においてプラグコンタクトのフランジの裏面とインナーコンタクトの第3接点部との間に挟まれ、フランジの裏面が接続対象物の表面に接触し、第3接点部が接続対象物の裏面に接触することにより、導体が接続対象物の表面に露出する場合は、プラグコンタクトが直接導体に電気的に接続され、導体が接続対象物の裏面に露出する場合は、プラグコンタクトがインナーコンタクトを介して導体に電気的に接続されるものである。
【0009】
インナーコンタクトは、
凹部内を横断するように嵌合軸に沿う軸方向および嵌合軸に直交する直交方向の双方に沿って延びる平板部と、
直交方向における平板部の一端から嵌合軸に沿い且つ凹部の基端に向かって延びる第1伸長部と、
第1伸長部の先端から直交方向に延びる腕部と、
直交方向における平板部の他端から嵌合軸に沿い且つ凹部の基端に向かって延びる第2伸長部と
を有し、
第1接点部は、直交方向における平板部の一端に配置され、
第2接点部は、直交方向における平板部の他端に配置され、
第3接点部は、腕部の先端に配置され、
被規制部は、第1伸長部に対向する第2伸長部の側面上に配置されていることが好ましい。
【0010】
インナーコンタクトは、平板部の一端から直交方向に突出し且つ先端に第1接点部が配置された引っ掛け部を有し、プラグコンタクトは、凹部の内側に形成され且つ引っ掛け部を受け止める受け止め部を有することが好ましい。
また、第3接点部は、弾性変位した状態で接続対象物の裏面に接触することが好ましい。
さらに、ハウジングは、嵌合軸に沿って延び且つプラグコンタクトの凹部内に挿入される突起を有し、突起は、インナーコンタクトが収容されるインナーコンタクト収容溝を有し、規制部は、インナーコンタクト収容溝の内部に配置されていることが好ましい。
【0011】
ハウジングは、突起が形成されたボトムインシュレータを有し、規制部は、突起のインナーコンタクト収容溝の内部に形成されているように構成することができる。
この場合、インナーコンタクトは、平板部の表面から平板部の表面に直交する方向に突出形成された凸状の圧入部を有し、インナーコンタクト収容溝は、インナーコンタクト収容溝の開口端部に配置された第1収容溝と、第1収容溝よりもインナーコンタクト収容溝の奥部に配置され且つ第1収容溝に連通する第2収容溝とを有し、第1収容溝は、インナーコンタクトの圧入部が形成された部分を挿入可能な第1溝幅を有し、第2収容溝は、圧入部が形成された部分におけるインナーコンタクトの厚さ寸法よりも狭い第2溝幅を有することが好ましい。
【0012】
あるいは、ハウジングは、凹状のボス収容部が形成されたボトムインシュレータと、ボス収容部に収容され且つ突起が形成されたボス部材とを有し、ボトムインシュレータは、ボス収容部の底部から前記嵌合軸に沿って突出する凸部を有し、ボス部材は、インナーコンタクト収容溝に連通し且つ凸部が収容される凸部収容孔を有し、規制部は、凸部の側面により形成されているように構成することもできる。
この場合、突起は、インナーコンタクト収容溝の底部に配置され且つ嵌合軸に沿った方向においてインナーコンタクトに突き当たる突き当たり部を有することが好ましい。
【0013】
また、プラグコンタクトの筒状部が貫通し且つフランジよりも小さいコンタクト用貫通孔が形成されたトップインシュレータを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、インナーコンタクトは、プラグコンタクトの凹部の内面に接触してプラグコンタクトに電気的に接続される第1接点部と、第1接点部とは嵌合軸を挟んだ反対側で且つ第1接点部よりも凹部の基端に近い位置における凹部の内面に接触する第2接点部と、嵌合軸に直交する方向に延び且つフランジに対向する第3接点部と、第2接点部よりも凹部の基端に近い位置において第2接点部とは反対方向を向いて規制部に接触する被規制部を有し、接続対象物の一部が、嵌合軸に沿った方向においてプラグコンタクトのフランジの裏面とインナーコンタクトの第3接点部との間に挟まれ、フランジの裏面が接続対象物の表面に接触し、第3接点部が接続対象物の裏面に接触することにより、導体が接続対象物の表面に露出する場合は、プラグコンタクトが直接導体に電気的に接続され、導体が接続対象物の裏面に露出する場合は、プラグコンタクトがインナーコンタクトを介して導体に電気的に接続されるので、導体が接続対象物の表面および裏面のいずれに露出していても、コンタクトを接続対象物の導体に電気的に接続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】接続対象物に接続された実施の形態1に係るコネクタを示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係るコネクタの分解斜視図である。
図3】実施の形態1のコネクタに用いられるトップインシュレータを示す斜視図である。
図4】実施の形態1のコネクタに用いられるボトムインシュレータを示す斜視図である。
図5】実施の形態1におけるボトムインシュレータに形成された突起を示す斜視図である。
図6】実施の形態1におけるボトムインシュレータに形成された突起を示す平面図である。
図7図6のA-A線断面図である。
図8】実施の形態1におけるボトムインシュレータに形成された突起のインナーコンタクト収容溝を示す部分断面図である。
図9】実施の形態1のコネクタに用いられるプラグコンタクトを示す斜視図である。
図10】実施の形態1のコネクタに用いられるプラグコンタクトを示す断面図である。
図11】実施の形態1のコネクタに接続される接続対象物を斜め上方から見た斜視図である。
図12】実施の形態1のコネクタに接続される接続対象物を斜め下方から見た斜視図である。
図13】実施の形態1のコネクタに用いられるインナーコンタクトを示す斜視図である。
図14】実施の形態1のコネクタに用いられるインナーコンタクトを示す正面図である。
図15】実施の形態1のコネクタに用いられるインナーコンタクトを示す側面図である。
図16】組み立て開始時における実施の形態1のコネクタのインナーコンタクト収容溝に挿入されるインナーコンタクトを示す一部破断斜視図である。
図17】組み立て開始時における実施の形態1のコネクタを示す断面図である。
図18】組み立て途中における実施の形態1のコネクタを示す断面図である。
図19】組み立て途中における実施の形態1のコネクタを示す他の断面図である。
図20】組み立て途中における実施の形態1のコネクタのインナーコンタクト収容溝に収容されたインナーコンタクトを示す一部破断斜視図である。
図21】組み立て途中における実施の形態1のコネクタを斜め下方から見た斜視図である。
図22】接続対象物に接続された実施の形態1のコネクタを示す断面図である。
図23】実施の形態2に係るコネクタの分解斜視図である。
図24】実施の形態2のコネクタに用いられるボトムインシュレータを示す斜視図である。
図25図24の要部拡大図である。
図26】実施の形態2のコネクタに用いられるボス部材を斜め上方から見た斜視図である。
図27】実施の形態2のコネクタに用いられるボス部材を斜め下方から見た斜視図である。
図28】実施の形態2のコネクタに用いられるボス部材を示す平面図である。
図29図28のB-B線断面図である。
図30図28のC-C線断面図である。
図31】実施の形態2のコネクタに接続される接続対象物を斜め上方から見た斜視図である。
図32】実施の形態2のコネクタに接続される接続対象物を斜め下方から見た斜視図である。
図33】実施の形態2のコネクタに用いられるインナーコンタクトを示す斜視図である。
図34】実施の形態2のコネクタに用いられるインナーコンタクトを示す正面図である。
図35】組み立て開始時における実施の形態2のコネクタを示す断面図である。
図36】組み立て途中における実施の形態2のコネクタを示す断面図である。
図37】組み立て途中における実施の形態2のコネクタを示す他の断面図である。
図38】接続対象物に接続された実施の形態2のコネクタを示す断面図である。
図39】従来のコネクタの分解斜視図である。
図40】従来のコネクタを示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に、実施の形態1に係るコネクタ11を示す。コネクタ11は、例えば、ウエアラブルデバイスを嵌合するための衣服側コネクタとして使用されるもので、絶縁性材料からなるハウジング12を有している。ハウジング12には、4つのプラグコンタクト13が保持され、さらに、ハウジング12により、シート状導電部材15が保持されている。シート状導電部材15は、コネクタ11が接続されるシート状の接続対象物を構成している。
4つのプラグコンタクト13は、互いに平行な2列に配列された状態で、シート状導電部材15に対して垂直に突出するように配置されている。
【0017】
ここで、便宜上、シート状導電部材15がXY面に沿って延び、4つのプラグコンタクト13の配列方向をY方向、4つのプラグコンタクト13がそれぞれ突出する方向を+Z方向と呼ぶことにする。Z方向は、コネクタ11が相手側コネクタと嵌合する嵌合方向となる。
【0018】
図2に、コネクタ11の分解斜視図を示す。コネクタ11は、トップインシュレータ16およびボトムインシュレータ17を有しており、これらトップインシュレータ16およびボトムインシュレータ17によりハウジング12が構成されている。
【0019】
トップインシュレータ16の-Z方向側に4つのプラグコンタクト13が配置され、4つのプラグコンタクト13の-Z方向側にシート状導電部材15が配置されている。さらに、シート状導電部材15の-Z方向側に4つのインナーコンタクト18が配置され、4つのインナーコンタクト18の-Z方向側にボトムインシュレータ17が配置されている。4つのインナーコンタクト18は、4つのプラグコンタクト13にそれぞれ対応している。
【0020】
図3に示されるように、トップインシュレータ16は、+Z方向に向かって開いている凹部16Aと、凹部16A内に形成された4つのコンタクト用貫通孔16Bを有している。凹部16Aは、図示しない相手側コネクタの一部が収容される相手側コネクタ収容部を構成するものであり、4つのコンタクト用貫通孔16Bは、4つのプラグコンタクト13に対応している。また、トップインシュレータ16の-Z方向を向いた面に、それぞれ-Z方向に突出する複数のボス16Cが形成されている。
【0021】
図4に示されるように、ボトムインシュレータ17は、平板部17Aを有し、平板部17Aの+Z方向を向いた表面上に4つのコンタクト配置領域17Bが区画されている。コンタクト配置領域17Bは、シート状導電部材15を介して対応するプラグコンタクト13を配置するための円形の領域である。4つのコンタクト配置領域17Bには、それぞれ、コンタクト配置領域17Bの中央部から+Z方向に突出する4つの突起17Cが形成されている。
また、平板部17Aには、トップインシュレータ16の複数のボス16Cに対応する複数の貫通孔17Dが形成されている。
【0022】
図5および図6に示されるように、ボトムインシュレータ17のコンタクト配置領域17Bに形成された突起17Cは、コンタクト配置領域17Bに対応して配置されるプラグコンタクト13の嵌合軸Cに沿ってZ方向に延びるほぼ円柱形状を有しており、突起17Cおよび突起17Cの-X方向側におけるコンタクト配置領域17Bにインナーコンタクト収容溝17Eが形成されている。
【0023】
インナーコンタクト収容溝17Eは、対応するインナーコンタクト18を収容するもので、嵌合軸Cを通り且つXZ面に沿って延び、図7に示されるように、突起17Cの+Z方向部分をX方向に貫通し、突起17Cの根本部分からコンタクト配置領域17Bにまで延びている。
【0024】
また、インナーコンタクト収容溝17Eは、開口端部となるインナーコンタクト収容溝17Eの+Z方向端部に形成された第1収容溝17Fと、第1収容溝17Fの-Z方向側の奥部に配置され且つ第1収容溝17Fに連通する第2収容溝17Gを有している。これらの第1収容溝17Fおよび第2収容溝17Gは、互いに異なる溝幅を有している。すなわち、図8に示されるように、第1収容溝17Fおよび第2収容溝17G以外の部分のインナーコンタクト収容溝17EのY方向の溝幅W1に対して、第1収容溝17Fは、溝幅W1よりも広い第1溝幅W2を有し、第2収容溝17Gは、溝幅W1よりも広く且つ第1溝幅W2よりも狭い第2溝幅W3を有している。
さらに、図7に示されるように、突起17Cは、インナーコンタクト収容溝17Eの内部に配置され且つ+X方向を向いた面により形成された規制部17Hを有している。
【0025】
4つのプラグコンタクト13は、それぞれ、金属等の導電性材料から形成され、トップインシュレータ16の凹部16Aに図示しない相手側コネクタの一部が収容された場合に、相手側コネクタの対応するコンタクトに接続されるものである。
図9に示されるように、プラグコンタクト13は、嵌合軸Cに沿ってZ方向に延びる円筒形状の筒状部13Aと、筒状部13Aの-Z方向端部からXY面に沿って延びる平板形状のフランジ13Bを有している。筒状部13Aは、-Z方向側に位置する大径部13Cと、大径部13Cの+Z方向側に同心状に接続された小径部13Dを有している。
【0026】
図10に示されるように、筒状部13Aの内部には、-Z方向に向かって開放された凹部13Eが形成されており、小径部13Dの+Z方向端部における凹部13Eの内面には、XY面に沿って環状に延びる窪みからなる受け止め部13Fが形成されている。また、大径部13Cと小径部13Dの境界部分における凹部13Eの内面には、XY面に沿って環状に延びる段部13Gが形成されている。
受け止め部13Fから対向する小径部13Dの内面までのX方向に沿った間隔L11は、大径部13Cの内径L12よりも小さく、小径部13Dの内径L13よりも大きい値を有している。
【0027】
なお、嵌合軸Cは、筒状部13Aの中心を通り且つコネクタ11と相手側コネクタとの嵌合方向であるZ方向に延びる軸である。
また、筒状部13Aは、円筒形状を有しているが、内部に凹部13Eを有するものであれば、断面形状は円形に限らず、楕円、多角形等の各種の断面形状を有することもできる。
なお、4つのプラグコンタクト13は、いずれも、電気信号を伝送するための端子として使用することができる。
【0028】
シート状導電部材15は、それぞれ導体から形成された複数の配線層と、複数の絶縁層とが積層された多層構造を有している。
図11に示されるように、シート状導電部材15には、それぞれシート状導電部材15をZ方向に貫通する4つの円形の開口部15Aが形成されている。4つの開口部15Aは、4つのプラグコンタクト13に対応している。シート状導電部材15の+Z方向を向いた表面上には、それぞれの開口部15Aの-X方向側に隣接して配線層15Bが+Z方向に向けて露出しており、4つの開口部15Aとこれらの開口部15Aに隣接する4つの配線層15B以外の領域には、絶縁層15Cが露出している。
【0029】
開口部15Aは、シート状導電部材15をZ方向に貫通しているので、図12に示されるように、シート状導電部材15の-Z方向を向いた裏面にも、4つの開口部15Aが見えている。
シート状導電部材15の-Z方向を向いた裏面においては、4つの開口部15Aの-X方向側に隣接して配線層15Dが-Z方向に向けて露出しており、4つの開口部15Aとこれらの開口部15Aに隣接する4つの配線層15D以外の領域には、絶縁層15Eが露出している。
また、図11および図12に示されるように、シート状導電部材15の周縁部には、トップインシュレータ16の複数のボス16Cに対応する複数の貫通孔15Fが形成されている。
【0030】
図13および図14に示されるように、インナーコンタクト18は、所定の形状に切り抜かれた、導電性を有する平板状の金属板からなり、XZ面に沿って延びる平板部18Aを有している。平板部18Aの-X方向端部から-Z方向に向かって第1伸長部18Bが延び、第1伸長部18Bの-Z方向端部から-X方向に向かって腕部18Cが延び、また、平板部18Aの+X方向端部から-Z方向に向かって第2伸長部18Dが延びている。平板部18Aと第1伸長部18Bと第2伸長部18Dは、コネクタ11が組み立てられた場合に、対応するプラグコンタクト13の凹部13E内に挿入される。
【0031】
平板部18Aの-X方向端部で且つ+Z方向端部に、-X方向に突出する引っ掛け部18Eが形成されている。引っ掛け部18Eは、-X方向に向かってアングル状または山形状に突出しており、引っ掛け部18Eの-X方向端部に、-Z方向を向いた第1接点部P1が設定されている。
平板部18Aの+X方向端部で且つ第1接点部P1よりも-Z方向側に、+X方向に向かって凸状に突出する突出部18Fが形成されており、突出部18Fの+X方向端部に+X方向を向いた第2接点部P2が設定されている。
【0032】
第1接点部P1と第2接点部P2の間のX方向に沿った間隔L21は、図10に示されるプラグコンタクト13の受け止め部13Dから対向する小径部13Dの内面までのX方向に沿った間隔L11よりもわずかに大きく、大径部13Cの内径L12よりも小さく、小径部13Dの内径L13よりも大きい。
【0033】
また、腕部18Cの-X方向端部には、+Z方向に向かって凸状に突出する突出部18Gが形成されており、突出部18Gの+Z方向端部に+Z方向を向いた第3接点部P3が設定されている。
第1伸長部18Bに対向する第2伸長部18Dの-Z方向端部の側面には、-X方向を向いた被規制部P4が設定されている。
【0034】
さらに、+Y方向を向いた平板部18Aの表面上に+Y方向に向かって突出する凸状の圧入部18Hが形成されている。圧入部18Hは、例えば、-Y方向から平板部18Aに対して押し付け力を加えて平板部18Aを変形させることにより形成することができる。
このような圧入部18Hの存在により、図15に示されるように、圧入部18Hが形成された部分におけるインナーコンタクト18の厚さD2は、圧入部18Hが形成されていない部分におけるインナーコンタクト18の厚さD1よりも厚くなっている。
【0035】
また、圧入部18Hは、図7に示されるボトムインシュレータ17の突起17Cの第1収容溝17Fおよび第2収容溝17Gに対応するX方向位置に形成されている。
なお、図8に示されるボトムインシュレータ17の突起17Cのインナーコンタクト収容溝17Eの溝幅W1は、圧入部18Hが形成されていない部分におけるインナーコンタクト18の厚さD1よりもわずかに広く、第1収容溝17Fの第1溝幅W2は、圧入部18Hが形成された部分におけるインナーコンタクト18の厚さD2にほぼ等しく、第2収容溝17Gの第2溝幅W3は、圧入部18Hが形成された部分におけるインナーコンタクト18の厚さD2よりも狭くなるように構成されている。
【0036】
トップインシュレータ16の4つのコンタクト用貫通孔16Bと、4つのプラグコンタクト13と、シート状導電部材15の4つの開口部15Aと、4つのインナーコンタクト18と、ボトムインシュレータ17の4つのコンタクト配置領域17Bは、互いにZ方向に整列する位置に配置されている。
また、トップインシュレータ16の複数のボス16Cと、シート状導電部材15の複数の貫通孔15Fと、ボトムインシュレータ17の複数の貫通孔17Dは、互いにZ方向に整列する位置に配置されている。
【0037】
コネクタ11を組み立てる際には、まず、4つのインナーコンタクト18が、ボトムインシュレータ17の4つの突起17Cのインナーコンタクト収容溝17Eにそれぞれ保持される。突起17Cのインナーコンタクト収容溝17Eの+Z方向端部に形成された第1収容溝17Fは、圧入部18Hが形成された部分におけるインナーコンタクト18の厚さD2にほぼ等しい第1溝幅W2を有しているので、図16に示されるように、それぞれのインナーコンタクト18は、圧入部18Hが、対応する突起17Cの第1収容溝17Fに+Z方向から挿入されて第1収容溝17Fと第2収容溝17Gの境界部分に位置する状態で保持される。
【0038】
次に、図17に示されるように、トップインシュレータ16の4つのコンタクト用貫通孔16Bにそれぞれ対応するプラグコンタクト13の筒状部13Aが-Z方向から挿入され、シート状導電部材15を間に挟んで、ボトムインシュレータ17がトップインシュレータ16に向けて+Z方向に押し付けられる。
【0039】
このとき、ボトムインシュレータ17の突起17Cのインナーコンタクト収容溝17Eに保持されているインナーコンタクト18がボトムインシュレータ17と共に+Z方向に押し上げられ、インナーコンタクト18の平板部18Aは、シート状導電部材15の開口部15Aを通して対応するプラグコンタクト13の凹部13E内に挿入される。
【0040】
ここで、図14に示されるインナーコンタクト18の引っ掛け部18Eの-X方向端部と突出部18Fの+X方向端部の間のX方向に沿った間隔L21は、プラグコンタクト13の大径部13Cの内径L12よりも小さく、且つ、小径部13Dの内径L13よりも大きい。このため、インナーコンタクト18の平板部18Aは、プラグコンタクト13の大径部13C内を+Z方向に移動することができるが、引っ掛け部18Eよりも-Z方向側に位置する突出部18Fは、小径部13D内に入ることはできず、図18に示されるように、大径部13Cと小径部13Dの境界部分に位置する段部13Gに引っ掛かる。
【0041】
その結果、インナーコンタクト18は、図18において反時計回りに所定角度だけ回転した姿勢になって、プラグコンタクト13の凹部13E内を+Z方向に移動する。
これに伴って、インナーコンタクト18の第1伸長部18Bおよび第2伸長部18Dもプラグコンタクト13の凹部13E内に挿入され、さらに、第1伸長部18Bの-Z方向端部から-X方向に向かって延びる腕部18Cの-X方向端部に形成されている突出部18Gがシート状導電部材15の-Z方向側の裏面に接触する。
【0042】
この状態で、ボトムインシュレータ17がさらに+Z方向に押し付けられると、インナーコンタクト18の第1伸長部18Bおよび腕部18Cを弾性変形させつつ、平板部18Aが+Z方向に移動し、図19に示されるように、引っ掛け部18Eが、プラグコンタクト13の凹部13Eに形成されている受け止め部13Fに受け止められる。
これにより、インナーコンタクト18は、図19において時計回りに回転し、腕部18Cの突出部18Gがシート状導電部材15から-Z方向に押し付けられ、且つ、平板部18Aの突出部18Fがプラグコンタクト13の小径部13Dの内面から-X方向に押し付けられた状態でプラグコンタクト13に保持される。
【0043】
さらに、ボトムインシュレータ17がトップインシュレータ16に向けて+Z方向に押し付けられると、インナーコンタクト18はプラグコンタクト13に保持されているので、ボトムインシュレータ17の突起17Cがインナーコンタクト18に対して+Z方向に相対的に移動し、図20に示されるように、インナーコンタクト18の圧入部18Hが、対応する突起17Cの第1収容溝17Fから第2収容溝17Gに挿入される。
ここで、図8に示される突起17Cの第2収容溝17Gの第2溝幅W3は、圧入部18Hが形成された部分におけるインナーコンタクト18の厚さD2よりも狭い第2溝幅W3を有しているため、圧入部18Hは、突起17Cの第2収容溝17Gに圧入され、インナーコンタクト18は、ボトムインシュレータ17の突起17Cに保持されることとなる。
【0044】
また、ボトムインシュレータ17をトップインシュレータ16に押し付けることにより、トップインシュレータ16の複数のボス16Cが、シート状導電部材15の複数の貫通孔15Fおよびボトムインシュレータ17の複数の貫通孔17Dを順次貫通する。そして、図21に示されるように、ボトムインシュレータ17の-Z方向側に突出する複数のボス16Cの先端を熱変形させることにより、トップインシュレータ16とボトムインシュレータ17が互いに固定され、コネクタ11の組み立てが完了する。
【0045】
このようにして組み立てられたコネクタ11においては、図22に示されるように、インナーコンタクト18の第2伸長部18Dの-Z方向端部に設定されている被規制部P4が、ボトムインシュレータ17の突起17Cのインナーコンタクト収容溝17Eの内部に形成されている規制部17Hに接触し、これにより、インナーコンタクト18は、図22において反時計回りの回転が規制される。
【0046】
また、プラグコンタクト13のフランジ13Bが、シート状導電部材15の対応する開口部15Aの周辺に位置し、インナーコンタクト18の腕部18Cの-X方向端部に形成されている突出部18Gとプラグコンタクト13のフランジ13Bの-Z方向側の裏面の間にシート状導電部材15が挟まれる。
【0047】
インナーコンタクト18は、平板部18Aの引っ掛け部18Eに設定されている第1接点部P1がプラグコンタクト13の受け止め部13Fから+X方向および+Z方向に向かう力F1を受け、平板部18Aの突出部18Fに設定されている第2接点部P2がプラグコンタクト13の小径部13Dの内面から-X方向に向かう力F2を受け、腕部18Cの突出部18Gに設定されている第3接点部P3がシート状導電部材15の裏面から-Z方向に向かう力F3を受け、第2伸長部18Dに設定されている被規制部P4がボトムインシュレータ17の規制部17Hから+X方向に向かう力F4を受けた状態で保持されている。
【0048】
このように、第1接点部P1および第2接点部P2が、プラグコンタクト13の凹部13Eの内面に押し付けられて接触することで、インナーコンタクト18がプラグコンタクト13に電気的に接続される。
また、シート状導電部材15の+Z方向側の表面は、プラグコンタクト13のフランジ13Bの裏面に押し付けられ、シート状導電部材15の-Z方向側の裏面は、インナーコンタクト18の第3接点部P3に押し付けられる。
【0049】
ここで、図11および図12に示されるように、シート状導電部材15の表面には、開口部15Aの-X方向側に隣接して配線層15Bが露出し、シート状導電部材15の裏面には、開口部15Aの-X方向側に隣接して配線層15Dが露出している。
従って、シート状導電部材15の表面の配線層15Bがプラグコンタクト13のフランジ13Bの裏面に所定の接触圧で接触し、また、シート状導電部材15の裏面の配線層15Dがインナーコンタクト18の第3接点部P3に所定の接触圧で接触する。
【0050】
このため、シート状導電部材15の表面に露出している配線層15Bは、直接プラグコンタクト13に電気的に接続され、シート状導電部材15の裏面に露出している配線層15Dは、インナーコンタクト18を介してプラグコンタクト13に電気的に接続される。すなわち、配線層15Bおよび15Dの双方が、プラグコンタクト13に接続されることとなる。
【0051】
このように、コネクタ11によれば、インナーコンタクト18を用いることにより、シート状導電部材15の表面側に配置された導体からなる配線層15Bと裏面側に配置された導体からなる配線層15Dの双方を、1つのプラグコンタクト13に電気的に接続することが可能となる。
従って、表面側にのみ導体が露出しているシート状導電部材にコネクタ11を接続すれば、プラグコンタクト13をシート状導電部材の表面側の導体に電気的に接続することができ、また、裏面側にのみ導体が露出しているシート状導電部材にコネクタ11を接続すれば、プラグコンタクト13をシート状導電部材の裏面側の導体に電気的に接続することができる。
【0052】
さらに、この実施の形態1におけるシート状導電部材15のように、表面側および裏面側にそれぞれ導体が露出しているシート状導電部材にコネクタ11を接続すれば、プラグコンタクト13をシート状導電部材の表面側の導体と裏面側の導体の双方に電気的に接続することができる。例えば、表面側および裏面側にそれぞれシールド層を構成する導体が露出し、これらのシールド層の間に信号配線層を構成する導体が双方のシールド層から絶縁された状態で積層された多層構造のシート状導電部材を接続対象物とすれば、表面側および裏面側のシールド層に接続されたプラグコンタクト13をグランド電位に接続することで、信号配線層に対するシールド効果が発揮され、電磁波等による外乱の影響を抑制した高精度の信号伝送を行うことが可能となる。
【0053】
なお、それぞれのプラグコンタクト13は、フランジ13Bがトップインシュレータ16とボトムインシュレータ17の間に挟まれることによりトップインシュレータ16およびボトムインシュレータ17に固定されている。
【0054】
また、インナーコンタクト18は、力F1~F4を受けた状態で保持されており、摩擦力を無視した場合、第1接点部P1に作用する力F1と、第2接点部P2に作用する力F2と、第3接点部P3に作用する力F3と、被規制部P4に作用する力F4は、互いにつり合った状態にある。
すなわち、力F1のX方向の分力をF1X、力F1のZ方向の分力をF1Zとすると、
F2=F1X+F4 ・・・(1)
F3=F1Z ・・・(2)
の関係が成り立つ。なお、F1、F2、F3、F4、F1X、F1Zは、いずれも絶対値で示されているものとする。
【0055】
また、例えば、第1接点部P1を中心とするモーメントのつり合いから、第1接点部P1と第3接点部P3との間のX方向における距離をLX、第1接点部P1と第2接点部P2との間のZ方向における距離をLZ1、第1接点部P1と被規制部P4との間のZ方向における距離をLZ2とすると、
(F2×LZ1)=(F3×LX)+(F4×LZ2) ・・・(3)
の関係が成り立つ。
【0056】
上記の式(3)からわかるように、被規制部P4に力F4が作用することで、第1接点部P1と第3接点部P3との間のX方向における距離LXを小さくすることができる。仮に、インナーコンタクト18の被規制部P4がボトムインシュレータ17の突起17Cの規制部17Hに接触することなく、規制部17Hから+X方向に向かう力F4を受けないものとすると、モーメントをつり合わせてインナーコンタクト18を保持するために、第1接点部P1と第3接点部P3との間のX方向における距離LXを大きくして図22における時計回りのモーメントを増大させる必要がある。すなわち、X方向に延びる腕部18Cの長さを長くする必要が生じ、コネクタ11の大型化を招くこととなる。
【0057】
実施の形態1によれば、シート状導電部材15の表面および裏面のいずれに配線層15B、15Dが露出していてもプラグコンタクト13をシート状導電部材15の配線層15B、15Dに電気的に接続することが可能で且つ小型のコネクタ11を実現することができる。
【0058】
実施の形態2
図23に、実施の形態2に係るコネクタ21の分解斜視図を示す。コネクタ21は、トップインシュレータ16およびボトムインシュレータ27からなるハウジング22を有している。
トップインシュレータ16の-Z方向側に4つのプラグコンタクト13が配置され、4つのプラグコンタクト13の-Z方向側にシート状導電部材25が配置されている。さらに、シート状導電部材25の-Z方向側に4つのインナーコンタクト28が配置され、4つのインナーコンタクト28の-Z方向側に4つのボス部材29が配置され、4つのボス部材29の-Z方向側にボトムインシュレータ27が配置されている。
【0059】
トップインシュレータ16と4つのプラグコンタクト13は、実施の形態1のコネクタ11で用いられているものと同一である。
また、4つのインナーコンタクト28および4つのボス部材29は、4つのプラグコンタクト13にそれぞれ対応している。
【0060】
図24に示されるように、ボトムインシュレータ27は、平板部27Aを有し、平板部27Aの+Z方向を向いた表面上に4つのコンタクト配置領域27Bが区画されている。コンタクト配置領域27Bは、シート状導電部材25を介して対応するプラグコンタクト13を配置するための円形の領域である。4つのコンタクト配置領域27Bには、それぞれ、コンタクト配置領域27Bの中央部から+Z方向に突出する4つの凸部27Cが形成されている。
また、平板部27Aには、トップインシュレータ16の複数のボス16Cに対応する複数の貫通孔27Dが形成されている。
【0061】
図25に示されるように、ボトムインシュレータ27のコンタクト配置領域27Bは、凹状で且つ円形の形状を有し、凸部27Cは、コンタクト配置領域27Bに対応して配置されるプラグコンタクト13の嵌合軸Cに沿ってZ方向に延びる円柱形状を有している。凸部27Cの外周に沿った側面により、規制部27Eが形成されている。
【0062】
図26図28に示されるように、ボス部材29は、円板形状の基部29Aと、基部29Aの中央部から+Z方向に突出する突起29Bを有しており、突起29Bおよび突起29Bの-X方向側における基部29Aにインナーコンタクト収容溝29Cが形成されている。また、基部29Aは、ボトムインシュレータ27の凹状のコンタクト配置領域27Bに収容されるサイズを有している。
【0063】
インナーコンタクト収容溝29Cは、対応するインナーコンタクト28を収容するもので、嵌合軸Cを通り且つXZ面に沿って延び、図29に示されるように、突起29Bの+Z方向部分をX方向に貫通し、突起29Bの根本部分から基部29Aにまで延びている。インナーコンタクト収容溝29Cは、インナーコンタクト28の厚さよりもわずかに広いY方向の溝幅を有している。
また、突起29Bは、インナーコンタクト収容溝29Cの内部に配置され且つ+Z方向を向いた突き当たり部29Dを有している。
【0064】
また、図29および図30に示されるように、ボス部材29は、嵌合軸Cに沿って基部29Aの-Z方向側の裏面から突起29Bの内部まで延び且つインナーコンタクト収容溝29Cに連通する凸部収容孔29Eを有している。凸部収容孔29Eは、基部29Aの-Z方向側の裏面から-Z方向に向かって開放されており、コネクタ21の組み立て時に、ボトムインシュレータ27の凸部27Cが収容されるものである。
【0065】
シート状導電部材25は、それぞれ導体から形成された複数の配線層と、複数の絶縁層とが積層された多層構造を有している。
図31に示されるように、シート状導電部材25には、それぞれシート状導電部材25をZ方向に貫通する4つの円形の開口部25Aが形成されている。4つの開口部25Aは、4つのプラグコンタクト13に対応している。シート状導電部材25の+Z方向を向いた表面上には、それぞれの開口部25Aの周辺に、開口部25Aを囲むように配線層25Bが+Z方向に向けて露出しており、4つの開口部25Aとこれらの開口部25Aの周辺に配置された4つの配線層25B以外の領域には、絶縁層25Cが露出している。
【0066】
開口部25Aは、シート状導電部材25をZ方向に貫通しているので、図32に示されるように、シート状導電部材25の-Z方向を向いた裏面にも、4つの開口部25Aが見えている。
【0067】
シート状導電部材25の-Z方向を向いた裏面においては、4つの開口部25Aの周辺に、開口部25Aを囲むように配線層25Dが-Z方向に向けて露出しており、4つの開口部25Aとこれらの開口部25Aの周辺に配置された4つの配線層25D以外の領域には、絶縁層25Eが露出している。
また、図31および図32に示されるように、シート状導電部材25の周縁部には、トップインシュレータ16の複数のボス16Cに対応する複数の貫通孔25Fが形成されている。
【0068】
図33および図34にインナーコンタクト28を示す。インナーコンタクト28は、実施の形態1で用いられたインナーコンタクト18において、平板部18Aの表面上に形成された圧入部18Hを有しないものであり、圧入部18H以外の構成は、インナーコンタクト18と同様である。
【0069】
すなわち、インナーコンタクト28は、所定の形状に切り抜かれた、導電性を有する平板状の金属板からなり、XZ面に沿って延びる平板部18Aと、平板部18Aの-X方向端部から-Z方向に向かって延びる第1伸長部18Bと、第1伸長部18Bの-Z方向端部から-X方向に向かって延びる腕部18Cと、平板部18Aの+X方向端部から-Z方向に向かって延びる第2伸長部18Dを有している。
【0070】
平板部18Aの-X方向端部で且つ+Z方向端部に、-X方向に突出する引っ掛け部18Eが形成され、引っ掛け部18Eの-X方向端部に、-Z方向を向いた第1接点部P1が設定されている。
平板部18Aの+X方向端部で且つ第1接点部P1よりも-Z方向側に、+X方向に突出する突出部18Fが形成されており、突出部18Fの+X方向端部に+X方向を向いた第2接点部P2が設定されている。
【0071】
第1接点部P1と第2接点部P2の間のX方向に沿った間隔L21は、図10に示されるプラグコンタクト13の受け止め部13Dから対向する小径部13Dの内面までのX方向に沿った間隔L11よりもわずかに大きく、大径部13Cの内径L12よりも小さく、小径部13Dの内径L13よりも大きい。
【0072】
また、腕部18Cの-X方向端部に、+Z方向に向かって突出する突出部18Gが形成され、突出部18Gの+Z方向端部に+Z方向を向いた第3接点部P3が設定されている。
第1伸長部18Bに対向する第2伸長部18Dの-Z方向端部の側面には、-X方向を向いた被規制部P4が設定されている。
【0073】
トップインシュレータ16の4つのコンタクト用貫通孔16Bと、4つのプラグコンタクト13と、シート状導電部材25の4つの開口部25Aと、4つのインナーコンタクト28と、4つのボス部材29と、ボトムインシュレータ27の4つのコンタクト配置領域27Bは、互いにZ方向に整列する位置に配置されている。
また、トップインシュレータ16の複数のボス16Cと、シート状導電部材25の複数の貫通孔25Fと、ボトムインシュレータ27の複数の貫通孔27Dは、互いにZ方向に整列する位置に配置されている。
【0074】
コネクタ21を組み立てる際には、まず、4つのインナーコンタクト28が、4つのボス部材29の突起29Bのインナーコンタクト収容溝29Cにそれぞれ保持される。インナーコンタクト収容溝29Cは、インナーコンタクト28の厚さよりもわずかに広いY方向の溝幅を有しており、インナーコンタクト28は、+Z方向からインナーコンタクト収容溝29Cに挿入され、図35に示されるように、第1伸長部18Bと第2伸長部18Dの間における平板部18Aの-Z方向端部が、インナーコンタクト収容溝29C内の突き当たり部29Dに接触した状態で保持される。
【0075】
次に、トップインシュレータ16の4つのコンタクト用貫通孔16Bにそれぞれ対応するプラグコンタクト13の筒状部13Aが-Z方向から挿入され、シート状導電部材25を間に挟んで、4つのボス部材29がそれぞれトップインシュレータ16に向けて+Z方向に押し付けられる。
【0076】
このとき、ボス部材29の突起29Bのインナーコンタクト収容溝29Cに保持されているインナーコンタクト28がボス部材29と共に+Z方向に押し上げられ、インナーコンタクト28の平板部18Aは、シート状導電部材25の開口部25Aを通して対応するプラグコンタクト13の凹部13E内に挿入される。
【0077】
ここで、図34に示されるインナーコンタクト28の引っ掛け部18Eの-X方向端部と突出部18Fの+X方向端部の間のX方向に沿った間隔L21は、プラグコンタクト13の大径部13Cの内径L12よりも小さく、且つ、小径部13Dの内径L13よりも大きい。このため、インナーコンタクト28の平板部18Aは、プラグコンタクト13の大径部13C内を+Z方向に移動することができるが、引っ掛け部18Eよりも-Z方向側に位置する突出部18Fは、小径部13D内に入ることはできず、図36に示されるように、大径部13Cと小径部13Dの境界部分に位置する段部13Gに引っ掛かる。
【0078】
その結果、インナーコンタクト28は、図36において反時計回りに所定角度だけ回転した姿勢になって、プラグコンタクト13の凹部13E内を+Z方向に移動する。
これに伴って、インナーコンタクト28の第1伸長部18Bおよび第2伸長部18Dもプラグコンタクト13の凹部13E内に挿入され、さらに、第1伸長部18Bの-Z方向端部から-X方向に向かって延びる腕部18Cの-X方向端部に形成されている突出部18Gがシート状導電部材25の-Z方向側の裏面に接触する。
【0079】
この状態で、ボス部材29がさらに+Z方向に押し付けられると、インナーコンタクト28の第1伸長部18Bおよび腕部18Cを弾性変形させつつ、平板部18Aが+Z方向に移動し、図37に示されるように、引っ掛け部18Eが、プラグコンタクト13の凹部13Eに形成されている受け止め部13Fに受け止められる。
これにより、インナーコンタクト28は、図37において時計回りに回転し、腕部18Cの突出部18Gがシート状導電部材25から-Z方向に押し付けられて弾性変位し、且つ、平板部18Aの突出部18Fがプラグコンタクト13の小径部13Dの内面から-X方向に押し付けられた状態でプラグコンタクト13に保持される。
【0080】
ここで、ボトムインシュレータ27をトップインシュレータ16に向けて押し付けることにより、ボトムインシュレータ27の4つの凸部27Cが、それぞれ、-Z方向から対応するボス部材29の凸部収容孔29Eに挿入される。
【0081】
また、ボトムインシュレータ27をトップインシュレータ16に押し付けることにより、トップインシュレータ16の複数のボス16Cが、シート状導電部材25の複数の貫通孔25Fおよびボトムインシュレータ27の複数の貫通孔27Dを順次貫通する。そして、ボトムインシュレータ27の-Z方向側に突出する複数のボス16Cの先端を熱変形させることにより、トップインシュレータ16とボトムインシュレータ27が互いに固定され、コネクタ21の組み立てが完了する。
【0082】
このようにして組み立てられたコネクタ21においては、図38に示されるように、ボス部材29の基部29Aが、ボトムインシュレータ27の凹状のコンタクト配置領域27Bに収容され、ボス部材29の凸部収容孔29Eに挿入されたボトムインシュレータ27の凸部27Cの側面からなる規制部27Eが、凸部収容孔29Eに連通するインナーコンタクト収容溝29Cに挿入されているインナーコンタクト28の第2伸長部18Dの-Z方向端部に設定されている被規制部P4に接触する。これにより、インナーコンタクト28は、図38において反時計回りの回転が規制される。
【0083】
また、プラグコンタクト13のフランジ13Bが、シート状導電部材25の対応する開口部25Aの周辺に位置し、インナーコンタクト28の腕部18Cの-X方向端部に形成されている突出部18Gとプラグコンタクト13のフランジ13Bの-Z方向側の裏面の間にシート状導電部材25が挟まれる。
【0084】
インナーコンタクト28は、平板部18Aの引っ掛け部18Eに設定されている第1接点部P1がプラグコンタクト13の受け止め部13Fから+X方向および+Z方向に向かう力F1を受け、平板部18Aの突出部18Fに設定されている第2接点部P2がプラグコンタクト13の小径部13Dの内面から-X方向に向かう力F2を受け、腕部18Cの突出部18Gに設定されている第3接点部P3がシート状導電部材25の裏面から-Z方向に向かう力F3を受けて弾性変位し、第2伸長部18Dに設定されている被規制部P4がボトムインシュレータ27の凸部27Cの規制部27Eから+X方向に向かう力F4を受けた状態で保持されている。
【0085】
このように、第1接点部P1および第2接点部P2が、プラグコンタクト13の凹部13Eの内面に押し付けられて接触することで、インナーコンタクト28がプラグコンタクト13に電気的に接続される。
また、シート状導電部材25の+Z方向側の表面は、プラグコンタクト13のフランジ13Bの裏面に押し付けられ、シート状導電部材25の-Z方向側の裏面は、インナーコンタクト28の第3接点部P3に押し付けられる。
【0086】
ここで、図31および図32に示されるように、シート状導電部材25の表面には、開口部25Aの周辺に配線層25Bが露出し、シート状導電部材25の裏面には、開口部25Aの周辺に配線層25Dが露出している。
従って、シート状導電部材25の表面の配線層25Bがプラグコンタクト13のフランジ13Bの裏面に所定の接触圧で接触し、また、シート状導電部材25の裏面の配線層25Dがインナーコンタクト28の第3接点部P3に所定の接触圧で接触する。
【0087】
このため、シート状導電部材25の表面に露出している配線層25Bは、直接プラグコンタクト13に電気的に接続され、シート状導電部材25の裏面に露出している配線層25Dは、インナーコンタクト28を介してプラグコンタクト13に電気的に接続される。すなわち、配線層25Bおよび25Dの双方が、プラグコンタクト13に接続されることとなる。
【0088】
このように、コネクタ21によれば、実施の形態1のコネクタ11と同様に、シート状導電部材25の表面側に配置された導体からなる配線層25Bと裏面側に配置された導体からなる配線層25Dの双方を、1つのプラグコンタクト13に電気的に接続することが可能となる。
従って、表面側にのみ導体が露出しているシート状導電部材にコネクタ21を接続すれば、プラグコンタクト13をシート状導電部材の表面側の導体に電気的に接続することができ、また、裏面側にのみ導体が露出しているシート状導電部材にコネクタ21を接続すれば、プラグコンタクト13をシート状導電部材の裏面側の導体に電気的に接続することができる。
【0089】
また、実施の形態1のコネクタ11と同様に、インナーコンタクト28の被規制部P4にボトムインシュレータ27の凸部27Cの規制部27Eから力F4が作用することで、小型のコネクタ21を実現することができる。
【0090】
なお、プラグコンタクト13の筒状部13Aは、嵌合軸Cに沿って延びる円筒形状を有し、ボス部材29の突起29Bは、円板形状の基部29Aの中央部に突出形成され、ボトムインシュレータ27の凸部27Cは、円形のコンタクト配置領域27Bの中央部に突出形成され、シート状導電部材25の配線層25B、25Dは、それぞれシート状導電部材25の表面および裏面において開口部25Aの周辺に開口部25Aを囲むように露出している。
【0091】
このため、突起29Bにインナーコンタクト28が保持されたボス部材29をトップインシュレータ16に向けて+Z方向に押し付ける際に、インナーコンタクト28が嵌合軸Cの回りのいずれの回転方向を向いていても、インナーコンタクト28の平板部18A、第1伸長部18Bおよび第2伸長部18Dをプラグコンタクト13の凹部13Eに挿入し、さらに、ボトムインシュレータ27の凸部27Cをボス部材29の凸部収容孔29Eに挿入して、シート状導電部材25の配線層25B、25Dをプラグコンタクト13に電気的に接続することができる。なお、ボトムインシュレータ27の凸部27Cの外周に沿った側面のうち、インナーコンタクト28の被規制部P4に面した部分が規制部27Eとなって被規制部P4に力F4を作用することとなる。
【0092】
上記の実施の形態1および2では、プラグコンタクト13が、シート状導電部材15、25の表面側に露出している配線層15B、25Bとシート状導電部材15、25の裏面側に露出している配線層15D、25Dの双方に接続されているが、例えば、シート状導電部材15、25の裏面側に露出している配線層15D、25Dのみをプラグコンタクト13に接続することもできる。
【0093】
上記の実施の形態1および2において用いられるシート状導電部材15、25は、多層構造を有しているが、これに限るものではなく、少なくとも一方の面に露出する導体を有するものであればよい。
また、上記の実施の形態1および2では、シート状導電部材15、25の配線層15B、25Bおよび配線層15D、25Dからなる2層の導体が、1つのプラグコンタクト13に接続されるが、これに限るものではなく、3層以上の導体を1つのプラグコンタクト13に接続することもできる。
【0094】
また、上記の実施の形態1および2に係るコネクタ11、21は、4つのプラグコンタクト13を有しているが、プラグコンタクト13の個数に限定されるものではなく、少なくとも、シート状導電部材15、25の少なくとも一方の面に露出する導体に電気的に接続される1つのプラグコンタクト13を有していればよい。
【符号の説明】
【0095】
1 フレキシブル基板、1A 導体、2 ハウジング、2A コンタクト用貫通孔、2B ポスト収容部、3 ベース部材、3A 突起、3B ハウジング固定用ポスト、4 コンタクト、4A 筒状部、4B フランジ、4C 突起収容部、11,21 コネクタ、12,22 ハウジング、13 プラグコンタクト、13A 筒状部、13B フランジ、13C 大径部、13D 小径部、13E 凹部、13F 受け止め部、13G 段部、15,25 シート状導電部材、15A,25A 開口部、15B,15D,25B,25D 配線層、15C,15E,25C,25E 絶縁層、15F,25F 貫通孔、16 トップインシュレータ、16A 凹部、16B コンタクト用貫通孔、16C ボス、17,27 ボトムインシュレータ、17A,27A 平板部、17B,27B コンタクト配置領域、17C,29B 突起、17D,27D 貫通孔、17E,29C インナーコンタクト収容溝、17F 第1収容溝、17G 第2収容溝、17H,27E 規制部、18,28 インナーコンタクト、18A 平板部、18B 第1伸長部、18C 腕部、18D 第2伸長部、18E 引っ掛け部、18F,18G 突出部、18H 圧入部、27C 凸部、29 ボス部材、29A 基部、29D 突き当たり部、29E 凸部収容孔、C 嵌合軸、P1 第1接点部、P2 第2接点部、P3 第3接点部、P4 被規制部、W1 溝幅、W2 第1溝幅、W3 第2溝幅、L11 間隔、L12,L13 内径、D1,D2 厚さ、F1,F2,F3,F4 力、F1X,F1Z 分力、LX,LZ1,LZ2 距離。
図1
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