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特開2024-162647画像形成装置、および制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162647
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】画像形成装置、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241114BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241114BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20241114BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G03G21/00 380
G03G21/00 386
G03G21/00 510
B41J29/38 204
B41J29/42 F
H04N1/00 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078371
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中澤 美樹
(72)【発明者】
【氏名】神谷 昌弘
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061CQ04
2C061CQ23
2C061CQ34
2C061CQ36
2C061HJ07
2C061HK07
2C061HK11
2C061HN04
2C061HN08
2C061HN15
2H270LA54
2H270LC02
2H270LC04
2H270LC22
2H270LD03
2H270LD08
2H270PA14
2H270QA13
2H270QB06
2H270QB14
2H270QB21
2H270RA27
2H270RC07
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB30
5C062AB32
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC58
5C062AC69
5C062AD02
5C062AD03
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF00
(57)【要約】
【課題】適切な記録媒体をユーザーに容易に把握させることが可能な画像形成装置、および制御プログラムを提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、対象記録媒体に画像を形成する。この画像形成装置10は、記録媒体の銘柄および製造者の少なくとも一方に関する情報を含む記録媒体情報を表示させる操作表示部13と、記録媒体の属性毎に、画像形成装置10への使用を推奨する記録媒体である推奨記録媒体、および画像形成装置10への使用を推奨しない記録媒体である非推奨記録媒体の少なくとも一方の記録媒体情報を含む表示情報を操作表示部13に表示させる制御部11とを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
記録媒体の銘柄および製造者の少なくとも一方に関する情報を含む記録媒体情報を表示させる表示部と、
前記記録媒体の属性毎に、前記画像形成装置への使用を推奨する前記記録媒体である推奨記録媒体、および前記画像形成装置への使用を推奨しない前記記録媒体である非推奨記録媒体の少なくとも一方の前記記録媒体情報を含む表示情報を前記表示部に表示させる制御部と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記対象記録媒体が収容される収容部の設定に関する収容記録媒体情報の入力を受け付ける受付部をさらに有し、
前記受付部が前記収容記録媒体情報の入力を受け付けるとき、前記制御部は前記表示情報を前記表示部に表示させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記対象記録媒体が収容される収容部の開閉を検知する開閉検知部をさらに有し、
前記開閉検知部によって、前記収容部の開閉が検知されたとき、前記制御部は前記表示情報を前記表示部に表示させる請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
搬送路における前記対象記録媒体の搬送不良を検知する搬送検知部をさらに有し、
前記搬送検知部によって、前記対象記録媒体の搬送不良が検知されたとき、前記制御部は前記表示情報を前記表示部に表示させる請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記表示情報は、複数の前記推奨記録媒体各々の前記記録媒体情報および複数の前記非推奨記録媒体各々の前記記録媒体情報の少なくとも一方を含む請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記表示情報は、複数の前記推奨記録媒体各々の優先度に関する情報を含む請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記録媒体情報は、前記記録媒体の坪量、紙種、推奨率およびジャム率の少なくともいずれか一つをさらに含む請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成時のトラブルに関するトラブル情報と、前記トラブルの発生した画像形成に使用された前記対象記録媒体の前記記録媒体情報とを関連付けて記憶する記憶部を有し、
前記制御部は、記憶された前記トラブル情報に基づいて、前記推奨記録媒体および前記非推奨記録媒体の少なくとも一方の前記記録媒体情報を決定する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
外部装置から、前記推奨記録媒体および前記非推奨記録媒体の少なくとも一方の前記記録媒体情報を取得する取得部をさらに有し、
前記制御部は、取得された前記記録媒体情報に基づいて、前記表示情報を前記表示部に表示させる請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記対象記録媒体の物性に関する物性情報を検出する物性検出部をさらに有し、
前記制御部は、検出された前記物性情報に基づいて、前記推奨記録媒体および前記非推奨記録媒体の少なくとも一方の前記記録媒体情報を決定する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項11】
対象記録媒体に画像を形成する画像形成装置の制御プログラムであって、
記録媒体の銘柄および製造者の少なくとも一方に関する情報を含む記録媒体情報を取得することと、
前記記録媒体の属性毎に、前記画像形成装置への使用を推奨する前記記録媒体である推奨記録媒体、および前記画像形成装置への使用を推奨しない前記記録媒体である非推奨記録媒体の少なくとも一方の前記記録媒体情報を含む表示情報を表示部に表示させることとをコンピューターに実行させる制御プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、給紙用のトレイから用紙を搬送経路に給紙し、用紙を搬送経路で搬送し、搬送中の用紙にトナー像を形成した後、トナー像を用紙に熱定着することで、用紙に画像を形成する。
【0003】
用紙に適切に画像を形成するためには、用紙種類や用紙サイズ等の用紙の属性に合わせて適切な画像形成条件を選択する必要がある(たとえば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-154268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、市場には膨大な種類の用紙が存在しており、その中には、電子写真方式の画像形成装置による良好な画像形成が困難となる粗悪紙が存在する。そのような粗悪紙を用いると、紙詰まり等のトラブルが発生し、ユーザーにとって不利益となる。ユーザーが、粗悪紙であると知らないまま、この粗悪紙を使用すると、紙詰まり等のトラブルが頻繁に発生しやすくなる。この場合、ユーザーには、トラブルの解消方法がわからず、ユーザーが、さらなる不利益を被るおそれがある。
【0006】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものである。すなわち、適切な記録媒体をユーザーに容易に把握させることが可能な画像形成装置、および制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0008】
(1)対象記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、記録媒体の銘柄および製造者の少なくとも一方に関する情報を含む記録媒体情報を表示させる表示部と、前記記録媒体の属性毎に、前記画像形成装置への使用を推奨する前記記録媒体である推奨記録媒体、および前記画像形成装置への使用を推奨しない前記記録媒体である非推奨記録媒体の少なくとも一方の前記記録媒体情報を含む表示情報を前記表示部に表示させる制御部とを備える画像形成装置。
【0009】
(2)前記対象記録媒体が収容される収容部の設定に関する収容記録媒体情報の入力を受け付ける受付部をさらに有し、前記受付部が前記収容記録媒体情報の入力を受け付けるとき、前記制御部は前記表示情報を前記表示部に表示させる上記(1)に記載の画像形成装置。
【0010】
(3)前記対象記録媒体が収容される収容部の開閉を検知する開閉検知部をさらに有し、前記開閉検知部によって、前記収容部の開閉が検知されたとき、前記制御部は前記表示情報を前記表示部に表示させる上記(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0011】
(4)搬送路における前記対象記録媒体の搬送不良を検知する搬送検知部をさらに有し、前記搬送検知部によって、前記対象記録媒体の搬送不良が検知されたとき、前記制御部は前記表示情報を前記表示部に表示させる上記(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0012】
(5)前記表示情報は、複数の前記推奨記録媒体各々の前記記録媒体情報および複数の前記非推奨記録媒体各々の前記記録媒体情報の少なくとも一方を含む上記(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0013】
(6)前記表示情報は、複数の前記推奨記録媒体各々の優先度に関する情報を含む上記(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0014】
(7)前記記録媒体情報は、前記記録媒体の坪量、紙種、推奨率およびジャム率の少なくともいずれか一つをさらに含む上記(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0015】
(8)画像形成時のトラブルに関するトラブル情報と、前記トラブルの発生した画像形成に使用された前記対象記録媒体の前記記録媒体情報とを関連付けて記憶する記憶部を有し、前記制御部は、記憶された前記トラブル情報に基づいて、前記推奨記録媒体および前記非推奨記録媒体の少なくとも一方の前記記録媒体情報を決定する上記(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0016】
(9)外部装置から、前記推奨記録媒体および前記非推奨記録媒体の少なくとも一方の前記記録媒体情報を取得する取得部をさらに有し、前記制御部は、取得された前記記録媒体情報に基づいて、前記表示情報を前記表示部に表示させる上記(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0017】
(10)前記対象記録媒体の物性に関する物性情報を検出する物性検出部をさらに有し、前記制御部は、検出された前記物性情報に基づいて、前記推奨記録媒体および前記非推奨記録媒体の少なくとも一方の前記記録媒体情報を決定する上記(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0018】
(11)対象記録媒体に画像を形成する画像形成装置の制御プログラムであって、記録媒体の銘柄および製造者の少なくとも一方に関する情報を含む記録媒体情報を取得することと、前記記録媒体の属性毎に、前記画像形成装置への使用を推奨する前記記録媒体である推奨記録媒体、および前記画像形成装置への使用を推奨しない前記記録媒体である非推奨記録媒体の少なくとも一方の前記記録媒体情報を含む表示情報を表示部に表示させることとをコンピューターに実行させる制御プログラム。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る画像形成装置、および制御プログラムでは、記録媒体の属性毎に、表示情報が表示部に表示される。表示情報は、推奨記録媒体および非推奨記録媒体の少なくとも一方の記録媒体情報を含んでいる。これにより、適切な記録媒体をユーザーに容易に把握させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
図2図1に示した画像形成装置の全体構成を示す断面模式図である。
図3図1に示した画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図3に示した物性検出部の構成を示す模式図である。
図5図1に示したサーバーのハードウェア構成を示すブロック図である。
図6図5に示した記憶部に、一定期間に蓄積された情報、および当該情報に基づく高通紙信頼性装置順位の算出結果を示す図である。
図7】用紙銘柄基準データを示す図である。
図8】IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の統計処理により算出されたヒストグラムを示す図である。
図9】高通紙信頼性装置に通紙された用紙の物性値との適合率の高い用紙銘柄の判定結果を示す図である。
図10図5に示した記憶部に、一定期間に蓄積された情報、および当該情報に基づく低通紙信頼性装置順位の算出結果を示す図である。
図11】IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の統計処理により算出されたヒストグラムを示す図である。
図12】低通紙信頼性装置に通紙された用紙の物性値との適合率の高い用紙銘柄の判定結果を示す図である。
図13図2に示した操作表示部に表示されるトップメニュー画面の一例を示す図である。
図14図2に示した操作表示部に表示される給紙トレイ設定画面の一例を示す図である。
図15】推奨記録媒体の記録媒体情報を含む表示情報の一例を示す図である。
図16】非推奨記録媒体の記録媒体情報を含む表示情報の一例を示す図である。
図17】推奨記録媒体および非推奨記録媒体各々の記録媒体情報を含む表示情報の一例を示す図である。
図18】複数の推奨記録媒体各々の優先度に関する情報を含む表示情報の一例を示す図である。
図19】記録媒体の銘柄および製造者に関する情報とともに、他の情報を含む記録媒体情報の一例を示す図である。
図20】サーバーの動作を示すフローチャートである。
図21】画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
図22】変形例1に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
図23】変形例2に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る、画像形成装置、および制御プログラムについて説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。本実施形態においては、記録媒体には、用紙(薄紙、普通紙、厚紙、再生紙、およびコート紙を含む)、長尺紙、封筒、ハガキ、長尺紙、および各種フィルムが含まれる。以下、説明を簡単にするために、記録媒体が用紙である場合を例に説明する。
【0022】
<実施形態>
[情報処理システム1の構成]
図1は、画像形成装置10を含む情報処理システム1の概略構成を示す図である。図2は、画像形成装置10の全体構成を示す断面模式図である。図3は、画像形成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0023】
情報処理システム1は、たとえば、1つ、または複数の画像形成装置10(10-1~10-n)、およびサーバー20を含んでいる。複数の画像形成装置10は各々、たとえば、画像形成装置10-1~画像形成装置10-nである。情報処理システム1は、さらに、端末装置30を含んでもよい。画像形成装置10は、たとえば、MFP(MultiFunction Peripheral)により構成される。端末装置30は、たとえば、PC(Personal Computer)、タブレット端末、またはスマートフォン等である。この端末装置30は、たとえば、画像形成装置10を維持および管理するサービススタッフ管理会社等のユーザーにより使用される。画像形成装置10、サーバー20および端末装置30は、ネットワークを介して互いに通信可能に接続される。サーバー20は、たとえば、クラウドサーバーにより構成される。サーバー20は、オンプレミスサーバーにより構成されてもよい。本実施形態では、サーバー20が、本発明の外部装置の一具体例に対応する。
【0024】
サーバー20は、各画像形成装置10から、各画像形成装置10により画像が形成された用紙Sのメディア検出情報を各画像形成装置10から受信することで取得する。サーバー20は、各画像形成装置10から、各画像形成装置10により画像が形成された用紙Sの出力情報を各画像形成装置10から受信することで取得し得る。サーバー20は、各画像形成装置10から、各画像形成装置10により用紙Sに形成された画像の印刷設定情報を各画像形成装置10から受信することで取得し得る。以下の説明では、用紙Sの出力情報を、単に「出力情報」と称する場合がある。本実施形態では、用紙Sが本発明の「対象記録媒体」の一具体例に対応する
メディア検出情報には、後述の物性検出部17により検出された、用紙Sの物性情報が含まれる。用紙Sの物性情報には、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の少なくともいずれかが含まれ得る。IR透過率は、可視光の波長より長い近赤外線の波長の光の透過率であり得る。B透過率は、可視光に含まれる青色の光の透過率であり得る。G反射率は、可視光に含まれる緑色の光の反射率であり得る。以下の説明では、上記の近赤外線の波長の光を第1照射光、青色の光を第2照射光、緑色の光を第3照射光と称する。
【0025】
出力情報は、画像形成装置10における用紙Sの出力に関連する情報である。出力情報には、ジャム発生情報、および用紙Sの通紙枚数の情報が含まれ得る。ジャム発生情報は、記録媒体に正常に印刷(画像形成)がなされたか否かの情報を構成する。用紙Sの通紙枚数は、用紙Sの印刷枚数とも言う。
【0026】
印刷設定情報は、印刷ジョブに含まれる印刷設定の情報である。印刷設定情報には、たとえば、用紙種類の情報が含まれる。以下、用紙種類を、紙種という場合がある。印刷ジョブとは、画像形成装置10に対する印刷命令の総称であり、印刷データおよび印刷設定が含まれる。印刷データとは、印刷の対象である文書のデータであり、印刷データには、たとえば、イメージデータ、ベクタデータ、テキストデータといった各種データが含まれ得る。具体的には、印刷データは、PDF(Portable Document Format)データ、PDL(Page Description Language)データ、またはTIFF(Tagged Image File Format)データであり得る。印刷設定とは、用紙Sへの画像形成に関する設定であり、たとえば、紙種、ページ数、印刷部数、カラーまたはモノクロの選択、およびページ割付等の各種設定が含まれる。
【0027】
サーバー20は、各画像形成装置10から取得した、メディア検出情報、出力情報、および印刷設定情報を記憶部22(図5参照)の蓄積情報DB(データベース)に蓄積する。サーバー20は、メディア検出情報から用紙銘柄を抽出(特定)するための、後述する用紙銘柄基準データを記憶部22に記憶する。
【0028】
サーバー20は、蓄積情報DBに蓄積された、出力情報とメディア検出情報とに基づいて、推奨記録媒体および非推奨記録媒体の少なくとも一方の記録媒体情報を決定する。推奨記録媒体は、画像形成装置10への使用を推奨する用紙である。非推奨記録媒体は、画像形成装置10への使用を推奨しない用紙である。記録媒体情報は、特定の記録媒体を、他の記録媒体と区別する情報である。この記録媒体情報は、用紙銘柄および用紙製造者の少なくとも一方に関する情報を含んでいる。用紙製造者は、たとえば、用紙メーカー等である。記録媒体情報は、さらに、他の情報を含んでいてもよい。たとえば、記録媒体情報は、さらに、坪量などの用紙重量、紙種、推奨率およびジャム率の少なくともいずれか一つを含んでいる。サーバー20は、決定した記録媒体情報を各画像形成装置10へ送信する。
【0029】
画像形成装置10、サーバー20、および端末装置30についてさらに詳細に説明する。
【0030】
(画像形成装置10)
画像形成装置10は、制御部11、記憶部12、操作表示部13、給紙部14、搬送部15、画像形成部16、物性検出部17、および通信部18を含む(図3)。本実施形態では、操作表示部13が、本発明の表示部および受付部の一具体例に対応する。
【0031】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリーを有する。CPUは、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を実行する。メモリーは、たとえば、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等により構成される。画像形成装置10の各機能は、それに対応するプログラムをCPUが実行することにより発揮される。制御部11の機能の詳細については後述する。
【0032】
記憶部12は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや各種データを格納する補助記憶装置である。記憶部12は、たとえば、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリー、または、ROM等により構成される。
【0033】
操作表示部13は、たとえば、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。操作表示部13は、たとえば、タッチパネル、テンキー、スタートボタンまたはストップボタン等である。操作表示部13を介してユーザーは、用紙Sが収容された給紙トレイの設定に関する収容記録媒体情報を入力する。収容記録媒体情報は、たとえば、給紙トレイに収容された用紙Sのサイズおよび紙種等の情報を含んでいる。給紙トレイは、たとえば、後述の給紙トレイ141~144である。操作表示部13は、たとえば、ユーザーから入力された収容記録媒体情報を制御部11に送信する。また、ユーザーは、この操作表示部13の操作を通じて、印刷ジョブの実行を指示できる。
【0034】
本実施形態では、この操作表示部13に、推奨記録媒体および非推奨記録媒体の少なくとも一方の記録媒体情報を含む表示情報が、記録媒体の属性毎に表示される。記録媒体の属性は、記録媒体の性質または特徴等による記録媒体の区分であり、たとえば、用紙サイズ、紙種、用紙の色、用紙重量、コーティングの有無およびパンチ穴の有無等である。用紙重量は、たとえば、坪量である。表示情報の詳細は、後述する。
【0035】
給紙部14は、1つ、または複数の給紙トレイ141~144を含んでいる。給紙部14は、給紙トレイ141等に収納された用紙Sを1枚ずつ給紙して、搬送部15の搬送路に送り出す。本実施形態では、給紙トレイ141~144が、本発明の収容部の一具体例に対応する。
【0036】
給紙部14は、さらに、給紙トレイ141~144の開閉を検知する開閉センサーを有している。給紙部14は、たとえば、開閉センサーによって、給紙トレイ141~144の閉状態から開状態への変更が検知されたとき、開情報を制御部11に送信する。給紙部14は、たとえば、開閉センサーによって、給紙トレイ141~144の開状態から閉状態への変更が検知されたとき、閉情報を制御部11に送信する。
【0037】
搬送部15は、搬送路151~154、および排紙トレイ158、159を含む。搬送部15は、さらに、これらの搬送路151~154に配置された用紙検知センサー、複数の搬送ローラー、およびこれらの搬送ローラーを駆動する駆動モータ(いずれ図示せず)を含む。用紙検知センサーは、たとえば、用紙有無検知センサーである。搬送路152上の、画像形成部16の上流側には物性検出部17が配置される。給紙部14または搬送部15の各搬送路151~154では、用紙検知センサーが、所定のタイミングでの用紙Sの有り、または無しの状態を検知する。これにより、画像形成装置10では、用紙Sのジャム(搬送不良)の発生が検出される。本実施形態では、用紙検知センサーが、本発明の搬送検知部の一具体例に対応する。
【0038】
搬送路151~154は、給紙部14から給紙された用紙Sを、画像形成部16を経由して排紙トレイ158または159に導く。両面印刷用の搬送路154は、両面に画像を形成するときに用いられる経路であり、おもて面に画像形成された用紙Sを受け入れ、表裏を反転させてからメインの搬送路152上にある画像形成部16に再び導く。画像形成部16は、用紙Sの裏面への画像形成を行う。
【0039】
画像形成部16は、たとえば電子写真方式により用紙S上にトナー画像を形成する。画像形成部16は、たとえば、書込部、感光体ドラム、現像部、1次転写部、2次転写部および定着部等を含む(いずれも図示省略)。現像部は、たとえば、トナーおよびキャリアを含む2成分現像剤を収容する。書込部、感光体ドラム、および現像部は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色に対応して設けられている。各色の現像部により、感光体ドラム上に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト上に転写される。この中間転写ベルト上でトナー画像が重ね合わされる。2次転写部では、搬送路152を搬送された用紙Sに、中間転写ベルトからトナー画像が転写される。定着部は、2次転写部で用紙S上に形成されたトナー画像に対して、加熱、加圧の定着処理を行うことで、これを用紙S上に定着させる。画像形成部16の画像形成パラメータは、用紙Sの物性、印刷モード、温湿度条件により適宜、調整され得る。画像形成パラメータは、たとえば、現像部および転写部への出力電圧設定、感光体ドラムへの帯電極または表面電位設定、および、定着部での温度設定等である。画像形成パラメータは、プロセス条件、または画像形成条件とも称される。
【0040】
物性検出部17は、制御部11とともにメディア検出情報を検出する。上述したように、メディア検出情報には、用紙の物性情報として、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量が含まれ得る。
【0041】
通信部19は、PC等の外部の装置とネットワーク接続するインターフェースである。通信部19および制御部11が、本発明の取得部の一具体例に対応する。
【0042】
制御部11の機能について説明する。以下、説明を簡単にするために、用紙Sは普通紙である場合を例に説明する。
【0043】
制御部11は、物性検出部17による検出値からメディア検出情報を算出する。
【0044】
図4は、物性検出部17の構成を示す模式図である。物性検出部17は、搬送路152を搬送された用紙Sの物性値を検出する透過型、および反射型の光学式センサーである。この物性検出部17は、発光部と受光部を含んでいる。物性検出部17は、用紙Sを透過した光の光量、および用紙Sで反射された光の光量を測定する。制御部11は、物性検出部17において、用紙Sを搬送させながら光量を測定してもよく、検出位置に用紙Sを一時停止させて光量を測定するようにしてもよい。
【0045】
物性検出部17は、複数の発光部71、および単一の受光部72を含む。発光部71は、第1発光部71a、第2発光部71b、および第3発光部71cを含む。第1発光部71a、第2発光部71b、および第3発光部71cからは、それぞれ第1照射光、第2照射光、および第3照射光が照射領域に照射される。搬送路152は、上ガイド板1521と下ガイド板1522との間に形成される。搬送路152の上ガイド板1521には開口a12が設けられている。また下ガイド板1522には、開口a12に対向する位置に開口a22が設けられる。開口a12、a22は同じ形状であり、たとえば、矩形である。開口a12、a22には、たとえば、透明のシート74a、74bが取り付けられている。シート74a、74bは、たとえば、PET(Polyethylene terephthalate)等で構成されている。このシート74a、74bは、各照射光の波長を透過させる。開口a12、a22に、シート74a、74bを取り付けることにより、搬送路152を通過する用紙Sから、発光部71および受光部72に、紙粉等の異物が付着するのを防止することができる。
【0046】
第1発光部71aおよび第2発光部71bは、ともに搬送路152に対して、受光部72とは反対側に配置されている。第3発光部71cは、受光部72と同じ側に配置されている。この第3発光部71cは、たとえば、受光部72の近傍に設けられている。
【0047】
第3照射光は、第3発光部71cから、上ガイド板1521および下ガイド板1522内の搬送路152に向けて照射される。第1発光部71aおよび第2発光部71bの近傍に設けられた下ガイド板1522の内側には、反射部73が設けられている。反射部73は、たとえば、第3照射光と同色の緑色で塗装されており、第3照射光を反射する。なお、反射部73は、第1照射光および第2照射光を反射しない。
【0048】
制御部11は、メディア検出情報の検出時に、第1発光部71aおよび第2発光部71bを制御する。第1発光部71aおよび第2発光部71bは、互いに異なるタイミングで、第1照射光および第2照射光を照射する。受光部72は、第1照射光および第2照射光を受光して、それぞれの照射光の光量を検出する。受光部72は、検出した第1照射光の光量と第2照射光の光量とを制御部11に出力する。物性検出部17は、開口a12の位置まで搬送された用紙Sに対しても同様に、第1照射光と第2照射光とを照射する。第1照射光および第2照射光が用紙Sを透過して、受光部72に受光される。以下では、第1照射光が用紙Sを透過した光を第1透過光、第2照射光が用紙Sを透過した光を第2透過光という。を受光して、受光部72は、第1透過光および第2透過光を検出し、検出した第1透過光の光量と第2透過光の光量とを制御部11に出力する。すなわち、受光部72は、第1照射光および第2照射光と、第1透過光および第2透過光とを検出する。制御部11は、第1照射光の光量で第1透過光の光量を除算することでIR透過率を算出する。制御部11は、第2照射光の光量で第2透過光の光量を除算することでB透過率を算出する。
【0049】
受光部72は、さらに、第1反射光および第2反射光を検出する。第1反射光は、開口a12を透過した第3照射光が、反射部73で反射された光である。第2反射光は、用紙Sが開口a12にあるときに第3照射光が用紙Sの表面で反射された光である。制御部11は、第1反射光の光量で第2反射光の光量を除算することでG反射率を算出する。
【0050】
制御部11は、用紙Sを通過し、受光部で受ける光の強度に基づいて、公知の方法により、用紙Sの坪量を検知し得る。
【0051】
物性検出部17は、紙厚検知部、および表面性検知部を有していてもよい。紙厚検知部では、搬送ローラー対で挟み込んで搬送された用紙Sの厚みに応じて、可動する従動ローラーの軸位置が変位する。紙厚検知部では、この変位した軸の高さを測ることにより、用紙Sの厚みを測定する。表面性検知部では、用紙表面に対して斜め(たとえば入射角75度)から光を照射する。表面性検知部は、複数の受光部により、用紙表面からの正反射光および拡散反射光各々の光量を検出し、各受光部の受ける光の強度の絶対値、および比率により用紙Sの表面性を検知する。用紙Sの厚みおよび表面性は、用紙Sの物性値としてメディア検出情報に含まれ得る。
【0052】
制御部11は、たとえば、収容記録媒体情報、開情報および閉情報を検出する。たとえば、ユーザーが、収容記録媒体情報を操作表示部13に入力する。このとき、制御部11は、収容記録媒体情報を検出する。たとえば、ユーザーが、給紙トレイ141~144いずれかを引き出すと、給紙部14に設けられた開閉センサーが、給紙トレイ141~144の閉状態から開状態への変更を検知する。このとき、制御部11は、開情報を検出する。
【0053】
制御部11は、さらに、用紙Sのジャム発生情報を検出する。制御部11は、たとえば、搬送部15の各搬送路151~154に設けられた用紙検知センサーとともに、用紙Sのジャムを検出する。たとえば、定着部より下流側の搬送路152に設けられた用紙検知センサーが、所定のタイミングで用紙Sが無い状態を検知する。このとき、制御部11は、用紙Sのジャム発生情報を検出する。たとえば、定着部より下流側の搬送路152に設けられた用紙検知センサーが、所定のタイミングで用紙Sが有る状態を検知する。このとき、制御部11は、用紙Sが正常に印刷されたことを検出し得る。
【0054】
制御部11は、各画像形成装置10を特定可能なユニークなシリアル番号、メディア検出情報、および出力情報をサーバー20へ送信する。制御部11は、さらに印刷設定情報をサーバー20へ送信してもよい。具体的には、たとえば、制御部11は、送信元の画像形成装置10のシリアル番号、IR透過率、B透過率、G反射率、坪量、ジャム発生情報、通紙枚数、および紙種をサーバー20へ送信する。IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量はメディア検出情報に対応する。ジャム発生情報および印刷枚数は出力情報に対応する。紙種は印刷設定情報に対応する。制御部11は、画像形成装置10のシリアル番号、メディア検出情報、出力情報、および印刷設定情報を、所定時間ごと(たとえば、1日ごと)にサーバー20へ送信し得る。制御部11は、画像形成装置10のシリアル番号、メディア検出情報、出力情報、および印刷設定情報を、用紙Sに画像形成されるごとにサーバー20へ送信してもよい。
【0055】
制御部11は、さらに、サーバー20から取得した推奨記録媒体および非推奨記録媒体の少なくとも一方の記録媒体情報を受信する。制御部11は、この記録媒体情報に基づいて、記録媒体の属性毎に、表示情報を操作表示部13に表示させる。
【0056】
(サーバー20)
図5は、サーバー20のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバー20は、制御部21、記憶部22、および通信部23を有する。サーバー20のこれらの構成要素の基本的な構成および機能は、画像形成装置10の対応する構成要素の基本的な構成および機能と同様であるため重複する説明は省略する。
【0057】
制御部21は、画像形成装置10のシリアル番号、画像形成装置10により画像が形成された用紙Sの出力情報、および、メディア検出情報を、各画像形成装置10から受信することで取得する。制御部21は、当該用紙Sに画像形成される際の印刷設定情報を、さらに各画像形成装置10から受信することで取得してもよい。具体的には、制御部21は、送信元の画像形成装置10のシリアル番号、IR透過率、B透過率、G反射率、坪量、ジャム発生情報、通紙枚数、および紙種をサーバー20から取得し得る。制御部21は、取得した、画像形成装置10のシリアル番号、出力情報、メディア検出情報、および印刷設定情報を、記憶部22の蓄積情報DBに保存することで蓄積する。
【0058】
制御部21は、各画像形成装置10から取得して蓄積情報DBに蓄積した、出力情報と、メディア検出情報とに基づき、推奨記録媒体および/または非推奨記録媒体の記録媒体情報を決定する。制御部21は、出力情報、メディア検出情報、および印刷設定情報に基づき、推奨記録媒体および/または非推奨記録媒体の記録媒体情報を決定してもよい。制御部21は、出力情報、および印刷設定情報に基づき、推奨記録媒体および/または非推奨記録媒体の記録媒体情報を決定してもよい。以下、説明を簡単にするために、制御部21は、IR透過率、B透過率、G反射率、坪量、ジャム発生情報、および通紙枚数に基づいて、推奨記録媒体および非推奨記録媒体の記録媒体情報を決定する場合を例に説明する。
【0059】
制御部21は、通紙枚数の多い順にシリアル番号により各画像形成装置10を、通紙枚数順位として順位付けする。制御部21は、ジャム発生情報である、ジャムを発生した用紙Sの枚数を通紙枚数で除算することで、シリアル番号ごとにジャム発生率を算出する。制御部21は、ジャム発生率が低い順にシリアル番号により各画像形成装置10を、ジャム低発生率順として順位付けする。制御部21は、通紙枚数が多く、かつジャム発生率が低い装置という観点から、各画像形成装置10をシリアル番号により、高通紙信頼性装置順位として順位付けする。高通紙信頼性装置順位とは、比較的多量の通紙量におけるジャム発生率が低い装置順位を意味する。たとえば、制御部21は、通紙枚数順位と、ジャム低発生率順位との和が小さい順に、高通紙信頼性装置順位として順位付けし得る。制御部21は、通紙枚数順位と、ジャム低発生率順位との間で所定の重み付けをした加重和が小さい順に、高通紙信頼性装置順位として順位付けしてもよい。
【0060】
制御部21は、ジャム発生率が高い順にシリアル番号により各画像形成装置10を、ジャム高発生率順として順位付けする。制御部21は、通紙枚数が多く、かつジャム発生率が高い装置という観点から、各画像形成装置10をシリアル番号により、低通紙信頼性装置順位として順位付けする。低通紙信頼性装置順位とは、比較的多量の通紙量におけるジャム発生率が高い装置順位を意味する。たとえば、制御部21は、通紙枚数順位と、ジャム高発生率順位との和が小さい順に、低通紙信頼性装置順位として順位付けし得る。制御部21は、通紙枚数順位と、高ジャム発生率順位との間で所定の重み付けをした加重和が小さい順に、低通紙信頼性装置順位として順位付けしてもよい。
【0061】
図6は、一定期間に蓄積情報DBに蓄積された情報、および当該情報に基づく高通紙信頼性装置順位の算出結果を示す図である。
【0062】
図6の例においては、シリアル番号、日付、日数、普通紙通紙枚数、およびジャム発生が蓄積情報DBに蓄積されている。日付は、画像形成装置からのデータの受信日時である。日数は、データの蓄積日数である。普通紙通紙枚数は、通紙枚数とも言う。ジャム発生は、ジャム発生枚数である。また、通紙枚数順位、ジャム発生率、ジャム発生率順位、および高通紙信頼性順位の算出結果が示されている。高通紙信頼性順位は、通紙枚数順位と、ジャム発生率順位との和が小さい順の順位として算出されている。
【0063】
制御部21は、高通紙信頼性順位が最も高い画像形成装置10をシリアル番号により抽出する。以下、高通紙信頼性順位が最も高い画像形成装置10を高通紙信頼性装置と称する。図6の例においては、シリアル番号が「A0421」の画像形成装置10が、高通紙信頼性装置として抽出され得る。
【0064】
制御部21は、この高通紙信頼性装置から取得したメディア検出情報に基づき、推奨記録媒体の記録媒体情報を決定する。具体的には、メディア検出情報に含まれる、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量を、用紙銘柄基準データと比較し、適合率が高い用紙銘柄を、推奨記録媒体の記録媒体情報として決定する。用紙銘柄は、本発明の「記録媒体の銘柄」の一具体例に対応する。
【0065】
図7は、用紙銘柄基準データを示す図である。
【0066】
図7の例においては、普通紙の各用紙銘柄の物性値である、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量が用紙銘柄基準データとしてテーブルに登録されている。用紙銘柄基準データは、用紙Sの各物性値の基準値と、用紙銘柄との関係を規定したテーブルであり得る。基準値は、用紙銘柄を特定するための基準となる物性値であり、ユーザーにより決定され得る。基準値は、たとえば、標準的な環境において比較的高精度な測定装置により測定された用紙Sの物性値の測定値に基づいて決定される。用紙銘柄基準データは、記録媒体の物性値と、記録媒体情報との関係を規定したテーブルを構成する。用紙銘柄基準データは、たとえば、端末装置30においてユーザーにより入力され、端末装置30からサーバー20へ送信されて記憶部22に記憶されることで登録され得る。
【0067】
制御部21は、高通紙信頼性装置において通紙されたすべての用紙Sの、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量をそれぞれ統計処理し、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の代表値(たとえば、ピーク値)を算出する。
【0068】
図8は、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の統計処理により算出されたヒストグラムを示す図である。
【0069】
図8の例においては、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の各ヒストグラムにおいて一点破線の丸で示すピーク値が、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の代表値(以下、単に「代表値」とも称する)として算出され得る。たとえば、坪量については、ピーク値である64gが代表値として算出される。
【0070】
制御部21は、用紙銘柄基準データを参照して、用紙銘柄基準データに規定された、各物性値の基準値と、メディア検出情報に含まれる、用紙Sの各物性値の代表値とを比較することで、用紙Sの各物性値の、用紙銘柄基準データにおける各物性値に対する適合率を算出する。制御部21は、算出した適合率の中で適合率が高い、1つ以上の用紙銘柄を判定する。適合率は、たとえば、基準値と代表値とのユークリッド距離を各用紙銘柄について算出し、正規化した値である。正規化は、たとえば、適合率が0%~100%の範囲となるようになされる。この場合、代表値とのユークリッド距離が0となる物性値の用紙銘柄の適合率は100%であり、代表値とのユークリッド距離が最大となる物性値の用紙銘柄の適合率は0%となるように正規化され得る。なお、適合率は、上記以外の公知の方法により算出されてもよい。
【0071】
図9は、高通紙信頼性装置に通紙された用紙Sの物性値との適合率の高い用紙銘柄の判定結果を示す図である。
【0072】
図9の例においては、「AAA」という用紙銘柄が最も適合率が高く、推奨記録媒体の用紙銘柄として決定されている。また、適合率が2番目および3番目に高い、「Y321」および「N231」という用紙銘柄も、推奨記録媒体の用紙銘柄として決定されている。決定された用紙銘柄は、高通紙信頼性装置により比較的大量に通紙された用紙Sの物性値と比較的近い物性値をもつため、用紙起因でジャムを発生させる可能性が低い用紙銘柄であると考えられる。
【0073】
図10は、一定期間に蓄積情報DBに蓄積された情報、および当該情報に基づく低通紙信頼性装置順位の算出結果を示す図である。
【0074】
図10の例においては、シリアル番号、日付(画像形成装置からのデータの受信日時)、日数(データの蓄積日数)、普通紙通紙枚数(通紙枚数)、およびジャム発生(ジャム発生枚数)が蓄積情報DBに蓄積されている。また、通紙枚数順位、ジャム発生率、ジャム高発生率順位、および低通紙信頼性順位の算出結果が示されている。低通紙信頼性順位は、通紙枚数順位と、ジャム高発生率順位との和が小さい順の順位として算出されている。
【0075】
制御部21は、低通紙信頼性順位が最も高い画像形成装置10をシリアル番号により抽出する。以下では、低通紙信頼性順位が最も高い画像形成装置10を低通紙信頼性装置と称する。図10の例においては、シリアル番号が「A5250」の画像形成装置10が、低通紙信頼性装置として抽出され得る。
【0076】
制御部21は、この低通紙信頼性装置から取得したメディア検出情報に基づき、非推奨記録媒体の記録媒体情報を決定する。具体的には、メディア検出情報に含まれる、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量を、用紙銘柄基準データと比較し、適合率が高い用紙銘柄を、非推奨記録媒体の記録媒体情報として決定する。
【0077】
制御部21は、低通紙信頼性装置において通紙されたすべての用紙Sの、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量をそれぞれ統計処理し、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の代表値(たとえば、ピーク値)を算出する。
【0078】
図11は、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の統計処理により算出されたヒストグラムを示す図である。
【0079】
図11の例においては、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の各ヒストグラムにおいて一点破線の丸で示すピーク値が、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の代表値として算出され得る。
【0080】
制御部21は、用紙銘柄基準データを参照して、用紙銘柄基準データに規定された、各物性値の基準値と、メディア検出情報に含まれる、用紙Sの各物性値の代表値とを比較することで、用紙Sの各物性値の、用紙銘柄基準データにおける各物性値に対する適合率を算出する。制御部21は、算出した適合率の中で適合率が高い、1つ以上の用紙銘柄を判定する。適合率は、たとえば、基準値と代表値とのユークリッド距離を各用紙銘柄について算出し、正規化した値である。正規化は、たとえば、適合率が0%~100%の範囲となるようになされる。この場合、代表値とのユークリッド距離が0となる物性値の用紙銘柄の適合率は100%であり、代表値とのユークリッド距離が最大となる物性値の用紙銘柄の適合率は0%となるように正規化され得る。なお、適合率は、上記以外の公知の方法により算出されてもよい。
【0081】
図12は、低通紙信頼性装置に通紙された用紙Sの物性値との適合率の高い用紙銘柄の判定結果を示す図である。
【0082】
図12の例においては、「1aba」という用紙銘柄が最も適合率が高く、非推奨記録媒体の用紙銘柄として決定されている。また、適合率が2番目および3番目に高い、「pgood」および「xtrag」という用紙銘柄も、非推奨記録媒体の用紙銘柄として決定されている。決定された用紙銘柄は、低通紙信頼性装置により比較的大量に通紙された用紙Sの物性値と比較的近い物性値をもつため、用紙起因でジャムを発生させる可能性が高い用紙銘柄であると考えられる。
【0083】
制御部21は、決定した推奨記録媒体の用紙銘柄および/または非推奨記録媒体の用紙銘柄に関する情報を、通信部23により各画像形成装置10へ送信する。
【0084】
(端末装置30)
端末装置30は、ユーザーによる用紙銘柄基準データの入力または更新を受け付け、入力または更新された用紙銘柄基準データをサーバー20へ送信することで用紙銘柄基準データを登録または更新する。
【0085】
[操作表示部13の表示画面]
次に、画像形成装置10の操作表示部13に表示される画面の例を示す。制御部11は、通信部19を用いて、サーバー20から推奨記録媒体の記録媒体情報および/または非推奨記録媒体の記録媒体情報を取得する。制御部11は、この記録媒体情報に基づいて、表示情報を操作表示部13に表示させる。
【0086】
図13は、画像形成装置10の操作表示部13に表示されるトップメニュー画面を示す図である。図14は、操作表示部13に表示される給紙トレイ設定画面を示す図である。
【0087】
たとえば、図13に示すトップメニュー画面において、ユーザーにより「コピー」ボタンが選択されることで、選択画面に遷移する。この選択画面において、ユーザーにより「用紙種類」ボタンが選択されると、図14に示す給紙トレイ設定画面が表示される。たとえば、この給紙トレイ設定画面において、ユーザーから、収容記録媒体情報の入力が受け付けられる。たとえば、操作表示部13が、ユーザーから収容記録媒体情報の入力を受け付けるとき、制御部11は表示情報を操作表示部13に表示させる。制御部11は、たとえば、収容記録媒体情報の入力を受け付けた後に、操作表示部13に表示情報を表示させる。
【0088】
図15は、操作表示部13に表示される表示情報の一例を表している。表示情報は、推奨記録媒体および非推奨記録媒体の少なくとも一方の記録媒体情報を含んでいる。表示情報は、記録媒体の属性毎に表示される。
【0089】
制御部11は、たとえば、給紙トレイ設定画面(図14)で、ユーザーから入力された用紙Sの属性に対応した表示情報を、ポップアップ画面として操作表示部13に表示させる。ポップアップ画面として、表示情報を表示させることにより、ユーザーが表示情報を使用しないときに、他の情報表示の妨げとなるのを防ぐことができる。
【0090】
たとえば、ユーザーが、用紙サイズ:A4、紙種:普通紙、坪量:60-90(g/m)の用紙Sが収容された給紙トレイの設定を行う(図14)。このとき、制御部11は、A4普通紙の推奨記録媒体の記録媒体情報を含む表示情報を操作表示部13に表示させる(図15)。具体的には、操作表示部13には、A4普通紙に該当する複数の推奨記録媒体各々の用紙銘柄およびその製造者が表示される。
【0091】
図15に示す表示情報は、A4普通紙の3つの推奨記録媒体各々の用紙銘柄と、当該用紙銘柄の製造者とを含んでいる。具体的には、「お勧め用紙銘柄情報」として、「AAA」、「Y321」、および「N231」が表示されている。さらに、当該用紙銘柄の製造者として、「AAA」および「Y321」の製造者である「A社」と、「N231」の製造者である「B社」とが表示されている。操作表示部13には、単一の推奨記録媒体の用紙銘柄およびその製造者が表示されてもよい。操作表示部13には、推奨記録媒体の用紙銘柄のみが表示されてもよく、推奨記録媒体の製造者のみが表示されてもよい。
【0092】
図16は、操作表示部13に表示される表示情報の他の例を表している。制御部11は、非推奨記録媒体の記録媒体情報を含む表示情報を操作表示部13に表示させてもよい。図16に示す表示情報は、A4普通紙の複数の非推奨記録媒体各々の用紙銘柄と、当該用紙銘柄の製造者とを含んでいる。具体的には、「お勧めしない用紙銘柄情報」として、「1aba」、「pgood」」および「xtrag」が表示されている。さらに、当該用紙銘柄の製造者として、「1aba」の製造者である「Z社」と、「pgood」および「xtrag」の製造者である「Y社」とが表示されている。操作表示部13には、単一の非推奨記録媒体の用紙銘柄および製造者が表示されてもよい。操作表示部13には、非推奨記録媒体の用紙銘柄のみが表示されてもよく、非推奨記録媒体の製造者のみが表示されてもよい。
【0093】
図17図18および図19は、各々、操作表示部13に表示される表示情報のその他の例を表している。表示情報は、推奨記録媒体および非推奨記録媒体各々の記録媒体情報を含んでいてもよい(図17)。具体的には、図17には、「お勧め用紙銘柄情報」として、「AAA」およびその製造者「A社」と、「お勧めしない用紙銘柄情報」として、「1aba」およびその製造者「Z社」とが表示されている。
【0094】
表示情報は、複数の推奨記録媒体各々の優先度に関する情報を含んでいても良い(図18)。制御部11は、たとえば、複数の推奨記録媒体各々の記録媒体情報を優先度順に並べて、操作表示部13に表示させる。図18には、「お勧め用紙銘柄情報」の上から順に「推奨順1」、「推奨順2」および「推奨順3」の用紙銘柄が表示されている。「推奨順1」には用紙銘柄「AAA」およびその製造者「A社」、「推奨順2」には用紙銘柄「Y321」およびその製造者「A社」、「推奨順3」には用紙銘柄「N231」およびその製造者「B社」が表示されている。
【0095】
記録媒体情報は、用紙銘柄および製造者に加えて、他の情報を含んでいてもよい。たとえば、記録媒体情報は、さらに、用紙の坪量、紙種、推奨率およびジャム率の少なくともいずれか一つを含んでいる(図19)。図19には、用紙銘柄「AAA」、「Y321」および「N231」各々の製造者に加えて、各々の「坪量(g/m)」、「紙種」、「ジャム率」および「推奨率」が表示されている。「ジャム率」は、ジャム、即ち搬送不良の発生率を表し、低い程、ジャムが発生しにくいことを表す。「推奨率」は、当該用紙銘柄の推奨度を表し、高い程、推奨度が高いことを表す。
【0096】
制御部11は、ユーザーから収容記録媒体情報の入力を受け付ける前に、操作表示部13に表示情報を表示させてもよい。たとえば、制御部11は、操作表示部13への給紙トレイ設定画面(図14)の表示と同時または表示直後に、操作表示部13に表示情報を表示させてもよい。
【0097】
[情報処理システム1の動作]
(サーバー20の動作)
次に、情報処理システム1の動作を説明する。まず、サーバー20の動作について説明する。
【0098】
図20は、サーバー20の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、プログラムにしたがい、サーバー20の制御部21により実行され得る。
【0099】
制御部21は、各画像形成装置10から出力情報およびメディア検知情報を取得する(S101)。
【0100】
制御部21は、取得した出力情報およびメディア検出情報を蓄積情報DBに蓄積する(S102)。
【0101】
制御部21は、蓄積情報DBに蓄積された、各画像形成装置10の出力情報に含まれる、ジャム発生情報および通紙枚数に基づいて、高通紙信頼性装置および低通紙信頼性装置を抽出する(S103)。
【0102】
制御部21は、高通紙信頼性装置および低通紙信頼性装置によってそれぞれ検出されたメディア検出情報を蓄積情報DBから抽出する(S104)。
【0103】
制御部21は、抽出したメディア検出情報と、用紙銘柄基準データとを比較することで、メディア検出情報と、用紙銘柄基準データの各用紙銘柄の物性値との適合率を算出する(S105)。
【0104】
制御部21は、用紙銘柄基準データに含まれる全用紙銘柄に関する適合率の算出が完了したかどうか判断する(S106)。
【0105】
制御部21は、全用紙銘柄に関する適合率の算出が完了していないと判断したときは(S106:NO)、全用紙銘柄に関する適合率の算出が完了するまで、ステップS105およびステップS106を繰り返し実行する。
【0106】
制御部21は、全用紙銘柄に関する適合率の算出が完了したと判断したときは(S106:YES)、高通紙信頼性装置により検出されたメディア検出情報との適合率が高い物性値の用紙銘柄を、推奨記録媒体の記録媒体情報として決定する(S107)。制御部21は、低通紙信頼性装置により検出されたメディア検出情報との適合率が高い物性値の用紙銘柄を、非推奨記録媒体の記録媒体情報として決定する(S107)。
【0107】
制御部は、決定した推奨記録媒体および非推奨記録媒体各々の記録媒体情報を各画像形成装置10へ送信する(S108)。
【0108】
(画像形成装置10の動作)
次に、画像形成装置10の動作について説明する。
【0109】
図21は、画像形成装置10の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、プログラムにしたがい、画像形成装置10の制御部11により実行され得る。
【0110】
制御部11は、サーバー20から推奨記録媒体および非推奨記録媒体各々の記録媒体情報を取得する(S201)。
【0111】
制御部11は、収容記録媒体情報の入力を受け付けたかどうかを判断する(S202)。たとえば、制御部11は、ユーザーから、操作表示部13を介して収容記録媒体情報の入力を受け付けたとき、収容記録媒体情報の入力を受け付けたと判断する。
【0112】
制御部11は、収容記録媒体情報の入力を受け付けていないと判断したときは(S202:NO)、収容記録媒体情報の入力を受け付けるまで、ステップS201を繰り返し実行する。
【0113】
制御部11は、収容記録媒体情報の入力を受け付けたと判断したときは(S202:YES)、ステップS201で取得した推奨記録媒体および非推奨記録媒体各々の記録媒体情報に基づいて、表示情報を操作表示部13に表示させる(S203)。
【0114】
<変形例1>
制御部11は、給紙トレイ141~144の開閉が検知されたとき、表示情報を操作表示部13に表示させてもよい。
【0115】
図22は、変形例1に画像形成装置10の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、プログラムにしたがい、画像形成装置10の制御部11により実行され得る。
【0116】
制御部11は、サーバー20から推奨記録媒体および非推奨記録媒体各々の記録媒体情報を取得する(S301)。
【0117】
制御部11は、給紙トレイ141~144の開閉を検出したかどうかを判断する(S302)。たとえば、ユーザーが、給紙トレイ141~144のいずれかを開閉させる。これにより、制御部11は、開閉センサーとともに、給紙トレイ141~144の開閉を検出する。
【0118】
制御部11は、給紙トレイ141~144の開閉を検出していないと判断したときは(S302:NO)、給紙トレイ141~144の開閉を検出するまで、ステップS301を繰り返し実行する。
【0119】
制御部11は、給紙トレイ141~144の開閉を検出したと判断したときは(S302:YES)、ステップS301で取得した推奨記録媒体および非推奨記録媒体各々の記録媒体情報に基づいて、表示情報を操作表示部13に表示させる(S303)。たとえば、開閉を検出した給紙トレイ141~144に、A4普通紙の用紙Sが収容されているとき、制御部11は、A4普通紙の表示情報を操作表示部13に表示させる。
【0120】
画像形成装置10は、収容記録媒体情報の入力および給紙トレイ141~144の開閉検出に基づいて、表示情報を操作表示部13に表示させてもよい。
【0121】
<変形例2>
制御部11は、用紙Sの搬送不良が検知されたとき、即ち、用紙Sのジャムが発生したとき、表示情報を操作表示部13に表示させてもよい。
【0122】
図23は、変形例2に画像形成装置10の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、プログラムにしたがい、画像形成装置10の制御部11により実行され得る。
【0123】
制御部11は、サーバー20から推奨記録媒体および非推奨記録媒体各々の記録媒体情報を取得する(S401)。
【0124】
制御部11は、用紙Sの搬送不良を検出したかどうかを判断する(S402)。たとえば、制御部11は、搬送路152に設けられた用紙検知センサーによって、所定のタイミングで用紙Sが検知されないとき、用紙Sの搬送不良を検出したと判断する。
【0125】
制御部11は、用紙Sの搬送不良を検出していないと判断したときは(S402:NO)、用紙Sの搬送不良を検出するまで、ステップS401を繰り返し実行する。
【0126】
制御部11は、用紙Sの搬送不良を検出したと判断したときは(S402:YES)、ステップS401で取得した推奨記録媒体および非推奨記録媒体各々の用紙銘柄に関する情報に基づいて、表示情報を操作表示部13に表示させる(S403)。
【0127】
画像形成装置10は、収容記録媒体情報の入力および用紙Sの搬送不良検出に基づいて、表示情報を操作表示部13に表示させてもよい。あるいは、画像形成装置10は、給紙トレイ141~144の開閉検出および用紙Sの搬送不良検出に基づいて、表示情報を操作表示部13に表示させてもよい。画像形成装置10は、収容記録媒体情報の入力、給紙トレイ141~144の開閉検出および用紙Sの搬送不良検出に基づいて、表示情報を操作表示部13に表示させてもよい。
【0128】
<変形例3>
サーバー20がもつ機能を、画像形成装置10がもつようにしてもよい。すなわち、サーバー20は、画像形成装置10に設置されてもよい。この場合、各画像形成装置10がサーバー20のもつ機能をもつようにしてもよく、相互に通信可能に接続された複数の画像形成装置10のうちのいずれか1つのみがサーバー20がもつ機能をもつようにしてもよい。
【0129】
変形例3に係る画像形成装置10の記憶部12には、たとえば、画像形成時のトラブルに関するトラブル情報と、このトラブルの画像形成時に使用された用紙Sの記録媒体情報とが関連付けて記憶されている。トラブルは、たとえば、用紙Sの搬送不良等であり、トラブル情報は、たとえば、ジャム発生情報等である。制御部11は、たとえば、物性検出部17を用いて検出した用紙Sのメディア検出情報に基づいて、用紙Sの記録媒体情報を決定する。記憶部12には、用紙銘柄基準データが記憶されていてもよい。
【0130】
制御部11は、記憶部12に記憶されたトラブル情報に基づいて、推奨記録媒体および非推奨記録媒体の少なくとも一方の記録媒体情報を決定する。制御部11は、さらに、決定した記録媒体情報を含む表示情報を操作表示部13に表示させる。たとえば、制御部11は、推奨記録媒体および非推奨記録媒体各々の記録媒体情報を決定し、この推奨記録媒体および非推奨記録媒体各々の用紙銘柄およびその製造者を操作表示部13に表示させる(図15および図16参照)。
【0131】
変形例3に係る画像形成装置10は、サーバー20がもつ機能の一部を有する画像形成装置であってもよい。
【0132】
<変形例4>
高通紙信頼性装置として、高通紙信頼性装置順位が高い複数(たとえば、2~3台)の画像形成装置が抽出されてもよい。この場合、抽出された複数の高通紙信頼性装置に通紙された用紙Sの物性値との適合率が最も高い用紙銘柄を、推奨記録媒体の記録媒体情報としてそれぞれ決定してもよい。同様に、低通紙信頼性装置として、低通紙信頼性装置順位が高い複数(たとえば、2~3台)の画像形成装置が抽出されてもよい。この場合、抽出された複数の低通紙信頼性装置に通紙された用紙Sの物性値との適合率が最も高い用紙銘柄を、非推奨記録媒体の記録媒体情報としてそれぞれ決定してもよい。
【0133】
<変形例5>
上述した実施形態においては、用紙Sが普通紙であるものとして説明した。しかし、画像形成装置10に通紙される用紙Sは、普通紙以外の紙種である、たとえば、薄紙、厚紙、再生紙、およびコート紙であってもよい。また、画像形成装置10からサーバー20へ送信される、メディア検出情報、印刷設定情報、および出力情報には、互いに異なる複数の紙種の情報が混在してもよい。この場合、制御部21は、印刷設定情報に含まれる紙種に基づいて、メディア検出情報、印刷設定情報、および出力情報を紙種ごとに区分けすることで、紙種ごとに高通紙信頼性装置と低通紙信頼性装置とを抽出し得る。そして、紙種ごとに、推奨記録媒体の記録媒体情報と、非推奨記録媒体の記録媒体情報とを決定し得る。
【0134】
[情報処理システム1の効果]
本実施形態は以下の効果を奏する。
【0135】
本実施形態では、制御部11が、推奨記録媒体および非推奨記録媒体の少なくとも一方の記録媒体情報を含む表示情報を操作表示部13に表示させる。これにより、適切な記録媒体をユーザーに容易に把握させることが可能となる。よって、ユーザーは、適切な用紙銘柄等の記録媒体を使用することができ、紙詰まり等のトラブルの発生を抑制できる。さらに、粗悪紙に起因する画像形成時のトラブルが事前に回避できるので、ユーザーは、画像形成装置のメーカーへの問い合わせ頻度等を減らすことが可能となる。即ち、ユーザーにとって有益となる。
【0136】
また、制御部11は、この表示情報を、記録媒体の属性毎に操作表示部13に表示させる。これにより、制御部11は、ユーザーの使用する用紙Sの属性に応じて、適切な表示情報を操作表示部13に表示させることが可能となる。よって、ユーザーは、より簡便に、適切な記録媒体を把握することができる。
【0137】
さらに、記録媒体情報が、用紙銘柄および製造者の少なくとも一方に関する情報を含んでいるので、ユーザーは、適切な記録媒体をより簡単に把握することができる。
【0138】
さらに、制御部21または制御部11は、画像形成された用紙Sの出力情報と、用紙Sに関する設定情報、または用紙Sに関する物性情報とに基づいて、推奨記録媒体および非推奨記録媒体の記録媒体情報を決定する。これにより、制御部21または制御部11への演算負荷の増大を抑制しつつ、効果的に、推奨記録媒体または非推奨記録媒体の記録媒体情報を決定することが可能となる。
【0139】
さらに、画像形成装置10は、用紙Sの物性を検知する物性検出部17を有している。これにより、装置規模やコストの増大を抑止しつつ、推奨記録媒体および非推奨記録媒体の記録媒体情報を効率的に決定することが可能となる。
【0140】
さらに、サーバー20または画像形成装置10は、記録媒体の物性値と、当該記録媒体情報と、の関係を規定したテーブルを参照して、推奨記録媒体および非推奨記録媒体の記録媒体情報を決定する。これにより、適切な記録媒体を柔軟かつ適切に決定することできる。
【0141】
さらに、情報処理システム1では、サーバー20が、ネットワークを経由して複数の画像形成装置10と接続されている。このサーバー20は、複数の画像形成装置10より出力情報を取得する。これにより、複数の画像形成装置10によりサーバー20を共用することでき、既存の画像形成装置の仕様変更等を抑制できる。
【0142】
さらに、サーバー20の記憶部22には、取得された出力情報が記憶される。これにより、記憶部22に出力情報が蓄積され、サーバー20は高い精度で推奨記録媒体または非推奨記録媒体を決定することが可能となる。
【0143】
さらに、サーバー20は、記録媒体の属性毎に決定した推奨記録媒体および/または非推奨記録媒体の記録媒体情報を画像形成装置10へ送信する。これにより、各画像形成装置10において、画像形成を実行する際に、容易に適切な記録媒体を判断できる。
【0144】
また、サーバー20の機能の一部または全部を、画像形成装置10に設置することも可能である。これにより、装置規模を減縮できる。
【0145】
以上に説明した情報処理システム1の構成は、上述の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上述の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。また、一般的な情報処理システムが備える構成を排除するものではない。
【0146】
たとえば、上記実施形態および変形例では、収容記録媒体情報の入力、給紙トレイ141~144の開閉検出および用紙Sの搬送不良検出の少なくともいずれか一つに基づいて、表示情報が操作表示部13に表示される例を説明した。しかし、表示情報は、他のタイミングで操作表示部13に表示されてもよい。
【0147】
たとえば、上述したフローチャートは、一部のステップを省略してもよく、他のステップが追加されてもよい。また各ステップの一部は同時に実行されてもよく、一つのステップが複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【0148】
また、上述したシステムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、一機能としてその検出部等の装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0149】
1 情報処理システム、
10 画像形成装置、
11 制御部、
12 記憶部、
13 操作表示部、
14 給紙部、
15 搬送部、
16 画像形成部、
17 物性検出部、
18 通信部、
20 サーバー、
21 制御部、
22 記憶部、
23 通信部、
30 端末装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23