(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162650
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/191 20060101AFI20241114BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20241114BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20241114BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20241114BHJP
H04N 1/401 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H04N1/191
B41J29/393 101
B41J29/00 A
H04N1/12 Z
H04N1/04 D
H04N1/401
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078375
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】黒川 悠一朗
【テーマコード(参考)】
2C061
5C072
5C077
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AS02
2C061BB35
2C061KK31
5C072AA01
5C072BA08
5C072CA05
5C072DA25
5C072EA07
5C072QA14
5C072RA16
5C072UA02
5C072XA01
5C072XA04
5C077LL04
5C077LL19
5C077MM05
5C077MM27
5C077MP08
5C077PP06
5C077SS01
5C077SS02
5C077SS05
5C077TT05
(57)【要約】
【課題】 比較的低コストで、プリントシートの搬送路に設けられたイメージセンサーのシェーディング補正を行う。
【解決手段】 イメージセンサー31は、搬送ベルト2に面して配置されており、プリントシート101の画像読取を行う。白基準部材32は、搬送ベルト2を挟んでイメージセンサー31に対向して配置されている。搬送ベルト2は、フラッシング開口部41を備えており、制御部は、フラッシング開口部41に対応するタイミングで、当該ノズルのフラッシングをプリントエンジン10aに実行させる。そして、シェーディング補正部は、搬送ベルト2の動作中においてフラッシング開口部41がイメージセンサー31と白基準部材32との間を通過する期間においてイメージセンサー31の画像読取により得られたライン画像に基づいて、シェーディング補正を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントシートを搬送する搬送ベルトと、
主走査方向に配列された複数のノズルを備え、前記ノズルから前記プリントシートにインクを吐出するプリントエンジンと、
前記搬送ベルトに面して配置され前記プリントシートの画像読取を行うイメージセンサーと、
前記搬送ベルトを挟んで前記イメージセンサーに対向して配置された白基準部材と、
前記プリントエンジンのインク吐出タイミングを制御する制御部と、
前記イメージセンサーのシェーディング補正を行うシェーディング補正部とを備え、
前記搬送ベルトは、フラッシング開口部を備え、
前記制御部は、前記フラッシング開口部に対応するタイミングで、当該ノズルのフラッシングを前記プリントエンジンに実行させ、
前記シェーディング補正部は、前記搬送ベルトの動作中において前記フラッシング開口部が前記イメージセンサーと前記白基準部材との間を通過する期間において前記イメージセンサーの画像読取により得られたライン画像に基づいて、前記シェーディング補正を行うこと、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シェーディング補正部は、(a)前記搬送ベルトの動作中において前記フラッシング開口部が前記イメージセンサーと前記白基準部材との間を通過する期間における複数時点で前記イメージセンサーの画像読取により得られた複数のライン画像を取得し、(b)取得した前記複数のライン画像に基づいて、前記イメージセンサー全域の白基準値を導出し、(c)前記白基準値に基づいて前記シェーディング補正を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記シェーディング補正部は、各画素位置における前記複数のライン画像の輝度のうち最も高い輝度を選択し、選択した輝度を当該画素位置での前記白基準値とすることで、前記イメージセンサー全域の前記白基準値を導出することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シェーディング補正部は、各画素位置における前記複数のライン画像の輝度のうち最も高い輝度から順番に所定数の輝度を選択し、選択した前記所定数の輝度の平均値を当該画素位置での前記白基準値とすることで、前記イメージセンサー全域の前記白基準値を導出することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記シェーディング補正部は、前記フラッシング開口部が前記イメージセンサーと前記白基準部材との間の距離に対する係数で前記白基準値を補正することを特徴とする請求項2から請求項4のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある画像形成装置では、プリントシートの搬送路にCIS(Contact Image Sensor)が設けられており、CISによって、プリントシートの斜行や幅方向(搬送方向に対して垂直方向)でのズレが検出される。また、その画像形成装置は、シェーディング補正のために白基準をCISで測定する際に、調整基準板をCISの直下の位置に移動させてから、CISで調整基準板からの光を検出している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の画像形成装置では、シェーディング補正のための白基準の測定の際に調整基準板をCISの直下の位置に移動させるため、調整基準板の移動のための機構が必要となり、装置のコストが高くなってしまう。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、比較的低コストで、プリントシートの搬送路に設けられたイメージセンサーのシェーディング補正を行う画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、プリントシートを搬送する搬送ベルトと、主走査方向に配列された複数のノズルを備え、前記ノズルから前記プリントシートにインクを吐出するプリントエンジンと、前記搬送ベルトに面して配置され前記プリントシートの画像読取を行うイメージセンサーと、前記搬送ベルトを挟んで前記イメージセンサーに対向して配置された白基準部材と、前記プリントエンジンのインク吐出タイミングを制御する制御部と、前記イメージセンサーのシェーディング補正を行うシェーディング補正部とを備える。前記搬送ベルトは、フラッシング開口部を備え、前記制御部は、前記フラッシング開口部に対応するタイミングで、当該ノズルのフラッシングを前記プリントエンジンに実行させる。そして、前記シェーディング補正部は、前記搬送ベルトの動作中において前記フラッシング開口部が前記イメージセンサーと前記白基準部材との間を通過する期間において前記イメージセンサーの画像読取により得られたライン画像に基づいて、前記シェーディング補正を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、比較的低コストで、プリントシートの搬送路に設けられたイメージセンサーのシェーディング補正を行う画像形成装置が得られる。
【0008】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成を説明する側面図である。
【
図3】
図3は、
図1における搬送ベルト2の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置10の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、
図1における搬送ベルト2におけるフラッシング開口部41に対応する複数位置に対応するライン画像について説明する図である。
【
図6】
図6は、複数のライン画像から得られる白基準値について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成を説明する側面図である。
図2は、
図1に示す画像形成装置の平面図である。
【0012】
この実施の形態に係る画像形成装置10は、プリンター、コピー機、ファクシミリ機、複合機などといった装置であり、この実施の形態ではラインヘッド型のインクジェット方式のカラープリント機構を備える。
【0013】
図1に示す画像形成装置10は、プリントエンジン10aと、シート搬送部10bとを備える。プリントエンジン10aは、プリントすべき画像をプリントシート(プリント用紙など)上に物理的にプリントする。プリントエンジン10aにはインクカートリッジが着脱可能であり、プリントエンジン10aは、インクカートリッジから供給されるインクを使用してプリントを行う。また、シート搬送部10bは、プリントシートをプリントエンジン10aに搬送する。
【0014】
この実施の形態では、プリントエンジン10aは、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックという4つのインク色に対応するラインヘッド型のインクジェット記録部1a~1dを備え、インクジェット記録部1a~1dで、プリントシートにインクを吐出する。
【0015】
図2に示すように、この実施の形態では、各インクジェット記録部1a,1b,1c,1dは、1または複数(ここでは3個)のヘッド部11を有する。それらのヘッド部11は、主走査方向に沿って配列されており、装置本体に対して着脱可能になっている。ヘッド部11(つまり、各インクジェット記録部1a,1b,1c,1d)は、主走査方向に配列された複数のノズルを備え、ノズルからプリントシートにインクを吐出する。
【0016】
また、この実施の形態では、シート搬送部10bは、プリントエンジン10aに対向して配置されプリントシートを搬送する環状の搬送ベルト2と、搬送ベルト2を懸架される駆動ローラー3、従動ローラー4、およびテンションローラー4aと、搬送ベルト2ととともにプリントシートをニップする吸着ローラー5と、後段搬送ベルト6と、乾燥器7とを備える。
【0017】
駆動ローラー3、従動ローラー4およびテンションローラー4aは、搬送ベルト2を周回させる。そして、後述の給紙カセット20から搬送されてきたプリントシートを吸着ローラー5がニップし、ニップされたプリントシート101は、搬送ベルト2によってインクジェット記録部1a~1dのプリント位置へ順番に搬送されていき、インクジェット記録部1a~1dによりそれぞれの色の画像をプリントされる。その際、シートセンサー2aでプリントシートの通過が検出され、その検出タイミングに基づいて搬送路上でのプリントシートの現在位置が特定され、これにより、プリントシート上の適切な位置に画像がプリントされる。そして、プリント完了後のプリントシートが後段搬送ベルト6によって排出トレイ10cなどに排出される。その際、乾燥器7によって、インクを吐出されたプリントシートの乾燥が行われる。
【0018】
図3は、
図1における搬送ベルト2の一例を示す図である。搬送ベルト2は、複数のフラッシング開口部41を備えている。例えば
図3に示すように、搬送ベルト2において複数のフラッシング開口部41が形成されており、フラッシング開口部41は、主走査方向に沿って少なくとも2列(
図3では2列)で形成されている。つまり、搬送方向において、互いに異なる位置に配置されたフラッシング開口部41がある。また、複数のフラッシング開口部41は、主走査方向における、インクジェット記録部1a~1dにおいて配列された複数のノズルの範囲の全域をカバーするように(つまり、抜け部分のないように)配置されている。なお、フラッシング開口部41以外の領域には、シート吸引孔42が所定密度で略均一に配列されている。
【0019】
例えば
図1に示すように、インクジェット記録部1a~1dのヘッド部11の下方にはインク受け部8a~8dが設けられている。各インクジェット記録部1a,1b,1c,1dにおける各ノズルについてのフラッシング(例えば、ラインフラッシング)は、いずれかのフラッシング開口部41がインクジェット記録部1a,1b,1c,1dのヘッド部11の直下に位置するときに実行され、フラッシング時にノズルから吐出されるインクは、フラッシング開口部41を介して、対応するインク受け部8a,8b,8c,8dに受け止められ、廃インクタンクへ回収される。
【0020】
図1に戻り、シート吸引部9は、シートの搬送路に沿って、インク受け部8a~8d以外の部分に配列されている。シート吸引部9には負圧が与えられ、これにより、プリントシートがシート吸引孔42を介して搬送ベルト2に吸着する。なお、インク受け部8a~8dには、シート吸引部9より低い負圧が与えられている。
【0021】
さらに、シート搬送部10bは、給紙元としての給紙カセット20を備えている。給紙カセット20は、プリントシート101を収容しており、リフト板21でプリントシート101を上方に押し上げてピックアップローラー22に当接させる。給紙カセット20に載置されたプリントシート101は上側から1枚ずつピックアップローラー22によって給紙ローラー23へピックアップされる。給紙ローラー23は、給紙カセット20からピックアップローラー22によって給紙されたプリントシート101を1枚ずつ搬送路上へ搬送するローラーである。
【0022】
搬送ローラー27は、所定の搬送路上でプリントシート101を搬送するローラーである。レジストローラー28は、搬送されてくるプリントシート101がレジストセンサー28aによって検出されると、そのプリントシート101を一時停止させ、2次給紙タイミングでそのプリントシート101をプリントエンジン10aへ(具体的には、吸着ローラー5と搬送ベルト2とのニップ位置に)搬送する。2次給紙タイミングは、そのプリントシート101上の指定された位置に画像が形成されるように後述の制御部81によって指定される。
【0023】
さらに、搬送ベルト2に面して(ここでは、搬送ベルト2の上方に)、イメージセンサー31が設けられ、搬送ベルト2を挟んでイメージセンサー31に対向して白基準部材32が設けられている。イメージセンサー31は、プリントシート101の形状を検出するための光学センサーであって、例えば主走査方向に沿って配置されたラインセンサーであり、例えば、LEDなどで光を搬送ベルト2の方向へ出射しその反射光をフォトダイオードなどの各受光素子で検出し、主走査方向における所定範囲内の各位置の色を特定する。ここでは、イメージセンサー31は、CISであり、主走査方向に沿って配列された複数のセンサー素子を備える。白基準部材32は、シェーディング補正のための白基準値を示すための平板状の部材である。シェーディング補正では、ある受光光量に対して複数のセンサー素子の出力画素値が均一になるようにセンサー素子の出力画素値が調整される。
【0024】
例えば
図3に示すように、インクジェット記録部1a,1b,1c,1dの幅(つまり、ノズル配列の幅)は、プリントシート101の幅以上となっており、また、イメージセンサー31(の読取可能領域)の幅は、プリントシート101の幅以上となっており、フラッシング開口部41の配列の幅は、インクジェット記録部1a,1b,1c,1dの幅(つまり、ノズル配列の幅)およびイメージセンサー31(の読取可能領域)の幅以上となっている。
【0025】
図4は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置10の電気的な構成を示すブロック図である。
図4に示すように、画像形成装置10は、
図1および
図2に示すような機械的構成を有するプリント装置71の他、さらに、操作パネル72、記憶装置73、および演算処理装置74を備える。
【0026】
操作パネル72は、画像形成装置10の筐体表面に配置され、液晶ディスプレイなどの表示装置72a、およびハードキー、タッチパネルなどの入力装置72bを備え、その表示装置72aでユーザーに対して各種メッセージを表示し、その入力装置72bでユーザー操作を受け付ける。
【0027】
記憶装置73は、画像形成装置10の制御に必要なデータ、プログラムなどを記憶する不揮発性の記憶装置(フラッシュメモリー、ハードディスクドライブなど)である。
【0028】
演算処理装置74は、プログラムに従って動作するコンピューター、所定動作を実行するASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを備え、各種処理部として動作する。そのコンピューターは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備え、ROM、記憶装置73などに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、(必要に応じてASICとともに)各種処理部として動作する。
【0029】
ここでは、演算処理装置74は、制御部81、画像処理部82、およびシェーディング補正部83として動作する。
【0030】
制御部81は、プリント装置71(プリントエンジン10a、シート搬送部10bなど)を制御し、ユーザーにより要求されたプリントジョブを実行する。この実施の形態では、制御部81は、画像処理部82に所定の画像処理を実行させ、プリントエンジン10a(ヘッド部11)を制御してインクを吐出させてプリントシート上にプリント画像を形成する。画像処理部82は、RIP(Raster Image Processing)、色変換、ハーフトーニングなどの所定の画像処理を、プリントシートにプリントすべき画像の画像データに対して実行する。
【0031】
制御部81は、プリントエンジン10aのインク吐出タイミングを制御し、ユーザーにより指定された画像をプリント装置71にプリントさせる。具体的には、制御部81は、プリントエンジン10aに、ユーザーにより指定されたプリント画像データに基づくユーザー原稿画像をプリントさせる。制御部81は、ユーザー原稿画像のプリント時に、プリントエンジン10aにインクを吐出させる。
【0032】
その際、制御部81は、イメージセンサー31によって読み取られたプリントシート101の画像に基づき、プリントシート101の形状(欠けや折れで変化した外形、内部の孔などを含む)を特定し、プリント画像データに基づくプリント画像のうち、プリントシート101以外の部分を削除し、プリントシート101以外の部分にはインクが吐出されないようにする。つまり、欠け、折れ、孔などの欠損部分に対応してその部分の画像のマスキングが行われる。
【0033】
また、制御部81は、プリントエンジン10aの各ノズルに対応するフラッシングタイミングで、プリントエンジン10aに各ノズルからインクを吐出させる。このフラッシングは、ノズル内の増粘したインクの破棄のために行われる。
【0034】
フラッシングについては、制御部81は、フラッシング開口部41に対応するタイミングで、当該ノズルのフラッシングをプリントエンジン10aに実行させる。フラッシングは、プリントシート101が搬送されていないタイミングで実行される。これにより、フラッシングのために吐出されたインク液滴は、搬送ベルト2に当たらずに、フラッシング開口部41を介して、インク受け部8a~8dに受け止められる。
【0035】
シェーディング補正部83は、イメージセンサー31のシェーディング補正を行う。
【0036】
具体的には、シェーディング補正部83は、搬送ベルト2の動作中(周回中)においてフラッシング開口部41がイメージセンサー31と白基準部材32との間を通過する期間においてイメージセンサー31の画像読取により得られたライン画像に基づいて、シェーディング補正を行う。つまり、イメージセンサー31は、フラッシング開口部41を介して白基準部材32(開口部41の直下の部分)の画像読取を行い、白基準値を導出する。
【0037】
より具体的には、シェーディング補正部83は、(a)搬送ベルト2の動作中においてフラッシング開口部41がイメージセンサー31と白基準部材32との間を通過する期間における複数時点(つまり、搬送ベルト2の周方向の複数位置P1~Pn)でイメージセンサー31の画像読取により得られた複数のライン画像L(P1)~L(Pn)を取得し、(b)取得した複数のライン画像L(P1)~L(Pn)に基づいて、イメージセンサー31(読取可能領域)全域の白基準値を導出し、(c)その白基準値に基づいてシェーディング補正を行う。したがって、複数のライン画像L(P1)~L(Pn)の読取位置(搬送ベルト2の周回方向の位置)は、複数のライン画像L(P1)~L(Pn)におけるフラッシング開口部41に対応する範囲でイメージセンサー31(読取可能領域)全域がカバーされるように設定される。
【0038】
図5は、
図1における搬送ベルト2におけるフラッシング開口部41に対応する複数位置P1~Pn(n>1)に対応するライン画像L(P1)~L(Pn)について説明する図である。例えば
図5に示すように、各ライン画像L(Pi)におけるフラッシング開口部41に対応する範囲以外の部分は、白基準部材32ではなく搬送ベルト2の読取画像となっているが、ライン画像L(P1)~L(Pn)のフラッシング開口部41に対応する範囲を組み合わせることで、イメージセンサー31全域についての白基準部材32の読取画像が得られ、イメージセンサー31全域についての白基準値が得られる。
図6は、ライン画像L(P1)~L(Pn)から得られる白基準値について説明する図である。
図6に示すように、ライン画像L(P1)~L(Pn)をそのように統合して得られた画素値(白基準値)(図中の濃い実線)が、白基準部材32を通常の方法で読み取った場合の画素値(図中の薄い実線)と略同一となっている。
【0039】
例えば、シェーディング補正部83は、各画素位置における複数のライン画像L(P1)~L(Pn)の輝度(例えばRGBデータの場合の画素値など)のうち最も高い輝度を選択し、選択した輝度を当該画素位置での白基準値とする。
【0040】
あるいは、例えば、シェーディング補正部83は、各画素位置における複数のライン画像L(P1)~L(Pn)の輝度のうち最も高い輝度から順番に所定数の輝度を選択し、選択した所定数の輝度の平均値を当該画素位置での白基準値とする。
【0041】
また、シェーディング補正部83は、フラッシング開口部41がイメージセンサー31と白基準部材32との間の距離に対する係数Cで、例えば次式のように各画素位置Xの白基準値W(X)を補正するようにしてもよい。なお、係数Cは、予め実験などで導出されている。
【0042】
W(X)=C×MAX(L(P1,X),L(P2,X),・・・,L(Pn,X))
【0043】
ここで、L(Pi,X)(i=1,・・・,n)は、ライン画像L(Pi)の画素位置Xの画素値を示す。また、MAXは、複数の引数のうちの最大値となる関数である。
【0044】
イメージセンサー31の被写界深度が狭くプリントシート101は被写界深度内にあるが、白基準部材32は被写界深度外にあり、白基準部材32の画像がぼやける場合には、白基準部材32までの距離が大きくなるほど、上述の画素値が小さくなるため、上述のように係数C(C>1)を乗じて、白基準値W(X)が補正される。
【0045】
次に、上記画像形成装置10の動作について説明する。
【0046】
シェーディング補正部83は、所定のタイミング(画像形成装置10の起動時など)において、プリントシート101を搬送せずに搬送ベルト2を周回させつつ、搬送ベルト2の動作中(周回中)においてフラッシング開口部41がイメージセンサー31と白基準部材32との間を通過する期間において、イメージセンサー31の画像読取を実行し、上述のようにして、イメージセンサー31により得られたライン画像に基づいてイメージセンサー31全域の白基準値を特定する。
【0047】
そして、画像のプリント時に、制御部81は、シート搬送部10bを制御して、プリントシート101をプリントエンジン10aに搬送させる。その際、制御部81は、イメージセンサー31からプリントシート101の画像を取得し、シェーディング補正部83による上述の白基準値に基づくシェーディング補正の後、プリントシート101の形状を特定し、必要に応じて、プリント画像の一部を削除する。
【0048】
その後、制御部81は、プリントエンジン10aを制御して、そのプリント画像においてインクを吐出すべき画素について、インク吐出タイミングで、インクをインクジェット記録部1a,1b,1c,1dのノズルからプリントシート上に吐出させる。
【0049】
また、制御部81は、所定のフラッシング条件(画像形成装置10の所定長の不使用時間の経過など)に従って、フラッシングを実行する。その際、制御部81は、フラッシングすべきノズル(一部または全部のノズル)を選択し、選択したノズルについてのフラッシングを行う。具体的には、搬送ベルト2が周回しているときにおいて、制御部81は、選択したノズルに対応するフラッシング開口部41を特定し、特定したフラッシング開口部41に対応するフラッシングタイミングを特定し、フラッシングタイミングが到来すると、インクを吐出させてフラッシングを行う。
【0050】
以上のように、上記実施の形態によれば、イメージセンサー31は、搬送ベルト2に面して配置されており、プリントシート101の画像読取を行う。白基準部材32は、搬送ベルト2を挟んでイメージセンサー31に対向して配置されている。搬送ベルト2は、フラッシング開口部41を備えており、制御部81は、フラッシング開口部41に対応するタイミングで、当該ノズルのフラッシングをプリントエンジン10aに実行させる。そして、シェーディング補正部83は、搬送ベルト2の動作中においてフラッシング開口部41がイメージセンサー31と白基準部材32との間を通過する期間においてイメージセンサー31の画像読取により得られたライン画像に基づいて、シェーディング補正を行う。
【0051】
これにより、白基準部材32を可動式とせず固定した状態で設置し搬送ベルト2に面して配置されているイメージセンサー31のシェーディング補正を行えるため、比較的低コストで、プリントシート101の搬送路に設けられたイメージセンサー31のシェーディング補正が行われる。
【0052】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、例えば、インクジェット方式の画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
2 搬送ベルト
10 画像形成装置
10a プリントエンジン
10b シート搬送部
31 イメージセンサー
32 白基準部材
41 フラッシング開口部
81 制御部
83 シェーディング補正部