(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162651
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】車両用灯具、及び導光体
(51)【国際特許分類】
F21S 43/237 20180101AFI20241114BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20241114BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20241114BHJP
F21S 43/241 20180101ALI20241114BHJP
F21S 43/249 20180101ALI20241114BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241114BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20241114BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20241114BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20241114BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241114BHJP
F21Y 113/10 20160101ALN20241114BHJP
【FI】
F21S43/237
F21S43/14
F21S43/245
F21S43/241
F21S43/249
F21S2/00 432
F21S2/00 435
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:55
F21Y115:10
F21Y113:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078376
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】小野塚 貴昭
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA09
3K244BA08
3K244BA48
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA04
3K244EA06
3K244EA08
3K244EA12
3K244EA23
3K244ED02
3K244ED06
3K244ED14
3K244ED16
(57)【要約】
【課題】幅広領域及び幅狭領域を均一(又は略均一)に発光させることができる(幅広領域の一部に相対的に暗いダーク部が発生しない)車両用灯具等を提供する。
【解決手段】光源と、幅広領域及び幅狭領域を含むインナーレンズと、前記光源が発光する光を導光する少なくとも1本の棒状導光部21を含む導光体20と、を備え、前記棒状導光部は、第1棒状導光部211と、第2棒状導光部212と、を含み、前記第1棒状導光部の出光面から出光する光の角度範囲が前記第2棒状導光部の出光面から出光する光の角度範囲より大きくなるように、前記第1棒状導光部の断面形状CS
211及び前記第2棒状導光部の断面形状CS
212は互いに異なる形状に設定されており、前記第1棒状導光部は、前記幅広領域の後方に配置され、前記第2棒状導光部は、前記幅狭領域の後方に配置されている車両用灯具。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
幅広領域及び幅狭領域を含むインナーレンズと、
前記光源が発光する光を導光する少なくとも1本の棒状導光部を含む導光体と、を備え、
前記棒状導光部は、第1方向に延びる第1棒状導光部と、第2方向に延びる第2棒状導光部と、を含み、
前記第1棒状導光部内を導光され当該第1棒状導光部の出光面から出光する光の角度範囲が前記第2棒状導光部内を導光され当該第2棒状導光部の出光面から出光する光の角度範囲より大きくなるように、前記第1棒状導光部の断面形状及び前記第2棒状導光部の断面形状は互いに異なる形状に設定されており、
前記第1棒状導光部は、当該第1棒状導光部の出光面から出光する光が前記幅広領域を透過するように当該幅広領域の後方に配置され、
前記第2棒状導光部は、当該第2棒状導光部の出光面から出光する光が前記幅狭領域を透過するように当該幅狭領域の後方に配置されている車両用灯具。
【請求項2】
前記第1棒状導光部の断面形状は、扇形状であり、
前記第2棒状導光部の断面形状は、銀杏形状である請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第2方向は、前記第1方向に交差する方向であり、
前記導光体は、前記第1棒状導光部と前記第2棒状導光部とを連結する湾曲した形状の第3棒状導光部を含み、
前記第3棒状導光部の断面形状は、前記第1棒状導光部から前記第2棒状導光部に向かうに従って扇形状から銀杏形状に徐変する形状である請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第1棒状導光部の直径と前記第2棒状導光部の直径は略等しい請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第1棒状導光部の出光面の曲率と前記第2棒状導光部の出光面の曲率は互いに相違する請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記導光体は、互いに並列に配置された複数の前記棒状導光部を含む請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項7】
複数の前記棒状導光部それぞれの基端部側は、互いに合流して互いに境界の無い一つの合流部を構成しており、
前記合流部の先端部には前記光源が発光する光が入光する入光面が設けられている請求項6に記載の車両用灯具。
【請求項8】
光源が発光する光を導光する少なくとも1本の棒状導光部を含む導光体であって、
前記棒状導光部は、第1方向に延びる第1棒状導光部と、第2方向に延びる第2棒状導光部と、を含み、
前記第1棒状導光部内を導光され当該第1棒状導光部の出光面から出光する光の角度範囲が前記第2棒状導光部内を導光され当該第2棒状導光部の出光面から出光する光の角度範囲より大きくなるように、前記第1棒状導光部の断面形状及び前記第2棒状導光部の断面形状は互いに異なる形状に設定されている導光体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具、及び導光体に関する。
【背景技術】
【0002】
断面形状が銀杏形状の棒状導光部を用いた車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用灯具においては、断面形状が銀杏形状の棒状導光部の出光面から出光する光の角度範囲に対応する幅の第1領域については棒状導光部の出光面から出光する光が透過するため当該第1領域を均一(又は略均一)に発光させることができるのに対して、当該幅より広い幅の第2領域のうち棒状導光部の出光面から出光する光の角度範囲を超える領域については棒状導光部の出光面から出光する光が透過しないため当該第2領域を均一(又は略均一)に発光させることができない(第2領域の一部に相対的に暗いダーク部が発生する)という課題がある。
【0005】
本開示は、このような問題点を解決するためになされたものであり、幅広領域及び幅狭領域を均一(又は略均一)に発光させることができる(幅広領域の一部に相対的に暗いダーク部が発生しない)車両用灯具、及び導光体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる車両用灯具は、光源と、幅広領域及び幅狭領域を含むインナーレンズと、前記光源が発光する光を導光する少なくとも1本の棒状導光部を含む導光体と、を備え、前記棒状導光部は、第1方向に延びる第1棒状導光部と、第2方向に延びる第2棒状導光部と、を含み、前記第1棒状導光部内を導光され当該第1棒状導光部の出光面から出光する光の角度範囲が前記第2棒状導光部内を導光され当該第2棒状導光部の出光面から出光する光の角度範囲より大きくなるように、前記第1棒状導光部の断面形状及び前記第2棒状導光部の断面形状は互いに異なる形状に設定されており、前記第1棒状導光部は、当該第1棒状導光部の出光面から出光する光が前記幅広領域を透過するように当該幅広領域の後方に配置され、前記第2棒状導光部は、当該第2棒状導光部の出光面から出光する光が前記幅狭領域を透過するように当該幅狭領域の後方に配置されている。
【0007】
このような構成により、幅広領域及び幅狭領域を均一(又は略均一)に発光させることができる(幅広領域の一部に相対的に暗いダーク部が発生しない)。
【0008】
これは、第1に、第1棒状導光部内を導光され当該第1棒状導光部の出光面から出光する光の角度範囲が第2棒状導光部内を導光され当該第2棒状導光部の出光面から出光する光の角度範囲より大きくなるように、第1棒状導光部の断面形状及び第2棒状導光部の断面形状は互いに異なる形状に設定されていること、及び、第2に、第1棒状導光部は、当該第1棒状導光部の出光面から出光する光が幅広領域を透過するように当該幅広領域の後方に配置され、第2棒状導光部は、当該第2棒状導光部の出光面から出光する光が幅狭領域を透過するように当該幅狭領域の後方に配置されていること、によるものである。
【0009】
また、上記車両用灯具において、前記第1棒状導光部の断面形状は、扇形状であり、前記第2棒状導光部の断面形状は、銀杏形状であってもよい。
【0010】
また、上記車両用灯具において、前記第2方向は、前記第1方向に交差する方向であり、前記導光体は、前記第1棒状導光部と前記第2棒状導光部とを連結する湾曲した形状の第3棒状導光部を含み、前記第3棒状導光部の断面形状は、前記第1棒状導光部から前記第2棒状導光部に向かうに従って扇形状から銀杏形状に徐変する形状であってもよい。
【0011】
また、上記車両用灯具において、前記第1棒状導光部の直径と前記第2棒状導光部の直径は略等しくてもよい。
【0012】
また、上記車両用灯具において、前記第1棒状導光部の出光面の曲率と前記第2棒状導光部の出光面の曲率は互いに相違してもよい。
【0013】
また、上記車両用灯具において、前記導光体は、互いに並列に配置された複数の前記棒状導光部を含んでいてもよい。
【0014】
また、上記車両用灯具において、複数の前記棒状導光部それぞれの基端部側は、互いに合流して互いに境界の無い一つの合流部を構成しており、前記合流部の先端部には前記光源が発光する光が入光する入光面が設けられていてもよい。
【0015】
本開示にかかる導光体は、光源が発光する光を導光する少なくとも1本の棒状導光部を含む導光体であって、前記棒状導光部は、第1方向に延びる第1棒状導光部と、第2方向に延びる第2棒状導光部と、を含み、前記第1棒状導光部内を導光され当該第1棒状導光部の出光面から出光する光の角度範囲が前記第2棒状導光部内を導光され当該第2棒状導光部の出光面から出光する光の角度範囲より大きくなるように、前記第1棒状導光部の断面形状及び前記第2棒状導光部の断面形状は互いに異なる形状に設定されている。
【0016】
このような構成により、幅広領域及び幅狭領域を均一(又は略均一)に発光させることができる(幅広領域の一部に相対的に暗いダーク部が発生しない)。
【0017】
これは第1棒状導光部内を導光され当該第1棒状導光部の出光面から出光する光の角度範囲が第2棒状導光部内を導光され当該第2棒状導光部の出光面から出光する光の角度範囲より大きくなるように、第1棒状導光部の断面形状及び第2棒状導光部の断面形状は互いに異なる形状に設定されていること、によるものである。
【発明の効果】
【0018】
本開示により、幅広領域及び幅狭領域を均一(又は略均一)に発光させることができる(幅広領域の一部に相対的に暗いダーク部が発生しない)車両用灯具、及び導光体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)車両用灯具10の正面図、(b)
図1(a)に発光領域を記入した図である。
【
図2】
図1(a)から抜き出した導光体20、ブラケット60、及びインナーレンズ70の斜視図である。
【
図6】
図5中矢印Ar1方向から見た基板40の矢視図である。
【
図7】
図2中矢印Ar2方向から見た棒状導光部21の入光面22近傍の拡大斜視図である。
【
図8】(a)比較例の第2棒状導光部212(1本)の出光面212aから出光する光の角度範囲θ1を表す図、(b)比較例の第2棒状導光部212(3本)の出光面212aから出光する光の範囲を表す図、(c)実施形態の第1棒状導光部211(1本)の出光面から出光する光の角度範囲θ2を表す図、(d)実施形態の第1棒状導光部211(3本)の出光面から出光する光の範囲を表す図である。
【
図9】棒状導光部21及びインナーレンズ70の第1変形例である。
【
図10】棒状導光部21及びインナーレンズ70の第2変形例である。
【
図11】棒状導光部21及びインナーレンズ70の第3変形例である。
【
図12】棒状導光部21の断面形状を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施形態である車両用灯具10について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0021】
本実施形態の車両用灯具10は、ターンランプ、DRLランプ又はポジションランプ(シグネチャーランプ又は車両用信号灯具)として機能する車両用灯具で、自動車等の車両(図示せず)の前端部の左右両側にそれぞれ搭載される。左右両側に搭載される車両用灯具10は左右対称の構成であるため、以下、代表して、車両の前端部の左側(車両前方に向かって左側)に搭載される車両用灯具10について説明する。
【0022】
図1(a)は車両用灯具10の正面図、
図1(b)は
図1(a)に発光領域を記入した図である。
図2は、
図1(a)から抜き出した導光体20、ブラケット60、及びインナーレンズ70の斜視図である。
図3は
図1(a)のA-A断面図、
図4は
図1(a)のB-B断面図、
図5は
図1(a)のC-C断面図である。
図6は、
図5中矢印Ar1方向から見た基板40の矢視図である。
【0023】
図1~
図6に示すように、車両用灯具10は、導光体20、第1光源30A、第2光源30Bが実装された基板40、基板40が取り付けられたヒートシンク50、導光体20が取り付けられたブラケット60、インナーレンズ70、装飾部材であるエクステンション80、アウターレンズ90、ハウジング100を備えている。導光体20、基板40、ヒートシンク50、ブラケット60、インナーレンズ70、及びエクステンション80は、アウターレンズ90とハウジング100とによって構成される灯室内に配置され、ハウジング100等に取り付けられる。
【0024】
インナーレンズ70は、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂製で、
図1(a)に示すように、正面視でL字形状に構成されている。具体的には、インナーレンズ70は、幅広領域A
70a及び幅狭領域A
70bを含む。幅広領域A
70aは、車幅方向外側に配置され、かつ、鉛直方向に延びている。幅広領域A
70aの幅L
70aは例えば60mmである。一方、幅狭領域A
70bは、幅広領域A
70aの下端部から車幅方向内側に向かって延びている。幅狭領域A
70bの幅L
70bは例えば30mmである。
【0025】
後述のように、インナーレンズ70の後方に配置された導光体20により導光される光は、インナーレンズ70(幅広領域A
70a、及び幅狭領域A
70b)を透過する。これにより、インナーレンズ70(幅広領域A
70a、及び幅狭領域A
70b)が発光する。
図1(b)中ハッチングHTを施した領域が発光領域を表す。
【0026】
図3、
図4に示すように、導光体20は、ブラケット60に取り付けられた状態でインナーレンズ70の後方に配置されている。ブラケット60は、例えば、反射面として機能する白樹脂製で、ブラケット本体61、ブラケット本体61の左右両側からインナーレンズ70に向かって延びる左右壁部62、63(
図3参照)及びブラケット本体61の上下両側からインナーレンズ70に向かって延びる上下壁部64、65(
図4参照)を含む。
【0027】
導光体20は、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂製で、
図2に示すように、互いに並列に配置された3本の棒状導光部21A~21Cを含む。棒状導光部は、導光棒とも呼ばれる。以下、棒状導光部21A~21Cを特に区別しない場合、単に棒状導光部21と記載する。
【0028】
棒状導光部21は、第1光源30A、第2光源30Bが発光する光を導光する。
図2に示すように、棒状導光部21は、基端部BE
21側の端面である入光面22から入光した光を先端部FE
21側に向けて導光する長尺の導光棒で、インナーレンズ70の形状(ここではL字形状)に対応して三次元的に湾曲した形状に構成されている。具体的には、棒状導光部21は、基端部BE
21側から車両前方に向かって延びる合流部210、合流部210から第1湾曲部C1を介して前方斜め下方(本開示の第1方向の一例)に向かって延びる第1棒状導光部211、さらに、第1棒状導光部211から第2湾曲部C2を介して車幅方向(本開示の第2方向の一例)内側に向かって延びる第2棒状導光部212を含む。
【0029】
第1棒状導光部211は、当該第1棒状導光部211の出光面211aから出光する光が幅広領域A
70aを透過するように、
図3に示すように、インナーレンズ70の幅広領域A
70aの後方に配置されている。具体的には、第1棒状導光部211は、ブラケット本体61、ブラケット60の左右壁部62、63、及びインナーレンズ70で囲まれた空間S1内の、車両後方側に配置されている。
【0030】
一方、第2棒状導光部212は、当該第2棒状導光部212の出光面212aから出光する光が幅狭領域A
70bを透過するように、
図4に示すように、インナーレンズ70の幅狭領域A
70bの後方に配置されている。具体的には、第2棒状導光部212は、ブラケット本体61、ブラケット60の上下壁部64、65、及びインナーレンズ70で囲まれた空間S2内の、車両後方側に配置されている。
【0031】
図7は、
図2中矢印Ar2方向から見た棒状導光部21の入光面22近傍の拡大斜視図である。
【0032】
図7に示すように、棒状導光部21の基端部BE
21は、共通の入光面22を含む。この入光面22は、例えば、棒状導光部21の長手方向(棒状導光部21が延びている方向)に対して直交する平面形状である(
図5参照)。なお、入光面22は、平面形状に限らず、第1光源30A、第2光源30Bに向かって凸の曲面形状又はキャップ形状であってよい。
【0033】
棒状導光部21A~21Cのうち、入光面22と第1湾曲部C1との間の部分は互いに合流して互いに境界の無い一つの合流部210(助走区間)を構成している(
図7参照)。入光面22はこの合流部210の先端部に設けられている。この合流部210を設けることにより、入光面22から入光した光(第1光源30A、第2光源30Bが発光した光)を棒状導光部21A~21Cにまんべんなく入光させることができる。導光体20は、入光面22が第1光源30A及び第2光源30Bに対向した状態(
図5参照)で、ブラケット60に取り付けられる。
【0034】
第1棒状導光部211内を導光され当該第1棒状導光部211の出光面211aから出光する光Ray2の角度範囲θ2(
図8(c)参照)が第2棒状導光部212内を導光され当該第2棒状導光部212の出光面212aから出光する光Ray1の角度範囲θ1(
図8(a)参照)より大きくなるように、第1棒状導光部211の断面形状及び第2棒状導光部212の断面形状は互いに異なる形状に設定されている。以下この点について具体的に説明する。
【0035】
まず、第1棒状導光部211の断面形状について説明する。
【0036】
図12は、棒状導光部21の断面形状を表す図である。
【0037】
図3、
図12に示すように、第1棒状導光部211の断面形状CS
211は、第1棒状導光部211の光軸AX
211に対して線対称の扇形状である。具体的には、第1棒状導光部211は、出光面211aと、その反対側の第1反射面211bと、その両側の一対の第2反射面211c、211dと、を含む。なお、第1棒状導光部211の断面形状CS
211は、完全な扇形でなくてよく、概ね扇形状であればよい。
【0038】
出光面211aはインナーレンズ70が対向した状態で正面側(車両前方側)に配置される。一方、第1反射面211bはブラケット60(ブラケット本体61)が対向した状態で背面側(車両後方側)に配置される。
【0039】
出光面211aの断面形状は、正面側(光照射方向。
図3中下方向)に向かって凸の円弧形状である。
【0040】
一方、第1反射面211bの断面形状は、第1棒状導光部211の光軸AX211に交差(直交)する直線形状である。第1反射面211bの長さL211bは、出光面211aの長さL211aより短い。
【0041】
第1反射面211bは、第1棒状導光部211内を導光され当該第1反射面211bに入射する光を内面反射(全反射)して出光面211aから出光させるように構成された光学素子LC1(
図7参照)を含む。この光学素子LC1は、第1棒状導光部211の長手方向に複数設けられている。この光学素子LC1は、例えば、レンズカット(例えば、V溝)である。
【0042】
また、第2反射面211cの断面形状は直線形状で、出光面211aの一方の端部と第1反射面211bの一方の端部とを連結している(
図3参照)。同様に、第2反射面211dの断面形状は直線形状で、出光面211aの他方の端部と第1反射面211bの他方の端部とを連結している(
図3参照)。
【0043】
図3に示すように、本実施形態では、3本の第1棒状導光部211が、左右方向(車幅方向)に互いに隣接した状態で配置されている。その際、互いに隣接する第1棒状導光部211同士は、連結部211e、211fを介して互いに連結されている。なお、連結部211e、211fは、光学的な機能を持たないいわゆる繋ぎ部である。
【0044】
次に、第2棒状導光部212の断面形状について説明する。
【0045】
図4、
図12に示すように、第2棒状導光部212の断面形状CS
212は、第2棒状導光部212の光軸AX
212に対して線対称の銀杏形状である。具体的には、第2棒状導光部212は、出光面212aと、その反対側の第1反射面212bと、その両側の一対の第2反射面212c、212dと、を含む。なお、第2棒状導光部212の断面形状CS
212は、完全な銀杏型でなくてよく、概ね銀杏形状であればよい。
【0046】
出光面212aはインナーレンズ70が対向した状態で正面側(車両前方側)に配置される。一方、第1反射面212bはブラケット60(ブラケット本体61)が対向した状態で背面側(車両後方側)に配置される。
【0047】
出光面212aの断面形状は、正面側(光照射方向。
図4中左方向)に向かって凸の円弧形状である。第2棒状導光部212の出光面212aの直径(
図4中の距離L
212a参照)と第1棒状導光部211の出光面211aの直径(
図3中の距離L
211a参照)は略等しい。なお、第2棒状導光部212の出光面212aの曲率と第1棒状導光部211の出光面211aの曲率は、互いに同一であるが、互いに相違していてもよい。
【0048】
一方、第1反射面212bの断面形状は、第2棒状導光部212の光軸AX212に交差(直交)する直線形状である。第1反射面212bの長さL212bは、出光面212aの長さL212aより短い。
【0049】
第1反射面212bは、第2棒状導光部212内を導光され当該第1反射面212bに入射する光を内面反射(全反射)して出光面212aから出光させるように構成された光学素子LC2を含む。この光学素子LC2は、第2棒状導光部212の長手方向に複数設けられている。この光学素子LC2は、光学素子LC1と同様、例えば、レンズカット(例えば、V溝)である。
【0050】
また、第2反射面212cの断面形状は、第2棒状導光部212の内部に向かって凸の円弧形状で、出光面212aの一方の端部と第1反射面212bの一方の端部とを連結している(
図4参照)。同様に、第2反射面212dの断面形状は、第2棒状導光部212の内部に向かって凸の円弧形状で、出光面212aの他方の端部と第1反射面212bの他方の端部とを連結している(
図4参照)。
【0051】
図4に示すように、本実施形態では、3本の第2棒状導光部212が、鉛直方向に互いに隣接した状態で配置されている。その際、互いに隣接する第2棒状導光部212同士は、連結部212e、212fを介して互いに連結されている。なお、連結部212e、212fは、光学的な機能を持たないいわゆる繋ぎ部である。
【0052】
次に、第2湾曲部C2の断面形状について説明する。
【0053】
図12に示すように、第2湾曲部C2は、第1棒状導光部211と第2棒状導光部212とを連結する湾曲した形状の棒状導光部(徐変部)である。第2湾曲部C2は、本開示の第3棒状導光部の一例である。第2湾曲部C2の断面形状CS
C2は、第1棒状導光部211から第2棒状導光部212に向かうに従って扇形状から銀杏形状に徐変する形状である。このように、第2湾曲部C2として断面形状が徐変する形状の棒状導光部を用いることにより、第1棒状導光部211と第2棒状導光部212との間に段差部が形成されるのが防止されるため、棒状導光部21内を導光される光がこの段差部に入射することに起因して当該第2湾曲部C2が点光り等するのを抑制することができる。
【0054】
次に、第1光源30A、第2光源30Bについて説明する。
【0055】
第1光源30Aは、例えば、アンバー色光を発光するLED等の半導体発光素子である。第1光源30Aは、発光面(例えば、1mm角の矩形の発光面)を備える。本実施形態では、
図6に示すように、4つの第1光源30Aが、左右方向(車幅方向)に一列に配置された状態で基板40(光源実装面)の上段及び下段それぞれに実装されている。なお、第1光源30Aは4つに限らず1又は複数であってよい。
【0056】
一方、第2光源30Bは、例えば、白色光を発光するLED等の半導体発光素子である。第2光源30Bは、発光面(例えば、1mm角の矩形の発光面)を備える。本実施形態では、
図6に示すように、6つの第2光源30Bが、左右方向(車幅方向)に一列に配置された状態で基板40(光源実装面)の中段に実装されている。なお、第2光源30Bは6つに限らず1又は複数であってよい。
【0057】
基板40は、当該基板40に実装された第1光源30A(発光面)及び第2光源30B(発光面)が棒状導光部21の入光面22に対向した状態(
図5参照)で、ブラケット60等に固定されている。
図6中、点線DL
22は、棒状導光部21の入光面22の外形を表す。
【0058】
上記構成の車両用灯具10においては、アンバー色光を発光する第1光源30Aを点灯し、白色光を発光する第2光源30Bを消灯することにより、ターンランプを実現できる。
【0059】
ターンランプにおいて、第1光源30Aが発光する光の光路は次のとおりである。すなわち、第1光源30Aを点灯すると、当該第1光源30Aが発光した光は、棒状導光部21の入光面22から棒状導光部21に入光し、棒状導光部21内で内面反射(全反射)を繰り返しつつ棒状導光部21の先端部FE21側に向けて、合流部210、第1湾曲部C1、第1棒状導光部211、第2湾曲部C2、第2棒状導光部212をこの順に導光される。
【0060】
そして、第1棒状導光部211内を導光される光のうち一部の光は、当該第1棒状導光部211の第1反射面211b(光学素子LC1)で内面反射(拡散反射)され当該第1棒状導光部211の出光面211aから出光する。
【0061】
同様に、第2湾曲部C2内を導光される光のうち一部の光は、当該第2湾曲部C2の図示しない第1反射面(光学素子)で内面反射(拡散反射)され当該第2湾曲部C2の出光面から出光する。
【0062】
同様に、第2棒状導光部212内を導光される光のうち一部の光は、当該第2棒状導光部212の第1反射面212b(光学素子LC2)で内面反射(拡散反射)され当該第2棒状導光部212の出光面212aから出光する。
【0063】
以上のように、棒状導光部21(第1棒状導光部211、第2湾曲部C2、第2棒状導光部212)の各出光面から出光する光はインナーレンズ70及びアウターレンズ90を透過して車両前方の所定角度範囲内に照射される。その際、一部の光はインナーレンズ70及びアウターレンズ90を直接透過し、他の一部の光はブラケット60の左右壁部62、63、上下壁部64、65で反射された後、インナーレンズ70及びアウターレンズ90を透過する。
【0064】
以上のようにインナーレンズ70及びアウターレンズ90を透過して車両前方の所定角度範囲内に照射される光(アンバー色光)により、ターンランプが実現される。
【0065】
その際、主に第1棒状導光部211の出光面211aから出光する光がインナーレンズ70の幅広領域A
70a(
図1(a)、
図3参照)を透過することにより、当該幅広領域A
70aが発光する。その際、幅広領域A
70a全域が均一(略均一)に発光する。以下、この点について比較例と対比しながら説明する。
【0066】
比較例は、断面形状が扇形状の第1棒状導光部211に代えて断面形状が銀杏形状の第2棒状導光部212を用いた例である。それ以外、本実施の形態と同様である。
【0067】
図8(a)は、比較例の第2棒状導光部212(1本)の出光面212aから出光する光の角度範囲θ1を表す図である。
図8(b)は、比較例の第2棒状導光部212(3本)の出光面212aから出光する光の範囲を表す図である。
図8(c)は、実施形態の第1棒状導光部211(1本)の出光面から出光する光の角度範囲θ2を表す図である。
図8(d)は、実施形態の第1棒状導光部211(3本)の出光面から出光する光の範囲を表す図である。
【0068】
図8(a)に示すように、比較例の第2棒状導光部212(1本)においては、幅広領域A
70aのうち一部領域(例えば、
図8(a)中の符号D1が示す円領域参照)に相対的に暗いダーク部が発生する。これは、比較例においては、
図8(a)に示すように、幅広領域A
70aの幅L
70aが、断面形状が銀杏形状の第2棒状導光部212の出光面212aから出光する光Ray1の角度範囲θ1(
図8(a)参照)より広いため、第2棒状導光部212の出光面212aから出光する光Ray1が幅広領域A
70aのうち角度範囲θ1を超える領域D1を透過しないことによるものである。その結果、比較例においては、幅広領域A
70aのうち一部領域(例えば、
図8(b)中の符号D1が示す円領域参照)に相対的に暗いダーク部が発生し、当該幅広領域A
70a全域を均一(又は略均一)に発光させることができない。
【0069】
これに対して、
図8(c)に示すように、本実施形態の第1棒状導光部211(1本)においては、幅広領域A
70aのうち一部領域(例えば、
図8(c)中の符号D1が示す円領域参照)に相対的に暗いダーク部が発生するのを抑制できる。これは、本実施形態においては、第1棒状導光部211の出光面211aから出光する光Ray2の角度範囲θ2(
図8(c)参照)が、比較例の第2棒状導光部212の出光面212aから出光する光Ray1の角度範囲θ1(
図8(a)参照)より大きいため、第1棒状導光部211の出光面211aから出光する光Ray2が幅広領域A
70aのうち角度範囲θ1を超える領域D1を透過することによるものである。その結果、本実施形態においては、幅広領域A
70aのうち一部領域(例えば、
図8(d)中の符号D1が示す円領域参照)に相対的に暗いダーク部が発生せず、当該幅広領域A
70a全域が均一(又は略均一)に発光する。
【0070】
一方、本実施形態においては、主に第2棒状導光部212の出光面212aから出光する光がインナーレンズ70の幅狭領域A
70b(
図1(a)、
図4参照)を透過することにより、当該幅狭領域A
70bが発光する。その際、インナーレンズ70の幅狭領域A
70bの幅L
70b(
図1(a)、
図4参照)が、断面形状が銀杏形状の第2棒状導光部212の出光面212aから出光する光の角度範囲θ1(
図8(a)参照)に対応しているため、幅狭領域A
70b全域も均一(略均一)に発光する。
【0071】
以上のように、本実施形態によれば、ターンランプを実現する際、インナーレンズ70(幅広領域A70a及び幅狭領域A70b)を均一(又は略均一)に発光させることができる(幅広領域A70aの一部に相対的に暗いダーク部が発生しない)。
【0072】
上記構成の車両用灯具10においては、アンバー色光を発光する第1光源30Aを消灯し、白色光を発光する第2光源30Bを第1の明るさで点灯することにより、DRLランプを実現できる。
【0073】
DRLランプにおいて、第2光源30Bが発光する光は、上記ターンランプにおいて第1光源30Aが発光する光と同様の光路を辿り、棒状導光部21(第1棒状導光部211、第2湾曲部C2、第2棒状導光部212)の各出光面から出光し、インナーレンズ70及びアウターレンズ90を透過して車両前方の所定角度範囲内に照射される。このインナーレンズ70及びアウターレンズ90を透過して車両前方の所定角度範囲内に照射される光(第1の明るさの白色光)により、DRLランプが実現される。その際、ターンランプと同様の理由により、インナーレンズ70の幅広領域A70a全域及び幅狭領域A70b全域が均一(略均一)に発光する。
【0074】
以上のように、本実施形態によれば、DRLランプを実現する際も、インナーレンズ70(幅広領域A70a及び幅狭領域A70b)を均一(又は略均一)に発光させることができる(幅広領域A70aの一部に相対的に暗いダーク部が発生しない)。
【0075】
上記構成の車両用灯具10においては、アンバー色光を発光する第1光源30Aを消灯し、白色光を発光する第2光源30Bを第1の明るさより暗い第2の明るさで点灯することにより、ポジションランプを実現できる。
【0076】
ポジションランプにおいて、第2光源30Bが発光する光は、上記ターンランプにおいて第1光源30Aが発光する光と同様の光路を辿り、棒状導光部21(第1棒状導光部211、第2湾曲部C2、第2棒状導光部212)の各出光面から出光し、インナーレンズ70及びアウターレンズ90を透過して車両前方の所定角度範囲内に照射される。このインナーレンズ70及びアウターレンズ90を透過して車両前方の所定角度範囲内に照射される光(第2の明るさの白色光)により、ポジションランプが実現される。その際、ターンランプと同様の理由により、インナーレンズ70の幅広領域A70a全域及び幅狭領域A70b全域が均一(略均一)に発光する。
【0077】
以上のように、本実施形態によれば、ポジションランプを実現する際も、インナーレンズ70(幅広領域A70a及び幅狭領域A70b)を均一(又は略均一)に発光させることができる(幅広領域A70aの一部に相対的に暗いダーク部が発生しない)。
【0078】
以上説明したように、本実施形態によれば、インナーレンズ70(幅広領域A70a及び幅狭領域A70b)を均一(又は略均一)に発光させることができる(幅広領域A70aの一部に相対的に暗いダーク部が発生しない)。
【0079】
これは、第1に、第1棒状導光部211内を導光され当該第1棒状導光部211の出光面211aから出光する光の角度範囲θ2(
図8(c)参照)が第2棒状導光部212内を導光され当該第2棒状導光部212の出光面212aから出光する光の角度範囲θ1(
図8(a)参照)より大きくなるように、第1棒状導光部211の断面形状CS
211(
図3、
図12参照)及び第2棒状導光部212の断面形状CS
212(
図4、
図12参照)は互いに異なる形状に設定されていること、及び、第2に、第1棒状導光部211は、当該第1棒状導光部211の出光面211aから出光する光が幅広領域A
70aを透過するように当該幅広領域A
70aの後方に配置され(
図3参照)、第2棒状導光部212は、当該第2棒状導光部212の出光面212aから出光する光が幅狭領域A
70bを透過するように当該幅狭領域A
70bの後方に配置されている(
図4参照)こと、によるものである。
【0080】
次に、変形例について説明する。
【0081】
上記実施形態では、導光体20として、3本の棒状導光部21A~21Cを含む導光体を用いる例について説明したが、これに限らない。例えば、導光体20として、1又は複数本の棒状導光部を含む導光体を用いてよい。
【0082】
また、上記実施形態では、インナーレンズ70の形状としてL字形状を用い、棒状導光部21として、インナーレンズ70の形状(L字形状)に対応して三次元的に湾曲した形状の棒状導光部を用いる例について説明したが、これに限らない。例えば、
図9に示すように、インナーレンズ70の形状として直線形状を用い、棒状導光部21として、インナーレンズ70の形状(直線形状)に対応して直線形状の棒状導光部を用いてよい。
図9は、棒状導光部21及びインナーレンズ70の第1変形例である。
【0083】
また、上記実施形態では、第1棒状導光部211を光源側(第1光源30A、第2光源30B側)に配置し、第2棒状導光部212を反光源側に配置する例(
図2、
図9参照)について説明したが、これに限らない。例えば、
図10に示すように、第2棒状導光部212を光源側(第1光源30A、第2光源30B側)に配置し、第1棒状導光部211を反光源側に配置してもよい。
図10は、棒状導光部21及びインナーレンズ70の第2変形例である。なお、
図10中の徐変部C2’は、第2棒状導光部212から第1棒状導光部211に向かうに従って断面形状が銀杏形状から扇形状に徐変する、棒状導光部21の一部である。なお、
図11に示すように、徐変部C2’は省略してもよい。
図11は、棒状導光部21及びインナーレンズ70の第3変形例である。
【0084】
上記各実施形態で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
【0085】
上記各実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記各実施形態の記載によって本開示は限定的に解釈されるものではない。本開示はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0086】
10…車両用灯具
20…導光体
21、21A、21B、21C…棒状導光部
22…入光面
30A…第1光源
30B…第2光源
40…基板
50…ヒートシンク
60…ブラケット
61…ブラケット本体
62、63…左右壁部
64、65…上下壁部
70…インナーレンズ
80…エクステンション
90…アウターレンズ
100…ハウジング
210…合流部
211…第1棒状導光部
211a…出光面
211b…第1反射面
211c、211d…第2反射面
211e、211f…連結部
212…第2棒状導光部
212a…出光面
212b…第1反射面
212c、212d…第2反射面
212e、212f…連結部
A70a…幅広領域
A70b …幅狭領域
AX211、AX212…光軸
BE21…基端部
C1…第1湾曲部
C2…第2湾曲部
C2’…徐変部
CS211、CS212、CSC2…断面形状
FE21…先端部
LC1、LC2…光学素子
Ray1、Ray2…光