(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162656
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】無線通信システム及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241114BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20241114BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H01M10/42 P
H01M10/48 P
H02J7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078389
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山添 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】小松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】菊地 睦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 潤
(72)【発明者】
【氏名】王 永
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503BA03
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA08
5G503CA11
5G503CB11
5G503EA05
5G503EA08
5G503FA01
5G503FA06
5G503FA19
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】電池パック内の部品の配置状態の変化を適切に検知する無線通信システム等を提供する。
【解決手段】無線通信システム100は、アンテナ等を有するマスタ30及びスレーブ21,22,・・・,2n間で無線通信が行われる際の受信強度の変化に基づいて、電池パックP1の内部に配置されるマスタ30及びスレーブ21,22,・・・,2nを含む部品の配置状態の変化を検知する。アンテナ等を有する構成部品には、電池パックP1の内部の複数の電池モジュール11,12,・・・,1nに一対一で接続される複数のスレーブ21,22,・・・,2nと、複数のスレーブ21,22,・・・,2nとの間で無線通信を行うマスタ30と、が含まれる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信部を有する複数の構成部品間で無線通信が行われる際の受信強度の変化に基づいて、電池パックの内部に配置される複数の前記構成部品を含む部品の配置状態の変化を検知する、無線通信システム。
【請求項2】
前記無線通信部を有する前記構成部品には、前記電池パックの内部の複数の電池モジュールに一対一で接続される複数のバッテリデータ伝送装置と、複数の前記バッテリデータ伝送装置との間で無線通信を行うバッテリ管理装置と、が含まれること
を特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記部品には、無線通信を行わない周辺部品が含まれること
を特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
複数の前記バッテリデータ伝送装置は、それぞれ、前記バッテリ管理装置から無線信号を受信した際の受信強度の変化幅が所定値以上である場合、前記バッテリ管理装置に受信強度の変化の報告を行い、
前記バッテリ管理装置は、複数の前記バッテリデータ伝送装置のそれぞれから無線信号を受信した際の受信強度の変化の有無と、前記報告と、に基づいて、前記部品の配置状態の変化を検知すること
を特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記バッテリ管理装置は、複数の前記バッテリデータ伝送装置のそれぞれから無線信号を受信した際の受信強度の変化の有無に基づいて、前記部品の配置状態の変化を検知すること
を特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項6】
複数の前記バッテリデータ伝送装置は、それぞれ、前記バッテリ管理装置から無線信号を受信した際の受信強度の変化幅が所定値以上である場合、前記バッテリ管理装置に受信強度の変化の報告を行い、
前記バッテリ管理装置は、前記報告に基づいて、前記部品の配置状態の変化を検知すること
を特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項7】
複数の前記バッテリデータ伝送装置には、所定の前記バッテリデータ伝送装置と前記バッテリ管理装置との間に介在して、無線通信の中継を行うものが含まれること
を特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記バッテリ管理装置と所定の前記バッテリデータ伝送装置との間の無線通信における周波数特性には、無線信号の受信強度が他の周波数に比べて所定値以上低いヌル点が含まれ、
前記バッテリ管理装置と複数の前記バッテリデータ伝送装置との間で無線通信が行われる際、当該無線通信の使用周波数帯であるチャネルが前記ヌル点を含むように設定されること
を特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記周波数特性に前記ヌル点が含まれる所定の前記バッテリデータ伝送装置が複数存在し、
前記バッテリ管理装置と複数の前記バッテリデータ伝送装置との間の無線通信では、前記チャネルが前記ヌル点を含むように周期的に切り替えられること
を特徴とする請求項8に記載の無線通信システム。
【請求項10】
無線通信部を有する複数の構成部品間で無線通信が行われる際の受信強度の変化に基づいて、電池パックの内部に配置される複数の前記構成部品を含む部品の配置状態の変化を検知する、無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
電池パック内での電池モジュールの落下を検知する技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。すなわち、特許文献1には、「外部機器と無線通信を行う無線通信部と、前記無線通信部の通信状態の変化から前記電池モジュールの落下を判断する判断部と、」を備える電圧検出装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、電池モジュールの落下を検知する際に所定の外部機器(検査設備)を用いるようにしている。このような構成では、電池モジュールの検査時以外で電池モジュールの落下を検知することが困難になるため、改善の余地がある。
【0005】
そこで、本開示は、電池パック内の部品の配置状態の変化を適切に検知する無線通信システム等を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するために、本開示に係る無線通信システムは、無線通信部を有する複数の構成部品間で無線通信が行われる際の受信強度の変化に基づいて、電池パックの内部に配置される複数の前記構成部品を含む部品の配置状態の変化を検知することとした。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電池パック内の部品の配置状態の変化を適切に検知する無線通信システム等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る無線通信システムを含む構成図である。
【
図2】第1実施形態に係る無線通信システムにおいて、マスタと複数のスレーブとの間の関係を示す説明図である。
【
図3】第1実施形態に係る無線通信システムにおけるマスタ及び複数のスレーブの処理を示す通信タイミング図である。
【
図4】第1実施形態に係る無線通信システムで正常に通信が行われた場合のシーケンス図である。
【
図5】第1実施形態に係る無線通信システムを含む構成図であり、電池パックの内部でスレーブの位置が変化した状態を示している。
【
図6】第1実施形態に係る無線通信システムにおいてスレーブの位置が変化した場合のシーケンス図である。
【
図7】第1実施形態に係る無線通信システムのスレーブの処理に関するフローチャートである。
【
図8A】第1実施形態に係る無線通信システムのマスタの処理に関するフローチャートである。
【
図8B】第1実施形態に係る無線通信システムのマスタの処理に関するフローチャートである。
【
図9】第1実施形態の変形例に係る無線通信システムにおいて、マスタと複数のスレーブとの間の関係を示す説明図である。
【
図10】第2実施形態に係る無線通信システムのマスタの処理に関するフローチャートである。
【
図11】第3実施形態に係る無線通信システムのマスタの処理に関するフローチャートである。
【
図12】第4実施形態に係る無線通信システムにおいて、マスタ・スレーブ間の受信強度の周波数特性の例を示す説明図である。
【
図13】第4実施形態に係る無線通信システムにおいて、マスタ・スレーブ間の受信強度の周波数特性の例を示す説明図であり、スレーブの位置の変化に伴ってヌル点がなくなった場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪第1実施形態≫
以下では、電池モジュール11,12,・・・,1n(
図1参照)を含む電池パックP1(
図1参照)について簡単に説明した後、無線通信システム100(
図1参照)について詳細に説明する。
【0010】
<電池パックの構成>
図1は、第1実施形態に係る無線通信システム100を含む構成図である。
図1に示す電池パックP1は、電池モジュール11,12,・・・,1nの他、スレーブ21,22,・・・,2n(構成部品、バッテリデータ伝送装置)やマスタ30(構成部品、バッテリ管理装置)を収容する金属製の収容体である。
図1の例では、前記した各構成の他、サービスプラグ41(部品)やジャンクションボックス42(部品)やその他部品43(部品)も電池パックP1に収容されている。
【0011】
なお、電池パックP1は樹脂でも構成できるが、樹脂の場合には電波を透過し、金属の場合には電波を反射する。また、炭素繊維を用いた強化樹脂で電池パックP1を構成した場合には、炭素繊維が電波吸収材として用いられることもあり、電波が吸収される。本実施形態では、電池パックP1は、前記したように、電波を反射する金属で構成されているものとする。
【0012】
電池パックP1は、例えば、電気自動車(BEV;Battery Electric Vehicle)やハイブリッド車(HEV;Hybrid Electric Vehicle)に搭載される。なお、鉄道車両や航空機やドローン、船舶といった移動体に電池パックP1が搭載されてもよい。また、データセンタのバックアップ電源等の蓄電設備として、電池パックP1が用いられてもよい。
【0013】
電池モジュール11は、複数の単電池セル11a(単セルともいう。)が直列又は直並列に接続された構成になっている。
図1の例では、複数の単電池セル11aが直列接続されることで、電池モジュール11が構成されている。単電池セル11aは、充放電が可能な二次電池である。このような単電池セル11aとして、例えば、リチウムイオン電池が用いられるが、これに限定されるものではない。
【0014】
図1に示す他の電池モジュール12,・・・,1nも、それぞれ、電池モジュール11と同様の構成になっている。そして、複数の電池モジュール11,12,・・・,1nが直列(又は直並列)に接続された状態で電池パックP1に収容されている。
図1に示すように、電池モジュール11,12,・・・,1nの直列接続体は、負荷50に電気的に接続されている。負荷50は、電池モジュール11,12,・・・,1nから供給される電力で駆動されるデバイスであり、電池パックP1の外側に設けられている。なお、所定の電力変換を行うコンバータ(図示せず)やインバータ(図示せず)が負荷50に含まれるようにしてもよい。
【0015】
図1に示すサービスプラグ41は、所定の電源回路の接続又は遮断を切り替えるものであり、電池モジュール11,12,・・・,1nに電気的に接続されている。ジャンクションボックス42は、電力線間の接続等を行うための箱体であり、電池モジュール11,12,・・・,1nに電気的に接続されている。その他部品43は、例えば、電力線ケーブルやコネクタであり、電池モジュール11,12,・・・,1nに電気的に接続されている。
【0016】
<無線通信システムの構成>
図1に示す無線通信システム100は、電池モジュール11,12,・・・,1nの電圧や温度といったデータをスレーブ21,22,・・・,2nからマスタ30に無線で送信するシステムである。また、無線通信システム100は、スレーブ21,22,・・・,2nとマスタ30との間で無線通信が行われる際の受信強度の変化に基づいて、電池パックP1内でスレーブ21,22,・・・,2nやマスタ30が移動したことを検知する機能も有している。このような無線通信システム100は、n台のスレーブ21,22,・・・,2nと、1台のマスタ30と、を含んで構成されている。
【0017】
スレーブ21は、マスタ30からの指令に応じて、電池モジュール11の電圧や温度等の状態量を測定し、その測定値をマスタ30に送信する。他のスレーブ22,・・・,2nも同様にして、電池モジュール12,・・・,2nの電圧等の測定値をマスタ30に送信する。これらの複数のスレーブ21,22,・・・,2n(バッテリデータ伝送装置)は、電池パックP1の内部の複数の電池モジュール11,12,・・・,1nに1対1で対応するように接続されている。
【0018】
図1に示すように、電池モジュール11に接続されたスレーブ21は、単セル状態測定装置21aと、無線装置21b(無線通信部)と、アンテナ21c(無線通信部)と、を備えている。単セル状態測定装置21aは、複数の単電池セル11aのそれぞれについて、所定の状態量を測定する装置である。このような状態量として、例えば、単電池セル11aの電圧や温度や電流が挙げられる。
【0019】
無線装置21bは、無線通信に用いられる装置であり、配線を介して単セル状態測定装置21aに接続されるとともに、別の配線を介してアンテナ21cに接続されている。無線装置21bは、アンテナ21cで受信した電波から所定の信号(例えば、マスタ30からRequestコマンドやACKやNAK)を抽出し、この信号に応じて、単セル状態測定装置21aから電圧等の測定値を読み込む。そして、無線装置21bは、電圧等の測定値を所定の信号に変換し、この信号をアンテナ21cに出力する。アンテナ21cは、電波の送信や受信を行うものである。このように、電池パックP1の「構成部品」の一つであるスレーブ21は、「無線通信部」として、無線装置21bやアンテナ21cを有している。
【0020】
なお、複数の単電池セル11aの充電レベルを均等化するように充放電を調整するセルコントローラ(図示せず)がスレーブ21に設けられていてもよい。他のスレーブ22,・・・,2nについては、スレーブ21と同様の構成であるから、説明を省略する。
【0021】
マスタ30は、スレーブ21,22,・・・,2nから受信した無線信号に基づいて、電池モジュール11,12,・・・,1nの状態を監視したり、充放電を制御したりする装置である。例えば、マスタ30は、電池モジュール11,12,・・・,1nの充電率(SOC;State Of Charge)や劣化レベルに基づいて、過充電又は過放電を抑制するように充放電を制御する。マスタ30(バッテリ管理装置)は、電池パックP1の内部において、複数のスレーブ21,22,・・・,2n(バッテリデータ伝送装置)との間で無線通信を行うようになっている。
【0022】
図1に示すように、マスタ30は、アンテナ30a(無線通信部)と、無線装置30b(無線通信部)と、監視装置30cと、を備えている。アンテナ30aは、電波の送信や受信を行うものであり、配線を介して無線装置30bに接続されている。無線装置30bは、アンテナ30aや監視装置30cからの信号に応じて、所定の処理を行う装置である。すなわち、無線装置30bは、アンテナ30aで受信した電波から所定の信号(例えば、スレーブ21から受信した電圧データ)を抽出し、この信号を監視装置30cに出力する。また、無線装置30bは、監視装置30cからの信号(例えば、RequestコマンドやACKやNAK)を所定の信号に変換し、この信号をアンテナ30aに出力する。このように、電池パックP1の「構成部品」の一つであるマスタ30は、「無線通信部」として、アンテナ30aや無線装置30bを有している。
【0023】
監視装置30cは、例えば、マイクロコンピュータであり、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェースを含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。監視装置30cは、電池モジュール11,12,・・・,1nの状態を監視し、必要に応じて、充放電を制御するための所定の信号を生成する。また、監視装置30cは、スレーブ21,22,・・・,2nとの間で無線通信が行われる際の受信強度の変化に基づいて、マスタ30やスレーブ21,22,・・・,2n等が移動したか否かを判定する機能も有している。
【0024】
すなわち、無線通信システム100は、マスタ30とスレーブ21,22,・・・,2nとの間(複数の構成部品間)で無線通信が行われる際の受信強度の変化に基づいて、電池パックP1の内部に配置されるマスタ30やスレーブ21,22,・・・,2n(複数の構成部品)を含む部品の配置状態の変化を検知するようになっている。詳細については後記するが、前記した「部品」には、サービスプラグ41やジャンクションボックス42やその他部品43といった、無線通信を行わない周辺部品も含まれる。
【0025】
監視装置30cは、図示はしないが、配線を介して、上位CPU(Central Processing Unit)に接続されている。そして、電池パックP1の内部でマスタ30やスレーブ21,22,・・・,2n等が移動したといった所定の異常(配置状態の変化)を検知した場合、この検知結果を監視装置30cが上位CPU(図示せず)に通知するようになっている。
【0026】
このように、マスタ30とスレーブ21,22,・・・,2nとの間でマスタ・スレーブ方式の無線通信を行われることで、ワイヤレス化を図ることができる。その結果、電池パックP1の軽量化や低コスト化やコンパクト化が図られる他、電池パックP1を移動体(図示せず)に搭載する際のレイアウトの自由度が高められる。また、無線通信にすることで、劣化した単電池セルを含む電池モジュールだけを取り出して交換するといった作業も容易に行うことができる。
【0027】
マスタ30やスレーブ21,22,・・・,2nは、金属製の電池パックP1にねじ等で固定されている。さらに、サービスプラグ41やジャンクションボックス42やその他部品43といった周辺部品も電池パックP1に固定されている。このように電池パックP1の内部で各部品が固定されているため、大きな衝撃や振動が作用しないかぎりは、スレーブ21,22,・・・,2nやマスタ30を含む各部品の相対的な位置関係(つまり、配置状態)が変化することはほとんどない。さらに、電池パックP1は金属製であり、外部からの電波の干渉を受けにくい。したがって、通常は、マスタ30及びスレーブ21,22,・・・,2nが無線信号を受信する際の受信強度はほとんど変化しない。
【0028】
図2は、マスタ30と複数のスレーブ21,22,・・・,2nとの間の関係を示す説明図である。
図2に示すように、マスタ30と、スレーブ21,22,・・・,2nと、は1対nで対応している。そして、次に説明するように、マスタ30からのRequestコマンドに応じて、スレーブ21,22,・・・,2nからマスタ30に電圧データ等の無線信号が送信されるようになっている。
【0029】
図3は、マスタ30及び複数のスレーブ21,22,・・・,2nの処理を示す通信タイミング図である。
なお、
図3の横軸は、時刻である。また、
図3の縦軸は、紙面の上から順に、マスタ30の処理、及びスレーブ21,22,23,・・・,2nの処理を示している。また、時刻t0に示すドット入りの複数の四角枠は、それぞれ、スレーブ21,22,・・・,2nが単電池セルの電圧等を測定する処理を示している。
【0030】
図3に示すように、時刻trにおいてマスタ30は、それぞれのスレーブ21,22,23,・・・,2nに対して、Requestコマンドをブロードキャストで送信する。それぞれのスレーブ21,22,・・・,2nは、Requestコマンドを受信した際の受信強度を測定し、この受信強度の測定値を無線装置のメモリに保存する。例えば、スレーブ21は、受信強度の測定値を無線装置21b(
図1参照)のメモリに保存する。
【0031】
Requestコマンドの受信後の時刻t0において、それぞれのスレーブ21,22,・・・,2nは、単電池セルの状態量を測定する。例えば、スレーブ21は、電池モジュール11(
図1参照)の複数の単電池セル11a(
図1参照)の電圧や温度等の状態量を測定し、その測定値を無線装置21b(
図1参照)のメモリに保存する。
【0032】
時刻t1においてスレーブ21は、単電池セル11a(
図1参照)の状態量を含むデータをマスタ30に送信する。マスタ30は、スレーブ21からのデータを正常に受信した場合、スレーブ21にACK(肯定応答)を送り返す。また、マスタ30は、スレーブ21から無線信号を受信した際の受信強度を測定し、その測定値をスレーブ21に対応付けて、無線装置30b(
図1参照)のメモリに保存する。
【0033】
時刻t2において別のスレーブ22は、単電池セル12a(
図1参照)の状態量を含むデータをマスタ30に送信する。
図3の例では、スレーブ22からのデータをマスタ30が正常に受信できなかったため、マスタ30がNAK(否定応答)を送り返している。このNAKを受信した場合、スレーブ22は、単電池セル12a(
図1参照)の状態量を含むデータをマスタ30に再び送信する。マスタ30は、今度はスレーブ22からのデータを正常に受信できたため、スレーブ22にACKを送り返す。また、マスタ30は、スレーブ22から無線信号を受信した際の受信強度を測定し、その測定値をスレーブ22に対応付けて、無線装置30b(
図1参照)のメモリに保存する。
【0034】
このように、マスタ30からのRequestコマンドに応じて、スレーブ21,22,23,・・・,2nがタイミングをずらして順次に応答するようになっている。なお、それぞれのスレーブ21,22,23,・・・,2nにおいて、Requestコマンドを受信してから応答を行うまでの時間は、予め設定されている。
【0035】
そして、Requestコマンドが送信された時刻trから、最後のスレーブ2nが応答を行う時刻tnまでの時間を1つの通信周期(例えば、20[ms])として、
図3に示す一連の処理が所定に繰り返されるようになっている。
【0036】
図4は、無線通信システムで正常に通信が行われた場合のシーケンス図である。
なお、
図4のシーケンス図は、
図3の通信タイミング図に対応しているため、以下では説明を簡略的に行う。
図4に示すように、マスタ30からRequestコマンドを受信した場合(S101)、それぞれのスレーブ21,22,23,・・・,2nは、Requestコマンドを受信したときの受信強度を測定し、さらに、単電池セルの電圧等を測定する。
スレーブ21から電圧データを正常に受信した場合(S102)、マスタ30は、スレーブ21にACKを送り返す他(S103)、スレーブ21から電圧データを受信した際の受信強度を測定し、その測定値を記憶する。
【0037】
また、別のスレーブ22からの電圧データを正常に受信できなかった場合(S104)、マスタ30は、このスレーブ22に対してNAKを送り返す(S105)。NAKに応じて、スレーブ22から再送信された電圧データを正常に受信できた場合(S106)、マスタ30は、スレーブ22にACKを送り返す他(S107)、スレーブ22から電圧データを受信した際の受信強度を測定する。同様にして、スレーブ23,・・・,2nからマスタ30に電圧データが順次に送信される(S108~S111)。
【0038】
次の2回目の通信周期では、マスタ30及びスレーブ21,22,23,・・・,2nは、それぞれ、自身が無線信号を受信した際の今回の受信強度と、前回の受信強度と、を比較する(S201)。例えば、スレーブ21,22,・・・,2nは、それぞれ、マスタ30からRequestコマンドを受信した際の今回の受信強度と前回の受信強度との間の差分(絶対値)を算出し、この差分の値を記憶する。
【0039】
次に、スレーブ21からの電圧データを正常に受信した場合(S202)、マスタ30は、スレーブ21にACKを送り返す他、スレーブ21から電圧データを受信した際の今回の受信強度を測定する。そして、マスタ30は、自身がスレーブ21から無線信号を受信した際の今回の受信強度と、前回の受信強度と、の間の差分(絶対値)をスレーブ21に対応付けて記憶する。同様にして、マスタ30は、他のスレーブ22,23,・・・,2nから無線信号を受信した際の今回の受信強度と、前回の受信強度と、の間の差分(絶対値)を算出し、その差分の値を記憶する。
【0040】
図5は、無線通信システム100を含む構成図であり、電池パックP1の内部でスレーブ22の位置が変化した状態を示している。
例えば、電池パックP1を搭載した移動体(図示せず)が物体に衝突した場合には、電池パックP1に強い衝撃力が作用する。その結果、電池パックP1の内部でマスタ30やスレーブ21,22,・・・,2n等の部品が移動して、所定の不具合が生じる可能性がある。また、電池パックP1に組立不良があったり、地震で激しい振動が生じたりした場合にも、電池パックP1の内部でマスタ30やスレーブ21,22,・・・,2n等の部品が移動する可能性がある。
【0041】
図5に示すようにスレーブ22の配置状態が変わると、単電池セル12aの状態量の測定や無線通信に支障が生じる可能性がある。また、スレーブ22の配置状態が変わると、電池パックP1の内部で無線信号の電波が反射したり回折したりする際の状況も変化する。その結果、マスタ30とスレーブ22との間で無線通信が行われる際の受信強度が、スレーブ22の位置の変化前に比べて高くなったり、低くなったりする。
【0042】
一方、位置が変化していないスレーブ21,23,・・・,2nとマスタ30との間では、無線信号の受信強度が正常時から大きく変化することはほとんどない。そこで、第1実施形態では、マスタ30とスレーブ21,22,・・・,2nとの間で無線通信が行われる際の受信強度の変化に基づいて、マスタ30が部品(マスタ30自身やスレーブ21,22,・・・,2nや周辺部品)の電池パックP1内での移動を検知するようにしている。
【0043】
図6は、無線通信システムにおいてスレーブ22の位置が変化した場合のシーケンス図である。
なお、
図6のステップS101~S111(1回目の通信周期)の処理については、正常時の
図4と同様であるから、説明を省略する。
図6の例では、1回目の通信周期と2回目の通信周期との間に、所定の衝撃でスレーブ22の位置が変化した場合を示している。
例えば、位置が変化していないスレーブ21については、正常時(
図4参照)と同様に、ステップS201~S203の処理が行われる。一方、位置が変化したスレーブ22については、マスタ30から無線信号を受信した際の前回の受信強度と、今回の受信強度と、の間の差分(絶対値)が所定値以上になる。この「所定値」は、スレーブ22がマスタ30に受信強度の報告を行うか否かの判定基準となる閾値であり、予め設定されている。
【0044】
図6の例では、ステップS204aにおいて、スレーブ22がマスタ30に電圧データを送信するとともに、受信強度の変化の報告を行っている。これらのデータを正常に受信した場合、ステップS205においてマスタ30は、スレーブ22にACKを送り返す。
【0045】
図7は、スレーブの処理に関するフローチャートである(適宜、
図5も参照)。
以下の例では、n個のスレーブ21,22,・・・,2nのうちのスレーブ22の処理について説明するが、他のスレーブ21,23,・・・,2nについても同様である。また、
図7では、受信強度の変化の検知に関する処理以外については省略している。
ステップS301においてスレーブ22は、マスタ30から無線信号(例えば、Requestコマンド)を受信した際の受信強度を測定する。
ステップS302においてスレーブ22は、受信強度の変化幅が所定値以上であるか否かを判定する。すなわち、スレーブ22は、マスタ30から信号を受信した際の前回の受信強度と、今回の受信強度と、の間の差分(絶対値)が所定値以上であるか否かを判定する。
【0046】
ステップS302において受信強度の変化幅が所定値未満である場合(S302:No)、スレーブ22の処理はステップS301に戻る。また、ステップS302において受信強度の変化幅が所定値以上である場合(S302:Yes)、スレーブ22の処理はステップS103に進む。例えば、電池パックP1に所定の衝撃力が作用して、スレーブ22の位置が本来の位置から変化した場合(
図5参照)、スレーブ22がマスタ30から信号を受信する際の受信強度が大きく変化する。つまり、スレーブ22における無線信号の受信強度が、正常時に比べて高くなったり、低くなったりすることが多い。
【0047】
ステップS303においてスレーブ22は、受信強度が変化した旨をマスタ30に報告する。例えば、スレーブ22は、マスタ30に電圧データを送信する際、受信強度の変化の報告も併せて行う(
図6のS204aに対応)。このように、複数のスレーブ21,22,・・・,2n(複数のバッテリデータ伝送装置)は、それぞれ、マスタ30(バッテリ管理装置)から無線信号を受信した際の受信強度の変化幅が所定値以上である場合(S302:Yes)、マスタ30に受信強度の変化の報告を行う(S303)。
【0048】
ステップS303の処理を行った後、スレーブ22は一連の処理を終了する(END)。なお、
図7に示す一連の処理は、それぞれのスレーブ21,22,・・・,2nがマスタ30から無線信号を受信するたびに個別的に行われる。
【0049】
なお、ステップS302の処理(受信強度の変化幅の判定)が行われるたびに、前回の受信強度、及び今回の受信強度の各データが上書きされるようにしてもよい。また、ステップS302における受信強度の変化幅として、前回までの複数回の受信強度の平均値と、今回の受信強度と、の間の差分の絶対値が用いられてもよい。さらに、受信強度の変化幅が所定値以上である場合において(S302:Yes)、スレーブ22が次回以後に受信強度の変化幅を再び算出する際、変化幅が大きかった今回の受信強度を、基準となる平均値(複数回の受信強度の平均値)の算出には用いないようにするとよい。これによって、基準となる受信強度の平均値が正常な範囲で維持されやすくなる。
【0050】
図8A、
図8Bは、マスタの処理に関するフローチャートである(適宜、
図1も参照)。
ステップS401においてマスタ30は、スレーブ21,22,・・・,2nから電圧データ等の無線信号を受信した際の受信強度を測定する。
ステップS402においてマスタ30は、スレーブ21,22,・・・,2nのうちで受信強度の変化幅が所定値以上であるものが存在するか否かを判定する。例えば、マスタ30が信号を受信した際の前回の受信強度と、今回の受信強度と、の間の差分の絶対値(つまり、変化幅)が所定値以上であるか否かが判定されるようにしてもよい。また、受信強度の変化幅として、前回までの複数回の受信強度の平均値と、今回の受信強度と、の間の差分の絶対値が用いられてもよい。
【0051】
ステップS402においてスレーブ21,22,・・・,2nのうちで受信強度の変化幅が所定値以上であるものが存在する場合(S402:Yes)、マスタ30の処理はステップS403に進む。
ステップS403においてマスタ30は、全てのスレーブ21,22,・・・,2nからの無線信号の受信強度が変化したか否かを判定する。つまり、マスタ30は、自身が信号を受信した際の受信強度の変化幅が所定値以上であったときの無線信号の送信元が、全てのスレーブ21,22,・・・,2nである否かを判定する。ステップS403において、全てのスレーブ21,22,・・・,2nからの無線信号の受信強度が変化した場合(S403:Yes)、マスタ30の処理はステップS404に進む。
【0052】
ステップS404においてマスタ30は、全てのスレーブ21,22,・・・,2nのそれぞれから受信強度の変化の報告(
図7のS303に対応)があったか否かを判定する。全てのスレーブ21,22,・・・,2nのそれぞれから受信強度の変化の報告があった場合(S404:Yes)、マスタ30の処理はステップS405に進む。
【0053】
ステップS405においてマスタ30は、マスタ30自身の位置が変化したと判定する。スレーブ21,22,・・・,2nは、通常、電池パックP1にねじ等でしっかりと固定されているため、強い衝撃力が作用した場合でも、これらの全ての位置が変化するということはほとんどないからである。
【0054】
また、ステップS404において受信強度の変化の報告を行わなかったスレーブが存在する場合(S404:No)、マスタ30の処理はステップS406に進む。
ステップS406においてマスタ30は、マスタ30自身の受信異常であると判定する。この場合には、マスタ30における受信強度の変化と、所定のスレーブからの受信強度の変化の報告と、が整合していないからである。
【0055】
また、ステップS403において、全てのスレーブ21,22,・・・,2nからの無線信号の受信強度が変化したという事態が生じていない場合(S403:No)、マスタ30の処理は、
図8BのステップS407に進む。つまり、マスタ30が無線信号を受信した際の受信強度の変化幅が所定値以上であったときの送信元が、スレーブ21,22,・・・,2nのうちの一部である場合、マスタ30の処理は、ステップS407に進む。
【0056】
図8BのステップS407においてマスタ30は、複数のスレーブからの無線信号の受信強度が変化したか否かを判定する。つまり、マスタ30は、このマスタ30自身が無線信号を受信した際の受信強度の変化幅が所定値以上であったときの送信元が、複数のスレーブであったか否かを判定する。ステップS407において、複数のスレーブからの無線信号の受信強度が変化した場合(S407:Yes)、マスタ30の処理はステップS408に進む。
【0057】
ステップS408においてマスタ30は、対象スレーブと、受信強度の変化の報告を行ったスレーブと、が一致しているか否かを判定する。ここで、「対象スレーブ」とは、マスタ30が無線信号を受信した際、受信強度の変化幅が所定値以上であったときの送信元のスレーブである。ステップS408において、対象スレーブと、受信強度の変化の報告を行ったスレーブと、が一致している場合(S408:Yes)、マスタ30の処理はステップS409に進む。
【0058】
ステップS409においてマスタ30は、複数のスレーブの位置が変化したと判定する。この場合には、マスタ30が無線信号を受信した際の受信強度の変化と、複数のスレーブからの受信強度の変化の報告と、が整合しているからである。
また、ステップS408において、対象スレーブと、受信強度の変化の報告があったスレーブと、が一致していない場合(S408:No)、マスタ30の処理はステップS410に進む。
【0059】
ステップS410においてマスタ30は、周辺部品の位置が変化したと判定する。ここで、「周辺部品」とは、マスタ30やスレーブ21,22,・・・,2n以外で電池パックP1に収容されている部品である。
図1の例では、サービスプラグ41やジャンクションボックス42やその他部品43が「周辺部品」に相当する。周辺部品の位置が変化すると、電池パックP1の内部で電波が反射したり回折したりする際の状況が正常時とは異なったものになる。その結果、マスタ30と所定のスレーブとの間で無線通信が行われる際に受信強度が変化することが多い。
【0060】
また、ステップS407において、複数のスレーブからの無線信号の受信強度が変化したという事態が生じていない場合(S407:No)、マスタ30の処理はステップS411に進む。つまり、マスタ30における受信強度の変化幅が所定値以上であったときの送信元のスレーブの数が1台である場合、マスタ30の処理はステップS411に進む。
【0061】
ステップS411においてマスタ30は、対象スレーブから受信強度の変化の報告があったか否かを判定する。つまり、マスタ30は、自身が無線信号を受信した際の受信強度の変化幅が所定値以上であったときの送信元のスレーブ(対象スレーブ)と、受信強度の変化の報告を行ったスレーブと、が一致しているか否かを判定する。ステップS411において、対象スレーブから受信強度の変化の報告があった場合(S411:Yes)、マスタ30の処理はステップS412に進む。
【0062】
ステップS412においてマスタ30は、対象スレーブの位置が変化したと判定する。この場合には、マスタ30における無線信号の受信強度の変化と、対象スレーブからの受信強度の変化の報告と、が整合しているからである。また、ステップS411において、対象スレーブから受信強度の変化の報告がない場合(S411:No)、マスタ30の処理はステップS413に進む。
【0063】
ステップS413においてマスタ30は、対象スレーブの送信異常と判定する。この場合には、マスタ30が対象スレーブから無線信号を受信した際、受信強度が変化したにもかかわらず、対象スレーブから受信強度の変化の報告がなかったからである。
【0064】
また、
図8AのステップS402において、スレーブ21,22,・・・,2nのうち受信強度の変化幅が所定値以上であるものが存在しない場合(S402:No)、マスタ30の処理はステップS414に進む。
ステップS414においてマスタ30は、受信強度の変化の報告を行ったスレーブが存在するか否かを判定する。受信強度の変化の報告を行ったスレーブが存在する場合(S414:Yes)、マスタ30の処理はステップS415に進む。
【0065】
ステップS415においてマスタ30は、全てのスレーブ21,22,・・・,2nから受信強度の変化の報告があったか否かを判定する。全てのスレーブ21,22,・・・,2nから受信強度の変化の報告があった場合(S415:Yes)、マスタ30の処理はステップS416に進む。
ステップS416においてマスタ30は、マスタ30自身の送信異常であると判定する。この場合には、マスタ30では無線信号の受信強度が変化していないにもかかわらず(S402:No)、全てのスレーブ21,22,・・・,2nでは無線信号の受信強度が変化しており(S415:Yes)、マスタ30から無線信号が正常に送信されなかった可能性が高いからである。
【0066】
また、ステップS415において、受信強度の変化の報告を行っていないスレーブが存在する場合(S415:No)、マスタ30の処理はステップS417に進む。
ステップS417においてマスタ30は、報告スレーブの受信異常であると判定する。つまり、マスタ30は、受信強度の変化の報告を行った一つ又は複数のスレーブの受信異常であると判定する。仮に、マスタ30側で送信異常が生じていた場合には、全てのスレーブ21,22,・・・,2nから受信強度の変化の報告がある可能性が高いが、そのようなことは生じていないからである。
【0067】
また、ステップS414において、受信強度の変化の報告を行ったスレーブが存在しない場合(S414:No)、マスタ30の処理はステップS401に戻る。この場合には、マスタ30及びスレーブ21,22,・・・,2nのいずれにおいても無線信号の受信強度は変化しておらず、無線通信が通常通り行われている。そして、マスタ30は、次の通信周期でそれぞれのスレーブ21,22,・・・,2nから無線信号を再び受信し、その受信強度を測定する。
【0068】
このように、マスタ30(バッテリ管理装置)は、複数のスレーブ21,22,・・・,2n(バッテリデータ伝送装置)のそれぞれから無線信号を受信した際の受信強度の変化の有無と、受信強度の変化の報告と、に基づいて、「部品」の配置状態の変化を検知する。前記した「部品」には、マスタ30やスレーブ21,22,・・・,2nの他、サービスプラグ41(
図1参照)やジャンクションボックス42(
図1参照)やその他部品43(
図1参照)といった周辺部品も含まれる。
【0069】
図8AのステップS405,406,S416,S417の他、
図8BのステップS409,S410,S412,S413のうちのいずれかの処理を行った後、マスタ30の処理はステップS418に進む。
【0070】
ステップS418においてマスタ30は、上位CPU(図示せず)に判定結果を送信する。この場合において、上位CPUは、電池パックP1の部品に異常が生じたことをユーザに報知する。例えば、電池パックP1が移動体(図示せず)に搭載されている場合、上位CPUが、電池パックP1の部品に異常が生じたことを示す情報を移動体の表示装置(図示せず)に表示させるようにしてもよい。その他、電池パックP1の部品に異常が生じたことを示す情報がユーザの携帯端末(図示せず)に表示されたり、修理等を行うサービスセンタ(図示せず)に通知されたりするようにしてもよい。
【0071】
ステップS418の処理を行った後、マスタ30は、一連の処理を終了する(END)。なお、
図8A、
図8Bに示す一連の処理は、所定の通信周期ごとに行われる。
【0072】
<効果>
第1実施形態によれば、マスタ30とスレーブ21,22,・・・,2nとの間で無線通信が行われる際の受信強度の変化に基づいて、電池パックP1内の部品の配置状態の変化を適切に検知できる。これによって、マスタ30やスレーブ21,22,・・・,2nや周辺部品が電池パックP1の内部で移動したことをユーザが気づかずに、電池パックP1を使用し続けるといったことを防止できる。したがって、電池パックP1における部品の故障や電源ショート等を未然に防ぐことができる。
【0073】
また、第1実施形態によれば、前記した特許文献1のように外部機器(図示せず)を電池パックP1に接続する必要が特にないため、電池パックP1の通常の使用中も部品の移動を検知できる。また、マスタ30やスレーブ21,22,・・・,2nといった構成部品の他、サービスプラグ41やジャンクションボックス42やその他部品43といった周辺部品の移動も適切に検知できる。
【0074】
≪第1実施形態の変形例≫
図9は、第1実施形態の変形例に係る無線通信システム100Aにおいて、マスタ30と複数のスレーブ21,22,23,・・・,2nとの間の関係を示す説明図である。
例えば、スレーブ23がマスタ30との間で無線通信を行う際、他の所定のスレーブや周辺部品が妨げになって、無線通信を直接的には行えないことがある。このような場合、スレーブ23から別のスレーブ22を経由して、マスタ30に無線信号が送信されるようにするとよい。また、マスタ30から別のスレーブ22を経由して、スレーブ23に無線信号が送信されるようにするとよい。つまり、複数のスレーブ21,22,23,・・・,2n(バッテリデータ伝送装置)には、所定のスレーブ23とマスタ30(バッテリ管理装置)との間に介在して、無線通信の中継を行うもの(
図9の例ではスレーブ22)が含まれるようにするとよい。
【0075】
これによって、マスタ30とスレーブ23との間で無線通信を直接的には行えない場合でも、別のスレーブ22を経由することで無線通信を行うことができる。なお、マスタ30とスレーブ23との間に介在するスレーブ22は、予め設定されていてもよく、また、通信周期ごとに適宜に設定されるようにしてもよい。
【0076】
また、
図9に示すスレーブ22が他のスレーブ23に対して、マスタの役割の少なくとも一部を担うようにしてもよい。例えば、スレーブ23から受信強度の変化の報告をスレーブ22が受信した場合、このスレーブ22が、受信強度の変化の報告をスレーブ23に対応付けて、マスタ30に報告するようにしてもよい。
【0077】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、受信強度の変化の報告がスレーブ21,22,・・・,2nからは特に行われず(又は報告があってもマスタ30で用いられず)、マスタ30が無線信号を受信する際の受信強度の変化に基づいて部品の配置状態の変化を検知する点が、第2実施形態とは異なっている。なお、電池パックP1(
図1参照)や無線通信システム100(
図1参照)の構成については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0078】
図10は、第2実施形態に係る無線通信システムのマスタの処理に関するフローチャートである(適宜、
図1も参照)。
なお、
図10のステップS501~S503、S505の処理は、この順で、第1実施形態のステップS401~S403(
図8A参照)、S407(
図8B参照)と同様であるが、以下で簡単に説明する。すなわち、マスタ30は、スレーブ21,22,・・・,2nから無線信号を受信した際の受信強度を測定し(S501)、受信強度の変化幅が所定値以上のスレーブが存在する場合において(S502:Yes)、全てのスレーブからの受信強度が変化したとき(S503:Yes)、ステップS504の処理に進む。
【0079】
ステップS504においてマスタ30は、マスタ30自身の位置が変化したと判定する。スレーブ21,22,・・・,2nは、通常、電池パックP1にねじ等でしっかりと固定されているため、強い衝撃力が作用した場合でも、これらの全ての位置が変化するということはほとんどないからである。
【0080】
また、ステップS503で無線信号の受信強度が変化していないスレーブが存在する場合において(S503:No)、複数のスレーブからの無線信号の受信強度が変化したとき(S505:Yes)、マスタ30の処理はステップS506に進む。
ステップS506においてマスタ30は、複数のスレーブ又は周辺部品の位置が変化したと判定する。複数のスレーブや周辺部品の位置が変化すると、電池パックP1の内部で電波が反射したり回折したりする際の状況が正常時とは異なったものになるからである。
【0081】
また、ステップS505において、複数のスレーブからの無線信号の受信強度が変化したという事態が生じていない場合(S505:No)、マスタ30の処理はステップS507に進む。つまり、マスタ30において無線信号の受信強度が変化した際の送信元のスレーブの数が1台であった場合、マスタ30の処理はステップS507に進む。
【0082】
ステップS507においてマスタ30は、1台のスレーブの位置が変化したと判定する。つまり、マスタ30は、無線信号の受信強度が変化した際の送信元である1台のスレーブの位置が変化したと判定する。このように、マスタ30(バッテリ管理装置)は、複数のスレーブ21,22,・・・,2n(バッテリデータ伝送装置)のそれぞれから無線信号を受信した際の受信強度の変化の有無に基づいて、部品の配置状態の変化を検知する。
【0083】
また、ステップS502において、受信強度の変化幅が所定値以上のスレーブが存在しない場合(S502:No)、マスタ30の処理はステップS501に戻る。そして、マスタ30は、次の通信周期でそれぞれのスレーブ21,22,・・・,2nから無線信号を再び受信し、その受信強度を測定する。
【0084】
ステップS504,S506,S507のいずれかの処理を行った後、ステップS508においてマスタ30は、上位CPU(図示せず)に判定結果を送信して、一連の処理を終了する(END)。なお、
図10に示す一連の処理は、所定の通信周期のたびに行われる。
【0085】
<効果>
第2実施形態によれば、スレーブ21,22,・・・,2nからマスタ30に受信強度の変化の報告を行う必要が特にないため、無線通信システム100におけるスレーブ21,22,・・・,2nの処理の簡素化を図ることができる。
【0086】
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、マスタ30が無線信号を受信する際の受信強度を特に測定せず(又は受信強度を測定しても部品の位置変化の判定には特に用いず)、スレーブ21,22,・・・,2nからの受信強度の変化の報告に基づいて部品の配置状態の変化を検知する点が、第1実施形態とは異なっている。なお、電池パックP1(
図1参照)や無線通信システム100(
図1参照)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0087】
図11は、第3実施形態に係る無線通信システムのマスタの処理に関するフローチャートである(適宜、
図1も参照)。
【0088】
なお、
図11には示していないが、それぞれのスレーブ21,22,・・・,2nが行う処理(
図7参照)については、第1実施形態と同様である。すなわち、複数のスレーブ21,22,・・・,2n(バッテリデータ伝送装置)は、それぞれ、マスタ30(バッテリ管理装置)から無線信号を受信した際の受信強度の変化幅が所定値以上である場合、マスタ30に受信強度の変化の報告を行う。
【0089】
図11のステップS601においてマスタ30は、スレーブ21,22,・・・,2nのうちの少なくとも一つから受信強度の変化の報告があったか否かを判定する。スレーブ21,22,・・・,2nのうちの少なくとも一つから受信強度の変化の報告があった場合(S601:Yes)、マスタ30の処理はステップS602に進む。
【0090】
ステップS602においてマスタ30は、全てのスレーブ21,22,・・・,2nから受信強度の変化の報告があったか否かを判定する。全てのスレーブ21,22,・・・,2nから受信強度の変化の報告があった場合(S602:Yes)、マスタ30の処理はステップS603に進む。
【0091】
ステップS603においてマスタ30は、マスタ30自身の位置が変化したと判定する。スレーブ21,22,・・・,2nは、通常、電池パックP1にねじ等でしっかりと固定されているため、強い衝撃力が作用した場合でも、これらの全ての位置が変化するということはほとんどないからである。
【0092】
また、ステップS602において受信強度の変化の報告を行わなかったスレーブが存在する場合(S602:No)、マスタ30の処理はステップS604に進む。
ステップS604においてマスタ30は、複数のスレーブから受信強度の変化の報告があったか否かを判定する。複数のスレーブから受信強度の変化の報告があった場合(S604:Yes)、マスタ30の処理はステップS605に進む。
【0093】
ステップS605においてマスタ30は、複数のスレーブ又は周辺部品の位置が変化したと判定する。複数のスレーブや周辺部品の位置が変化すると、電池パックP1の内部で電波が反射したり回折したりする際の状況が正常時とは異なったものになるからである。
【0094】
また、ステップS604において、複数のスレーブからは受信強度の変化の報告がない場合(S604:No)、マスタ30の処理はステップS605に進む。つまり、受信強度の変化の報告を行ったスレーブの数が1台である場合、マスタ30の処理はステップS606に進む。
【0095】
ステップS606においてマスタ30は、1台のスレーブの位置が変化したと判定する。つまり、マスタ30は、受信強度の変化の報告を行った1台のスレーブの位置が変化したと判定する。このように、マスタ30(バッテリ管理装置)は、スレーブ21,22,・・・,2n(バッテリデータ伝送装置)からの受信強度の変化の報告に基づいて、部品の配置状態の変化を検知する。
【0096】
また、ステップS601において、受信強度の変化の報告を行ったスレーブが存在しない場合(S601:No)、マスタ30はステップS601の処理を繰り返す。そして、マスタ30は、次の通信周期でそれぞれのスレーブ21,22,・・・,2nから電圧データ等の無線信号を受信する。
【0097】
ステップS603,S605,S606のいずれかの処理を行った後、ステップS607においてマスタ30は、上位CPU(図示せず)に判定結果を送信して、一連の処理を終了する(END)。なお、
図11に示す一連の処理は、所定の通信周期のたびに行われる。
【0098】
<効果>
第3実施形態によれば、マスタ30がスレーブ21,22,・・・,2nから無線信号を受信したときに受信強度を測定する必要が特にないため、無線通信システム100におけるマスタ30の処理の簡素化を図ることができる。
【0099】
≪第4実施形態≫
第4実施形態は、無線信号の受信強度が相対的に低いヌル点の周波数を含むチャネルで無線通信が行われる点が、第1実施形態とは異なっている。なお、電池パックP1(
図1参照)や無線通信システム100(
図1参照)の構成については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0100】
図12は、第4実施形態に係る無線通信システムにおいて、マスタ・スレーブ間の受信強度の周波数特性の例を示す説明図である(適宜、
図1も参照)。
なお、
図12の横軸は周波数であり、縦軸は受信強度である。また、
図12において「スレーブ21」で示した実線は、スレーブ21がマスタ30から無線信号を受信する際の受信強度の周波数特性を示している。なお、他の「スレーブ22」や「スレーブ23」の周波数特性についても同様である。
【0101】
スレーブ21,22,23は、金属製の電池パックP1に収容されているため、電池パックP1の内部で電波の反射や回折が生じる。また、スレーブ21,22,23が無線信号を受信する際、無線信号の周波数によっては極端に(例えば、20[dB]以上)受信強度が下がるポイント(ヌル点)が生じることが多い。
図12の例では、スレーブ21がマスタ30から無線信号を受信する際の受信強度のヌル点が周波数f1になっている。同様に、スレーブ22のヌル点は周波数f2であり、また、スレーブ23のヌル点は周波数f3になっている。
【0102】
図12の例では、ヌル点の周波数f1,f2,f3は、その大きさが異なっている。これらの周波数f1,f2,f3は、電池パックP1の形状の他、電池パッP1におけるマスタ30やスレーブ21,22,23や周辺部品の配置等で決まる。例えば、ヌル点の周波数f1では、スレーブ21がマスタ30から無線信号を受信する際の受信強度が極端に低くなるが、このヌル点で無線通信を行うことも可能である。
【0103】
なお、
図12では省略しているが、マスタ30がスレーブ21,22,23のそれぞれから無線信号を受信する際にも、受信強度が極端に低くなるヌル点が存在することが多いが、これらのヌル点で無線通信を行うことも可能である。このように、マスタ30(バッテリ管理装置)とスレーブ21,22,23(所定のバッテリデータ伝送装置)との間の無線通信における周波数特性には、無線信号の受信強度が他の周波数に比べて所定値(例えば、20[dB])以上低いヌル点が含まれている。
【0104】
図13は、マスタ・スレーブ間の受信強度の周波数特性の例を示す説明図であり、スレーブ21の位置の変化に伴ってヌル点がなくなった場合を示している。
例えば、スレーブ21の本来の位置(移動前の位置)では、ヌル点の周波数f1が存在するが(
図12参照)、スレーブ21の位置が少しだけ変化した場合でも、ヌル点がなくなることが多い(
図13参照)。
図12と
図13を比較すると、ヌル点の有無で周波数f1におけるスレーブ21の受信強度がかなり変化している。なお、ヌル点がなくならずに残っている場合でも、ヌル点の付近は周波数特性が急勾配であるため、スレーブ21の位置の変化に対する感度がかなり高くなる。そこで、第4実施形態では、無線周波数の使用周波数帯であるチャネルが、次のように設定されるようにしている。
【0105】
すなわち、マスタ30(バッテリ管理装置)と複数のスレーブ21,22,23(バッテリデータ伝送装置)との間で無線通信が行われる際、この無線通信の使用周波数帯であるチャネルがヌル点を含むように設定される。具体例を挙げると、マスタ30とスレーブ21,22,23との間で無線通信が行われる際、1回目の通信周期では周波数f1を含む第1のチャネルが用いられ、2回目の通信周期では周波数f2を含む第2のチャネルが用いられ、3回目の通信周期では周波数f3を含む第3のチャネルが用いられるといったように、周波数f1,f2,f3の順で通信周期ごとにチャネルが切り替えられるようにしてもよい。
【0106】
この場合においてスレーブ21は、マスタ30からの無線信号の受信強度の変化幅を算出する際、周波数f1を含むチャネルで無線通信を行った直近の通信周期での受信強度と、この通信周期よりもさらに前に当該チャネルで通信を行ったときの受信強度と、の間の差分を算出する。マスタ30も同様にして、スレーブ21から無線信号を受信した際の受信強度の変化幅を算出する。また、マスタ30と他のスレーブ22,23との間の無線通信についても同様である。
【0107】
このように、周波数特性にヌル点が含まれる所定のスレーブ21,22,23(バッテリデータ伝送装置)が複数存在する場合、マスタ30(バッテリ管理装置)と複数のスレーブ21,22,23(バッテリデータ伝送装置)との間の無線通信では、無線通信の使用周波数帯であるチャネルがヌル点を含むように周期的に切り替えられるようにする。これによって、ヌル点の周波数f1,f2,f3がそれぞれ異なるスレーブ21,22,23について、位置の変化を高感度で検知できる。なお、
図12や
図13では、3台のスレーブ21,22,23について示したが、他のスレーブについても同様である。
【0108】
<効果>
第4実施形態によれば、マスタ30とスレーブ21,22,・・・,2nとが無線通信を行う際、使用周波数帯であるチャネルがヌル点を含むように設定される。これによって、マスタ30やスレーブ21,22,・・・,2nや周辺部品の位置の変化を高感度で検知できる。
【0109】
≪変形例≫
以上、本開示に係る無線通信システム100や無線通信方法について各実施形態で説明したが、これらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、各実施形態では、スレーブ21からマスタ30に受信強度の変化の報告を行う際、この報告を電圧データの送信タイミングで行う場合について説明したが、これに限らない。すなわち、電圧データの送信と、受信強度の変化の報告と、が異なるタイミングで行われてもよい。
【0110】
また、第1実施形態や第3実施形態では、スレーブ21における無線信号の受信強度の変化幅が所定値以上である場合(
図7のS302:Yes)、スレーブ21がマスタ30に受信強度の変化の報告を行う処理(S303)について説明したが、これに限らない。すなわち、スレーブ21がマスタ30から無線信号を受信するたびに、自身の受信強度の測定値をマスタ30に送信するようにしてもよい。そして、スレーブ21における受信強度の変化幅が所定値以上であるか否かをマスタ30が判定するようにしてもよい(他のスレーブ22,・・・,2nについても同様)。
【0111】
また、第4実施形態では、3つのスレーブ21,22,23のそれぞれの周波数特定にヌル点が含まれる場合について説明したが、これに限らない。例えば、スレーブ21,22,・・・,2nのうちの一部については本来の設置位置での周波数特性にヌル点が含まれ、残りについては本来の設置位置での周波数特性にヌル点が含まれないこともある。この場合でも、ヌル点を含むチャネルをマスタ30が通信周期ごとに切り替えることで、スレーブ等の位置の変化を高感度で検知できる。
【0112】
また、各実施形態では、スレーブ21(
図1参照)において、無線装置21b(無線通信部)とアンテナ21c(無線通信部)とが別々に設けられる場合について説明したが、これらが一体化されていてもよい。なお、他のスレーブ22,・・・,2nについても同様である。
また、各実施形態では、マスタ30(
図1参照)において、無線装置30b(無線通信部)とアンテナ30a(無線通信部)とが別々に設けられる場合について説明したが、これらが一体化されていてもよい。
【0113】
また、無線通信システム100の処理(無線通信方法)が、コンピュータの所定のプログラムとして実行されるようにしてもよい。前記したプログラムは、通信線を介して提供できる他、CD-ROM等の記録媒体に書き込んで配布することも可能である。
【0114】
また、本開示は、各実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、各実施形態は、本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0115】
また、前記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、前記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0116】
11,12,・・・,1n 電池モジュール
11a,12a,・・・,1na 単電池セル
21,22,・・・,2n スレーブ(構成部品、部品、バッテリデータ伝送装置)
21a,22a,・・・,2na 単セル状態測定装置
21b,22b,・・・,2nb 無線装置(無線通信部)
21c,22c,・・・,2nc アンテナ(無線通信部)
30 マスタ(構成部品、部品、バッテリ管理装置)
30a アンテナ(無線通信部)
30b 無線装置(無線通信部)
30c 監視装置
41 サービスプラグ(部品、周辺部品)
42 ジャンクションボックス(部品、周辺部品)
43 その他部品(部品、周辺部品)
50 負荷
100,100A 無線通信システム
P1 電池パック