(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162662
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】監視プログラム、印刷システム及び監視装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241114BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G06F3/12 329
B41J29/38 350
G06F3/12 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078398
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 誠治
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061HK11
2C061HK19
2C061HK23
(57)【要約】
【課題】印刷機のトラブルに対応する関連作業に関する情報を最も効率的な順で提示し、トラブル対応の労働効率を向上する。
【解決手段】サーバー30(監視プログラム31)は、印刷機10の状態に関する状態情報を取得する処理と、予め登録された、状態情報に対応する関連作業情報から、取得した状態情報に紐付けられる、関連作業情報を抽出する処理と、抽出した関連作業情報が複数存在する場合、関連作業情報を表示する優先順位を演算する処理と、を実行する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機の状態に関する状態情報を取得する処理と、
予め登録された、前記状態情報に対応する関連作業情報から、取得した前記状態情報に紐付けられる前記関連作業情報を抽出する処理と、
抽出した前記関連作業情報が複数存在する場合、前記関連作業情報を表示する優先順位を演算する処理と、をコンピューターに実行させる
監視プログラム。
【請求項2】
前記優先順位を演算する処理は、前記関連作業を実施することにより前記印刷機の前記状態が解消された該当回数と、予め登録された前記関連作業の実施履歴に含まれる実績作業時間、又は予め想定された前記関連作業の実施にかかる想定作業時間との、少なくとも1つに基づいて前記優先順位を演算する
請求項1に記載の監視プログラム。
【請求項3】
前記優先順位を演算する処理は、前記該当回数と、前記実績作業時間又は前記想定作業時間とに基づいて、前記関連作業の前記優先順位を演算する場合、当該関連作業の前記該当回数が、複数の前記関連作業の前記該当回数の合計値に対する比率である該当確率を算出し、前記該当確率の逆数と、当該関連作業の前記実績作業時間又は前記想定作業時間との積に基づいて、前記優先順位を決定する
請求項2に記載の監視プログラム。
【請求項4】
前記優先順位を演算する処理は、複数の前記関連作業を順番に実施する際になり得る順番パターンに対して、複数の前記関連作業の前記該当確率と、前記実績作業時間又は前記想定作業時間とに基づいて、前記順番パターンに対応する作業時間の期待値を演算し、前記作業時間の期待値に基づいて、前記優先順位を決定する
請求項2に記載の監視プログラム。
【請求項5】
前記関連作業情報は、前記関連作業の内容を示す情報である
請求項1に記載の監視プログラム。
【請求項6】
前記関連作業情報は、前記関連作業の内容を示す動画である
請求項5に記載の監視プログラム。
【請求項7】
前記関連作業情報は、前記関連作業の内容の保存先へのアクセス情報である
請求項1に記載の監視プログラム。
【請求項8】
前記優先順位を演算する処理は、前記優先順位に基づいて、複数の前記関連作業情報の少なくとも1つを出力する
請求項1~7のいずれか一項に記載の監視プログラム。
【請求項9】
前記印刷機が複数存在する場合、前記関連作業情報を取得する処理は、同じ機種の前記印刷機の前記状態情報に紐付けられる前記関連作業情報を抽出する
請求項1~7のいずれか一項に記載の監視プログラム。
【請求項10】
前記印刷機が複数存在する場合、前記関連作業情報を取得する処理は、同じ機種かつ同じロットの前記印刷機の前記状態情報に紐付けられる前記関連作業情報を抽出する
請求項1~7のいずれか一項に記載の監視プログラム。
【請求項11】
前記印刷機が複数存在する場合、前記関連作業情報を取得する処理は、同じ種類の記録媒体に対して印刷を行う前記印刷機の前記状態情報に紐付ける前記関連作業情報を抽出する
請求項1~7のいずれか一項に記載の監視プログラム。
【請求項12】
前記印刷機が複数存在する場合、前記関連作業情報を取得する処理は、同じ地域にある前記印刷機の前記状態情報に紐付ける前記関連作業情報を抽出
請求項1~7のいずれか一項に記載の監視プログラム。
【請求項13】
印刷機の状態に関する状態情報を取得する処理と、
予め登録された、前記状態情報に対応する関連作業情報から、取得した前記状態情報に紐付けられる前記関連作業情報を抽出する処理と、
抽出した前記関連作業情報が複数存在する場合、前記関連作業を実施することにより前記印刷機の前記状態が解消された該当回数と、予め登録された前記関連作業の実施履歴に含まれる実績作業時間、又は予め想定された前記関連作業の実施にかかる想定作業時間との、少なくとも1つを出力する処理と、をコンピューターに実行させる
監視プログラム。
【請求項14】
記録媒体に画像を形成する印刷機と、
前記印刷機の状態に関する状態情報を取得し、予め登録された、前記状態情報に対応する関連作業情報から、取得した前記状態情報に紐付けられる前記関連作業情報を抽出し、抽出した前記関連作業情報が複数存在する場合、前記関連作業情報を表示する優先順位を演算するサーバーと、を備える
印刷システム。
【請求項15】
前記サーバーから前記優先順位の順に並べた前記関連作業情報を受信して表示する表示端末、を備える
請求項14に記載の印刷システム。
【請求項16】
前記表示端末は、前記優先順位の順に、複数の前記関連作業情報の少なくとも1つを表示する
請求項15に記載の印刷システム。
【請求項17】
記録媒体に画像を形成する印刷機と、
前記印刷機の状態に関する状態情報を取得し、予め登録された、前記状態情報に対応する関連作業情報から、取得した前記状態情報に紐付けられる前記関連作業情報を抽出し、抽出した前記関連作業情報が複数存在する場合、前記関連作業を実施することにより前記印刷機の前記状態が解消された該当回数と、予め登録された前記関連作業の実施履歴に含まれる実績作業時間、又は予め想定された前記関連作業の実施にかかる想定作業時間との、少なくとも1つを出力するサーバーと、を備える
印刷システム。
【請求項18】
印刷機の状態に関する状態情報を取得し、
予め登録された、前記状態情報に対応する関連作業情報から、取得した前記状態情報に紐付けられる前記関連作業情報を抽出し、
抽出した前記関連作業情報が複数存在する場合、複数の前記関連作業情報を表示する優先順位を演算する
監視装置。
【請求項19】
印刷機の状態に関する状態情報を取得し、
予め登録された、前記状態情報に対応する関連作業情報から、取得した前記状態情報に紐付けられる前記関連作業情報を抽出し、
抽出した前記関連作業情報が複数存在する場合、前記関連作業を実施することにより前記印刷機の前記状態が解消された該当回数と、予め登録された前記関連作業の実施履歴に含まれる実績作業時間、又は予め想定された前記関連作業の実施にかかる想定作業時間との、少なくとも1つを出力する
監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視プログラム、印刷システム及び監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業印刷業界では、印刷機のトラブルが起きた場合、印刷会社が印刷機メーカーにトラブル連絡をし、印刷機メーカーのサービスマンが、印刷会社(現場)に行って印刷機のトラブルを解消することは一般的である。しかしながら、印刷機メーカーのサービス窓口の営業時間外に印刷機のトラブルが起きた場合、すなわち、印刷機メーカーが直ちにトラブルを受け付けできない場合、印刷会社のオペレーターがトラブルの対処を行うしかない。しかしながら、印刷会社のオペレーターが、トラブルに対応するリカバリー作業の手順を知らないことも多く、リカバリー作業を行うことが困難である場合もある。そこで、印刷機の表示パネルに印刷機のメンテナンス動画、すなわち、関連作業の内容を示す動画を表示する技術、例えば、特許文献1に記載の技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、印刷データに基づいて、記録媒体に印刷処理を行う印刷処理手段と、自己の印刷装置の状態情報をホスト機器に通知する通知手段と、該通知に基づいてホスト機器から供給された、自己の印刷装置の状態に対応する印刷装置の操作手順の動画データを受信する受信手段と、該動画データを表示する表示手段とを有する印刷装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、印刷会社のオペレーターが印刷機のトラブルに対応するリカバリー作業を行うことを可能にするため、特許文献1に記載されているように、印刷装置の表示手段に操作手順の動画を表示する技術が提案されている。ところで、トラブル対応の通知は、一般にエラーコードが通知されるが、エラーコードのみでは、実施すべきトラブル対応の手順が1つに絞り切れないことがある。例えば、印刷機の用紙カセットから1枚の用紙が2次転写ローラーに搬送される過程において、2次転写工程が始まる直前に用紙が検知できない場合、用紙がないトラブルに割り当てられたエラーコードが発生する。しかし、そのエラーコードの発生する原因として、搬送工程で用紙詰まりを起こしたことと、用紙ストレージから用紙を取り出す用紙ローラーがスリップして、搬送工程で用紙の搬送ができなかったことと、2つの原因のいずれも可能である。この2つの原因のそれぞれを解消するためのリカバリー作業の手順が異なる。しかし、特許文献1に記載の技術では、トラブル対応の通知に基づいて、複数のリカバリー作業の手順が抽出された際、適切なトリカバリー作業の手順を出力する方法について言及していない。
【0006】
本発明は、上記状況を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、印刷機のトラブルに対応する関連作業に関する情報を最も効率的な順で提示し、トラブル対応の労働効率を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、印刷機の状態に関する状態情報を取得する処理と、予め登録された、状態情報に対応する関連作業情報から、取得した状態情報に紐付けられる関連作業情報を抽出する処理と、抽出した関連作業情報が複数存在する場合、関連作業情報を表示する際の優先順位を演算する処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の本発明によれば、印刷機のトラブルに対応する関連作業に関する情報を最も効率的な順で提示し、トラブル対応の労働効率を向上することができる。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る印刷システムの概略構成例を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る印刷システムにおける関連作業の実施履歴のデータ例を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る印刷システムにおいて、第1演算方法により算出される関連作業の優先順位を示す図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る印刷システムにおける、関連作業の優先順位の第2演算方法を説明するための図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る印刷システムにおける、関連作業の優先順位の第2演算方法の具体例1を説明するための図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る印刷システムにおける、関連作業の優先順位の第2演算方法の具体例2を説明するための図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る印刷システムにおける監視処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る印刷システムの監視装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る印刷システムにおける監視処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0011】
<第1実施形態>
[印刷システムの概略構成例]
まず、本発明の第1実施形態に係る印刷システム1の概略構成について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る印刷システムの概略構成例を示す図である。印刷システム1は、
図1に示すように、印刷機10と、管理端末20と、サーバー30と、監視装置40とを備える。
【0012】
印刷機10は、電子写真方式によって記録媒体に画像を形成する画像形成装置の一例である。印刷機10は、例えば、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能、ネットワーク機能、BOX機能、後処理機能等の複数の機能が搭載された複合機(MFP:Multi-Function Peripheral)で構成される。印刷機10は、トラブル(異常)が発生した場合、印刷機10の状態に関する状態情報を管理端末20に出力する。なお、
図1では、1台の印刷機のみが示されているが、本発明はこれに限定されず、印刷システム1は、複数台の印刷機を備えてもよい。
【0013】
ここで、印刷機10の状態とは、印刷機の通常動作で印刷が止まって、印刷を再開するには所定の作業が必要となる状態である。印刷機10の状態は、印刷機が故障状態になって、エラーコードが出力される異常状態と、エラーコードが出力される故障状態以外の異常状態とを含む。例えば、印刷機の部品が動作しない等の故障状態は、エラーコードが発生する異常状態である。また、例えば、記録媒体(用紙)切れ、トナー切れ、廃トナーボトルフル、排紙トレイフル等の異常状態は、エラーコードが発生しない異常状態である。これらの印刷機10の状態は、オペレーターによる、記録媒体(用紙)の補充、トナーの補充、廃トナーボトルの交換、排紙トレイの印刷物の回収等の作業で解消される。また、例えば、印刷機に付属した印刷物の検査機により検知された汚れ等の印刷上の不具合や、印刷の中断を起こす他の異常などを、エラーコードが発生しない異常状態に含ませてもよい。また、印刷機10の状態に関する状態情報は、エラーコードが発生しない異常状態を通知するメッセージと、エラーコードが発生する異常状態のエラーコードとを含む。なお、異常までには至っていないが、例えば、記録媒体(用紙)ニアエンプティ、トナーニアエンプティ、廃トナーボトルニアフル、排紙トレイニアフル、印刷物の汚れが悪化してきている等の情報を状態情報をとして出力してもよい。
【0014】
管理端末20は、情報処理装置の一例であり、有線又は無線方式により印刷機10に接続され、印刷前の画像データの補正、印刷画像のサイズやカラー/モノクロモードの指定、印刷機10に印刷指示の出力などを行う。また、管理端末20は、印刷機10においてトラブルが発生した場合、印刷機10の状態に関する状態情報を印刷機10から受け取り、受け取った状態情報を、ネットワークを介してサーバー30に送信する。
【0015】
サーバー30は、例えば、クラウドサーバーであり、管理端末20から印刷機10の各種情報を取得し、取得した情報を用いる各種解析を行う監視プログラム31を実行する。また、サーバー30は、印刷機10の状態に関する状態情報に対応する、トラブルを解消可能なリカバリー作業(関連作業)の実施履歴(後述の
図2参照)、予め登録された関連作業情報(以下、「関連作業情報」称する)を保存する。ここで、関連作業情報は、関連作業の内容(例えば、動画、音声説明、手順書等)を示す情報、又は、関連作業の内容の保存先へのアクセス情報である。保存先へのアクセス情報とは、例えば、保存先へのアクセスアドレス、アクセスアドレスを読み取りできる読み取りコード等である。
【0016】
また、サーバー30上の監視プログラム31は、管理端末20から印刷機10の状態に関する状態情報を受信(取得)する。また、監視プログラム31は、サーバー30に予め登録された、状態情報に対応する関連作業情報から、取得した状態情報に紐付けられる関連作業情報を抽出する。また、監視プログラム31は、抽出した関連作業情報が複数存在する場合、関連作業情報を表示する優先順位を演算する。また、監視プログラム31は、演算した優先順位に基づいて、複数の関連作業情報の少なくとも1つを出力する。なお、監視プログラム31について、後述の
図7を用いて詳述する。監視プログラム31の実行結果、例えば、優先順位の順に並べた関連作業情報等は、管理端末20又は監視装置40に送信されて表示される。
【0017】
なお、サーバー30は、クラウドサーバーに限定されず、専用のサーバーであってもよい。また、サーバー30の機能は、例えば、管理端末20又は監視装置40等の情報処理装置に設けられてもよい。
【0018】
監視装置40は、ネットワークを介してサーバー30に接続され、サーバー30から優先順位の順に並べた関連作業情報等を受信して表示する表示端末である。監視装置40は、関連作業情報を表示する際、例えば、表示画面の大きさや、オペレーターによる指定数等に応じて、優先順位の順に、複数の関連作業情報の少なくとも1つを表示する。また、監視装置40は、サーバー30の機能を備え、サーバー30の代わりに監視プログラム31を実行する情報処理装置としてもよい。また、監視装置40は、受信した優先順位の順に並べた関連作業情報等を、リカバリー作業を行うオペレーターが保有する端末装置に送信してもよいし、オペレーターの連絡先(例えば、メール宛先)に送信してもよい。この場合、オペレーターの連絡先は、事前に監視装置40に登録されたことが前提となる。
【0019】
次に、印刷システム1における関連作業の実施履歴のデータ例について説明する。関連作業の実施履歴は、予めサーバー30に登録され、オペレーターが状態情報に対応する関連作業を実施した後に送信した、印刷機の状態(トラブル)を解消したか否かの結果により更新される。また、関連作業の実施履歴は、状態情報毎に設けられる。
図2は、本実施形態に係る印刷システム1における関連作業の実施履歴のデータ例を示す図である。関連作業の実施履歴は、状態情報に紐付けられ、
図2に示すように、「関連作業」、「作業時間(分)」、「該当回数」、及び「該当確率」の欄を有する。
【0020】
「関連作業」の欄は、関連作業を唯一に識別できる、名称や識別ID(Identification)などの識別子を格納する。例えば、
図2に示す「関連作業」には、「A」、「B」及び「C」等の関連作業の名称が格納されている。
【0021】
「作業時間(分)」は、対応する「関連作業」の欄に格納されている関連作業に関する作業時間を、例えば、分単位で格納する。関連作業に関する作業時間は、オペレーターが当該関連作業を実施した実績作業時間、又は、関連作業の内容に基づいて予め予想された当該関連作業の実施にかかる想定作業時間である。例えば、
図2に示す「作業時間(分)」には、「5」(分)、「30」(分)等の作業時間が格納されている。
【0022】
「該当回数」の欄は、対応する「関連作業」の欄に格納されている関連作業を実施することにより印刷機の状態(トラブル)が解消された回数を格納する。例えば、
図2に示す「該当回数」には、「200」、「300」及び「500」等が格納されている。
【0023】
「該当確率」の欄には、対応する「該当回数」の欄に格納されているデータに基づいて算出された、関連作業の該当確率、
図2に示す、「0.2」、「0.3」及び「0.5」等である。該当確率は、各関連作業の該当回数が、関連作業の実施履歴に格納されている複数の関連作業の該当回数の合計値に対する比率である。例えば、関連作業「A」の該当回数「200」が、複数の関連作業の該当回数の合計値(「200」+「300」+「500」=1000)に対する比率は「0.2」である。なお、「該当確率」の単位は、%単位にしてもよい。
【0024】
なお、
図2に示す関連作業の実施履歴は、関連作業の「該当回数」及び「該当確率」を含む構成であるが、本発明は、これに限定されず、「該当回数」と「該当確率」とのいずれか一方を含む構成であてもよい。
【0025】
次に、印刷システム1における関連作業の優先順位の第1演算方法について説明する。
関連作業の優先順位の第1演算方法は、サーバー30上の監視プログラム31により行われ、関連作業の該当回数と、実績作業時間又は想定作業時間との、少なくとも1つに基づいて、関連作業の優先順位を演算する。該当回数のみに基づいて優先順位を演算する場合、第1演算方法は、関連作業の該当回数を用いて算出された該当確率の降順(高い方から低い方までの順位)を優先順位として決定する。また、実績作業時間又は想定作業時間のみに基づいて優先順位を演算する場合、第1演算方法は、関連作業の実績作業時間又は想定作業時間の昇順(短い方から長い方までの順位)を優先順位として決定する。
【0026】
また、該当回数と、実績作業時間又は想定作業時間とに基づいて優先順位を演算する場合、第1演算方法は、関連作業の該当回数を用いて算出された該当確率の逆数と、当該関連作業の実績作業時間又は想定作業時間との積に基づいて、優先順位を決定する。この場合の具体例として、
図2に示す関連作業の実施履歴に基づいて、関連作業「A」、「B」及び「C」のそれぞれに優先順位を算出する例を説明する。第1演算方法は、「該当確率」の逆数と、関連作業の実施履歴の「作業時間(分)」との積を優先指数として算出する。例えば、
図2に示す関連作業「A」の優先指数は、5×(1/0.2)=25であり、関連作業「B」及び「C」の優先指数は、それぞれ、「60」、「100」である。第1演算方法は、算出された優先指数の昇順(小さい方から大きい方までの順位)を優先順位として決定する。このような演算方法により、作業時間が短く、かつ印刷機の状態(トラブル)を解消できる可能性が高い順に、すなわち、最も効率的な順に、複数の関連作業情報を出力して表示することができる。
【0027】
図3は、本実施形態に係る印刷システム1において、第1演算方法により算出される関連作業の優先順位を示す図である。
図3には、関連作業「A」、「B」及び「C」のそれぞれの「優先指数」及び「優先順位」が示されている。
図3に示すように、関連作業「A」の優先指数「25」は最も小さいであるので、関連作業「A」に一番高い「優先順位」である「1」が付与される。また、
図3に示すように、関連作業「C」の優先指数「100」は最も大きいであるので、関連作業「C」に一番低い「優先順位」である「3」が付与される。
【0028】
また、状態情報に紐付けられる関連作業情報が複数ある場合、リカバリー作業を行う際、ある関連作業を実施して印刷機の状態(トラブル)を解消できなかった場合、一般的には、トラブルを解消できるまで、他の関連作業を1つずつ試して行うことになる。この場合、関連作業が行われる順番の違いにより、トラブルを解消できる関連作業を探し出すまでの作業時間が異なる。そこで、作業時間が短くかつ該当確率の高い関連作業の実施順を選定することが困難である。印刷システム1における関連作業の優先順位の第2演算方法は、上述の状況を鑑みてなされたものである。関連作業の優先順位の第2演算方法は、第1演算方法と同様に、サーバー30上の監視プログラム31により行われる。第2演算方法は、複数の関連作業を順番に実施する際になり得る順番パターンに対して、複数の関連作業の該当確率と、実績作業時間又は想定作業時間とに基づいて、順番パターンに対応する作業時間の期待値を演算し、作業時間の期待値に基づいて、優先順位を決定する。
【0029】
図4は、本実施形態に係る印刷システム1における、関連作業の優先順位の第2演算方法を説明するための図である。
図4には、ある状態情報に紐付けられる関連作業の実施履歴が示されている。
図4に示す関連作業の実施履歴は、
図2で説明した「該当回数」を含まない構成となり、「関連作業」、「作業時間(分)」及び「該当確率」の欄は、
図2に示すこれらの欄と同じであり、重複説明を省略する。また、
図4では、ある状態情報に紐付けられる複数の関連作業として、「作業_1」~「作業_n」が存在する。「作業_1」~「作業_n」のそれぞれに対応する、「作業時間(分)」は「T1」~「Tn」であり、「該当確率」は「P1」~「Pn」である。
【0030】
関連作業の優先順位の第2演算方法は、関連作業の実施履歴における「作業_1」~「作業_n」を順番に行う際にかかる作業時間の期待値として、下記式(1)~式(4)を用いて算出する。第2演算方法は、算出された作業時間の期待値の昇順(小さい方から大きい方までの順位)を優先順位として決定する。式(1)~式(4)中の「T1」~「Tn」、「P1」~「Pn」は、
図4に示す「作業時間(分)」及び「該当確率」である。
【0031】
TP1=T1×P1 …(1)
【0032】
式(1)は、「作業_1」に対応する個別作業時間の期待値である「TP1」を算出する式である。
【0033】
TP2=T1×P1+(T1+T2)×P2 …(2)
【0034】
式(2)には、(T1+T2)×P2は、「作業_2」に対応する個別作業時間の期待値である。「作業_1」から「作業_2」までの順番で関連作業を行う際の作業時間の期待値「TP2」は、「作業_1」及び「作業_2」の個別作業時間の期待値の合計値である。
【0035】
TP3=T1×P1+(T1+T2)×P2+(T1+T2+T3)×P3 …(3)
【0036】
式(3)には、(T1+T2+T3)×P3は、「作業_3」に対応する個別作業時間の期待値である。「作業_1」~「作業_3」の順番で関連作業を行う際の作業時間の期待値「TP3」は、「作業_1」、「作業_2」及び「作業_3」の個別作業時間の期待値の合計値である。
【0037】
TPn=T1×P1+(T1+T2)×P2+(T1+T2+T3)×P3+…
+(T1+…+Tn)×Pn …(4)
【0038】
式(4)には、(T1+…+Tn)×Pnは、「作業_n」に対応する個別作業時間の期待値である。「作業_1」~「作業_n」の順番で関連作業を行う際の作業時間の期待値「TPn」は、「作業_1」~「作業_n」の個別作業時間の期待値の合計値である。
【0039】
図5は、関連作業の優先順位の第2演算方法の具体例1を説明するための図である。
図5Aは、ある状態情報に紐付けられる関連作業の実施履歴を示す図である。
図5Bは、
図5Aに示す関連作業の実施履歴に基づいて、第2演算方法により算出される作業時間の期待値を示す図である。なお、
図5Aに示す関連作業の実施履歴は、
図4に示す関連作業の実施履歴と同じ構成を有し、重複説明は省略する。
【0040】
図5Aに示す関連作業の実施履歴では、2つの関連作業「A」及び「B」が存在するため、関連作業を順番に実施する際になり得る順番パターンは、
図5Bに示すように、関連作業「A」から「B」までの順番パターン、及び関連作業「B」から「A」までの順番パターンの2つがある。
【0041】
関連作業「A」から「B」までの順番パターンでは、関連作業「A」の「作業時間(分)」及び「該当確率」は、式(2)中の「T1」及び「P1」となり、関連作業「B」の「作業時間(分)」及び「該当確率」は、式(2)中の「T2」及び「P2」となる。それゆえ、この順番パターンの作業時間の期待値は、式(2)にした従い、60×0.7+(60+20)×0.3=66(分)である。
【0042】
また、関連作業「B」から「A」までの順番パターンでは、関連作業「B」の「作業時間(分)」及び「該当確率」は、式(2)中の「T1」及び「P1」となり、関連作業「A」の「作業時間(分)」及び「該当確率」は、式(2)中の「T2」及び「P2」となる。それゆえ、この順番パターンの作業時間の期待値は、式(2)にした従い、20×0.3+(20+60)×0.7=62(分)である。
【0043】
図5Bに示すように、関連作業「B」から「A」までの順番パターンの作業時間の期待値が、関連作業「A」から「B」までの順番パターンの作業時間の期待値より小さい。このため、第2演算方法は、関連作業「B」から「A」までの順番パターンに高い優先順位を付与する。
【0044】
図6は、関連作業の優先順位の第2演算方法の具体例2を説明するための図である。
図6Aは、ある状態情報に紐付けられる関連作業の実施履歴を示す図である。
図6Bは、
図6Aに示す関連作業の実施履歴に基づいて、第2演算方法により算出される作業時間の期待値を示す図である。なお、
図6Aに示す関連作業の実施履歴は、
図4に示す関連作業の実施履歴と同じ構成を有し、重複説明は省略する。
【0045】
図6Aに示す関連作業の実施履歴では、3つの関連作業「A」、「B」及び「C」が存在するため、関連作業を順番に実施する際になり得る順番パターンは、
図6Bに示す6つの順番パターン(「パターン_1」~「パターン_6」)がある。6つの順番パターンのそれぞれにおいては、
図6Bに示す「順番_1」~「順番_3」に格納されている関連作業が順に行われる。例えば、「パターン_1」では、「順番_1」~「順番_3」に従い、関連作業「A」、「B」、「C」が順に行われる。また、例えば、「パターン5」では、「順番_1」~「順番_3」に従い、関連作業「C」、「A」、「B」が順に行われる。
【0046】
また、
図6Bには、「順番_1」~「順番_3」のそれぞれの「個別作業時間の期待値(分)」が示されている。「順番_1」の「個別作業時間の期待値(分)」は、式(3)のT1×P1の部分の算出結果である。「順番_2」の「個別作業時間の期待値(分)」は、式(3)の(T1+T2)×P2の部分の算出結果である。「順番_3」の「個別作業時間の期待値(分)」は、式(3)の(T1+T2+T3)×P3の部分の算出結果である。そして、各順番パターンの「作業時間の期待値(分)」は、「順番_1」~「順番_3」のそれぞれの「個別作業時間の期待値(分)」の合計値である。
【0047】
以下では、「パターン_5」の「作業時間の期待値(分)」の算出を第2演算方法の具体例として説明する。「パターン_5」では、「順番_1」~「順番_3」に従い、関連作業「C」、「A」、「B」が順に行われるので、
図6Aに示す関連作業「C」の「作業時間(分)」及び「該当確率」は、式(3)中の「T1」及び「P1」となる。また、
図6Aに示す、関連作業「A」の「作業時間(分)」及び「該当確率」は、式(3)中の「T2」及び「P2」となり、関連作業「B」の「作業時間(分)」及び「該当確率」は、式(3)中の「T3」及び「P3」となる。それゆえ、「パターン_5」における「順番_1」(関連作業「C」)の「個別作業時間の期待値(分)」は、40×0.2=8である。「順番_2」(関連作業「A」)の「個別作業時間の期待値(分)」は、(40+20)×0.3=18である。「順番_3」(関連作業「B」)の「個別作業時間の期待値(分)」は、(40+20+30)×0.5=45である。「パターン_5」の「作業時間の期待値(分)」は、8+18+45=71である。
【0048】
第2演算方法は、
図6Bに示す「作業時間の期待値(分)」の昇順(小さい方から大きい方までの順位)、すなわち、「パターン_3」、「パターン_1」、「パターン_4」、「パターン_2」、「パターン_6」、「パターン_5」の順位を優先順位として決定する。
【0049】
上述したように、第2演算方法は、複数の関連作業の該当確率と、実績作業時間又は想定作業時間とに基づいて、複数の関連作業を順番に実施する際になり得る各順番パターンの作業時間の期待値を演算する。このため、第2演算方法によれば、作業時間の期待値の最も短いものから、最も高いものまでの順、すなわち、最も効率的な順に関連作業情報を出力して表示することができる。
【0050】
[監視処理の手順]
次に、印刷システム1における監視処理の手順について説明する。
図7は、本実施形態に係る印刷システム1における監視処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、管理端末20が、印刷機10の状態に関する状態情報をサーバー30に送信すると開始する。
【0051】
まず、サーバー30(監視プログラム31)は、管理端末20から、印刷機10の状態に関する状態情報を受信する(ステップS11)。
【0052】
次いで、サーバー30は、予め登録された、状態情報に対応する関連作業情報から、受信した状態情報に紐付けられる関連作業情報を抽出する(ステップS12)。
【0053】
次いで、サーバー30は、抽出した関連作業情報が複数あるか否かを判定する(ステップS13)。
【0054】
ステップS13の処理において、サーバー30は、抽出した関連作業情報が複数でないと判定した場合(ステップS13のNo判定の場合)、抽出した関連作業情報を監視装置40に送信し、監視装置40は、受信した関連作業情報を表示する(ステップS14)。
【0055】
一方、ステップS13の処理において、サーバー30は、抽出した関連作業情報が複数あると判定した場合(ステップS13のYes判定の場合)、抽出した複数の関連作業の優先順位を演算して設定する(ステップS15)。なお、優先順位は、
図2及び
図3で説明した第1演算方法、又は、
図4~
図6で説明した第2演算方法により算出される。
【0056】
次いで、サーバー30は、優先順位に並べた関連作業情報を監視装置40に送信し、監視装置40は、優先順位順に関連作業情報を表示する(ステップS16)。この処理では、監視装置40は、例えば、抽出された複数の関連作業情報をリストに表示し、関連作業情報をリストの上から優先順位順に表示する。
【0057】
ステップS14、又はステップS16の処理後、監視処理は終了する。
【0058】
なお、リカバリー作業を行うオペレーターが、監視装置40に表示される関連作業情報のリストの上(最も効率高いものから)から、順に関連作業情報をクリックして、関連作業の動画や手順書などを見ながら関連作業を実施することにより、労働効率を向上することができる。また、オペレーターは、関連作業を実施した後、関連作業の実施結果、例えば、印刷機の状態を解消したとの結果、印刷機の状態を解消できなかったとの結果、及び実施にかかった作業時間等を監視装置40に入力し、監視装置40は、関連作業の実施結果をサーバー30に送信する。サーバー30は、監視装置40から受信した関連作業の実施結果に基づいて、関連作業の実施履歴(
図2参照)を更新する。例えば、関連作業の実施結果が、印刷機の状態を解消したとの結果である場合、サーバー30は、当該関連作業の「該当回数」に「1」を加算し、「該当確率」も更新する。
【0059】
また、監視装置40は、例えば、オペレーターにより入力された関連作業の実施結果が、印刷機の状態を解消できなかったとの結果である場合、当該関連作業情報をリストから削除し、印刷機の状態を解消したとの結果が入力されるまで、他の関連作業情報を閲覧することを順次に促し、又は、自動表示する。
【0060】
[監視装置のハードウェア構成]
次に、監視装置40のハードウェア構成例について説明する。
図8は、本実施形態に係る印刷システム1の監視装置40のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0061】
監視装置40は、情報処理装置の一例であり、
図8に示すように、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、及びRAM(Random Access Memory)43を備える。さらに、監視装置40は、表示装置44、入力装置45、記憶装置46及び通信インターフェース47を備える。CPU41、ROM42、RAM43、表示装置44、入力装置45、記憶装置46及び通信インターフェース47は、バス48により、互いに情報データの送受信ができるように接続される。
【0062】
CPU41は、監視装置40に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムをROM42から読み出してRAM43にロードして実行する。例えば、監視装置40がサーバー30の機能を備え、サーバー30の代わりに
図7に示す監視処理を行う場合、CPU41は、監視処理を行うための監視プログラム31を実行する。なお、CPU41に代えてGPU(Graphics Processing Unit)を用いてもよく、CPU41とGPU(Graphics Processing Unit)を併用してもよい。
【0063】
ROM42は、例えば不揮発性メモリ等の記憶媒体で構成され、CPU41が実行及び参照するプログラムやデータ等を記憶する。
【0064】
RAM43は、例えば揮発性メモリ等の記憶媒体で構成され、CPU41が行う各処理に必要な情報(データ)を一時的に記憶する。
【0065】
表示装置44は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-luminescence)ディスプレイなどの表示デバイスであり、監視装置40で行われる処理の結果等を表示する。また、表示装置44は、サーバー30から受信した関連作業情報を優先順位順に表示する。入力装置45は、例えば、キーボード、マウス等により構成される。入力装置45は、入力された操作内容を表す操作信号を生成し、該操作信号をCPU41に供給する。また、表示装置44は、CPU41から供給される表示信号に基づいて、操作内容や設定情報等を表示する。なお、表示装置44及び入力装置45は、例えばタッチパネルとして一体に形成されることも可能である。
【0066】
記憶装置46は、コンピューター読取可能な非一過性の記録媒体で構成され、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置で構成される。記憶装置46は、CPU41によって実行されるプログラム、OS(Operating System)、コントローラー等のプログラム、データを記憶する。また、監視装置40がサーバー30の機能を備え、サーバー30の代わりに
図7に示す監視処理を行う場合、記憶装置46は、予め登録された、印刷機10の状態情報に対応する関連作業情報を記憶する。
【0067】
なお、記憶装置46に記憶されるプログラム、データの一部は、ROM42に記憶されてもよい。また、CPU41によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体は、HDDに限定されず、例えば、SSD(Solid State Drive)、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0068】
通信インターフェース47には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、NICの端子に接続されたLAN(Local Area Network)、専用線等を介して各種のデータを外部のサーバーとの間で送受信することが可能である。
【0069】
[効果]
上述したように、本実施形態に係る印刷システム1のサーバー30(監視プログラム31)は、印刷機の状態に関する状態情報に紐付けられる関連作業情報を複数抽出した場合、各関連作業情報を出力(表示)する優先順位を演算する。監視プログラム31は、各関連作業の作業時間(実績作業時間又は想定作業時間)及び該当確率に基づいて、作業時間が短くかつ該当確率の高い関連作業情報に高い優先順位を付与して出力する。それゆえ、本発明の印刷システムによれば、印刷機のトラブルに対応する関連作業に関する情報を最も効率的な順で提示し、トラブル対応の労働効率を向上することができる。
【0070】
<第2実施形態>
以下では、本発明の第2実施形態に係る印刷システムについて説明する。第2実施形態に係る印刷システムは、
図1に示す印刷システム1と同じ構成を有するので、重複説明は省略する。本実施形態では、予め登録された関連作業の実施履歴(
図2参照)に含まれる「作業時間(分)」において、実績作業時間と想定作業時間とは、区別して格納されることを想定する。
図9は、本発明の第2実施形態に係る印刷システムにおける監視処理の手順を示すフローチャートである。
図9と
図7とを比較して分かるように、本実施形態に係る印刷システムにおける監視処理のステップS11~ステップS13の処理は、
図7に示すこれらの処理と同様であるため、重複説明は省略する。
【0071】
ステップS13の処理において、サーバー30は、抽出した関連作業情報が複数でないと判定した場合(ステップS13のNo判定の場合)、後述のステップS28の処理を行う。
【0072】
一方、ステップS13の処理において、サーバー30は、抽出した関連作業が複数あると判定した場合(ステップS13のYes判定の場合)、関連作業の実施履歴から、抽出した複数の関連作業のそれぞれの該当回数を取得する(ステップS24)。
【0073】
次に、サーバー30は、関連作業の実施履歴において、抽出した関連作業の想定作業時間が存在するか否かを判定する(ステップS25)。
【0074】
ステップS25の処理において、サーバー30は、抽出した関連作業の想定作業時間が存在しないと判定した場合(ステップS25のNo判定の場合)、関連作業の実施履歴から、抽出した関連作業の実績作業時間を取得する(ステップS26)。
【0075】
一方、ステップS25の処理において、サーバー30は、抽出した関連作業の想定作業時間が存在すると判定した場合(ステップS25のYes判定の場合)、抽出した関連作業の想定作業時間を取得する(ステップS27)。なお、ステップS25~ステップS27の処理は、抽出した関連作業の数分と同じ回数に繰り返して実行される。また、このステップにおいて、関連作業の想定作業時間を優先的に取得する理由は、異なるオペレーターにより同じ作業を実施する場合にも、実績作業時間が異なるので、想定作業時間に基づいて算出される優先順位は、個人差による実績作業時間の差異に影響されないためである。
【0076】
ステップS26又はステップS27の処理後、サーバー30は、抽出した関連作業の該当回数及び作業時間(想定作業時間又は実績作業時間)を監視装置40に送信し、監視装置40は、受信した関連作業の該当回数及び作業時間を表示する(ステップS28)。ステップS28の処理後、監視処理は終了する。
【0077】
[効果]
上述したように、本実施形態に係る印刷システムのサーバー30(監視プログラム31)は、印刷機の状態に関する状態情報に紐付けられる関連作業情報を複数抽出した場合、各関連作業の該当回数と、想定作業時間又は実績作業時間との、少なくとも1つを出力して監視装置40に送信する。また、監視装置40は、受信した関連作業の該当回数と、想定作業時間又は実績作業時間とを表示する。オペレーターは、監視装置40に表示される各関連作業の該当回数と、想定作業時間又は実績作業時間とに基づいて、各自の労働効率を向上できる関連作業の優先順位を決めることができる。それゆえ、本実施形態に係る印刷システムが提示した優先順位を決めるための参考情報(該当回数、作業時間)によれば、印刷機のトラブルに対応するオペレーターが複数いる場合や、オペレーターの異動が発生した場合などに応じて、各オペレーターが、自身の労働効率を向上できる関連作業の優先順位を決めることができる。
【0078】
なお、本発明は上述した各実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために印刷システムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0079】
上記各実施形態では、サーバー30は、印刷システム1が有する1台の印刷機10の状態情報に紐付ける関連作業情報を抽出する処理を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、印刷システム1が複数台の印刷機を有する場合や、ネットワークを介してサーバー30に接続される他の印刷機が存在する場合などには、サーバー30(監視プログラム31)は、複数台の印刷機の中、同じ機種の印刷機の状態情報に紐付けられる関連作業情報を抽出してもよい。また、例えば、サーバー30は、複数台の印刷機の中、同じ機種かつ同じロットの印刷機の状態情報に紐付けられる関連作業情報を抽出してもよい。また、例えば、サーバー30は、複数台の印刷機の中、同じ種類の記録媒体に対して印刷を行う印刷機の状態情報に紐付けられる関連作業情報を抽出してもよい。また、例えば、サーバー30は、複数台の印刷機の中、同じ地域にある印刷機の状態情報に紐付けられる関連作業情報を抽出してもよい。なお、上述のように、印刷機の状態情報に紐付けられる関連作業情報を抽出する際、その状態情報を起こす原因となる可能な条件を加えて抽出することにより、より該当確率の高い関連作業情報を抽出することができる。
【符号の説明】
【0080】
1…印刷システム、10…印刷機、20…管理端末、30…サーバー、31…監視プログラム、40…監視装置