(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162670
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】自動運転システム、自動運転システムの制御方法、及び自動運転システム用端末ケース
(51)【国際特許分類】
B60W 50/14 20200101AFI20241114BHJP
B60W 30/182 20200101ALI20241114BHJP
【FI】
B60W50/14
B60W30/182
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078410
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【弁理士】
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】西村 直樹
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA29
3D241BA60
3D241BA70
(57)【要約】
【課題】自動運転制御中にドライバーに対して車両の運転操作を要求する場合において、速やかにドライバーの意識を車両の運転交代に向けさせる。
【解決手段】車両のドライバーの携帯端末に装着される自動運転システム用端末ケース又は携帯端末と通信が接続され、車両の自動運転制御を行う自動運転システムであって、自動運転システム用端末ケースは携帯端末の画面に対して配置され、画面を視認状態と遮蔽状態とに切り替え可能な蓋部を有し、自動運転制御中にドライバーに対して車両の運転操作を要求する場合に、携帯端末又は自動運転システム用端末ケースを制御することにより携帯端末の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドライバーの携帯端末に装着される自動運転システム用端末ケース又は前記携帯端末と通信が接続され、前記車両の自動運転制御を行う自動運転システムであって、
前記自動運転システム用端末ケースは前記携帯端末の画面を視認状態と遮蔽状態とに切り替え可能な蓋部を有し、
前記自動運転制御中に前記ドライバーに対して前記車両の運転操作を要求する場合に、前記携帯端末又は前記自動運転システム用端末ケースを制御することにより前記携帯端末の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替える、自動運転システム。
【請求項2】
前記自動運転システム用端末ケースと通信が接続され、
前記自動運転システム用端末ケースが前記携帯端末に装着されなければ前記自動運転制御を開始しない、請求項1に記載の自動運転システム。
【請求項3】
前記蓋部は、前記携帯端末の画面を遮蔽可能な開閉機構を有しており、前記開閉機構で前記画面を遮蔽することで前記画面を前記視認状態から前記遮蔽状態へ切り替える、請求項2に記載の自動運転システム。
【請求項4】
前記蓋部は、前記携帯端末の画面を覆う透過率可変スクリーンを有しており、前記透過率可変スクリーンの透過率を変更することで前記画面を前記視認状態から前記遮蔽状態へ切り替える、請求項2に記載の自動運転システム。
【請求項5】
前記携帯端末の画面を前記視認状態から前記遮蔽状態へ切り替えた後、前記ドライバーの運転行動を検出した場合に、前記携帯端末の画面を前記遮蔽状態から前記視認状態へ復帰させる、請求項1又は2に記載の自動運転システム。
【請求項6】
車両のドライバーの携帯端末に装着される自動運転システム用端末ケース又は前記携帯端末と通信が接続され、前記車両の自動運転制御を行う自動運転システムの制御方法であって、
前記自動運転システム用端末ケースは前記携帯端末の画面を視認状態と遮蔽状態とに切り替え可能な蓋部を有し、
前記自動運転制御中に前記ドライバーに対して前記車両の運転操作を要求する場合に、前記携帯端末又は前記自動運転システム用端末ケースを制御することにより前記携帯端末の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替える、自動運転システムの制御方法。
【請求項7】
車両の自動運転システムと通信が接続され、前記車両のドライバーの携帯端末に装着される自動運転システム用端末ケースであって、
前記携帯端末の画面に対して配置され、前記画面を視認状態と遮蔽状態とに切り替え可能な蓋部を有し、
前記自動運転システムが前記車両の自動運転制御中に前記ドライバーに対して前記車両の運転操作を要求する場合に、前記携帯端末の画面を前記視認状態から前記遮蔽状態へ切り替える、自動運転システム用端末ケース。
【請求項8】
前記携帯端末に装着されなければ前記自動運転システムにより前記自動運転制御が開始されない、請求項7に記載の自動運転システム用端末ケース。
【請求項9】
前記携帯端末の画面を遮蔽可能な開閉機構を有しており、前記開閉機構で前記画面を遮蔽することで前記画面を前記視認状態から前記遮蔽状態へ切り替える、請求項7又は8に記載の自動運転システム用端末ケース。
【請求項10】
前記携帯端末の画面を覆う透過率可変スクリーンを有しており、前記透過率可変スクリーンの透過率を変更することで前記画面を前記視認状態から前記遮蔽状態へ切り替える、請求項7又は8に記載の自動運転システム用端末ケース。
【請求項11】
前記携帯端末の画面を前記視認状態から前記遮蔽状態へ切り替えた後、前記自動運転システムが前記ドライバーの運転行動を検出した場合に、前記自動運転システムからの制御信号に応じて前記携帯端末の画面を前記遮蔽状態から前記視認状態へ復帰させる、請求項7又は8に記載の自動運転システム用端末ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転システム、自動運転システムの制御方法、及び自動運転システム用端末ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動運転システムに関する技術文献として、特許第6917708号公報が知られている。この公報には、車両の自動運転制御中にドライバーが携帯端末の画面を見ているかどうかを撮影装置によって撮影された画像に基づいて判定し、画面を見ていると判定された場合に、自動運転制御のレベルに応じた内容の警報を発することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、携帯端末の閲覧や操作に集中しているドライバーに対して警報を発しても、ドライバーがイヤホンをしている場合など警報に気づきにくいおそれがある。このため、ドライバーの注意を車両の運転に向けさせやすくする技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、車両のドライバーの携帯端末に装着される自動運転システム用端末ケース又は携帯端末と通信が接続され、車両の自動運転制御を行う自動運転システムであって、自動運転システム用端末ケースは携帯端末の画面を視認状態と遮蔽状態とに切り替え可能な蓋部を有し、自動運転制御中にドライバーに対して車両の運転操作を要求する場合に、携帯端末又は自動運転システム用端末ケースを制御することにより携帯端末の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替える。
【0006】
本発明の一態様に係る自動運転システムによれば、自動運転制御中にドライバーに対して車両の運転操作を要求する場合に携帯端末の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替えるので、警報のみを出力する場合と比べて、ドライバーが携帯端末の閲覧又は操作に没頭していたとしても、速やかにドライバーの意識を車両の運転交代に向けさせることができる。
【0007】
本発明の一態様に係る自動運転システムにおいて、自動運転システム用端末ケースと通信が接続され、自動運転システム用端末ケースが携帯端末に装着されなければ自動運転制御を開始しなくてもよい。
この自動運転システムによれば、自動運転制御を開始するためドライバーに自動運転システム用端末ケースを携帯端末へと装着させることができる。
【0008】
本発明の一態様に係る自動運転システムにおいて、自動運転システム用端末ケースの蓋部は、携帯端末の画面を遮蔽可能な開閉機構を有しており、開閉機構で画面を遮蔽することで画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替えてもよい。
この自動運転システムによれば、自動運転システム用端末ケースの開閉機構により機械的にドライバーの携帯端末の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替えることができる。
【0009】
本発明の一態様に係る自動運転システムにおいて、自動運転システム用端末ケースの蓋部は、携帯端末の画面を覆う透過率可変スクリーンを有しており、透過率可変スクリーンの透過率を変更することで画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替えてもよい。
この自動運転システムによれば、自動運転システム用端末ケースの透過率可変スクリーンの透過率を変更することで簡易な構成により画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替えることができる。
【0010】
本発明の一態様に係る自動運転システムにおいて、携帯端末の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替えた後、ドライバーの運転行動を検出した場合に、携帯端末の画面を遮蔽状態から視認状態へ復帰させてもよい。
この自動運転システムによれば、ドライバーの運転行動を検出した場合に、携帯端末の画面を遮蔽状態から視認状態へ復帰させるので、携帯端末に通知が届いたときに画面を視認できないためドライバーが通知内容の緊急性を判断できない状況となる時間を短くすることができる。
【0011】
本発明の他の態様は、車両のドライバーの携帯端末に装着される自動運転システム用端末ケース又は携帯端末と通信が接続され、車両の自動運転制御を行う自動運転システムの制御方法であって、自動運転システム用端末ケースは携帯端末の画面を視認状態と遮蔽状態とに切り替え可能な蓋部を有し、自動運転制御中にドライバーに対して車両の運転操作を要求する場合に、携帯端末又は自動運転システム用端末ケースを制御することにより携帯端末の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替える。
【0012】
本発明の他の態様に係る自動運転システムの制御方法によれば、自動運転制御中にドライバーに対して車両の運転操作を要求する場合に携帯端末の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替えるので、警報のみを出力する場合と比べて、ドライバーが携帯端末の閲覧又は操作に没頭していたとしても、速やかにドライバーの意識を車両の運転交代に向けさせることができる。
【0013】
本発明の更に他の態様は、車両の自動運転システムと通信が接続され、車両のドライバーの携帯端末に装着される自動運転システム用端末ケースであって、携帯端末の画面に対して配置され、画面を視認状態と遮蔽状態とに切り替え可能な蓋部を有し、自動運転システムが車両の自動運転制御中にドライバーに対して車両の運転操作を要求する場合に、携帯端末の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替える。
【0014】
本発明の更に他の態様に係る自動運転システム用端末ケースによれば、自動運転制御中にドライバーに対して車両の運転操作を要求する場合に携帯端末の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替えるので、警報のみを出力する場合と比べて、ドライバーが携帯端末の閲覧又は操作に没頭していたとしても、速やかにドライバーの意識を車両の運転交代に向けさせることができる。
【0015】
本発明の更に他の態様に係る自動運転システム用端末ケースにおいて、携帯端末に装着されなければ自動運転システムにより自動運転制御が開始されなくてもよい。
この自動運転システム用端末ケースによれば、自動運転制御を開始するためドライバーに自動運転システム用端末ケースを携帯端末へと装着させることができる。
【0016】
本発明の更に他の態様に係る自動運転システム用端末ケースにおいて、携帯端末の画面を遮蔽可能な開閉機構を有しており、開閉機構で画面を遮蔽することで画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替えてもよい。
この自動運転システム用端末ケースによれば、開閉機構によりドライバーの携帯端末の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替えることができる。
【0017】
本発明の更に他の態様に係る自動運転システム用端末ケースにおいて、携帯端末の画面を覆う透過率可変スクリーンを有しており、透過率可変スクリーンの透過率を変更することで画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替えてもよい。
この自動運転システム用端末ケースによれば、透過率可変スクリーンの透過率を変更することでドライバーの携帯端末の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替えることができる。
【0018】
本発明の更に他の態様に係る自動運転システム用端末ケースにおいて、携帯端末の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替えた後、自動運転システムがドライバーの運転行動を検出した場合に、携帯端末の画面を遮蔽状態から視認状態へ復帰させてもよい。
この自動運転システム用端末ケースによれば、ドライバーの運転行動を検出した場合に携帯端末の画面を遮蔽状態から視認状態へ復帰させるので、携帯端末に通知が届いたときに画面を視認できないためドライバーが通知内容の緊急性を判断できない状況となる時間を短くすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の各態様によれば、自動運転制御中にドライバーに対して車両の運転操作を要求する場合において、速やかにドライバーの意識を車両の運転交代に向けさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態に係る自動運転システムを示す図である。
【
図2】(a)自動運転システム用端末ケースの蓋部の一例を示す図である。(b)自動運転システム用端末ケースの本体部を表から見た例を示す図である。
【
図3】(a)自動運転システム用端末ケースの本体部を裏から見た例を示す図である。(b)ICボックスの構成の一例を示す図である。
【
図4】変形例における自動運転システム用端末ケースの蓋部を示す図である。
【
図5】自動運転システムの自動運転制御開始処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】自動運転システムの運転交代要求処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】自動運転システムの運転交代要求処理の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、一実施形態に係る自動運転システムを示す図である。
図1に示す自動運転システム100は、乗用車などの車両に搭載され、車両の自動運転制御を行うためのシステムである。自動運転制御とは、予め設定されたルートに沿って自動で車両を走行させる車両制御である。自動運転制御では、ドライバーが運転操作を行う必要が無く、車両が自動で走行する。
【0023】
自動運転システム100は、システムを統括的に管理する自動運転ECU[Electronic Control Unit]10を備えている。自動運転ECU10は、CPU[Central Processing Unit]とROM[Read OnlyMemory]又はRAM[Random Access Memory]などの記憶部を有する電子制御ユニットである。自動運転ECU10では、例えば、記憶部に記憶されているプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。自動運転ECU10は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。自動運転ECU10の詳細については後述する。
【0024】
自動運転システム100は、車両のドライバーの携帯端末50に装着される自動運転システム用端末ケース1を有している。携帯端末50は、ドライバーの所有する携帯情報端末である。携帯端末50は、例えばスマートフォンである。携帯端末50は、一例として、例えばCPU[Central Processing Unit]等のプロセッサ、ROM[ReadOnly Memory]又はRAM[Random Access Memory]等のメモリ、通信デバイス、及び、ディスプレイ兼タッチパネルの画面などを含むインターフェイスを含むコンピュータにより構成されている。携帯端末50は、必ずしも電話機能を有する必要はない。携帯端末50は、無線通信によって自動運転システム100と接続され、ドライバーの携帯端末として自動運転システム100に登録されていてもよい。
【0025】
自動運転システム用端末ケース1は、携帯端末50に装着される端末ケースである。自動運転システム用端末ケース1は、例えば長方形板状のスマートフォンである携帯端末50に装着される長方形のケースとして形成されている。自動運転システム用端末ケース1は、携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替え可能に構成されている。視認状態とは、携帯端末50の画面をドライバーが視認可能な状態である。遮蔽状態とは、携帯端末50の画面をドライバーが視認不能な状態である。
【0026】
自動運転システム用端末ケース1は、例えば、機械的な開閉機構により画面を遮蔽することで携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替える。開閉機構は携帯端末50の画面を遮蔽可能な機構である。自動運転システム用端末ケース1は、携帯端末50の画面を覆う透過率可変スクリーンの透過率を変更することにより携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替えてもよい。詳細は後述する。
【0027】
自動運転システム用端末ケース1は、通信ケーブルにより自動運転システム100と接続されている。通信ケーブルの規格や種類、長さは特に限定されない。なお、自動運転システム用端末ケース1は、有線ではなく無線通信によって自動運転システム100と接続されていてもよい。自動運転システム用端末ケース1は、自動運転システム100が自動運転制御中にドライバーに対して車両の運転操作を要求する場合に、自動運転システムからの信号によって携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替える。
【0028】
[自動運転システム用端末ケースの構成]
以下、自動運転システム用端末ケース1の構成の一例について説明する。
図2(a)は、自動運転システム用端末ケース1の蓋部1aの一例を示す図である。
図2(b)は、自動運転システム用端末ケース1の本体部1bを表から見た一例を示す図である。
【0029】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、自動運転システム用端末ケース1は、蓋部1aと本体部1bを有している。蓋部1a及び本体部1bは、携帯端末50を挟むように組み付けられることで携帯端末50を覆う箱状のケースを構成する。蓋部1a及び本体部1bは、独立した部材である必要はなく、一部連結されていてもよい。
【0030】
蓋部1aは、携帯端末50の画面に対して配置され、携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態に切り替え可能に構成されている。
図2(a)に示すように、蓋部1aは、開閉機構2を有している。開閉機構2は、機械的に携帯端末50の画面を視認状態と遮蔽状態とに切り替えるための機構である。開閉機構2は、携帯端末50の画面を遮蔽することが可能であればスライド式であってもよく、回転ヒンジ式であってもよい。開閉機構2は、必ずしも携帯端末50の画面の全体を遮蔽する必要はなく、画面の一部を遮蔽する態様であってもよい。開閉機構2は、後述する小型モータの駆動により自動で開閉される。自動運転システム用端末ケース1は、開閉機構2が開閉される度に、自動運転システム100に信号を送信する態様であってもよい。
【0031】
図2(b)に示すように、本体部1bは、携帯端末50の背面のカメラ部を露出させるためのカメラ用開口3と、携帯端末50の充電口に差し込まれる携帯端末接続端子4と、を有している。本体部1bは、必ずしも携帯端末50の裏面を覆う必要はなく枠状の部材であってもよい。また、本体部1bはカメラ用開口3を有する必要はない。
【0032】
携帯端末接続端子4は、本体部1bの内側に対して突出して設けられており、ケース装着時に携帯端末50の充電口に差し込まれるように位置が固定されている。携帯端末接続端子4は、携帯端末50に機械的に接続可能であれば形状は限定されない。
【0033】
図3(a)は、自動運転システム用端末ケース1の本体部1bを裏から見た例を示す図である。
図3(a)に示すように、本体部1bの裏面下部には、IC[Integrated Circuit]ボックス5が設けられている。ICボックス5は、自動運転システム用端末ケース1が携帯端末50に装着されたことを検出するためのICを収納する部位である。ICボックス5は本体部1bに埋め込まれる態様であってもよい。
【0034】
図3(b)は、ICボックス5の構成の一例を示す図である。
図3(b)に示すように、ICボックス5は、IC20、外部コード接続口21、小型モータ22を有している。また、ICボックス5は、携帯端末接続端子4と接続されている。
【0035】
IC20は、携帯端末接続端子4を介して自動運転システム用端末ケース1の本体部1bが携帯端末50に装着されたことを検出する。IC20は、例えば携帯端末接続端子4が携帯端末50の充電口に接続されたことによる電圧変化を検出することで、携帯端末50に対する本体部1bの装着を検出する。IC20は、充電口の接触スイッチなどにより携帯端末50が携帯端末接続端子4の接続を認識し、携帯端末50から接続信号を取得することで本体部1bの装着を検出してもよい。
【0036】
IC20は、携帯端末50に装着された本体部1bに対して蓋部1aが組み付けられることで、自動運転システム用端末ケース1の携帯端末50への装着を検出する。IC20は、例えば蓋部1aの組み付けにより本体部1bに設けられた接触スイッチが押された状態となることで、本体部1bに対する蓋部1aの組み付けを検出する。IC20は、蓋部1a及び本体部1bにそれぞれ形成された通電経路の通電などによって本体部1bに対する蓋部1aの組み付けを検出してもよい。
【0037】
外部コード接続口21は、自動運転システム100からの通信ケーブルが接続される部位である。自動運転システム用端末ケース1は、自動運転システム100と接続された状態が基本であると考えられるため、通信ケーブルを引っ張っるだけでは外部コード接続口21から外れない構造であってもよい。通信ケーブルの端部は、外部コード接続口21に対してネジ止めされてもよく、抜け止め防止のラッチ機構を有していてもよい。
【0038】
小型モータ22は、開閉機構2を開閉させるためのアクチュエータである。小型モータ22は、IC20からの制御信号によって駆動する。IC20は、例えば自動運転システム100からの信号に基づいて小型モータ22に制御信号を送信する。小型モータ22は、図示しないギア部を介して開閉機構2に駆動力を伝えることで開閉機構2の開放状態と閉鎖状態とを切り替える。開閉機構2の動力源はモータに限定されず、様々なアクチュエータを採用することができる。
【0039】
ここで、
図4は、変形例における自動運転システム用端末ケース6の蓋部6aを示す図である。
図4に示すように、変形例における自動運転システム用端末ケース6の蓋部6aは、
図2(a)の蓋部1aと比べて、開閉機構2に代えて透過率可変スクリーン7を有している点が異なっている。
【0040】
蓋部6aは、自動運転システム用端末ケース6に装着された携帯端末50の外縁を囲うように枠状の部材を有しており、その開口から見える携帯端末50の画面を覆うように透過率可変スクリーン7が設けられている。
【0041】
透過率可変スクリーン7は、可視光の透過率を変更可能に構成されたスクリーンである。透過率可変スクリーン7は、例えば液晶や電磁誘導体などから構成され、電圧を印加することで透過率を変更する。透過率可変スクリーン7は、透過率を下げることで携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替える。透過率の変更は、透過と不透過の二段階だけであってもよく、多段階で変更可能であってもよい。
【0042】
[自動運転システムの構成]
続いて、自動運転システム100の構成について説明する。自動運転システム100の周知の構成については説明を省略する。自動運転システム100は、ドライバーの個人認証機能を有していてもよく、ドライバーの携帯端末50と連携する機能を有していてもよい。
【0043】
図1に示すように、自動運転システム100の自動運転ECU10は、車両のHMI[Human Machine Interface]12と接続されている。HMI15は、ドライバーと自動運転ECU10との間で情報の入出力を行うためのインターフェイスである。HMI15は、車室内に設けられたディスプレイ、スピーカなどを備えている。HMI15は、自動運転ECU10からの制御信号に応じてディスプレイの画像出力及びスピーカからの音出力を行う。ディスプレイは、HUD[Head Up Display]であってもよい。
【0044】
次に、自動運転ECU10の機能的構成について説明する。
図1に示すように、自動運転ECU10は、装着判定部11、運転交代判定部12、運転行動検出部13、及び携帯画面状態切替部14を有している。
【0045】
装着判定部11は、自動運転システム用端末ケース1が携帯端末50に装着されたか否かを判定する。装着判定部11は、例えばIC20が自動運転システム用端末ケース1の携帯端末50への装着を検出した場合、IC20から送信される信号に基づいて自動運転システム用端末ケース1が携帯端末50に装着されたことを判定する。
【0046】
装着判定部11は、携帯端末50との通信により携帯端末50がドライバーの所有する携帯端末であることを予め認識していてもよい。この場合、装着判定部11は、携帯端末50からの信号により自動運転システム用端末ケース1が携帯端末50に装着されたことを判定してもよい。
【0047】
運転交代判定部12は、車両の自動運転制御の実行中に、ドライバーに運転交代を要求する状況となったか否かを判定する。運転交代判定部12は、車両の前方の走行環境が自動運転制御の運行設計領域[ODD:Operational Design Domain]を外れた環境である場合に、ドライバーに運転交代を要求する状況となったと判定する。
【0048】
運転交代判定部12は、例えば車両が自動車専用道路などの運行設計領域で想定されたエリアから一般道路などの運行設計領域で想定されていないエリアに進入する場合、ドライバーに運転交代を要求する状況となったと判定する。運転交代判定部12は、車両の前方の工事区間における車線幅が運行設計領域で想定されていない狭さである場合、ドライバーに運転交代を要求する状況となったと判定してもよい。運転交代判定部12は、目的地到着のためにレーンチェンジが必要なタイミングが近づいている場合において、車両周囲の混雑状況が運行設計領域で想定されていない状況であるとき、ドライバーに運転交代を要求する状況となったと判定してもよい。その他、運転交代判定部12は、自動運転制御中の運転交代に関する周知の条件を上記判定に用いることができる。
【0049】
運転交代判定部12は、ドライバーに運転交代を要求する状況となったと判定した場合、HMI15を介してドライバーに運転交代を要求する。運転交代判定部12は、ディスプレイの画像出力、及び、スピーカの音出力のうち少なくとも一方を用いてドライバーに対する運転交代の要求を行う。運転交代判定部12は、例えば運転交代の要求として「自動運転制御を終了しますので運転を交代して下さい」との音声を出力する。
【0050】
運転行動検出部13は、運転交代判定部12がドライバーに運転交代を要求した後、ドライバーによる車両の運転行動を検出する。運転行動検出部13は、例えば車両の操舵センサ、アクセルペダルセンサ、及びブレーキペダルセンサなどの検出信号に基づいてドライバーが運転行動を行ったことを検出する。運転行動は、例えば車両のステアリングホイールを一定角度以上に回す操作、アクセルペダルを一定量以上に踏み込む操作、ブレーキペダルを一定量以上に踏み込む操作である。
【0051】
運転行動検出部13は、ドライバモニタカメラの撮像画像や自動運転制御の解除ボタンの操作の検出結果に基づいて運転行動を検出してもよい。運転行動には、ドライバーが車両前方を視認して両手でステアリングホイールを把持する行動が含まれていてもよい。運転行動には、ドライバーがボタン操作やペダル操作により手動運転に主体的に切り替える操作が含まれていてもよい。
【0052】
携帯画面状態切替部14は、運転交代判定部12によりドライバーに運転交代の要求が行われた場合、自動運転システム用端末ケース1を制御することにより携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態に切り替える。
【0053】
携帯画面状態切替部14は、自動運転システム用端末ケース1の開閉機構2(小型モータ22)を駆動させて開放状態から閉鎖状態に切り替えることで、携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態に切り替える。携帯画面状態切替部14は、
図4に示す自動運転システム用端末ケース6の透過率可変スクリーン7の透過率を変更することで、携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態に切り替えてもよい。
【0054】
なお、携帯画面状態切替部14は、運転交代の要求が行われてから一定時間が経過する前にドライバーの運転行動が検出されたときには、携帯端末50の画面を視認状態のまま維持してもよい。この場合、携帯画面状態切替部14は、運転交代の要求が行われてから一定時間経過してもドライバーの運転行動が検出されなかったときに、携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態に切り替える。一定時間は特に限定されないが、30秒であってもよく、1分であってもよく、2分であってもよい。
【0055】
携帯画面状態切替部14は、携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態に切り替えた後、運転行動検出部13によりドライバーの運転行動が検出された場合、携帯端末50の画面を遮蔽状態から視認状態に復帰させる。携帯画面状態切替部14は、ドライバーの運転行動が検出されてから一定時間の経過後に、携帯端末50の画面を遮蔽状態から視認状態に復帰させる態様であってもよい。携帯画面状態切替部14は、自動運転システム用端末ケース1に制御信号を送信することで携帯端末50の画面を遮蔽状態から視認状態に復帰させる。
【0056】
携帯画面状態切替部14は、携帯端末50の画面の復帰条件として自動運転制御の終了を追記してもよい。携帯画面状態切替部14は、例えばドライバーの運転行動が検出され、且つ、自動運転制御が終了した場合に、携帯端末50の画面を遮蔽状態から視認状態に復帰させる。携帯画面状態切替部14は、ドライバーの運転行動が検出され、且つ、自動運転制御が終了してから一定時間の経過後に、携帯端末50の画面を遮蔽状態から視認状態に復帰させる態様であってもよい。
【0057】
[自動運転システムの制御方法]
続いて、本実施形態に係る自動運転システム100の制御方法について図面を参照して説明する。
図5は、自動運転システム100の自動運転制御開始処理の一例を示すフローチャートである。自動運転制御開始処理は、例えばドライバーが自動運転制御の開始操作を行った場合であって、ケース装着以外の自動運転制御の開始要件が満たされている場合に行なわれる。
【0058】
図5に示すように、自動運転システム100の自動運転ECU10は、S10として、装着判定部11によりドライバーの携帯端末50に自動運転システム用端末ケース1が装着されたか否かを判定する。装着判定部11は、例えばIC20から送信される信号に基づいて携帯端末50に自動運転システム用端末ケース1が装着されたことを判定する。自動運転ECU10は、携帯端末50に自動運転システム用端末ケース1が装着されたと判定された場合(S10:YES)、S11に移行する。自動運転ECU10は、携帯端末50に自動運転システム用端末ケース1が装着されたと判定されなかった場合(S10:NO)、S12に移行する。
【0059】
S11において、自動運転ECU10は、車両の自動運転制御を開始する。自動運転ECU10は、例えば、予め生成された走行計画に基づいて車両の操舵アクチュエータ、駆動アクチュエータ、及びブレーキアクチュエータを制御することで自動運転制御を実行する。その後、自動運転ECU10は自動運転制御開始処理を終了する。
【0060】
S12において、自動運転ECU10は、ドライバーに対してケース装着要求の通知を行う。自動運転ECU10は、HMI15のテキスト表示又は音声出力によって携帯端末50に対する自動運転システム用端末ケース1の装着が必要であることをドライバーに伝える。その後、自動運転ECU10は今回の処理を終了し、一定時間後にS10から処理を繰り返す。
【0061】
図6は、自動運転システムの運転交代要求処理の一例を示すフローチャートである。運転交代要求処理は、車両の自動運転制御の実行中に行われる。
【0062】
図6に示すように、自動運転ECU10は、S20として、運転交代判定部12によりドライバーに運転交代を要求したか否かを判定する。自動運転ECU10は、ドライバーに運転交代を要求したと判定された場合(S20:YES)、S21に移行する。自動運転ECU10は、ドライバーに運転交代を要求したと判定されなかった場合(S20:NO)、運転交代要求処理を終了する。自動運転ECU10は、自動運転制御が継続されている場合、一定時間後にS20から処理を繰り返す。
【0063】
S21において、自動運転ECU10は、携帯画面状態切替部14により携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態に切り替える。携帯画面状態切替部14は、自動運転システム用端末ケース1の開閉機構2により携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態に切り替える。携帯画面状態切替部14は、
図4に示す自動運転システム用端末ケース6の透過率可変スクリーン7により携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態に切り替えてもよい。その後、自動運転ECU10は、S22に移行する。
【0064】
S22において、自動運転ECU10は、運転行動検出部13によりドライバーの運転行動が検出されたか否かを判定する。自動運転ECU10は、ドライバーの運転行動が検出されたと判定された場合(S22:YES)、S23に移行する。自動運転ECU10は、ドライバーの運転行動が検出されたと判定されなかった場合(S22:NO)、S22の判定を繰り返す。なお、自動運転ECU10は、所定期間が経過してもドライバーの運転行動が検出されなかった場合には、運転交代要求処理を終了して緊急時支援モードに入ってもよい。緊急時支援モードでは、自動運転を終了させ、携帯端末の画面を視認状態に復帰させることなく、車両を路肩や道路上のスペースに停車させる緊急退避を行う。
【0065】
S23において、自動運転ECU10は、車両の自動運転制御を終了する。自動運転ECU10は、HMI15を介して自動運転制御を終了したことをドライバーに通知する。その後、自動運転ECU10は、S24に移行する。
【0066】
S24において、自動運転ECU10は、携帯画面状態切替部14により携帯端末50の画面を遮蔽状態から視認状態に復帰させる。携帯画面状態切替部14は、開閉機構2又は透過率可変スクリーン7を制御することで携帯端末50の画面を遮蔽状態から視認状態に復帰させる。その後、自動運転ECU10は、運転交代要求処理を終了する。自動運転ECU10は、自動運転制御が継続されている場合、一定時間後にS20から処理を繰り返す。
【0067】
なお、
図6のフローチャートにおいて、S23の自動運転制御の終了の前に、S24の視認状態への復帰処理を行ってもよい。
【0068】
図7は、自動運転システムの運転交代要求処理の他の例を示すフローチャートである。
図7に示すように、自動運転ECU10は、S30として、運転交代判定部12によりドライバーに運転交代を要求したか否かを判定する。自動運転ECU10は、ドライバーに運転交代を要求したと判定された場合(S30:YES)、S31に移行する。自動運転ECU10は、ドライバーに運転交代を要求したと判定されなかった場合(S30:NO)、運転交代要求処理を終了する。自動運転ECU10は、自動運転制御が継続されている場合、一定時間後にS30から処理を繰り返す。
【0069】
S31において、自動運転ECU10は、運転行動検出部13によりドライバーの運転行動が検出されたか否かを判定する。自動運転ECU10は、ドライバーの運転行動が検出されたと判定された場合(S31:YES)、S36に移行する。自動運転ECU10は、ドライバーの運転行動が検出されたと判定されなかった場合(S31:NO)、S32に移行する。
【0070】
S32において、自動運転ECU10は、運転交代要求から一定時間が経過したか否かを判定する。自動運転ECU10は、運転交代要求から一定時間が経過したと判定された場合(S32:YES)、S33に移行する。自動運転ECU10は、運転交代要求から一定時間が経過したと判定されなかった場合(S32:NO)、S31に戻って判定を繰り返す。
【0071】
S33において、自動運転ECU10は、携帯画面状態切替部14により携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態に切り替える。その後、自動運転ECU10は、S34に移行する。
【0072】
S34において、運転行動検出部13によりドライバーの運転行動が検出されたか否かを判定する。自動運転ECU10は、ドライバーの運転行動が検出されたと判定された場合(S34:YES)、S35に移行する。自動運転ECU10は、ドライバーの運転行動が検出されたと判定されなかった場合(S34:NO)、S34の判定を繰り返す。
【0073】
なお、自動運転ECU10は、所定期間が経過してもドライバーの運転行動が検出されなかった場合には、運転交代要求処理を終了して緊急時支援モードに入ってもよい。緊急時支援モードでは、自動運転を終了させ、携帯端末の画面を視認状態に復帰させることなく、車両を路肩や道路上のスペースに停車させる緊急退避を行う。
【0074】
S35において、自動運転ECU10は、携帯画面状態切替部14により携帯端末50の画面を遮蔽状態から視認状態に復帰させる。その後、自動運転ECU10は、S36に移行する。
【0075】
S36において、車両の自動運転制御を終了する。自動運転ECU10は、HMI15を介して自動運転制御を終了したことをドライバーに通知する。自動運転ECU10は、自動運転制御が継続されている場合、一定時間後にS30から処理を繰り返す。
【0076】
なお、
図7のフローチャートにおいて、S34の後、S35の前に自動運転制御の終了処理を行ってもよい。
【0077】
以上説明した本実施形態に係る自動運転システム100(自動運転システム100の制御方法及び自動運転システム用端末ケース1)によれば、自動運転制御中にドライバーに対して車両の運転操作を要求する場合に携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替えるので、警報のみを出力する場合と比べて、ドライバーが携帯端末の閲覧又は操作に没頭していたとしても、速やかにドライバーの意識を車両の運転交代に向けさせることができる。
【0078】
また、自動運転システム100によれば、自動運転システム用端末ケースが携帯端末に装着されなければ自動運転制御を開始しないことで、自動運転制御を開始するためドライバーに自動運転システム用端末ケースを携帯端末へと装着させることができる。
【0079】
更に、自動運転システム100では、自動運転システム用端末ケース1の開閉機構2により機械的にドライバーの携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替えることができる。或いは、自動運転システム100において、自動運転システム用端末ケース6の透過率可変スクリーン7の透過率を変更することで簡易な構成により携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替えてもよい。
【0080】
また、自動運転システム100によれば、携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態へ切り替えた後、ドライバーの運転行動を検出した場合に、携帯端末50の画面を遮蔽状態から視認状態へ復帰させるので、携帯端末に通知が届いたときに画面を視認できないためドライバーが通知内容の緊急性を判断できない状況となる時間を短くすることができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
【0082】
自動運転システム用端末ケース1は、図面に示した構成に限定されない。自動運転システム用端末ケース1は、
図2(a)に示す蓋部1a又は
図4に示す蓋部6aに携帯端末接続端子4及びICボックス5が設けられている態様であってもよい。また、自動運転システム用端末ケース1は、箱状や枠状のケースに限定されず、
図4に示す透過率可変スクリーン7と携帯端末接続端子4とICボックス5とを有する構成であればよい。
【0083】
なお、自動運転ECU10は、自動運転システム用端末ケース1の携帯端末50への装着を判定する必要はなく、ケース装着によってIC20から送信される信号を自動運転制御開始の許可信号として扱う態様であってもよい。
【0084】
自動運転システム100は、必ずしも自動運転システム用端末ケース1を有する必要はない。自動運転システム100は、ドライバーの携帯端末50との通信を接続して携帯端末50を制御することにより、携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態に切り換えてもよい。自動運転システム100は、携帯端末50の画面をロックする表示制御により画面を遮蔽状態としてもよい。自動運転システム100は、無線通信により携帯端末50と接続されてもよく、有線により携帯端末50と接続されてもよい。
【0085】
自動運転システム用端末ケース1は、自動運転制御中に携帯端末50から外された場合に、自動運転システム100に信号を送信する態様であってもよい。自動運転システム100は、ドライバーに自動運転システム用端末ケース1が携帯端末50から外されたことを通知してもよい。自動運転システム100は、通知から一定時間後に自動運転制御中の車両を路肩などに緊急退避させて停車してもよい。或いは、自動運転システム用端末ケース1は、電動ロック機能を有していてもよい。自動運転システム用端末ケース1は、自動運転システム100からの信号によって車両の走行中は携帯端末50から外せないようにロックが掛けられてもよい。
【0086】
自動運転システム100は、携帯端末50の画面を視認状態から遮蔽状態に切り替えた後、ドライバーの手動運転中は携帯端末50の画面を遮蔽状態から視認状態に復帰させない態様であってもよい。手動運転には、ドライバーによる周辺監視が要求される運転支援制御の実行中の運転も含まれる。自動運転システム100は、再び自動運転制御が開始された場合に、携帯端末50の画面を遮蔽状態から視認状態に復帰させてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1,6…自動運転システム用端末ケース、1a,6a…蓋部、2…開閉機構、7…透過率可変スクリーン、50…携帯端末、100…自動運転システム。