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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162672
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】無給電表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/02 20060101AFI20241114BHJP
   H10K 39/10 20230101ALI20241114BHJP
【FI】
G09F13/02
H10K39/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078413
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】502291610
【氏名又は名称】神田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003557
【氏名又は名称】弁理士法人レクシード・テック
(72)【発明者】
【氏名】玉水 陽規
(72)【発明者】
【氏名】中野 俊
(72)【発明者】
【氏名】菊池 匡斉
(72)【発明者】
【氏名】木田 芳利
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大地
【テーマコード(参考)】
5C096
5F251
【Fターム(参考)】
5C096BA03
5C096CE02
5C096FA02
5F251AA11
5F251BA05
5F251EA20
5F251JA28
5F251XA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、独立した装置として省電力で表示内容を変更・維持でき、さらに、発電効率にも優れた無給電表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る無給電表示装置100は、メモリ性反射型表示部1、制御部、及び太陽電池モジュール2がこの順で配置されており、太陽電池モジュール2を電源として稼働する無給電表示装置100であって、制御部は、制御基板3上に搭載されており、制御基板3の太陽電池モジュール2側の表面は、ラミネート加工によって平面状にされており、太陽電池モジュール2を透過した光の少なくとも一部を反射可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ性反射型表示部、制御部、及び太陽電池モジュールがこの順で配置されており、前記太陽電池モジュールを電源として稼働する無給電表示装置であって、
前記制御部は、制御基板上に搭載されており、
前記制御基板の前記太陽電池モジュール側の表面は、ラミネート加工によって平面状にされており、前記太陽電池モジュールを透過した光の少なくとも一部を反射可能である、無給電表示装置。
【請求項2】
前記ラミネート加工に、不透明材料が用いられている、請求項1に記載の無給電表示装置。
【請求項3】
前記制御基板の前記太陽電池モジュール側の表面は、鏡面加工されている、請求項1又は2に記載の無給電表示装置。
【請求項4】
前記制御基板の前記太陽電池モジュール側の表面の光反射率は、40%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の無給電表示装置。
【請求項5】
さらに、前記太陽電池モジュールの、前記制御基板とは反対側の表面に配置されたミラーシートを含み、
前記太陽電池モジュールは、平面視で格子状に配置され、電気的に接続された複数の太陽電池セルを有し、
前記無給電表示装置の前記太陽電池セルの列を含む厚み方向断面において、
前記ミラーシートは、前記ミラーシートを透過する光が直進すると仮定したときに、隣接する前記太陽電池セルの間に到達する前記直進すると仮定した光を前記太陽電池セル側に反射可能な位置に複数のマイクロミラーを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の無給電表示装置。
【請求項6】
さらに、前記太陽電池モジュールの、前記制御基板とは反対側の表面に配置されたマイクロミラーアレイを含み、
前記太陽電池モジュールは、平面視で格子状に配置され、電気的に接続された複数の太陽電池セルを有し、
前記無給電表示装置の前記太陽電池セルの列を含む厚み方向断面において、
前記太陽電池セルは、前記マイクロミラーアレイ側に複数の電極を有しており、
前記マイクロミラーアレイの各マイクロミラーは、前記マイクロミラーアレイを透過する光が前記マイクロミラーで屈折せずに直進すると仮定したときに、前記直進すると仮定した光が前記電極の中心に到達するように形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の無給電表示装置。
【請求項7】
さらに、前記太陽電池モジュールの、前記制御基板とは反対側の表面に配置されたマイクロレンズアレイを含み、
前記太陽電池モジュールは、平面視で格子状に配置され、電気的に接続された複数の太陽電池セルを有し、
前記無給電表示装置の前記太陽電池セルの列を含む厚み方向断面において、
前記太陽電池セルは、前記マイクロレンズアレイ側に複数の電極を有しており、
前記マイクロレンズアレイの各マイクロレンズは、前記マイクロレンズアレイを透過する光が前記マイクロレンズで屈折せずに直進すると仮定したときに、前記直進すると仮定した光が前記電極の中心に到達するように形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の無給電表示装置。
【請求項8】
前記メモリ性反射型表示部は、所定期間毎に変更される二次元コードを表示する、請求項1~7のいずれか一項に記載の無給電表示装置。
【請求項9】
全体の厚みが7mm以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の無給電表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無給電表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外観や機能性に優れ、かつ、簡単に設置できる表示装置が望まれている。
【0003】
一般的な液晶ディスプレイや有機EL等の表示装置を採用すれば、表示内容を変更・維持することは可能であるが、電源が必要となるため、電源コードが表示装置の外観や機能性を損ねるという問題があった。
【0004】
また、電源として太陽電池パネルを採用すれば、電源は確保できるが、一般的な液晶ディスプレイ等を稼働させるために十分な電力を補うためには相当大きなサイズのパネルが必要となり、表示装置の外観や機能性を損ねるという問題は解消できなかった。
【0005】
従来、ソーラーシステム機能と広告機能とを同時に併用してなる広告具が知られている(特許文献1)。
【0006】
しかしながら、この広告具は、ソーラーシステム機能と広告機能とを連携させるものではなかった。すなわち、想定されている広告は、電力を消費するものではなく、グラフィックスデザインを塩化ビニル等のフィルムの表面にプリントアウトして固定化された内容を表示するものであり、前記広告具において発電された電力は、広告の表示内容を変更・維持するために使用されるものではなかった。
【0007】
また、太陽電池複合型表示体として、太陽電池パネルを併設した交通標識が知られている(特許文献2)。
【0008】
しかしながら、この交通標識は、昼間に太陽電池パネルにて発電した電力を蓄え、この蓄えた電力を照明用電源として利用し、夜間の視認性や昼間の注意喚起効果を向上させるものであり、前記交通標識において発電された電力は、広告の表示内容を変更・維持するために使用されるものではなかった。
【0009】
また、電子表示装置と太陽電池とを、支持部材を中心に反対向きに貼り合わせて、太陽電池が電子表示装置に供給される電力を発電する掲示板が知られている(特許文献3)。
【0010】
しかしながら、この掲示板は、自立構造を保つために相応の厚みを要する。また、省電力を実現するための構成についても記載がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2011-70065号公報
【特許文献2】特開2017-46496号公報
【特許文献3】特開2020-52077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前述の点を考慮してなされたものであり、独立した装置として省電力で表示内容を変更・維持でき、さらに、発電効率にも優れた無給電表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明に係る無給電表示装置は、
メモリ性反射型表示部、制御部、及び太陽電池モジュールがこの順で配置されており、前記太陽電池モジュールを電源として稼働する無給電表示装置であって、
前記制御部は、制御基板上に搭載されており、
前記制御基板の前記太陽電池モジュール側の表面は、ラミネート加工によって平面状にされており、前記太陽電池モジュールを透過した光の少なくとも一部を反射可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、独立した装置として省電力で表示内容を変更・維持でき、さらに、発電効率にも優れた無給電表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明に係る無給電表示装置の一例の概略を説明する図である。
図2図2は、本発明に係る無給電表示装置の一例における太陽電池セルの平面配置について説明する図である。
図3図3は、本発明に係る無給電表示装置の一例における太陽電池セルの列を含む厚み方向断面図である。
図4図4は、本発明に係る無給電表示装置の別の例における太陽電池セルの列を含む厚み方向断面図である。
図5図5は、本発明に係る無給電表示装置のマイクロミラーの製造方法を説明する図である。
図6図6は、本発明に係る無給電表示装置のさらに別の例における太陽電池セル及びその制御基板とは反対側に配置されたマイクロミラーアレイの厚み方向断面の拡大図である。
図7図7は、本発明に係る無給電表示装置のさらに別の例における太陽電池セル及びその制御基板とは反対側に配置されたマイクロレンズアレイの厚み方向断面の拡大図である。
図8図8は、本発明に係る無給電表示装置のさらに別の例における機能ブロック図である。
図9図9は、本発明に係る無給電表示装置のさらに別の例における機能ブロック図である。
図10図10は、従来の無給電表示装置における光の損失について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
別様に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語及び科学用語は、当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。本明細書中で参照する全ての特許、出願及び他の出版物や情報は、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0017】
以下、本発明について例を挙げて説明するが、本発明は以下の例等に限定されるものではなく、任意に変更して実施できる。また、本発明の各実施形態における各説明は、特に言及がない限り、互いに援用可能である。なお、本明細書において、「~」という表現を用いた場合、その前後の数値又は物理値を含む意味で用いる。また、本明細書において、「A及び/又はB」という表現には、「Aのみ」、「Bのみ」、「A及びBの双方」が含まれる。
【0018】
(無給電表示装置)
図1(a)は、本発明に係る無給電表示装置の一例の全体斜視図である。図1(a)に示すとおり、本例の無給電表示装置100は、メモリ性反射型表示部1、制御基板3、及び太陽電池モジュール2がこの順で配置されており、その一方の外側平面には、メモリ性反射型表示部1が配置され(図1(b))、反対側の外側平面には、太陽電池モジュール2が配置されている(図1(c))。
【0019】
(メモリ性反射型表示部)
メモリ性反射型表示部1において、メモリ性とは、電源を切っても、或いは微弱電流だけにしておいても、外部の制御から画像データを出力することなく、その直前の画像もしくは画像データが残り、表示の変更時以外は大きな電流を必要としない特性をいう。この特性により、通電しなくても、或いは微弱な電流の通電だけでも表示内容を保持することが可能となる。また、メモリ性反射型表示部1において、反射型とは、反射構造を備えることにより、周囲の照明光等の外光を光源とし、通常の液晶の様にバックライトシステムを必要としない構成をいう。メモリ性かつ反射型にすることにより、低消費電力が可能となる。
【0020】
メモリ性反射型表示部1の具体例としては、メモリインピクセル反射型液晶ディスプレイ等が挙げられる。メモリインピクセル液晶ディスプレイでは、各画素がメモリを有し、静止画像を表示する場合、メモリに記憶された映像信号を用いて映像を表示することができ、一度ディスプレイ上で画像を作ると、その後は微弱電流を流すだけで、そのままの画像を表示した状態を維持できる。このメモリインピクセル液晶ディスプレイに反射型構造を採用したものが、メモリインピクセル反射型液晶ディスプレイである。このようなメモリインピクセル反射型液晶ディスプレイとしては、例えば、シャープ株式会社が製造するメモリインピクセル機能搭載反射型液晶を利用可能である(https://www.sharpsde.com/technologies-for/memory-in-pixels/)。
【0021】
メモリ性反射型表示部1の別の具体例としては、メモリ性反射型電子ペーパーが挙げられる。電子ペーパーは、様々な種類・方式が存在するが、その一つとして、上部電極と下部電極との間に粒子回転型又は電気泳動型等の電子インクが配置された構造を有し、表示内容を切り替える際に電力を消費するが、電力の供給がない状態でも表示状態を維持することができるタイプが知られている。このタイプの電子ペーパーは、通常、反射型構造を採用している。このような電子ペーパーは、メモリ性反射型電子ペーパーといえる。このようなメモリ性反射型電子ペーパーとしては、例えば、凸版印刷株式会社が製造する電子ペーパーを利用可能である(https://www.toppan.co.jp/denshipaper/search/product/dotmatrix.html)。
【0022】
(太陽電池モジュール)
太陽電池モジュール2は、例えば、シースルー型太陽電池モジュールである。シースルー型太陽電池モジュールとは、一方の面に入射した光の少なくとも一部が他方の面に向かって透過することができる平面状の太陽電池モジュールを意味する。シースルー型太陽電池の例としては、例えば、リコージャパン株式会社製有機薄膜太陽電池(OPV)等が挙げられる。
【0023】
太陽電池モジュール2は、メモリ性反射型表示部1に電気的に接続されており、外部光を受光して発電し、メモリ性反射型表示部1に給電する。このため、十分な外部光がある限り、無給電表示装置100を稼働させることができる。
【0024】
近年、ポリマーフィルム基板上に塗布プロセスを用いて太陽電池を作製することで、薄型で軽量の太陽電池モジュールを製造することが可能となっている。フィルム基板を用いることでロールツーロール方式での製造が可能となるため、製造コストの低減も見込まれている。このような塗布型の太陽電池としては、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、ペロブスカイト太陽電池(例えば、特開2021-132233号公報参照)等が知られている。かかる構成を採用することによって、薄型で軽量のシースルー型太陽電池モジュールを製造することができる。
【0025】
一般的な太陽電池は、黒色に近い色であり、無給電表示装置100に用いた場合、給電機能として問題はないが、観察者からすれば、面白みのない無機質なものに見えてしまう。ここで、太陽電池モジュール2において、給電機能を損なうことなく、文字又はデザインを表示できるのであれば、無給電表示装置100に更に情報やデザインを付加することができ、観察者に情報提供したり、面白みを提供したりすることが可能となる。
【0026】
太陽電池モジュール2において、例えば、シースルー型太陽電池の奥に文字又はデザインを付して、シースルー型太陽電池越しに当該文字又はデザインを観察可能であるように表示してもよい。シースルー型太陽電池は、奥が透けて見えるので、奥に配置されている、例えば制御基板3の太陽電池モジュール2側の表面に文字又はデザインを付すと、シースルー型太陽電池越しにこの文字又はデザインを観察することが可能となる。
【0027】
(制御部)
制御部は、集積回路を備え、無給電表示装置100の稼働をコントロールする。制御部は、制御基板3上に搭載されている。
【0028】
(制御基板)
無給電表示装置100は、メモリ性反射型表示部1と太陽電池モジュール2とに挟まれた制御基板3内に、制御部を有している。この制御基板3は、少なくとも、電源回路を有し、この電源回路は、太陽電池モジュール2で発生した電流をメモリ性反射型表示部1に供給する。また、無給電表示装置100は、後述のように、電源回路に加えて、記憶部、通信部、フィルム型二次電池を有していてもよい。
【0029】
制御基板3の太陽電池モジュール1側の表面は、ラミネート加工によって平面状にされている。制御基板3は、ラミネート加工なしでは、電源回路、記憶部、通信部、フィルム型二次電池等が搭載されているため、表面に凹凸がある状態である。この凹凸をスペーサで吸収させて平面状にした上で、全体をラミネート加工して一体化させる。これにより、表面に凹凸がある状態が解消され、作業性、取扱い性が向上する。この処理方法については、例えば、WO2019/059305が、凹部や穴を設けたスペーサ層を積層させ、最終的にプレス加工することによって表面の凹凸を解消する製造方法を開示しており、この方法を採用してもよい。
【0030】
制御基板3の厚みをできる限り薄くするために、制御基板3に搭載する部品は、できるだけ薄いものを選択し、重ねて搭載しないように設計することが好ましい。特に、フィルム型二次電池等の大きめの部品を搭載する場合は、制御基板3上にフィルム型二次電池を置くのではなく、制御基板3に必要なスペースの切込みを設けて、そこにフィルム型二次電池を置くことも可能である。この場合、フィルム型二次電池と制御基板3は、接続回路によって電気的に接続されることになる。このような制御基板3の製造にあたっては、強度を高めるために、プレス加工することが好ましい。
【0031】
(各機能部の電気的な接続方法)
本発明において、メモリ性反射型表示部1と制御基板3、太陽電池モジュール2と制御基板3は、電気的に接続される。接続方法としては、例えば、制御基板3上の回路と、メモリ性反射型表示部1又は太陽電池モジュール2の接続回路とを導電性樹脂圧着して電気的に接続する方法が挙げられる。
【0032】
導電性樹脂圧着は、正確な位置合わせや圧着作業等が手間になるため、別の接続方法として、コネクタ接続を用いてもよい。コネクタ接続は、制御基板3上にコネクタを配置し、メモリ性反射型表示部1又は太陽電池モジュール2にも対応するコネクタを配置し、両者を接合することによって電気的に接続する部品である。コネクタの種類としては、接続回路(フレキシブル基板)を差し込んで挟み込むことにより接続するタイプ、嵌合型タイプ等、特に限定はされない。コネクタ接続を使用することにより、メモリ性反射型表示部1又は太陽電池モジュール2が不良となった場合に、簡単に交換することができる。
【0033】
無給電表示装置100の電源は、基本的には太陽電池モジュール2である。無給電表示装置100は、さらに、フィルム型二次電池を備えていてもよく、その場合は、太陽電池モジュール2及びフィルム型二次電池を電源とすることができる。また、無給電表示装置100は、外部電源からの電力の供給を受けるための接続端子を有していてもよい。
【0034】
無給電表示装置100の外側平面のうち、メモリ性反射型表示部1及び太陽電池モジュール2がそれぞれ90%以上の面積を占めていることが望ましい。機能を有する部分の面積を大きくして、装置としての効率や機能密度を高めるためである。
【0035】
無給電表示装置100のサイズは、特に制限されない。無給電表示装置100は、その全体厚みが例えば7mm以下、好ましくは3mm以下の薄い平板状であってもよい。この薄さは、例えば、メモリ性反射型表示部1、制御基板3、太陽電池モジュール2等の各部材を薄型にすることによって実現される。無給電表示装置100の全体厚みが7mm以下である場合、メモリ性反射型表示部1の厚みは、例えば5mm以下、好ましくは2mm以下である。シャープ株式会社が製造するメモリインピクセル搭載モノクロ反射型液晶として、モジュールの厚みが、1.64mmの型番が存在する(LS044Q7DH01)。また、凸版印刷株式会社が製造するメモリ性反射型電子ペーパーとして、モジュールの厚みが、1.2mmの型番が存在する(オーロラMb (V231))。これらの市販のメモリ性反射型表示部を採用することで、本発明に係る無給電表示装置を実現してもよい。
【0036】
無給電表示装置100は、さらに、図1における両外側平面のいずれか一方の面上に固定部を有してもよい。そのような構成であれば、当該固定部により、構造物へ固定することができる。
【0037】
前述のとおり、無給電表示装置100は、独立した装置として省電力で表示内容を変更・維持できるものである。それに加え、無給電表示装置100は、以下に示す構成により、発電効率にも優れる。
【0038】
無給電表示装置100における発電効率向上の説明に先立ち、図10を参照して、従来の無給電表示装置における光の損失について説明する。図10は、従来の無給電表示装置200における、太陽電池セル4の列を含む厚み方向断面図である。無給電表示装置200は、無給電表示装置100と同様に、メモリ性反射型表示部1、制御基板3、及び太陽電池モジュール2がこの順で配置された構成である。なお、無給電表示装置200の太陽電池モジュール1において、太陽電池セル4は、図2に示すように、平面視で格子状に配置されており、接続配線8で電気的に接続されている。この点は、後述する図3及び図4に示すように、太陽電池セル4の列を含む厚み方向断面を示す無給電表示装置100においても同様である。また、図10は、模式的に示したものであり、太陽電池セル4の数等は、実際とは異なり、後述する図3及び図4において同様である。
【0039】
図10に示すように、従来の無給電表示装置200においては、光源から入射する光(例えば、太陽光、照明光等)のうち、太陽電池セル4の列の外を通過する光L1、隣接する太陽電池セル4の間を通過する光L2、太陽電池セル4を通過する光L3、太陽電池セル4内の電極(図10においては、n電極4d)で遮断される光L4は、太陽電池モジュール2における発電に利用されることがなく、損失となっている。なお、図10において、4aは、P型半導体を示し、4bは、p電極を示し、4cは、N型半導体を示す。図10において、P型半導体4a及びp電極4bと、N型半導体4c及びn電極4dとを、それぞれ相互に置き換えてもよい。すなわち、光が入射する側にP型半導体4a及びp電極4bを、その反対側にN型半導体4c及びn電極4dを、それぞれ配置してもよく、後述する図6及び図7において同様である。
【0040】
一方、図3に示すとおり、無給電表示装置100では、制御基板3の太陽電池モジュール2側の表面は、ラミネート加工により平面状にされており、太陽電池モジュール2を透過した光の少なくとも一部を反射可能である。その結果、図10を用いて前述したように従来の無給電表示装置200では損失となっていた、隣接する太陽電池セル4の間を通過する光L2、及び、太陽電池セル4を通過する光L3を前記表面で反射させ、太陽電池セル4に入射させることができる。これにより、これらの光を太陽電池モジュール2における発電に有効に活用することができるため、発電効率を向上させることができる。前記表面で太陽電池モジュール2を透過した光の少なくとも一部を反射可能とする手段としては、特に限定されず、例えば、前記ラミネート加工に、不透明材料を用いる、制御基板3の太陽電池モジュール2側の表面を鏡面加工する、等の手段が挙げられる。
【0041】
前記不透明材料としては、例えば、黒色以外の不透明なポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)等が挙げられる。
【0042】
前記鏡面加工としては、例えば、前記ラミネート加工後の制御基板3の太陽電池モジュール2側の表面にアルミ蒸着を行う加工、前記ラミネート加工時の最表面にアルミ蒸着シートを積層する加工等が挙げられる。
【0043】
制御基板3の太陽電池モジュール2側の表面の光反射率は、例えば、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上である。前記光反射率は、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、又は90~100%であってもよい。前記光反射率は、当該技術分野において周知の方法によって測定することができる。
【0044】
図4に示すとおり、無給電表示装置100は、さらに、太陽電池モジュール2の、制御基板3とは反対側の表面に配置されたミラーシート5を含み、ミラーシート5は、ミラーシート5を透過する光が直進すると仮定したときに、隣接する太陽電池セル4の間に到達する前記直進すると仮定した光(図4において、破線の矢印で示す光)を太陽電池セル4側に反射可能な位置に複数のマイクロミラー5aを有するものであってもよい。
【0045】
かかる構成により、図10を用いて前述したように従来の無給電表示装置200では損失となっていた、隣接する太陽電池セル4の間を通過する光L2をマイクロミラー5aによって反射させ、太陽電池セル4に入射させることができる。これにより、隣接する太陽電池セル4の間を通過する光L2を太陽電池モジュール2における発電に有効に活用することができるため、発電効率を向上させることができる。
【0046】
かかる構成は、ミラーシート5に入射する光が、高さ一定の光源(例えば、室内照明等)からの光である場合に、特に有効である。
【0047】
ミラーシート5は、例えば、図5に示すように、射出成型によって成型した基板にアルミ蒸着を施すことで製造でき、具体的には、以下の3つの方法が挙げられる。なお、前記基板としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)等を用い得る。
【0048】
図5(a)に示す第1の方法で製造されるミラーシート5は、図4に示すような凸状のマイクロミラー5aを複数有するものである。本方法では、まず、射出成型によって傾斜面及び垂直面を有する複数の凸部が形成された基板の前記凸部が形成されている側の表面を、前記凸部が埋没するようにレジストで覆った後、前記凸部の大部分が露出するまで前記レジストの大部分を除去する。ついで、前記基板にアルミ蒸着を施す。アルミ蒸着では、真空中で蒸発した蒸着源(ミラー面(鏡面)の形成材料となるアルミニウム)を堆積させるため、水平面及び傾斜面にはアルミニウムが付着(堆積)するが、垂直面には付着しない。最後に、残りのレジスト及びその上に堆積されたアルミニウムを除去することによって、前記凸部の傾斜面のみを鏡面加工することができる。このようにして、ミラーシート5を製造することができる。なお、図4においては、鏡面加工された前記凸部の傾斜面を太線で示している。
【0049】
図5(b)に示す第2の方法で製造されるミラーシートは、凹状のマイクロミラー5aを複数有するものである。本方法では、まず、射出成型によって傾斜面及び垂直面を有する複数の凹部が形成された基板にアルミ蒸着を施す。前述のとおり、アルミ蒸着では、真空中で蒸発した蒸着源(ミラー面(鏡面)の形成材料となるアルミニウム)を堆積させるため、水平面及び傾斜面にはアルミニウムが付着(堆積)するが、垂直面には付着(堆積)しない。最後に、水平面に堆積されたアルミニウムをCMP(Chemical Mechanical Polishing)による研磨によって除去するとともに、真空吸着によってワークの反りを矯正することよって、前記凹部の傾斜面のみを鏡面加工することができる。このようにして、ミラーシートを製造することができる。
【0050】
図5(c)に示す第3の方法で製造されるミラーシートも、凹状のマイクロミラー5aを複数有するものである。本方法では、まず、図5(b)に示す第2の方法と同様にして、アルミ蒸着された基板を得た後、前記基板の前記凹部が形成されている側の表面をレジストで覆う。ついで、前記基板の前記凹部が形成されている側の表面上のレジストをエッチングで除去した後、前記凹部内のレジストを除去することによって、前記凹部の傾斜面のみを鏡面加工することができる。このようにして、ミラーシートを製造することができる。
【0051】
図6は、本発明に係る無給電表示装置のさらに別の例における太陽電池セル4及びその制御基板とは反対側に配置されたマイクロミラーアレイ6の厚み方向断面の拡大図である。なお、図6において、メモリ性反射型表示部及び制御基板に該当する部分は、図3及び図4に示す無給電表示装置100におけるのと同様であるため、図示を省略する。図6に示すとおり、本例の無給電表示装置は、さらに、マイクロミラーアレイ6を含み、太陽電池セル4は、マイクロミラーアレイ6側に複数の電極(図6においては、n電極4d)を有しており、マイクロミラーアレイ6の各マイクロミラー6aは、マイクロミラーアレイ6を透過する光がマイクロミラー6aで屈折せずに直進すると仮定したときに、前記直進すると仮定した光(図6において、破線の矢印で示す光)が前記電極の中心に到達するように形成されているものである。なお、図6において、4aは、P型半導体を示し、4bは、p電極を示し、4cは、N型半導体を示す。
【0052】
かかる構成により、マイクロミラーアレイ6が無ければ直進して太陽電池セル4内の電極で遮断される光L4をマイクロミラー6aによって反射させ、これを太陽電池セル4内の半導体に入射させることができる。これにより、マイクロミラーアレイ6が無ければ太陽電池セル4内の電極4dで遮断された光L4を太陽電池セル4における発電に有効に活用することができるため、太陽電池セル4の発電効率を向上させることができる。
【0053】
かかる構成は、マイクロミラーアレイ6に入射する光が、高さ一定の光源(例えば、室内照明等)からの光である場合に、特に有効である。
【0054】
マイクロミラーアレイ6は、例えば、前述の図5に示すミラーシート5と同様にして製造できる。
【0055】
図7は、本発明に係る無給電表示装置のさらに別の例における太陽電池セル4及びその制御基板とは反対側に配置されたマイクロレンズアレイ7の厚み方向断面の拡大図である。なお、図7において、メモリ性反射型表示部及び制御基板に該当する部分は、図3及び図4に示す無給電表示装置100におけるのと同様であるため、図示を省略する。図7に示すとおり、本例の無給電表示装置は、マイクロレンズアレイ7を含み、太陽電池セル4は、マイクロレンズアレイ7側に複数の電極(図7においては、n電極4d)を有しており、マイクロレンズアレイ7の各マイクロレンズ7aは、マイクロレンズアレイ7を透過する光がマイクロレンズ7aで屈折せずに直進すると仮定したときに、前記直進すると仮定した光(図7において、破線の矢印で示す光)が前記電極の中心に到達するように形成されているものである。なお、図7において、4aは、P型半導体を示し、4bは、p電極を示し、4cは、N型半導体を示す。
【0056】
かかる構成により、マイクロレンズアレイ7が無ければ直進して太陽電池セル4内の電極で遮断される光L4をマイクロレンズ7aによって屈折させ、これを太陽電池セル4内の半導体に入射させることができる。これにより、マイクロレンズアレイ7が無ければ太陽電池セル4内の電極で遮断される光L4を太陽電池セル4における発電に有効に活用することができるため、太陽電池セル4の発電効率を向上させることができる。
【0057】
かかる構成は、マイクロレンズアレイ7に入射する光が、高さ一定の光源(例えば、室内照明等)からの光である場合に、特に有効である。
【0058】
マイクロレンズアレイ7は、例えば、市販品を用いてもよいし、自作してもよい。
【0059】
(表示コンテンツ)
本発明に係る無給電表示装置が表示する表示コンテンツとしては、宣伝広告、各種案内、イラスト、画像等が挙げられ、その内容は特に限定されない。各種案内には、災害時等の停電の際の緊急伝達事項が含まれる。
【0060】
前記表示コンテンツは、所定期間毎に変更される二次元コードであってもよい。二次元コードとしては、例えば、QRコード(登録商標)が挙げられる。
【0061】
近年、小売店、飲食店等では、来店者が店内に配置(壁等に掲示、テーブル上に設置等)された紙媒体の二次元コードをスマートフォン等で読み取ることによってクーポン発行等の特典を受ける機会が増えている。他方、かかる二次元コードは、来店者がスマートフォン等によってその画像を非来店者へ送信することによって、本来は特典を受けるべきではない非来店者が特典を受けてしまう状況が生じかねない。
【0062】
本発明に係る無給電表示装置によれば、かかる状況を克服できる。例えば、本発明に係る無給電表示装置のメモリ性反射型表示部において、数秒毎(5秒毎等)に変更される二次元コードを表示することによって、来店者がスマートフォン等によって二次元コードの画像を非来店者へ送信したとしても、その画像は数秒毎(5秒毎等)に変更されるため、非来店者が特典を受けてしまうことを防ぐことができる。すなわち、かかる構成によって、非来店者が二次元コードを不正取得することを防ぐことができる。
【0063】
図8は、本発明に係る無給電表示装置のさらに別の例における機能ブロック図である。図示のとおり、本例の無給電表示装置100において、メモリ性反射型表示部1は、表示部311と表示メモリ312を備える。表示メモリ312には、表示部311で表示するための表示コンテンツが保管されている。表示メモリ312は、複数の表示コンテンツを保管することも可能である。表示部311の各画素が、表示メモリを有しているが、それらをまとめて表示メモリ312として表記している。
【0064】
太陽電池モジュール2は、発電部321を有し、制御基板3上に搭載された電源回路341を介して、表示部311と表示メモリ312に電気を供給している。電源回路341は、太陽電池モジュール2で発生した電流を、メモリ性反射型表示部1に送電する役割を担う。制御基板3には、電源回路341の他に制御部343が搭載されており、表示部311と表示メモリ312を制御している。外部光が少なくなると発電部321の発電が弱くなるため、表示部311は、表示コンテンツの変更がしにくくなる。しかし、表示部311は、メモリ性反射型表示部1であることから、表示コンテンツをそのまま表示し続けることができる。例えば、太陽電池モジュール2側に太陽光が当たらない場合(例えば、夜間、雨天時等)であっても、表示コンテンツを視認することが可能である。
【0065】
本例の無給電表示装置100は、例えば、つぎのように作製してもよい。すなわち、メモリ性反射型表示部1として、厚さ1.64mmのシャープ株式会社製メモリインピクセル搭載モノクロ反射型液晶(LS044Q7DH01)を使用する。
【0066】
また、太陽電池モジュール2として、大きさ44.0mm×30.0mm、厚さ0.18mmのフィルム基板を用いたTDK株式会社製BCS4430B6を4枚貼り合わせてメモリ性反射型表示部1と同サイズにしたものを用いる。なお、太陽電池モジュール2の大きさは適宜調整が可能なので、同サイズのものを受注製造してもよい。
【0067】
つぎに、電源回路341及び制御部343を搭載した制御基板3(大きさ80.0mm×60.0mm、厚さ0.8mm)を準備し、凹凸部をスペーサで埋めた上で、全体をラミネート加工する。なお、電気的接続のために挟み込みタイプのコネクタ(厚み1.2mm)を用い、コネクタ部分は外部に露出させた状態にしてもよい。
【0068】
この制御基板3の両面に、メモリ性反射型表示部1及び太陽電池モジュール2をコネクタ接続によって電気的に接続する。メモリ性反射型表示部1は、表示面が外側になるように、太陽電池モジュール2は、太陽電池が外側になるように、それぞれ配置し、制御基板3とメモリ性反射型表示部1、及び制御基板3と太陽電池モジュール2は、各々接着剤で固定する。このように無給電表示装置100を作製する。
【0069】
図9は、本発明の無給電表示装置のさらに別の例における機能ブロック図である。本例の無給電表示装置100において、メモリ性反射型表示部1と太陽電池モジュール2は、図8に示す無給電表示装置100におけるのと同様である。本例の無給電表示装置100において、制御基板3は、制御部343及び電源回路341の他に、フィルム型二次電池342、記憶部344、通信部345を搭載している。
【0070】
フィルム型二次電池342は、発電部321が供給する電力に余剰分が生じた場合に、その余剰電力を蓄える。フィルム型二次電池342は、その後、発電部321が電力を供給できなくなった場合に、予備的電源として機能する。これにより、夜間等、発電部321が電力を供給できない場合であっても、表示部311は、表示コンテンツを変更することが可能となる。
【0071】
フィルム型二次電池342としては、例えば、市販されている任意の製品を用いることができ、市販品として0.4mm以下のものが知られている。このようなフィルム型二次電池342としては、例えば、日本碍子株式会社製のチップ型セラミクス二次電池であるEnerCera(登録商標)Pouchラインアップ等が挙げられる。フィルム型二次電池342は、一例として、集積回路の横に配置され、電気配線によって電気的に接続することができる。この配置方法や接続方法としては、特開2020-072117号公報やWO2020/241166に記載されている方法を用いることができる。
【0072】
記憶部344は、表示メモリ312だけでは保管しきれない表示コンテンツを保管することができる。本例の無給電表示装置100では、表示部311は、表示メモリ312で保管している表示コンテンツに加えて、記憶部344に保管している表示コンテンツをも表示することができる。
【0073】
通信部345は、外部装置351と無線通信することにより、さらに別の表示コンテンツを取得可能とする。無線通信手段としては、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、NFC(近距離無線通信)又はRFID(Radio Frequency identifier)等があるが特に限定されない。通信部345で取得した表示コンテンツは、記憶部344で保管される。制御部343は、表示メモリ312や記憶部344で保管している表示コンテンツを新たに取得した表示コンテンツで上書きする処理を行うこともできる。このようにして、表示部311が、新たに取得した表示コンテンツを表示できるように処理することができる。これにより、無給電表示装置100が表示コンテンツを更新できるようになる。
【0074】
通信部345により、外部装置351と無線通信することにより、制御部343をコントロールするプログラムをアップデートすることも可能である。
【0075】
本例の無給電表示装置100は、例えば、図8に示す無給電表示装置の作製例をつぎのように変更して作製してもよい。すなわち、制御基板3(大きさ80.0mm×60.0mm、厚さ0.8mm)として、制御部343、記憶部344、通信部345、フィルム型二次電池342を搭載したものを作製する。フィルム型二次電池342としては、日本碍子株式会社製EC382704P-H(27mm×38mm×0.45mm、電圧3.8V、放電ピーク電流10mA)のものを用いる。通信部345としては、Bluetooth(登録商標)モジュールを用いる。
【0076】
制御部343及び記憶部344は、集積回路内に設計し、制御基板3上に搭載する。通信部345及びフィルム型二次電池342は、制御基板3に必要なスペースの切込みを設けて制御基板3の厚みが加算されないように配設し、全体をラミネートでフィルム化する。
【0077】
以上のようにして、大きさ90.0mm×84.0mm、厚さ2.7mmの無給電表示装置100を作製する。
【0078】
本明細書に記載された本発明の種々の特徴は様々に組み合わせることができ、そのような組合せにより得られる態様は、本明細書に具体的に記載されていない組合せも含め、すべて本発明の範囲内である。また、当業者は、本発明の精神から逸脱しない多数の様々な改変が可能であることを理解しており、かかる改変を含む均等物も本発明の範囲に含まれる。したがって、本明細書に記載された態様は例示にすぎず、これらが本発明の範囲を制限する意図をもって記載されたものではないことを理解すべきである。
【0079】
<付記> 上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載され得るが、以下には限られない。(付記1)メモリ性反射型表示部、制御部、及び太陽電池モジュールがこの順で配置されており、前記太陽電池モジュールを電源として稼働する無給電表示装置であって、
前記制御部は、制御基板上に搭載されており、
前記制御基板の前記太陽電池モジュール側の表面は、ラミネート加工によって平面状にされており、前記太陽電池モジュールを透過した光の少なくとも一部を反射可能である、無給電表示装置。
(付記2)
前記ラミネート加工に、不透明材料が用いられている、付記1に記載の無給電表示装置。
(付記3)
前記制御基板の前記太陽電池モジュール側の表面は、鏡面加工されている、付記1又は2に記載の無給電表示装置。
(付記4)
前記制御基板の前記太陽電池モジュール側の表面の光反射率は、40%以上である、付記1~3のいずれかに記載の無給電表示装置。
(付記5)
さらに、前記太陽電池モジュールの、前記制御基板とは反対側の表面に配置されたミラーシートを含み、
前記太陽電池モジュールは、平面視で格子状に配置され、電気的に接続された複数の太陽電池セルを有し、
前記無給電表示装置の前記太陽電池セルの列を含む厚み方向断面において、
前記ミラーシートは、前記ミラーシートを透過する光が直進すると仮定したときに、隣接する前記太陽電池セルの間に到達する前記直進すると仮定した光を前記太陽電池セル側に反射可能な位置に複数のマイクロミラーを有する、付記1~4のいずれかに記載の無給電表示装置。
(付記6)
さらに、前記太陽電池モジュールの、前記制御基板とは反対側の表面に配置されたマイクロミラーアレイを含み、
前記太陽電池モジュールは、平面視で格子状に配置され、電気的に接続された複数の太陽電池セルを有し、
前記無給電表示装置の前記太陽電池セルの列を含む厚み方向断面において、
前記太陽電池セルは、前記マイクロミラーアレイ側に複数の電極を有しており、
前記マイクロミラーアレイの各マイクロミラーは、前記マイクロミラーアレイを透過する光が前記マイクロミラーで屈折せずに直進すると仮定したときに、前記直進すると仮定した光が前記電極の中心に到達するように形成されている、付記1~4のいずれかに記載の無給電表示装置。
(付記7)
さらに、前記太陽電池モジュールの、前記制御基板とは反対側の表面に配置されたマイクロレンズアレイを含み、
前記太陽電池モジュールは、平面視で格子状に配置され、電気的に接続された複数の太陽電池セルを有し、
前記無給電表示装置の前記太陽電池セルの列を含む厚み方向断面において、
前記太陽電池セルは、前記マイクロレンズアレイ側に複数の電極を有しており、
前記マイクロレンズアレイの各マイクロレンズは、前記マイクロレンズアレイを透過する光が前記マイクロレンズで屈折せずに直進すると仮定したときに、前記直進すると仮定した光が前記電極の中心に到達するように形成されている、付記1~4のいずれかに記載の無給電表示装置。
(付記8)
前記メモリ性反射型表示部は、所定期間毎に変更される二次元コードを表示する、付記1~7のいずれかに記載の無給電表示装置。
(付記9)
全体の厚みが7mm以下である、付記1~8のいずれかに記載の無給電表示装置。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上説明したように、本発明によれば、独立した装置として省電力で表示内容を変更・維持でき、さらに、発電効率にも優れた無給電表示装置を提供できる。このため、本発明は、例えば、情報技術分野等において極めて有用である。
【符号の説明】
【0081】
1 メモリ性反射型表示部
2 太陽電池モジュール
3 制御基板
4 太陽電池セル
4a P型半導体
4b p電極
4c N型半導体
4d n電極
L1 太陽電池セルの列の外を通過する光
L2 隣接する太陽電池セルの間を通過する光
L3 太陽電池セルを通過する光
L4 太陽電池セル内の電極で遮断される光
5 ミラーシート
5a マイクロミラー
6 マイクロミラーアレイ
6a マイクロミラー
7 マイクロレンズアレイ
7a マイクロレンズ
8 接続配線
100、200 無給電表示装置
311 表示部
312 表示メモリ
321 発電部
341 電源回路
342 フィルム型二次電池
343 制御部
344 記憶部
345 通信部
351 外部装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10