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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162677
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】タイヤ角補正装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20241114BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20241114BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20241114BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20241114BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D5/04
B62D101:00
B62D113:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078419
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立入 泉樹
(72)【発明者】
【氏名】小川 皓俊
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄大
【テーマコード(参考)】
3D232
3D333
【Fターム(参考)】
3D232DA04
3D232DA23
3D232DA46
3D232DA63
3D232DA64
3D232DC33
3D232DC34
3D232DD02
3D232DD17
3D232DE02
3D232EA05
3D232EA06
3D232EB04
3D232EC22
3D232EC37
3D232GG01
3D333CB02
3D333CB29
3D333CB42
3D333CE45
(57)【要約】
【課題】独立転舵車両の走行中にタイヤ角を補正可能なタイヤ角補正装置を提供する。
【解決手段】独立転舵車両では、目標タイヤ角θ*1-θ*4に応じて転舵モータが出力した転舵トルクがトルク伝達装置を介して各タイヤに伝達され、各タイヤが転舵される。タイヤ角補正装置20の目標タイヤ角算出制御部25は、移動方向指示装置15から指示された移動方向指示値に基づき、各タイヤの目標タイヤ角θ*1-θ*4を算出し、転舵モータに指示する。車両の走行中に、目標タイヤ角算出制御部25は、タイヤ角センサ651-654、671-674が検出した各タイヤの検出タイヤ角θs1-θs4を取得し、目標タイヤ角θ*1-θ*4に対してフィードバック制御する。また目標タイヤ角算出制御部25は、タイヤ負荷センサ661-664、681-684が検出した各タイヤに掛かるタイヤ負荷Lt1-Lt4に応じて目標タイヤ角θ*1-θ*4を補正する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三輪以上のタイヤ(91-94)が独立して転舵可能であり、目標タイヤ角(θ*1-θ*4)に応じて転舵モータ(71-74)が出力した転舵トルクがトルク伝達装置(81-84)を介して各タイヤに伝達され、各タイヤが転舵される独立転舵車両(100)において、前記目標タイヤ角を算出し且つ補正するタイヤ角補正装置であって、
移動方向指示装置(15)から指示された移動方向指示値に基づき各タイヤの前記目標タイヤ角を算出し、前記転舵モータに指示する目標タイヤ角算出制御部(25)を有し、
車両の走行中に、前記目標タイヤ角算出制御部は、
タイヤ角センサ(651-654、671-674)が検出した各タイヤの検出タイヤ角(θs1-θs4)を取得し、前記目標タイヤ角に対してフィードバック制御し、
タイヤ負荷センサ(661-664、681-684)が検出した各タイヤに掛かるタイヤ負荷(Lt1-Lt4)に応じて前記目標タイヤ角を補正するタイヤ角補正装置。
【請求項2】
いずれかのタイヤについて前記タイヤ負荷の絶対値が異常判定閾値以上であるとき、対応する前記タイヤ角センサの検出タイヤ角が実際のタイヤ角と乖離している異常であると判定するタイヤ角センサ異常判定部(26)をさらに有し、
前記タイヤ角センサ異常判定部により前記タイヤ角センサの異常が判定されたとき、
前記目標タイヤ角算出制御部は、前記タイヤ負荷の絶対値を低減させる方向に前記目標タイヤ角を補正する請求項1に記載のタイヤ角補正装置。
【請求項3】
前記目標タイヤ角に対する補正量である補正タイヤ角を記憶する補正タイヤ角記憶部(27)を有し、
前記目標タイヤ角算出制御部は、前記補正タイヤ角記憶部に記憶された前記補正タイヤ角を用いて前記目標タイヤ角を算出する請求項2に記載のタイヤ角補正装置。
【請求項4】
前記異常判定閾値は、前記目標タイヤ角に応じて可変に設定される請求項2に記載のタイヤ角補正装置。
【請求項5】
前記タイヤ角センサは、前記転舵モータの回転角度を検出するモータ角度センサ(651-654)によって構成され、
前記トルク伝達装置の特性に基づき、前記転舵モータの回転角度からタイヤ角が推定される請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ角補正装置。
【請求項6】
前記タイヤ負荷センサは、前記転舵モータの巻線に流れるモータ電流を検出するモータ電流センサ(661-664)によって構成され、
前記トルク伝達装置の特性に基づき、前記モータ電流からタイヤ負荷が推定される請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ角補正装置。
【請求項7】
車両速度を検出する車両速度検出装置(40)を備えた車両に搭載され、
車両速度が所定範囲内にある場合のみ、前記タイヤ角センサ異常判定部による異常判定及び前記目標タイヤ角算出制御部による前記目標タイヤ角の補正が実行される請求項2~4のいずれか一項に記載のタイヤ角補正装置。
【請求項8】
運転者に異常を報知する異常報知装置(30)を備えた車両に搭載され、
前記タイヤ角センサ異常判定部は、前記タイヤ角センサの異常と判定したとき、前記異常報知装置に通知する請求項2~4のいずれか一項に記載のタイヤ角補正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ角補正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のタイヤ角を調整する技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1に開示された操舵装置は、トー角度の調整を容易に行うことができるように、転舵モータ(電動機ユニット)とタイヤ(車輪)との間に手動トー角調整機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-34952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術は機械的なトー角調整機構に過ぎず、トー角調整後の車両走行中に転舵モータの出力によりタイヤ角がずれた場合に補正するものではない。また、特許文献1の操舵装置にはタイヤ角センサが設けられておらず、独立転舵車両におけるタイヤ角センサの異常にも着目されていない。
【0006】
各輪が独立転舵可能な独立転舵車両では、走行に合わせてタイヤ角を最適に制御するため、走行中の実タイヤ角を検出してフィードバック制御する必要がある。実タイヤ角の検出方法には、エンコーダ等のタイヤ角センサを用いる方法や、転舵モータの角度センサの検出値から推定する方法がある。本明細書では、タイヤ角センサが検出したタイヤ角、及び、モータ角度センサの検出値から推定したタイヤ角を含めて「検出タイヤ角」と記す。
【0007】
しかし、タイヤ角センサの取り付けが不適切だったり、転舵モータの角度センサを用いる場合に転舵モータとタイヤとの間のトルク伝達装置で走行中の外力等によりギアの歯飛びが発生したりすると、正しい実タイヤ角が検出されなくなる。すると、誤った検出タイヤ角に基づいてフィードバック制御が行われるため、走行ロスが増えたり、ヨー旋回等の不要な車両挙動が発生したりする。このように、タイヤ角センサの検出タイヤ角が実タイヤ角とずれた場合、従来技術ではタイヤ角を補正することができなかった。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、独立転舵車両の走行中にタイヤ角を補正可能なタイヤ角補正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるタイヤ角補正装置は、三輪以上のタイヤ(91-94)が独立して転舵可能であり、目標タイヤ角(θ*1-θ*4)に応じて転舵モータ(71-74)が出力した転舵トルクがトルク伝達装置(81-84)を介して各タイヤに伝達され、各タイヤが転舵される独立転舵車両(100)において、目標タイヤ角を算出し且つ補正する装置である。
【0010】
このタイヤ角補正装置は、目標タイヤ角算出制御部(25)を有する。目標タイヤ角算出制御部は、移動方向指示装置(15)から指示された移動方向指示値に基づき各タイヤの目標タイヤ角を算出し、転舵モータに指示する。
【0011】
車両の走行中に、目標タイヤ角算出制御部は、タイヤ角センサ(651-654、671-674)が検出した各タイヤの検出タイヤ角(θs1-θs4)を取得し、目標タイヤ角に対してフィードバック制御する。
【0012】
また目標タイヤ角算出制御部25は、タイヤ負荷センサ(661-664、681-684)が検出した各タイヤに掛かるタイヤ負荷(Lt1-Lt4)に応じて目標タイヤ角を補正する。好ましくは、目標タイヤ角算出制御部は、タイヤ負荷の絶対値を低減させる方向に目標タイヤ角を補正する。
【0013】
本発明では、独立転舵車両の走行中にタイヤ角を補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態のタイヤ角補正装置が搭載された独立転舵車両のブロック図。
図2】第2実施形態のタイヤ角補正装置が搭載された独立転舵車両のブロック図。
図3】四輪独立転舵車両に特有の車両動作を示す図。
図4】アッカーマン理論に基づく旋回でのタイヤ角を示す図。
図5】直進走行中にタイヤが進行方向に対し平行である状態を示す図。
図6】直進走行中にタイヤが進行方向に対し傾斜している状態を示す図。
図7】右前輪のタイヤ角センサの異常時に想定される車両挙動を示す図。
図8】右前輪のタイヤ角センサの異常時に各タイヤに発生するタイヤ負荷(タイヤトルク)のシミュレーション結果を示す図。
図9】第1、第2実施形態のタイヤ角補正装置のブロック図。
図10】角度フィードバック制御を示すブロック図。
図11】目標タイヤ角の補正を説明する図。
図12】目標タイヤ角に応じて異常判定閾値が可変に設定されることを示す図。
図13】タイヤ角補正装置による処理のフローチャート。
図14】SBW車両の動作を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
タイヤ角補正装置の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の第1、第2実施形態を包括して「本実施形態」という。本実施形態のタイヤ角補正装置は、三輪以上のタイヤが独立して転舵可能な独立転舵車両、典型的には四輪独立転舵車両において、目標タイヤ角を算出し且つ補正する装置である。車両の走行中、常に目標タイヤ角を算出し転舵モータに指示する点では「車両走行制御装置」として機能するものである。ただし、本実施形態では特に目標タイヤ角を補正する機能に着目し、「タイヤ角補正装置」と称する。
【0016】
(第1、第2実施形態)
図1図4を参照し、第1、第2実施形態のタイヤ角補正装置20が搭載された独立転舵車両100、及び、タイヤ角補正装置20の構成について説明する。第1実施形態及び第2実施形態は、車両100において使用されるタイヤ角センサ及びタイヤ負荷センサの構成が異なるのみで、それ以外は共通するため、まとめて説明する。
【0017】
図1に第1実施形態、図2に第2実施形態のタイヤ角補正装置20が搭載された独立転舵車両100を示す。独立転舵車両100は、四つのタイヤ91-94が独立に転舵可能である。左前輪91に「FL」、右前輪92に「FR」、左後輪93に「RL」、右後輪94に「RR」と記す。以下の各要素の符号、及び、角度や負荷の記号における末尾の数字「1」-「4」は、それぞれ、FL、FR、RL、RRのタイヤ91-94に対応する。図1図2において破線枠で示した異常報知装置30及び車両速度検出装置40は、適宜採用され得るオプション構成であり、図9を参照して後述する。
【0018】
車両100には、各タイヤ91-94に対応する転舵モータ71-74、及び、ベルトやギア等で構成されたトルク伝達装置81-84が備えられている。転舵モータ71-74が出力した転舵トルクT1-T4はトルク伝達装置81-84を介して各タイヤ91-94に伝達され、各タイヤ91-94が転舵される。転舵モータ71-74は、巻線が巻回されたステータ及びロータを含む機械的なモータ部と、巻線に通電される駆動電流を制御するモータ駆動装置とが一体に構成された機電一体型モータである。例えばモータ部は三相ブラスレスモータで構成されている。
【0019】
タイヤ角補正装置20は、移動方向指示装置15から指示された移動方向指示値に基づき、各タイヤ91-94の目標タイヤ角θ*1-θ*4を算出し、転舵モータ71-74に指示する。転舵モータ71-74は、各タイヤ91-94の実際のタイヤ角(以下「実タイヤ角」と記す)が目標タイヤ角θ*1-θ*4に近づくように駆動電流が制御され、転舵トルクT1-T4を出力する。タイヤ角は、車両前後軸に平行な中立位置が0であり、例えば反時計回り方向を正、中立位置から時計回り方向を負として表される。
【0020】
転舵モータ71-74の回転角度はモータ角度センサ651-654により検出され、巻線に流れるモータ電流はモータ電流センサ661-664により検出される。この情報を用いて、転舵モータ71-74は電流フィードバック制御により転舵トルクT1-T4を出力する。なお、転舵モータ71-74自体の動作はイニシャルチェック等で保証されており、指示通りの転舵トルクT1-T4が正常に出力されることを前提とする。
【0021】
図1に示す第1実施形態では、各タイヤ91-94のタイヤ角を直接検出するエンコーダ等のタイヤ角センサ671-674、及び、各タイヤ91-94に掛かるタイヤ負荷を直接検出するロードセル等のタイヤ負荷センサ681-684が設けられている。タイヤ負荷には前後力やタイヤトルク等を含む。例えばタイヤトルクは方向に応じて正負で定義される場合もあるため、タイヤ負荷の大きさは絶対値で表すこととする。
【0022】
タイヤ角補正装置20は、タイヤ角センサ671-674が検出した各タイヤの検出タイヤ角θs1-θs4、及び、タイヤ負荷センサ681-684が検出した各タイヤのタイヤ負荷Lt1-Lt4を取得する。検出タイヤ角θs1-θs4は、転舵モータ71-74にもフィードバックされる。
【0023】
図2に示す第2実施形態では、タイヤ角θs1-θs4及びタイヤ負荷Lt1-Lt4が直接検出される代わりにモータ角度及びモータ電流の検出値から推定され、タイヤ角補正装置20に取得される。つまり、第2実施形態においてタイヤ角センサは、転舵モータ71-74の回転角度を検出するモータ角度センサ651-654によって構成される。トルク伝達装置81-84のギア比等の特性に基づき、転舵モータ71-74の回転角度からタイヤ角θs1-θs4が推定される。
【0024】
また、第2実施形態においてタイヤ負荷センサは、転舵モータ71-74の巻線に流れるモータ電流を検出するモータ電流センサ661-664によって構成される。モータ電流とモータトルクとは相関し、モータトルクとタイヤトルクとは相関するため、トルク伝達装置81-84の特性に基づき、転舵モータ71-74のモータ電流からタイヤ負荷Lt1-Lt4が推定される。
【0025】
第2実施形態では、モータ角度センサ651-654及びモータ電流センサ661-664の検出値は、転舵モータ71-74のフィードバック制御だけでなく、タイヤ角補正装置20の情報としても用いられる。第1実施形態に比べ、専用のタイヤ角センサ671-674やタイヤ負荷センサ681-684が不要となるため車両100の部品数を低減することができる。
【0026】
ここで、モータ角度からタイヤ角θs1-θs4への換算、及び、モータ電流からタイヤ負荷Lt1-Lt4への換算は、モータ角度センサ651-654及びモータ電流センサ661-664側で行われてもよいし、タイヤ角補正装置20が行ってもよい。また、第1実施形態と第2実施形態との中間形態として、タイヤ角センサ又はタイヤ負荷センサの一方のみが、モータ角度センサ又はモータ電流センサによって構成されてもよい。
【0027】
以下、第1実施形態のタイヤ角センサ671-674が直接検出したタイヤ角、及び、第2実施形態のモータ角度センサ651-654の検出値から推定したタイヤ角を含めて「検出タイヤ角」と記す。また、第1実施形態と第2実施形態とをまとめて扱い、モータ角度センサを含むタイヤ角センサの符号を「651-651、671-674」で表し、モータ電流センサを含むタイヤ負荷センサの符号を「661-664、681-684」で表す。
【0028】
次に、タイヤ角補正装置20の構成を説明する前に、独立転舵車両100において生じ得るタイヤ角センサの検出タイヤ角に関する課題、及び、目標タイヤ角θ*1-θ*4を補正する意義について、図3図8を参照して説明する。従来、一般的な車両は左右対のタイヤがリンクを介して機械的に結合されており、ステアリングの操舵によってタイヤが転舵する。今後、ステアリングと左右対タイヤのリンクとが機械的に分離したステアバイワイヤや、左右前輪に加え、左右後輪も独立して転舵可能な四輪独立転舵車両に発展していくと考えられる。
【0029】
図3に示すように、四輪独立転舵車両100では、小回り旋回、斜め移動、横移動等の車両動作が可能になる。小回り旋回の図中、記号Cは旋回中心を示す。これらの車両動作が可能であるため、狭路での走行や縦列駐車等に有利である。以下の図で、独立転舵車両100の前側を流線形に図示する。車両の「前/後」及び「重心」の文字は図3のみに記載し、以下の図では省略する。
【0030】
図4に示すように、四輪独立転舵車両100ではアッカーマン理論に基づく旋回が可能である。各タイヤ91-94の目標タイヤ角θ*1-θ*4は、タイヤの幅中心線が旋回中心Cを中心とする旋回円の接線となるように、言い替えれば、タイヤの幅中心線が、旋回中心Cとタイヤ中心とを結ぶ直線と直交するように設定される。
【0031】
ここで、走行時のタイヤ角とその制御目的に注目する。直進走行中には電気自動車の電費を最大化すべく走行ロスを最小限にするため、図5に示すように、全タイヤ91-94のタイヤ角θ1-θ4をゼロにすることが好ましい。タイヤが進行方向に対し平行であるとき、タイヤ転がり抵抗の向きは進行方向と平行で反対向きになる。
【0032】
それに対し、図6に示すトーインの状態では、タイヤ91、92は進行方向に対し傾斜しており、タイヤ角θ1、θ2はゼロでない(θ1<0、θ2>0)。トーインでは車両100の直進性が安定する一方で、タイヤ転がり抵抗の向きは進行方向に対して傾斜し、タイヤの幅中心線と直交方向に横滑り力が発生する。タイヤ転がり抵抗と横滑り力との合成力が進行方向と平行で反対向きになる。この横滑り力(タイヤ横方向の摩擦力)により走行ロスが増加する。
【0033】
このように走行状態に応じて適切なタイヤ角を制御するため、タイヤ角センサ651-654、671-674により実タイヤ角を検出し、目標タイヤ角θ*1-θ*4に対してフィードバック制御する必要がある。この制御では、実タイヤ角θ1-θ4と検出タイヤ角θs1-θs4とが一致していることが前提となる。しかし、タイヤ角センサ651-654、671-674の取り付けが不適切だったり、モータ角度センサ651-654を用いる場合に走行中の外力等によりトルク伝達装置81-84でギアの歯飛びが発生したりすると、正しい実タイヤ角θ1-θ4が検出されなくなる。すると、実タイヤ角θ1-θ4と検出タイヤ角θs1-θs4とに乖離が生じる。
【0034】
図7に示す例では、右前輪92のタイヤ角センサ652、672の異常により実タイヤ角θ2と検出タイヤ角θs2とが乖離している。フィードバック制御上では目標タイヤ角θ*2をゼロにして直進しているつもりであるが、実際には右前輪92は内側を向いた状態で走り続けるため、ヨー旋回が発生する。このように、誤った検出タイヤ角に基づいてフィードバック制御が行われるため、走行ロスが増えたり、ヨー旋回等の不要な車両挙動が発生したりする。
【0035】
ここで、タイヤ負荷の絶対値|Lt1|-|Lt4|について、実質的に問題とならない範囲の上限値として異常判定閾値Ltthを設定する。右前輪92以外のタイヤ負荷の絶対値|Lt1|、|Lt3|、|Lt4|は異常判定閾値Ltth未満である。一方、右前輪92のタイヤ負荷の絶対値|Lt2|は異常判定閾値Ltth以上である。図中、右前輪92のタイヤ負荷の絶対値|Lt2|を表すブロック矢印が、他のタイヤ91、93、94のブロック矢印よりも大きく記されている。
【0036】
このことから、右前輪92以外のタイヤ91、93、94では実タイヤ角θ1、θ3、θ4と検出タイヤ角θs1、θs3、θs4とが許容範囲内で一致しており、タイヤ角センサ651、653、654、671、673、674が正常であると推認される。一方、右前輪92では実タイヤ角θ2と検出タイヤ角θs2とが許容範囲を超えて乖離しており、タイヤ角センサ652、672が異常であると推認される。
【0037】
図8に、定速直進走行時に右前輪92の実タイヤ角θ2と検出タイヤ角θs2とに差が生じていた場合のタイヤ角とタイヤ負荷(タイヤトルク)との関係(シミュレーション結果)を示す。右前(FR)輪92以外の左前(FL)輪91、左後(RL)輪93、右後(RR)輪94の目標タイヤ角θ*1、θ*3、θ*4、実タイヤ角θ1、θ3、θ4、及び、検出タイヤ角θs1、θs3、θs4はいずれも0[deg]である。右前輪92の実タイヤ角θ2が0[deg]ならば、全てのタイヤ負荷Lt1-Lt4は0[Nm]となる。
【0038】
しかし、右前輪92の検出タイヤ角θs2に誤差が生じると、フィードバック制御により右前輪92を直進方向に戻そうとする作用が働き、目標タイヤ角θ*2及び実タイヤ角θ2は0から外れた値になる。それに従い、各タイヤ負荷Lt1-Lt4は線形に変化する。図8には、タイヤ角がゼロの基準線に対しトーアウトの場合を右側、トーインの場合を左側に記す。右前輪92のタイヤ負荷の絶対値|Lt2|は、他のタイヤ91、93、94のタイヤ負荷の絶対値|Lt1|、|Lt3|、|Lt4|に比べて大きい。
【0039】
例えば四輪のうち右前輪92のタイヤ負荷の絶対値|Lt2|のみが異常判定閾値Ltth以上であれば、右前輪92のタイヤ角センサ652、672の検出タイヤ角θs2が実タイヤ角θ2と乖離している異常であると判定される。そして、実タイヤ角θ2と検出タイヤ角θs2との差分に相当する角度だけ右前輪92の目標タイヤ角θ*2を補正することで、実タイヤ角θ2は0[deg]に近づく。その結果、右前輪92のタイヤ負荷の絶対値|Lt2|は0に近づくように低減される。
【0040】
本実施形態のタイヤ角補正装置20は、この考え方に基づき、走行中のタイヤ負荷Lt1-Lt4を検出することで、タイヤ角センサ651-654、671-674の異常を判定する。さらに、タイヤ角センサの異常が判定されたタイヤに対しタイヤ負荷の絶対値を低減するように目標タイヤ角を補正することで、実タイヤ角を本来の狙い値に近づけ、走行ロスの増加や不要な車両挙動の発生防止を図る。
【0041】
次に図9図12を参照し、タイヤ角補正装置20の構成について説明する。図9に示すように、タイヤ角補正装置20は、目標タイヤ角算出制御部25、タイヤ角センサ異常判定部26、及び、オプション構成として補正タイヤ角記憶部27を備える。タイヤ角センサ651-651、671-674が検出したタイヤ角θs1-θs4は、目標タイヤ角算出制御部25に入力される。タイヤ負荷センサ661-664、681-684が検出したタイヤ負荷Lt1-Lt4は、目標タイヤ角算出制御部25及びタイヤ角センサ異常判定部26に入力される。
【0042】
目標タイヤ角算出制御部25は、タイヤ角補正装置20の基本機能として、移動方向指示装置15から指示された移動方向指示値に基づき目標タイヤ角θ*1-θ*4を算出し、転舵モータ71-74に指示する。また目標タイヤ角算出制御部25は、タイヤ角センサ651-654、671-674が検出した各タイヤの検出タイヤ角θs1-θs4を取得し、目標タイヤ角θ*1-θ*4に対してフィードバック制御する。
【0043】
図10に角度フィードバック制御の構成を示す。左前輪91に対応する末尾「1」の要素の符号及び角度の記号を代表として記す。目標タイヤ角算出制御部25は、補正演算器255、偏差算出器256、加算器257、乗算器258等を含む。偏差算出器256は、目標タイヤ角θ*1と、タイヤ角センサ651、671が検出した検出タイヤ角θs1とのタイヤ角偏差Δθ1を算出する。加算器257は目標タイヤ角θ*1とタイヤ角偏差Δθ1とを加算する。乗算器258は、加算器257が算出した値にゲインを乗じて転舵モータ71に出力する。
【0044】
後述のように、タイヤ負荷センサ661、681が検出したタイヤ負荷Lt1に基づきタイヤ角センサの異常が判定されると、補正タイヤ角が補正演算器255に入力される。図10の例では補正演算器255において補正タイヤ角が減算されるが、補正演算器255における加算又は減算は、補正タイヤ角の正負の定義に応じて適宜変更してよい。
【0045】
タイヤ角センサ異常判定部26は、いずれかのタイヤについてタイヤ負荷の絶対値|Lt1|-|Lt4|が異常判定閾値Ltth以上であるとき、対応するタイヤ角センサの検出タイヤ角が実タイヤ角と乖離している異常であると判定する。タイヤ角センサ異常判定部26は、タイヤ角センサの異常を判定すると、目標タイヤ角算出制御部25に異常フラグ及び補正指示を送信する。
【0046】
目標タイヤ角算出制御部25は、タイヤ負荷Lt1-Lt4に応じて目標タイヤ角θ*1-θ*4を補正する。詳しくは、目標タイヤ角算出制御部25は、タイヤ角センサ異常判定部26によりタイヤ角センサの異常が判定されたとき、異常フラグ及び補正指示を受信すると、対応するタイヤについてタイヤ負荷の絶対値|Lt1|-|Lt4|を低減させる方向に目標タイヤ角θ*1-θ*4を補正する。目標タイヤ角θ*1-θ*4の補正は、タイヤ負荷の絶対値|Lt1|-|Lt4|が異常判定閾値Ltthを下回り、異常フラグが消失するまで、すなわち異常判定が解消するまで続けられる。
【0047】
図11において、白抜きの丸印及び四角印は補正前の実タイヤ角及び検出タイヤ角を示し、ハッチングが入った丸印及び四角印は補正後の実タイヤ角及び検出タイヤ角を示す。補正前の実タイヤ角をα、補正後の実タイヤ角をβ(0<β<α)とする。直進走行中を想定したとき、補正前の実タイヤ角は進行方向に対して傾いており、タイヤ負荷は異常判定閾値Ltthを超えている。しかし、検出タイヤ角は目標タイヤ角と同じ0[deg]であるため、フィードバック制御によりその状態が維持されている。
【0048】
タイヤ角センサ異常判定部26が異常判定し補正指示すると、目標タイヤ角算出制御部25は、補正後の実タイヤ角が異常判定閾値を下回るまで、目標タイヤ角を負方向に補正する。検出タイヤ角は実タイヤ角との差分を維持しつつ負方向にシフトする。このとき、補正前の実タイヤ角から補正後、すなわち異常判定解消時の実タイヤ角までの角度変化量(α-β)が目標タイヤ角に対する補正量である「補正タイヤ角」と定義される。補正タイヤ角記憶部27は、補正タイヤ角を記憶する。
【0049】
本実施形態では、検出タイヤ角と実タイヤ角とのずれが走行中のタイヤ負荷と相関することに着目し、目標タイヤ角算出制御部25は、タイヤ負荷Lt1-Lt4に応じて目標タイヤ角θ*1-θ*4を補正する。具体的には、目標タイヤ角算出制御部25は、タイヤ負荷の絶対値|Lt1|-|Lt4|を低減させる方向に目標タイヤ角θ*1-θ*4を補正する。これにより、本実施形態のタイヤ角補正装置20は、独立転舵車両100の走行中にタイヤ角を補正可能である。
【0050】
また、本実施形態では目標タイヤ角の補正を常時行うのではなく、タイヤ負荷の絶対値|Lt1|-|Lt4|が所定の異常判定閾値Ltth以上であるときにのみ、タイヤ角センサ異常判定部26から目標タイヤ角算出制御部25に補正指示される。つまり、検出タイヤ角と実タイヤ角とが完全に一致していなくても、角度差が許容範囲であれば補正されない。これにより、演算負荷を低減することができる。
【0051】
また、タイヤ角センサ651-654、671-674が一旦異常になると、適切な設備及び手順で修正しない限り、検出タイヤ角はずれたままの状態となり、常に補正制御が繰り返される。そこで、初回に異常判定されたときの補正タイヤ角が補正タイヤ角記憶部27に記憶され、以後、目標タイヤ角算出制御部25は、補正タイヤ角記憶部27に記憶された補正タイヤ角を用いて目標タイヤ角θ*1-θ*4を算出する。これにより、次回以降の補正制御の発生を抑制することができる。
【0052】
また、図12に示すように、異常判定閾値は目標タイヤ角に応じて可変に設定される。検出タイヤ角のズレにより生じるタイヤ負荷は直進状態と旋回状態とで異なる。したがって、異常判定閾値が目標タイヤ角に応じて可変に設定されることで、誤判定の発生を低減し、また異常判定の感度を高めることができる。
【0053】
本実施形態のタイヤ角補正装置20は、運転者に異常を報知する異常報知装置30を備えた車両100に搭載されることが好ましい。タイヤ角センサ異常判定部26は、タイヤ角センサの異常と判定したとき、異常報知装置30に通知する。異常報知装置30が運転者に異常を報知することで、早期にディーラー等でのメンテナンスを促すことができる。
【0054】
本実施形態のタイヤ角補正装置20は、車両速度を検出する車両速度検出装置40を備えた車両に搭載されることが好ましい。車両速度は目標タイヤ角算出制御部25及びタイヤ角センサ異常判定部26に入力される。車両速度が所定範囲内にある場合のみ、タイヤ角センサ異常判定部25による異常判定、及び、目標タイヤ角算出制御部26による目標タイヤ角θ*1-θ*4の補正が実行される。高速走行中の旋回時には低速走行中の旋回時に比べ目標タイヤ角の絶対値が小さい。また、高速走行中の旋回時にはタイヤに横滑りが発生しやすくなり、実タイヤ角と検出タイヤ角とのズレによるタイヤ負荷への影響が小さくなる。したがって、高速域を除外して所定の車両速度以下でのみ異常判定を行うことで誤判定を低減させることができる。
【0055】
図13のフローチャートに、タイヤ角補正装置20による処理を示す。フローチャートの説明で記号「S」はステップを意味する。破線枠のS3、S4、S7、S10の各ステップは、タイヤ角補正装置20又は車両100の構成によっては実施されなくてもよい。この処理は、車両100の走行中、移動方向指示値が入力される度に繰り返される。
【0056】
S1で目標タイヤ角算出制御部25は、移動方向指示値に基づき、各タイヤの目標タイヤ角θ*1-θ*4を算出する。前回までのルーチンで補正タイヤ角記憶部27に補正タイヤ角が記憶されている場合、目標タイヤ角算出制御部25は、記憶された補正タイヤ角を用いて目標タイヤ角θ*1-θ*4を算出する。S2では、転舵モータ71-74の駆動電流が操作されることで、検出タイヤ角θs1-θs4が目標タイヤ角θ*1-θ*4に近づくようにフィードバック制御される。
【0057】
S3でタイヤ角センサ異常判定部26は、目標タイヤ角θ*1-θ*4に応じて異常判定閾値を可変に設定する。車両速度検出装置40を備えた車両100において、S4では車両速度が所定範囲内であるか、例えば車速速度閾値以下であるか判断される。S4でNOの場合、例えば高速走行中の場合、ルーチンは終了する。S4でYESの場合、S5に移行し、タイヤ角センサ異常判定部26は、タイヤ負荷センサ661-664、681-684からタイヤ負荷Lt1-Lt4を取得する。
【0058】
S6でタイヤ角センサ異常判定部26は、各タイヤ91-94についてタイヤ負荷の絶対値|Lt1|-|Lt4|が異常判定閾値Ltth以上であるか判断する。全てのタイヤ91-94についてS6でNOの場合、ルーチンは終了する。いずれかのタイヤについてS6でYESの場合、対応するタイヤ角センサ651-654、671-674が異常と判定される。
【0059】
異常報知装置30を備えた車両100において、S7でタイヤ角センサ異常判定部26は、タイヤ角センサの異常と判定したとき、異常報知装置30に通知し、運転者に対して異常報知させる。また、S8でタイヤ角センサ異常判定部26は、異常フラグ及び補正指示を目標タイヤ角算出制御部25に出力する。
【0060】
S9で目標タイヤ角算出制御部25は、タイヤ角センサ651-654、671-674が異常と判定されたタイヤについて、タイヤ負荷の絶対値|Lt1|-|Lt4|を低減させる方向に目標タイヤ角θ*1-θ*4を補正する。この補正は、タイヤ負荷の絶対値|Lt1|-|Lt4|が異常判定閾値Ltthを下回るまで継続される。また、タイヤ角補正装置20が補正タイヤ角記憶部27を備える構成において、S10で補正タイヤ角記憶部27は、補正タイヤ角を記憶する、
【0061】
最後に図14を参照し、左右前輪91、92がラックバー95で連結されたステアバイワイヤ(SBW)システムの車両(以下「SBW車両」と記す)109の動作について、四輪独立転舵車両100の動作との違いを説明する。SBW車両109のラックバー95は、ステア(操舵装置)19とは機械的に分離されている。ステア19からの電気信号により転舵モータ79が駆動されるとラックバー95は左右に移動し、ラックバー95の両端に設けられた左右前輪91、92が連動して転舵する。角度センサ679はラックバー95のストロークを検出し、左右前輪91、92の転舵角を算出する。
【0062】
[1]左右前輪91、92の実タイヤ角の関係がトーイン又はトーアウトになっている場合、走行しながらのタイヤ角調整は不可能であり、タイヤに負荷が掛かり続ける。これに対し四輪独立転舵車両100では個別のタイヤ角調整が可能であり、タイヤ負荷を最小化可能である。
【0063】
[2]直進走行中に左右前輪91、92が中立位置から例えば左側にずれて旋回モードになっている場合、タイヤ負荷が比較的小さいため異常と判定されない。
【0064】
[3]SBW車両109では、旋回中、ラックバー95とタイヤ91、92とのリンク機構の構造上の限界により、アッカーマン理論に基づく旋回にはならない。したがって、正常時でもタイヤ負荷が比較的大きくなるため、検出タイヤ角のずれによる異常との区別がつかず、異常判定できない。
【0065】
(その他の実施形態)
(a)タイヤ角補正装置20は、例えば演算負荷を低減するニーズがなければ、補正タイヤ角記憶部27を備えず、タイヤ角センサ異常判定部から異常フラグ及び補正指示を受信する度に補正タイヤ角を繰り返し算出してもよい。
【0066】
(b)タイヤ角補正装置20は、タイヤ負荷の絶対値|Lt1|-|Lt4|と異常判定閾値Ltthとを比較して異常判定するタイヤ角センサ異常判定部26を備えなくてもよい。その場合、目標タイヤ角算出制御部25は、わずかな検出タイヤ角と実タイヤ角の差に対しても常に目標タイヤ角θ*1-θ*4の補正を実行してもよい。
【0067】
(c)図1図2では、タイヤ角補正装置20は、転舵モータ71-74に一体に構成されたモータ駆動装置の上位の制御装置として図示されている。この構成に限らず、タイヤ角補正装置20と、各転舵モータ71-74のモータ駆動装置とが一体に機能するようにしてもよい。例えば、四つのモータ駆動装置が互いに情報通信することにより協調してタイヤ角補正装置20の機能を実現してもよい。
【0068】
(d)タイヤ角補正装置20が搭載される独立転舵車両は四輪車両に限らず、三輪車両や六輪車両等を含む「三輪以上のタイヤが独立して転舵可能な車両」であればよい。
【0069】
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
【0070】
「前記異常判定閾値は、前記目標タイヤ角に応じて可変に設定されるタイヤ角補正装置。」についての開示は、補正タイヤ角記憶部を備えることを特定したタイヤ角補正装置についての開示と組み合わされてもよい。
【0071】
「車両速度を検出する車両速度検出装置を備えた車両に搭載され、車両速度が所定範囲内にある場合のみ、前記タイヤ角センサ異常判定部による異常判定及び前記目標タイヤ角算出制御部による前記目標タイヤ角の補正が実行されるタイヤ角補正装置。」についての開示と、「運転者に異常を報知する異常報知装置を備えた車両に搭載され、前記タイヤ角センサ異常判定部は、前記タイヤ角センサの異常と判定したとき、前記異常報知装置に通知するタイヤ角補正装置。」についての開示とは互いに組み合わされてもよい。
【0072】
本開示に記載の各制御部(目標タイヤ角算出制御部、タイヤ角センサ異常判定部)及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の各制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の各制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
15・・・移動方向指示装置、
20・・・タイヤ角補正装置、
25・・・目標タイヤ角算出制御部、
26・・・タイヤ角センサ異常判定部、 27・・・補正タイヤ角記憶部、
651-654・・・モータ角度センサ(タイヤ角センサ)、
661-664・・・モータ電流センサ(タイヤ負荷センサ)、
671-674・・・タイヤ角センサ、
681-684・・・タイヤ負荷センサ、
71-74・・・転舵モータ、 81-84・・・トルク伝達装置、
91-94・・・タイヤ、 100・・・(独立転舵)車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
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図13
図14