(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162698
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】サーバ装置、ファイル共有システム用プログラム、及び、ファイル共有システム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/16 20190101AFI20241114BHJP
G06F 15/00 20060101ALI20241114BHJP
G06F 3/04817 20220101ALI20241114BHJP
G06F 3/14 20060101ALI20241114BHJP
G06F 16/176 20190101ALI20241114BHJP
【FI】
G06F16/16
G06F15/00 440Z
G06F3/04817
G06F3/14 370A
G06F16/176
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078507
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】523093653
【氏名又は名称】DriveChecker株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(72)【発明者】
【氏名】北畠 智弘
(72)【発明者】
【氏名】原田 礼朗
(72)【発明者】
【氏名】筒井 裕一
【テーマコード(参考)】
5B069
5E555
【Fターム(参考)】
5B069AA01
5B069HA03
5B069HA07
5B069JA02
5E555AA23
5E555AA28
5E555BA02
5E555BA05
5E555BA06
5E555BA54
5E555BB02
5E555BB05
5E555BB06
5E555BC04
5E555BD01
5E555CA02
5E555CB02
5E555CB06
5E555CB34
5E555CB35
5E555CC01
5E555DB18
5E555DB19
5E555DB45
5E555DC13
5E555DC35
5E555DC61
5E555DD07
5E555EA07
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】共有状態の誤継続を回避し得るファイル共有システムを提供すること。
【解決手段】サーバ装置100は、一のユーザに対する共有ファイルに他のユーザに対する共有がされた場合に、前記各ユーザに対して共有状態であることを、当該共有ファイルの共有要求元のクライアント装置に付帯するディスプレイに表示させる制御を行う表示制御手段を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツリー構造のフォルダのいずれかに格納されているファイルの共有をファイル単位又はフォルダ単位で実行する共有実行手段と、
前記共有実行手段によって共有されたファイルの被共有者が所定のグループのメンバーであるか否かを特定する特定手段と、
前記特定手段による特定結果に従ってクライアント装置に付帯するディスプレイに表示させる前記共有されたファイルのアイコンの表記を変更する変更手段と、
を備える、サーバ装置。
【請求項2】
前記変更手段は、前記共有実行手段によってフォルダ単位でファイルの共有が実行された場合に、当該共有されたフォルダのアイコンの表記を前記特定手段による特定結果に従って変更する手段である、請求項1記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記特定手段は、前記ファイルの共有の際に用いられるメールアドレスのドメイン又はアカウントに基づいて、被共有者が所定のグループのメンバーであるか否かを特定する手段である、請求項1記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記共有されたファイルのパスを前記クライアント装置に対して提示するパス提示手段を備える、請求項1記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記共有されたファイルに対する被共有者数を示す情報を前記クライアント装置に対して提示する人数情報提示手段を備える、請求項1記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記共有されたファイルに対する最終アクセス時刻を示す情報を前記クライアント装置に対して提示する時刻情報提示手段を備える、請求項1記載のサーバ装置。
【請求項7】
ツリー構造のフォルダのいずれかに格納されているファイルの共有をファイル単位又はフォルダ単位で実行するステップと、
前記共有されたファイルの被共有者が所定のグループのメンバーであるか否かを特定するステップと、
前記特定した結果に従ってクライアント装置に付帯するディスプレイに表示させる前記共有されたファイルのアイコンの表記を変更するステップと、
を、サーバ装置に実行させるファイル共有システム用プログラム。
【請求項8】
請求項1記載のサーバ装置と、
前記サーバ装置にネットワークを介して接続される複数のクライアント装置と、
を備える、ファイル共有システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置、ファイル共有システム用プログラム、及び、ファイル共有システムに関し、特に、ファイルの共有状態を見える化する、サーバ装置、ファイル共有システム用プログラム、及び、ファイル共有システムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に記載されているように、既存のファイル共有システムの一つとして、Google社が提供している「Googleドライブ」というものがある。Googleドライブでは、Google社のストレージに保存しているデータを、ファイル単位或いはフォルダ単位で、誰に対しても共有を許可することができる。
【非特許文献1】https://www.google.com/intl/ja_jp/drive/
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、例えば、ビジネスシーンでは、オンラインミーティング中に、先方に閲覧させたいファイルが保存されているフォルダを取り急ぎ共有状態とし、オンラインミーティング終了後にその共有状態を解除することも考えられる。
【0004】
しかし、Googleドライブでは、ツリー構造のフォルダのいずれかを共有状態とすると、当該フォルダに保存されているファイルはもとより、当該フォルダよりも下位層にある全てのフォルダ及び全てのファイルも共有状態となる仕様となっている。
【0005】
このため、共有状態の解除を失念するというヒューマンエラーによって、意図しない共有状態が維持してしまうこともあり得る。このようなヒューマンエラーを回避し易くする或いは早期にこのようなヒューマンエラーに気付けるようにするためには、ユーザに現状の共有状態を見える化することが有益であるし、現状の共有状態を見える化をすることは、ユーザの利便性を向上させることにもなる。
【0006】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みて、現状のファイルの共有状態を見える化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のサーバ装置は、
ツリー構造のフォルダのいずれかに格納されているファイルの共有をファイル単位又はフォルダ単位で実行する共有実行手段と、
前記共有実行手段によって共有されたファイルの被共有者が所定のグループのメンバーであるか否かを特定する特定手段と、
前記特定手段による特定結果に従ってクライアント装置に付帯するディスプレイに表示させる前記共有されたファイルのアイコンの表記を変更する変更手段と、
を備える。
【0008】
なお、前記変更手段は、前記共有実行手段によってフォルダ単位でファイルの共有が実行された場合に、当該共有されたフォルダのアイコンの表記を前記特定手段による特定結果に従って変更する手段であってもよい。
【0009】
また、前記特定手段は、前記ファイルの共有の際に用いられるメールアドレスのドメイン又はアカウントに基づいて、被共有者が所定のグループのメンバーであるか否かを特定する手段であってもよい。
【0010】
さらに、前記共有されたファイルのパスを前記クライアント装置に対して提示するパス提示手段を備えることもできる。
【0011】
さらにまた、前記共有されたファイルに対する被共有者数を示す情報を前記クライアント装置に対して提示する人数情報提示手段を備えることもできる。
【0012】
またさらに、前記共有されたファイルに対する最終アクセス時刻を示す情報を前記クライアント装置に対して提示する時刻情報提示手段を備えることもできる。
【0013】
本発明のファイル共有システム用プログラムは、
ツリー構造のフォルダのいずれかに格納されているファイルの共有をファイル単位又はフォルダ単位で実行するステップと、
前記共有されたファイルの被共有者が所定のグループのメンバーであるか否かを特定するステップと、
前記特定した結果に従ってクライアント装置に付帯するディスプレイに表示させる前記共有されたファイルのアイコンの表記を変更するステップと、
を、サーバ装置に実行させる。
【0014】
本発明のファイル共有システムは、
上記サーバ装置と、
前記サーバ装置にネットワークを介して接続される複数のクライアント装置と、
を備える。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
(前提の概要説明)
本発明のファイル共有システムは、ファイルの意図しない共有状態が維持することを回避し易くしたい場合などに好適に用いることができる。本明細書において、Googleドライブのように、「共有」の対象はファイル単位のみならず、それが保存されているフォルダ単位でも行うことができる。さらに、特定のフォルダを共有状態とすると、当該フォルダに保存されているファイルはもとより、当該フォルダよりも下位層にある全てのフォルダ及び全てのファイルも共有状態となる仕様がされているものとする。
【0017】
なお、「フォルダ」という用語は、一般に、オペレーティングシステム(OS)の操作画面上で、複数の永続的な操作対象(ファイルやOSの機能など)をまとめて格納・分類することができる名前の付いた保管場所のことをいうが、OSのファイルシステムによって管理されるストレージ上で、ファイルをグループ分けしてそれぞれ名前をつけて保管することができる格納場所である「ディレクトリ」もこれに含まれるものとする。
【0018】
(構成の概要説明)
図1は、本発明の実施形態のファイル共有システムの模式的な構成を示すブロック図である。
図1には、以下説明する、サーバ装置100と、第1~第nクライアント装置200A~200N(これらを相互に区別しないものを「クライアント装置200」と称する。)と、ネットワーク300と、ストレージ400と、を示している。
【0019】
サーバ装置100は、本実施形態のファイル共有システムの管理者等によって管理されるものである。サーバ装置100は、クライアント装置200を操作するファイル共有システムのユーザに対して、ウェブを通じたファイル共有サービスを提供するために、業務用コンピュータ等によって実現することができる。
【0020】
クライアント装置200は、本実施形態のファイル共有システムのユーザによって操作されるものである。クライアント装置200は、サーバ装置100との間で通信が可能なパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)などによって実現することができる。
【0021】
ネットワーク300は、インターネット、携帯電話網、固定電話網などのネットワーク全般の総称である。ネットワーク300には、インターネットの下流で構築されるローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワークを含むこともできる。
【0022】
ストレージ400は、クライアント装置200を操作するファイル共有システムのユーザ毎に固有の格納領域が割り当てられ、各ユーザから送信されるファイルが当該各ユーザによって指定されたフォルダ内に保存されるものである。
【0023】
以下、本実施形態のファイル共有システムを利用する「Aさん」、「Bさん」、「Nさん」というユーザが操作するものを、それぞれ、クライアント装置200A、クライアント装置200B、クライアント装置200Nとする。
【0024】
そして、Aさんがクライアント装置200Aを操作して作成したファイルをストレージ400に保存し、Bさん及びNさんが操作するクライアント装置200B及び200Nで共有させる場合の動作を例に説明する。
【0025】
なお、ここではAさんとBさんとは同一の会社に勤務する社員であり、したがって、Bさんに対するファイルの共有(以下、ファイルを共有することを「ファイル共有」ともいい、また、共有されたファイルを「共有ファイル」ともいう。同様にフォルダについては「フォルダ共有」、「共有フォルダ」ともいう。)が維持されても特段の不利益はないものの、AさんとNさんとは別会社に勤務する社員であり、したがって、Nさんに対するファイル共有が維持されると不利益が生じ得るものとする。本明細書ではBさんのように不利益がない者を「非不利益者」とも称し、Nさんのように不利益が生じ得る者を「不利益者」とも称する。
【0026】
(動作の概要説明)
図2~
図3は、本発明の実施形態のファイル共有システムの動作の概要説明図である。まず、
図2の「共有前」という枠について参照されたい。この枠は、ストレージ400におけるAさん固有の保存領域をイメージしたものである。この枠内には、4つのフォルダA~D、及び、8つのファイルa1~a2,b1~b2,c1~c2,d1~d2が保存されていることを示している。
【0027】
フォルダA~Dは、相互に直列関係にあり、具体的には、フォルダAにはフォルダBが保存され、フォルダBにはフォルダCが保存され、フォルダCにはフォルダDが保存されていることを示している。つまり、例えばフォルダAを基準とすると、フォルダB~Dはいずれも下位にあるフォルダであり、例えばフォルダCを基準とすると、フォルダDのみが下位にあるフォルダである。
【0028】
フォルダAには2つのファイルa1~a2が保存され、同様に、フォルダB~Dにもそれぞれ2つずつファイルb1~b2,c1~c2,d1~d2が保存されていることを示している。
【0029】
図2~
図3における「共有前」という状態は、フォルダA~D及びこれらに保存されているファイルa1~a2,b1~b2,c1~c2,d1~d2のいずれもが、クライアント装置200B,200Nに対して共有状態になっておらず、したがって、クライアント装置200B,200Nでは、ファイルa1~a2,b1~b2,c1~c2,d1~d2を閲覧等することができないことを意味する。
【0030】
なお、
図2~
図3には、各フォルダA~Dと各ファイルa1~a2,b1~b2,c1~c2,d1~d2との関係を模式的に示しているだけであり、クライアント装置200Aに付帯するディスプレイに、必ずしも
図2~
図3に示す態様でアイコンの表示がされるわけではない。そのことは、例えば、マイクロソフト社のウィンドウズエクスプローラーのようなユーザインタフェースを思い浮かべると理解しやすい。
【0031】
すなわち、そのようなユーザインタフェースでは、『フォルダA』のアイコンがいわゆる「閉じる」状態で表示されているならば、『フォルダA』に保存されている「ファイルa1」等のアイコンは表示されない。Aさんが実行する操作、及び、それに応じて遷移する表示態様について整理して更に説明する。
【0032】
(1)『フォルダA』のアイコンがいわゆる「閉じる」表示されている状態では、『フォルダA』に保存されている例えば「ファイルa1」のアイコンや、『フォルダA』の下位の例えば『フォルダB』及びそれに含まれている例えば「ファイルb1」の各アイコンは表示されない。
【0033】
(2)Aさんが『フォルダA』のアイコンの表示領域をマウスでダブルクリックするなどして、いわゆる「開く」ための操作を実行すると、『フォルダA』のアイコンが開いた表示態様に遷移するとともに、「ファイルa1」及び「ファイルa2」の各アイコンと、「閉じる」状態にある『フォルダB』のアイコンとが、それぞれ表示される。この状態では、『フォルダB』に保存されている例えば「ファイルb1」のアイコンや、『フォルダB』の下位の例えば『フォルダC』及びそれに含まれている例えば「ファイルc1」の各アイコンは表示されない。
【0034】
(3)Aさんが『フォルダB』のアイコンの表示領域をマウスでダブルクリックするなどして、いわゆる「開く」ための操作を実行すると、『フォルダB』のアイコンが開いた表示態様に遷移するとともに、「ファイルb1」及び「ファイルb2」の各アイコンと、「閉じる」状態にある『フォルダC』のアイコンとが、それぞれ表示される。この状態では、『フォルダC』に保存されている例えば「ファイルc1」のアイコンや、『フォルダC』の下位の例えば『フォルダD』及びそれに含まれている例えば「ファイルd1」の各アイコンは表示されない。
【0035】
(4)Aさんが『フォルダC』のアイコンの表示領域をマウスでダブルクリックするなどして、いわゆる「開く」ための操作を実行すると、『フォルダC』のアイコンが開いた表示態様に遷移するとともに、「ファイルc1」及び「ファイルc2」の各アイコンと、「閉じる」状態にある『フォルダD』のアイコンとが、それぞれ表示される。この状態では、『フォルダC』の下位の『フォルダD』に保存されている例えば「ファイルd1」の各アイコンは表示されない。
【0036】
ところで、特定のファイルの保存先を示す情報として、コンピュータ内で特定のファイルの所在を表す文字列がある。このような文字列は、パスと称されている。例えば、
図2~
図3における「ファイルd1」のパスは、当該ファイルが、『フォルダA』の下位にある『フォルダB』の下位にある『フォルダC』の下位にある『フォルダD』に保存されているので、「¥フォルダA¥フォルダB¥フォルダC¥フォルダD¥ファイルd1」や「\フォルダA\フォルダB\フォルダC\フォルダD\ファイルd1」のように表記されることがある。
【0037】
本実施形態では、クライアント装置200Aに付帯するディスプレイに、例えば、共有ファイル自体や共有フォルダのパスに含まれる当該共有フォルダ以下の下位フォルダ及び下位ファイルのアイコンを、他のフォルダやファイルのアイコンと区別し、かつ、共有先が非不利益者であるか不利益者の種別に従って表示させる制御を行えるようにしていることも特徴的である。
【0038】
なお、その場合の表示態様としては、これらに限定されるわけではないが、例えばユーザ毎に、フォルダの共有の有無に対応して、アイコンの着色を相互に相違させて表示させたり、見掛け上それらの点灯/点滅の別で表示させたり、網掛けの有無を相互に相違させて表示させたり、アイコンの形状を含む形態を変更したりすることが考えられる。
【0039】
その他にも、例えばユーザ毎に、フォルダの共有の有無に対応して、アイコンに付帯するフォルダ名のテキストのフォントの種別・スタイル・下線や強調やハイライトの有無を相互に相違させて表示させることも可能である。加えて、実際に共有をしたフォルダ自体には、例えば「非不利益者」及び「不利益者」の人数を色違いで付記してもよい。
【0040】
また、共有フォルダについては、例えばユーザ毎に、そのフォルダ名のテキストに共有状態を示す絵文字を付加することも一法である。或いは、これらに代えて又はこれらとともに、例えば共有フォルダを示すアイコンをクリックした場合に、クリック対象が共有フォルダに対する共有者数に応じて異なる効果音を出力することも可能である。
【0041】
以下、
図2~
図3に戻り、「共有前」の状態にあることを前提として、「パターン1-1」,「パターン2-1」,「パターン3-1」,「パターン4-1」のアイコンの表示態様について説明する。
【0042】
なお、既知のように、共有対象としたいフォルダ/ファイルのアイコンを指定した状態で、マウスの右クリックをした場合などに表示されるポップアップ画面内に、当該フォルダ/ファイルを共有対象とするための「共有」の項目を表示し、この項目が指定されると、当該フォルダ/ファイルの共有要求がサーバ装置100に送信されるようにしておけばよい。
【0043】
<パターン1-1>
Aさんが、「共有前」の状態で、クライアント装置200Aを操作して、「ファイルa1」を、非不利益者であるBさん(クライアント装置200B)に共有する指示をする場合には、Aさんは、クライアント装置200Aに付帯するディスプレイに「ファイルa1」のアイコンを表示させ、そのアイコンを指定した状態で、マウスの右クリックなどして表示されるポップアップ画面内の「共有」の項目を左クリックなどする。クライアント装置200Aは、このような操作に従って、「ファイルa1」の共有要求をサーバ装置100に送信する。
【0044】
サーバ装置100は、クライアント装置200Aからの共有要求に従って、既知のように「ファイルa1」についてのファイル共有を実行する。更に、サーバ装置100は、クライアント装置200Aに付帯するディスプレイに表示される、共有対象の「ファイルa1」のアイコンについて共有先が非不利益者であることを示す変更をする(例えば当該アイコンの着色を変更する)一方で、その「ファイルa1」とは無関係の「ファイルa2」や『フォルダB』等のアイコンについてはそのような変更しないという表示制御を行う(以下、便宜上、変更前の着色を「着色α」といい、変更後の着色を「着色β」という。)。
【0045】
すなわち、パターン1-1の場合には、クライアント装置200Aに付帯するディスプレイでは、「ファイルa1」のアイコンが非不利益者に対して共有したことを示す着色βの表示態様に変更される一方で、それ以外の『フォルダB』や「ファイルa1~a2」等のアイコンが着色αの表示態様のままであるので、ファイルの共有の有無が、着色α,βによって相互に識別可能となる。
【0046】
なお、パターン1-1の状態からAさんがフォルダBを開いた場合に表示される「ファイルb1」及び「ファイルb2」のアイコンも『フォルダC』のアイコンも、上記パスとは無関係であるので着色αの表示態様のままである。以下、各パターン2-1~4-2の動作については、冗長さを回避するため、共有ファイルに関する表示態様に着目して説明する。
【0047】
<パターン2-1>
Aさんが、「共有前」の状態で、クライアント装置200Aを操作して、『フォルダA』をBさんに共有する指示をすると、クライアント装置200Aは、その共有要求をサーバ装置100に送信する。
【0048】
この場合、『フォルダA』を含むそれ以下のパスに含まれる、『フォルダA』に保存されている「ファイルa1~a2」はもとより、『フォルダA』の下位の『フォルダB~D』に保存されている「ファイルb1~b2,c1~c2,d1~d2」も共有状態となる。
【0049】
したがって、サーバ装置100は、クライアント装置200Aに付帯するディスプレイに表示される、
『フォルダA』に保存されている「ファイルa1~a2」のアイコン及び『フォルダA』より下位の『フォルダB~D』及びそこに保存されている「ファイルb1~b2,c1~c2,d1~d2」のアイコンを着色βで表示させる制御を行う。また、『フォルダA』の共有先はBさんという1人の非不利益者であるから、そのことを示す例えば「(1)」という表示を『フォルダA』に付記することもできる。
【0050】
<パターン3-1>
Aさんが、「共有前」の状態で、クライアント装置200Aを操作して、『フォルダC』をBさんに共有する指示をすると、クライアント装置200Aは、その共有要求をサーバ装置100に送信する。
【0051】
この場合、『フォルダC』を含むそれ以下のパスに含まれる、『フォルダC』に保存されている「ファイルc1~c2」はもとより、『フォルダC』の下位の『フォルダD』に保存されている「ファイルd1~d2」も共有状態となる。
【0052】
したがって、サーバ装置100は、クライアント装置200Aに付帯するディスプレイに表示される、『フォルダC』に保存されている「ファイルc1~c2」のアイコン及び『フォルダC』より下位の『フォルダD』及びそこに保存されている「ファイルd1~d2」のアイコンを着色βで表示させる制御を行う。念のため付言すると、当該パスとは異なるパスに係る例えば「ファイルa1」のアイコンについては着色αでの表示態様のままである。
【0053】
<パターン4-1>
Aさんが、「共有前」の状態で、クライアント装置200Aを操作して、「ファイルc2」をBさんに共有する指示をすると、クライアント装置200Aは、その共有要求をサーバ装置100に送信する。
【0054】
この場合、サーバ装置100は、クライアント装置200Aに付帯するディスプレイに表示される、「ファイルc2」自体のアイコンを着色βで表示させる制御を行う。
【0055】
一旦纏めると、パターン1-1~4-1の場合、Bさんに対して特定の「ファイル」を共有すると、そのファイルのアイコンが着色βで表示され、これとは無関係のファイルやフォルダのアイコンが着色αのままで表示される。一方、Bさんに対して特定の『フォルダ』を共有すると、そのフォルダ及びそれよりも下位のフォルダ並びにそれらのフォルダに保存されているファイルのアイコンが着色βで表示され、これとは無関係のファイルやフォルダのアイコンが着色αのままで表示される。加えて、Bさんに対して特定の『フォルダ』を共有すると、Bさんという1人の「非不利益者」に共有されていることを示す例えば「(1)」が付記されてもよい。
【0056】
したがって、この例では、Aさんはファイル又はフォルダに対する共有の有無、ファイル又はフォルダが共有状態である場合にその共有先がBさんという「非不利益者」であること、また非不利益者の人数(この例では1人)を、視覚的に容易に把握することができる。
【0057】
なお、マイクロソフト社のウィンドウズエクスプローラーのようなユーザインタフェースにて、例えば、パターン3-1の共有(『フォルダC』の共有)状態となってから、Aさんがクライアント装置200Aに付帯するディスプレイに「ファイルc1」のアイコンを表示させようとした場合には、以上の手法を踏まえて上記(1)~(4)に即していうと、表示態様の遷移は以下のとおりとなる。
【0058】
上記(1):まず、クライアント装置200Aに付帯するディスプレイのユーザインタフェースに、いわゆる「閉じる」状態で表示されている『フォルダA』のアイコンは、着色αで表示されている。
【0059】
上記(2):『フォルダA』のアイコンの表示領域をダブルクリック等すると、『フォルダA』が開いて、着色αで表示されている「ファイルa1」及び「ファイルa2」のアイコンと、着色αで表示されている「閉じる」状態の『フォルダB』のアイコンとが、それぞれ表示される状態に遷移する。
【0060】
上記(3):『フォルダB』のアイコンの表示領域をダブルクリック等すると、『フォルダB』が開いて、「着色α」で表示されている「ファイルb1」及び「ファイルb2」のアイコンと、「着色β」で表示されていて「(1)」が付記されている「閉じる」状態の『フォルダC』のアイコンとが、それぞれ表示される状態に遷移する。
【0061】
上記(4):『フォルダC』のアイコンの表示領域をダブルクリック等すると、『フォルダC』が開いて、着色βで表示されている「ファイルc1」及び「ファイルc2」のアイコンと、着色βで表示されている『フォルダD』のアイコンとが、それぞれ表示される状態に遷移する。
【0062】
なお、このような一連の表示の遷移に際し、遷移後の表示画面に、
図3に示すように遷移前の表示内容を含めてもよいし、例えば「上記(4)」に係る『フォルダC』が開いた後に「上記(3)」に係る『フォルダB』に保存されている「ファイルb1」及び「ファイルb2」のアイコンは表示しないというように遷移前の表示内容を含めなくてもよい。
【0063】
つぎに、非不利益者であるBさんに所定の共有をして、「パターン1-1」,「パターン2-1」,「パターン3-1」,「パターン4~1」の状態にあることを前提として、不利益者であるNさんに所定の共有をして、それぞれ、「パターン1-2」,「パターン2-2」,「パターン3-2」,「パターン4-2」に移行した場合のアイコンの表示態様の遷移について説明する。
【0064】
<パターン1-2>
「パターン1-2」では、「パターン1-1」の状態つまりBさんに対して「ファイルa1」が共有されている状態で、Aさんがクライアント装置200Aを操作して、「ファイルd1」をNさんに共有する指示をすると、クライアント装置200Aは、その共有要求をサーバ装置100に送信する。
【0065】
この場合、サーバ装置100は、その要求に従って「ファイルd1」の共有を実行すると、クライアント装置200Aに付帯するディスプレイに表示される、「ファイルd1」自体のアイコンを、その共有先が「非不利益者」であるAさんに対する共有の場合とは異なり「不利益者」であるNさんに対する共有であることを示す例えば網掛け表示させる制御を行う。
【0066】
<パターン2-2>
「パターン2-2」では、「パターン2-1」の状態つまりBさんに対して『フォルダA~D』及びこれらに保存されている「ファイルa1~a2,b1~b2,c1~c2,d1~d2」が共有されている状態で、Aさんがクライアント装置200Aを操作して、「ファイルc1」をNさんに共有する指示をすると、クライアント装置200Aは、その共有要求をサーバ装置100に送信する。
【0067】
この場合、サーバ装置100は、その要求に従って「ファイルc1」の共有を実行すると、クライアント装置200Aに付帯するディスプレイに表示される、「ファイルc1」自体のアイコンを例えば網掛け表示させる制御を行う。
【0068】
<パターン3-2>
「パターン3-2」では、「パターン3-1」の状態つまりBさんに対して「ファイルc1~c2,d1~d2」が共有されている状態で、Aさんがクライアント装置200Aを操作して、『フォルダB』をNさんに共有する指示をすると、クライアント装置200Aは、その共有要求をサーバ装置100に送信する。
【0069】
この場合、『フォルダB』に保存されている「ファイルb1~b2」はもとより、『フォルダB』の下位の『フォルダC~D』及びそれらに保存されている「ファイルc1~c2,d1~d2」も共有状態となる。
【0070】
したがって、サーバ装置100は、その要求に従って『フォルダB』の共有を実行すると、クライアント装置200Aに付帯するディスプレイに表示される、「ファイルb1~b2,c1~c2,d1~d2」自体のアイコンと、『フォルダB』の下位フォルダである『フォルダC~D』及びそれらに保存されている「ファイルc1~c2,d1~d2」のアイコンと、を例えば網掛け表示させる制御を行う。また、『フォルダB』の共有先はNさんという1人の不利益者であるから、そのことを示す例えば「丸数字の1」を『フォルダB』に付記してもよい。
【0071】
<パターン4-2>
「パターン4-2」では、「パターン4-1」の状態つまりBさんに対して「ファイルc2」が共有されている状態で、Aさんがクライアント装置200Aを操作して、『フォルダD』をNさんに共有する指示をすると、クライアント装置200Aは、その共有要求をサーバ装置100に送信する。
【0072】
この場合、『フォルダD』のみならず、これに保存されている「ファイルd1~d2」も共有状態となる。
【0073】
したがって、サーバ装置100は、その要求に従って『フォルダD』の共有を実行すると、クライアント装置200Aに付帯するディスプレイに表示される、『フォルダD』自体のアイコンと、これに含まれる「ファイルd1~d2」と、を例えば網掛け表示させ、かつ、例えば『フォルダD』に「丸数字の1」を付記する制御を行う。
【0074】
纏めると、パターン1-2~4-2の場合、Nさんに対して特定の「ファイル」を共有すると、そのファイルのアイコンが網掛けで表示され、これとは無関係のファイルやフォルダのアイコンが網掛けのないままで表示される。一方、Nさんに対して特定の『フォルダ』を共有すると、そのフォルダ及びそれよりも下位のフォルダ並びにそれらのフォルダに保存されているファイルのアイコンが網掛けで表示され、これとは無関係のファイルやフォルダのアイコンが網掛けのないままで表示される。加えて、Nさんに対して特定の『フォルダ』を共有すると、Nさんという1人の「不利益者」に共有されていることを示す「丸数字の1」が付記されてもよい。
【0075】
したがって、この例でも、パターン1-1~4-1の場合と同様に、Aさんは、ファイル又はフォルダに対する共有の有無、ファイル又はフォルダが共有状態である場合にその共有先が「非不利益者」と「不利益者」とのいずれかであるか、またその人数を、視覚的に容易に把握することができる。
【0076】
さらに、Aさんが、例えばパターン2-1の表示状態から、例えばNさんに対する共有を停止すると、サーバ装置は、着色α,βの表示状態を維持したまま、網掛け表示を解除する制御を行い、パターン1-1の表示状態に遷移する。このため、Aさんは、その表示を見ることで、依然として、Bさんに対するファイルの共有状態が継続していることを確認できる。
【0077】
反対に、Aさんが、例えばパターン2-1の表示状態から、Bさんに対する共有を停止すると、サーバ装置100は、網掛け表示を維持したまま、着色α,βが混在している変更表示を全て着色αとする制御を行う。このため、Aさんは、Bさんに対する共有を停止したことをもって、Nさんに対する共有も停止したと錯誤して、Nさんに対する共有が意図せずに継続してしまう状況を回避し得る。
【0078】
このような効果は、特に、BさんとNさんとに対して同じ態様でフォルダ共有又はファイル共有をした場合に顕著に現れるであろう。
【0079】
(構成の詳細説明)
図4は、
図1に示すサーバ装置100の模式的な構成を示すブロック図である。
図4には、以下説明する、保存手段110と、受付手段120と、共有実行手段130と、共有停止手段140と、特定手段150と、表示制御手段160と、送信手段170と、を示している。
【0080】
保存手段110は、ユーザ(例えばAさん)の操作に従ってネットワーク300を介してクライアント装置200(例えばクライアント装置200A)から送信されてくるファイルを、ストレージ400における当該ユーザ(例えばAさん)に割り当てられている保存領域に保存するものである。
【0081】
受付手段120は、ファイルの共有元のユーザ(例えばAさん)の操作に従ってネットワーク300を介してクライアント装置200(例えばクライアント装置200A)から送信されてくる、ファイルの共有先のユーザ(例えばAさん)に係る情報を含むファイル共有要求を受け付けるものである。
【0082】
共有実行手段130は、受付手段120によって受け付けられたファイルの共有要求に応じてファイル共有に必要な処理を実行するものである。共有実行手段130は、一例としては、ファイルの共有先となるクライアント装置200(例えばクライアント装置200B)から、ストレージ400に保存されているファイルのうち、共有対象のファイルにアクセスするためのURLを生成して、そのURLをファイルの共有先に送信するものである。
【0083】
なお、URLを用いてファイルの共有を実行する場合には、セキュアなURLを生成したり、アクセスの有効期限を設けたURLとしたりすることができるという利点があるが、ファイル等の共有実行のためにURLを用いることは必須ではない点に留意されたい。
【0084】
そして、例えばこの種のURLが割り当てられているウェブページに、ファイル共有の受け入れの実行ボタンを設けておき、ユーザ(例えばBさん)がその表示領域をダブルクリック等して受入操作を行うと、クライアント装置200(例えばクライアント装置200B)に対して共有対象のファイルが送信され、ファイル共有が実施されるようにしておけばよい。
【0085】
共有停止手段140は、受付手段120によって受け付けられた、ファイルの共有元(例えばクライアント装置200A)からのファイル共有の停止要求(共有の有効期限が到来した場合も含む)に応じて、共有実行手段130によって実行されたファイル共有を停止するものである。
【0086】
特定手段150は、フォルダ共有が実施されると、当該フォルダを含むパスを特定するものである。また、特定手段150は、共有停止手段140によるファイル共有の停止時に、停止処理対象である共有ファイルを特定するものである。
【0087】
表示制御手段160は、特定手段150によって特定されたパスに含まれるフォルダ及びその下位フォルダ並びにそれらのフォルダに保存されているファイルを示すアイコンと、それ以外のフォルダ及びファイルを示すアイコンとを、例えば非不利益者/不利益者毎にファイルの共有元のクライアント装置200(例えばクライアント装置200A)に付帯するディスプレイに区別して表示させるための制御信号を生成するものである。また、表示制御手段160は、直接的にファイル共有した場合の当該ファイルを示すアイコンと、そうでないファイルを示すアイコンとについても、例えば非不利益者/不利益者毎に区別して表示させるための制御信号を生成するものでもある。
【0088】
送信手段170は、表示制御手段160によって生成された制御信号を、ファイルの共有元のクライアント装置200(例えばクライアント装置200A)に対して送信するものである。
【0089】
図4に示す各手段110~170によって実現される処理は、サーバ装置100が備えるCPUとメモリとの協働によって実行されるプログラムによって実現してもよい。すなわち、そのようなプログラムは、例えば、Bさんに対する共有ファイル(例えば「ファイルa1」)がNさんにも共有がされた場合に、Bさん及びNさんに対して共有状態であることを、「ファイルa1」の共有要求元のクライアント装置200Aに付帯するディスプレイに表示させる制御を行うステップを、サーバ装置100に実行させるものとすることができる。
【0090】
ところで、Googleドライブでも、Google社のストレージに保存しているデータを、ファイル単位或いはフォルダ単位で、誰に対しても共有を許可することができることは既に説明したとおりであるが、Googleドライブでは、ファイルの共有相手に対して、「閲覧者」、「閲覧者(コメント可)」、「編集者」という3態様のアクセス権限を選択的に付与している。
【0091】
Google社の説明によれば、これらのアクセス権限は、本実施形態の例に即していうと、
・「閲覧者」とは、クライアント装置200B,200Nに、共有対象であるファイルの閲覧を許可するものの、共有対象であるファイルへの変更を許可しない権限をいい、
・「閲覧者(コメント可)」とは、クライアント装置200B,200Nに、共有対象であるファイルの閲覧のみならず、共有対象であるファイルへのコメントをすることなども許可するものの、共有対象であるファイルへの変更を許可しない権限をいい、
・「編集者」とは、クライアント装置200B,200Nに、更に、共有対象であるファイルの閲覧、共有対象であるファイルへのコメント等、共有対象であるファイルへの変更も許可する権限をいう。
【0092】
なお、Googleドライブの他にも、既知のDropboxというファイル共有システムにおいても、ファイルの共有時に、「閲覧可能」、「編集可能」、「読み取り専用」とのいずれかのアクセス権限を選択することができる。
【0093】
Dropbox社の説明によれば、これらのアクセス権限は、本実施形態の例に即していうと、
・「閲覧可能」とは、クライアント装置200B,200Nに、共有対象であるファイルの閲覧・コメントを許可するものも、共有対象であるファイルの編集はできない権限であり、
・「編集可能」とは、クライアント装置200B,200Nに、共有対象であるファイルの閲覧・コメント・編集のいずれも許可する権限であり、
・「読み取り専用」とは、クライアント装置200B,200Nに、共有対象であるファイルの閲覧のみでき、共有対象であるファイルのコメントを見ることができない権限をいう。
【0094】
その他にも、マイクロソフト社が提供するOneDrive、BOX社が提供するBOX、ファイルフォース社が提供するFileforceなどのファイル共有システムがあるが、これらについても、GoogleドライブやDropboxと同様に、複数の種別のアクセス権限が選択可能とされている。
【0095】
本実施形態のファイル共有システムは、単独で使用することもできるし、Googleドライブ、Dropbox、OneDrive、BOX、Fileforceなどのファイル共有システムに組み込む(併用する)こともできる。
【0096】
したがって、本実施形態のファイル共有システムを、このような既存のファイル共有システムに組み込む場合にも、
図2~
図3を参照して説明したように、共有に係るフォルダ及び共有に係るファイルを、そうでないフォルダ及びファイルと区別した表示が可能になる。
【0097】
(動作の詳細説明)
図5は、
図1に示すファイル共有システムの動作を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、例えばAさんがクライアント装置200Aを操作することによって作成した『フォルダA~D』及び「ファイルa1~a2,b1~b2,c1~c2,d1~d2」が、保存手段110によってストレージ400に、
図2~
図3に示す関係で保存されていることを前提とする。
【0098】
また、
図2~
図3を用いた動作の全体的な概要説明は既に済んでいるので、ここでは
図2~
図3を用いて説明した、「共有前」から「パターン3-1」、それから「パターン3-2」、それからBさんに対する共有を停止をする場合のファイル共有システムの動作に着目して説明することとする。
【0099】
まず、AさんがBさんに対して『フォルダC』の共有をしたいとして、『フォルダC』を特定する情報(例えばフォルダ名)と、『フォルダC』に対するアクセス権限の種別(例えば閲覧のみ)と、『フォルダC』の共有先となるクライアント装置200Bに係る宛先(例えばBさんのメールアドレス)とを指定して、これらを含む『フォルダC』の共有要求の送信操作をすると、クライアント装置200Aはネットワーク300を通じて当該共有要求を送信し、サーバ装置100は当該共有要求を受付手段120によって受け付ける(ステップS11)。
【0100】
つぎに、サーバ装置100では、共有実行手段130が、受付手段120によって受け付けられた共有の共有要求に従って、この例では『フォルダC』及びその下位の『フォルダD』に保存されている「ファイルc1~c2,d1~d2」の閲覧のみを許可する態様のアクセス権限のもとで、『フォルダC』にアクセスするためのURLを生成し、ネットワーク300を通じて、Bさんの例えばメールアドレス宛てに当該URLを送信する(ステップS12)。
【0101】
Bさんが、クライアント装置200Bによって当該URLを受信し、クライアント装置200Bを通じて当該URLが割り当てられているウェブページにアクセスし、『フォルダC』の共有要求の受入操作をすると、クライアント装置200Bからサーバ装置100に対し、『フォルダC』のダウンロードをするための認証要求を送信し、サーバ装置100はそれを受信する(ステップS13)。
【0102】
この例では、クライアント装置200Bが正当な要求者であると認証され、また、AさんとBさんとのメールアドレスのドメイン名は共通していることをもって、Bさんが非不利益者であると認定し、したがって、パターン3-2に係る網掛けをするという表示制御をするのではなく、パターン3-1に係る着色βに変更するという表示制御をすることになる。
【0103】
また、サーバ装置100は、ストレージ400に対し、宛先をクライアント装置200Bとした共有対象の『フォルダC』の送信命令を送信し、ストレージ400はそれを受信する(ステップS14)。
【0104】
ストレージ400は、サーバ装置100からの送信命令に従って、クライアント装置200B宛てに『フォルダC』及び『フォルダD』に保存されている「ファイルc1~c2,d1~d2」についての閲覧権限を付与し、クライアント装置200Bはそれを受信することで、それに付帯するディスプレイを通じて、それらの「ファイルc1~c2,d1~d2」を適宜閲覧することが可能となる(ステップS15)。
【0105】
サーバ装置100では、特定手段150が、ステップS11に係る共有要求に含まれている、共有対象が『フォルダC』である(「ファイル」ではない)ということに基づいて、『フォルダC』のパスを特定し、表示制御手段160が、当該パスに係る『フォルダC』以下の、『フォルダC』及び『フォルダD』に保存されている「ファイルc1~c2,d1~d2」を示すアイコンを着色βとし、他の『フォルダA~B』やそれらに保存されている「ファイルa1~a2,b1~b2」を示すアイコンを着色αのままとして、『フォルダC』に「(1)」を付記し、クライアント装置200Aに付帯するディスプレイに区別して表示させるための制御信号を生成し(ステップS16)、送信手段170が、当該制御信号をクライアント装置200Aに対して送信し、クライアント装置200Aが当該制御信号を受信する(ステップS17)。
【0106】
これにより、クライアント装置200Aでは、「共有前」に係る表示態様のアイコンを表示可能な状態から、「パターン2-1」に係る表示態様のアイコンを表示可能な状態に遷移することになる。
【0107】
その後、AさんがNさんに対する『フォルダB』の共有をしたいとして、ステップS11と同様に、『フォルダB』を特定する情報と、『フォルダB』に対するアクセス権限の種別(例えば閲覧のみ)と、『フォルダB』の共有先となるクライアント装置200Nに係る宛先(例えばNさんのメールアドレス)とを指定して、それらを含む『フォルダB』の共有要求の送信操作をすると、クライアント装置200Aはネットワーク300を通じて当該共有要求を送信し、サーバ装置100は当該共有要求を受付手段120によって受け付ける(ステップS18)。
【0108】
この例では、クライアント装置200Bが正当な要求者であると認証され、また、AさんとNさんとのメールアドレスのドメイン名は共通していないことをもって、Nさんが不利益者であると認定し、したがって、パターン3-1に係る着色βに変更するという表示制御をするのではなく、パターン3-2に係る網掛けをするという表示制御をすることになる。
【0109】
なお、仮に、共有先がNさんではなくて、Aさんと同一の会社に勤務するCさんである場合には、網掛けをするという表示制御ではなく、『フォルダB』及びその下位の『フォルダC~D』に保存されている「ファイルb1~b2,c1~c2,d1~d2」を示すアイコンを着色βに変更するという表示制御をすることになる。
【0110】
以後、ステップS12~S17の場合と同様の動作を経て、クライアント装置200Aに付帯するディスプレイには、「パターン3-1」に係る着色α,βによる区別がされた表示態様のアイコンを表示可能な状態から、「パターン3-2」に係る網掛けの有無による区別がされた表示態様のアイコンを表示可能な状態に遷移する(ステップS19~S24)。
【0111】
これにより、Bさん及びNさんに対して共有状態であることを、クライアント装置200Aに付帯するディスプレイに表示されることになり、Aさんはそのことを把握することができる。
【0112】
その後、AさんがBさんに対する『フォルダC』の共有を停止したいとして所定の操作をした場合には、クライアント装置200Aがネットワーク300を通じてサーバ装置100に対して、『フォルダC』を特定する情報を含む停止要求を送信し、サーバ装置100はその停止要求を受付手段120によって受け付ける(ステップS25)。
【0113】
サーバ装置100では、共有停止手段140が、受付手段120によって受け付けられた、クライアント装置200Aからのファイル共有の停止要求に応じて、『フォルダC』に係るURLを無効化してファイル共有を停止する(ステップS26)。
【0114】
その後、サーバ装置100では、網掛け表示を維持したまま、着色α,βが混在している変更表示を全て着色αとする処理がなされ、クライアント装置200Aでは、「パターン3-2」に係る表示態様から、『フォルダB』に「丸数字の1」が付記されている、網掛け表示がされた状態に遷移する。
【0115】
以上説明したように、
図5に示すフローチャートの処理によれば、AさんがBさんに対するフォルダ共有を停止しただけで、実際にはNさんに対するフォルダ共有が継続しているにも拘らず、Nさんに対するフォルダ共有も停止したと錯誤して、その共有を継続することを回避することができる。
【0116】
なお、本明細書で説明した実施形態は、あくまで例示であり、ここで説明したことに限定されるものではない。例えば、表示制御手段160によるファイル共有に関する表示は、以下のような態様で行うこともできる。
【0117】
図6は、例えば「共有ファイル」のファイル名と「共有者」の氏名と「共有者数」と「アクセス履歴」と「パス」とを一覧表示する態様を示す図である。
図6には既述の「パターン3-1」から「パターン3-2」に遷移した場合に対応する表示態様の例を示している。このような表示態様であっても、ファイル毎に「共有者」の氏名や「共有者数」といった共有者を示す情報を把握することができる。
【0118】
この例で、「共有者数」は、これを含めることは必須ではないが、その人数が多い「共有ファイル」については共有状態を継続すべきではない者が含まれている可能性が低くない可能性があるので、その停止操作をすることを失念して継続している者に対する停止操作をする機会を付与することができる。また、Bさん及びNさんに共有をしている場合の「共有者数」は「2」としているが、非不利益者数/不利益者数として「1」「1」と表記したり、
図3の表示態様に併せて「(1)」「丸数字の1」と表記したりしてもよい。
【0119】
また、「アクセス履歴」は、いずれかの共有者から当該共有ファイルに対して最終アクセスがあった日付を示すものであり(時間情報を含めた日時としてもよい。)、これを含めることも必須ではないが、例えば最終アクセスの日付があまりに古いとなれば、共有の停止操作を失念して共有状態が継続している可能性があるので、例えばその旨のポップアップ画面を表示するなどして停止操作をする機会を付与することができる。
【0120】
この他にも、例えば、「共有者」の氏名に代えて又はこれとともにメールアドレス等を、共有者を示す情報として含めるようにしてもよい。例えば、久しくオンラインミーティングをしていない共有者の氏名やメールアドレスが存在すれば、「アクセス履歴」の場合と同じく、停止操作をする機会を付与することができる。
【0121】
このようなことをより実効力あるものとするために、「共有者数」の多少、「アクセス履歴」の新旧、共有者の氏名、メールアドレスの頭文字のアルファベット順、世代数の多少を、降冪/昇冪の順等に並び替えできるようにするとよい。
【0122】
加えて、例えば、「パターン3-2」の状態でAさんが『フォルダC』のアイコンを右クリック等すると、少なくとも共有者がBさん及びNさんである旨が表示されたポップアップ画面を表示することもできる。そして、当該画面には、更にBさんが「自社」に勤務する社員(非不利益者)であること、Nさんが「他社」に勤務する社員(不利益者)であることなどを含む、
図6に示す情報等から特定できる情報を表示してもよい。また、当該画面を通じて、
図5のステップS25における「共有停止」の指示ができるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【
図1】本発明の実施形態のファイル共有システムの模式的な構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態のファイル共有システムの動作の概要説明図である。
【
図3】本発明の実施形態のファイル共有システムの動作の概要説明図である。
【
図4】
図1に示すサーバ装置100の模式的な構成を示すブロック図である。
【
図5】
図1に示すファイル共有システムの動作を示すフローチャートである。
【
図6】例えば「共有ファイル」のファイル名と「共有者」の氏名と「共有者数」と「アクセス履歴」と「パス」とを一覧表示する態様を示す図である。
【符号の説明】
【0124】
100 サーバ装置
110 保存手段
120 受付手段
130 共有実行手段
140 共有停止手段
150 特定手段
160 表示制御手段
170 提示手段
200A~200N(200) クライアント装置
300 ネットワーク
400 ストレージ