(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162702
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/058 20100101AFI20241114BHJP
【FI】
H01M10/058
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078512
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】523174745
【氏名又は名称】株式会社アンパワー
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝日 正雄
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ14
5H029CJ28
5H029CJ30
(57)【要約】
【課題】単体大容量固体重合物リチウムイオン電池の化成中において電池内部のガスを適時に排出できる単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置及び方法を提供する。
【解決手段】単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置100は、上キャビティ121及び下キャビティ122と、上キャビティ121を下キャビティ122に接近又は離間させる第1の駆動部材123と、上キャビティ121と下キャビティ122との間の収容空間120内に設けられたトレイ112及びプラテン111と、プラテン111をトレイ112に接近又は離間させる第2の駆動部材113と、プラテン111とトレイ112との間の挟持空間内に挟持される単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210を叩く振動装置と、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210を封止する封止機構と、収容空間120に負圧を提供する真空引き装置150と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上キャビティ及び前記上キャビティに対向して設けられる下キャビティと、第1の駆動部材と、トレイ及びプラテンと、第2の駆動部材と、前記プラテンに設けられ、かつ、振動周波数が調整可能な振動装置と、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池を封止するための封止機構と、真空引き装置と、を含み、
前記上キャビティと前記下キャビティとの間には収容空間が存在し、前記上キャビティは、前記収容空間の密閉又は開放を制御するために、前記下キャビティに対して選択的に接近又は離間し、
前記第1の駆動部材は、前記上キャビティに接続され、前記収容空間の密閉又は開放を制御するために、前記上キャビティを前記下キャビティに対して接近又は離間させるように駆動し、
前記トレイと前記プラテンとは、前記収容空間内に対向して設けられ、前記プラテンと前記トレイとの間には、前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池を挟持するための挟持空間が形成され、
前記第2の駆動部材は、前記上キャビティと前記プラテンとのそれぞれに接続され、前記挟持空間の高さを制御するために、前記プラテンを前記トレイに対して接近又は離間させるように駆動し、
前記振動装置は、振動して前記挟持空間内に挟持される前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池の表面を叩き、
前記封止機構は、前記収容空間内に設けられ、
前記真空引き装置は、前記収容空間に接続され、前記収容空間に負圧を提供する、
単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置。
【請求項2】
前記封止機構は、対向して設けられる上ヘッドと下ヘッドとを含み、前記上ヘッドは、第3の駆動部材に接続され、前記第3の駆動部材は、前記上ヘッドを前記下ヘッドに接近する作動位置又は前記下ヘッドから離間する待機位置に位置させるように制御する、請求項1に記載の単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置。
【請求項3】
前記封止機構は、前記下ヘッドに接続される第4の駆動部材をさらに含み、前記第4の駆動部材は、前記下ヘッドを前記上ヘッドに接近する作動位置又は前記上ヘッドから離間する待機位置に位置させるように制御する、請求項2に記載の単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置。
【請求項4】
前記第3の駆動部材と前記第4の駆動部材とは、いずれもシリンダである、請求項3に記載の単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置。
【請求項5】
前記第1の駆動部材と前記上キャビティとに接続されるホルダをさらに含む、請求項1に記載の単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置。
【請求項6】
前記第1の駆動部材と前記第2の駆動部材とは、いずれもシリンダである、請求項1に記載の単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置。
【請求項7】
単体大容量固体重合物リチウムイオン電池を請求項1から6のいずれか1項に記載の単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置における前記挟持空間内に置くステップと、
前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池が前記挟持空間内に挟持されるように前記挟持空間の高さを制御し、前記プラテンと前記トレイとの間の距離を維持するステップと、
前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池の正・負極をワイヤクリップで挟み、前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池のエアバッグを切り開くステップと、
前記収容空間を密閉状態にするように前記上キャビティと前記下キャビティとの間の相対距離を制御し、密閉キャビティ内を負圧状態にするように前記密閉キャビティ内を真空引きするステップと、
前記密閉キャビティ内の真空値が設定値に達した後に、前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池に通電して、化成工程を開始するステップと、
前記化成工程において、前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池の内部のガスの排出を促すように、前記プラテンに設けられた前記振動装置を起動し、振動させて前記挟持空間内に挟持される前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池の表面を叩くステップと、
前記化成工程の完了後、前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池のエアバッグを再封止するステップとを含む、
単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成方法。
【請求項8】
前記密閉キャビティを開放して真空破壊を行い、前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池を取り出すステップをさらに含む、請求項7に記載の単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池分野に関し、具体的には、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
単体大容量固体重合物リチウムイオン電池は、化成工程中においてガスが放出され、電池内部のガスが過剰になり、化成工程で発生したガスが適時に排出されず、電池内部の正・負極とセパレータとの間に蓄積され、SEI(Solid Electrolyte Interphase)膜の形成に影響を与えることがあり、これにより、電池の性能に大きな影響を与えてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池の化成中において電池内部のガスを適時に排出できる単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置は、上キャビティ及び前記上キャビティに対向して設けられる下キャビティと、第1の駆動部材と、トレイ及びプラテンと、第2の駆動部材と、前記プラテンに設けられ、かつ、振動周波数が調整可能な振動装置と、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池を封止するための封止機構と、真空引き装置と、を含み、前記上キャビティと前記下キャビティとの間には収容空間が存在し、前記上キャビティは、前記収容空間の密閉又は開放を制御するために、前記下キャビティに対して選択的に接近又は離間し、前記第1の駆動部材は、前記上キャビティに接続され、前記収容空間の密閉又は開放を制御するために、前記上キャビティを前記下キャビティに対して接近又は離間させるように駆動し、前記トレイと前記プラテンとは、前記収容空間内に対向して設けられ、前記プラテンと前記トレイとの間には、前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池を挟持するための挟持空間が形成され、前記第2の駆動部材は、前記上キャビティと前記プラテンとのそれぞれに接続され、前記挟持空間の高さを制御するために、前記プラテンを前記トレイに対して接近又は離間させるように駆動し、前記振動装置は、振動して前記挟持空間内に挟持される前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池の表面を叩き、前記封止機構は、前記収容空間内に設けられ、前記真空引き装置は、前記収容空間に接続され、前記収容空間に負圧を提供する。
【0005】
前記封止機構は、対向して設けられる上ヘッドと下ヘッドとを含み、前記上ヘッドは、第3の駆動部材に接続され、前記第3の駆動部材は、前記上ヘッドを前記下ヘッドに接近する作動位置又は前記下ヘッドから離間する待機位置に位置させるように制御する。
【0006】
前記封止機構は、前記下ヘッドに接続される第4の駆動部材をさらに含み、前記第4の駆動部材は、前記下ヘッドを前記上ヘッドに接近する作動位置又は前記上ヘッドから離間する待機位置に位置させるように制御する。
【0007】
前記第3の駆動部材と前記第4の駆動部材とは、いずれもシリンダである。
【0008】
前記第1の駆動部材と前記上キャビティとに接続されるホルダをさらに含む。
【0009】
前記第1の駆動部材と前記第2の駆動部材とは、いずれもシリンダである。
【0010】
単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成方法は、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池を上記した単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置における前記挟持空間内に置くステップと、前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池が前記挟持空間内に挟持されるように前記挟持空間の高さを制御し、前記プラテンと前記トレイとの間の距離を維持するステップと、前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池の正・負極をワイヤクリップで挟み、前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池のエアバッグを切り開くステップと、前記収容空間を密閉状態にするように前記上キャビティと前記下キャビティとの間の相対距離を制御し、密閉キャビティ内を負圧状態にするように前記密閉キャビティ内を真空引きするステップと、前記密閉キャビティ内の真空値が設定値に達した後に、前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池に通電して、化成工程を開始するステップと、前記化成工程において、前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池の内部のガスの排出を促すように、前記プラテンに設けられた前記振動装置を起動し、振動させて前記挟持空間内に挟持される前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池の表面を叩くステップと、前記化成工程の完了後、前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池のエアバッグを再封止するステップとを含む。
【0011】
前記密閉キャビティを開放して真空破壊を行い、前記単体大容量固体重合物リチウムイオン電池を取り出すステップをさらに含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置によれば、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池がトレイ上に置かれた後、第1の駆動部材によってプラテンがトレイに接近する方向へ動くように制御され、プラテンとトレイとが単体大容量固体重合物リチウムイオン電池を押圧することで、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池が一定の圧力に保持されている状態で化成工程を行うことができる。また、真空引き装置により収容空間内の真空引き処理が行われることで、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池に対して負圧環境で化成を行うことがでる。単体大容量固体重合物リチウムイオン電池は、化成中においてそのエアバッグが開いた状態にあるため、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池の化成中において発生したガスが適時、かつ、速やかに負圧状態の収容空間内に入り、そして、収容空間内を真空引き装置により真空引きされるとともに、プラテンに設けられる振動装置の振動により挟持されるリチウムイオン電池の表面が叩かれることによって、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池内部のガスが適時に排出されることを保証することができ、その後、封止機構によりエアバッグが封止される。以上のように、本発明の単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置によれば、化成中において発生したガスを適時に排出することで、電池性能を向上させることができる。
【0013】
本発明の単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成方法によれば、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池をトレイ上に置いた後、第1の駆動部材を利用してプラテンをトレイに接近させる方向へ動かせるように制御し、プラテンとトレイとに単体大容量固体重合物リチウムイオン電池を押圧させることで、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池を、一定の圧力に保持している状態で化成工程を行うことができる。また、真空引き装置により収容空間内の真空引き処理を行うことで、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池に対して負圧環境で化成を行うことができる。単体大容量固体重合物リチウムイオン電池は、化成中においてそのエアバッグが開いた状態にあるため、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池の化成中において発生したガスが適時、かつ、速やかに負圧状態の収容空間内に入り、そして、収容空間内において真空引き装置により真空引きされるとともに、プラテンに設けられる振動装置の振動により挟持されるリチウムイオン電池の表面が叩かれることによって、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池内部のガスが適時に排出されることを保証することができ、その後、封止機構によりエアバッグを封止する。以上のように、本発明の単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成方法によれば、化成中において発生したガスを適時に排出することによって、電池性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下、実施例に使用される必要な図面を簡単に説明する。以下の図面は、本発明のいくつかの実施例を例示するにすぎないため、本発明の範囲に対する限定と見なされるべきではなく、当業者にとって、創造的な労力を払わずにこれらの図面に基づいて他の関連図面を得ることもできると理解すべきである。
【
図1】本発明の実施例による単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置の構造の模式図である。
【
図2】本発明の実施例による単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置が化成テストキャビネットに接続された状態での構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明瞭にするために、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明瞭、且つ、包括的に説明し、当然、記述された実施例は、本発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。一般的には、ここで図面において説明して示される本発明の実施例の構成要素は、様々な異なる配置でレイアウトして設計されてもよい。
【0016】
そのため、以下の図面において提供される本発明の実施例の詳細な説明は、保護しようとする本発明の範囲を制限するものではなく、本発明の好ましい実施例を表すものに過ぎない。当業者が本発明における実施例に基づいて創造的な労力を払わずに得られたすべての他の実施例もすべて本発明の保護範囲に属する。
【0017】
類似の符号及びアルファベットは、以下の図面において類似の構成要素を示すため、ある構成要素が一つの図面において定義されると、その後の図面においてそれについてさらなる定義及び解釈が必要としないと注意すべきである。
【0018】
本発明の実施例の説明において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「内」、「外」などの用語により示される方位又は位置関係は、図面に基づいて示される方位又は位置関係、又は、この発明製品の使用時に通常配置される方位又は位置関係であり、本発明を説明しやすく、かつ、説明を簡略化するためのものにすぎず、かかる装置又は要素が特定の方位を有し、特定の方位で構成して操作しなければならないことを明示する、又は、暗示するものではないため、本発明を制限するためのものと解釈されることができないと理解すべきである。なお、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単に表現を区別するために使用され、相対的な重要性を明示する、又は、暗示すると理解されることができない。
【0019】
また、「水平」、「鉛直」、「オーバーハング」などの用語は、必ずしも部材が絶対的に水平又はオーバーハング状態であることを意味せず、少し傾けてもよい。例えば、「水平」とは、その方向が「鉛直」に対して相対的に水平であることを指し、この構造が完全に水平でなければならないことを表すのではなく、少し傾けてもよい。
【0020】
本発明の実施例の説明において、さらに、説明すべきことは、特に明確に規定や限定されない限り、「設け」、「取付け」、「繋がり」、「接続」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば固定的な接続、取り外し可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、機械的な接続又は電気的な接続であってもよく、直接的な繋がりであってもよく、中間媒体に介する間接的な繋がりであってもよく、2つの要素内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本発明の実施例における具体的な意味を理解することができる。
【0021】
<実施例1>
図1及び
図2を参照すると、本実施例は、上キャビティ121及び上キャビティ121に対向して設けられる下キャビティ122と、第1の駆動部材123と、トレイ112及びプラテン111と、第2の駆動部材113と、振動装置(図示なし)と、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210を封止するための封止機構(図示なし)と、真空引き装置150と、を含む単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置100を提供する。上キャビティ121と下キャビティ122との間には収容空間120が存在し、上キャビティ121は収容空間120の密閉又は開放を制御するために、下キャビティ122に対して選択的に接近又は離間する。第1の駆動部材123は、上キャビティ121に接続され、収容空間120の密閉又は開放を制御するために、上キャビティ121を下キャビティ122に対して接近又は離間させるように駆動する。トレイ112とプラテン111とは、収容空間120内に対向して設けられ、プラテン111とトレイ112との間には、リチウムイオン電池を挟持するための挟持空間が形成される。第2の駆動部材113は、上キャビティ121とプラテン111とのそれぞれに接続され、挟持空間の高さを制御するために、プラテン111をトレイ112に対して接近又は離間させるように駆動する。
【0022】
振動装置は、プラテン111に固定されるように設けられてもよく、その振動周波数が調整可能であり、当該振動装置は例えば化成工程の後期段階に起動され、リチウムイオン電池の内部のガスの排出を促すように振動して挟持空間内に挟持されるリチウムイオン電池の表面を叩く。
【0023】
封止機構は、収容空間120内に設けられる。真空引き装置150は、収容空間120に接続され、収容空間120へ負圧を提供する。
【0024】
単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210がトレイ112上に置かれた後、第1の駆動部材123によってプラテン111がトレイ112に接近する方向へ動くように制御され、プラテン111とトレイ112とが単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210を押圧することで、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210は一定の圧力に保持されている状態で化成工程が行われる。真空引き装置150により収容空間120内の真空引き処理が行われることで、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210は負圧環境で化成を行うことができる。単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210は、化成中においてそのエアバッグ220が開いた状態にあるため、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210の化成中において発生したガスが適時、かつ、速やかに負圧状態の収容空間120内に入る。そして、収容空間120内において真空引き装置150により真空引きされるとともに、振動装置の振動により挟持される単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210の表面が叩かれることによって、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210の内部のガスが適時に排出されることを保証することができ、その後、封止機構によりエアバッグ220が封止される。以上のように、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置100によれば、化成中において発生したガスを適時に排出することで、電池性能を向上させることができる。
【0025】
選択的に、本実施例では、封止機構は、対向して設けられる上ヘッド131と下ヘッド132とを含み、上ヘッド131は、第3の駆動部材133に接続され、第3の駆動部材133は上ヘッド131を、下ヘッド132に接近する作動位置又は下ヘッド132から離間する待機位置に位置させるように制御するために用いられる。
【0026】
第3の駆動部材133により上ヘッド131が下ヘッド132に対して接近又は離間するように駆動され、上ヘッド131が下ヘッド132に接近する位置にある場合、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210上のエアバッグ220は封止されることができ、上ヘッド131が下ヘッド132から離間する位置にある場合、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210上のエアバッグ220は開いた状態にあり、エアバッグ220からのガスの排気を容易にする。
【0027】
具体的には、シールの密封性を確保するために、上ヘッド131と下ヘッド132とは、エアバッグ220を加熱することでエアバッグ220を密封してもよい。
【0028】
選択的に、本実施例では、封止機構は、下ヘッド132に接続される第4の駆動部材134をさらに含み、第4の駆動部材134は、下ヘッド132を、上ヘッド131に接近する作動位置又は上ヘッド131から離間する待機位置に位置させるように制御するために用いられる。
【0029】
第3の駆動部材133と第4の駆動部材134とは協働することにより、より高速、かつ、より安定にエアバッグ220を密封することができる。
【0030】
選択的に、本実施例では、第3の駆動部材133と第4の駆動部材134とは、いずれもシリンダである。
【0031】
シリンダは、応答速度が速く、かつ、応答精度が高いという利点があり、シリンダを上ヘッド131及び下ヘッド132の制御に適用することは封止の精度制御に有利である。
【0032】
選択的に、本実施例では、第1の駆動部材123と上キャビティ121とに接続されるホルダ140をさらに含む。
【0033】
ホルダ140の位置は固定されており、第1の駆動部材123は、その長さを変化させることで上キャビティ121と下キャビティ122との間の距離を制御し、これにより、収容空間120の密閉又は開放を制御することができる。
【0034】
選択的に、本実施例では、第1の駆動部材123と第2の駆動部材113とは、いずれもシリンダである。
【0035】
シリンダは、応答速度が速く、かつ、応答精度が高いという利点があり、シリンダを上キャビティ121及びプラテン111の制御に適用することは収容空間120の状態及び挟持空間の高さを正確に制御することに有利である。
【0036】
選択的に、本実施例では、化成テストキャビネット160をさらに含む。
【0037】
化成テストキャビネット160を利用することにより、化成中における様々なデータを測定することができ、作業者が化成工程を操作しやすいようになる。
【0038】
本実施例による単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置100は、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210がトレイ112上に置かれた後、第1の駆動部材123によってプラテン111がトレイ112に接近する方向へ動くように制御され、プラテン111とトレイ112とが単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210を押圧することで、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210は一定の圧力に保持されている状態で化成工程が行われる。真空引き装置150により収容空間120内の真空引き処理が行われることで、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210は負圧環境で化成を行うことができる。単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210は、化成中においてそのエアバッグ220が開いた状態にあるため、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210の化成中において発生したガスが適時、かつ、速やかに負圧状態の収容空間120内に入る。そして、収容空間120内において真空引き装置150により真空引きされるとともに、振動装置の振動により挟持される単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210の表面が叩かれることによって、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210の内部のガスが適時に排出されることを保証することができ、その後、封止機構によりエアバッグ220が封止される。以上のように、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置100によれば、化成中において発生したガスを適時に排出することで、電池性能を向上させることができる。
【0039】
<実施例2>
単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成方法は、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210を実施例1において提供された単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置100における挟持空間内に置くステップと、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210が挟持空間内に挟持されるように挟持空間の高さを制御し、プラテン111とトレイ112との間の距離を維持するステップと、ワイヤクリップで単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210の正・負極を挟み、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210のエアバッグ220を切り開くステップと、収容空間120を密閉状態にするように上キャビティ121と下キャビティ122との間の相対距離を制御し、密閉キャビティ内を負圧状態にするように密閉キャビティ内を真空引きするステップと、密閉キャビティ内の真空値が設定値に達した後、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210に通電し、化成工程を開始するステップと、化成工程(例えば、化成工程の後期段階)において、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210の内部のガスの排出を促すように、プラテン111に設けられた振動装置を起動し、振動させて挟持空間内に挟持される単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210の表面を叩くステップと、化成工程の完了後、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210のエアバッグ220を再封止するステップとを含む。
【0040】
単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210をトレイ112上に置いた後、第1の駆動部材123を利用してプラテン111をトレイ112に接近させる方向へ動かせるように制御し、プラテン111とトレイ112に単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210を押圧させることで、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210を、一定の圧力に保持している状態で化成工程を行うことができる。真空引き装置150により収容空間120内の真空引き処理を行うことで、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210に対して負圧環境で化成を行うことができる。単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210は、化成中においてそのエアバッグ220が開いた状態にあるため、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210の化成中において発生したガスが適時、かつ、速やかに負圧状態の収容空間120内に入る。そして、収容空間120内において真空引き装置150により真空引きされるとともに、振動装置の振動により挟持される単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210の表面が叩かれることによって、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210の内部のガスが適時に排出されることを保証することができ、その後、封止機構によりエアバッグ220を封止する。以上のように、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成方法によれば、化成中において発生したガスを適時に排出することで、電池性能を向上させることができる。
【0041】
選択的に、本実施例では、密閉キャビティを開放して真空破壊を行い、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210を取り出すステップをさらに含む。
【0042】
リチウムイオン電池が取り出された後に、化成工程は完了する。
【0043】
本実施例による単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成方法は、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210をトレイ112上に置いた後、第1の駆動部材123を利用してプラテン111をトレイ112に接近させる方向へ動かせるように制御し、プラテン111とトレイ112とに単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210を押圧させることで、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210を、一定の圧力に保持している状態で化成工程を行うことができる。真空引き装置150により収容空間120内の真空引き処理を行うことで、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210に対して負圧環境で化成を行うことができる。単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210は、化成中においてそのエアバッグ220が開いた状態にあるため、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210の化成中において発生したガスが適時、かつ、速やかに負圧状態の収容空間120内に入り、そして、収容空間120内において真空引き装置150により真空引きされるとともに、振動装置の振動により挟持される単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210の表面が叩かれることによって、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池210の内部のガスが適時に排出されることを保証することができ、その後、封止機構によりエアバッグ220を封止する。以上のように、単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成方法によれば、化成中において発生したガスを適時に排出することで、電池性能を向上させることができる。
【0044】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、当業者にとって、本発明は、様々な変更及び変化が可能である。本発明の精神及び原則内で行われた任意の修正、同等の置換、改良などはいずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0045】
100 単体大容量固体重合物リチウムイオン電池負圧化成装置
111 プラテン
112 トレイ
113 第2の駆動部材
120 収容空間
121 上キャビティ
122 下キャビティ
123 第1の駆動部材
131 上ヘッド
132 下ヘッド
133 第3の駆動部材
134 第4の駆動部材
140 ホルダ
150 真空引き装置
160 化成テストキャビネット
210 単体大容量固体重合物リチウムイオン電池
220 エアバッグ