(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162707
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ボトムブラケット組立体
(51)【国際特許分類】
B62K 19/34 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
B62K19/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】33
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078519
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】古家 隆
【テーマコード(参考)】
3D212
【Fターム(参考)】
3D212BK01
(57)【要約】
【課題】シール部材の品質を向上できるボトムブラケット組立体を提供する。
【解決手段】人力駆動車のボトムブラケットハンガー内に装着されるように構成されるボトムブラケット組立体であって、前記ボトムブラケット組立体は、軸方向、径方向、および、周方向を定義する回転中心軸心を有し、シールベースと、インサート成形によって前記シールベースに取り付けられるシール部材と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車のボトムブラケットハンガー内に装着されるように構成されるボトムブラケット組立体であって、
前記ボトムブラケット組立体は、軸方向、径方向、および、周方向を定義する回転中心軸心を有し、
シールベースと、
インサート成形によって前記シールベースに取り付けられるシール部材と、を備える、ボトムブラケット組立体。
【請求項2】
前記シールベースは、前記軸方向に関する軸方向延出部を有し、
前記軸方向延出部は、前記径方向に関する前記シールベースの径方向内側面を定義し、
前記シール部材は、前記シールベースの前記径方向内側面において露出する、請求項1に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項3】
前記シールベースは、前記径方向に関する径方向延出部を有し、
前記径方向延出部は、前記軸方向に関する前記シールベースの軸方向外側面を定義し、
前記シール部材は、前記シールベースの前記軸方向外側面において露出する、請求項1に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項4】
内輪と、外輪と、前記径方向において、前記内輪、および、前記外輪の間に配置される複数の転動体と、を含むベアリングユニットをさらに備える、請求項1に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項5】
前記内輪は、前記軸方向において測定される軸方向内輪長さを有し、
前記外輪は、前記軸方向において測定される軸方向外輪長さを有し、
前記軸方向内輪長さは、前記軸方向外輪長さよりも大きい、請求項4に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項6】
固定端と、前記ベアリングユニットの前記内輪、および、前記外輪の一方に対して摺動するように構成される摺動端と、を有するロータリーシールをさらに備える、請求項4に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項7】
前記ロータリーシールの前記摺動端は、前記内輪に対して摺動するように構成される、請求項6に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項8】
前記シールベースは、前記軸方向に関する軸方向延出部と、前記径方向に関する径方向延出部と、を有し、
前記シールベースの前記軸方向延出部は、前記ベアリングユニットの前記内輪を支持するように構成される、請求項4に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項9】
前記ベアリングユニットの前記外輪が装着されるアダプタ部材をさらに備える、請求項4に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項10】
前記アダプタ部材は、
前記人力駆動車の前記ボトムブラケットハンガーに取り付けられるように構成される小径筒状部と、
前記ベアリングユニットを保持するように構成される大径筒状部と、
前記小径筒状部、および、前記大径筒状部を連結するように構成される径方向延出環状部と、を含む、請求項9に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項11】
前記径方向延出環状部は、前記ボトムブラケット組立体が前記人力駆動車に装着される装着状態において、前記人力駆動車の前記ボトムブラケットハンガーの軸方向端に隣接するように構成される、請求項10に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項12】
前記シール部材は、
前記軸方向に延びるように構成される筒状体と、
前記径方向において、前記筒状体から径方向外側、または、径方向内側に延びるように構成される少なくとも1つの径方向突出部と、を含む、請求項1のいずれか一項に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項13】
前記少なくとも1つの径方向突出部は、前記周方向において前記シール部材が前記シールベースに対して相対回転することを抑制するように、前記径方向において、前記筒状体から径方向外側に延びるように構成される少なくとも1つの第1突出部を含む、請求項12に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第1突出部は、前記周方向において互いに間隔をあけて配置される複数の第1突出部を含む、請求項13に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項15】
前記少なくとも1つの径方向突出部は、前記軸方向において前記シール部材が前記シールベースに対して変位することを抑制するように、前記径方向において、前記筒状体から径方向外側に延びるように構成される少なくとも1つの第2突出部を含む、請求項12(12から14)に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項16】
前記少なくとも1つの第2突出部は、環状形状を有する、請求項15に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項17】
前記少なくとも1つの径方向突出部は、前記ボトムブラケット組立体が前記人力駆動車に装着される装着状態において、クランク軸に当接するように、前記径方向において、前記筒状体から径方向内側に延びるように構成されるシーリング突出部を含む、請求項12に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項18】
前記シーリング突出部は、環状形状を有する、請求項17に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項19】
前記シール部材は、前記軸方向において、前記シーリング突出部と隣接する少なくとも1つの溝を含む、請求項17に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項20】
前記少なくとも1つの溝は、一対の溝を含み、
前記シーリング突出部は、前記軸方向において、前記一対の溝の間に配置される、請求項19に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項21】
前記シールベースは、ポリブチレンテレフタレートから作られる、請求項1に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項22】
前記シール部材は、弾性材料から作られる、請求項1に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項23】
人力駆動車のボトムブラケットハンガー内に装着されるように構成されるボトムブラケット組立体であって、
前記ボトムブラケット組立体は、軸方向、径方向、および、周方向を定義する回転中心軸心を有し、
シールベースと、
前記軸方向に延びるように構成される筒状体と、前記径方向において、前記筒状体から径方向外側、または、径方向内側に延びるように構成される少なくとも1つの径方向突出部と、を含むシール部材と、を備える、ボトムブラケット組立体。
【請求項24】
前記少なくとも1つの径方向突出部は、前記周方向において前記シール部材が前記シールベースに対して相対回転することを抑制するように、前記径方向において、前記筒状体から径方向外側に延びるように構成される少なくとも1つの第1突出部を含む、請求項23に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項25】
前記少なくとも1つの第1突出部は、前記周方向において互いに間隔をあけて配置される複数の第1突出部を含む、請求項24に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項26】
前記少なくとも1つの径方向突出部は、前記軸方向において前記シール部材が前記シールベースに対して変位することを抑制するように、前記径方向において、前記筒状体から径方向外側に延びるように構成される少なくとも1つの第2突出部を含む、請求項23に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項27】
前記少なくとも1つの第2突出部は、環状形状を有する、請求項26に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項28】
前記少なくとも1つの径方向突出部は、前記ボトムブラケット組立体が前記人力駆動車に装着される装着状態において、クランク軸に当接するように、前記径方向において、前記筒状体から径方向内側に延びるように構成されるシーリング突出部を含む、請求項23に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項29】
前記シーリング突出部は、環状形状を有する、請求項28に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項30】
前記シール部材は、前記軸方向において、前記シーリング突出部と隣接する少なくとも1つの溝を含む、請求項28に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項31】
前記少なくとも1つの溝は、一対の溝を含み、
前記シーリング突出部は、前記軸方向において、前記一対の溝の間に配置される、請求項30に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項32】
前記シールベースは、ポリブチレンテレフタレートから作られる、請求項23に記載のボトムブラケット組立体。
【請求項33】
前記シール部材は、弾性材料から作られる、請求項23に記載のボトムブラケット組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボトムブラケット組立体の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、人力駆動車のボトムブラケットハンガー内に装着されるように構成され、シールベース、および、シール部材を備えるボトムブラケット組立体が開示される。シールベースは、ボトムブラケットハンガーの軸方向まわりの内周面を有する。シール部材は、Oリングを含む。Oリングは、シールベースの内周面に形成される溝に嵌め合わされる。ボトムブラケット組立体は、Oリングによって、シールベースの内周面、および、シールベースに挿通されるクランク軸の外周面の間をシールする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US2022/0411011A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のボトムブラケット組立体において、シール部材の性能の向上が望まれる。
【0005】
本開示の目的の1つは、シール部材の性能を向上できるボトムブラケット組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1側面に従うボトムブラケット組立体は、人力駆動車のボトムブラケットハンガー内に装着されるように構成されるボトムブラケット組立体であって、ボトムブラケット組立体は、軸方向、径方向、および、周方向を定義する回転中心軸心を有し、シールベースと、インサート成形によってシールベースに取り付けられるシール部材と、を備える。
第1側面のボトムブラケット組立体によれば、組付け時にシール部材が外れることを抑制できるため、シール部材の性能を向上できる。
【0007】
第1側面に従う第2側面のボトムブラケット組立体において、シールベースは、軸方向に関する軸方向延出部を有し、軸方向延出部は、径方向に関するシールベースの径方向内側面を定義し、シール部材は、シールベースの径方向内側面において露出する。
第2側面のボトムブラケット組立体によれば、ボトムブラケット組立体が人力駆動車に装着される装着状態において、クランク軸、および、シール部材の間を効率的にシールできる。
【0008】
第1、または、第2側面に従う第3側面のボトムブラケット組立体において、シールベースは、径方向に関する径方向延出部を有し、径方向延出部は、軸方向に関するシールベースの軸方向外側面を定義し、シール部材は、シールベースの軸方向外側面において露出する。
第3側面のボトムブラケット組立体によれば、シール部材をシールベースにインサート成形し易い。
【0009】
第1から第3側面のいずれか1つに従う第4側面のボトムブラケット組立体において、内輪と、外輪と、径方向において、内輪、および、外輪の間に配置される複数の転動体と、を含むベアリングユニットをさらに備える。
第4側面のボトムブラケット組立体によれば、ボトムブラケット組立体の回転効率に優れる。
【0010】
第4側面に従う第5側面のボトムブラケット組立体において、内輪は、軸方向において測定される軸方向内輪長さを有し、外輪は、軸方向において測定される軸方向外輪長さを有し、軸方向内輪長さは、軸方向外輪長さよりも大きい。
第5側面のボトムブラケット組立体によれば、内輪に摺動する追加のシール部材、および、内輪に固定される追加のシール部材の少なくとも1つを配置し易い。
【0011】
第4、または、第5側面に従う第6側面のボトムブラケット組立体において、固定端と、ベアリングユニットの内輪、および、外輪の一方に対して摺動するように構成される摺動端と、を有するロータリーシールをさらに備える。
第6側面のボトムブラケット組立体によれば、ベアリングユニットに対する異物の侵入を効果的に抑制できる。
【0012】
第6側面に従う第7側面のボトムブラケット組立体において、ロータリーシールの摺動端は、内輪に対して摺動するように構成される。
第7側面のボトムブラケット組立体によれば、ロータリーシールの摺動による回転負荷を小さくできる。
【0013】
第4から第7側面のいずれか1つに従う第8側面のボトムブラケット組立体において、シールベースは、軸方向に関する軸方向延出部と、径方向に関する径方向延出部と、を有し、シールベースの軸方向延出部は、ベアリングユニットの内輪を支持するように構成される。
第8側面のボトムブラケット組立体によれば、クランク軸とボトムブラケット組立体との間のガタ取りを容易に行える。
【0014】
第4、または、第5側面に従う第9側面のボトムブラケット組立体において、ベアリングユニットの外輪が装着されるアダプタ部材をさらに備える。
第9側面のボトムブラケット組立体によれば、アダプタ部材を介して、ボトムブラケット組立体を人力駆動車に容易に装着できる。
【0015】
第9側面に従う第10側面のボトムブラケット組立体において、アダプタ部材は、人力駆動車のボトムブラケットハンガーに取り付けられるように構成される小径筒状部と、ベアリングユニットを保持するように構成される大径筒状部と、小径筒状部、および、大径筒状部を連結するように構成される径方向延出環状部と、を含む。
第10側面のボトムブラケット組立体によれば、ボトムブラケット組立体のベアリングユニットをボトムブラケットハンガー外に配置でき、ボトムブラケット組立体の剛性を向上できる。
【0016】
第10側面に従う第11側面のボトムブラケット組立体において、径方向延出環状部は、ボトムブラケット組立体が人力駆動車に装着される装着状態において、人力駆動車のボトムブラケットハンガーの軸方向端に隣接するように構成される。
第11側面のボトムブラケット組立体によれば、ボトムブラケット組立体のベアリングユニットを、ボトムブラケットハンガー外に配置でき、ボトムブラケット組立体の剛性を向上できる。
【0017】
第1から第11側面のいずれか1つに従う第12側面のボトムブラケット組立体において、シール部材は、軸方向に延びるように構成される筒状体と、径方向において、筒状体から径方向外側、または、径方向内側に延びるように構成される少なくとも1つの径方向突出部と、を含む。
第12側面のボトムブラケット組立体によれば、組付け時にシール部材が外れることの抑制、および、シール性の向上の少なくとも一方に貢献できる。
【0018】
第12側面に従う第13側面のボトムブラケット組立体において、少なくとも1つの径方向突出部は、周方向においてシール部材がシールベースに対して相対回転することを抑制するように、径方向において、筒状体から径方向外側に延びるように構成される少なくとも1つの第1突出部を含む。
第13側面のボトムブラケット組立体によれば、シールベースに対するシール部材の周方向の相対回転を抑制できる。
【0019】
第13側面に従う第14側面のボトムブラケット組立体において、少なくとも1つの第1突出部は、周方向において互いに間隔をあけて配置される複数の第1突出部を含む。
第14側面のボトムブラケット組立体によれば、シールベースに対するシール部材の周方向の相対回転をさらに効果的に抑制できる。
【0020】
第12から第14側面のいずれか1つに従う第15側面のボトムブラケット組立体において、少なくとも1つの径方向突出部は、軸方向においてシール部材がシールベースに対して変位することを抑制するように、径方向において、筒状体から径方向外側に延びるように構成される少なくとも1つの第2突出部を含む。
第15側面のボトムブラケット組立体によれば、シールベースに対するシール部材の軸方向の相対移動を抑制できる。
【0021】
第15側面に従う第16側面のボトムブラケット組立体において、少なくとも1つの第2突出部は、環状形状を有する。
第16側面のボトムブラケット組立体によれば、シールベースに対するシール部材の軸方向の相対移動をさらに効果的に抑制できる。
【0022】
第12から第16側面のいずれか1つに従う第17側面のボトムブラケット組立体において、少なくとも1つの径方向突出部は、ボトムブラケット組立体が人力駆動車に装着される装着状態において、クランク軸に当接するように、径方向において、筒状体から径方向内側に延びるように構成されるシーリング突出部を含む。
第17側面のボトムブラケット組立体によれば、シール部材のシール性を向上できる。
【0023】
第17側面に従う第18側面のボトムブラケット組立体において、シーリング突出部は、環状形状を有する。
第18側面のボトムブラケット組立体によれば、シール部材のシール性をさらに効果的に向上できる。
【0024】
第17、または、第18側面に従う第19側面のボトムブラケット組立体において、シール部材は、軸方向において、シーリング突出部と隣接する少なくとも1つの溝を含む。
第19側面のボトムブラケット組立体によれば、ボトムブラケット組立体の人力駆動車に対する着脱を容易に行える。
【0025】
第19側面に従う第20側面のボトムブラケット組立体において、少なくとも1つの溝は、一対の溝を含み、シーリング突出部は、軸方向において、一対の溝の間に配置される。
第20側面のボトムブラケット組立体によれば、ボトムブラケット組立体の人力駆動車に対する着脱をさらに容易に行える。
【0026】
第1から第20側面のいずれか1つに従う第21側面のボトムブラケット組立体において、シールベースは、ポリブチレンテレフタレートから作られる。
第21側面のボトムブラケット組立体によれば、シールベースが変形し難い。
【0027】
第1から第21側面のいずれか1つに従う第22側面のボトムブラケット組立体において、シール部材は、弾性材料から作られる。
第22側面のボトムブラケット組立体によれば、シール性に優れ、かつ、ボトムブラケット組立体の人力駆動車に対する着脱を容易に行える。
【0028】
本開示の第23側面に従うボトムブラケット組立体は、人力駆動車のボトムブラケットハンガー内に装着されるように構成されるボトムブラケット組立体であって、ボトムブラケット組立体は、軸方向、径方向、および、周方向を定義する回転中心軸心を有し、シールベースと、軸方向に延びるように構成される筒状体と、径方向において、筒状体から径方向外側、または、径方向内側に延びるように構成される少なくとも1つの径方向突出部と、を含むシール部材と、を備える。
第23側面のボトムブラケット組立体によれば、組付け時にシール部材が外れることの抑制、および、シール性の向上の少なくとも一方に貢献できるため、シール部材の性能を向上できる。
【0029】
第23側面に従う第24側面のボトムブラケット組立体において、少なくとも1つの径方向突出部は、周方向においてシール部材がシールベースに対して相対回転することを抑制するように、径方向において、筒状体から径方向外側に延びるように構成される少なくとも1つの第1突出部を含む。
第24側面のボトムブラケット組立体によれば、シールベースに対するシール部材の周方向の相対回転を抑制できる。
【0030】
第24側面に従う第25側面のボトムブラケット組立体において、少なくとも1つの第1突出部は、周方向において互いに間隔をあけて配置される複数の第1突出部を含む。
第25側面のボトムブラケット組立体によれば、シールベースに対するシール部材の周方向の相対回転をさらに効果的に抑制できる。
【0031】
第23から第25側面のいずれか1つに従う第26側面のボトムブラケット組立体において、少なくとも1つの径方向突出部は、軸方向においてシール部材がシールベースに対して変位することを抑制するように、径方向において、筒状体から径方向外側に延びるように構成される少なくとも1つの第2突出部を含む。
第26側面のボトムブラケット組立体によれば、シールベースに対するシール部材の軸方向の相対移動を抑制できる。
【0032】
第26側面に従う第27側面のボトムブラケット組立体において、少なくとも1つの第2突出部は、環状形状を有する。
第20側面のボトムブラケット組立体によれば、シールベースに対するシール部材の軸方向の相対移動をさらに効果的に抑制できる。
【0033】
第23から第27側面のいずれか1つに従う第28側面のボトムブラケット組立体において、少なくとも1つの径方向突出部は、ボトムブラケット組立体が人力駆動車に装着される装着状態において、クランク軸に当接するように、径方向において、筒状体から径方向内側に延びるように構成されるシーリング突出部を含む。
第28側面のボトムブラケット組立体によれば、シール部材のシール性を向上できる。
【0034】
第28側面に従う第29側面のボトムブラケット組立体において、シーリング突出部は、環状形状を有する。
第29側面のボトムブラケット組立体によれば、シール部材のシール性をさらに効果的に向上できる。
【0035】
第28、または、第29側面に従う第30側面のボトムブラケット組立体において、シール部材は、軸方向において、シーリング突出部と隣接する少なくとも1つの溝を含む。
第30側面のボトムブラケット組立体によれば、ボトムブラケット組立体の人力駆動車に対する着脱を容易に行える。
【0036】
第30側面に従う第31側面のボトムブラケット組立体において、少なくとも1つの溝は、一対の溝を含み、シーリング突出部は、軸方向において、一対の溝の間に配置される。
第30側面のボトムブラケット組立体によれば、ボトムブラケット組立体の人力駆動車に対する着脱をさらに容易に行える。
【0037】
第23から第31側面のいずれか1つに従う第32側面のボトムブラケット組立体において、シールベースは、ポリブチレンテレフタレートから作られる。
第32側面のボトムブラケット組立体によれば、シールベースが変形し難い。
【0038】
第23から第32側面のいずれか1つに従う第33側面のボトムブラケット組立体において、シール部材は、弾性材料から作られる。
第33側面のボトムブラケット組立体によれば、シール性に優れ、かつ、ボトムブラケット組立体の人力駆動車に対する着脱を容易に行える。
【発明の効果】
【0039】
本開示のボトムブラケット組立体によれば、シール部材の品質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】第1実施形態に係るボトムブラケット組立体が装着される人力駆動車を示す側面図。
【
図6】シールベース、および、シール部材を示す断面図。
【
図7】シールベース、および、シール部材を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(第1実施形態)
第1実施形態に係るボトムブラケット組立体10が説明される。本実施形態において、ボトムブラケット組立体10は、
図1に示される人力駆動車1に装着される。
【0042】
人力駆動車1は、少なくとも1つの車輪7を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車1は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車1が有する車輪7の数は限定されない。人力駆動車1は、例えば1輪車、および、2輪以上の車輪7を有する乗り物を含む。人力駆動車1は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車1は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するE-bikeを含む。E-bikeは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車1は自転車として説明される。
【0043】
人力駆動車1は、クランク2、フレーム3、サドル4、ハンドルバー5、フォーク6、車輪7、駆動機構8、および、変速機9を備える。クランク2は、フレーム3に対して回転可能なクランク軸2a、クランク軸2aの軸方向の両端部にそれぞれ設けられる一対のクランクアーム2bを含む。一対のクランクアーム2bには夫々ペダル2cが連結される。
【0044】
フレーム3は、ヘッドチューブ3a、トップチューブ3b、ダウンチューブ3c、シートチューブ3d、一対のシートステー3e、一対のチェーンステー3f、および、ボトムブラケットハンガー3gを備える。ヘッドチューブ3aは、ハンドルバー5、および、フォーク6を回転可能に支持する。トップチューブ3bの一端は、ヘッドチューブ3aに接続される。トップチューブ3bの他端は、シートチューブ3dの一端に接続される。
【0045】
ダウンチューブ3cの一端は、ヘッドチューブ3aの一端に接続される。ダウンチューブ3cの他端は、
図3に示されるボトムブラケットハンガー3gに接続される。シートチューブ3dには、サドル4が設けられる。シートチューブ3dの他端は、ボトムブラケットハンガー3gに接続される。
【0046】
一対のシートステー3eの一端は、それぞれシートチューブ3dの一端に接続される。一対のチェーンステー3fの一端は、それぞれボトムブラケットハンガー3gに接続される。一対のシートステー3eの他端、および、一対のチェーンステー3fの他端は、互いに接続される。
図3に示されるボトムブラケットハンガー3gは、円筒状に形成される。ボトムブラケットハンガー3gの軸方向は、クランク軸2aの軸方向と一致する。ボトムブラケットハンガー3gには、クランク軸2aが挿通される。
【0047】
図1に示されるハンドルバー5は、搭乗者が把持できるように構成される。ハンドルバー5には、搭乗者が変速操作を行うための変速操作装置5aが設けられる。ハンドルバー5がヘッドチューブ3aに対して回転することによってフォーク6が回転し、人力駆動車1の進行方向が変化する。
【0048】
車輪7は、前輪7a、および、後輪7bを含む。前輪7aは、フォーク6に回転可能に取り付けられる。後輪7bは、シートステー3eとチェーンステー3fとの接続箇所であるリアエンドに取り付けられる。後輪7bは、フレーム3に対して回転するように構成される。
【0049】
駆動機構8は、第1回転体8a、第2回転体8b、および、駆動力伝達部8cを含む。本実施形態では、第1回転体8aは、複数のフロントスプロケットを含む。第1回転体8aは、1つのフロントスプロケットを含んでもよい。第1回転体8aは、クランク軸2aに連結される。第1回転体8aは、クランク軸2aの回転に伴って回転する。クランク軸2aが第1回転方向に回転して、人力駆動力が後輪7bに伝達されると、人力駆動車1は、前進する。クランク軸2a、および、第1回転体8aは、クランク軸2aが第1回転方向に回転する場合に、クランク軸2aと第1回転体8aとが一体的に回転し、クランク軸2aが第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転する場合に、クランク軸2aと第1回転体8aとの相対回転を許容するワンウェイクラッチを介して連結されてもよい。
【0050】
本実施形態では、第2回転体8bは、複数のリアスプロケットを含む。第2回転体8bは、1つのフロントスプロケットを含んでもよい。第2回転体8bは、後輪7bに連結される。駆動力伝達部8cは、第1回転体8aの回転力を第2回転体8bに伝達する。駆動力伝達部8cは、例えば、チェーンを含む。第1回転体8a、および、第2回転体8bがプーリを含み、駆動力伝達部8cがベルトを含んでいてもよい。第1回転体8a、および、第2回転体8bがベベルギアを含み、駆動力伝達部8cがシャフトを含んでいてもよい。
【0051】
変速機9は、人力駆動車1の変速比を変更する。変速比は、クランク軸2aの回転速度に対する後輪7bの回転速度の比率を示す。変速機9は、外装変速機、および、内装変速機の少なくとも一方を含む。本実施形態では、変速機9は、外装変速機を含む。変速機9が外装変速機を含む場合、変速比は、例えば、駆動力伝達部8cが係合する第1回転体8aの歯数を、駆動力伝達部8cが係合する第2回転体8bの歯数で割ることによって算出される。
【0052】
外装変速機は、フロントディレイラ9a、および、リアディレイラ9bの少なくとも一方を含む。本実施形態では、外装変速機は、フロントディレイラ9a、および、リアディレイラ9bを含む。フロントディレイラ9aは、変速操作装置5aが搭乗者によって変速操作される場合に、駆動力伝達部8cを複数の第1回転体8aの間において掛け替えられるように構成される。リアディレイラ9bは、変速操作装置5aが搭乗者によって変速操作される場合に、駆動力伝達部8cを複数の第2回転体8bの間において掛け替えられるように構成される。
【0053】
図2から
図7が用いられ、ボトムブラケット組立体10が説明される。
図3、および、
図4に示されるように、ボトムブラケット組立体10は、人力駆動車1のボトムブラケットハンガー3g内に装着されるように構成される。クランク軸2aは、ボトムブラケットハンガー3g内に装着されるボトムブラケット組立体10に回転可能に支持される。ボトムブラケット組立体10は、軸方向AD、径方向RD、および、周方向CDを定義する回転中心軸心CAを有する。
【0054】
図2から
図4に示される回転中心軸心CAは、ボトムブラケット組立体10が人力駆動車1に装着される装着状態において、クランク軸2aの回転中心軸心と一致する。本実施形態では、装着状態は、ボトムブラケット組立体10がボトムブラケットハンガー3g内に装着され、かつ、クランク軸2aがボトムブラケット組立体10に回転可能に支持される状態を含む。軸方向ADは、装着状態において、クランク軸2aの軸方向と一致する。径方向RDは、装着状態において、クランク軸2aの径方向と一致する。
図2に示される周方向CDは、装着状態において、クランク軸2aの周方向と一致する。
【0055】
ボトムブラケット組立体10は、シールベース50と、インサート成形によってシールベース50に取り付けられるシール部材60と、を備える。本実施形態において、ボトムブラケット組立体10は、アダプタ部材20をさらに備える。本実施形態において、ボトムブラケット組立体10は、ベアリングユニット30をさらに備える。本実施形態において、ボトムブラケット組立体10は、ロータリーシール40をさらに備える。アダプタ部材20、ベアリングユニット30、ロータリーシール40、シールベース50、および、シール部材60は、
図3、および、
図4に示される第1ボトムブラケット12、および、第2ボトムブラケット13の少なくとも一部を構成する。
【0056】
図2から
図4には、ボトムブラケット組立体10の一例が示される。
図2から
図4に示されるボトムブラケット組立体10は、第1ボトムブラケット12、および、第2ボトムブラケット13が、インナーカバー11を介して連結されることによって形成される。
図4に示されるように、インナーカバー11は、カバー筒状体11a、および、2つのOリング11bを含む。
【0057】
カバー筒状体11aは、円筒状に形成される。カバー筒状体11aの外径は、ボトムブラケットハンガー3gの内径よりも小さい。カバー筒状体11aの内径は、クランク軸2aの外径よりも大きい。カバー筒状体11aの軸方向は、ボトムブラケット組立体10の軸方向ADと一致する。
【0058】
2つのOリング11bは、円環状に形成される。2つのOリング11bの一方は、カバー筒状体11aの外周面のうち、軸方向ADにおける一端部に嵌め合わされる。2つのOリング11bの他方は、カバー筒状体11aの外周面のうち、軸方向ADにおける他端部に嵌め合わされる。
【0059】
第1ボトムブラケット12は、カバー筒状体11aのうち、軸方向ADにおける一端部に連結される。第2ボトムブラケット13は、カバー筒状体11aのうち、軸方向ADにおける他端部に連結される。第2ボトムブラケット13は、スペーサー70が隣接して配置されない点を除き、第1ボトムブラケット12と同様に構成される。本明細書において、第2ボトムブラケット13の説明は、省略される。第1ボトムブラケット12は、アダプタ部材20、ベアリングユニット30、ロータリーシール40、シールベース50、シール部材60、および、スペーサー70を備える。
【0060】
図4、および、
図5に示されるアダプタ部材20は、ベアリングユニット30、ロータリーシール40、および、シールベース50を収容するように構成される。アダプタ部材20は、人力駆動車1のボトムブラケットハンガー3gに取り付けられるように構成される小径筒状部21と、ベアリングユニット30を保持するように構成される大径筒状部22と、小径筒状部21、および、大径筒状部22を連結するように構成される径方向延出環状部23と、を含む。
【0061】
小径筒状部21は、円筒状に形成される。小径筒状部21の軸方向は、ボトムブラケット組立体10の軸方向ADと一致する。小径筒状部21は、ボトムブラケットハンガー3gに螺合、または、圧入によって取り付けられる。小径筒状部21の内周面は、カバー筒状体11aの外周面のうち、軸方向ADにおける一端部に嵌め合わされる。小径筒状部21の内周面、および、カバー筒状体11aの外周面の間は、インナーカバー11の2つのOリング11bの一方によってシールされる。
【0062】
大径筒状部22は、円筒状に形成される。本実施形態では、大径筒状部22の内径は、小径筒状部21の内径、および、ボトムブラケットハンガー3gの内径よりも大きい。大径筒状部22の内径がボトムブラケットハンガー3gの内径よりも大きいことによって、ボトムブラケットハンガー3gの内径よりも外径が大きいベアリングユニット30を使用できるため、ボトムブラケット組立体10の剛性を向上できる。
【0063】
本実施形態では、大径筒状部22の外径は、小径筒状部21の外径、および、ボトムブラケットハンガー3gの外径よりも大きい。大径筒状部22は、ボトムブラケットハンガー3gよりも軸方向外側に配置される。本実施形態では、軸方向外側は、装着状態における軸方向ADにおいて、ボトムブラケットハンガー3gの軸方向ADの中心面CSから遠い側を示す。本実施形態では、軸方向内側は、装着状態における軸方向ADにおいて、ボトムブラケットハンガー3gの軸方向ADの中心面CSに近い側を示す。
【0064】
径方向延出環状部23は、径方向RDにおいて、小径筒状部21から径方向外側に延びるように形成される。径方向延出環状部23は、小径筒状部21、および、大径筒状部22の間に亘るように形成される。径方向延出環状部23は、軸方向ADから見て円環状に形成される。径方向延出環状部23は、ボトムブラケット組立体10が人力駆動車1に装着される装着状態において、人力駆動車1のボトムブラケットハンガー3gの軸方向端に隣接するように構成される。
【0065】
ベアリングユニット30は、装着状態において、クランク軸2aを回転可能に支持するように構成される。
図5に示されるように、ベアリングユニット30は、内輪31と、外輪32と、径方向RDにおいて、内輪31、および、外輪32の間に配置される複数の転動体33と、を含む。内輪31は、外輪32に対して相対回転するように構成される。内輪31の回転中心軸心は、ボトムブラケット組立体10の回転中心軸心CAと一致する。内輪31は、軸方向ADに関する第1内輪軸方向端31a、および、第2内輪軸方向端31bを有する。
【0066】
第1内輪軸方向端31aは、内輪31の軸方向内側の端部に形成される。第2内輪軸方向端31bは、軸方向ADにおいて、内輪31のうち、第1内輪軸方向端31aとは反対側に形成される。内輪31は、軸方向ADにおいて測定される軸方向内輪長さ31cを有する。軸方向内輪長さ31cは、第1内輪軸方向端31aから第2内輪軸方向端31bまでの、軸方向ADの長さを示す。
【0067】
外輪32は、大径筒状部22の内部空間に配置される。外輪32の軸方向は、ボトムブラケット組立体10の軸方向ADと一致する。外輪32は、大径筒状部22、および、径方向延出環状部23の少なくとも一方に保持される。大径筒状部22、および、径方向延出環状部23の少なくとも一方に外輪32が保持されることによって、アダプタ部材20には、ベアリングユニット30の外輪32が装着される。
【0068】
本実施形態では、アダプタ部材20の径方向延出環状部23がボトムブラケットハンガー3gの軸方向端に隣接するように構成されることによって、ベアリングユニット30がボトムブラケットハンガー3gよりも軸方向外側に配置される。ベアリングユニット30がボトムブラケットハンガー3gよりも軸方向外側に配置されることによって、ボトムブラケットハンガー3gの内部空間にベアリングユニット30が配置される場合よりも、第1ボトムブラケット12のベアリングユニット30から
図4に示される第2ボトムブラケット13のベアリングユニット30までの軸方向ADの距離を長くできる。軸方向ADの距離を長くできることによって、ボトムブラケット組立体10の剛性を向上できる。
【0069】
図5に示されるように、外輪32は、軸方向ADに関する第1外輪軸方向端32a、および、第2外輪軸方向端32bを有する。第1外輪軸方向端32aは、外輪32の軸方向内側の端部に形成される。第1外輪軸方向端32aは、軸方向ADにおいて、内輪31の第1内輪軸方向端31aよりも、軸方向内側に配置される。第1外輪軸方向端32aは、軸方向ADにおいて、アダプタ部材20の径方向延出環状部23に隣接するように構成される。
【0070】
第2外輪軸方向端32bは、軸方向ADにおいて、外輪32のうち、第1外輪軸方向端32aとは反対側に形成される。第2外輪軸方向端32bは、軸方向ADにおいて、内輪31の第2内輪軸方向端31bよりも、軸方向内側に配置される。外輪32は、軸方向ADにおいて測定される軸方向外輪長さ32cを有する。軸方向外輪長さ32cは、第1外輪軸方向端32aから第2外輪軸方向端32bまでの、軸方向ADの長さを示す。本実施形態では、軸方向内輪長さ31cは、軸方向外輪長さ32cよりも大きい。
【0071】
軸方向内輪長さ31c、および、軸方向外輪長さ32cの大小関係は、本実施形態に限定されない。軸方向内輪長さ31cは、例えば、軸方向外輪長さ32cと等しくてもよい。軸方向内輪長さ31cは、軸方向外輪長さ32cよりも小さくてよい。
【0072】
複数の転動体33は、周方向CDにおいて互いに間隔をあけて配置される。本実施形態では、複数の転動体33は、球状に形成される。ベアリングユニット30の種類は、複数の転動体33が球状に形成される玉軸受に限定されない。ベアリングユニット30は、玉軸受とは異なる種類の軸受を含んでもよい。ベアリングユニット30は、例えば、複数の転動体33が針状に形成されるニードル軸受を含んでもよい。ベアリングユニット30が複数の転動体33を備える軸受を含むことによって、回転効率に優れるボトムブラケット組立体10を構成できる。ベアリングユニット30は、複数の転動体33を備えない軸受を含んでもよい。例えばベアリングユニット30は、すべり軸受を含んでもよい。
【0073】
ロータリーシール40は、固定端41a,42aと、ベアリングユニット30の内輪31、および、外輪32の一方に対して摺動するように構成される摺動端41b,42bと、を有する。本実施形態では、ロータリーシール40は、第1ロータリーシール41、および、第2ロータリーシール42を含む。
【0074】
ロータリーシール40の固定端41a,42aは、第1ロータリーシール41の第1固定端41a、および、第2ロータリーシール42の第2固定端42aを含む。ロータリーシール40の摺動端41b,42bは、第1ロータリーシール41の第1摺動端41b、および、第2ロータリーシール42の第2摺動端42bを含む。ロータリーシール40の摺動端41b,42bは、内輪31に対して摺動するように構成される。
【0075】
第1ロータリーシール41は、軸方向ADから見て円環状に形成される。第1ロータリーシール41の軸方向は、ボトムブラケット組立体10の軸方向ADと一致する。第1ロータリーシール41は、軸方向ADにおいて、複数の転動体33よりも軸方向外側に配置される。第1ロータリーシール41は、径方向RDにおいて、大径筒状部22、および、内輪31の間に配置される。本実施形態では、軸方向内輪長さ31cが軸方向外輪長さ32cよりも長いため、第1ロータリーシール41を配置し易い。第1ロータリーシール41は、第1固定端41a、第1摺動端41b、および、凹部41cを含む。
【0076】
第1固定端41aは、径方向RDにおいて、第1ロータリーシール41の径方向外側の端部に形成される。第1固定端41aは、アダプタ部材20の大径筒状部22、および、外輪32の少なくとも一方に固定される。第1固定端41aは、大径筒状部22の内周面に接する。
【0077】
第1摺動端41bは、第1ロータリーシール41のうち、径方向RDにおける第1固定端41aとは反対側の端部に形成される。第1摺動端41bは、内輪31に接する。例えば、第1摺動端41bは、内輪31の外周面に接する。第1固定端41aが大径筒状部22に接し、かつ、第1摺動端41bが内輪31に接することによって、第1ロータリーシール41は、軸方向外側からのベアリングユニット30に対する異物の侵入を抑制できる。
【0078】
内輪31が回転すると、第1ロータリーシール41の第1摺動端41bは、内輪31の外周面に対して摺動する。第1ロータリーシール41は、外輪32よりも径方向RDの内側に配置される内輪31に対して第1摺動端41bが摺動することによって、外輪32に対して第1摺動端41bが摺動する場合よりも、第1摺動端41bの摺動による回転負荷を小さくできる。第1摺動端41bは、内輪31とは異なる部材に対して摺動するように構成されてもよい。第1摺動端41bは、例えば、外輪32に対して摺動するように構成されてもよい。
【0079】
凹部41cは、径方向RDにおいて、第1固定端41a、および、第2固定端42aの間に形成される。凹部41cは、軸方向ADにおいて、ボトムブラケット組立体10の軸方向ADの中心面CSに向かって凹むように形成される。
【0080】
第2ロータリーシール42は、軸方向ADから見て円環状に形成される。第2ロータリーシール42の軸方向は、ボトムブラケット組立体10の軸方向ADと一致する。第2ロータリーシール42は、軸方向ADにおいて、複数の転動体33、および、アダプタ部材20の径方向延出環状部23の間に配置される。第2ロータリーシール42は、第2固定端42a、および、第2摺動端42bを含む。
【0081】
第2固定端42aは、径方向RDにおいて、第2ロータリーシール42の径方向外側の端部に形成される。第2固定端42aは、アダプタ部材20、および、外輪32の少なくとも一方に固定される。本実施形態では、第2固定端42aは、外輪32に固定される。第2固定端42aは、外輪32の内周面に接する。
【0082】
第2摺動端42bは、径方向RDにおいて、第2ロータリーシール42のうち、第2固定端42aとは反対側の端部に形成される。第2摺動端42bは、内輪31に接する。例えば、第2摺動端42bは、内輪31の第1内輪軸方向端31aに接する。第2固定端42aが外輪32に接し、かつ、第2摺動端42bが内輪31に接することによって、第2ロータリーシール42は、軸方向内側からのベアリングユニット30に対する異物の侵入を抑制できる。
【0083】
内輪31が回転すると、第2摺動端42bは、内輪31の第1内輪軸方向端31aに対して摺動する。第2摺動端42bは、内輪31とは異なる部材に対して摺動するように構成されてもよい。第2摺動端42bは、例えば、外輪32に対して摺動するように構成されてもよい。
【0084】
シールベース50、および、シール部材60は、装着状態において、ベアリングユニット30、および、クランク軸2aに対する異物の侵入を抑制するように構成される。
図5、および、
図6に示されるように、シールベース50は、軸方向ADに関する軸方向延出部51を有する。
図6に示されるように、シールベース50は、径方向RDに関する径方向延出部52を有する。
【0085】
軸方向延出部51は、軸方向ADに延びるように形成される。軸方向延出部51は、円筒状に形成される。軸方向延出部51の軸方向は、ボトムブラケット組立体10の軸方向ADと一致する。軸方向延出部51の外周面には、ベアリングユニット30の内輪31が嵌め合わされる。軸方向延出部51の外周面に内輪31が嵌め合わされることによって、軸方向延出部51は、内輪31を支持するように構成される。シールベース50は、内輪31と一体的に回転する。
【0086】
シールベース50は、内輪31を支持しないように構成されてもよい。シールベース50は、内輪31を支持しない場合、例えば、軸方向ADにおいて、内輪31よりも軸方向外側に配置される。シールベース50が内輪31を支持しない場合、クランク軸2aは、内輪31に回転可能に支持される。
【0087】
軸方向延出部51は、軸方向ADに関する第1延出軸方向端51a、および、第2延出軸方向端51bを含む。第1延出軸方向端51aは、軸方向延出部51の軸方向内側の端部に形成される。第2延出軸方向端51bは、軸方向ADにおいて、軸方向延出部51のうち、第1延出軸方向端51aとは反対側に形成される。第1延出軸方向端51aは、内輪31よりも軸方向内側に配置される。
【0088】
軸方向延出部51は、径方向RDに関するシールベース50の径方向内側面53を定義する。径方向内側面53は、シールベース50の軸方向内側の端部から軸方向外側の端部までに亘って形成される。本実施形態では、径方向内側面53の内径は、クランク軸2aの外径よりも大きい。
図6、および、
図7に示されるように、径方向内側面53は、取付溝53aを含む。取付溝53aは、径方向内側面53の軸方向外側の端部に形成される。
【0089】
取付溝53aは、環状凹部53b、少なくとも1つの第1凹部53c、および、少なくとも1つの第2凹部53dを含む。環状凹部53bは、径方向内側面53から径方向RDにおける外側に凹むように形成される。環状凹部53bは、軸方向ADから見て円環状に形成される。
【0090】
少なくとも1つの第1凹部53c、および、少なくとも1つの第2凹部53dは、環状凹部53bの底面から、径方向RDにおける外側に凹むように形成される。少なくとも1つの第1凹部53cは、環状凹部53bの軸方向外側の端部に形成される。
図6に示されるように、本実施形態では、少なくとも1つの第1凹部53cは、複数の第1凹部53cを含む。
図6における部分Pには、軸方向AD視における1つの第1凹部53cが拡大して示される。
【0091】
複数の第1凹部53cは、周方向CDにおいて互いに間隔をあけて形成される。複数の第1凹部53cは、径方向RDに関する第1部分53e、および、第2部分53fを含む。第1部分53eは、複数の第1凹部53cにおいて、周方向CDの長さが最も長い部分を示す。本明細書において、第1部分53eの周方向CDの長さが、第1周方向幅W1として記載される。
【0092】
第2部分53fは、第1部分53eよりも径方向RDの内側において、周方向CDの長さが最も短い部分を示す。本明細書において、第2部分53fの周方向CDの長さが、第2周方向幅W2として記載される。本実施形態では、第1周方向幅W1は、第2周方向幅W2よりも大きい。第1周方向幅W1は、第2周方向幅W2よりも小さくてもよい。第1周方向幅W1は、第2周方向幅W2と等しくてもよい。
【0093】
図7に示されるように、少なくとも1つの第2凹部53dは、環状凹部53bの軸方向内側の端部に形成される。本実施形態では、少なくとも1つの第2凹部53dは、1つの第2凹部53dを含む。1つの第2凹部53dは、軸方向ADから見て円環状に形成される。1つの第2凹部53dは、軸方向ADにおいて、複数の第1凹部53cに対して間隔をあけて配置される。
【0094】
図5、および、
図6に示されるように、径方向延出部52は、径方向RDにおいて、軸方向延出部51の第2延出軸方向端51bから径方向外側に延びるように形成される。径方向延出部52は、軸方向ADから見て円環状に形成される。径方向延出部52は、軸方向ADにおいて、内輪31の第2内輪軸方向端31bと接する。軸方向ADにおいて、径方向延出部52、および、複数の転動体33の間には、第1ロータリーシール41が配置される。径方向延出部52は、ベース突出部52aを含む。
【0095】
ベース突出部52aは、軸方向ADにおいて、径方向延出部52から軸方向内側に突出する。ベース突出部52aは、軸方向ADから見て円環状に形成される。ベース突出部52aの少なくとも一部は、第1ロータリーシール41の凹部41cの内部空間に配置される。ベース突出部52aの少なくとも一部が凹部41cの内部空間に配置されることによって、シールベース50、および、第1ロータリーシール41の間にラビリンス構造が形成される。ラビリンス構造が形成されることによって、ベアリングユニット30に対する異物の侵入を抑制できる。
【0096】
径方向延出部52は、軸方向ADに関するシールベース50の軸方向外側面54を定義する。軸方向外側面54は、径方向延出部52の軸方向外側の端面によって形成される。軸方向外側面54は、軸方向ADにおいて、第1ロータリーシール41、および、内輪31よりも軸方向外側に配置される。
図6、および、
図7に示されるように、取付溝53aは、径方向RDにおいて、軸方向外側面54と連続する。
【0097】
シールベース50は、例えば、樹脂材料から作られる。本実施形態では、シールベース50は、ポリブチレンテレフタレートから作られる。シールベース50は、ポリブチレンテレフタレートとは異なる樹脂材料から作られてよい。
【0098】
本実施形態では、ベアリングユニット30の内輪31、および、クランク軸2aは、金属材料から作られる。
図5に示される内輪31、および、クランク軸2aは、例えば、鉄から作られる。シールベース50は、樹脂材料によって作られるため、内輪31、および、クランク軸2aよりも弾性変形し易い。
【0099】
内輪31を支持するようにシールベース50が構成されることによって、径方向RDにおいて、内輪31、および、クランク軸2aの間にシールベース50が配置されるため、シールベース50の弾性変形によって、クランク軸2a、および、ボトムブラケット組立体10の公差の影響を緩和できる。シールベース50の弾性変形によって公差の影響を緩和することによって、クランク軸2aと、ボトムブラケット組立体10との間のガタ取りを容易に行える。ガタ取りが行われることによって、装着状態におけるクランク軸2aのガタつきを抑制できる。
【0100】
図6、および、
図7に示されるように、シール部材60は、シールベース50の径方向内側面53の取付溝53aに設けられる。シール部材60は、取付溝53aの内部空間を埋めるように形成される。取付溝53aの内部空間を埋めるように形成されることによって、シール部材60は、シールベース50の径方向内側面53において露出する。
【0101】
取付溝53aが径方向RDにおいて軸方向外側面54と連続するため、シール部材60は、シールベース50の軸方向外側面54において露出する。シール部材60は、径方向内側面53、および、軸方向外側面54とは異なる面において露出してもよい。
【0102】
シール部材60は、軸方向ADに延びるように構成される筒状体61と、径方向RDにおいて、筒状体61から径方向外側、または、径方向内側に延びるように構成される少なくとも1つの径方向突出部62と、を含む。筒状体61は、取付溝53aの環状凹部53bの内部空間を埋めるように形成される。筒状体61は、円筒状に形成される。筒状体61の軸方向は、ボトムブラケット組立体10の軸方向ADと一致する。
図7に示されるように、筒状体61の内径は、シールベース50の径方向内側面53の内径と等しい。
【0103】
少なくとも1つの径方向突出部62は、周方向CDにおいてシール部材60がシールベース50に対して相対回転することを抑制するように、径方向RDにおいて、筒状体61から径方向外側に延びるように構成される少なくとも1つの第1突出部63を含む。
図6に示されるように、本実施形態では、少なくとも1つの第1突出部63は、周方向CDにおいて互いに間隔をあけて配置される複数の第1突出部63を含む。
【0104】
図6、および、
図7に示される複数の第1突出部63は、シールベース50の複数の第1凹部53cの内部空間を埋めるように形成される。複数の第1突出部63は、筒状体61のうち、軸方向外側の端部に形成される。複数の第1突出部63の数は、複数の第1凹部53cの数と等しい。複数の第1突出部63の周方向CDにおける間隔は、複数の第1凹部53cの周方向CDにおける間隔と等しい。
【0105】
複数の第1突出部63は、複数の第1凹部53cに係合する。複数の第1突出部63は、複数の第1凹部53cに係合することによって、周方向CDにおいてシール部材60がシールベース50に対して相対回転することを抑制できる。
【0106】
少なくとも1つの第1凹部53cの数、および、少なくとも1つの第1突出部63の数は、限定されない。シールベース50には、例えば、1つの第1凹部53cが形成されてもよい。シール部材60には、例えば、1つの第1突出部63が形成されてもよい。
【0107】
図6に示されるように、複数の第1突出部63は、径方向RDに関する遠位端63a、および、近位端63bを含む。遠位端63aは、周方向CDにおいて、複数の第1凹部53cの第1部分53eと隣接する。近位端63bは、径方向RDにおいて、遠位端63aよりも径方向内側に配置される。近位端63bは、周方向CDにおいて、複数の第1凹部53cの第2部分53fと隣接する。
【0108】
本実施形態では、第2部分53fの第2周方向幅W2が第1部分53eの第1周方向幅W1よりも小さいため、近位端63bの周方向CDの幅は、遠位端63aの周方向CDの幅よりも小さい。近位端63bの周方向CDの幅が遠位端63aの周方向CDの幅よりも小さいことによって、シール部材60に対して径方向内側に外力が作用する場合に、遠位端63a、および、近位端63bの間において、複数の第1突出部63が取付溝53aの複数の第1凹部53cに引っ掛かる。複数の第1突出部63が複数の第1凹部53cに引っ掛かることによって、シールベース50に対して径方向RDにシール部材60が抜け難い。
【0109】
第1部分53e、第2部分53f、遠位端63a、および、近位端63bは、周方向CDの幅ではなく、軸方向ADの幅の大小関係によって、シールベース50に対して径方向RDにシール部材60が抜け難くできる。例えば、第2部分53fの軸方向ADの幅が第1部分53eの軸方向ADの幅よりも小さく、かつ、近位端63bの軸方向ADの幅が遠位端63aの軸方向ADの幅よりも小さいことによって、シール部材60に対して径方向内側に外力が作用する場合に、複数の第1突出部63が複数の第1凹部53cに引っ掛かる。複数の第1突出部63が複数の第1凹部53cに引っ掛かることによって、シールベース50に対して径方向RDにシール部材60が抜け難い。
【0110】
少なくとも1つの径方向突出部62は、軸方向ADにおいてシール部材60がシールベース50に対して変位することを抑制するように、径方向RDにおいて、筒状体61から径方向外側に延びるように構成される少なくとも1つの第2突出部64を含む。少なくとも1つの第2突出部64は、環状形状を有する。本実施形態では、少なくとも1つの第2突出部64は、
図7に示される1つの第2突出部64を含む。1つの第2突出部64は、1つの第2凹部53dの内部空間を埋めるように形成される。本実施形態では、1つの第2凹部53dが軸方向ADから見て円環状に形成されるため、1つの第2突出部64は、軸方向ADから見て円環状に形成される。
【0111】
本実施形態では、1つの第2突出部64は、筒状体61のうち、軸方向内側の端部に形成される。1つの第2突出部64は、1つの第2凹部53dに係合する。1つの第2突出部64は、1つの第2凹部53dに係合することによって、シール部材60に対して軸方向ADに外力が作用する場合に、1つの第2凹部53dに当接する。1つの第2突出部64が1つの第2凹部53dに当接することによって、軸方向ADにおいてシール部材60がシールベース50に対して変位することを抑制できる。
【0112】
少なくとも1つの第2凹部53d、および、少なくとも1つの第2突出部64の構成は、本実施形態に限定されない。例えば、少なくとも1つの第2凹部53dの形状、および、少なくとも1つの第2突出部64の形状は、本実施形態に限定されない。例えば、1つの第2凹部53d、および、1つの第2突出部64は、軸方向ADから見て円環の一部が切り欠かれる円弧状に形成されてもよい。
【0113】
例えば、少なくとも1つの第2凹部53dの数、および、少なくとも1つの第2突出部64の数は、本実施形態に限定されない。シールベース50には、軸方向AD、および、周方向CDの少なくとも一方において、互いに間隔をあけて配置される複数の第2凹部53dが形成されてもよい。シール部材60は、軸方向AD、および、周方向CDの少なくとも一方において、互いに間隔をあけて配置される複数の第2突出部64が形成されてもよい。複数の第2凹部53d、および、複数の第2突出部64は、軸方向ADから見て環状に形成される場合、軸方向ADにおいて互いに間隔をあけて配置される。複数の第2凹部53d、および、複数の第2突出部64は、軸方向ADから見て環状とは異なる形状に形成される場合、軸方向AD、および、周方向CDの少なくとも一方において、互いに間隔をあけて配置される。
【0114】
少なくとも1つの径方向突出部62は、ボトムブラケット組立体10が人力駆動車1に装着される装着状態において、クランク軸2aに当接するように、径方向RDにおいて、筒状体61から径方向内側に延びるように構成されるシーリング突出部65を含む。シーリング突出部65は、環状形状を有する。本実施形態では、シーリング突出部65は、1つのシーリング突出部65を含む。1つのシーリング突出部65は、軸方向ADから見て円環状に形成される。1つのシーリング突出部65は、筒状体61のうち、軸方向ADにおける中途部に形成される。1つのシーリング突出部65の断面は、径方向RDから見て円弧状に形成される。ボトムブラケット組立体10が人力駆動車1に装着されない状態において、1つのシーリング突出部65の径方向内側の端部における内径は、クランク軸2aの外径よりも小さい。
【0115】
少なくとも1つのシーリング突出部65の構成は、本実施形態に限定されない。例えば、少なくとも1つのシーリング突出部65の形状は、本実施形態に限定されない。例えば、1つのシーリング突出部65は、軸方向ADから見て円環の一部が切り欠かれる円弧状に形成されてもよい。
【0116】
例えば、少なくとも1つのシーリング突出部65の数は、本実施形態に限定されない。シール部材60には、軸方向AD、および、周方向CDの少なくとも一方において、互いに間隔をあけて配置される複数のシーリング突出部65が形成されてもよい。複数のシーリング突出部65は、軸方向ADから見て環状に形成される場合、軸方向ADにおいて互いに間隔をあけて配置される。複数のシーリング突出部65は、軸方向ADから見て環状とは異なる形状に形成される場合、軸方向AD、および、周方向CDの少なくとも一方において、互いに間隔をあけて配置される。
【0117】
図7に示されるように、シール部材60は、軸方向ADにおいて、シーリング突出部65と隣接する少なくとも1つの溝66を含む。少なくとも1つの溝66は、一対の溝66aを含む。一対の溝66aは、軸方向ADから見て円環状に形成される。一対の溝66aの断面は、径方向RDから見て円弧状に形成される。一対の溝66aの深さは、シーリング突出部65の径方向RDの幅よりも小さい。シーリング突出部65は、軸方向ADにおいて、一対の溝66aの間に配置される。
【0118】
少なくとも1つの溝66の構成は、本実施形態に限定されない。例えば、少なくとも1つの溝66の形状は、本実施形態に限定されない。例えば、1つの溝66は、軸方向ADから見て円環の一部が切り欠かれる円弧状に形成されてもよい。
【0119】
例えば、少なくとも1つの溝66の数は、本実施形態に限定されない。シール部材60には、軸方向AD、および、周方向CDの少なくとも一方において、互いに間隔をあけて配置される複数の溝66が形成されてもよい。複数の溝66は、軸方向ADから見て環状に形成される場合、軸方向ADにおいて互いに間隔をあけて配置される。複数の溝66は、軸方向ADから見て環状とは異なる形状に形成される場合、軸方向AD、および、周方向CDの少なくとも一方において、互いに間隔をあけて配置される。
【0120】
本実施形態では、シール部材60は、弾性材料から作られる。シール部材60は、弾性材料とは異なる材料から作られてもよい。シール部材60は、インサート成形によって、シールベース50と一体的に形成される。インサート成形において、金型にシールベース50がセットされる。インサート成形において、シールベース50の取付溝53aの内部空間には、溶融されたシール部材60の材料が充填される。本実施形態では、取付溝53aの内部空間には、溶融された弾性材料が充填される。
【0121】
インサート成形において、取付溝53aの内部空間に充填される弾性材料は、固化される。インサート成形において、金型は、弾性材料の固化の後、取り除かれる。本実施形態では、シールベース50の軸方向外側面54においてシール部材60が露出するため、インサート成形において金型を取り除き易い。インサート成形によってシール部材60がシールベース50に設けられることによって、シール部材60は、シールベース50から外れ難い。
【0122】
シール部材60の構成は、本実施形態に限定されない。例えば、シール部材60は、少なくとも1つの第1突出部63、少なくとも1つの第2突出部64、および、シーリング突出部65のいずれか1つを含んでよい。例えば、シール部材60は、少なくとも1つの第1突出部63、少なくとも1つの第2突出部64、および、シーリング突出部65のいずれか2つの組み合わせを含んでよい。例えば、シール部材60は、少なくとも1つの第1突出部63、少なくとも1つの第2突出部64、および、シーリング突出部65を全て含まず、筒状体61のみを含んでよい。
【0123】
図3から
図5に示されるスペーサー70は、軸方向ADから見て円環状に形成される。ボトムブラケット組立体10が人力駆動車1に装着される装着状態において、スペーサー70は、軸方向ADにおいて、一対のクランクアーム2bの一方、および、シール部材60の間に配置される。スペーサー70が配置されることによって、装着状態において、クランク軸2aの軸方向における位置を設定できる。
【0124】
図4、および、
図5が用いられ、ボトムブラケット組立体10が人力駆動車1に装着される手順が説明される。ボトムブラケット組立体10は、ボトムブラケットハンガー3g内に装着され、かつ、クランク軸2aがボトムブラケット組立体10に挿通されることによって、人力駆動車1に装着される。
【0125】
アダプタ部材20は、例えば、小径筒状部21に形成される外ネジがボトムブラケットハンガー3gに形成される内ネジと螺合されることによって、ボトムブラケットハンガー3gに取り付けられる。外ネジ、および、内ネジの螺合によって、アダプタ部材20をボトムブラケットハンガー3gに簡単に取り付けられる。ベアリングユニット30、ロータリーシール40、シールベース50、および、シール部材60は、アダプタ部材20を介してボトムブラケットハンガー3gに取り付けられる。インナーカバー11は、アダプタ部材20がボトムブラケットハンガー3gに取り付けられる際に、ボトムブラケットハンガー3gの内部空間に配置される。
【0126】
アダプタ部材20は、ネジとは異なる方法によって、ボトムブラケットハンガー3gに取り付けられもよい。アダプタ部材20は、例えば、小径筒状部21がボトムブラケットハンガー3gに圧入されることによって、ボトムブラケットハンガー3gに取り付けられてもよい。
【0127】
アダプタ部材20がボトムブラケットハンガー3gに取り付けられる状態において、ボトムブラケット組立体10には、クランク軸2aが挿通される。クランク軸2aが挿通される際に、シール部材60のシーリング突出部65がクランク軸2aと接触するため、シール部材60は、クランク軸2aによって、軸方向ADに押圧される。
【0128】
本実施形態では、軸方向ADにおいて一対の溝66aの間にシーリング突出部65が配置されるため、シーリング突出部65は、クランク軸2aによって押圧される場合に、一対の溝66aを埋めるように弾性変形できる。シーリング突出部65が弾性変形することによって、シール部材60は、シールベース50から外れることを抑制できる。クランク軸2aは、ボトムブラケット組立体10に挿通されることによって、シールベース50を介してベアリングユニット30に回転可能に支持される。
【0129】
クランク軸2aがボトムブラケット組立体10に挿通され、ボトムブラケット組立体10が人力駆動車1に装着される装着状態において、シーリング突出部65は、クランク軸2aの外周面に密着する。シーリング突出部65がクランク軸2aの外周面に密着することによって、ボトムブラケット組立体10は、クランク軸2a、および、シールベース50の間を効果的にシールできる。
【0130】
装着状態において、搭乗者によってペダリングが行われると、シールベース50は、クランク軸2aと一体回転する。シールベース50には、クランク軸2aとの一体回転によって周方向CDの負荷がかかる。本実施形態では、シールベース50は、ポリブチレンテレフタレートから作られるため、周方向CDの負荷によって変形することを抑制できる。
【0131】
ボトムブラケット組立体10は、人力駆動車1に装着される手順とは反対の手順によって、人力駆動車1から取り外される。ボトムブラケット組立体10の取り外しにおいて、クランク軸2aは、ボトムブラケット組立体10から引き抜かれる。シーリング突出部65は、クランク軸2aが引き抜かれる際に、一対の溝66aを埋めるように弾性変形できる。シーリング突出部65が弾性変形することによって、シール部材60は、ボトムブラケット組立体10が人力駆動車1から取り外される場合に、シールベース50から外れることを抑制できる。
【0132】
(変形例)
本実施形態に関する説明は、本発明が取り得る形態の例示であり、本発明を制限することを意図していない。本発明は、例えば以下に示す本実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わされた形態を取り得る。
【0133】
例えば、本実施形態におけるボトムブラケット組立体10の構成は一例であり、ボトムブラケット組立体10は、本実施形態において示されない各種部材を含んでいてもよく、本実施形態において示す各種部材のうち一部を含まない構成としてもよい。
【0134】
例えば、ボトムブラケット組立体10は、インサート成形とは異なる方法によってシールベース50に取り付けられるシール部材60を備えてもよい。インサート成形とは異なる方法によってシールベース50に取り付けられる場合、シール部材60は、筒状体61、および、少なくとも1つの径方向突出部62を含む。
【0135】
例えば、シール部材60は、少なくとも1つの径方向突出部62として、第1突出部63、および、第2突出部64の少なくとも一方を含む場合、クランク軸2aがボトムブラケット組立体10に挿通される組付け時に、シール部材60がシールベース50から外れ難い。例えば、組付け時にクランク軸2aが回動する場合、シール部材60は、クランク軸2aによって周方向CDに押圧される。シール部材60は、第1突出部63を含むことによって、クランク軸2aによって周方向CDに押圧される場合に、シールベース50から外れることを抑制できる。例えば、シール部材60は、少なくとも1つの径方向突出部62として、シーリング突出部65を含む場合、シール性を向上できる。
【0136】
例えば、ボトムブラケット組立体10は、ボトムブラケットハンガー3gの内部空間に配置されるベアリングユニット30を含んでもよい。
【0137】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」、または、「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」、または、「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0138】
1…人力駆動車、3g…ボトムブラケットハンガー、10…ボトムブラケット組立体、20…アダプタ部材、21…小径筒状部、22…大径筒状部、30…ベアリングユニット、31…内輪、31c…軸方向内輪長さ、32…外輪、32c…軸方向外輪長さ、33…複数の転動体、40…ロータリーシール、41a,42a…固定端、41b,42b…摺動端、50…シールベース、51…軸方向延出部、52…径方向延出部、53…径方向内側面、54…軸方向外側面、60…シール部材、61…筒状体、62…少なくとも1つの径方向突出部、63…少なくとも1つの第1突出部、64…少なくとも1つの第2突出部、65…シーリング突出部、66…少なくとも1つの溝、66a…一対の溝、AD…軸方向、CA…回転中心軸心、CD…周方向、RD…径方向