IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

特開2024-162714検査装置、検査装置の制御方法、プログラム、及び検査システム
<>
  • 特開-検査装置、検査装置の制御方法、プログラム、及び検査システム 図1
  • 特開-検査装置、検査装置の制御方法、プログラム、及び検査システム 図2
  • 特開-検査装置、検査装置の制御方法、プログラム、及び検査システム 図3
  • 特開-検査装置、検査装置の制御方法、プログラム、及び検査システム 図4
  • 特開-検査装置、検査装置の制御方法、プログラム、及び検査システム 図5
  • 特開-検査装置、検査装置の制御方法、プログラム、及び検査システム 図6
  • 特開-検査装置、検査装置の制御方法、プログラム、及び検査システム 図7
  • 特開-検査装置、検査装置の制御方法、プログラム、及び検査システム 図8
  • 特開-検査装置、検査装置の制御方法、プログラム、及び検査システム 図9
  • 特開-検査装置、検査装置の制御方法、プログラム、及び検査システム 図10
  • 特開-検査装置、検査装置の制御方法、プログラム、及び検査システム 図11
  • 特開-検査装置、検査装置の制御方法、プログラム、及び検査システム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162714
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】検査装置、検査装置の制御方法、プログラム、及び検査システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241114BHJP
   G06V 30/00 20220101ALI20241114BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H04N1/00 002A
G06V30/00 S
B41J29/393 101
B41J29/393 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078538
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 裕介
【テーマコード(参考)】
2C061
5B064
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061KK22
2C061KK26
2C061KK28
2C061KK35
5B064AA01
5B064AA07
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC55
5C062AC58
5C062AE03
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF00
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】印刷済みシートの検査の対象となる検査領域の設定を容易に行えるようにする。
【解決手段】検査装置は、検査の設定に用いるリファレンス画像から抽出された各ブロックに対しその種別に応じた処理を行うことにより、ブロック毎に文字列とその位置を示す座標とを取得する。そして、前記リファレンス画像から取得された前記文字列と正解文字列とを比較することによって当該正解文字列に対応する前記リファレンス画像から取得された前記文字列を判定し、当該対応すると判定された文字列の位置を示す座標を前記正解文字列と紐づける。そして、前記正解文字列に紐づけられた座標に基づいて、前記印刷済みシートの検査対象にする検査領域に関する設定を行う。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷済みシートの検査を行うための検査装置であって、
検査の設定に用いるリファレンス画像から抽出された各ブロックに対しその種別に応じた処理を行うことにより、ブロック毎に文字列とその位置を示す座標とを取得する、取得手段と、
前記リファレンス画像から取得された前記文字列と正解文字列とを比較することによって当該正解文字列に対応する前記リファレンス画像から取得された前記文字列を判定し、当該対応すると判定された文字列の位置を示す座標を前記正解文字列と紐づける紐づけ手段と、
前記紐づけ手段によって前記正解文字列に紐づけられた座標に基づいて、前記印刷済みシートの検査対象にする検査領域に関する設定を行う検査設定手段と、
を備える、
ことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記検査設定手段は、前記紐づけ手段によって前記正解文字列に紐づけられた座標に基づいて、前記リファレンス画像上に前記検査領域を初期配置した検査設定画面を表示し、前記検査設定画面におけるユーザの操作に基づいて、前記検査領域に関する設定を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記検査設定手段により行われた前記検査領域に関する設定に基づいて、検査対象の印刷済みシートを読み取って得られた画像に対する検査を行う検査手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記紐づけ手段は、前記正解文字列に類似する前記リファレンス画像から取得された前記文字列を判定することにより、当該類似すると判定された文字列の位置を示す座標を前記正解文字列と紐づける、ことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項5】
前記紐づけ手段は、前記リファレンス画像から取得された前記文字列と前記正解文字列とのレーベンシュタイン距離を用いて、前記正解文字列に類似する前記リファレンス画像から取得された前記文字列を判定することにより、当該類似すると判定された文字列の位置を示す座標を前記正解文字列と紐づける、
ことを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記紐づけ手段は、前記レーベンシュタイン距離が最も短く、かつ、前記レーベンシュタイン距離が閾値未満である前記リファレンス画像から取得された前記文字列の位置を示す座標を、前記正解文字列と紐づける、
ことを特徴とする請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記レーベンシュタイン距離の閾値は、予め設定されている、ことを特徴とする請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
ユーザから前記レーベンシュタイン距離の閾値を受け付けるUI画面を表示させる表示制御手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の検査装置。
【請求項9】
前記検査対象の印刷済みシートを読み取って得られた画像の前記検査手段による検査結果が不合格である場合、当該検査結果の詳細を表示する表示制御手段を更に備える、ことを特徴とする請求項3に記載の検査装置。
【請求項10】
前記正解文字列は、前記印刷済みシートにおいて印刷されるべき文字列である、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項11】
前記正解文字列は、前記印刷済みシートにおいて印刷されるべきコード画像によってエンコードされているはずの文字列である、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項12】
印刷済みシートの検査を行うための検査装置の制御方法であって、
検査の設定に用いるリファレンス画像から抽出された各ブロックに対しその種別に応じた処理を行うことにより、ブロック毎に文字列とその位置を示す座標とを取得するステップと、
前記リファレンス画像から取得された前記文字列と正解文字列とを比較することによって当該正解文字列に対応する前記リファレンス画像から取得された前記文字列を判定し、当該対応すると判定された文字列の位置を示す座標を前記正解文字列と紐づけるステップと、
前記紐づけ手段によって前記正解文字列に紐づけられた座標に基づいて、前記印刷済みシートの検査対象にする検査領域に関する設定を行うステップと、
を備える、
ことを特徴とする検査装置の制御方法。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の検査装置として機能させるためのプログラム。
【請求項14】
印刷ジョブで指定された画像データに基づきシートに印刷を行う印刷装置と、印刷済みシートの検査を行うための検査装置とを含む検査システムであって、
前記検査装置は、
検査の設定に用いるリファレンス画像から抽出された各ブロックに対しその種別に応じた処理を行うことにより、ブロック毎に文字列とその位置を示す座標とを取得する、取得手段と、
前記リファレンス画像から取得された前記文字列と正解文字列とを比較することによって当該正解文字列に対応する前記リファレンス画像から取得された前記文字列を判定し、当該対応すると判定された文字列の位置を示す座標を前記正解文字列と紐づける紐づけ手段と、
前記紐づけ手段によって前記正解文字列に紐づけられた座標に基づいて、前記印刷済みシートの検査対象にする検査領域に関する設定を行う検査設定手段と、
前記印刷装置で印刷されたシートを読み取って得られた画像に対して、前記検査設定手段により行われた前記検査領域に関する設定に基づいて欠陥を検査する検査手段と、
を備える、
ことを特徴とする検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷物の印刷品質を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置から出力された印刷済みシートを検査する検査システムが知られている。検査には、絵柄の汚れなどをチェックする絵柄検査と文字列やコード画像が表す文字列が正しいか否かを判定するデータ検査がある。ここで、データ検査の対象となる文字列やコード画像が印刷済みシート内に複数存在するとき、検査の基準となるリファレンス画像における文字列やコード画像とそれらの正解文字列とをそれぞれ対応付ける作業が必要になる。従来、この対応付ける作業はユーザが手作業で行っており、ユーザの負担が大きかった。この点、特許文献1では、リファレンス画像としてのベクタ画像内に埋め込まれている座標を検査対象に対応付けることで、検査対象の配置が変更されても検査が容易に行えるようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-024223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1はリファレンス画像のデータがベクタ形式の画像であることを前提としており、データ内に各オブジェクトの座標情報を有さないビットマップ形式の画像データである場合には適用することができない。本開示は上記課題を鑑み、リファレンス画像が各オブジェクトの座標情報を有さない形式の画像データであっても、リファレンス画像における文字列及びコード画像とそれらの正解文字列とをそれぞれ対応付ける作業を容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る検査装置は、印刷済みシートの検査を行うための検査装置であって、検査の設定に用いるリファレンス画像から抽出された各ブロックに対しその種別に応じた処理を行うことにより、ブロック毎に文字列とその位置を示す座標とを取得する、取得手段と、前記リファレンス画像から取得された前記文字列と正解文字列とを比較することによって当該正解文字列に対応する前記リファレンス画像から取得された前記文字列を判定し、当該対応すると判定された文字列の位置を示す座標を前記正解文字列と紐づける紐づけ手段と、前記紐づけ手段によって前記正解文字列に紐づけられた座標に基づいて、前記印刷済みシートの検査対象にする検査領域に関する設定を行う検査設定手段と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本開示の技術によれば、リファレンス画像が各オブジェクトの座標情報を有さない画像データであっても、リファレンス画像における文字列やコード画像とそれらの正解文字列とをそれぞれ対応付ける作業を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】検査システムの概略構成図。
図2】検査システムの各装置のハードウェア構成を示すブロック図。
図3】画像形成装置、検査ユニット、及び大容量スタッカの内部構成を示す図。
図4】検査処理の概要を示すフローチャート。
図5】リファレンス画像の文字列と正解文字列との紐づけ処理を示すフローチャート。
図6】画像に対するOCR処理及びコード画像のデコード処理を示すフローチャート。
図7】OCR結果及びコード画像のデコード結果に基づき、正解文字列及び出力座標を示す図。
図8】絵柄検査、文字列検査、及びコード画像検査の検査設定画面を示す図。
図9】検査設定処理のフローチャート。
図10】検査処理の詳細を示すフローチャート。
図11】リファレンス画像の文字列と正解文字列との紐づけ処理を示すフローチャート。
図12】OCR結果及びコード画像のデコード結果に基づき、正解文字列及び出力座標を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下の実施形態は本開示を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。また、フローチャートにおける各工程(ステップ)については「S」で始まる符号を用いて示す。
【0009】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態における検査システムの概略構成図である。なお、本実施形態の画像形成装置は電子写真方式の画像形成装置を用いて説明するが、本実施形態における画像形成装置は、インクジェット方式、オフセット方式など、異なる方式の画像形成装置であっても良い。
【0010】
画像形成装置101は、ケーブル112を介して情報処理装置109と接続されている。情報処理装置109は、ネットワーク113を介してクライアントコンピュータ110及び印刷品質を検査する検査装置108と接続されている。画像形成装置101は、UIパネル102、給紙デッキ103及び給紙デッキ104を備える。さらに、画像形成装置101は、3段の給紙デッキからなるオプションデッキ105及びUIパネル102を備える。UIパネル102は、例えば静電容量方式のタッチパネルを備えた画像形成装置101の各種情報を表示し、ユーザによる操作を受け付けるユーザインターフェースである。画像形成装置101は、検査ユニット106及び大容量スタッカ107を備える。検査ユニットは、ケーブル114を介して検査装置108と接続されている。大容量スタッカ107はメイントレイとトップトレイを備え、メイントレイには数千枚のシートを積載することができる。
【0011】
クライアントコンピュータ110は印刷ジョブを生成し、生成されたジョブはネットワーク113を介して情報処理装置109に送信され、情報処理装置109で管理される。情報処理装置109はケーブル112を通じて印刷ジョブを画像形成装置101に送信する。印刷ジョブを受信した画像形成装置101がシートに印刷処理を実行する。なお、印刷ジョブは、情報処理装置109において生成されても良い。情報処理装置109はケーブル112を介して印刷ジョブを画像形成装置101に送信し、印刷ジョブは画像形成装置101で管理される形態をとっても良い。なお、クライアントコンピュータ110、情報処理装置109、及び検査装置108は、ケーブル112を介して接続され、画像形成装置101と通信しても良い。即ち、本実施形態に示す画像形成装置101、情報処理装置109、及びクライアントコンピュータ110の接続形態は一例であり、本実施形態に示した接続形態以外の様々な接続形態で本実施形態を実施しても良い。
【0012】
図2は、本実施形態に係る検査システムの各装置のハードウェア構成を示すブロック図である。CPU(Central Processing Unit/中央演算装置)201は、システムバス212を介して画像形成装置101内の各サブユニットの制御及び演算を実行する。CPU201は、記憶部205に格納され、RAM(Ramdom Access Memory)202にロードされるプログラムを実行する。RAM202は、CPU201から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種であり、CPU201のワークエリア又はその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部205は、CPU201で実行されるプログラムを格納し、画像形成装置101動作時の一時記憶領域及びワークメモリとしても機能する。
【0013】
エンジンI/F209は、プリンタエンジン210との通信及びプリンタエンジン210の制御を行う。給紙デッキI/F204は、給紙デッキ211との通信及び給紙デッキ211の制御を行う。給紙デッキ211は、給紙デッキ103、給紙デッキ104、及びオプションデッキ105をハードウェア構成としての総称である。ネットワークインターフェース(以下、「NW I/F」と称する)207は、ケーブル213を介して情報処理装置109のNW I/F238と接続され、情報処理装置109と画像形成装置101との間の通信を行う。なお、本実施形態ではシステムバス212に接続された画像形成装置101のインターフェースとシステムバス239に接続された情報処理装置109のインターフェースとが直接接続されている。接続方式はこれに限定されず、情報処理装置109及び画像形成装置101は例えばネットワーク等で接続されている形式でも良い。ビデオI/F206は、ビデオケーブル241を介してビデオI/F233と接続され、情報処理装置109と画像形成装置101との間の画像データの通信を行う。なお、情報処理装置109における画像形成装置101との接続インターフェースは、NW I/F238及びビデオI/F233の機能を統合した形式を採用しても良い。また、画像形成装置101における情報処理装置109との接続インターフェースは、NW I/F207とビデオI/F206の機能を統合した形式を採用しても良い。アクセサリI/F208は、ケーブル225を介して検査ユニット106のアクセサリI/F214、及び大容量スタッカ107のアクセサリI/F220と接続する。即ち、画像形成装置101はアクセサリI/F208、214、及び220を介して検査ユニット106、大容量スタッカ107と互いに通信を行う。
【0014】
検査ユニット106のCPU216は、システムバス219を介して検査ユニット106内の各サブユニットの制御及び演算を実行する。記憶部247に格納され、RAM217にロードされるプログラムを、CPU216は実行する。RAM217は、CPU216から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種であり、CPU216のワークエリア又はその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部247は、CPU216で実行されるプログラムを格納し、検査ユニット106動作時の一時記憶領域及びワークメモリとしても機能する。検査装置I/F215は、ケーブル249を介して検査ユニットI/F231と接続する。即ち、検査ユニット106は、検査装置I/F215及び検査ユニットI/F231を介して検査装置108と通信を行う。撮影部218は、例えばコンタクトイメージセンサ(以下、「CIS」と称する)を搭載した撮影機能を有し、検査ユニット106内を通過する印刷済みシートを撮影し、撮影した検査画像を検査装置I/F215を介して検査装置108に送信する。なお、CISはセンサの一例であり、撮影部218の撮影方式を限定しない。センサはCCDイメージセンサなど他の種類のセンサであっても良い。
【0015】
大容量スタッカ107のCPU220は、システムバス224を介して大容量スタッカ107内の各サブユニットの制御及び演算を実行する。CPU220は、記憶部248に格納され、RAM222にロードされるプログラムを実行する。RAM222は、CPU221から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種であり、CPU221のワークエリア又はその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部248は、CPU220で実行されるプログラムを格納し、大容量スタッカ107動作時の一時記憶領域及びワークメモリとしても機能する。排紙部223は、メイントレイ及びトップトレイへの排紙動作を行い、メイントレイ及びトップトレイ各々のシートの積載状況の監視及び制御を行う。
【0016】
検査装置108のCPU226は、システムバス230を介して検査装置108内の各サブユニットの制御及び演算を実行する。CPU226は、記憶部228に格納され、RAM227にロードされるプログラムを実行する。RAM227は、CPU226から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種であり、CPU226のワークエリア又はその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部228は、CPU226で実行されるプログラムを格納し、検査装置108動作時の一時記憶領域及びワークメモリとしても機能する。PDL解析部229は、クライアントコンピュータ110及び情報処理装置109から受信した例えばPDF、PostScript、又はPCLなどのPDLデータを読み込み、解釈処理を実行する。表示制御部245は、例えば検査装置108に接続されるタッチパネルなどである。表示制御部245は、検査装置108へのユーザの入力を受け付け、及び検査装置108の状態を表示する。
【0017】
情報処理装置109のCPU234は、システムバス239を介して情報処理装置109内の各サブユニットの制御及び演算を実行する。CPU234は、記憶部236に格納され、RAM235にロードされるプログラムを実行する。RAM235は、CPU234から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種であり、CPU234のワークエリア又はその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部236は、CPU234で実行されるプログラムを格納し、情報処理装置109動作時の一時記憶領域及びワークメモリとしても機能する。NW I/F237は、ネットワークを介してNW I/F232及びNW I/F240と接続される。情報処理装置109は、NW I/F237及びNW I/F232を介して検査装置108と通信を行う。また、情報処理装置109は、NW I/F237及びNW I/F240を介してクライアントコンピュータ110と通信を行う。
【0018】
クライアントコンピュータ110のCPU243は、システムバス246を介してクライアントコンピュータ110内の各サブユニットの制御及び演算を実行する。CPU243は、記憶部244に格納され、RAM242にロードされるプログラムを実行する。RAM242は、CPU243から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種であり、CPU243のワークエリア又はその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部244は、CPU243で実行されるプログラムを格納し、クライアントコンピュータ110動作時の一時記憶領域及びワークメモリとしても機能する。
【0019】
図3は、画像形成装置101、検査ユニット106、及び大容量スタッカ107の内部構成を示す図である。画像形成装置101は、UIパネル102を介してユーザの入力を受け付け、印刷や機器の状態をUIパネル102に表示する。給紙デッキ103及び給紙デッキ104には、各種シートを収容しておくことが可能である。給紙デッキ103又は給紙デッキ104では、収容されたシートの最上位のシート一枚のみを分離し、シート搬送パス305へ搬送することが可能である。現像ステーション301、302、303、及び304は、カラー画像を形成するために、それぞれY、M、C、及びKの有色トナーを用いてトナー像を形成する。現像ステーション301、302、303、及び304において形成されたトナー像は中間転写ベルト306に一次転写される。中間転写ベルト306は図3において時計回りに回転し、二次転写位置307でシート搬送パス305から搬送されてきたシートへトナー像が転写される。定着ユニット308は、加圧ローラー及び加熱ローラーを備え、各ローラーの間をシートが通過する。トナーを溶融及びシートに圧着することにより、シートにトナー像を定着させる。定着ユニット308を通過したシートはシート搬送パス309を通って312へと搬送される。シートの種類によって定着のためにさらにトナーを溶融及び圧着することが必要な場合には、シートは、定着ユニット308を通過した後、上側のシート搬送パスを使って第二定着ユニット310へと搬送される。第二定着ユニット310において追加の溶融及び圧着が実行された後、シートは、シート搬送パス311を通って端部312へ搬送される。画像形成モードが両面である場合は、シートはシート反転パス313へ搬送される。シートは、シート反転パス313で反転され、両面搬送パス314へ搬送され、二次転写位置307で二面目の画像転写が行われる。
【0020】
検査ユニット106内にはCIS315及びCIS316が対向する形で配置される。CIS315は印刷済みシートの上面を、CIS316は印刷済みシートの下面を読み取るためのセンサである。検査ユニット106は、画像形成装置101の端部312からシート搬送パス317へ搬送されたシートが所定の位置に到達したタイミングで、CIS315及びCIS316を用いて印刷済みシートをスキャンする。スキャンされた画像データは、検査装置I/F215及び検査ユニットI/F231を介して検査装置108に送信される。検査装置108のCPU226は、当該受信した画像に印刷欠陥があるか否かを判定し、判定結果を再び検査ユニットI/F231及び検査装置I/F215を介して検査ユニット106に通知する。検査ユニット106のCPU216は、当該受信した判定結果をアクセサリI/F214及びアクセサリI/F220を介して大容量スタッカ107に通知する。
【0021】
大容量スタッカ107は大容量の印刷済みシートを積載することが可能である。大容量スタッカ107は、印刷済みシートを積載するトレイとしてメイントレイ324を有する。検査ユニット106を通過した印刷済みシートはシート搬送パス317を通過して大容量スタッカ107に入る。印刷済みシートはシート搬送パス319からシート搬送パス322を経由して、メイントレイ324に積載される。さらに大容量スタッカ107は、排紙トレイとしてトップトレイ320を有する。大容量スタッカ107のCPU221は、検査装置108によって印刷欠陥が検出された印刷済みシートをトップトレイ320に排出する。印刷済みシートをトップトレイ320に排出する場合は、印刷済みシートはシート搬送パス319からシート搬送パス321を経由してトップトレイ320へ搬送される。反転部323は印刷済みシートを反転するためのユニットである。この反転部323は、印刷済みシートをメイントレイ324に積載する場合に使用される。大容量スタッカ107に入ってきたシートの向きとメイントレイ324に積載されている時のシートの向きが同一となるように、メイントレイ324に積載する場合には反転部323で一度印刷済みシートを反転させる。印刷済みシートをトップトレイ320へ搬送する場合には、フリップせずに印刷済みシートをトップトレイ320へ排出するため、反転部323において印刷済みシートの反転動作は行われない。
【0022】
以下、フローチャートとUIパネル102に表示されるUI画面の例を参照して、本実施形態のメイン処理について説明する。検査には、絵柄の汚れなどをチェックする絵柄検査、及びコード画像(バーコード又は2次元コード)のデコードするによって得られた文字列と正解ファイルに記述された正解文字列とを比較し、データ欠陥の有無を検査するデータ検査の2種類の検査がある。本開示ではデータ検査に関する処理をメインに扱うため、以後においてはデータ検査を中心に説明する。
【0023】
なお、本フローに係る画像形成装置101のプログラムは、画像形成装置101の記憶部205に格納されており、RAM202に読み出され、CPU201によって実行される。本フローに係る検査装置108のプログラムは、検査装置108の記憶部228に格納されており、RAM227に読み出され、CPU226によって実行される。本フローに係る情報処理装置109のプログラムは、情報処理装置109の記憶部236に格納されており、RAM235に読み出され、CPU234によって実行される。本フローに係るクライアントコンピュータ110のプログラムは、クライアントコンピュータ110の記憶部244に格納されており、RAM242に読み出され、CPU243によって実行される。
【0024】
検査開始から検査実行までの全体フローを図4のフローチャートを参照して説明する。S401において、ユーザによって検査の基準となる印刷処理及び絵柄検査処理で使用されるリファレンス画像が検査装置108に登録される。具体的には、検査装置108にてリファレンス画像の読み込み処理を開始し、クライアントコンピュータ110にてリファレンス画像登録用の印刷ジョブを実行する。当該印刷ジョブに基づき、画像形成装置101において生成された印刷済みシートを検査ユニット106で読み取り、検査ユニット106は読み取った画像データをリファレンス画像として検査装置108に送信する。検査装置108は、検査ユニット106から送信されたリファレンス画像を読み込み、当該リファレンス画像を登録する。リファレンス画像が検査装置108に登録されると、処理はS402に進む。
【0025】
S402において、ユーザによって照合検査の正解文字列が検査装置108に登録される。照合検査の正解文字列とは、データ検査を行う際に照合するデータ検査用のリファレンスファイル(正解ファイル)に格納されているデータである。リファレンスファイルはユーザが予め用意しておくべきファイルである。リファレンスファイルには、文字列検査用の正解文字列及びコード画像によってエンコードされている正解文字列が列挙されている。検査装置108のCPU226は、データ検査実行時に文字列検査領域内の文字列画像のOCR結果及びコード画像をデコードした結果の文字列と、リファレンスファイルに列挙された正解文字列とを照合する。照合検査の正解文字列が検査装置108に登録されると、処理はS403に進む。
【0026】
S403において、検査装置108のCPU226は、S401にて登録したリファレンス画像とS402にて登録した正解文字列とを紐づける処理を行い、処理はS404に進む。本処理の詳細については図5のフローチャートを参照して後述する。S404において、ユーザは検査設定を行い、処理はS405に進む。検査設定とは、UI画面を用いて各種検査パラメータ、検査領域、検査レベル、又は連番検査などの設定を行うことを指す。検査設定の詳細については後述する。S405において、検査装置108は検査を開始し、クライアントコンピュータ110において検査用の印刷ジョブが実行される。当該印刷ジョブに基づき、画像形成装置101において印刷が実行される。検査ユニット106は画像形成装置101から搬送される印刷済みシートの搬送を検知すると、当該印刷済みシートをCIS315及びCIS316によってスキャンし、検査画像(スキャン画像)を取得する。検査画像は、検査ユニット106から検査装置108へ送信され、当該検査画像は検査装置108のRAM227に保存される。検査装置108のCPU226は、保存された検査画像とリファレンス画像とを比較することにより検査結果を出力する。当該検査は検査設定にてユーザに指定された設定値に基づいて実行される。印刷ジョブで指定されたシート数の検査が完了すると、図4に示されるフローチャートの処理は終了する。
【0027】
次に、リファレンス画像と正解文字列との紐づけ処理(S403の処理)について、図5及び図6に示すフローチャート及び図7を参照して説明する。図7(a)は照合検査の正解文字列、並びにOCR結果及びコード画像のデコード結果の一例を示す図である。図7(b)は照合検査の正解文字列と座標とのデータベース(以下、「正解文字列データベース」と称する)の例を示す図である。
【0028】
リファレンス画像と正解文字列との紐づけ処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。S501において、検査装置108のCPU226は、リファレンス画像の文字列及び座標を取得する処理を実行し、処理はS502に進む。S502において、検査装置108のCPU226は、照合検査の正解文字列と、S501において取得したOCR結果及びコード画像のデコード結果の文字列(リファレンス画像から抽出された文字列)とを比較する。具体的には、検査装置108のCPU226は、図7(a)に示される「照合検査の正解文字列」が、図7(a)に示される「OCR結果又はコード画像のデコード結果」内の出力文字列と同一であるか否かを判定する。比較した文字列が同一である場合には、処理はS503に進む。比較した文字列が同一ではない場合には、処理はS502に戻り、別の「OCR結果及びコード画像のデコード結果」と当該正解文字列とを比較する。
【0029】
S503において、検査装置108のCPU226は、照合検査の正解文字列と当該正解文字列に対応する「出力文字列」の座標とをペアとしてRAM227内の正解文字列データベース706に登録する(図7(b)参照)。このようにして、正解文字列と、検査対象となる位置を示す座標との間で紐づけが行われる。なお、紐づけする際は、図7(b)のように直接的に対応付けて管理してもよいし、所定のパラメータを介して間接的に対応付けて管理しても構わない。S504において、検査装置108のCPU226は、全ての照合検査の正解文字列の比較が完了したか否かを判定する。全ての照合検査の正解文字列の比較が完了していない場合には、処理はS502に戻る。全ての照合検査の正解文字列の比較が完了した場合には、図5に示されるフローチャートの処理は終了する。
【0030】
リファレンス画像の文字列及び座標を取得する処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。S601においては、検査装置108のCPU226は、リファレンス画像からコンテンツ種別ごとのブロックを抽出し、処理はS602に進む。S602からS606のループ処理は、S601において実行されたブロック抽出処理により抽出されたブロック数回繰り返される。S602においては、検査装置108のCPU226は、リファレンス画像から各ブロックの画像を切り出す。各ブロックの画像の切り出しが完了すると、処理はS603に進む。S603においては、検査装置108のCPU226は、切り出したブロック毎に画像の種別を判定する。切り出したブロック毎に画像の種別が判定されると、処理はS604からS606に進む。
【0031】
S603において、種別がテキストと判定された場合には、処理はS604に進む。S604において、検査装置108のCPU226は、切り出した各ブロックの画像に対して文字認識処理を行い、処理はS606に進む。文字認識処理は、光学文字認識(OCR)により実行される。当該OCR処理により、OCR結果として、文字列とOCRした文字列の領域座標とを取得し、当該OCR結果をRAM227に格納する。なお、OCR処理には公知の手法が利用されるため、詳細な説明を省略する。
【0032】
S603において、種別が画像と判定された場合には、処理はS605に進む。S605において、検査装置108のCPU226は、切り出した各ブロックの画像に対してコード画像のデコード処理を行い、処理はS606に進む。当該デコード処理により、コード画像のデコード結果として、コード画像に埋め込まれた文字列を取得した場合には、当該文字列と当該コード画像の領域座標とを取得し、当該コード画像のデコード結果をRAM227に格納する。なお、コード画像のデコード処理には公知の手法が利用されるため、詳細な説明を省略する。S603において、種別がテキスト又は画像以外と判定された場合には、処理はS606に進む。
【0033】
S606において、検査装置108のCPU226は、全ブロックに対してS602の処理が完了したかを判定する。全ブロックに対してS602の処理が完了していない場合には、処理はS552に戻る。全ブロックに対してS602の処理が完了した場合には、図6に示されるフローチャートの処理は終了する。
【0034】
次に、検査設定の詳細について、図8に示されるUI画面を表す図、及び図9に示されるフローチャートを参照して説明する。ユーザがリファレンス登録にて登録したリファレンス画像を選択すると、検査設定の処理が開始される。図8は、ユーザからの検査設定の実行操作を受け付ける検査設定画面の一例を示す。当該検査設定画面は、検査装置108から検査ユニット106及び画像形成装置101を介してUIパネル102に表示される。検査設定画面では、ユーザはプレビューされたリファレンス画像上で検査領域の配置を行い、各検査領域に対して個別に設定を行うことができる。なお、本実施形態では、後述するように、図7(b)の正解文字列と領域の位置座標とを対応づけた情報に基づいて、検査領域を初期配置できるので、ユーザが検査領域を手動で配置する手間を減らすことができる。ユーザは、必要に応じて初期配置された検査領域を修正したり、新たな検査領域を追加したりすることができる。
【0035】
領域801は、リファレンス画像が表示されるプレビュー表示画面である。複数ページの印刷ジョブのリファレンス画像の場合には、プレビュー表示されるリファレンス画像を切り替える操作を受け付け、各ページのリファレンス画像を表示できる。絵柄検査領域802、文字列検査領域803、及びコード画像検査領域804は、プレビュー上に配置された検査領域を示す枠である。検査領域は検査領域配置ボタン806によって配置され、ユーザによるマウスドラッグ操作により大きさと位置を変更することができる。図8(a)から図8(c)の絵柄検査領域802には、絵柄を配置し、文字列検査領域803には、文字列を配置し、コード画像検査領域804には、バーコードを配置した例が示されている。バーコードを配置した例は一例に過ぎず、2次元コードをコード画像検査領域804に配置しても良い。
【0036】
検査領域は、検査領域選択ボタン805によって選択される。ユーザが検査領域選択ボタン805を押下した後に、ユーザが絵柄検査領域802、文字列検査領域803、及びコード画像検査領域804においてマウスをクリックすると、検査領域の選択操作は受け付けられる。ユーザが検査領域配置ボタン806を押下した後に、ユーザは表示されるプルダウンメニューから検査領域のタイプを選択し、プレビュー表示上の検査領域に指定したい領域をマウスドラッグにより選択すると、検査領域の配置操作は受け付けられる。
【0037】
領域807は、選択中の領域の設定項目であり、検査領域選択ボタン805によって選択された検査領域個別の設定値が表示される。領域808は、ページの範囲の設定項目である。ユーザが各ボタンを押下することで、選択中の検査領域によって検査が実行されるページの範囲の指定操作を受け付ける。何も選択されていない場合は、プレビュー表示画面に現在表示されているページにのみ選択中の検査領域が配置される。「現在のページと同じ面」が選択されている場合、選択中の検査領域がシートの表面又は裏面のどちらに配置されているかに応じて、同じ面のページに選択中の検査領域を配置する。「全てのページ」が選択されている場合、すべてのページに選択中の検査領域を配置する。
【0038】
領域809は、検査領域のタイプごとの設定項目であり、検査領域選択ボタン805によって選択された検査領域のタイプに応じて設定項目が表示される。図8(a)は、絵柄検査領域802が選択された時に表示される絵柄検査の設定項目である。絵柄検査の設定項目には、印刷物を検査する際に、どのような欠陥を検査するかの項目、及びどれくらいの微細な欠陥を検出するかのレベル等が含まれる。検査項目には、例えば、丸い形状の印刷欠陥(ポチ(スポット))、及び線状の印刷欠陥(スジ)等が含まれる。検査レベルとは、例えば、検査レベル1から検査レベル5の5段階がある。検査レベル1より検査レベル5の方が、より精密に印刷欠陥を検出する。また、ポチ(スポット)は検査レベル5で、スジは検査レベル4のように、検査項目ごとにレベルを設定することができる。図8(b)は、文字列検査領域803が選択された場合に表示される文字列検査の設定項目である。検査領域ごとに、検査領域の角度、文字列のフォント、照合検査の正解文字列を設定する。文字列のフォントを選択する項目を表示し、ユーザからのフォントの選択を受け付ける。フォント指定は任意に設定を行うと検査する際にOCRの認識精度をより高くすることができる。図8(c)は、コード画像検査領域804が選択された場合に表示されるコード画像検査の設定項目である。検査領域ごとに、検査領域の角度、コードの種類、及び照合検査の正解文字列を設定する。なお、本実施形態では選択した検査領域のタイプに応じた設定項目を表示することで無関係の項目が表示されないようにしているが、表示方法はこれに限られない。全ての項目を表示し、無関係の項目を無効化する形式をとっても良いし、無関係の項目を折りたたんで非表示にする形式をとっても良い。
【0039】
領域810は、照合検査の正解文字列である。データ検査を実行する際にOCR結果又はコード画像のデコード結果は、領域810に含まれる正解文字列と照合される。領域811は、検査設定の完了ボタン(「OK」ボタン)である。ユーザが「OK」ボタンを押下すると、検査装置108のCPU226は、検査設定を完了し、検査設定を記憶部228に保存して検査設定処理を終了する。設定に不整合がある場合には、検査装置108のCPU226は検査設定の完了ボタンである領域811を無効化して、ユーザが検査設定の完了ボタンを押下できないようにしても良い。設定の不整合とは、例えば照合検査を実行する検査領域が存在するが、照合検査のデータの設定項目が設定されていないこと等が挙げられる。領域812は、検査設定のキャンセルボタンである。ユーザがキャンセルボタンを押下すると、検査装置108のCPU226は、検査設定を破棄し検査設定処理を終了する。
【0040】
図9は、検査装置108に対して検査設定の開始操作が行われた場合、検査装置108のCPU226が実行する検査設定処理を示すフローチャートである。即ち、UIパネル102に表示された検査設定画面及び検査領域一覧からユーザによる操作を受け付け、検査装置108のCPU226が検査設定を行うための各種処理を実行する。
【0041】
S901において、検査装置108のCPU226は、S503において取得した照合検査の正解文字列及び座標を用いて、検査領域の初期配置と、当該初期配置した各検査領域に対応する正解文字列の登録を行い、処理はS902に進む。本実施形態では、検査装置108のCPU226は、出力座標705を用いて文字列検査領域803を初期配置し、さらに正解文字列702に基づいて当該初期配置した文字列検査領域803に対応する、照合検査のデータにおける正解文字列との対応付けを行う。S902において、検査装置108のCPU226は、検査設定画面から、照合検査のデータの設定操作をユーザから受け付け、処理はS903に進む。本実施形態では、照合検査のデータの設定操作とは、図8(a)の領域807に示されるユーザによる照合検査のデータの設定項目に関する操作である。S903において、検査装置108のCPU226は、検査設定画面から、追加の検査領域の配置操作をユーザから受け付け、処理はS904に進む。本実施形態では、検査領域の配置操作とは、図8(b)又は図8(c)に示される検査領域配置ボタン806へのユーザによる操作のことを指す。
【0042】
S904において、検査装置108のCPU226は、検査設定画面から、検査領域の選択操作をユーザから受け付け、処理はS905に進む。本実施形態では、検査領域の選択操作とは、図8(b)又は図8(c)に示される検査領域選択ボタン805へのユーザによる操作のことを指す。S905において、検査装置108のCPU226は、検査設定画面から、検査領域ごとの設定操作をユーザ受け付け、処理はS906に進む。本実施形態では、検査領域ごとの設定操作とは、図8(b)又は図8(c)の領域808又は領域809に示されるユーザによる検査領域ごとの設定項目、並びに不図示の連番検査を行うか否かを選択する操作である。
【0043】
S906において、検査装置108のCPU226は、ユーザによる検査設定が完了したか否かを判定する。検査装置108のCPU226が、検査設定が完了したと判定した場合、即ちユーザが領域811で示される検査設定の完了ボタンを押下した場合、処理はS907に進む。検査装置108のCPU226が、検査設定が完了していないと判定した場合、処理はS902に戻り、ユーザは検査設定を続行する。S907において、検査装置108のCPU226は、設定を記憶部228に保存し、図9に示される検査設定処理を終了する。
【0044】
次に、検査処理の詳細について、図10に示されるフローチャートを参照して説明する。図10に示される検査処理は、検査装置108のCPU226が各種処理を実行することにより実現される。
【0045】
S1001において、検査装置108のCPU226は、記憶部228からRAM227に検査設定を読み出し、印刷済みシートのスキャン画像の受信待ち状態に遷移し、処理はS1002に進む。S1002において、ユーザはクライアントコンピュータ110において検査対象の印刷ジョブを実行する。印刷ジョブが実行されると、検査装置108のCPU226は、検査ユニット106が印刷済みシートをスキャンして取得した検査画像を検査装置I/F215及び検査ユニットI/F231を介して検査ユニット106から受信する。検査画像を受信すると、処理はS1003に進む。
【0046】
S1003において、検査装置108のCPU226は、検査画像に対して図6のフローチャートの処理を実行し、検査画像から文字列及びその座標を取得し、処理はS1004に進む。S1004において、検査装置108のCPU226は、RAM227にロードされた検査設定から検査領域を取得し、処理はS1005に進む。S1005において、検査装置108のCPU226は、当該検査領域において正解文字列とOCR結果及びコード画像のデコード結果との照合を行い、処理はS1006に進む。照合の結果が不一致であった場合には、検査装置108のCPU226は当該検査領域の検査結果をNGと判定する。照合の結果が一致していた場合には、検査装置108のCPU226は当該検査領域の検査結果をOKと判定する。S1006において、検査装置108のCPU226は、S1005にて出力された検査結果をログとしてRAM227に記憶し、処理はS1007に進む。S1007において、検査装置108のCPU226は、検査設定に指定されている検査領域に対する検査が完了したかを判定する。検査装置108のCPU226が検査は完了したと判定した場合には処理はS1008に進む。検査装置108のCPU226が検査は完了していないと判定した場合には処理はS1004に戻る。
【0047】
S1008において、検査装置108のCPU226は、検査対象の全ての印刷済みシートの検査が完了したか否かを判定する。検査装置108のCPU226がすべての印刷済みシートの検査が完了していないと判定した場合には、処理S1002に戻る。検査装置108のCPU226がすべての印刷済みシートの検査が完了したと判定した場合には、処理はS1009に進む。S1009において、検査装置108のCPU226は、印刷済みシートの検査画像の受信待ち状態を終了し、処理はS1010に進む。S1010において、検査装置108のCPU226は、RAM227に記憶されたログを検査結果として検査ユニット106を介して画像形成装置101へ送信する。検査結果を受信した画像形成装置101のCPU201は、検査結果をUIパネル102に表示すると、検査装置108のCPU226は図10に示される検査処理を終了する。S1010において、検査結果をUIパネル102に表示する例を示したが、これに限られない。検査装置108のCPU226は、検査装置108の表示制御部245に検査結果を表示しても良い。また、UIパネル102又は表示制御部245のUI画面には、検査不合格である印刷済みシートの検査結果の詳細を表示しても良い。この際、正解文字列と当該印刷済みシートの文字列とが一致しない文字列を両者が一致する文字列と異なる色で表示しても良い。
【0048】
上述したように、本実施形態によれば、検査設定前にリファレンス画像に対してOCR処理及びコード画像のデコード処理を行い、正解文字列に対応するリファレンス画像の文字列及び当該文字列の座標を取得する。これにより、リファレンス画像が各オブジェクトの座標情報を有さない画像データであっても、リファレンス画像における文字列及びコード画像とそれらの正解文字列とをそれぞれ対応付ける作業を容易に行えることが可能となる。
【0049】
[第2実施形態]
第1実施形態では、検査設定を実行する前にOCR処理及びコード画像のデコード処理を行い、その処理結果の座標と照合検査の正解文字列とを紐づけるという例を示した。しかし、上述の例では正解文字列とOCR結果及びコード画像のデコード結果の文字列とが一致していないと紐づけることができない。そのため、本実施形態では、OCR結果及びコード画像のデコード結果の文字列が、正解文字列に完全一致しない場合でも紐づけるようにする。すなわち、OCR結果やデコード結果の文字列(出力文字列)が、正解文字列に類似しており、当該正解文字列に対応する文字列であると推定できる場合には、当該出力文字列の位置座標を当該正解文字列に紐づける紐づけ処理を行うようにする。なお、本実施形態と第1実施形態との共通の部分の説明は省略する。
【0050】
本実施形態におけるリファレンス画像と正解文字列を紐づける処理S403について、図11のフローチャート及び図12を用いて説明する。図11は、本実施形態での検査領域に対して、リファレンス画像と正解文字列とを紐づける処理を示すフローチャートである。図12(a)は、本実施形態における照合検査の正解文字列、及びOCR結果及びコード画像のデコード結果の例である。図12(b)は、本実施形態における正解文字列データベースの例である。
【0051】
図11に示される検査処理は、検査装置108のCPU226がリファレンス画像と正解文字列とを紐づける処理を行うための各種処理を実行することにより実現される。図11のフローチャートのS501の処理は、図5のフローチャートにおけるS501の処理と同一の処理を行う。
【0052】
S1101において、検査装置108のCPU226は、照合検査の正解文字列とOCR結果及びコード画像のデコード結果の全ての出力文字列(リファレンス画像から抽出された全ての文字列)とのレーベンシュタイン距離をそれぞれ取得する。レーベンシュタイン距離とは、2つの文字列がどの程度異なっているかを示す距離である。すなわち、2つの文字列のレーベンシュタイン距離が短ければ短いほど、当該2つの文字列はより類似していることになる。言い換えると、レーベンシュタイン距離は、2つの文字列の類似度を示している。レーベンシュタイン距離は、ある文字列を別の文字列に変換するのに必要な操作の最小回数を表す。この操作は文字列に1つの文字を挿入する操作、文字列から1つの文字を削除する操作、文字列内の文字を別の文字に置き換える操作である。例えば、図12(a)における正解文字列“abc”と出力文字列“abo”のレーベンシュタイン距離は1である。また、正解文字列“abc”と出力文字列“efgh”のレーベンシュタイン距離は4である。
【0053】
S1102において、検査装置108のCPU226は、S1101で取得した最も短いレーベンシュタイン距離が閾値未満であるか判定する。レーベンシュタイン距離が閾値未満であれば、レーベンシュタイン距離が最も短い出力文字列は、正解文字列に類似しており、当該正解文字列に対応する文字列であると推定することができる。一方、最も短いレーベンシュタイン距離が閾値以上であれば、その正解文字列に所定以上類似する出力文字列は無いと判定できる。このように、出力文字列がOCRにおける誤り又はコード画像のデコードにおける誤りを含んでいたとしても、正解文字列に所定以上類似するかどうか判定することにより、当該正解文字列に対応する出力文字列を特定することができる。S1102において、最も短いレーベンシュタイン距離が閾値未満であると判定した場合には、処理はS1103に進む。S1102において、最も短いレーベンシュタイン距離が閾値以上であると判定した場合には、処理はS1101に戻る。当該閾値は予め設定されても良いし、ユーザが値を入力することにより設定されても良い。
【0054】
S1103において、検査装置108のCPU226は、照合検査の正解文字列と、最も短いレーベンシュタイン距離の出力文字列の座標とをペアとして登録し、処理はS1104に進む。即ち、正解文字列702に最も類似する出力文字列1201(レーベンシュタイン距離が最も短い出力文字列)の出力座標1203を、当該正解文字列702に対応する位置座標として登録する。上述のペアを、RAM227内の正解文字列データベース1204に登録する。S1104において、検査装置108のCPU226は、照合検査の全ての正解文字列の比較が完了したか否かを判定する。全ての正解文字列の比較が完了していない場合には、処理はS1101に戻る。全ての正解文字列の比較が完了した場合には、リファレンス画像における位置座標と正解文字列とを紐づける処理を終了する。
【0055】
なお、本実施形態では、レーベンシュタイン距離を用いて、正解文字列に類似する出力文字列を判定するようにしたが、レーベンシュタイン距離に限るものではない。例えば、類似度を判定可能な他の手法(例えば、ハミング距離など)を用いて、正解文字列に類似する文字列を判定するようにしてもよい。
【0056】
本実施形態によれば、検査処理前に実行したリファレンス画像のOCR結果又はコード画像のデコード結果が一部誤っていた場合でも、リファレンス画像からOCR処理やデコード処理で得た出力文字列の位置座標と正解文字列とを紐づけることが可能になる。これにより、リファレンス画像が各オブジェクトの座標情報を有さない画像データであっても、リファレンス画像における文字列及びコード画像とそれらの正解文字列とをそれぞれ対応付ける作業を容易に行えることが可能となる。
【0057】
[その他の実施形態]
本開示は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0058】
上述した実施形態の開示は、以下の構成を含む。
【0059】
(構成1)印刷済みシートの検査を行うための検査装置であって、検査の設定に用いるリファレンス画像から抽出された各ブロックに対しその種別に応じた処理を行うことにより、ブロック毎に文字列とその位置を示す座標とを取得する、取得手段と、前記リファレンス画像から取得された前記文字列と正解文字列とを比較することによって当該正解文字列に対応する前記リファレンス画像から取得された前記文字列を判定し、当該対応すると判定された文字列の位置を示す座標を前記正解文字列と紐づける紐づけ手段と、前記紐づけ手段によって前記正解文字列に紐づけられた座標に基づいて、前記印刷済みシートの検査対象にする検査領域に関する設定を行う検査設定手段と、を備える、ことを特徴とする検査装置。
【0060】
(構成2)前記検査設定手段は、前記紐づけ手段によって前記正解文字列に紐づけられた座標に基づいて、前記リファレンス画像上に前記検査領域を初期配置した検査設定画面を表示し、前記検査設定画面におけるユーザの操作に基づいて、前記検査領域に関する設定を行う、ことを特徴とする構成1に記載の検査装置。
【0061】
(構成3)前記検査設定手段により行われた前記検査領域に関する設定に基づいて、検査対象の印刷済みシートを読み取って得られた画像に対する検査を行う検査手段を更に備えることを特徴とする構成1または2に記載の検査装置。
【0062】
(構成4)前記紐づけ手段は、前記正解文字列に類似する前記リファレンス画像から取得された前記文字列を判定することにより、当該類似すると判定された文字列の位置を示す座標を前記正解文字列と紐づける、ことを特徴とする構成1に記載の検査装置。
【0063】
(構成5)前記紐づけ手段は、前記リファレンス画像から取得された前記文字列と前記正解文字列とのレーベンシュタイン距離を用いて、前記正解文字列に類似する前記リファレンス画像から取得された前記文字列を判定することにより、当該類似すると判定された文字列の位置を示す座標を前記正解文字列と紐づける、ことを特徴とする構成4に記載の検査装置。
【0064】
(構成6)前記紐づけ手段は、前記レーベンシュタイン距離が最も短く、かつ、前記レーベンシュタイン距離が閾値未満である前記リファレンス画像から取得された前記文字列の位置を示す座標を、前記正解文字列と紐づける、ことを特徴とする構成5に記載の検査装置。
【0065】
(構成7)前記レーベンシュタイン距離の閾値は、予め設定されている、ことを特徴とする構成6に記載の検査装置。
【0066】
(構成8)ユーザから前記レーベンシュタイン距離の閾値を受け付けるUI画面を表示させる表示制御手段を更に備える、ことを特徴とする構成6に記載の検査装置。
【0067】
(構成9)前記検査対象の印刷済みシートを読み取って得られた画像の前記検査手段による検査結果が不合格である場合、当該検査結果の詳細を表示する表示制御手段を更に備える、ことを特徴とする構成3に記載の検査装置。
【0068】
(構成10)前記正解文字列は、前記印刷済みシートにおいて印刷されるべき文字列である、ことを特徴とする構成1に記載の検査装置。
【0069】
(構成11)前記正解文字列は、前記印刷済みシートにおいて印刷されるべきコード画像によってエンコードされているはずの文字列である、ことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【0070】
(構成12)印刷済みシートの検査を行うための検査装置の制御方法であって、検査の設定に用いるリファレンス画像から抽出された各ブロックに対しその種別に応じた処理を行うことにより、ブロック毎に文字列とその位置を示す座標とを取得するステップと、前記リファレンス画像から取得された前記文字列と正解文字列とを比較することによって当該正解文字列に対応する前記リファレンス画像から取得された前記文字列を判定し、当該対応すると判定された文字列の位置を示す座標を前記正解文字列と紐づけるステップと、前記紐づけ手段によって前記正解文字列に紐づけられた座標に基づいて、前記印刷済みシートの検査対象にする検査領域に関する設定を行うステップと、を備える、ことを特徴とする検査装置の制御方法。
【0071】
(構成13)印刷ジョブで指定された画像データに基づきシートに印刷を行う印刷装置と、印刷済みシートの検査を行うための検査装置とを含む検査システムであって、前記検査装置は、検査の設定に用いるリファレンス画像から抽出された各ブロックに対しその種別に応じた処理を行うことにより、ブロック毎に文字列とその位置を示す座標とを取得する、取得手段と、前記リファレンス画像から取得された前記文字列と正解文字列とを比較することによって当該正解文字列に対応する前記リファレンス画像から取得された前記文字列を判定し、当該対応すると判定された文字列の位置を示す座標を前記正解文字列と紐づける紐づけ手段と、前記紐づけ手段によって前記正解文字列に紐づけられた座標に基づいて、前記印刷済みシートの検査対象にする検査領域に関する設定を行う検査設定手段と、前記印刷装置で印刷されたシートを読み取って得られた画像に対して、前記検査設定手段により行われた前記検査領域に関する設定に基づいて欠陥を検査する検査手段と、を備える、ことを特徴とする検査システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12