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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162741
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】マグネットセパレータ
(51)【国際特許分類】
   B03C 1/14 20060101AFI20241114BHJP
   B03C 1/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B03C1/14 101
B03C1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078599
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000145448
【氏名又は名称】住友重機械ファインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】西澤 信也
(72)【発明者】
【氏名】杉山 陽介
(57)【要約】
【課題】液体から非磁性粒子を効率的に分離回収することが可能なマグネットセパレータを提供する。
【解決手段】ドラムが、非磁性材料からなる外筒、及び外筒の内部に配置され外周面に磁石を配置した内筒を含む。流路の底板が、ドラムの外周面のうち下方を向く領域に間隔を隔てて対向し、ドラムの外周面との間に磁性粒子及び非磁性粒子が混在する液体が流れる流路を画定する。底板のうち、外筒の外周面に対向する箇所に第1開口が設けられており、第1開口が設けられた箇所に淀みを発生させる淀み発生構造が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性材料からなる外筒、及び前記外筒の内部に配置され外周面に磁石を配置した内筒を含むドラムと、
前記ドラムの外周面のうち下方を向く領域に間隔を隔てて対向し、前記ドラムの外周面との間に磁性粒子及び非磁性粒子が混在する液体が流れる流路を画定する底板と
を備え、
前記底板のうち、前記外筒の外周面に対向する箇所に第1開口が設けられており、前記第1開口が設けられた箇所に淀みを発生させる淀み発生構造が設けられているマグネットセパレータ。
【請求項2】
前記淀み発生構造は、前記流路の上流側を向く第1段差面を含む請求項1に記載のマグネットセパレータ。
【請求項3】
前記淀み発生構造は、さらに、前記第1段差面よりも前記流路の下流側に設けられ、前記流路の下流側を向く第2段差面を含み、
前記底板のうち、前記第2段差面に起因する淀みが発生する位置に第2開口が設けられている請求項2に記載のマグネットセパレータ。
【請求項4】
さらに、
前記第1開口を通って落下する液体を収容する容器と、
前記容器に流入した液体を、前記第1開口よりも下流側において前記流路に戻す戻し流路と
を備えた請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマグネットセパレータ。
【請求項5】
非磁性材料からなる外筒、及び前記外筒の内部に配置され外周面に磁石を配置した内筒を含むドラムと、
前記ドラムの外周面の下方を向く面に間隔を隔てて対向し、前記ドラムの外周面との間に磁性粒子及び非磁性粒子が混在する液体が流れる流路を画定する底板と
を備え、
前記底板のうち、前記外筒の外周面に対向する箇所に第1開口が設けられており、前記第1開口が設けられた箇所より下流側に、前記流路の上流側を向く第1段差面が設けられているマグネットセパレータ。
【請求項6】
前記第1段差面の高さは、前記第1段差面が設けられている箇所における前記流路の、前記ドラムの半径方向の寸法の1/2以上である請求項5に記載のマグネットセパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネットセパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
研削盤から、磁性粒子を含むクーラントが排出される。クーラントから磁性粒子を除去するために、マグネットセパレータと呼ばれる固液分離装置が使用される。磁性粒子が除去されたクーラントは、研削盤に送られて再利用される。
【0003】
研削盤に用いられる砥粒は、アルミナや炭化珪素ダイアモンドのような非磁性体であるのが一般的である。このため、クーラントには、磁性粒子の他に非磁性粒子も含まれる。非磁性粒子を分離回収するマグネットセパレータが、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されたマグネットセパレータにおいては、回転するドラムの外周面のうち下方を向く領域に対向する流路の底板に開口が設けられている。非磁性粒子は、この開口を通って落下することにより、クーラントから分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非磁性粒子をより効率的に回収する技術が望まれている。本発明の目的は、液体から非磁性粒子を効率的に分離回収することが可能なマグネットセパレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によると、
非磁性材料からなる外筒、及び前記外筒の内部に配置され外周面に磁石を配置した内筒を含むドラムと、
前記ドラムの外周面のうち下方を向く領域に間隔を隔てて対向し、前記ドラムの外周面との間に磁性粒子及び非磁性粒子が混在する液体が流れる流路を画定する底板と
を備え、
前記底板のうち、前記外筒の外周面に対向する箇所に第1開口が設けられており、前記第1開口が設けられた箇所に淀みを発生させる淀み発生構造が設けられているマグネットセパレータが提供される。
【0007】
本発明の他の観点によると、
非磁性材料からなる外筒、及び前記外筒の内部に配置され外周面に磁石を配置した内筒を含むドラムと、
前記ドラムの外周面の下方を向く面に間隔を隔てて対向し、前記ドラムの外周面との間に磁性粒子及び非磁性粒子が混在する液体が流れる流路を画定する底板と
を備え、
前記底板のうち、前記外筒の外周面に対向する箇所に第1開口が設けられており、前記第1開口が設けられた箇所より下流側に、前記流路の上流側を向く第1段差面が設けられているマグネットセパレータが提供される。
【発明の効果】
【0008】
液体に混在する非磁性粒子は、淀みが発生した領域に沈殿しやすい。淀みが発生する領域に設けられた第1開口を通って、非磁性粒子が落下することにより、非磁性粒子を効率的に分離回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1Aは、第1実施例によるマグネットセパレータの断面図であり、図1Bは、ドラムの底部近傍を拡大した断面図である。
図2図2は、第1実施例によるマグネットセパレータの流路、第1開口、第1段差面、ドラムの平面視における位置関係を示す図である。
図3図3は、第1実施例の変形例によるマグネットセパレータのドラムの底部近傍の断面図である。
図4図4は、第1実施例の他の変形例によるマグネットセパレータのドラムの底部近傍の断面図である。
図5図5は、第1実施例のさらに他の変形例によるマグネットセパレータの流路、第1開口、第1段差面、ドラムの平面視における位置関係を示す図である。
図6図6は、第2実施例によるマグネットセパレータのドラムの底部近傍の断面図である。
図7図7は、第3実施例によるマグネットセパレータのドラムの底部近傍の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1A図2を参照して、第1実施例によるマグネットセパレータについて説明する。図1Aは、第1実施例によるマグネットセパレータの断面図であり、図1Bは、ドラムの底部近傍を拡大した断面図である。
【0011】
筐体29内に、流路の底板24が配置されており、底板24の上に液体61が流れる流路FPが画定されている。液体61に、磁性粒子62及び非磁性粒子63が混在している。図1A及び図1Bにおいて、流路FP内の液体61の流れの向きを矢印で表している。筐体29の流入口21から流路FPに液体61が流入する。流入した液体61は、流路FP内を流れ、流路FPの下流側の端部近傍に設けられた流出口22から流出する。
【0012】
筐体29内にドラム25が配置されている。ドラム25は、その回転中心25Rが液体61の液面(すなわち水平面)と平行になり、液体61の流れの方向に対して直交する姿勢で筐体29内に支持されている。ドラム25の外周面の一部の領域が、流路FPを流れる液体61に浸漬されている。ドラム25が、非磁性材料からなる外筒25Aと、その内部に配置された内筒25Bとを含む。外筒25Aは、モータ26によって、回転中心25Rの周りに回転する。モータ26から外筒25Aへの駆動力の伝達は、例えばスプロケットとチェーンとによって行われる。外筒25Aの外周面の移動方向(周速方向)は、液体61の流れの方向と反対向きである。
【0013】
内筒25Bは、外筒25Aの内部空間に、外筒25Aの内周面からわずかな間隙を隔てて同軸状に配置されている。内筒25Bは筐体29に固定されて回転せず、内筒25Bの外周面に複数の磁石25Cが周方向に並んで配置されている。磁石25Cの各々は、内周側の面と外周側の面とに、相互に異なる極性の磁極が現れ、周方向に関しては、S極とN極とが交互に現れるように配置されている。また、磁石25Cは、周方向に関して、液体61に浸漬されている領域、及び浸漬されている領域から外筒25Aの外周面の周速方向に内筒25Bの頂上部に至るまでの領域に配置されている。複数の磁石25Cは外筒25Aの外周面に磁束を発生させる。この磁束によって、磁性粒子62が外筒25Aの外周面に吸着される。
【0014】
流路FPの底板24の一部は、ドラム25の外周面のうち下方を向く領域に間隔を隔てて対向し、ドラム25の外周面との間に流路FPを画定する。ドラム25の下方を向く外周面から底板24までの径方向の寸法が所定の範囲に収まるように、底板24が、ドラム25の外周面の形状を反映した形状とされている。液体61がドラム25の外周面の近傍を流れるとき、磁石25Cの磁力によって磁性粒子62が外筒25Aの外周面に吸着される。吸着された磁性粒子62は、外筒25Aの回転とともに移動し、液体61から分離される。
【0015】
外筒25Aの頂上部から周速方向に1/8周程度進んだ位置において、スクレーパ28が外筒25Aの外周面に接触している。外筒25Aの外周面のうちスクレーパ28が接触している箇所には、磁石25Cが配置されていない。スクレーパ28は、外筒25Aの外周面上の磁性粒子62を外周面から掻き取る。スクレーパ28で掻き取られた磁性粒子62は、異物排出口23を通って回収容器65に回収される。
【0016】
外筒25Aの外周面と液体61の液面との接触箇所から、周速方向に向かって外筒25Aの頂上部に至るまでの位置において、ローラ27が外筒25Aの外周面に押し付けられている。ローラ27は、外筒25Aの回転軸からスプロケットとチェーンとを介して動力が伝達されることにより、外筒25Aの回転方向とは反対方向に回転する。ローラ27の外周面には弾性体が配置されている。外筒25Aの外周面に吸着された磁性粒子62が外筒25Aとローラ27との間を通過する際に、磁性粒子62とともに外筒25Aの外周面に付着している液分が除去される。
【0017】
流路FPの底板24のうち、ドラム25の下方を向く外周面に対向する箇所に第1開口30が設けられている。底板24は、第1開口30よりも流路FPの下流側に、上流側を向く第1段差面24Bを含む。第1段差面24Bは、淀み発生構造として機能し、第1開口30が設けられた箇所に淀み66Aを発生させる。
【0018】
非磁性粒子63の比重は液体61の比重より大きい。このため、非磁性粒子63は、淀み66Aが発生している領域に沈殿する。液体61及び淀み66A内に沈殿した非磁性粒子63が、第1開口30を通って落下し、流路FPから分離される。流路FPから分離された液体61及び非磁性粒子63が、容器64に収容される。容器64内が液体61でほぼ充填されると、非磁性粒子63のみが第1開口30を通って容器64内に落下し、回収される。
【0019】
図2は、流路FP、第1開口30、第1段差面24B、ドラム25の平面視における位置関係を示す図である。ここで、「平面視における位置関係」とは、各構成要素を水平面に垂直投影したときの位置関係を意味する。筐体29内に流路FPの底板24が配置されている。図2において、流路FP内の流れの向きを矢印で表している。流路FPにドラム25の回転中心25Rが交差している。ドラム25の両端は、流路FPの両側の側壁より外側に配置されている。ドラム25の外周面と流路FPの側壁との間は、例えばフェルト部材、ゴム部材等でシールされており、液体61が流路FPの外に漏れ出さない構造にされている。
【0020】
第1段差面24Bは、ドラム25の回転中心25Rのほぼ真下に配置されている。第1開口30は、第1段差面24Bよりも流路FPの上流側に、第1段差面24Bにほぼ接するように配置されており、ドラム25の回転中心25Rと平行な方向に長いスリットで構成される。
【0021】
液体61の流れ方向に関する第1開口30の寸法は、液体61から分離すべき非磁性粒子63の大きさに基づいて決めるとよい。非磁性粒子63が砥粒である場合、液体61の流れ方向に関する第1開口30の寸法は、例えば1.5mm以上2mm以下とするとよい。
【0022】
次に、第1実施例の優れた効果について説明する。
第1実施例では、第1段差面24Bの上流側に淀み66Aが発生し、淀み66Aが発生した領域に非磁性粒子63が沈殿する。この領域に第1開口30が設けられているため、非磁性粒子63が第1開口30を通って容器64内に効率的に落下する。このため、第1段差面24Bが設けられておらず、淀みが発生しない場合と比べて、非磁性粒子63の回収効率を高めることができる。
【0023】
第1段差面24Bに衝突した液体61の一部は、第1段差面24Bを乗り越えて斜め上方に向かう。このため、ドラム25の外周面に向かう流れが発生する。このため、ドラム25の外周面に向かう液体61に混在する磁性粒子62が、ドラム25の外周面に吸着されやすくなる。これにより、磁性粒子62の回収効率を高めることができる。
【0024】
第1段差面24Bを設けることの効果を高めるために、第1段差面24Bの高さを、第1段差面24Bが配置されている箇所の上流側に隣接する流路FPの厚さ(ドラム25の半径方向の寸法)の1/2以上にすることが好ましい。また、第1段差面24Bを高くしすぎると、第1段差面24Bより上流側の流路FPの厚さが大きくなる。その結果、ドラム25の外周面から遠い位置(底板24に近い位置)を流れる磁性粒子62が多くなり、第1段差面24Bより上流側における磁性粒子62の吸着率が低下する。磁性粒子62の吸着率の低下を抑制するために、第1段差面24Bの高さを、第1段差面24Bの上流側に隣接する流路FPの厚さの2/3以下にすることが好ましい。
【0025】
次に、図3を参照して第1実施例の変形例によるマグネットセパレータについて説明する。図3は、第1実施例の変形例によるマグネットセパレータのドラムの底部近傍の断面図である。
【0026】
第1実施例(図1B)では、第1段差面24Bが、ドラム25の回転中心25R(図1A)を含む仮想的な平面にほぼ平行である。これに対して図3に示した変形例では、第1段差面24Bが、第1開口30に向かってやや傾斜している。このように、第1段差面24Bを傾斜させることにより、第1段差面24Bの下端(ドラム25から遠い方の端部)の近傍に、淀み66Aが生じやすくなる。これにより、非磁性粒子63を、より効率的に容器64に回収することができる。
【0027】
ドラム25の回転中心25R(図1A)を含む仮想的な平面に対する第1段差面24Bの傾斜角を大きくしすぎると、第1段差面24Bと底板24との間に進入した磁性粒子62が、ドラム25からの磁力に引き寄せられて、第1段差面24Bの表面に付着し、下流に流れなくなる。第1段差面24Bの傾斜角は、磁性粒子62が表面に付着しても、液体61の流れによって第1段差面24Bから離れ、下流に流れる程度にすることが好ましい。
【0028】
次に、図4を参照して、第1実施例の他の変形例によるマグネットセパレータについて説明する。図4は、第1実施例の変形例によるマグネットセパレータのドラムの底部近傍の断面図である。
【0029】
第1実施例(図1B)では、第1開口30が第1段差面24Bにほぼ接して配置されている。これに対して図4に示した変形例では、第1開口30が、第1段差面24Bから上流側にやや離れて配置されている。この場合でも、第1開口30が、第1段差面24Bに起因して発生する澱み66Aの範囲内であれば、非磁性粒子63を効率的に回収することができる。
【0030】
次に、図5を参照して、第1実施例のさらに他の変形例によるマグネットセパレータについて説明する。図5は、第1実施例の変形例によるマグネットセパレータの流路FP、第1開口30、第1段差面24B、ドラム25の平面視における位置関係を示す図である。
【0031】
第1実施例(図2)では、第1開口30が、ドラム25の回転中心25Rに平行な方向に長い1本のスリットで構成されているが、第1開口30の形状をその他の形状にしてもよい。図5に示した変形例では、第1開口30が、ドラム25の回転中心25Rに平行な方向に並ぶ複数のほぼ円形の開口で構成されている。
【0032】
本変形例のように、第1開口30を、円形の複数の開口で構成してもよい。なお、その他に、複数の開口のそれぞれを、楕円形や長円にしてもよい。また、第1開口30を、複数の細長いスリット状の開口で構成してもよい。
【0033】
次に、第1実施例のさらに他の変形例について説明する。第1実施例(図1B)では、よどみ発生構造として、流路FPの上流側を向く段差面を用いているが、その他の構造を用いてもよい。例えば、密な格子状の障害物を流路FP内に配置してもよい。
【0034】
次に、図6を参照して第2実施例によるマグネットセパレータについて説明する。以下、第1実施例によるマグネットセパレータと共通の構成については説明を省略する。
【0035】
図6は、第2実施例によるマグネットセパレータのドラムの底部近傍の断面図である。第2実施例では、底板24に、第1段差面24Bの他に、第1段差面24Bよりも下流側に第2段差面24Cが設けられている。第1段差面24Bは流路FPの上流側を向くが、第2段差面24Cは流路FPの下流側を向く。さらに、第2段差面24Cよりも下流側の底板24に第2開口31が設けられている。
【0036】
第2段差面24Cの下流側に、液体61の淀み66Bが発生する。第2開口31は、この淀み66Bが発生する範囲に設けられている。淀み66B内に沈殿した非磁性粒子63が、第2開口31を通って容器64内に落下する。
【0037】
次に、第2実施例の優れた効果について説明する。
第2実施例では、第1開口30を通って回収されず第1段差面24Bの位置を通り過ぎた非磁性粒子63の一部が、淀み66Bが発生している箇所に沈殿し、第2開口31を通って容器64に回収される。このため、非磁性粒子63の回収効率をより高めることができる。
【0038】
次に、図7を参照して第3実施例によるマグネットセパレータについて説明する。以下、第1実施例によるマグネットセパレータと共通の構成については説明を省略する。
【0039】
図7は、第3実施例によるマグネットセパレータのドラムの底部近傍の断面図である。第1実施例(図1B)では、容器64内に流入した液体61は、そのまま容器64内に留まる。このため、容器64内が液体61で満たされた後は、液体61は第1開口30を通って容器64内に流入しない。非磁性粒子63は、液体61と非磁性粒子63との比重の差によって第1開口30を通って容器64内に落下する。
【0040】
第3実施例では、容器64内に流入した液体61を、第1開口30よりも下流側において流路FPに戻す戻し流路67が設けられている。戻し流路67の容器64側の端部は、容器64の天面に開口している。戻し流路67は、底板24のうち第1段差面24Bよりも下流側の箇所において、流路FPに接続されている。戻し流路67が接続された箇所における流路FPの流路断面は、第1開口30が設けられた箇所における流路FPの流路断面より小さい。このため、戻し流路67が接続された箇所における流速が、第1開口30が設けられている箇所における流速より速い。
【0041】
この流速の差に起因して、第1開口30の位置における液体61の圧力に対して、戻し流路67の下流端に負圧が生じる。この負圧により、容器64内の液体61が戻し流路67を通って流路FP内に流入する。このため、図7において矢印で示すように、第1開口30を通って流路FPから容器64内に流入し、容器64内から戻し流路67を通って流路FPに戻る流れが発生する。
【0042】
次に、第3実施例の優れた効果について説明する。
第3実施例では、容器64内が液体61で満たされた後も、第1開口30を通って容器64内に流入する流れが継続する。非磁性粒子63が、この流れに乗って容器64内に移動するため、非磁性粒子63の回収効率を高めることができる。なお、非磁性粒子63の比重は、液体61の比重より大きいため、容器64内で沈殿する。このため、容器64内に回収された非磁性粒子63が戻し流路67を通って流路FPに戻されることはない。
【0043】
上述の各実施例は例示であり、異なる実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。複数の実施例の同様の構成による同様の作用効果については実施例ごとには逐次言及しない。さらに、本発明は上述の実施例に制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0044】
21 流入口
22 流出口
23 異物排出口
24 流路の底板
24B 第1段差面
24C 第2段差面
25 ドラム
25A 外筒
25B 内筒
25C 磁石
25R 回転中心
26 モータ
27 ローラ
28 スクレーパ
29 筐体
30 第1開口
31 第2開口
61 液体
62 磁性粒子
63 非磁性粒子
64 容器
65 回収容器
66A、66B 淀み
67 戻し流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7