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特開2024-162753既設管更生用帯状部材接続方法及び拘束冶具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162753
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】既設管更生用帯状部材接続方法及び拘束冶具
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/32 20060101AFI20241114BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20241114BHJP
   F16L 55/163 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B29C63/32
F16L1/00 J
F16L55/163
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078619
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白瀧 滉司
(72)【発明者】
【氏名】津田 直弥
(72)【発明者】
【氏名】山下 卓也
【テーマコード(参考)】
3H025
4F211
【Fターム(参考)】
3H025EA01
3H025EB07
3H025EB21
3H025EC16
3H025ED02
4F211AA45
4F211AF01
4F211AG01
4F211AG08
4F211AH43
4F211AR07
4F211SA05
4F211SC03
4F211SD06
4F211SD21
4F211SJ15
(57)【要約】
【課題】既設管更生施工において、伸縮可能部を有する帯状部材と他の帯状部材との接続部を、作業者が補助しなくても、製管機と干渉することなく更生管に組み込むことができ、更生管を円滑に製管可能な方法を提供する。
【解決手段】既設管1の内壁にライニングされる螺旋管状の更生管2となる2つの帯状部材10のうち、少なくとも帯状部材10Cは、帯幅方向へ伸縮するように変形可能な伸縮可能部30を有している。2つの帯状部材10の互いに対向する端部どうしを突き合わせて、これら端部に跨る接続部材40によって、2つの帯状部材10を接続する。伸縮可能部30における他方の帯状部材10Aと対向する端部に、伸縮可能部30の変形を拘束する拘束冶具50を装着する。その後、2つの帯状部材10どうしの接続部19を、更生管2を製管する製管機3に導入する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管の内壁にライニングされる螺旋管状の更生管となる2つの帯状部材を帯長方向に接続する方法であって、
前記2つの帯状部材のうち少なくとも一方が、帯幅方向へ伸縮するように変形可能な伸縮可能部を有しており、
前記2つの帯状部材における前記帯長方向の互いに対向する端部どうしを突き合わせて、これら端部に跨る接続部材によって、前記2つの帯状部材を接続する工程と、
前記伸縮可能部における接続相手の帯状部材と対向する端部に、前記伸縮可能部を拘束する拘束冶具を装着する工程と、
前記接続及び装着工程後の前記2つの帯状部材どうしの接続部を、前記更生管を製管する製管機に導入する工程と、
を備えたことを特徴とする既設管更生用帯状部材接続方法。
【請求項2】
前記伸縮可能部が、波形断面のベローズを含み、
前記装着工程においては、前記拘束冶具を前記ベローズ内の凹部に嵌め込む請求項1に記載の既設管更生用帯状部材接続方法。
【請求項3】
請求項2に記載の既設管更生用帯状部材接続方法に用いられる拘束冶具であって、
前記凹部と同等の幅を有して前記凹部に嵌め込まれる1又は複数の嵌め込み体を含むことを特徴とする拘束冶具。
【請求項4】
前記嵌め込み体が、弾性材からなる板部材である請求項3に記載の拘束冶具。
【請求項5】
前記嵌め込み体が、前記凹部の内面に沿う湾曲板状に形成されている請求項3に記載の拘束冶具。
【請求項6】
前記複数の嵌め込み体が、これら嵌め込み体に跨る連結材を介して連結されている請求項3~5の何れか1項に記載の拘束冶具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、既設管を更生するための帯状部材の接続方法等に関し、特に、伸縮可能部を有する帯状部材の接続方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、老朽化した下水道管等の既設管の内壁に更生管をライニングすることによって既設管を更生することは公知である。更生管としては、プロファイルと呼ばれる長尺の合成樹脂製の帯状部材から製管された螺旋管状の更生管が挙げられる。製管には、ピンチローラやガイド等を含む製管機が用いられる(特許文献1等参照)。
【0003】
1本の帯状部材では長さが足らないときや、既設管の管軸が真っ直ぐかカーブしているかによって帯状部材を使い分けるときは、帯状部材の接続作業を行なう。一般には、接続すべき2つの帯状部材の端部どうしを突き合わせて、これら端部に鋼板製の接続部材を跨らせ、各帯状部材と接続部材とをビス止めすることによって、2つの帯状部材を接続部材を介して帯長方向に接続する(特許文献1~3等参照)。
既設管のカーブ部用の帯状部材としては、例えばベローズ等の帯幅方向へ伸縮変形可能な伸縮可能部を有する帯状部材が用いられる。伸縮可能部を有する帯状部材は、地震時の振動を吸収する機能をも有している(特許文献4等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-000769号公報
【特許文献2】特開2017-013406号公報
【特許文献3】特開平10-016051号公報
【特許文献4】特開2021-142694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ベローズ等の伸縮可能部を有する帯状部材は、帯幅寸法が大きくなりがちであるうえに、伸縮可能部が変形されやすい。このため、伸縮可能部を有する帯状部材を他の帯状部材と接続した場合、これら帯状部材の接続部が製管機に導入されたときに伸縮可能部が変形して、接続部が製管機と干渉したり、製管不良が起きたりすることがある。このため、作業者がバール等の工具で接続部を押さえる等の補助が必要である。
本発明は、かかる事情に鑑み、既設管更生施工において、伸縮可能部を有する帯状部材と他の帯状部材との接続部を、作業者が補助しなくても、製管機と干渉することなく更生管に組み込むことができ、更生管を円滑に製管できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、既設管の内壁にライニングされる螺旋管状の更生管となる2つの帯状部材を帯長方向に接続する方法であって、
前記2つの帯状部材のうち少なくとも一方が、帯幅方向へ伸縮するように変形可能な伸縮可能部を有しており、
前記2つの帯状部材における前記帯長方向の互いに対向する端部どうしを突き合わせて、これら端部に跨る接続部材によって、前記2つの帯状部材を接続する工程と、
前記伸縮可能部における接続相手の帯状部材と対向する端部に、前記伸縮可能部を拘束する拘束冶具を装着する工程と、
前記接続及び装着工程後の前記2つの帯状部材どうしの接続部を、前記更生管を製管する製管機に導入する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
当該既設管更生用帯状部材接続方法によれば、2つの帯状部材どうしの前記対向する端部からなる接続部が製管機に導入されたとき、該接続部における伸縮可能部を拘束冶具にて拘束することによって、伸縮可能部の変形が抑制又は防止される。これによって、接続部が製管機と干渉するのを防止でき、接続部においても更生管を円滑に製管することができる。したがって、作業者がバール等の工具で接続部を変形しないよう押さえる等の補助作業を行なわなくても済む。
【0008】
好ましくは、前記伸縮可能部が、波形断面のベローズを含み、前記装着工程においては、前記拘束冶具を前記ベローズ内の凹部に嵌め込む。
これによって、接続部におけるベローズを拘束冶具にて確実に拘束でき、接続部が製管機に導入されたとき、ベローズが帯幅方向へ縮んだり捩れたりするように変形するのを確実に抑制又は防止できる。
好ましくは、前記拘束冶具は、前記伸縮可能部に着脱可能である。より好ましくは、前記拘束冶具は、前記一方の帯状部材の内周側(更生管の管径方向内側)から前記伸縮可能部に着脱可能である。
【0009】
また、本発明は、前記波形断面のベローズを含む帯状部材の接続方法に用いられる拘束冶具であって、
前記凹部と同等の幅を有して前記凹部に嵌め込まれる1又は複数の嵌め込み体を含む。
当該拘束冶具によれば、1又は複数の嵌め込み体を波形断面のベローズのそれぞれ対応する凹部に嵌め込むことによって、ベローズを確実に拘束でき、ベローズが帯幅方向へ縮んだり捩れたりするように変形するのを確実に抑制又は防止できる。
【0010】
好ましくは、前記嵌め込み体が、弾性材からなる板部材である。
弾性材としては、ゴム、樹脂が挙げられる。これによって、ベローズの変形を確実に抑制又は防止できる。また、嵌め込み体を簡易かつ安価に提供できる。
【0011】
好ましくは、前記嵌め込み体が、前記凹部の内面に沿う湾曲板状に形成されている。
これによって、ベローズを確実に拘束して変形を確実に抑制又は防止できる。当該拘束冶具は、鉄、鋼鉄等の金属によって構成されていてもよい。鉄板、鋼板等の金属板を成形加工することによって、拘束冶具を形成してもよい。
【0012】
好ましくは、前記複数の嵌め込み体が、これら嵌め込み体に跨る連結材を介して連結されている。
各嵌め込み体が、ベローズの対応する凹部に嵌め込まれる。連結材は、伸縮可能部に被さる。これによって、ベローズを確実に拘束できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、既設管更生施工において、伸縮可能部を有する帯状部材と他の帯状部材との接続部を、作業者が補助しなくても、製管機と干渉することなく更生管に組み込むことができ、更生管を円滑に製管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の第1実施形態を示し、更生管がライニングされることによって更生された既設管の平面断面図である。
図2図2(a)は、前記更生管となるベローズ付き帯状部材における他の帯状部材と接続される端部を、接続部材及び拘束冶具を装着した状態で示す断面図である。図2(b)は、図1の円部IIbの拡大断面図である。図2(c)は、図1の円部IIcの拡大断面図である。
図3図3は、前記第1実施形態の既設管更生施工における帯状部材接続方法の様子を示す斜視図である。
図4図4(a)は、前記帯状部材接続方法を、ベローズ付き帯状部材に接続部材及び拘束冶具を装着する前の状態で示す分解斜視図である。図4(b)は、前記帯状部材接続方法を、ベローズ付き帯状部材に接続部材及び拘束冶具を装着した状態で示す斜視図である。図4(c)は、前記帯状部材接続方法を、ベローズ付き帯状部材と他の帯状部材とを接続した状態で示す斜視図である。
図5図5(a)は、図4(c)のVa-Va線に沿う断面図である。図5(b)は、図4(c)のVb-Vb線に沿う断面図である。
図6図6は、前記第1実施形態に係る拘束冶具の斜視図である。
図7図7は、本発明の第2実施形態に係る拘束冶具の斜視図である。
図8図8は、前記第2実施形態のベローズ付き帯状部材における他の帯状部材と接続される端部を、接続部材及び拘束冶具を装着した状態で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態(図1図6)>
図1に示すように、老朽化した下水道管等の既設管1の内壁に更生管2がライニングされることで、既設管1が更生されている。既設管1としては、下水道管の他、上水道管、農業用水管、水力発電導水管、ガス管、トンネルなどが挙げられる。既設管1は、例えば管軸が真っ直ぐな直行管路1aと、管軸が曲線をなす曲がり管路1c(カーブ部)を含む。
【0016】
図1に示すように、更生管2は、長尺の帯状部材10(プロファイル)からなる螺旋管状に形成されている。帯状部材10は、直行管路1a用と曲がり管路1c用とで使い分けられている。以下、これら帯状部材10を区別するときは、直行管路1a用を「帯状部材10A」と表記し、曲がり管路1c用を「帯状部材10C」と表記する。
【0017】
図2(a)に例示するように、帯状部材10は、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなる主帯材11と、鋼鉄等の金属からなる補強帯材20を含み、一定断面に形成されて、図2(a)の紙面と直交する方向へ長く延びている。主帯材11は、平坦な平帯部12と、平帯部12の帯幅方向(図2(a)において左右方向)の両縁に設けられた凹凸断面の第1嵌合部13及び第2嵌合部14と、平帯部12の外周側面(更生管2における管径方向外側を向く面、図2(a)において上面)から突出された複数(例えば2つ)のリブ15を有している。2つのリブ15の間に補強帯材20が嵌め込まれている。補強帯材20は、中央の断面コ字状(U字状)の胴部21と、両側の腕部22とを有し、概略W字状の断面形状に形成されている。腕部22がリブ15と係止されている。
【0018】
帯状部材10Cは、更にベローズ30(伸縮可能部)を有している。ベローズ30は、主帯材11における最も第2嵌合部14側のリブ15と第2嵌合部14との間の部分に設けられている。ベローズ30は、1又は複数(ここでは3つ)のベローズ部31,32を含む波形の断面形状に形成されている。外周側(図2(a)において上側)へ凸のU字状断面のベローズ部31と、内周側(更生管2における管径方向内側、図2(a)において下側)へ凸のU字状断面のベローズ部32とが、帯幅方向(図2(a)において左右)に交互に連なっている。各ベローズ部31,32が拡縮されることによって、ベローズ30が帯幅方向(図2(a)において左右)に伸縮変形可能である。
【0019】
詳細な図示は省略するが、帯状部材10Aは、ベローズ30等の伸縮可能部を含まず、平帯部12が第1嵌合部13から第2嵌合部14まで帯幅方向に連続している。図4(c)に示すように、自然状態すなわちベローズ20が伸縮変形していないときの帯状部材10Cと帯状部材10Aとの幅寸法(全幅)は互いに等しい。
なお、図面に示す帯状部材の断面形状は例示であって、帯状部材の断面形状として種々の形態を採用可能である。
【0020】
図1に示すように、帯状部材10が螺旋状に巻回され、隣接する巻き部分の嵌合部13,14どうしが凹凸嵌合されることによって(図2(b)及び同図(c))、螺旋管状の更生管2が製管されている。図3に示すように、更生管2の製管は、製管機3によってなされる。製管機3としては、例えば製管しながら螺旋巻回方向へ推進される自走式製管機が用いられている。製管機3は、図3において仮想線で示すフレーム3a、帯状部材10を挟み付けて更生管2に組み込む一対の駆動ローラ3b、更生管2に管周方向へ相対スライド可能に係止されるガイド3c、更生管2を内周側から押さえる押さえローラ3d等を含む。図示は省略するが、さらに製管機3が、更生管2の断面形状を規制する環状規制体(リンクローラ)等を含んでいてもよい。
【0021】
図1に示すように、既設管1の直行管路1aにおいては、更生管2がベローズ無し帯状部材10Aによって形成されている。曲がり管路1cにおいては、更生管2がベローズ付き帯状部材10Cによって形成されている。図2(b)に示すように、曲がり管路1cの内まわり部分1caではベローズ30が相対的に縮められている。図2(c)に示すように、曲がり管路1cの外まわり部分1cbではベローズ30が相対的に伸ばされている。これによって、内まわり部分1caと外まわり部分1cbの周差に対応できる。
【0022】
図3に示すように、更生管2の製管箇所が、直行管路1aから曲がり管路1cへ移行するときは、製管に使用する帯状部材10を、ベローズ無し帯状部材10Aからベローズ付き帯状部材10Cに交換する。具体的には、製管機3の駆動を停止したうえで、帯状部材10Aを製管機3に導入される前(送り方向の上流側)の位置において切断する。該帯状部材10Aの切断端部10dに帯状部材10Cの端部10eを接続する。
【0023】
図3に示すように、帯状部材10A,10Cどうしの接続にあたって、接続部材40及び拘束冶具50を用意する。図4(a)に示すように、接続部材40は、例えば断面コ字状の短尺の鋼材によって構成されている。接続部材40が長手方向に沿って湾曲して製管時の帯状部材10と同程度の曲率が付与されていてもよい。
なお、図4及び図5において、帯状部材10及び接続部材40の曲率は誇張されている。
【0024】
<接続工程>
図2(a)及び図4(b)に示すように、接続部材40の長さ方向の約半分を、帯状部材10Cの端部10eにおける補強帯材20の胴部21の内部に挿し込む。挿し込んだ接続部材40をビス41にて帯状部材10Cに固定する。
続いて、図4(c)及び図5(b)に示すように、接続部材40の長さ方向の残り約半分を、帯状部材10Aの端部10dにおける補強帯材20の胴部21内に挿し込み、2つの帯状部材10A,10Cの帯長方向の互いに対向する端部10d,10eどうしを突き合わせる。これによって、接続部材40が、帯状部材10A,10Cの端部10d,10eに跨る。さらに、ビス42にて帯状部材10Aと接続部材40とを固定する。
これによって、2つの帯状部材10A,10Cが、接続部材40を介して接続される。
なお、接続部材40を、帯状部材10Aに挿し込んだ後、帯状部材10Cに挿し込んでもよい。
【0025】
<拘束冶具50>
図6に示すように、拘束冶具50は、1又は複数(ここでは2つ)の嵌め込み体51を含む。嵌め込み体51は、概略直方体すなわち四角形の断面の板部材によって構成されている。嵌め込み体51の外周側面51bは、フラットになっているが、凹部33の断面形状に合わせて半円状に盛り上がっていてもよい。嵌め込み体51の材質は、好ましくは弾性変形可能な弾性材であり、より好ましくはEPDMなどのゴムである。自然状態(非弾性変形時)における嵌め込み体51は、長手方向に沿って真っすぐ延びているが(図6)、製管時の帯状部材10と同程度の曲率で円弧状に湾曲していてもよい(図4(a))。なお、図4(a)における嵌め込み体51の曲率は誇張されている。
【0026】
嵌め込み体51の幅W51は、非変形時のベローズ部31内の凹部33の幅と同等であり、例えばW51=10mm以下、好ましくはW51=7mm程度である。なお、前記同等の範囲は、嵌め込み体51の幅W51が非変形時のベローズ30の凹部33の幅の±10%以内であればよい。
【0027】
嵌め込み体51の高さH51は、凹部33の深さ以下であり、例えばH51=20mm以下、好ましくはH51=18mm程度である。嵌め込み体51の長さL51は、例えばL51=数百mm程度である。製管時にベローズ30が変形しやすいのは帯状部材10Cの端面10eaから通常200mm以内の部分であることを考慮すると、嵌め込み体51の長さは、好ましくはL51=200mm程度である。
【0028】
<装着工程>
図2(a)及び図4(a)に示すように、前記接続工程と前後して、拘束冶具50を、帯状部材10Cのベローズ30における接続相手の帯状部材10Aと対向する端部30eに装着する。詳しくは、外周側(図2(a)において上側)へ凸のベローズ部31内の凹部33に、嵌め込み体51を、内周側(図2(a)において下側)から嵌め込む。好ましくは、複数(2つ)の嵌め込み体51をそれぞれ対応するベローズ部31内の凹部33に嵌め込む。嵌め込み体51の幅が凹部33の幅と同等であるため、嵌め込み体51を凹部33に安定的に嵌め込むことができる。自然状態の嵌め込み体51が長手方向へ真っ直ぐであり、かつ帯状部材10Cの端部10eに巻き癖が付いていたとしても、帯状部材10Cの曲率に合わせて、ゴム製の嵌め込み体51を容易に湾曲させながら凹部33に嵌め込むことができる。
【0029】
図2(a)に示すように、好ましくは、嵌め込み体51の内周側面51aが帯状部材10Cよりも内周側(図2(a)において下方)へ飛び出さないように、嵌め込み体51の全体を凹部33内に収容する。図5(a)に示すように、嵌め込み体51の端面51eは、好ましくは帯状部材10Cの端面10eaと略面一であるが、帯状部材10Cの端面10eaよりも多少引っ込んでいてもよく、帯状部材10Cの端面10eaより多少飛び出ていてもよい。
【0030】
拘束冶具50の装着工程は、後述の導入工程よりも前に行えばよく、接続部材40による帯状部材10A,10Cどうしの接続工程前に行ってもよく、接続工程中に行ってもよく、接続工程後に行ってもよい。
2つの帯状部材10A,10Cどうしの対向端部と接続部材40と拘束冶具50とによって、帯状部材10A,10Cどうしの接続部19が構成されている。
【0031】
<導入工程>
接続工程及び装着工程後、製管機3の駆動を再開する。これによって、接続部19が、製管機3に導入されて更生管3の製管に供される。このとき、駆動ローラ3bによる挟み付け等によって、接続部19に大きな外力が作用して、接続部19における特にベローズ30が変形しようとする。これに対し、帯状部材10Cに設けた拘束冶具50が、ベローズ30を拘束することによって、ベローズ30の変形を抑制又は防止できる。詳しくは、ベローズ部31の凹部33に嵌められた嵌め込み体51によって、ベローズ30が帯幅方向へ縮んだり捩れたりするのを抑制又は防止できる。
【0032】
これによって、接続部19が、フレーム3aやガイド3cその他の製管機3の各部材と干渉するのを防止でき、接続部19を更生管3に円滑に組み込むことができる。したがって、例えば、作業者がバール等の工具で接続部19を変形しないよう押さえる等の補助作業を行なわなくても済む。
拘束冶具50は、ゴム製の板形状の嵌め込み体51によって構成されているから、簡易かつ安価に作製できる。
【0033】
好ましくは、接続部19の製管後、拘束冶具50を撤去する。嵌め込み体51は更生管2の内周側へ開口する凹部33内に嵌め込まれているから、更生管2内での作業によって、嵌め込み体51をベローズ部31から簡単に引き抜いて撤去できる。撤去した嵌め込み体51は、次の帯状部材接続時のベローズ拘束用に使い回すことができる。
【0034】
このようにして、先行のベローズ無し帯状部材10Aに後続のベローズ付き帯状部材10Cを接続して、更生管2の製管箇所を直行管路1aから曲がり管路1cへ移行できる。
同様にして、更生管2の製管箇所が曲がり管路1cから直行管路1aへ移行するときは、接続部材40及び拘束冶具50を用いて、先行のベローズ付き帯状部材10Cに後続のベローズ無し帯状部材10Aを接続する。
【0035】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において、既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態(図7図8)>
図7及び図8に示すように、本発明の第2実施形態における拘束冶具60は、ベローズ付き帯状部材10Cのベローズ30及びその周辺部の内周側の面形状を型取りした形状の単一部材によって構成されている。
【0036】
詳しくは、図7に示すように、拘束冶具60は、分割された板状のベース部61と、1又は複数(ここでは2つ)の嵌め込み体62を含み、一定の断面に形成されて、帯状部材10の帯長方向(図8の紙面と直交する方向)へ延びている。拘束冶具60が、長手方向に沿って製管時の帯状部材10と同等の曲率が付与されていてもよい。拘束冶具60の長さは、数百mm程度であり、好ましくは200mm程度である。ベース部61ひいては拘束冶具60の厚みは、数mm程度であり、好ましくは3mm程度である。これによって、拘束冶具60が所要強度を発現できる、製管機3に導入された際に拘束冶具60自体が変形しないようにできる。
【0037】
拘束冶具60の幅方向の1又は複数箇所に嵌め込み体62が設けられている。ここでは、2つの嵌め込み体62が並んで設けられている。各嵌め込み体62は、ベース部61から外周側(図7において上側)へ突出するU字状の断面の湾曲板状に形成されて、ベース部61の長手方向の全長にわたって延びている。嵌め込み体62の内部空間が、ベース部61の内周側面(図7において下面)に達して開口されることによって、ベース部61が複数の部分61a,61bに分割されている。
なお、嵌め込み体62の内部空間がベース部61によって塞がれていてもよい。
【0038】
嵌め込み体62の幅は、非変形時のベローズ部31内の凹部33の幅と同等であり、例えば10mm以下、好ましくは7mm程度である。嵌め込み体62の高さは、凹部33の深さ以下であり、例えば20mm以下、好ましくは18mm程度である。複数(2つ)の嵌め込み体62が、ベース部61の幅方向に離れて並んでいる。ベース部61における2つの嵌め込み体62に跨る部分は、嵌め込み体62どうしを連結する連結材61aを構成している。ベース部61の幅方向の両側部61bは、嵌め込み体62よりも幅方向の外側へ延び出ている。
【0039】
拘束冶具60の材質は、好ましくは鉄、鋼鉄等の金属であるが、製管機3への導入時に所要強度を発現し得るものであれば特に限定は無く、樹脂であってもよい。好ましくは、拘束冶具60は、鉄板、鋼板等の金属板を成形加工することによって形成されている。これによって、拘束冶具60を簡易かつ安価に作製できる。
【0040】
図8に示すように、帯状部材10どうしの接続時、拘束冶具60が、帯状部材10Cの端部10eにおけるベローズ30に内周側(図8において下側)から被せられる。各嵌め込み体62が、対応するベローズ部31の凹部33に嵌め込まれる。湾曲板状の嵌め込み体62は、凹部33の内面に沿う。ベース部61がベローズ30及び平帯部12の内周側面(図8において下面)に宛がわれる。
これによって、接続部19が製管機3に導入されて製管される際、拘束冶具60によってベローズ30を確実に拘束でき、各ベローズ部31が縮んだりねじれたりするのを防止できる。また、隣接するベローズ部31どうしが接近、離間するように変形するのを阻止できる。この結果、ベローズ30の変形を確実に抑制又は防止できる。
【0041】
本発明は、前記実施形態に限らず種々の改変をなすことができる。
例えば、本発明の帯状部材接続方法は、既設管1の直行管路1aと曲がり管路1cとの移行部における、直行管路1a用の帯状部材10Aと曲がり管路1c用の帯状部材10Cとの取り換えに適用されるのに限らず、1本の帯状部材10を使い切ったときに新たな帯状部材10を継ぎ足すのにも適用できる。この場合、使い切った帯状部材10がベローズ付き帯状部材10Cであってもよく、新たな帯状部材10がベローズ付き帯状部材10Cであってもよい。
接続する帯状部材10の両方が、共にベローズ30等の伸縮可能部を有する帯状部材10Cであってもよい。
伸縮可能部は、ベローズだけに限らす、例えばスライド片等(特許文献4参照)を含んでいてもよい。
第1実施形態の拘束冶具50が、複数の嵌め込み体51を連ねる連結材を有していてもよい。
図1の製管機3は、製管しながら螺旋巻回方向へ推進される自走式製管機であるが、本発明における製管機は、これに限らず、製管した更生管2を押し出す元押し式製管機でもよく、製管した更生管2の先端を牽引する牽引式製管機でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、例えば、老朽化した下水道管の更生技術に適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 既設管
1a 直行管路
1c 曲がり管路
2 更生管
3 製管機
10 帯状部材(プロファイル)
10A ベローズ無し帯状部材(接続相手の帯状部材)
10C ベローズ付き帯状部材(一方の帯状部材)
10d,10e 互いに対向する端部
19 接続部
30 ベローズ(伸縮可能部)
30e 接続相手の帯状部材と対向する端部
31 ベローズ部
32 ベローズ部
33 凹部
40 接続部材
50 拘束冶具
51 嵌め込み体
60 拘束冶具
61a 連結材
62 嵌め込み体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8