(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162754
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】拡張製管工法における拘束弱化用ワイヤの接続方法
(51)【国際特許分類】
B29C 63/32 20060101AFI20241114BHJP
F16L 1/00 20060101ALI20241114BHJP
F16L 55/162 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B29C63/32
F16L1/00 J
F16L55/162
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078620
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雅稀
(72)【発明者】
【氏名】蛭田 将司
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 武司
【テーマコード(参考)】
3H025
4F211
【Fターム(参考)】
3H025EA01
3H025EB07
3H025EB21
3H025ED02
4F211AA15
4F211AF01
4F211AG01
4F211AG08
4F211AH43
4F211AR12
4F211SA05
4F211SC03
4F211SD01
4F211SD06
4F211SD21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】拡張製管工法の施工中、拘束弱化用ワイヤを接続する場合、ワイヤ接続部が雌雄の嵌合部どうしの凹凸嵌合の妨げになったり拘束弱化の妨げになったりするのを防止する、拘束弱化用ワイヤ接続方法を提供する。
【解決手段】拘束弱化用ワイヤを接続する際は、先行ワイヤ45の終端部分45bが、嵌合部間に導入されていない時点で、製管機を停止させ、終端部分45bを更生管3の内周面から延出可能に配置する。拘束弱化用ワイヤのうち後続ワイヤ46の始端近傍部を未嵌合の雄嵌合部に係止させ、始端部分46bを更生管3の内周面から延出可能、かつ後続部分46aを雌雄の嵌合部間へ導入可能に配置する。その後、製管機を一時的に運転し、終端近傍部及び始端近傍部が非干渉域3Raへ移行するまで製管を行なう。非干渉域3Raにおいて、終端部分45bと始端部分46bとを接続する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯幅方向の両縁に雌雄の嵌合部が形成された帯状部材を、製管機によって、既設管の内径より小径の螺旋状に巻回して、前記雌雄の嵌合部どうしを互いの間に拘束弱化用ワイヤを挟んで凹凸嵌合させることによって、前記帯状部材からなる螺旋管状の更生管を製管して前記既設管内に設置した後、前記拘束弱化用ワイヤを引き取って前記雌雄の嵌合部どうしの拘束力を弱化させるとともに更に前記製管を行なうことによって、前記更生管の周長を拡張させる拡張製管工法における、前記拘束弱化用ワイヤの接続方法であって、
前記拘束弱化用ワイヤのうち先行して前記更生管へ送り込んだ先行ワイヤの少なくとも終端近傍部から終端までの終端部分が、前記更生管における前記製管機と係合する管端部の前記雌雄の嵌合部どうし間に未だ導入されていない時点で、前記製管機を停止させる工程と、
前記終端部分を前記更生管の内周面から延出可能に配置する工程と、
前記拘束弱化用ワイヤのうち前記先行ワイヤに継ぎ足される後続ワイヤの始端近傍部を、前記終端近傍部と近接するように、未だ凹凸嵌合されていない雌雄何れかの嵌合部に係止させる工程と、
前記後続ワイヤの前記始端近傍部から始端までの始端部分を前記内周面から延出可能、かつ前記後続ワイヤの前記始端近傍部の前記始端とは反対側に続く後続部分を前記雌雄の嵌合部どうし間へ導入可能に配置する工程と、
その後、前記製管機を一時的に運転して、前記終端近傍部及び前記始端近傍部が、前記更生管における前記製管機との係合が解除された非干渉域へ移行するまで、前記製管を行なう工程と、
前記非干渉域において、延出された前記終端部分と延出された前記始端部分とを接続する工程と、
を備えたことを特徴とする拡張製管工法における拘束弱化用ワイヤ接続方法。
【請求項2】
前記終端部分の配置工程の際、前記終端近傍部を、前記始端近傍部が係止される嵌合部に前記始端近傍部と近接するように係止させる、請求項1に記載の拘束弱化用ワイヤ接続方法。
【請求項3】
前記未だ凹凸嵌合されていない雌雄の嵌合部のうち雄嵌合部に切欠部を形成し、前記切欠部に前記終端近傍部及び前記始端近傍部を係止する、請求項2に記載の拘束弱化用ワイヤ接続方法。
【請求項4】
前記帯状部材の送り方向における前記切欠部の先行側の縁に前記終端近傍部を係止し、前記切欠部の後続側の縁に前記始端近傍部を係止する、請求項3に記載の拘束弱化用ワイヤ接続方法。
【請求項5】
前記先行側又は前記後続側の縁に切込みを形成し、前記切込みに前記終端近傍部又は前記始端近傍部を挿し込む、請求項4に記載の拘束弱化用ワイヤ接続方法。
【請求項6】
前記管端部における未だ凹凸嵌合されていない雄嵌合部に前記切欠部を形成する、請求項3~5の何れか1項に記載の拘束弱化用ワイヤ接続方法。
【請求項7】
前記終端近傍部及び前記始端近傍部の係止後、これら終端近傍部及び始端近傍部が前記管端部における前記雌雄の嵌合部どうし間に挟まれるまで前記製管機を一時的に運転し、
その後、前記後続ワイヤの前記後続部分を前記雌雄の嵌合部どうし間への導入経路に設置する、請求項6に記載の拘束弱化用ワイヤ接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状部材から螺旋管状の更生管を製管した後、更生管の周長を拡張させる拡張製管工法に関し、特に、該工法に用いる拘束弱化用ワイヤを接続する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の拡張製管工法は、例えば老朽化した下水道管等の既設管を更生する更生工法の1つとして知られている(特許文献1等参照)。該拡張製管工法においては、発進人孔に設置した元押し式製管機(特許文献2等参照)を用いて、合成樹脂製の帯状部材から螺旋管状の更生管を既設管の内径より小径になるよう製管しながら既設管内に押し出すことで、既設管内に更生管を設置する。帯状部材の帯幅方向の両縁には雌雄の嵌合部が形成されている(特許文献3等参照)。製管時、螺旋状に巻回した帯状部材の対向する雌雄の嵌合部どうしを凹凸嵌合させる。これら嵌合部どうしの間に拘束弱化用ワイヤを挟んでおく。
【0003】
小径に製管した更生管の押し出し方向の先端側の管端部を回り止めしたうえで、更に製管を進めながら、拘束弱化用ワイヤを引き取る。このとき、嵌合部の一部が切断されることによって、嵌合部どうしの螺旋巻回方向への拘束力が弱化される。これによって、嵌合部どうしが螺旋巻回方向へ摺動され、更生管の周長が拡張(拡径)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平02-504543号公報
【特許文献2】特開2012-000786号公報
【特許文献3】特開2020-090077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の拡張製管工法の施工中、拘束弱化用ワイヤ(先行ワイヤ)が切れたり長さが不足したりした場合、新たな拘束弱化用ワイヤ(後続ワイヤ)を継ぎ足す必要がある。2本のワイヤを接続する場合、例えば筒状の接続金具が用いられる。該接続金具内に2本のワイヤを挿通した後、接続金具を圧し潰すことで、2本のワイヤどうしを圧着する。
【0006】
このようにして形成されたワイヤ接続部の断面積は、1本の拘束弱化用ワイヤの断面積よりも必然的に大きい。このため、螺旋状に巻回した帯状部材の対向する雌雄の嵌合部どうしの間にワイヤ接続部を挟もうとすると、嵌合部どうしが嵌合不能又は嵌合困難になる。嵌合出来たとしても、拘束弱化用ワイヤを引き取る際に、ワイヤ接合部が、嵌合部の切断ひいては拘束弱化の妨げになることが考えられる。
本発明は、かかる事情に鑑み、拡張製管工法の施工中、拘束弱化用ワイヤを接続する場合、ワイヤ接続部が雌雄の嵌合部どうしの凹凸嵌合の妨げになったり拘束弱化の妨げになったりするのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、帯幅方向の両縁に雌雄の嵌合部が形成された帯状部材を、製管機によって、既設管の内径より小径の螺旋状に巻回して、前記雌雄の嵌合部どうしを互いの間に拘束弱化用ワイヤを挟んで凹凸嵌合させることによって、前記帯状部材からなる螺旋管状の更生管を製管して前記既設管内に設置した後、前記拘束弱化用ワイヤを引き取って前記雌雄の嵌合部どうしの拘束力を弱化させるとともに更に前記製管を行なうことによって、前記更生管の周長を拡張させる拡張製管工法における、前記拘束弱化用ワイヤの接続方法であって、
前記拘束弱化用ワイヤのうち先行して前記更生管へ送り込んだ先行ワイヤの少なくとも終端近傍部から終端までの終端部分が、前記更生管における前記製管機と係合する管端部の前記雌雄の嵌合部どうし間に未だ導入されていない時点で、前記製管機を停止させる工程と、
前記終端部分を、前記更生管の内周面から延出可能に配置する工程と、
前記拘束弱化用ワイヤのうち前記先行ワイヤに継ぎ足される後続ワイヤの始端近傍部を、前記終端近傍部と近接するように、未だ凹凸嵌合されていない雌雄何れかの嵌合部に係止させる工程と、
前記後続ワイヤの前記始端近傍部から始端までの始端部分を前記内周面から延出可能、かつ前記後続ワイヤの前記始端近傍部の前記始端とは反対側に続く後続部分を前記雌雄の嵌合部どうし間へ導入可能に配置する工程と、
その後、前記製管機を一時的に運転して、前記終端近傍部及び前記始端近傍部が、前記更生管における前記製管機との係合が解除された非干渉域へ移行するまで、前記製管を行なう工程と、
前記非干渉域において、延出された前記終端部分と延出された前記始端部分とを接続する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
当該接続方法によれば、先行ワイヤの終端部分が、管端部の雌雄の嵌合部どうし間に未だ導入されていない時点で、製管機を一旦停止して、終端部分の配置工程、後続ワイヤの始端近傍部の係止工程、後続ワイヤの配置工程を行なった後、製管機を一時的に運転する。この時点では、先行ワイヤと後続ワイヤとが未だ接続されていないから、製管機によって雌雄の嵌合部どうしを円滑に嵌合させることができ、嵌合不良が起きるのを回避できる。
「延出可能に配置」とは、その後の製管機の一時的運転によって新たに製管された更生管の新規製管部分の内周面から終端部分及び始端部分が更生管の内部空間へ延び出るように、終端部分及び始端部分を配置しておくことを言う。一時的運転時、終端部分及び始端部分は、製管機のインナーピンチローラ等と更生管の内周面との間に挟まれるが、終端部分及び始端部分は十分に細いから、製管機の運転の妨げにならない。
「導入可能に配置」とは、その後、製管機を一時的に運転したとき、後続ワイヤの後続部分が雌雄の嵌合部どうし間へ導入されるように、後続部分を配置しておくことを言う。
そして、非干渉域で終端部分及び始端部分を接続することでワイヤ接続部が形成される。
このようにして拘束弱化用ワイヤの接続を行なった後、拡張製管を再開する。拘束弱化用ワイヤのワイヤ接続部は非干渉域に在るから製管機の運転の妨げにならない。
拘束弱化用ワイヤを引き取る拘束弱化工程では、ワイヤ接続部は更生管の外部に飛び出していて雌雄の嵌合部の拘束弱化に関与しないから、拘束弱化に支障が出るのを回避できる。
【0009】
好ましくは、前記終端部分の配置工程の際、前記終端近傍部を、前記始端近傍部が係止される嵌合部に前記始端近傍部と近接するように係止させる。
これによって、終端近傍部と始端近傍部とが更生管内において確実に近接して配置されるようにでき、更生管から外へ延び出た終端部分及び始端部分どうしを確実に近接させることができる。
【0010】
好ましくは、前記未だ凹凸嵌合されていない雌雄の嵌合部のうち雄嵌合部に切欠部を形成し、前記切欠部に前記終端近傍部及び前記始端近傍部を係止する。
これによって、終端近傍部及び始端近傍部を確実かつ安定的に係止できる。
【0011】
好ましくは、前記帯状部材の送り方向における前記切欠部の先行側の縁に前記終端近傍部を係止し、前記切欠部の後続側の縁に前記始端近傍部を係止する。
これによって、拘束弱化工程の際、ワイヤ接続部の位置では雄嵌合部を切断する必要が無く、拘束弱化処理を円滑に行なうことができる。
【0012】
好ましくは、前記先行側又は前記後続側の縁に切込みを形成し、前記切込みに前記終端近傍部又は前記始端近傍部を挿し込む。
これによって、終端近傍部又は始端近傍部を安定的に係止できる。後続側の縁の切込みは、後続ワイヤによる雄嵌合部の切断のきっかけとなり、後続ワイヤによる拘束弱化工程をスムーズに開始できる。
【0013】
好ましくは、前記管端部における未だ凹凸嵌合されていない雄嵌合部に前記切欠部を形成する。
これによって、帯状部材における未製管の後続帯部に切欠部を形成するよりも、切欠部の形成作業を容易に行なうことができる。形成した切欠部に終端近傍部及び始端近傍部を係止した後、製管機を少しだけ運転すれば、終端近傍部及び始端近傍部が雌雄の嵌合部どうしの間に挟まれるようにできる。
【0014】
好ましくは、前記終端近傍部及び前記始端近傍部の係止後、これら終端近傍部及び始端近傍部が前記管端部における前記雌雄の嵌合部どうし間に挟まれるまで前記製管機を一時的に運転し、
その後、前記後続ワイヤの前記後続部分を前記雌雄の嵌合部どうし間への導入経路に設置する。
これによって、後続ワイヤの後続部分を導入経路に容易に配置できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、拡張製管工法の施工中、拘束弱化用ワイヤを接続する場合、ワイヤ接続部が雌雄の嵌合部どうしの凹凸嵌合の妨げになったり拘束弱化の妨げになったりするのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る拡張製管工法による既設管の更生方法を、更生管の元押し製管工程で示す側面図である。
【
図2】
図2は、前記既設管に連なる発進人孔に設置された元押し式製管機を示し、
図1のII-II線に沿う正面図である。
【
図3】
図3(a)は、
図1の円部IIIaにおける前記更生管の斜視断面図である。
図3(b)は、
図4の円部IIIbにおける前記更生管の斜視断面図である。
図3(c)は、
図4の円部IIIcにおける前記更生管の斜視断面図である。
【
図4】
図4は、前記拡張製管工法による既設管の更生方法を、前記更生管の拡張工程で示す側面図である。
【
図5】
図5は、前記拡張製管工法における拘束弱化用ワイヤの接続方法を、切欠部の形成工程で示す、前記元押し式製管機の正面図である。
【
図6】
図6は、前記更生管の管端部を、前記拘束弱化用ワイヤを構成する先行ワイヤ及び後続ワイヤの前記切欠部への係止工程で示す、
図5のVI-VI線に沿う矢視図である。
【
図7】
図7は、
図6のVII-VII線に沿う前記管端部の正面断面図である。
【
図8】
図8は、前記係止工程における前記管端部の周辺部の斜視断面図である。
【
図9】
図9は、前記後続ワイヤの後続部分の導入経路への配置工程を示す前記元押し式製管機の正面図である。
【
図10】
図10は、前記配置工程状態における前記管端部の周辺部の斜視断面図である。
【
図11】
図11は、
図2のXI-XI線に沿って示す前記更生管の内周面の側面図であり、
図11(a)は、前記先行ワイヤの終端近傍部及び前記後続ワイヤの始端近傍部が前記元押し式製管機との係合域に在る状態を示し、
図11(b)は、前記終端近傍部及び始端近傍部が前記元押し式製管機との非干渉域まで移行した状態を示し、
図11(c)は、前記非干渉域での前記先行ワイヤと後続ワイヤの接続工程を示す。
【
図13】
図13は、
図12のXIII-XIII線に沿う前記ワイヤ接続部の断面図であり、
図13(a)は、前記ワイヤ接続部の接続具の圧着前の状態を示し、
図13(b)は、前記接続具の圧着後の状態を示す。
【
図14】
図14は、本発明の第2実施形態を示し、ワイヤ接続部の断面図である。
【
図15】
図15は、本発明の第3実施形態を示す、ワイヤ接続部の断面図である。
【
図16】
図16は、本発明の第4実施形態に係る接続具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態(
図1~
図13)>
図1は、老朽化した既設管1を更生する様子を示したものである。更生対象の既設管1は、例えば地中に埋設された下水道管によって構成されているが、本発明は、これに限定されず、上水道管、農業用水管、ガス管、水力発電導水管、トンネルなどでもよい。既設管1の内壁に更生管3がライニングされることによって、既設管1が更生される。好ましくは、更生管3は、それ単独で埋設管としての所要強度を有する自立管である。
【0018】
図1及び
図2に示すように、更生管3は、帯状部材10からなる螺旋管である。帯状部材10の材質は、ポリ塩化ビニル(PVC)などの合成樹脂によって構成されている。
図3(a)に示すように、帯状部材10は、一定の断面形状を有する長尺帯状に形成されている。帯状部材10の帯幅方向の中間部には、リブ15が外周側へ突出するように形成されている。帯状部材10の帯幅方向の両縁には、凹凸断面をなす雌雄の嵌合部13,14が形成されている。
【0019】
帯状部材10の一方の縁の雌嵌合部13は、内周側(
図3(a)において下側)へ開口する2条(複数条)の第1凹溝13a及び第2凹溝13bを含む。帯状部材10の他方の縁の雄嵌合部14は、外周側(
図3(a)において上側)へ突出する2条(複数条)の第1凸条14a及び第2凸条14bが並んで形成されている。
なお、帯状部材10の断面形状は適宜改変できる。
【0020】
図3(a)に示すように、更生管3においては、螺旋状に巻かれた帯状部材10の雌雄の嵌合部13,14どうしが凹凸嵌合されている。第1凸条14aが第1凹溝13aに嵌合され、第2凸条14bが第2凹溝13bに嵌合されている。第1凹溝13aには、製管時に遅硬化性接着剤からなる止水材17が充填されている。第2凹溝13bには、帯状部材10の製造時にホットメルト接着剤18が充填されている。
【0021】
図1に示すように、製管中の更生管3には、拘束弱化用ワイヤ40が係合されている。拘束弱化用ワイヤ40は、導入ワイヤ部分41と、埋込ワイヤ部分42と、引取ワイヤ部分43を含む。導入ワイヤ部分41が、既設管1の発進側管口1eに連なる発進人孔4に配線されている。埋込ワイヤ部分42は、導入ワイヤ部分41の先端(下端)に連なるとともに、更生管3における帯状部材10の螺旋巻回方向に沿って更生管3の内部に螺旋状に埋め込まれている。
図3(a)に示すように、更生管3内の埋込ワイヤ部分42は、凹凸嵌合された雌雄の嵌合部13,14どうしの間に挟まれている。具体的には、埋込ワイヤ部分42は、雌嵌合部13の凹溝13a,13b間の溝部13dと、雄嵌合部14の凸条14a,14b間の溝部14dとの間に挟まれている。
図1に示すように、引取ワイヤ部分43は、埋込ワイヤ部分42の先端(
図1において左端)と連なるとともに、更生管3から内周側へ引き出されて折り返され、更生管3の内部空間を通って発進人孔4側へ戻されている。
【0022】
図1及び
図2に示すように、更生管3は、元押し式製管機20によって製管される。元押し式製管機20は、製管部21と、拘束弱化用ワイヤ案内機構30を備えている。発進人孔4の底部に製管部21が設置されている。
図2に示すように、製管部21は、外周規制体22と、内外のピンチローラ23,24を含む。外周規制体22は、螺旋環状のフレーム22aと、該螺旋環状フレーム22aの周方向に間隔を置いて配置されたガイドローラ22bを含む。外周規制体22の内周に沿って、更生管3の発進側の管端部3eが形成されている。
図1に示すように、管端部3eの管縁部分3eaは、外周規制体22よりも発進側(
図1において右側)へ突出されている。
【0023】
図2に示すように、外周規制体22の側部に、インナーピンチローラ23とアウターピンチローラ24とが対をなすように設けられている。ピンチローラ23,24の回転軸線は、更生管3の管軸と平行に向けられている。各ピンチローラ23,24は駆動モータ(図示省略)によって回転駆動される。
製管部21の側部には、帯状部材10における未製管の後続帯部19を製管部21へ案内する角柱状の導入口部材25が設けられている。
【0024】
図1に示すように、更生管3における管端部3eを含む数巻きの螺旋部分は、元押し式製管機20と係合する係合域3Reを構成している。
図2に示すように、係合域3Reにおける更生管3は、ピンチローラ23,24によって内周側及び外周側から挟み付けられている。
図1に示すように、更生管3における係合域3Reよりも発進側とは反対の到達側(
図1において左側)の部分は、非干渉域3Raを構成している。非干渉域3Raにおける更生管3は、ピンチローラ23,24に挟まれておらず、元押し式製管機20との係合が解除されている。
【0025】
図1に示すように、拘束弱化用ワイヤ案内機構30は、拘束弱化用ワイヤ40を案内するものであり、供給リール31と、導入ガイド32と、引取ガイド33と、引取ウィンチ34とを備えている。供給リール31は、発進人孔4の近くの地上に配置されており、拘束弱化用ワイヤ40(導入ワイヤ部分41)を繰り出す。
【0026】
図2に示すように、導入ガイド32は、導入口部材25又は製管機20のフレームに支持された1又は複数(ここでは2つ)の滑車32aを含む。供給リール31及び導入ガイド32によって、拘束弱化用ワイヤ40の導入ワイヤ部分41を管端部3eの雌雄の嵌合部13,14どうしの間へ導入する導入経路39が構成されている。
【0027】
図1に示すように、引取ガイド33は、製管機20のフレームに支持された1又は複数の滑車によって構成され、拘束弱化用ワイヤ40の引取ワイヤ部分43を更生管3の内部から引き取って発進人孔4内を地上へ向けて案内する。引取ウィンチ34は、発進人孔4の近くの地上に配置されている。引取ワイヤ部分43が引取ウィンチ34に巻き取られている。
【0028】
<拡張製管工法>
既設管1は、次のような拡張製管工法によって更生される。
図1及び
図2に示すように、帯状部材10が、地上のドラム5から発進人孔4を通って製管部21へ導入され、外周規制体22の内周に沿って既設管1の内径より小径の螺旋状に巻回される。
図3(a)に示すように、該帯状部材10の雌雄の嵌合部13,14どうしが、凹凸嵌合操作位置21pにおいてピンチローラ23,24によって挟み付けられて凹凸嵌合される。具体的には、帯状部材10における未製管の後続帯部19の凹溝13aと管縁部分3eaの凸条14aとが凹凸嵌合され、後続帯部19の凹溝13bと管縁部分3eaの凸条14bとが凹凸嵌合される。
【0029】
これによって、
図1に示すように、後続帯部19が更生管3に組み込まれて、新たな管端部3e(新規製管部分)が形成される。該管端部3eが回転されながら外周規制体22から到達側(
図1において左側)へ押し出される。これによって、更生管3が既設管1内を到達人孔4Bへ向かって押し込まれる(元押し製管工程)。元押し製管時の更生管3の外径(製管径)は、既設管1の内径より小径である。
【0030】
図1及び
図2に示すように、前記元押し製管工程と併行して、供給リール31から拘束弱化用ワイヤ40が繰り出される。拘束弱化用ワイヤ40(導入ワイヤ部分41)は、発進人孔4内に挿し入れられ、複数段の導入ガイド32に順次掛け回されて、凹凸嵌合操作位置21pへ導入されて雌雄の嵌合部13,14(
図3(a))に挟まれる(ワイヤ導入工程)。これによって、拘束弱化用ワイヤ40(埋込ワイヤ部分42)が、順次、更生管3に埋め込まれる。
【0031】
元押し製管工程における引取ウィンチ34は、回転フリー状態にしておく。これによって、更生管3が到達人孔4Bへ向かって押し込まれるのに伴って、引取ウィンチ34から引取ワイヤ部分43が繰り出され、引取ガイド33に案内されて更生管3の内部空間へ送られる。
【0032】
図1の二点鎖線にて示すように、更生管3の到達側の管端部3fが既設管1の到達人孔4B側の管口1fに達するまで製管された後、製管機20が一旦停止される。これによって、既設管1の全域にわたって更生管3が設置される。次に、管端部3fが回り止め治具6によって回り止めされる。
【0033】
続いて、
図4に示すように、引取ウィンチ34の回転駆動によって、拘束弱化用ワイヤ40の引取ワイヤ部分43が引き取られる。これによって、拘束弱化用ワイヤ40の埋込ワイヤ部分42が更生管3の到達側部分(
図4において左側)から順次引き抜かれる。このとき、
図3(b)に示すように、第2凸条14bの根元部分が、拘束弱化用ワイヤ40の埋込ワイヤ部分42と引取ワイヤ部分43との間の折返部44によって切断される。これによって、切断された部分における雌雄の嵌合部13,14どうしの拘束力が弱化される(拘束弱化工程)。
【0034】
図4に示すように、拘束弱化工程と併行して、元押し式製管機20の駆動を再開して更に製管を行なう。これによって、新たな管端部3e(新規製管部分)が形成されるとともに該管端部3eが既設管1へ向けて捩じ込まれる。これによって、
図3(c)及び
図4に示すように、更生管3の前記拘束弱化された管部分3aにおける嵌合部13,14どうしが螺旋方向に沿って互いにずれるように滑り、管部分3aの周長が拡張(拡径)される(拡張工程)。
図4に示すように、拡張された管部分3aは、既設管1の内周面に張り付く。このようにして、拘束弱化工程及び拡張工程を継続することで、既設管1の全域にわたって更生管3を張り付かせることができる。これによって、既設管1が更生される。
【0035】
<拘束弱化用ワイヤ接続方法>
このような拡張製管工法による既設管更生の施工中、例えば拘束弱化用ワイヤ40の導入ワイヤ部分41が切れたり、拘束弱化用ワイヤ40の長さが足りなかったりしたときは、拘束弱化用ワイヤ40の継ぎ足しを行なう。すなわち、
図1に示すように、拘束弱化用ワイヤ40のうち先行して更生管3へ送り込んで切れたり長さが足りなくなったりした先行ワイヤ45と、新たな拘束弱化用ワイヤ40である後続ワイヤ46とを接続する。接続作業は、例えば元押し製管工程及びワイヤ導入工程中に行われる。
【0036】
詳しくは、
図5に示すように、先行ワイヤ45の少なくとも終端部分45bが、管端部3eにおける雌雄の嵌合部13,14どうし間(具体的には凹凸嵌合操作位置21p)に未だ導入されていない時点で、元押し式製管機20の運転を一旦停止する(一旦停止工程)。
図6に示すように、終端部分45bは、先行ワイヤ45の終端近傍部45cから終端45eまでの部分であり、その長さL
45bは、好ましくはL
45b=3cm~30cm程度である。
【0037】
元押し式製管機20を停止させたうえで、
図7及び
図8に示すように、管端部3eの管縁部分3eaにおける未だ凹凸嵌合されていない雄嵌合部14の第2凸条14bを、手ノコ等の切断工具を用いて部分的に切除する。これによって、管縁部分3eaの第2凸条14bに切欠部14cを形成する(切欠部形成工程)。好ましくは、管縁部分3eaの上半部の凹凸嵌合操作位置21pの近くに切欠部14cを形成する。
図7に示すように、第2凸条14bの延び方向(更生管3の螺旋巻回方向)に沿う切欠部14cの長さL
14cは、好ましくはL
14c=5mm~15cm程度である。
【0038】
図6及び
図7に示すように、更に好ましくは、第2凸条14bにおける切欠部14cを画成する部分の根元部には、切込み14e,14fを形成しておく(切込み形成工程)。詳しくは、第2凸条14bの延び方向(帯状部材10の送り方向)における、切欠部14cの先行側(
図7において右側)の縁に切込み14eを形成し、切欠部14cの後続側(
図7において左側)の縁に切込み14fを形成する。
図7に示すように、各切込み14e,14fの深さD
14e,D
14fは、好ましくはD
14e=D
14f=2mm~20mm程度である。
【0039】
また、
図5に示すように、先行ワイヤ45を、導入ガイド32等からなる導入経路39から外す(先行ワイヤ外し工程)。
図6に示すように、該先行ワイヤ45における、凹凸嵌合操作位置21pから終端近傍部45cまでの部分45dを、管端部3eの未だ凹凸嵌合されていない雄嵌合部14の溝部14dに挿し入れる。
【0040】
さらに、先行ワイヤ45の終端近傍部45cを切欠部14cに係止する(先行ワイヤ係止工程)。言い換えると、導入ガイド32から外した先行ワイヤ45を溝部14dに沿わせて挿し入れたとき、該先行ワイヤ45における切欠部14cに位置する部分が、終端近傍部45cとなる。
図6及び
図7に示すように、好ましくは、終端近傍部45cを切欠部14cの先行側(
図6において右側)の縁に係止する。より好ましくは、終端近傍部45cを先行側の切込み14eに挿し込む。
【0041】
図6及び
図8に示すように、先行ワイヤ45の終端部分45bは、溝部14dから外方へ出して、管端部3eから発進側(
図6において下側)へ延び出させる。これによって、終端部分45bが、更生管3の内周面から延出可能に配置される(先行ワイヤ延出可能配置工程)。
【0042】
図5に示すように、別途、後続ワイヤ46を用意する。
図6及び
図8に示すように、該後続ワイヤ46の始端近傍部46cを切欠部14cに係止させる(後続ワイヤ係止工程)。好ましくは、始端近傍部46cを切欠部14cの後続側(
図6において左側)の縁に係止する。より好ましくは、始端近傍部46cを後続側の切込み14fに挿し込む。これによって、始端近傍部46cと終端近傍部45cとが、未だ凹凸嵌合されていない雌雄の嵌合部13,14のうち互いに同じ嵌合部14に互いに近接して係止される。
【0043】
図6及び
図8に示すように、後続ワイヤ46の始端近傍部46cから始端46eまでの始端部分46bは、管端部3eから発進側(
図6において下側)へ延び出させる。これによって、始端部分46bが、更生管3の内周面から延出可能に配置される(後続ワイヤ延出可能配置工程)。
図6に示すように、始端部分46bの長さL
46bは、好ましくはL
46b=3cm~30cm程度である。
【0044】
図6に示すように、後続ワイヤ46の始端近傍部46cから始端46e側とは反対側に続く後続部分46aは、切欠部14cよりも後続側(
図6において左側)の溝14dに沿わせる。これによって、後続部分46aが、管端部3eの雌雄の嵌合部13,14どうし間へ導入可能に配置される(後続ワイヤ導入可能配置工程)。この時点の後続部分46aは、作業者が把持する等して支持しておく。
【0045】
次に、
図9及び
図10に示すように、終端近傍部45c及び始端近傍部46cが、管端部3eにおける雌雄の嵌合部13,14どうし間に導入されるまで、元押し式製管機20を一時的に運転する(導入のための一時的運転工程)。すなわち、管端部3eの切欠部14cの前後の雄嵌合部14が後続帯部19の雌嵌合部13と嵌合されるまで、元押し式製管機20を一時的に運転する。この時点では、後記ワイヤ接続部47が未だ形成されていないから、雌雄の嵌合部13,14どうしを円滑に嵌合させることができる。したがって、これら雌雄の嵌合部13,14どうし間に終端近傍部45c及び始端近傍部46cを確実に挟み付けることができる。前記一時的運転の際、終端部分45b及び始端部分46bがインナーピンチローラ23と更生管3の内周面との間に挟み付けられるが、終端部分45b及び始端部分46bは十分に細いから、元押し式製管機20の駆動に支障が出ることはない。
【0046】
図10及び
図11(a)に示すように、これによって、終端近傍部45c及び始端近傍部46cが管端部3e内に埋まるとともに、終端部分45b及び始端部分46bが更生管3の内周面から更生管3の内部空間へ延び出た状態になる。
【0047】
終端近傍部45c及び始端近傍部46cが更生管3内に埋め込まれるのを確認したら、元押し式製管機20の運転を一時停止する。そのうえで、
図9の二点鎖線及び
図10に示すように、後続ワイヤ46の後続部分46aを管端部3eの溝部14dから起こして、後続帯部19の雌嵌合部13の溝部13dに沿わすとともに、導入ガイド32に掛け回す。更に、
図1に示すように、後続ワイヤ46の供給リール31を地上の拘束弱化用ワイヤ供給部に設置する。これによって、後続ワイヤ46の後続部分46aが、導入経路39上に設置される(後続ワイヤの導入経路設置工程)。
【0048】
その後、元押し式製管機20を再び一時的に運転して、終端近傍部45c及び始端近傍部46cが、元押し式製管機20との非干渉域3Raへ移行するまで、製管を行なう(移行のための一時的運転工程)。移行中、更生管3が一周するごとに、終端部分45b及び始端部分46bが更生管3の内周面とインナーピンチローラ23との間に挟まれるが、前述した通り、終端部分45b及び始端部分46bは十分に細いから、元押し式製管機20の駆動に支障が出ることはない。
【0049】
図11(b)に示すように、終端近傍部45c及び始端近傍部46cの非干渉域3Raへ移行を確認したら、元押し式製管機20を再停止する。非干渉域3Raへの移行によって、終端近傍部45c及び始端近傍部46cがインナーピンチローラ23よりも到達側(
図1において左側)に位置され、終端部分45b及び始端部分46bが、更生管3の内周面とインナーピンチローラ23との間に挟まれなくなる。
【0050】
図11(c)に示すように、その後、非干渉域3Raにおいて、終端部分45bと始端部分46bとの接続を行なう(ワイヤ接続工程)。接続作業は、外部から元押し式製管機20及び管端部3eの内部へ作業者が手を挿し入れて行なうことができる。
【0051】
図12に示すように、接続のために、1又は複数の接続具50を用意する。
図13(a)に示すように、接続具50は、好ましくは鉄、鋼鉄等の金属製の小さな円筒体によって構成されている。該接続具50に終端部分45b及び始端部分46bを通す。続いて、
図13(b)に示すように、接続具50を圧し潰して終端部分45b及び始端部分46bに圧着する。これによって、終端部分45b及び始端部分46bどうしが接続具50を介して接続される。
【0052】
図12に示すように、好ましくは、複数(ここでは2つ)の接続具50によって終端部分45b及び始端部分46bの複数箇所(ここでは2箇所)を圧着する。より好ましくは、終端部分45bと始端部分46bとを互いに対向方向へ向くようにして平行に束ね、1の接続具50によって終端部分45bの終端45eと始端部分46bの中間部を圧着し、もう1つの接続具50によって終端部分45bの中間部と始端部分46bの始端46eを圧着する。
【0053】
なお、先行ワイヤ45の終端部分45bと後続ワイヤ46の始端部分46bを対向方向ではなく互いに同じ方向へ向けて並べて、接続具50にて接続してもよい。先行ワイヤ45の終端部分45bを環状にループさせて1の接続具50で止め、かつ後続ワイヤ46の始端部分46bを先行ワイヤ45のループ内をくぐらせるとともに環状にループさせて、もう1つの接続具50で止めてもよい。
【0054】
これによって、拘束弱化用ワイヤ40の先行ワイヤ45と後続ワイヤ46とが接続される。先行ワイヤ45の終端部分45bと、後続ワイヤ46の先端部分46bと、接続具50とによって、ワイヤ接続部47が構成される、ワイヤ接続部47は、更生管3の内周面から飛び出て更生管3の内部空間に現れている。
【0055】
図1に示すように、その後、元押し式製管機20の運転を再開して、更生管3の拡張製管工法を再開する。
再開後すなわち拘束弱化用ワイヤ40の接続後の元押し製管工程においては、ワイヤ接続部47は元押し製管機20から到達側(
図1において左側)へ遠ざかっていくから、ワイヤ接続部47が元押し製管機20による製管の邪魔になることは無い。
【0056】
図4に示すように、その後の拘束弱化工程においては、ワイヤ接続部47が拘束弱化処理の妨げになることは無い。詳しくは、ワイヤ接続部47の配置位置よりも到達側(
図4において左側)では、先行ワイヤ45によって第2凸条14bが切断される。ワイヤ接続部47の配置位置においては、第2凸条14bが既に切除されて切欠部14cが形成され、更に切欠部14cの前後には切込み14e,14fが形成されているから(
図7)、切断の必要が無い。つまり、ワイヤ接続部47によって第2凸条14bを切断する必要が無い。切断箇所が切欠部14cよりも発進側(
図4において右側)になると、後続ワイヤ46によって第2凸条14bが切断される。このとき、後続側の切込み14fがきっかけとなって、後続ワイヤ46による第2凸条14bの切断をスムーズに開始できる。
このようにして、ワイヤ接続部47があっても、更生管3の拡張製管を円滑に行なうことができる。
【0057】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において、既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態(
図14)>
図14に示すように、本発明の第2実施形態は、接続具の変形例に係る。第2実施形態の接続具51は、ベース部材51aと、U字ボルトからなる押え部材52を含む。先行ワイヤ45の終端部分45b及び後続ワイヤ46の始端部分46bが、U字状の押え部材52の内部に配置されるとともに、押さえ部材52の一対の腕部52aがナット52bによってベース部材51aに締め付けられている。これによって、先行ワイヤ45と後続ワイヤ46とが接続具51を介して接続される。
【0058】
<第3実施形態(
図15)>
図15に示すように、第3実施形態の接続具53は、筒状のボディ53aと、該ボディ53aの側部に設けられた複数のネジ53bとを含む。ボディ53a内の挿通孔53cに先行ワイヤ45の終端部分45b及び後続ワイヤ46の始端部分46bが挿通された後、ネジ53bがねじ込まれることによって、終端部分45b及び始端部分46bがネジ53bによって押さえ付けられている。これによって、先行ワイヤ45と後続ワイヤ46とが接続具53を介して接続される。
【0059】
<第4実施形態(
図16)>
図16に示すように、第4実施形態の接続具54は、楕円断面の筒状体によって構成されている。第1実施形態の接続具50(
図13)と同様に、接続具54の内部に先行ワイヤ45の終端部分45b及び後続ワイヤ46の始端部分46bが挿通された後、接続具54が圧し潰される。これによって、先行ワイヤ45と後続ワイヤ46とが接続される(
図13参照)。
【0060】
本発明は、前記実施形態に限らず種々の改変をなすことができる。
例えば、ワイヤ接続工程では、必ずしも接続具を用いる必要は無い。先行ワイヤ45の終端部分45bと後続ワイヤ46の始端部分46bを、直接結んで接続してもよい。
先行ワイヤ45における管端部3eの雌雄の嵌合部13,14間にちょうど導入される付近を終端近傍部45cとしてもよい。この場合、先行ワイヤ係止工程を省略してもよい。
終端近傍部45c及び始端近傍部46cの一方を雌嵌合部13に接着等にて係止し、他方を雄嵌合部14に係止させてもよく、両方を雌嵌合部13に係止してもよい。
終端近傍部45c又は始端近傍部46cを係止する切欠部14c等の係止部を、管端部3eに代えて、後続帯部19に設けてもよい。
先行側切込み14e及び後続側切込み14fの一方又は両方を省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、例えば、老朽化した下水道管の更生技術に適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 既設管
3 更生管
3e 発進側の管端部(管端部)
3ea 管縁部分
3Re 係合域
3Ra 非干渉域
10 帯状部材
13 雌嵌合部
13d 溝部
14 雄嵌合部
14a 第1凸条
14b 第2凸条
14d 溝部
14c 切欠部
14e,14f 切込み
19 未製管の後続帯部
20 元押し式製管機(製管機)
21 製管部
21p 凹凸嵌合操作位置
22 外周規制体
23 インナーピンチローラ
30 拘束弱化用ワイヤ案内機構
32 導入ガイド
39 導入経路
40 拘束弱化用ワイヤ
45 先行ワイヤ
45b 終端部分
45c 終端近傍部
45e 終端
46 後続ワイヤ
46a 後続部分
46b 始端部分
46c 始端近傍部
46e 始端
47 ワイヤ接続部
50 接続具
51,53,54 接続具