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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162763
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】会計システムおよび会計プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/00 20060101AFI20241114BHJP
   G07G 1/12 20060101ALI20241114BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G07G1/00 311D
G07G1/12 321Z
G07G1/00 301B
G06K7/10 264
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078634
(22)【出願日】2023-05-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示日:2022年10月26日~28日 展示会名:Brand Supporter Exhibition 2022『GO GLOBAL』
(71)【出願人】
【識別番号】593094327
【氏名又は名称】ナクシス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大木 俊
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142AA01
3E142BA01
3E142BA16
3E142EA02
3E142FA44
3E142GA04
3E142GA35
(57)【要約】
【課題】プライバシに関する情報の書込領域を限定することなく客のプライバシの侵害を防止する。
【解決手段】会計システムSは、無線タグTと、切替部25と、無線タグ検出部30と、を備えている。無線タグTは、無線タグ読取りの可否を切り替える切替信号によって無線タグ読取りの可否を切替可能であって、商品情報を予め記憶し商品に付されている。無線タグ検出部30は、無線タグTを読み取ることにより無線タグTを検出すると、検出信号を送信する。会計システムSは、会計済み商品の無線タグTを読取り不能にすることにより、無線タグ検出部30による会計済み商品の無線タグTの検出を制限する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグ読取りの可否を切り替える切替信号によって無線タグ読取りの可否を切替可能な無線タグであって、商品情報を予め記憶し、商品に付された前記無線タグと、
切替信号を送信する切替部と、
前記無線タグを読み取ることにより前記無線タグを検出するよう構成されており、前記無線タグを検出すると、検出信号を送信する無線タグ検出部と、を備え、
前記切替部によって会計済み商品の前記無線タグを読取り不能にすることにより、前記無線タグ検出部による前記会計済み商品の前記無線タグの検出を制限する、会計システム。
【請求項2】
所定の情報と所定のルールとに基づいて、各商品の前記無線タグごとに会計済パスワードを生成するパスワード生成部をさらに備え、
前記無線タグは、パスワードを記憶するパスワード記憶領域を有し、記憶している前記パスワードを含む前記切替信号によって前記無線タグ読取りの可否を切り替えられるよう構成され、かつ、会計前において未会計パスワードを予め記憶しており、
前記切替部は、前記未会計パスワードを含む前記切替信号を商品の前記無線タグに送信して当該無線タグの読取りを制限するとともに、生成された前記会計済パスワードを当該無線タグに送信し、当該無線タグに記憶されている前記未会計パスワードを前記会計済パスワードに変更する、請求項1に記載の会計システム。
【請求項3】
前記所定の情報の入力を受け付ける入力部をさらに備え、
前記所定の情報は、客の情報および商品情報またはそのいずれかの情報を含む、請求項2に記載の会計システム。
【請求項4】
前記切替部は、会計後の商品の返品時において、当該商品の前記無線タグに対応する前記会計済パスワードを含む前記切替信号を当該無線タグに送信して当該無線タグの読取り制限を解除するとともに、前記未会計パスワードを当該無線タグに送信し、当該無線タグに記憶されている前記会計済パスワードを前記未会計パスワードに変更する、請求項3に記載の会計システム。
【請求項5】
音および光またはそのいずれかを発する報知装置をさらに備え、
前記無線タグ検出部は、前記報知装置に前記検出信号を送信し、
前記報知装置は、前記検出信号を受信すると、音および光またはそのいずれかを発する、請求項1~4のいずれか1項に記載の会計システム。
【請求項6】
商品に付された無線タグを利用する会計システムに使用される会計プログラムであって、
前記無線タグは、商品情報を予め記憶し前記無線タグ読取りの可否を切り替える切替信号によって前記無線タグ読取りの可否を切替可能であって
前記会計システムは、
記憶装置および演算装置とを有するコンピュータと、
前記無線タグと通信する通信装置と、を備え、
前記無線タグは、パスワードを記憶するパスワード記憶領域を有し、記憶している前記パスワードを含む前記切替信号によって前記無線タグ読取りの可否を切り替えられるよう構成され、かつ、会計前において未会計パスワードを予め記憶しており、
前記記憶装置には、会計済パスワードを生成するための所定のルールと、前記未会計パスワードと、前記会計プログラムと、が予め記憶されており、
前記会計プログラムは、前記コンピュータに、
前記所定のルールに基づいて、前記会計済パスワードを生成することと、
前記通信装置に、前記未会計パスワードを含む前記切替信号を送信させて前記無線タグの読取りを制限するとともに、生成した前記会計済パスワードを前記無線タグに送信させて、当該無線タグに記憶されている前記未会計パスワードを前記会計済パスワードに変更することと、を実行させる、会計プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会計システムおよび会計プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1および特許文献2に開示のように、無線タグを利用した会計システムがある。無線タグには、EPC GEN2(EPCglobal Class1 Generation2)といった規格化されたRFID(radio frequency identification)タグがある。
【0003】
この無線タグは、ユーザ領域「USER」、タグID領域「TID」、EPC領域「EPC」、リザーブド領域「RESERVED」といった4つのメモリ領域を有する。なお、EPCとはElectronic Product Codeの略で、RFIDタグに書き込む国際的に標準化されたGS1識別コードの略称である。特許文献1の無線タグの場合、ユーザ領域には任意のユーザデータが記憶され、タグID領域には他のRFIDタグと重複しないタグ識別情報が無線タグの製造段階で記憶され、EPC領域には商品コードとともに値引タグであることを示すコード情報が記憶されている。また、リザーブド領域には任意のアクセスパスワードが記憶されている。各メモリ領域のうち、ユーザ領域およびリザーブド領域は、リザーブド領域に記憶されたアクセスパスワードを用いて読取制限および書込制限が可能であり、EPC領域はアクセスパスワードを用いて書込制限が可能である。なお、タグID領域はRFIDインレットの製造時に書込制限されている。
【0004】
特許文献2に開示のシステムは、POS(Point Of Sales)端末と、POS端末と通信する無線タグリーダ・ライタと、出入口に設けられた無線タグリーダと、警報装置と、を備えている。このシステムでは、無線タグは、商品に付されるとともに、ユーザ領域においてその商品情報(商品ID)を、タグID領域においてタグ識別情報をそれぞれ記憶している。無線タグは、会計前は、パスワードを記憶しておらず、POS端末による会計後に無線タグリーダ・ライタによって、パスワードを書き込まれる。無線タグは、パスワードを書き込まれると、タグID領域では変わらず読み込み可能であるが、ユーザ領域については、パスワードを入力しない限り読み込むことができないよう設定される。このように、特許文献2のシステムは、会計済み商品の無線タグの商品情報の読取りを制限することにより、客が購入した商品情報を他人が読み取ることを防止し、これにより客のプライバシの侵害を防止している。
【0005】
また、特許文献2のシステムでは、出入口に設けられた無線タグリーダは、タグ情報を読み取ることにより出入口を通過する無線タグを検出し、その無線タグの商品情報を読み取るよう構成されている。そして、この無線タグリーダは、無線タグの商品情報を読み取ることができると、すなわち会計前の商品の無線タグを検出すると、警報装置にそれを送信する。警報装置は、会計前の商品の無線タグが検出されたことの情報を受信すると、警報を発する。このように、従来の会計システムによる防犯ソリューションでは、出入口に設けられた無線タグリーダによって、まず、無線タグを検出し、次いで、会計済み商品に付された無線タグであるか否かを判定し、その判定結果に基づいて警報装置が警報を発するという構成であった。
【0006】
ところで、従来の防犯ソリューションでは、出入口側の無線タグリーダは、会計済み商品に付された無線タグであるか否かを、会計システムの運用に基づいて判定しなければならない。したがって、出入口の無線タグリーダは、所定の会計システム専用ともいえ汎用性をもつことができない。
【0007】
また、特許文献2の会計システムでは、プライバシの侵害を防止するために、読取りを制限することのできるユーザ領域にのみプライバシに関する情報を書き込む運用であるので、プライバシに関する情報の書込領域を限定することになり好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-108603号公報
【特許文献2】特開2009-187491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、無線タグにおけるプライバシに関する情報の書込領域を限定することなく客のプライバシの侵害を防止することができる会計システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る会計システムは、
無線タグ読取りの可否を切り替える切替信号によって無線タグ読取りの可否を切替可能な無線タグであって、商品情報を予め記憶し、商品に付された無線タグと、
切替信号を送信する切替部と、
無線タグを読み取ることにより無線タグを検出するよう構成されており、無線タグを検出すると、検出信号を送信する無線タグ検出部と、を備え、
切替部によって会計済み商品の無線タグを読取り不能にすることにより、無線タグ検出部による会計済み商品の無線タグの検出を制限する。
【0011】
上記会計システムは、好ましくは、
所定の情報と所定のルールとに基づいて、各商品の無線タグごとに会計済パスワードを生成するパスワード生成部をさらに備え、
無線タグは、パスワードを記憶するパスワード記憶領域を有し、記憶しているパスワードを含む切替信号によって無線タグ読取りの可否を切り替えられるよう構成され、かつ、会計前において未会計パスワードを予め記憶しており、
切替部は、未会計パスワードを含む切替信号を商品の無線タグに送信して当該無線タグの読取りを制限するとともに、生成された会計済パスワードを当該無線タグに送信し、当該無線タグに記憶されている未会計パスワードを会計済パスワードに変更する。
【0012】
上記会計システムは、好ましくは、
所定の情報の入力を受け付ける入力部をさらに備え、
所定の情報は、客の情報および商品情報またはそのいずれかの情報を含む。
【0013】
上記会計システムは、好ましくは、
切替部が、会計後の商品の返品時において、当該商品の無線タグに対応する会計済パスワードを含む切替信号を当該無線タグに送信して当該無線タグの読取り制限を解除するとともに、未会計パスワードを当該無線タグに送信し、当該無線タグに記憶されている会計済パスワードを未会計パスワードに変更する。
【0014】
上記会計システムは、好ましくは、
音および光またはそのいずれかを発する報知装置をさらに備え、
無線タグ検出部は、報知装置に検出信号を送信し、報知装置は、検出信号を受信すると、音および光またはそのいずれかを発する。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係る会計プログラムは、
商品に付された無線タグを利用する会計システムに使用される会計プログラムであって、
無線タグは、商品情報を予め記憶し無線タグ読取りの可否を切り替える切替信号によって無線タグ読取りの可否を切替可能であって、
会計システムは、
記憶装置および演算装置とを有するコンピュータと、
無線タグと通信する通信装置と、を備え、
無線タグは、パスワードを記憶するパスワード記憶領域を有し、記憶しているパスワードを含む切替信号によって無線タグ読取りの可否を切り替えられるよう構成され、かつ、会計前において未会計パスワードを予め記憶しており、
記憶装置には、会計済パスワードを生成するための所定のルールと、未会計パスワードと、会計プログラムと、が予め記憶されており、
会計プログラムは、コンピュータに、
所定のルールに基づいて、会計済パスワードを生成することと、
通信装置に、未会計パスワードを含む切替信号を送信させて無線タグの読取りを制限するとともに、生成した会計済パスワードを無線タグに送信させて、当該無線タグに記憶されている未会計パスワードを会計済パスワードに変更することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る会計システムは、会計済み商品の無線タグを読取り不能にすることにより客のプライバシ侵害を防止するので、プライバシに関する情報の書込領域を限定することなく客のプライバシの侵害を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例に係る会計システムの概要を示す図である。
図2】無線タグのメモリ領域を示す図である。
図3】会計装置およびゲートのハードウェア構成を示す図である。
図4】会計システムの機能ブロック図である。
図5】会計処理を示すフロー図である。
図6】報知処理を示すフロー図である。
図7】返品処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図を参照しつつ、本発明の会計システムおよび会計プログラムに係る一実施例について説明する。
【0019】
図1は、本実施例に係る会計システムSの概要を示す図である。図1に示すように、会計システムSは、無線タグTと、データサーバ1と、会計装置2と、ゲート3と、を備えている。会計システムSでは、無線タグTが各商品Mに付されおり、商品Mは、会計装置2によって会計をなされる。ゲート3は、未会計の商品Mに付された無線タグTを検出し報知するよう構成されている。以下、会計システムSに係る各構成について説明する。
【0020】
<無線タグ>
無線タグTは、RFIDタグであって、図2に示すように、TID領域Ta、EPC領域Tb、USER領域TcおよびRESERVED領域Tdといった4つのメモリ領域を有する。TID領域Taには、タグIDが記憶されており、EPC領域Tbには、SGTIN(Serialized GTIN)、すなわちGS1コードで用いるGTINに固有番号が付加されたものが記憶されている。GTINが本発明の「商品情報」に該当する。USER領域Tcには、任意のユーザデータが記憶されている。RESERVED領域Tdには、パスワードAが予め記憶されている。RESERVED領域Tdが本発明の「パスワード記憶領域」に相当し、パスワードAが本発明の「未会計パスワード」に相当する。
【0021】
無線タグTは、無線タグ読取りの可否を切り替える切替信号によって、無線タグ読取りの可否を切替可能に構成されている。以下では、無線タグTが読取りを制限された状態を「保護モード」という。切替信号は、パスワードを含み、このパスワードは、RESERVED領域Tdに記憶されているパスワードが該当する。
【0022】
<データサーバ>
データサーバ1は、いわゆるサーバコンピュータであって、会計装置2と有線または無線により通信可能に構成されている。データサーバ1は、各商品MのGTINに対応する商品名、商品Mの種別、商品Mの価格を記憶している。また、データサーバ1は、会計処理および返品処理に係る情報を記憶する。
【0023】
<会計装置>
会計装置2は、図3に示すように、通信装置2aと、コンピュータ2bと、表示装置2cと、入力装置2dと、を有する。
【0024】
通信装置2aは、無線タグTの読取り、書込みが可能であって、公知の無線タグリーダ・ライタによって構成されている。
【0025】
コンピュータ2bは、記憶装置と、演算装置と、を有し、記憶装置には、本発明に係る会計プログラムが記憶されており、演算装置は、会計プログラムに基づいて動作する。
【0026】
表示装置2cは、ディスプレイによって構成され、会計装置2によって処理された情報を表示する。表示装置2cは、店員側、客側に表示させるよう2つのディスプレイによって構成されていてもよいし、セルフレジのように、1つのディスプレイのみによって構成されていてもよい。
【0027】
入力装置2dは、タッチディスプレイ、バーコードリーダを含むが単なる一例であって、例えば、タッチディスプレイの代わりにキーボードを含んでもよいし、バーコードリーダを含んでいなくてもよい。入力装置2dの構成は、特に限定されない。また、バーコードリーダは、2次元および3次元バーコードまたはそのいずれかを読取り可能に構成されている。
【0028】
図4は、会計システムSの機能ブロック図である。図4に示すように、会計装置2は、記憶部20と、読取部21と、会計処理部22と、表示部23と、パスワード生成部24と、切替部25と、入力部26と、を有する。
【0029】
記憶部20は、パスワードAと、パスワードBnを生成するパスワード生成ルール(以下、単に「生成ルール」という)とを記憶している。パスワードAは、無線タグTを保護モードに切り替える際に用いるパスワードであって、すべての無線タグTに予め記憶されている。生成ルールは、後で説明するパスワードBnを生成するために予め定められたルールである。
【0030】
読取部21は、無線タグTに記憶されている商品情報(SGTIN)を読み取る。読み取られた商品情報は、会計処理部22およびパスワード生成部24に送信される。読取部21は、複数の無線タグTを一度に読み込んでもよい。無線タグTの商品情報には、各無線タグT固有のシリアル番号が含まれていることにより、読取部21は、各シリアル番号を認識することにより、同じ無線タグTを複数回読み取ることを防止している。
【0031】
会計処理部22は、受信したGTINをデータサーバ1に送信し、送信したGTINに対応する商品情報をデータサーバ1から受信する。次いで、会計処理部22は、受信した商品情報に基づいて会計処理をし、商品情報および処理した情報をデータサーバ1および表示部23に送信する。
【0032】
表示部23は、受信した情報を表示装置2cに表示させる。
【0033】
パスワード生成部24は、生成ルールと、受信したGTINとに基づいて、各無線タグTごとのパスワードBnを生成する。パスワードBnが本発明の「会計済パスワード」に相当する。生成ルールは、無線タグTに記憶されている商品情報を取り込んで各商品Mに対応するパスワードBnを生成するよう構成されている。したがって、パスワード生成部24は、同一の商品Mに付された無線タグTに対して同一のパスワードBnを生成する。生成されたパスワードBnは、切替部25に送信される。なお、この生成ルールは、単なる一例であって、パスワード生成部24は、例えば、GTINの一部を取り込んでパスワードBnを生成してもよい。本発明の「所定の情報」の「商品情報」には、GTINの一部といった商品情報の一部も含まれる。
【0034】
切替部25は、パスワードAおよび生成されたパスワードBnを含む切替信号を、パスワードBnに対応する無線タグTに送信して、無線タグTを保護モードに切り替えるとともに無線タグTに記憶されているパスワードをパスワードAからパスワードBnに書き換える。
【0035】
これにより、会計システムSは、会計済み商品Mの無線タグTを読取り不能にすることにより会計済みの商品Mの無線タグTを他人が読み取ることによる客のプライバシ侵害を防止する。その結果、会計システムSは、プライバシに関する情報の書込領域を限定することなく客のプライバシの侵害を防止することができる。
【0036】
入力部26は、返品時において、入力装置2dによって入力された情報を受け付ける。入力部26は、入力された情報を会計処理部22およびパスワード生成部24に送信する。
【0037】
図5は、上述の会計処理を示すフロー図である。図5に示すように、会計システムSは、(1)商品Mが会計装置2に移動されると(図5のS(ステップ)51)、読取部21によって商品Mに付された無線タグTに記憶されているGTINを読み取る(図5のS52)。
【0038】
(2)次いで、会計システムSは、会計処理部22によって、データサーバ1からこの無線タグTに係る商品情報を受信し(図5のS53)、会計処理をする(図5のS54)。そして、会計システムSは、会計処理した情報を表示装置2cに表示させる(図5のS55)。
【0039】
(3)また、会計システムSは、並行してパスワード生成部24によってパスワードBnを生成し(図5のS56)、切替部25によって切替信号を無線タグTに送信して無線タグTを保護モードに設定するとともに(図5のS57)、無線タグTに記憶されているパスワードをパスワードAからパスワードBnに切り替える(図5のS58)。
【0040】
これにより、会計システムSは、すべての商品Mの会計処理を一括して行うとともに、すべての商品Mに付された無線タグTに係る客のプライバシの侵害を一括して防止することができる。
【0041】
<ゲート>
図1および図3に示すように、ゲート3は、立設された2つの板状部材3aと、板状部材3aに設けられた無線タグ検出部30および報知装置31と、を有する。ただし、これは単なる一例であって、ゲート3は、板状部材3aを有していなくてもよいし、報知装置31は、板状部材3aに設けられていなくてもよい。無線タグ検出部30は、例えば、出入口の上部に設けられていてもよい。ゲート3は、例えば、店舗の出入口や、会計処理がなされるエリアの出口に設けられていてもよい。以下では、ゲート3の各構成の動作について、図6を参照しつつ説明する。
【0042】
無線タグ検出部30は、公知の無線タグリーダによって構成されており、報知装置31は、スピーカおよびライトによって構成されている。スピーカおよびライトは、同じ位置に設けられている必要はなく、例えば、スピーカまたはライトのみが板状部材3aに設けられていてもよい。
【0043】
無線タグ検出部30は、2つの板状部材3aの間を通過する無線タグTのメモリ情報を読み取ることで、無線タグTを検出するよう構成されている。無線タグ検出部30は、板状部材3aの間を通過する(図6のS61)無線タグTを検出すると(図6のS62のYes)、検出信号を報知装置31に送信する(図6のS63)。無線タグTが読み取る無線タグTのメモリ情報は、特に限定されない。すなわち、本発明に係る無線タグ検出部30は、従来の防犯システムに使用されている無線タグ検出装置(無線タグリーダ)をその構成を特に変えることなく流用することができる。
【0044】
報知装置31は、検出信号を受信すると、スピーカによって音を発するとともにライトによって光を発する(図6のS64)。これにより、報知装置31は、未会計の商品Mがゲート3を通ったことを客、店員および警備員に報知する。
【0045】
会計済みの商品Mに付された無線タグTは、保護モードに切り替えられているので、無線タグ検出部30は、会計済みの商品Mに付された無線タグTを検出することができない(図6のS62のNo)。したがって、報知装置31は、会計済みの商品Mに付された無線タグTに対して、光および音を発することがない。
【0046】
<返品処理>
次に、図7を参照しつつ、会計済みの商品Mが何らかの理由で返品されたときの会計装置2の処理について説明する。
【0047】
会計システムSは、(1)商品Mが返品されると(図7のS71)、入力装置2dによって返品された商品Mに係る商品情報(GTIN)と、当該商品Mに係る会計情報とが入力される(図7のS72)。
【0048】
(2)会計システムSは、入力部26によって入力されたGTINおよび会計情報を会計処理部22およびパスワード生成部24に送信する(図7のS73)。なお、返品された商品Mに係るGTINは、商品Mに付されたバーコードから入手してもよく、返品された商品Mに係る会計情報は、例えばレシートに記載された情報から入手してもよい。
【0049】
(3)次いで、会計システムSは、会計処理部22によって、入力されたGTINに係る商品情報をデータサーバ1から受信し、受信した商品情報に基づいて、返品処理をする(図7のS74)。
【0050】
(4)次いで、会計システムSは、パスワード生成部24によって、生成ルールと受信したGTINとに基づいて、パスワードBnを生成し(図7のS75)、生成したパスワードBnを切替部25に送信する。
【0051】
(5)次いで、会計システムSは、切替部25によって、受信したパスワードBnおよびパスワードAを含む切替信号を、返品された商品Mに対応する無線タグTに送信して保護モードを解除する(図7のS76)とともに、この無線タグTに記憶されているパスワードをパスワードBnからパスワードAに書き換える(図7のS77)。
【0052】
(6)次いで、会計システムSは、処理した情報を表示部23によって表示装置2cに表示させる(図7のS78)。
【0053】
これにより、この無線タグTは、他の無線タグTと同様に再利用することができる。また、会計システムSは、保護モード設定時に、パスワードAからパスワードBnに書き換えておくことにより、返品時において、返品対象でない商品Mの無線タグTの保護モードを解除することを防止することができる。
【0054】
会計システムSは、上記構成を備えていることにより、会計後の商品Mに付された無線タグTの情報を全く読み取られることがないので、無線タグTにおけるプライバシに関する情報の書込領域を限定することなく客のプライバシの侵害を防止することができる。しかも、会計システムSは、会計済みの商品Mに付された無線タグTを読取り不可にすることにより別店舗の防犯ゲートによる当該無線タグTの検出を不可にさせることで、別店舗における防犯ゲートの誤動作を防止することもできる。
【0055】
さらに、会計システムSは、ゲート3を通って、無線タグTが付された商品Mを店舗に搬入するとき、予め無線タグTを保護モードに設定しておくことにより、ゲート3の報知機能を作動させずに商品Mを搬入することができる。そして、会計システムSは、商品Mの店内搬入後に、パスワードAを含む切替信号によって一括して複数の無線タグTの保護モードを解除してもよい。
【0056】
以上、本発明の会計システムおよび会計プログラムの一実施例について説明してきたが、本発明に係る会計システムおよび会計プログラムは、上記実施例に限定されるものではない。例えば、本発明の会計システムおよび会計プログラムは、以下の変形例、または各変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0057】
<変形例>
・本発明に係る会計システムSは、無線タグTのユーザ領域のメモリを使用しないので、会計システムSに係る無線タグTは、ユーザ領域を有しなくてもよい。
【0058】
・会計システムSは、会計処理において、バーコードリーダによって読み取られたバーコードの情報を取り込んだり、商品Mに付された値札をキーボードによって入力されその情報を取り込むことにより、商品Mの価格を取り込んでもよい。
【0059】
・会計システムSは、例えば、パスワードBnを生成せず、単にパスワードAのみで運用してもよい。この場合、会計システムSは、パスワード生成部24を備えず、保護モードに設定する際に無線タグTのパスワードを書き換えず、保護モードを解除する際もパスワードAを含む切替信号によって保護モードを解除する。また、この場合、会計システムSは、入力部26を備えなくてもよい。
【0060】
・会計システムSにおける会計処理および無線タグTの保護モード設定の順序は、特に限定されない。例えば、会計システムSは、複数の商品Mの会計処理をするとき、1つ1つ会計処理をしつつ、1つ1つ無線タグTの保護モードを設定してもよい。または、会計システムSは、会計処理が完了してから無線タグTを保護モードに設定してもよい。この場合、会計システムSは、いわゆるレジスターと無線タグリーダ・ライタとに分けて構成されてもよい。
【0061】
・パスワード生成ルールは、上記実施例に限定されず、例えば、パスワード生成部24は、会計時の日時、客の会員番号、客の生年月日、およびタグIDのすべてまたはそのいずれかを取り込んでパスワードBnを生成してもよい。この場合、会計システムSは、当該情報を読み取るためのリーダをさらに備えてもよい。また、会計システムSは、レシートに印字されない情報を取り込んでパスワードBnを生成するよう構成され、返品時に口頭、または会員証提示などによって当該情報を提供してもらうことにより、偽物の商品Mに係る返品を防止することができる。
【0062】
パスワード生成ルールが、例えば、商品情報を利用せず客情報を利用してパスワードBnを生成するルールの場合、会計システムSによる返品処理は、例えば、次のように実施されてもよい。会計システムSは、(1)商品Mが返品されると、(2)客情報を入力され、パスワードBnを生成する。次いで、会計システムSは、(3)パスワードBnによって保護モードを解除して無線タグTに記憶されている商品情報(SGTIN)を読み取る。次いで、会計システムSは、(4)読み取った商品情報に基づいて返品処理をし、(5)次いで、返品に係る無線タグTのパスワードをパスワードAからパスワードBnに書き換える。
【0063】
・会計システムSにおける無線タグTは、例えば、メモリ領域の一部の読み書きまたは書込のみを制限する従来の機能を有していてもよい。また、無線タグTは、無線タグリーダ・ライタからの応答が完全になくなるいわゆるキルモードを有していてもよい。これらの場合、無線タグTは、これら機能に使用されるアクセスパスワードおよびキルパスワードは、パスワードAと同一であってもよい。
【0064】
・会計システムSは、例えば、無線タグTが保護モードのとき、一時的に無線タグTを読み取るような機能を備えてもよい。すなわち、会計システムSは、パスワードBnを含む特殊コマンドを無線タグTに送信して保護モードを解除し、無線タグT内の情報を読み取り、次いで、パスワードBnを含む別の特殊コマンドを送信して再びパスワードBnによる保護モードに再設定する機能を有していてもよい。
【符号の説明】
【0065】
S 会計システム
T 無線タグ
M 商品
1 データサーバ
2 会計装置
2a 通信装置
2b コンピュータ
2c 表示装置
2d 入力装置
20 記憶部
21 読取部
22 会計処理部
23 表示部
24 パスワード生成部
25 切替部
26 入力部
3 ゲート
3a 板状部材
30 無線タグ検出部
31 報知装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7