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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162772
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】計測器
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/284 20060101AFI20241114BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G01F23/284
F16J15/10 G
F16J15/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078655
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000233790
【氏名又は名称】株式会社ノーケン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】番匠 剛
【テーマコード(参考)】
2F014
3J040
【Fターム(参考)】
2F014AB02
2F014AB04
2F014FC01
3J040AA17
3J040BA03
3J040CA02
3J040EA15
3J040EA17
3J040EA22
3J040FA06
3J040FA07
3J040HA02
3J040HA15
3J040HA30
(57)【要約】
【課題】剛性が高いシール部材を備える計測器において、小型化と製造コストの削減とを図る。
【解決手段】計測器1は、検出ロッド20と、内周面13bが傾斜する接続部13を含むホルダ10と、接続部13の内部に位置するシール部40とを備える。シール部40は、第1ポケット部41cおよび第2ポケット41dを含みかつ外周面41aが傾斜したスペーサ41と、第1パッキン42と、第2パッキン43とを含む。第1パッキン42および第2パッキン43のヤング率は、0.5GPa以上0.7GPa以下であり、スペーサ41は、これらより剛性が高い。第2パッキン43は、第2ポケット部41dと検出ロッド20とに挟み込まれることでスペーサ41と検出ロッド20とに密着した状態とされ、第1パッキン42は、第1ポケット部41cと接続部13とに挟み込まれることでスペーサ41と接続部13とに密着した状態とされる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出ロッドと、
前記検出ロッドに外挿された略筒状のホルダと、
前記ホルダに内挿されるとともに前記検出ロッドに外挿されたシール部とを備え、
前記ホルダは、前記検出ロッドの軸方向の一端側を収容する第1収容部と、前記検出ロッドの前記軸方向の他端側を収容する第2収容部と、前記第1収容部および前記第2収容部を接続し、内周面が前記第2収容部側から前記第1収容部側に向かうにつれて前記検出ロッドの軸中心に近づくように傾斜する接続部とを含み、
前記シール部は、前記接続部の内部に配置され、
前記シール部は、筒状のスペーサと、リング状の第1パッキンおよび第2パッキンとを有し、
前記スペーサの外周面は、前記接続部の前記内周面に沿った傾斜形状を有し、
前記スペーサは、当該スペーサの前記第1収容部側の軸方向端面の外縁に形成された段差形状の第1ポケット部と、前記スペーサの前記第2収容部側の軸方向端面の内縁に形成され、前記スペーサの前記第2収容部側の前記軸方向端面と前記スペーサの内周面とを結びかつ前記第2収容部側から前記第1収容部側に向かうにつれて前記検出ロッドの軸中心に近づく傾斜形状の第2ポケット部とを含み、
前記第1パッキンは、前記第1ポケット部に配置され、
前記第2パッキンは、前記第2ポケット部に配置され、
前記スペーサは、前記第1パッキンおよび前記第2パッキンのいずれよりも剛性が高く、
前記第1パッキンおよび前記第2パッキンのヤング率は、いずれも0.5GPa以上0.7GPa以下であり、
前記検出ロッドは、当該検出ロッドの前記軸方向の前記一端および前記他端の間の位置に、前記軸方向と交差しかつ前記一端側を向く突き当たり面を有し、
前記突き当たり面が前記第2収容部側から前記第1収容部側に向けて前記第2パッキンに押し当てられることにより、当該第2パッキンが前記第2ポケット部と前記検出ロッドとに挟み込まれることで押し潰され、これによって前記第2パッキンが前記スペーサと前記検出ロッドとの双方に密着した状態とされるとともに、前記第1パッキンが前記第1ポケット部と前記接続部とに挟み込まれることで押し潰され、これによって前記第1パッキンが前記スペーサと前記接続部との双方に密着した状態とされている、計測器。
【請求項2】
前記第1パッキンおよび前記第2パッキンが、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂からなる、請求項1に記載の計測器。
【請求項3】
前記検出ロッドを前記ホルダに固定するための固定部をさらに備え、
前記固定部は、
前記検出ロッドの前記軸方向の前記一端側に取付けられたナットと、
前記第1収容部に内挿されるとともに、前記検出ロッドの前記軸方向の前記一端側に外挿されたコイルスプリングと、
前記ナットおよび前記コイルスプリングの間に介装されたワッシャとを含み、
前記ナットを前記検出ロッドの前記軸方向の前記一端側に螺合させることで前記コイルスプリングが前記ホルダと前記ワッシャとによって挟み込まれて圧縮されることにより、前記検出ロッドが、前記コイルスプリングに生じた復元力によって前記第2収容部側から前記第1収容部側に向けて締め上げられる、請求項1に記載の計測器。
【請求項4】
前記検出ロッドが、液位を検出するためのものである、請求項1に記載の計測器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体の液位や流量、流速等を計測するための種々の計測器が知られている。このうち、タンク等の内部に貯留された液体の液位を検出する液位計が開示された文献として、たとえば特開2014-6117号公報(特許文献1)がある。
【0003】
当該特許文献1に開示された液位計は、いわゆるガイドパルス式液位計と称されるものであり、導電性材料からなり、その先端が液体に浸漬された状態で使用される検出ロッドと、検出ロッドに外挿された略円筒状のホルダと、検出ロッドに電流パルスを供給し、その反射パルスを検出することで液位を計測可能な回路基板等を有するヘッド部とを備えている。
【0004】
このように構成された液位計においては、計測対象の液体およびこれが気化することで発生する高濃度のガスに曝される場合の手当てとして、検出ロッドの外周面とホルダの内周面との間にOリングが介装されたシール構造が採用されており、このOリングによってシール性能を一定程度確保することにより、上記回路基板等が収容された液位計の内部空間に高濃度のガス等が侵入することを未然に防止している。なお、このOリングとしては、シリコーンゴム等の各種のゴムからなるものが一般的に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-6117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、これらの計測器は、計測対象によっては低温高圧環境や高温高圧環境、温度変化が激しい環境等の過酷な環境下に曝されることがあるため、このような環境に耐え得る構造を有していることが求められる場合がある。
【0007】
特に、計測器がこのような過酷な環境下で使用される場合には、Oリングが短期間で劣化したり破損したりしてしまうことでシール不良が発生することが懸念される。このシール不良が発生した場合には、計測器の故障や短寿命化を誘発することとなってしまうことから、長期間にわたって十分なシール性能を担保可能なシール構造が求められているところである。
【0008】
この点、上記特許文献1に開示された計測器においては、上述したOリングを用いたシール構造とは別に、その内部空間のうちの検出ロッドとホルダとの間の空間を埋めるべく略円筒状の誘電体が配置されている。この誘電体としては、耐環境性に優れたフッ素樹脂からなるものが用いられており、これにより計測器の耐環境性の向上が図られている。
【0009】
しかしながら、フッ素樹脂は一般に高価な材料であり、上述した特許文献1に開示された誘電体の如く体積が大きい部材をフッ素樹脂にて構成した場合には、製造コストが大幅に増加してしまう問題がある。
【0010】
この点、Oリングをゴム製からフッ素樹脂製に置き換えることができれば、計測器の内部にフッ素樹脂からなる体積の大きい部材を配置する必要がなくなるため、大幅にその製造コストを削減することができる。しかしながら、フッ素樹脂は相当程度に剛性が高いものであり、単に上記の如く材質を置き換えただけでは、フッ素樹脂製のOリングを検出ロッドの外周面とホルダの内周面との間において適切に圧縮変形させてこれを検出ロッドおよびホルダに密着させることは困難である。
【0011】
そのため、このような剛性の高いシール部材を用いてシール構造を実現するためには、これを適切に圧縮変形させて組付けるために相当程度に大型で複雑な組付構造を採用することが必要になり、計測器が大型化するばかりでなく、組付構造が大型化および複雑化することで製造コストの増大を招いてしまうことにもなる。
【0012】
したがって、本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、剛性が高いシール部材を備える計測器において、小型化と製造コストの削減とを図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に基づく計測器は、検出ロッドと、当該検出ロッドに外挿された略筒状のホルダと、当該ホルダに内挿されるとともに上記検出ロッドに外挿されたシール部とを備えている。上記ホルダは、上記検出ロッドの軸方向の一端側を収容する第1収容部と、上記検出ロッドの上記軸方向の他端側を収容する第2収容部と、上記第1収容部および上記第2収容部を接続し、内周面が上記第2収容部側から上記第1収容部側に向かうにつれて上記検出ロッドの軸中心に近づくように傾斜する接続部とを含んでおり、上記シール部は、当該接続部の内部に配置されている。上記シール部は、筒状のスペーサと、リング状の第1パッキンおよび第2パッキンとを有している。上記スペーサの外周面は、上記接続部の上記内周面に沿った傾斜形状を有している。上記スペーサは、当該スペーサの上記第1収容部側の軸方向端面の外縁に形成された段差形状の第1ポケット部と、上記スペーサの上記第2収容部側の軸方向端面の内縁に形成され、上記スペーサの上記第2収容部側の上記軸方向端面と上記スペーサの内周面とを結びかつ上記第2収容部側から上記第1収容部側に向かうにつれて上記検出ロッドの軸中心に近づく傾斜形状の第2ポケット部とを含んでいる。上記第1パッキンは、上記第1ポケット部に配置されており、上記第2パッキンは、上記第2ポケット部に配置されている。上記スペーサは、上記第1パッキンおよび上記第2パッキンのいずれよりも剛性が高く、上記第1パッキンおよび上記第2パッキンのヤング率は、いずれも0.5GPa以上0.7GPa以下である。上記検出ロッドは、当該検出ロッドの上記軸方向の上記一端および上記他端の間の位置に、上記軸方向と交差しかつ上記一端側を向く突き当たり面を有している。上記本発明に基づく計測器にあっては、上記突き当たり面が上記第2収容部側から上記第1収容部側に向けて上記第2パッキンに押し当てられることにより、当該第2パッキンが上記第2ポケット部と上記検出ロッドとに挟み込まれることで押し潰され、これによって上記第2パッキンが上記スペーサと上記検出ロッドとの双方に密着した状態とされるとともに、上記第1パッキンが上記第1ポケット部と上記接続部とに挟み込まれることで押し潰され、これによって上記第1パッキンが上記スペーサと上記接続部との双方に密着した状態とされている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、剛性が高いシール部材を備える計測器において、小型化と製造コストの削減とを図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態に係る計測器の模式断面図である。
図2図1に示す領域IIの要部拡大断面図である。
図3図1に示す検出ロッドおよびシール部の組付手順を説明するための模式断面図および要部拡大断面図である。
図4図1に示す検出ロッドおよびシール部の組付手順を説明するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、種々ある計測器のうち、液体の液位を検出するいわゆるガイドパルス式液位計に、本発明を適用した場合を例示するものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0017】
(実施の形態)
図1は、実施の形態に係る計測器の模式断面図であり、図2は、図1に示す領域IIの要部拡大断面図である。まず、これら図1および図2を参照して、本実施の形態に係る計測器1について説明する。なお、図1および図2においては、検出ロッド20およびナット31を側面図にて図示している(後述する図3および図4においても同様である)。
【0018】
図1に示すように、計測器1は、ホルダ10と、検出ロッド20と、固定部30と、シール部40と、ヘッド部(不図示)とを備えている。
【0019】
ホルダ10は、略筒状の形状を有しており、検出ロッド20に外挿された状態でこれを保持するための部位である。また、ホルダ10は、その軸方向と交差する方向において外周面から外側に向けて張り出したフランジ形状の張り出し部を有している。張り出し部は、液位を検出すべき液体を貯留するタンク等の壁部に固定される部位である。ホルダ10は、たとえばステンレス鋼等の金属製の部材にて構成される。
【0020】
ホルダ10は、第1収容部11と、第2収容部12と、これら第1収容部11および第2収容部12を接続する接続部13とを含んでいる。第1収容部11は、検出ロッド20の軸方向の一端側を収容する部位であり、第2収容部12は、検出ロッド20の軸方向の他端側を収容する部位である。また、第1収容部11の軸方向の接続部13側とは反対側の端部には、回路基板等が収容されたヘッド部(不図示)が取付けられている。
【0021】
接続部13は、その内周面13bが、第2収容部12側から第1収容部11側に向かうにつれて検出ロッド20の軸中心に近づくように傾斜している。
【0022】
検出ロッド20は、液体の液位を検出するために用いられる部位であり、より詳細には、電流パルスの伝搬経路として用いられる部位である。検出ロッド20は、その軸方向の一端が、ヘッド部に収容された回路基板にコネクタ等を介して接続されており、他端が、外部に露出している。検出ロッド20は、導電性金属の部材にて構成され、本実施の形態においてはステンレス鋼の部材にて構成されている。
【0023】
検出ロッド20の外周面20aは、接続部13に対応する位置に、第2収容部12側から第1収容部11側に向かうにつれて検出ロッド20の軸中心に近づくように傾斜した傾斜面20a1を有している。
【0024】
また、検出ロッド20の外周面20aは、その軸方向の第1収容部11側の一端と第2収容部12側の他端との間の位置に、上記軸方向と交差しかつ上記一端側を向く突き当たり面20a2を有している。突き当たり面20a2は、後述するシール部40の第2パッキン43に押し当てられている。
【0025】
計測器1を用いて液体の液位を検出するに際しては、まず、ヘッド部に収容された回路基板から高周波の電流パルスが検出ロッド20に向けて発信される。次に、このパルスが、検出ロッド20内を上記他端側に向けて伝搬される。ここで、検出ロッド20内の特性インピーダンスは、計測対象の液体の液位に相当する位置において変化するものであり、上記パルスは、この特性インピーダンスの変化点において反射されることになる。そのため、計測器1にあっては、発信したパルスが、ヘッド部に収容されたセンサによって反射パルスとして受信されるまでに要した時間を基にして、液体の液位が検出されることになる。
【0026】
固定部30は、検出ロッド20をホルダ10に固定するためのものであり、ナット31、コイルスプリング32およびワッシャ33を含んでいる。
【0027】
ナット31は、検出ロッド20の軸方向の第1収容部11側の一端に取付けられている。コイルスプリング32は、第1収容部11に内挿されるとともに、検出ロッド20の上記一端側に外挿されている。
【0028】
ワッシャ33は、ナット31とコイルスプリング32との間に介装されるものであり、平ワッシャ34、絶縁ワッシャ35および後述するカップ36の底蓋部36aによって構成されている。平ワッシャ34、絶縁ワッシャ35および底蓋部36aは、ナット31側からコイルスプリング32側に向けてこの順で積層されている。
【0029】
カップ36は、軸方向の一端が開放端として構成された有底略円筒状の部材であり、底蓋部36aの中央部分には貫通孔が設けられている。カップ36は、その開口端が第2収容部12側とは反対側に向けられた状態で、検出ロッド20の上記一端側に外挿されている。カップ36は、検出ロッド20の上記一端側に取付けられる図示しないコネクタ等を受け入れるためのものである。
【0030】
ナット31、平ワッシャ34およびカップ36は、たとえば金属製の部材等にて構成され、絶縁ワッシャ35は、たとえば樹脂製の部材等にて構成される。
【0031】
図1および図2に示すように、シール部40は、ホルダ10の接続部13に内挿されるとともに検出ロッド20に外挿された部位である。シール部40は、これが接続部13の内部に配置されることで当該部分においてシール性を確保することにより、第1収容部11および上述したヘッド部によって規定される内部空間(すなわち、検出ロッド20の軸方向の一端側、固定部30および回路基板等が収容された空間)の気密性を確保するための部位である。
【0032】
シール部40は、筒状のスペーサ41と、リング状の第1パッキン42および第2パッキン43とを有している。
【0033】
スペーサ41の外周面41aは、上述した接続部13の内周面13bに沿った傾斜形状を有している。すなわち、外周面41aは、第2収容部12側から第1収容部11側に向かうにつれて検出ロッド20の軸中心に近づくように傾斜している。
【0034】
また、スペーサ41の内周面41bは、上述した検出ロッド20の外周面20aの傾斜面20a1に沿った傾斜形状を有している。すなわち、内周面41bは、外周面41aと同様に、第2収容部12側から第1収容部11側に向かうにつれて検出ロッド20の軸中心に近づくように傾斜している。
【0035】
スペーサ41の第1収容部11側の軸方向端面の外縁には、段差形状の第1ポケット部41cが形成されている。また、スペーサ41の第2収容部12側の軸方向端面の内縁には、スペーサ41の第2収容部12側の軸方向端面と内周面41bとを結び、かつ、第2収容部12側から第1収容部11側に向かうにつれて検出ロッド20の軸中心に近づく傾斜形状の第2ポケット部41dが形成されている。
【0036】
スペーサ41は、第1パッキン42および第2パッキン43のいずれよりも剛性が高い絶縁部材にて構成される。本実施の形態においては、スペーサ41は、耐環境性に優れたポリエーテルエーテルケトン樹脂製の部材にて構成されている。
【0037】
第1パッキン42は、これがホルダ10に組付けられる前の状態において、周方向と直交する断面が矩形状のものであり(後述する図3(B)参照)、ヤング率が0.5GPa以上0.7GPa以下の部材にて構成される。本実施の形態においては、第1パッキン42は、耐環境性に優れたフッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレン系樹脂製の部材にて構成されている。なお、組付け前の状態の第1パッキン42の上記断面形状は、特にこれが矩形状に限定されるものではなく、たとえば略円形状、略楕円形状、多角形状等であってもよい。
【0038】
第1パッキン42は、これがホルダ10に組付けられた組付状態において第1ポケット部41cに配置されるものである。また、組付状態において、第1パッキン42は、これが第1ポケット部41cと接続部13とに挟み込まれることで押し潰されている。これにより、第1パッキン42は、スペーサ41と接続部13との双方に密着した状態とされている。また、この状態における第1パッキン42は、周方向と直交する断面が、第2収容部12側から第1収容部11側に向かうにつれて先細る先細り形状となっている。
【0039】
第2パッキン43は、これがホルダ10に組付けられる前の状態において、周方向と直交する断面が矩形状のものであり(後述する図3(B)参照)、ヤング率が0.5GPa以上0.7GPa以下の部材にて構成される。本実施の形態においては、第2パッキン43は、耐環境性に優れたフッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレン系樹脂製の部材にて構成されている。なお、組付け前の状態の第2パッキン43の上記断面形状は、特にこれが矩形状に限定されるものではなく、たとえば略円形状、略楕円形状、多角形状等であってもよい。
【0040】
第2パッキン43は、これがホルダ10に組付けられた組付状態において第2ポケット部41dに配置されるものである。また、組付状態において、第2パッキン43は、これが第2ポケット部41dと検出ロッド20とに挟み込まれることで押し潰されている。これにより、第2パッキン43は、スペーサ41と検出ロッド20との双方に密着した状態とされている。また、この状態における第2パッキン43は、周方向と直交する断面が、第2収容部12側から第1収容部11側に向かうにつれて先細る先細り形状となっている。
【0041】
図3(A)および図4は、図1に示す検出ロッドおよびシール部の組付手順を説明するための模式断面図であり、図3(B)は、図3(A)に示す領域IIIBの要部拡大断面図である。次に、これら図3および図4と、前述の図1および図2とを参照して、本実施の形態に係る検出ロッド20およびシール部40のホルダ10に対する組付手順について説明する。
【0042】
図3(A)および図3(B)に示すように、本実施の形態に係る検出ロッド20およびシール部40を組付けるに際しては、まず、シール部40が、その大部分がホルダ10の接続部13の内部に収容されるように位置決めされる。図3(B)に示すように、この状態における第1パッキン42および第2パッキン43は、いずれもスペーサ41等によって押し潰されて変形する前の状態(すなわち、周方向と直交する断面が矩形状の状態)である。第1パッキン42は、スペーサ41の第1ポケット部41cに配置されており、第2パッキン43は、スペーサ41の第2ポケット部41dに配置されている。
【0043】
次に、図3(A)および図3(B)に示すように、検出ロッド20が、第2収容部12側から第1収容部11側に向けてホルダ10に内挿される(図3(A)中の矢印AR1参照)。これにより、検出ロッド20の軸方向の一端側は、第1収容部11に収容され、他端側は、第2収容部12に収容される。その際、シール部40を構成するスペーサ41、第1パッキン42および第2パッキン43は、検出ロッド20に外挿され、これによって検出ロッド20の突き当たり面20a2は、第2パッキン43に当接することになる。
【0044】
次に、図4に示すように、平ワッシャ34、絶縁ワッシャ35、カップ36およびコイルスプリング32が、第1収容部11の内部に配置される。より詳細には、平ワッシャ34、絶縁ワッシャ35、底蓋部36aおよびコイルスプリング32が、第1収容部11側から第2収容部12側に向けてこの順で積層されるように、検出ロッド20の上記一端側に外挿される(図中の矢印AR2参照)。
【0045】
次に、図1および図2に示すように、ナット31が検出ロッド20の上記一端側に螺合される。これにより、ナット31が、ワッシャ33(すなわち、平ワッシャ34、絶縁ワッシャ35および底蓋部36a)を第1収容部11側から第2収容部12側に向けて押圧し、押圧されたワッシャ33が、さらにコイルスプリング32を同方向に向けて押圧付勢することになる。
【0046】
このようにしてコイルスプリング32がホルダ10とワッシャ33とによって挟み込まれて圧縮されることにより、コイルスプリング32に、ワッシャ33を第2収容部12側から第1収容部11側に向けて押圧する復元力が生じることになる。この復元力がワッシャ33およびナット31を介して検出ロッド20に印加されることにより、検出ロッド20が、第2収容部12側から第1収容部11側に向けて締め上げられることになる。
【0047】
さらに、検出ロッド20が締め上げられることにより、突き当たり面20a2(図2等参照)が第2収容部12側から第1収容部11側に向けて第2パッキン43に押し当てられる。これにより、第2パッキン43は、これが第2ポケット部41dと検出ロッド20とに挟み込まれることで押し潰され、結果として第2パッキン43は、スペーサ41と検出ロッド20との双方に密着した状態とされる。この状態における第2パッキン43は、周方向と直交する断面が、第2収容部12側から第1収容部11側に向かうにつれて先細る先細り形状となるように圧縮変形されている。
【0048】
同様に、突き当たり面20a2が第2パッキン43に押し当てられることにより、第1パッキン42は、これが第1ポケット部41cと接続部13とに挟み込まれることで押し潰され、結果として第1パッキン42は、スペーサ41と接続部13との双方に密着した状態とされる。この状態における第1パッキン42は、周方向と直交する断面が、第2収容部12側から第1収容部11側に向かうにつれて先細る先細り形状となるように圧縮変形されている。
【0049】
上述した一連の工程を経ることにより、検出ロッド20およびシール部40のホルダ10に対する組付が完了する。また、上述した一連の工程を経た後に、第1収容部11にさらにヘッド部等を取付けることにより、ヘッド部等のホルダ10に対する組付が完了する。
【0050】
以上のように構成することにより、剛性が高いシール部材を備える計測器において、小型化と製造コストの削減とを図ることが可能になる。
【0051】
すなわち、本実施の形態に係る計測器1において、第1収容部11およびヘッド部によって規定される内部空間の気密性をシール部40によって確保するためには、図2に示すように、スペーサ41と接続部13との間の隙間を気体等が通過し得る外側経路、および、スペーサ41と検出ロッド20との間の隙間を気体等が通過し得る内側経路の2つの経路を封止する必要がある。
【0052】
この点、本実施の形態に係る計測器1においては、上述の如く固定部30によって検出ロッド20が締め上げられることにより、突き当たり面20a2が第2パッキン43に押し当てられる。その際、第2パッキン43を第2ポケット部41dに向けて押し当てるように当該第2パッキン43に印加される検出ロッド20の軸方向と平行な方向(すなわち、図2中の上下方向)の荷重の一部は、第2ポケット部41dが傾斜形状であることに起因して、検出ロッド20の径方向と平行な方向(すなわち、図2中の左右方向)に分散されることになる。これにより、第2パッキン43は、上記2方向において第2ポケット部41dと検出ロッド20とに挟み込まれることで押し潰され、結果として第2パッキン43は、スペーサ41と検出ロッド20との双方に密着した状態とされる。
【0053】
また、本実施の形態に係る計測器1においては、固定部30によって検出ロッド20が締め上げられることにより、スペーサ41が、検出ロッド20および第2パッキン43によって第1パッキン42に押し当てられる。その際、第1パッキン42を接続部13の内周面13bに向けて押し当てるように当該第1パッキン42に印加される検出ロッド20の軸方向と平行な方向の荷重の一部は、内周面13bが傾斜形状であることに起因して、検出ロッド20の径方向と平行な方向に分散されることになる。これにより、第1パッキン42は、上記2方向において第1ポケット部41cと接続部13とに挟み込まれることで押し潰され、結果として第1パッキン42は、スペーサ41と接続部13との双方に密着した状態とされる。
【0054】
このように構成することにより、第1パッキン42および第2パッキン43によって上記2つの経路を封止できることになり、結果として計測器1のシール性能を担保することが可能になる。
【0055】
ここで、本実施の形態に係る計測器1においては、上述したように、第1パッキン42および第2パッキン43のヤング率が、いずれも0.5GPa以上0.7GPa以下である。このように相当程度に高い剛性を有する部材をホルダ10に組付ける際、これに対して何らの手当ても行なわない場合には、相当程度に大型の組付構造を計測器1に設ける必要が生じてしまう。
【0056】
この点、本実施の形態に係る計測器1においては、上述したように、第1パッキン42が、当該第1パッキン42よりも高い剛性を有するスペーサ41の第1ポケット部41cと、当該第1パッキン42よりも高い剛性を有しかつ傾斜形状を有する接続部13の内周面13bとによって挟み込まれている。また、計測器1においては、上述したように、第2パッキン43が、当該第2パッキン43よりも高い剛性を有する検出ロッド20と、第当該第2パッキン43よりも高い剛性を有しかつ傾斜形状を有するスペーサ41の第2ポケット部41dとによって挟み込まれている。
【0057】
このように構成することにより、相当程度に高い剛性を有する第1パッキン42および第2パッキン43を、簡素な構成かつ小さい荷重で適切に押し潰して変形させることが可能になる。そのため、これらを押し潰して変形させるために計測器1に大型の組付構造を設ける必要がなくなり、結果として、計測器1の小型化ならびに製造コストの削減を図ることが可能になる。
【0058】
したがって、本実施の形態に係る計測器1の如く構成することにより、剛性が高いシール部材を備える計測器において、小型化と製造コストの削減とを図ることが可能になる。
【0059】
また、本実施の形態に係る計測器1においては、上述したように、第1パッキン42および第2パッキン43が、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂製の部材にて構成されており、スペーサ41が、ポリエーテルエーテルケトン樹脂製の部材にて構成されている。このように構成することにより、低温高圧環境や高温高圧環境、温度変化が激しい環境等の過酷な環境下において、スペーサ41、第1パッキン42および第2パッキン43が短期間で劣化あるいは破損することを未然に防止できる。そのため、耐環境性に優れた計測器1とすることができ、ひいては、過酷な環境下においても容易には故障しない、長寿命化が図られた計測器1とすることができる。
【0060】
さらに、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂製の部材は、比較的高価な部材であるところ、本実施の形態に係る計測器1のように、第1パッキン42および第2パッキン43のような小さな部材をポリテトラフルオロエチレン系樹脂製にて構成し、これらによってシール性能を担保する構成とすることにより、耐環境性の向上と製造コストの削減との両立が図られた計測器1とすることができる。
【0061】
また、本実施の形態に係る計測器1は、上述したように、固定部30に含まれるコイルスプリング32の復元力を用いて検出ロッド20を締め上げる構造を具備している。このように構成することにより、温度変化が激しい環境下においても常に優れたシール性能を発揮できる計測器1とすることができる。
【0062】
より詳細には、温度変化が激しい環境下で計測器が使用される場合、計測器を構成する各部材が収縮あるいは膨張することでこれらの部材間に隙間が生じることが懸念される。これに対して何らの手当ても行なわない場合には、第1パッキンおよび第2パッキンが上記各部材の収縮あるいは膨張に追従するように移動できず、結果としてスペーサと第1パッキンとの間や、検出ロッドと第2パッキンとの間等に隙間が生じることでシール不良が発生するおそれがある。
【0063】
この点、本実施の形態に係る計測器1の如くの検出ロッド20の締め上げ構造を具備する場合には、コイルスプリング32の復元力によって常に検出ロッド20が押圧付勢される。これにより、第1パッキン42および第2パッキン43が上記各部材の収縮あるいは膨張に追従するように移動できることになるため、第1パッキン42を、常にスペーサ41と接続部13との双方に密着した状態とし、第2パッキン43を、常にスペーサ41と検出ロッド20との双方に密着した状態とすることができる。そのため、このように構成することにより、温度変化が激しい環境下においても常に優れたシール性能を発揮できる計測器1とすることが可能になる。
【0064】
(付記)
上述した実施の形態において開示した計測器の特徴的な構成を要約すると、以下のとおりとなる。
【0065】
[付記1]
検出ロッドと、
上記検出ロッドに外挿された略筒状のホルダと、
上記ホルダに内挿されるとともに上記検出ロッドに外挿されたシール部とを備え、
上記ホルダは、上記検出ロッドの軸方向の一端側を収容する第1収容部と、上記検出ロッドの上記軸方向の他端側を収容する第2収容部と、上記第1収容部および上記第2収容部を接続し、内周面が上記第2収容部側から上記第1収容部側に向かうにつれて上記検出ロッドの軸中心に近づくように傾斜する接続部とを含み、
上記シール部は、上記接続部の内部に配置され、
上記シール部は、筒状のスペーサと、リング状の第1パッキンおよび第2パッキンとを有し、
上記スペーサの外周面は、上記接続部の上記内周面に沿った傾斜形状を有し、
上記スペーサは、当該スペーサの上記第1収容部側の軸方向端面の外縁に形成された段差形状の第1ポケット部と、上記スペーサの上記第2収容部側の軸方向端面の内縁に形成され、上記スペーサの上記第2収容部側の上記軸方向端面と上記スペーサの内周面とを結びかつ上記第2収容部側から上記第1収容部側に向かうにつれて上記検出ロッドの軸中心に近づく傾斜形状の第2ポケット部とを含み、
上記第1パッキンは、上記第1ポケット部に配置され、
上記第2パッキンは、上記第2ポケット部に配置され、
上記スペーサは、上記第1パッキンおよび上記第2パッキンのいずれよりも剛性が高く、
上記第1パッキンおよび上記第2パッキンのヤング率は、いずれも0.5GPa以上0.7GPa以下であり、
上記検出ロッドは、当該検出ロッドの上記軸方向の上記一端および上記他端の間の位置に、上記軸方向と交差しかつ上記一端側を向く突き当たり面を有し、
上記突き当たり面が上記第2収容部側から上記第1収容部側に向けて上記第2パッキンに押し当てられることにより、当該第2パッキンが上記第2ポケット部と上記検出ロッドとに挟み込まれることで押し潰され、これによって上記第2パッキンが上記スペーサと上記検出ロッドとの双方に密着した状態とされるとともに、上記第1パッキンが上記第1ポケット部と上記接続部とに挟み込まれることで押し潰され、これによって上記第1パッキンが上記スペーサと上記接続部との双方に密着した状態とされている、計測器。
【0066】
[付記2]
上記第1パッキンおよび上記第2パッキンが、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂からなる、付記1に記載の計測器。
【0067】
[付記3]
上記検出ロッドを上記ホルダに固定するための固定部をさらに備え、
上記固定部は、
上記検出ロッドの上記軸方向の上記一端側に取付けられたナットと、
上記第1収容部に内挿されるとともに、上記検出ロッドの上記軸方向の上記一端側に外挿されたコイルスプリングと、
上記ナットおよび上記コイルスプリングの間に介装されたワッシャとを含み、
上記ナットを上記検出ロッドの上記軸方向の上記一端側に螺合させることで上記コイルスプリングが上記ホルダと上記ワッシャとによって挟み込まれて圧縮されることにより、上記検出ロッドが、上記コイルスプリングに生じた復元力によって上記第2収容部側から上記第1収容部側に向けて締め上げられる、付記1または2に記載の計測器。
【0068】
[付記4]
上記検出ロッドが、液位を検出するためのものである、付記1から3のいずれかに記載の計測器。
【0069】
(その他の形態等)
ここで、上述した実施の形態においては、ガイドパルス式液位計に本発明を適用する場合を例示して説明を行なったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、いわゆる静電容量式液位計等にも適用できる。
【0070】
また、液位計の他にも、たとえばタンク内に収容された粉体の量を検知するセンサ等、シール性能を求められる計測器であれば、どのようなものにも本発明の適用が可能である。
【0071】
また、上述した実施の形態においては、固定部として、ナット、コイルスプリングおよびワッシャからなりかつ第1収容部に配置された構成のものを例示して説明を行なったが、固定部は、検出ロッドを第2収容部側から上記第1収容部側に向けて押圧付勢できるものである限り特にこれが上記構成に限定されるものではなく、たとえば第2収容部に配置されたもの等に適宜変更可能である。
【0072】
さらに、上述した本発明の実施の形態において示した各部の形状や構成、大きさ、数、材質等は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々変更が可能である。
【0073】
また、上述した本発明の実施の形態において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当然に相互に組み合わせることができる。
【0074】
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0075】
1 計測器、10 ホルダ、11 第1収容部、12 第2収容部、13 接続部、13b 内周面、20 検出ロッド、20a 外周面、20a1 傾斜面、20a2 突き当たり面、30 固定部、31 ナット、32 コイルスプリング、33 ワッシャ、34 平ワッシャ、35 絶縁ワッシャ、36 カップ、36a 底蓋部、40 シール部、41 スペーサ、41a 外周面、41b 内周面、41c 第1ポケット部、41d 第2ポケット部、42 第1パッキン、43 第2パッキン。
図1
図2
図3
図4