(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162778
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】壁パネル
(51)【国際特許分類】
E06B 1/18 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
E06B1/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078666
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅徳
(57)【要約】
【課題】施工時間の短縮化を維持しつつ、建具交換のための大掛かりな改修作業を不要にして、容易に建具交換が可能な壁パネルを提供する。
【解決手段】開口部を有するパネル本体と、開口部の内側に取り付けられ、内側に建具を取り付け及び取り外し可能に構成される建具取り付け部材と、を備え、建具取り付け部材は、建具の枠体に対面する内面部を有する取り付け部材本体と、取り付け部材本体の屋外側の端部に配置され、内面部よりも内方に突出して、枠体の屋外側の端部から屋外側に突出する突き当て部が屋内側から突き当てられる被突き当て部と、取り付け部材本体の屋内側の端部に配置され、枠体の屋内側の端部から外方に突出する当接部が屋内側から当接する被当接部と、を有し、内面部は、取り付け部材本体の屋内側の端部から被突き当て部に亘って、内方に向けて突出する部位を持たない平面状に形成されている、壁パネルである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するパネル本体と、
前記開口部の内側の四周に亘って取り付けられ、内側に建具を取り付け及び取り外し可能に構成される建具取り付け部材と、を備え、
前記建具取り付け部材は、
前記建具の枠体に対面するように配置される内面部を有する取り付け部材本体と、
前記取り付け部材本体の屋外側の端部に配置され、前記内面部よりも内方に向けて突出することによって、前記枠体の屋外側の端部から屋外側に突出する突き当て部が屋内側から突き当てられる被突き当て部と、
前記取り付け部材本体の屋内側の端部に配置され、前記枠体の屋内側の端部から外方に突出する当接部が屋内側から当接する被当接部と、を四周に亘って有し、
前記内面部は、前記取り付け部材本体の屋内側の端部から前記被突き当て部に亘って、内方に向けて突出する部位を持たない平面状に形成されている、壁パネル。
【請求項2】
前記取り付け部材本体は、前記パネル本体から屋外側に向けて突出している、請求項1に記載の壁パネル。
【請求項3】
前記取り付け部材本体は、外方に向けて突出する固定片部を有し、前記固定片部を貫通する固定部材によって、前記パネル本体の屋外側面に固定される、請求項1又は2に記載の壁パネル。
【請求項4】
前記取り付け部材本体は、前記内面部を一壁面とする少なくとも一つの中空部を有する、請求項1又は2に記載の壁パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、壁パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、窓等の建具は、建築現場において、建物の躯体壁に形成した開口部の内側に枠体を取り付け、その枠体の内側に障子を納めることによって、躯体壁に取り付け施工される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物の建築工法が在来の木造軸組工法である場合、柱材及び梁材を組むことによって、建具用の開口部を躯体壁に形成し、各開口部に建具を取り付け施工している。この場合、建具の種類に対応する大きさの開口部を形成する必要があるため、施工時間が掛かる問題がある。
【0005】
そこで、従来、施工時間の短縮化のために、予め開口部を形成した壁パネルを工場で製造し、建築現場において、この壁パネルを用いて建物を組み立て施工することが行われている。壁パネルの屋外側面には、開口部に建具が取り付けられた後に、建具を取り囲むように外壁材が施工される。
【0006】
しかしながら、経年劣化等によって建具の交換が必要になった場合には、外壁材を壊さないと開口部から建具を取り外すことができない。この場合、大掛かりな改修作業が必要となるため、作業時間が掛かり、作業コストが高騰する。
【0007】
本開示は、施工時間の短縮化を維持しつつ、建具交換のための大掛かりな改修作業を不要にして、容易に建具の交換が可能な壁パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、開口部を有するパネル本体と、前記開口部の内側の四周に亘って取り付けられ、内側に建具を取り付け及び取り外し可能に構成される建具取り付け部材と、を備え、前記建具取り付け部材は、前記建具の枠体に対面するように配置される内面部を有する取り付け部材本体と、前記取り付け部材本体の屋外側の端部に配置され、前記内面部よりも内方に向けて突出することによって、前記枠体の屋外側の端部から屋外側に突出する突き当て部が屋内側から突き当てられる被突き当て部と、前記取り付け部材本体の屋内側の端部に配置され、前記枠体の屋内側の端部から外方に突出する当接部が屋内側から当接する被当接部と、を四周に亘って有し、前記内面部は、前記取り付け部材本体の屋内側の端部から前記被突き当て部に亘って、内方に向けて突出する部位を持たない平面状に形成されている、壁パネルに関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1中のA-A線に沿う壁パネルの縦断面図である。
【
図3】
図1中のB-B線に沿う壁パネルの横断面図である。
【
図5】
図4に示す壁パネルの建具取り付け部材における一つの接続部位を示す拡大図である。
【
図6】壁パネルに取り付けられる建具取り付け部材の上取り付け部材を示す縦断面図である。
【
図7】壁パネルに取り付けられる建具取り付け部材の下取り付け部材を示す縦断面図である。
【
図8】壁パネルに取り付けられる建具取り付け部材の一方の縦取り付け部材を示す横断面図である。
【
図9】壁パネルを建物の躯体壁に取り付ける様子を示す斜視図である。
【
図10】建具を納めた壁パネルを取り付けた建物の躯体壁を示す縦断面図である。
【
図11】建具を納めた壁パネルを取り付けた建物の躯体壁を示す横断面図である。
【
図12】
図10に示す建物の躯体壁における建具の上部の拡大図である。
【
図13】
図10に示す建物の躯体壁における建具の下部の拡大図である。
【
図14】
図11に示す建物の躯体壁における建具の一方の縦部の拡大図である。
【
図15】
図11に示す建物の躯体壁における建具の他方の縦部の拡大図である。
【
図16】建物の躯体壁に取り付けられた壁パネルに対して建具の枠体を取り付け及び取り外しする様子を示す縦断面図である。
【
図17】建物の躯体壁に取り付けられた壁パネルに対して建具の枠体を取り付け及び取り外しする様子を示す横断面図である。
【
図18】建具取り付け部材の上取り付け部材と建具の上枠との突き当て部位を拡大して示す縦断面図である。
【
図19】建具取り付け部材の下取り付け部材と建具の下枠との突き当て部位を拡大して示す縦断面図である。
【
図20】建具取り付け部材の一方の縦取り付け部材と建具の一方の縦枠との突き当て部位を拡大して示す横断面図である。
【
図21】建具取り付け部材の他方の縦取り付け部材と建具の他方の縦枠との突き当て部位を拡大して示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1~
図3に示すように、壁パネル100は、パネル本体1と、パネル本体1に取り付けられる建具取り付け部材2と、を有して構成される。パネル本体1は、後述の建具3を取り付けるための矩形の開口部10を有する。建具取り付け部材2は、開口部10の内側の四周に亘って取り付けられている。
【0011】
本明細書において、開口部10を境にした屋外側を「屋外側X1」とし、屋内側を「屋内側X2」とする。見込み方向とは、屋内外方向に沿う方向(
図2における左右方向、
図3における上下方向)である。見付け方向とは、見込み方向に対して直交する方向(
図2における上下方向、
図3における左右方向)である。
【0012】
パネル本体1は、パネル枠11と、パネル板12と、によって構成される。
【0013】
パネル枠11は、複数の角材を縦横に矩形に枠組みすることによって形成される。開口部10は、パネル枠11の内側空間によって画定される。開口部10は、壁パネル100に取り付けられる予定の建具の枠体の寸法に対応している。本実施形態のパネル枠11は、それぞれ平行に配置される一対ずつの上横材11a、下横材11b及び左右の縦材11cによって構成される。
【0014】
一対の上横材11a,11aの間には、一対の上横材11a,11aを繋ぐように、複数の間柱11dが左右方向に間隔をあけて設けられている。一対の下横材11b,11bの間には、一対の下横材11b,11bを繋ぐように、複数の間柱11eが左右方向に間隔をあけて設けられている。複数の間柱11dと複数の間柱11eとは、上下方向に沿って同一線上に並ぶように配置されている。さらに、一対の上横材11a,11aの間、一対の下横材11b,11bの間及び一対の縦材11c,11cの間には、それぞれグラスウール等の断熱材11fが収容されている。断熱材11fは、開口部10の外周を取り囲んでいるため、開口部10の内周側と外周側との間の熱の伝達が抑制され、壁パネル100の断熱性に優れる。
【0015】
パネル板12は、パネル枠11の一方の側面に、ねじ、釘もしくは接着剤によって貼り付けられる。パネル板12は、パネル枠11の外形形状よりも大きな矩形の合板からなり、パネル枠11の外側に張り出している。パネル板12において、パネル枠11の開口部10に対応する領域は、開口部10と同じ大きさの矩形に切り欠かれている。
【0016】
建具取り付け部材2は、パネル本体1の開口部10の開口形状に対応する矩形枠状に形成される。建具取り付け部材2は、パネル本体1に対して屋外側X1に突出するように、開口部10の内側の四周に亘って取り付けられる。
【0017】
次に、
図1~
図8を参照して、建具取り付け部材2についてさらに詳細に説明する。
【0018】
建具取り付け部材2は、上取り付け部材21、下取り付け部材22及び左右一対の縦取り付け部材23を枠組みすることによって、矩形枠状に形成される。建具取り付け部材2は、予めパネル本体1の開口部10に設けられる先付枠もしくは下地枠であり、建具3が取り付けられる前の開口部10の内側に取り付けられる。具体的には、上取り付け部材21及び下取り付け部材22は、開口部10の上部及び下部にそれぞれ配置され、開口部10の左右方向に延びている。左右一対の縦取り付け部材23は、開口部10の左右の縦部にそれぞれ配置され、開口部10の上下方向に延びている。建具取り付け部材2の見込み方向の寸法は、パネル本体1の見込み方向の寸法よりも小さく、後述する建具3の枠体30の見込み方向の寸法に略等しい。
【0019】
建具取り付け部材2の上取り付け部材21は、
図2及び
図6に示すように、見込み方向に並んで配置される屋外側部材211と屋内側部材212とを、連結部材213によって連結した上取り付け部材本体210を有する。屋外側部材211及び屋内側部材212は、アルミニウム等の金属材料を用いて長さ方向に押出し成形した押出型材からなる。連結部材213は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、屋外側部材211と屋内側部材212との間の熱の伝達を遮断する。
【0020】
連結部材213は、屋外側部材211及び屋内側部材212に対してそれぞれ係合することによって、両者を一体化している。屋外側部材211の見込み方向の寸法は、屋内側部材212の見込み方向の寸法よりも長い。そのため、連結部材213は、上取り付け部材21における見込み方向の中央部よりも屋内側X2に片寄った位置に配置されている。
【0021】
上取り付け部材21について
図6を参照してさらに説明する。屋外側部材211は、屋外側部材211の上壁を形成する上板部211aと、屋外側部材211の下壁を形成する下板部211bと、上取り付け部材21の屋外側壁を形成する屋外側板部211cと、連結部材213との連結壁を形成する連結板部211dと、によって断面矩形に形成される。これによって、屋外側部材211の内部には、中空部211eが形成される。
【0022】
屋内側部材212は、屋内側部材212の上壁を形成する上板部212aと、屋内側部材212の下壁を形成する下板部212bと、屋内側部材212の屋内側壁を形成する屋内側板部212cと、連結部材213との連結壁を形成する連結板部212dと、によって、断面矩形に形成される。これによって、屋内側部材212の内部には、屋外側部材211の中空部211eよりも小さい中空部212eが形成される。
【0023】
屋外側部材211、屋内側部材212及び連結部材213からなる上取り付け部材本体210は、見込み方向に対して見付け方向が短い扁平な中空構造体である。
【0024】
屋外側部材211における上板部211aには、上取り付け部材21の見込み方向の中央部よりも屋外側X1寄りの位置に、平板状の固定片部214が一体に設けられている。固定片部214は、上取り付け部材21をパネル本体1に固定する部位であり、屋外側X1及び屋内側X2にそれぞれ対面するように配置される。固定片部214は、上板部211aから外方(上方)に向けて突出し、上取り付け部材21の長さ方向に沿って延びている。
【0025】
上取り付け部材本体210の屋外側X1の端部には、内方(下方)に向けて突出する被突き当て部215が形成されている。被突き当て部215は、屋外側板部211cを下板部211bよりも下方に向けて延出することによって形成される。被突き当て部215は、上取り付け部材21の長さ方向に沿って延びている。
【0026】
被突き当て部215の屋内側X2の面には、被突き当て部215の長さ方向の全長に亘ってシール材216が貼り付けられている。シール材216は、ゴムもしくは樹脂等の弾性部材からなる。シール材216は、後述する建具3の上枠31と上取り付け部材21との間の気密性及び水密性を確保する。
【0027】
屋外側部材211の下板部211b及び屋内側部材212の下板部212bには、それぞれ中空部211e,212e内に向けて突出するタッピングホール217が一体に形成されている。タッピングホール217は、左右の縦取り付け部材23の上端部を上取り付け部材21の両端面に縦勝ち固定するための固定ねじ201(
図4及び
図5参照)が螺入する部位である。
【0028】
上取り付け部材本体210の屋外側部材211の上板部211a及び屋内側部材212の上板部212aは、上取り付け部材21における建具取り付け部材2の外面部21aを形成する。外面部21aは、開口部10の平坦面からなる上部の内周面10aに対面する部位である。連結部材213は、外面部21aよりも内方(下方)に窪んだ位置に配置され、外面部21aよりも外方(上方)には突出していない。すなわち、外面部21aは、固定片部214以外に外方に突出する部位を持たない。外面部21aは、固定片部214を除いて、見込み方向に面一状となる平面状に形成されている。
【0029】
上取り付け部材本体210の屋外側部材211の下板部211b及び屋内側部材212の下板部212bは、上取り付け部材21における建具取り付け部材2の内面部21bを形成する。内面部21bは、後述する建具3の枠体30における上枠31に対面する部位である。連結部材213は、内面部21bと面一状に配置され、内面部21bよりも内方(下方)には突出していない。すなわち、内面部21bは、被突き当て部215以外に内方(下方)に突出する部位を持たない。内面部21bは、屋内側X2の端部から被突き当て部215に亘る見込み方向に面一状となる平面状に形成されている。外面部21aと内面部21bとは、互いに平行に配置されている。
【0030】
建具取り付け部材2の下取り付け部材22は、
図2及び
図7に示すように、見込み方向に並んで配置される屋外側部材221と屋内側部材222とを、連結部材223によって連結した下取り付け部材本体220を有する。屋外側部材221及び屋内側部材222は、アルミニウム等の金属材料を用いて長さ方向に押出し成形した押出型材からなる。連結部材223は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、屋外側部材221と屋内側部材222との間の熱の伝達を遮断する。
【0031】
連結部材223は、屋外側部材221及び屋内側部材222に対してそれぞれ係合することによって、両者を一体化している。屋外側部材221の見込み方向の寸法は、屋内側部材212の見込み方向の寸法よりも長い。そのため、連結部材223は、下取り付け部材22における見込み方向の中央部よりも屋内側X2に片寄った位置に配置されている。矩形枠状の建具取り付け部材2において、上取り付け部材21及び下取り付け部材22の連結部材213,223の見込み方向の位置は、一致している。
【0032】
下取り付け部材22について
図7を参照してさらに説明する。屋外側部材221は、屋外側部材221の上壁を形成する上板部221aと、屋外側部材221の下壁を形成する下板部221bと、屋外側部材221の屋外側壁を形成する屋外側板部221cと、連結部材223との連結壁を形成する連結板部221dと、によって断面矩形に形成される。これによって、屋外側部材221の内部には、中空部221eが形成される。
【0033】
屋内側部材222は、屋内側部材222の上壁を形成する上板部222aと、屋内側部材222の下壁を形成する下板部222bと、屋内側部材222の屋内側壁を形成する屋内側板部222cと、連結部材223との連結壁を形成する連結板部222dと、によって、断面矩形に形成される。これによって、屋内側部材222の内部には、屋外側部材221の中空部221eよりも小さい中空部222eが形成される。
【0034】
屋外側部材221、屋内側部材222及び連結部材223からなる下取り付け部材本体220は、見込み方向に対して見付け方向が短い扁平な中空構造体である。
【0035】
屋外側部材221の下板部221bには、下取り付け部材22の見込み方向の中央部よりも屋外側X1寄りの位置に、平板状の固定片部224が一体に設けられている。固定片部224は、下取り付け部材22をパネル本体1に固定する部位であり、屋外側X1及び屋内側X2にそれぞれ対面するように配置される。固定片部224は、下板部221bから外方(下方)に向けて突出し、下取り付け部材22の長さ方向に沿って延びている。
【0036】
下取り付け部材22における屋外側部材221の見込み方向の寸法は、上取り付け部材21における屋外側部材211の見込み方向の寸法よりもやや短い。屋外側部材221における下板部221bは、屋外側板部221cよりも屋外側X1に延出した延出部221fを有する。延出部221fの先端には被突き当て部225が形成されている。被突き当て部225は、屋外側板部221cと平行に配置され、内外方向(上下方向)に延びている。被突き当て部225は、上板部221aよりも内方(上方)に突出している。
【0037】
被突き当て部225の屋内側X2の面には、被突き当て部225の長さ方向の全長に亘って、シール材226が貼り付けられている。シール材226は、ゴムもしくは樹脂等の弾性部材からなる。シール材226は、後述する建具3の下枠32と下取り付け部材22との間の気密性及び水密性を確保する。
【0038】
延出部221f及び被突き当て部225は、屋外側部材221の長さ方向に沿って延びている。これによって、屋外側板部221cと被突き当て部225との間には、延出部221fの延出長さを溝幅とする溝部227が形成される。シール材226は、被突き当て部225の内方端(上端)から溝部227内に亘って貼り付けられている。
【0039】
屋外側部材221の上板部221a及び屋内側部材222の上板部222aには、それぞれ中空部221e,222e内に向けて突出する突部であるタッピングホール228が一体に形成されている。これらのタッピングホール228は、左右の縦取り付け部材23の下端部を下取り付け部材22の両端面に縦勝ちで固定するための固定ねじ201(
図4及び
図5参照)が螺入する部位である。
【0040】
取り付け部材本体220の屋外側部材221の下板部221b及び屋内側部材222の下板部222bは、下取り付け部材22における建具取り付け部材2の外面部22aを形成する。外面部22aは、開口部10の下部の内周面10aに対面する部位である。連結部材223は、外面部22aよりも内方(上方)に窪むように配置され、外面部22aよりも外方(下方)には突出していない。すなわち、外面部22aは、固定片部224以外に外方(下方)に突出する部位を持たない。外面部22aは、固定片部224を除いて、見込み方向に面一状となる平面状に形成されている。
【0041】
下取り付け部材本体220の屋外側部材221の上板部221a及び屋内側部材222の上板部222aは、下取り付け部材22における建具取り付け部材2の内面部22bを形成する。内面部22bは、建具3の枠体30における下枠32に対面する部位である。連結部材223は、内面部22bと面一状に配置され、内面部22bよりも内方(上方)には突出していない。すなわち、内面部22bは、被突き当て部225以外に内方(上方)に突出する部位を持たない。内面部22bは、屋内側X2の端部から被突き当て部225に亘る見込み方向に面一状となる平面状に形成されている。外面部22aと内面部22bとは、互いに平行に配置されている。
【0042】
建具取り付け部材2の縦取り付け部材23は、
図3及び
図8に示すように、アルミニウム等の金属材を長さ方向に押出し成形した押出型材からなる。
図8は、壁パネル100を屋内側X2から見て左側に配置される縦取り付け部材23を示している。一対の縦取り付け部材23は、左右対称である以外は同一構造であるため、壁パネル100を屋内側X2から見て右側に配置される縦取り付け部材23の図示は省略する。
【0043】
縦取り付け部材23について
図8を参照してさらに説明する。縦取り付け部材23は、中空構造からなる縦取り付け部材本体230を有する。縦取り付け部材本体230は、外壁を形成する外板部231aと、内壁を形成する内板部231bと、屋外側壁を形成する屋外側板部231cと、屋内側壁を形成する屋内側板部231dと、によって断面矩形に形成される。これによって、縦取り付け部材本体230の内部には、見込み方向の全長に亘る中空部231eが形成される。なお、縦取り付け部材23は、上取り付け部材21または下取り付け部材22と同様の二部材をブリッジで接続する構造であってもよい。その際、見込み方向に並んで配置される金属製の二部材を、断熱性を有する連結部材で連結することで断熱性能を確保できる。
【0044】
縦取り付け部材本体230は、見込み方向に対して見付け方向が短い扁平な中空構造体である。
【0045】
外板部231aには、見込み方向の中央部よりも屋外側X1寄りの位置に、平板状の固定片部232が一体に設けられている。固定片部232は、縦取り付け部材23をパネル本体1に固定する部位であり、屋外側X1及び屋内側X2にそれぞれ対面するように配置される。固定片部232は、外板部231aから外方に向けて突出し、縦取り付け部材23の長さ方向に沿って延びている。
【0046】
縦取り付け部材本体230の屋外側X1の端部には、内方に向けて突出する被突き当て部233が形成されている。被突き当て部233は、屋外側板部231cを内板部231bよりも内方に向けて延出するとともに、その突出端を屋内側X2に向けて略直角に屈曲することによってL字状に形成されている。被突き当て部233は、縦取り付け部材23の長さ方向に沿って延びている。
【0047】
被突き当て部233の屋内側X2の面には、被突き当て部233の長さ方向の全長に亘って、シール材234が貼り付けられている。シール材234は、ゴムもしくは樹脂等の弾性部材からなる。シール材234は、後述する建具3の縦枠33と縦取り付け部材23との間の気密性及び水密性を確保する。
【0048】
縦取り付け部材本体230の屋外側X1の端部には、被突き当て部233の突出方向と反対の外方に向けて突出する外方突出部237が形成されている。外方突出部237は、外板部231aよりも外方に向けて突出するとともに、その突出端を屋内側X2に向けて略直角に屈曲することによってL字状に形成されている。外方突出部237の外方への突出量は、被突き当て部233の内方への突出量よりも大きい。外方突出部237は、縦取り付け部材23の長さ方向の全長に亘って延びている。
【0049】
縦取り付け部材本体230の外板部231aは、縦取り付け部材23における建具取り付け部材2の外面部23aを形成する。外面部23aは、開口部10の縦部の内周面10aに対面する部位である。外面部23aは、固定片部232及び外方突出部237以外に外方に突出する部位を持たない。外面部23aは、固定片部232及び外方突出部237を除いて、見込み方向に沿って平面状に形成されている。
【0050】
縦取り付け部材本体230の内板部231bは、建具3の枠体30における縦枠33と当接する部位である。内板部231bの室内側X2の所定範囲(
図5、
図9における内板部231bの右下の所定範囲)は、建具3を締結または固定するために内側の中空部231eに向けて隆起した肉厚部231fを有している。
【0051】
さらに、内板部231bは、縦取り付け部材23における建具取り付け部材2の内面部23bを形成する。内面部23bは、被突き当て部233以外に内方に突出する部位を持たない。内面部23bは、屋内側X2の端部から被突き当て部233に亘る見込み方向に沿って平面状に形成されている。外面部23aと内面部23bとは、互いに平行に配置されている。
【0052】
建具取り付け部材2は、
図4に示すように、一対の縦取り付け部材23の両端部を上取り付け部材21及び下取り付け部材22の両端面に、固定ねじ201によって固定することによって、矩形枠状に形成される。詳しくは、縦取り付け部材23の上下両端部は、
図5に示すように、外板部231aを、内板部231b、屋外側板部231c及び屋内側板部231dよりも上下に延出させることによって形成される固定板部231gを有する。固定板部231gは、ゴムもしくは樹脂からなる断熱性を有する止水材24を介して、上取り付け部材21及び下取り付け部材22の両端面に当接する。固定ねじ201は、固定板部231gを貫通して上取り付け部材21及び下取り付け部材22のタッピングホール217,228に螺入し、上取り付け部材21、下取り付け部材22及び一対の縦取り付け部材23を矩形枠状に一体化する。
【0053】
これによって、上取り付け部材21、下取り付け部材22及び縦取り付け部材23の各固定片部214,224,232は、建具取り付け部材2の外周に沿って連続して配置される。上取り付け部材21、下取り付け部材22及び縦取り付け部材23の各外面部21a,22a,23a及び各内面部21b,22b,23bは、建具取り付け部材2の外周及び内周に沿ってそれぞれ連続して配置される。そのため、建具取り付け部材2は、四周に亘る平面状の外周面及び内周面を有する。なお、図示しないが、上取り付け部材21は、一対の縦取り付け部材23の上端面に対して、横勝ちで固定されてもよい。
【0054】
矩形枠状に形成された建具取り付け部材2は、パネル本体1の開口部10に対して、屋外側X1から嵌め込まれる。各固定片部214,224,232は、パネル板12に当接して位置決めされる。開口部10に嵌め込まれた建具取り付け部材2は、各固定片部214,224,232を貫通する固定ねじ202によって、パネル本体1に固定される。
図2及び
図3に示すように、建具取り付け部材2がパネル本体1に取り付けられた状態において、固定片部214,224,232よりも屋内側X2の外周面は、開口部10の内周面10aの見込み方向における屋外側X1の略半分の領域に密接するように配置される。固定片部214,224,232よりも屋外側X1の端部は、パネル本体1から屋外側X1に突出する。
【0055】
図2及び
図3に示すように、パネル本体1の屋外側面1aには、開口部10を除く全面に止水シート13が貼着されている。詳細には
図12~
図15に示すように、建具取り付け部材2の固定ねじ202及び固定片部214,224,232には、固定ねじ202及び固定片部214,224,232を覆うように防水テープ14が貼着されている。止水シート13は、防水テープ14を覆い隠すようにパネル本体1の屋外側面1aに貼着されている。したがって、壁パネル100は止水性能に優れる。
【0056】
壁パネル100は、
図9に示すように、建物の躯体壁Wに形成される矩形のパネル用開口部W10に取り付けられる。躯体壁Wは、木造軸組工法によって構築されている。パネル用開口部W10は、上下の桁材W11,W12と、左右一対の間柱W13と、の間に形成されている。パネル用開口部W10は、上下の桁材W11,W12に亘る躯体壁Wの高さ方向の全体に亘る高さを有する。壁パネル100は、パネル枠11をパネル用開口部W10内に嵌合させて、屋外側X1から取り付けられる。これによって、壁パネル100は、躯体壁Wの高さ方向に亘る一壁面を構成する。
【0057】
壁パネル100の周囲の躯体壁Wにも、パネル板12と同様の図示しないパネル板が施工される。
【0058】
壁パネル100が取り付けられた躯体壁Wの屋外側X1には、
図10及び
図11に示すように、スペーサ部材43(例えば胴縁)を介して外壁材4が施工される。外壁材4は、壁パネル100から突出する建具取り付け部材2を取り囲むように配置される。建具取り付け部材2と外壁材4との隙間は、シーリング材41によってシール処理される。シーリング材41の屋内側X2には、バックアップ材42が配置されている。シール処理は、壁パネル100から突出する建具取り付け部材2の屋外側X1の端部に対して行われるため、壁パネル100に後述する建具3が取り付けられていない状態でも容易に行うことができる。
【0059】
さらに、壁パネル100が取り付けられた躯体壁Wの屋内側X2には、
図10及び
図11に示すように、スペーサ部材51を介して内壁材5が施工される。内壁材5は、壁パネル100の開口部10を取り囲むように配置される。内壁材5は、開口部10の屋内側X2を遮蔽していない。具体的には、開口部10の周囲の内壁材5の四周に亘る開口端面5aは、開口部10の内周面10aに対して見込み方向に面一状に配置されている。内壁材5を施工した後でも、
図16及び
図17に示すように、建具取り付け部材2の屋内側X2は、四周に亘って平面状に開口するため、建具取り付け部材2の内側に対して、後述する建具3の枠体30の取り付け作業及び取り外し作業を屋内側X2から容易に行うことができる。
【0060】
外壁材4及び内壁材5が施工された後の躯体壁Wには、壁パネル100に形成される開口部10の内側に、矩形枠状の建具取り付け部材2が配置されている。建具取り付け部材2の内側には、屋内側X2から建具3が納められる。
【0061】
図10及び
図11は、建具取り付け部材2の内側に建具3が納められて躯体壁Wの施工が完了した状態を示している。建具取り付け部材2の内側に建具3が納められた後、建具3の屋内側X2の開口部10の内側には、四周に亘って、スペーサ部材64を介して室内枠6が取り付けられる。
【0062】
室内枠6は、室内枠本体61と、フランジ部62と、を有する断面L字状に形成されている。室内枠本体61は、建具3における枠体30の屋内側X2の端部から屋内側X2に向けて平板状に延びている。室内枠本体61は、内壁材5よりも屋内側X2に延びている。フランジ部62は、室内枠本体61の屋内側X2の端部から外方に向けて張り出すように延びている。フランジ部62は、内壁材5の開口端面5aよりもさらに外方に延び、開口端面5aを屋内側X2から覆い隠している。
【0063】
フランジ部62と内壁材5の屋内側面5bとの間は、フランジ部62の屋外側X1の側面62aに取り付けられた封止部材63によって、四周に亘って気密状及び水密状に封止される。封止部材63は、ゴムもしくは樹脂等の弾性部材からなる。
【0064】
次に、
図10~
図15を参照して、建具取り付け部材2の内側に納められる建具3について説明する。
【0065】
本実施形態の建具3は、矩形の枠体30の内側に、左右方向にスライド移動可能な外障子34及び内障子35と1枚の網戸36とを納めた引き違い窓である。建具3の枠体30は、建具取り付け部材2の内側に、屋内側X2から挿入されて嵌め込まれている。枠体30は、上枠31、下枠32及び左右一対の縦枠33を矩形に枠組みすることによって形成される。
【0066】
外障子34及び内障子35は、それぞれ矩形に框組みした上框341,351、下框342,352、戸先框343,353及び戸尻框344,354の内側に、スペーサSを挟んで2枚のガラス板Gを納めることによって構成される。網戸36は、矩形に框組みした上框361、下框362及び左右一対の縦框363の内側に、網体364を張設することによって構成される。
【0067】
枠体30における上枠31は、
図12に示すように、見込み方向に並んで配置される屋外側上枠部311と屋内側上枠部312とを、連結部材313によって連結した構造を有する。屋外側上枠部311及び屋内側上枠部312は、アルミニウム等の金属材料を用いて長さ方向に押出し成形した押出型材からなる。連結部材313は、屋外側上枠部311及び屋内側上枠部312に対してそれぞれ係合一体化している。連結部材313は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、屋外側上枠部311と屋内側上枠部312との間の熱の伝達を遮断する。
【0068】
屋外側上枠部311は、見込み方向に延びる平板状の本体部311aの屋内側X2の端部に、外方(上方)に向けて突出する連結板部311bを一体に有する。連結部材313は、連結板部311bに対して係合することによって、屋外側上枠部311と一体化している。
【0069】
屋内側上枠部312は、見込み方向に平板状に延びる本体部312aの屋外側X1の端部に、外方(上方)に向けて突出する連結板部312bを一体に有する。連結部材313は、連結板部312bに対して係合することによって、屋内側上枠部312と一体化している。
【0070】
本体部312aの屋内側X2の端部には、突出脚部312cが一体に設けられている。突出脚部312cは、連結板部312bと同じ突出高さで本体部312aから外方(上方)に向けて突出している。
【0071】
上枠31の屋外側X1の端部には、外方(上方)に向けて突出する突き当て部314が一体に設けられている。突き当て部314は、本体部311aの屋外側X1の端部を外方(右方)に向けて直角に屈曲するように形成されている。突き当て部314の外方(上方)への突出高さは、本体部311aからの連結板部311bの外方(上方)への突出高さよりも低い。突き当て部314は、建具取り付け部材2における上取り付け部材21の被突き当て部215に対して、屋内側X2から当接する。
【0072】
上枠31の屋内側X2の端部には、当接部315が一体に設けられている。当接部315は、突出脚部312cに対して屋内側X2に離間した位置に配置される。当接部315は、突出脚部312cの内方端(下端)から屋内側X2に向けて下り傾斜するように延びる接続部312dの屋内側X2の端部に一体に設けられている。当接部315は、連結板部312b及び突出脚部312cよりも外方(上方)に向けて突出している。
【0073】
上枠31には、外障子34の上框341が係合するガイドレール316aと、内障子35の上框351が係合するガイドレール316bと、網戸36の上框361が係合するガイドレール316cと、が一体に突設されている。ガイドレール316a,316cは、屋外側上枠部311に設けられる。ガイドレール316bは、屋内側上枠部312に設けられる。
【0074】
当接部315は、建具取り付け部材2の上取り付け部材21の屋内側板部212cに当接し、固定部材である固定ねじ301によって屋内側X2から固定される。これによって、枠体30の上枠31は、建具取り付け部材2の上取り付け部材21に取り付けられる。上枠31は、連結板部311b,312b及び突出脚部312cが上取り付け部材21の内面部21bに当接して支持される。
【0075】
上枠31が上取り付け部材21に取り付けられた状態において、上枠31の屋外側X1の端部に配置される突き当て部314は、建具取り付け部材2における上取り付け部材21の被突き当て部215に当接するように配置される。詳しくは、上枠31における突き当て部314の屋外側X1の側面から当接部315の屋外側X1の側面までの見込み方向の寸法は、上取り付け部材21における被突き当て部215の屋内側X2の側面から屋内側板部212cまでの見込み方向の寸法に略一致している。
【0076】
上枠31におけるガイドレール316a,316bの間には、樹脂製のカバー材317が設けられる。これによって、上枠31の屋外側上枠部311から屋内側X2への熱の伝達が抑制される。
【0077】
上枠31における最も屋内側X2のガイドレール316bから屋内側X2にかけて、樹脂製のアングル部材318が設けられる。アングル部材318は、ガイドレール316bの屋内側X2の側面から屋内側上枠部312に沿って屋内側X2に向けて延びるとともに、当接部315の内方端(下端)からさらに内方(下方)に向けて延びている。アングル部材318の屋内側X2の端部は、屋内側X2に向けて直角に屈曲し、当接部315よりも屋内側X2に突出している。アングル部材318の屋内側X2の端部は、室内枠6の内周面6aに配置され、ねじ318aによって室内枠6に取り付けられている。
【0078】
枠体30における下枠32は、
図13に示すように、見込み方向に並んで配置される屋外側下枠部321と屋内側下枠部322とを、連結部材323によって連結した構造を有する。屋外側下枠部321及び屋内側下枠部322は、アルミニウム等の金属材料を用いて長さ方向に押出し成形した押出型材からなる。連結部材323は、屋外側下枠部321及び屋内側下枠部322に対してそれぞれ係合一体化している。連結部材323は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、屋外側下枠部321と屋内側下枠部322との間の熱の伝達を遮断する。
【0079】
屋外側下枠部321は、上板部321aと、下板部321bと、屋外側板部321cと、連結板部321dと、によって形成され、内部に中空部321eを有する。連結部材323は、連結板部321dに対して係合することによって、屋外側下枠部321と一体化している。連結板部321dの見付け方向の寸法は、屋外側板部321cの見付け方向の寸法よりも小さい。
【0080】
下板部321bは、屋外側板部321cとの接続部位から屋内側X2に向けて略水平に延びている。下板部321bの屋内側X2の端部は、上板部321aに向けて段状に屈曲し、連結板部321dの外方端(下端)に接続されている。
【0081】
屋内側下枠部322は、上板部322aと、下板部322bと、屋内側板部322cと、連結板部322dと、によって形成され、内部に屋外側下枠部321の中空部321eよりも小さい中空部322eを有する。連結部材323は、連結板部322dに対して係合することによって、屋内側下枠部322と一体化している。屋内側板部322cは、上板部322aよりも内方(上方)に向けて突出している。
【0082】
下枠32の屋外側X1の端部には、屋外側X1に向けて突出する突き当て部324が一体に設けられている。突き当て部324は、下板部321bと屋外側板部321cとの接続部位から屋外側X1及び外方(下方)に突出するように設けられている。詳しくは、突き当て部324は、屋外側板部321cを外方(下方)に向けて延出させるとともに、その延出端(下端)を屋外側X1に向けて突出させた形状を有する。突き当て部324の屋外側X1の端部は、建具取り付け部材2における下取り付け部材22の被突き当て部225に対して、屋内側X2から当接する。
【0083】
下枠32の最も屋内側X2には、内方(下方)に向けて突出する当接部325が一体に設けられている。当接部325は、屋内側下枠部322の屋内側板部322cを外方(下方)に向けて延出することによって形成される。当接部325は、突き当て部324よりもさらに外方(下方)に向けて突出している。
【0084】
下枠32には、外障子34の下框342に設けられる戸車342aが転動可能に係合するガイドレール326aと、内障子35の下框352に設けられる戸車352aが転動可能に係合するガイドレール326bと、網戸36の下框362に設けられる戸車362aが転動可能に係合するガイドレール326cと、が一体に突設されている。ガイドレール326a,326cは、屋外側下枠部321に設けられる。ガイドレール326bは、屋内側下枠部322に設けられる。
【0085】
下枠32の外面(下面)には、それぞれ下枠32の長さ方向に沿って延びる複数の突出脚部327a,327bが外方(下方)に向けて突出している。突出脚部327aは、屋外側下枠部321における下板部321bの略水平部位に、見込み方向に間隔をあけて複数配置される。突出脚部327bは、連結板部321d,322dがそれぞれ内方(下方)に向けて延出することによって形成される。突出脚部327a,327bの突出端(下端)の位置は同一であり、突き当て部324の外方端(下端)の位置よりも内方(上方)に配置されている。突出脚部327a,327bは、建具取り付け部材2における下取り付け部材22の内面部22b上に載置されている。突き当て部324の外方端(下端)の位置は、突出脚部327a,327bの突出端(下端)の位置と同一である。
【0086】
当接部325は、建具取り付け部材2における下取り付け部材22の屋内側板部222cに当接し、固定部材である固定ねじ302によって屋内側X2から固定される。これによって、枠体30の下枠32は、建具取り付け部材2の下取り付け部材22に取り付けられる。下枠32は、複数の突出脚部327a,327bが下取り付け部材22の内面部22b上に載置されることによって、下取り付け部材22に支持される。突き当て部327の外方端(下端)も、下取り付け部材22の内面部22a上に載置される。
【0087】
下枠32が下取り付け部材22に取り付けられた状態において、下枠32の屋外側X1の端部に配置される突き当て部324は、建具取り付け部材2における下取り付け部材22の被突き当て部225に当接するように配置される。詳しくは、下枠32における突き当て部324の屋外側X1の側面から当接部325の屋外側X1の側面までの見込み方向の寸法は、下取り付け部材22における被突き当て部225の屋内側X2の側面から屋内側板部222cまでの見込み方向の寸法に略一致している。
【0088】
下枠32におけるガイドレール326a,326bの間には、樹脂製のカバー材328が設けられる。これによって、下枠32の屋外側下枠部321から屋内側X2への熱の伝達が抑制される。
【0089】
下枠32における最も屋内側X2のガイドレール326bよりも屋内側X2には、樹脂製のアングル部材329が設けられる。アングル部材329は、屋内側下枠部322に沿って屋内側X2に向けて延びるとともに、内方(上方)に突出する屋内側板部322cに沿って内方(上方)に向けて延びている。アングル部材329の屋内側X2の端部は、屋内側板部322cの内方端(上端)から屋内側X2に向けて直角に屈曲し、屋内側板部322cよりも屋内側X2に突出している。アングル部材329の屋内側X2の端部は、室内枠6の内周面6aに配置され、ねじ329aによって室内枠6に取り付けられている。
【0090】
枠体30における縦枠33は、アルミニウム等の金属材を長さ方向に押出し成形した押出型材からなる。縦枠33は、
図14及び
図15に示すように、見込み方向に延びる平板状の本体部330の内面に、外障子34の戸先框343と係合する突出片331aもしくは内障子35の戸先框353と係合する突出片331bと、網戸36の縦框363と係合する突出片332と、を一体に有する。
【0091】
本体部330の屋外側X1の端部には、屋外側X1に向けて突出する突片からなる突き当て部333が一体に設けられる。突き当て部333は、本体部330を、突出片332よりも屋外側X1に向けて延出することによって形成される。突き当て部333は、縦枠33の長さ方向に沿って延びている。
【0092】
本体部330の屋内側X2の端部には、外方に向けて突出する当接部334が一体に設けられる。当接部334は、建具取り付け部材2における縦取り付け部材23の屋内側板部231dに屋内側X2から当接する。
【0093】
縦枠33は、当接部334が縦取り付け部材23の屋内側板部231dに当接した状態で、本体部330を貫通する固定部材である固定ねじ303によって、縦取り付け部材23の内面部23bに固定される。縦枠33の平坦な外面33aは、縦取り付け部材23の平坦な内面部23bに当接する。これによって、縦枠33は、左右の縦取り付け部材23の間に安定して支持される。
【0094】
縦枠33が縦取り付け部材23に取り付けられた状態において、縦枠33の屋外側X1の端部に配置される突き当て部333は、縦取り付け部材23の被突き当て部233に当接及び係合するように配置される。詳しくは、縦枠33における突き当て部333の屋外側X1の端面から当接部334の屋外側X1の側面までの見込み方向の寸法は、縦取り付け部材23における被突き当て部233の屋内側X2の側面から屋内側板部231dまでの見込み方向の寸法に略一致している。
【0095】
図14に示すように、建具3を屋内側X2から見て左側の縦枠33には、外障子34よりも屋内側X2の部位に、樹脂製のアングル部材335が設けられる。アングル部材335の屋外側X1の端部は、本体部330から内方に向けて突出する係合突部336に係合している。アングル部材335は、係合突部336との係合部位から屋内側X2に延びている。本体部330の屋内側X2の端部には、内方に向けて突出する屋内側突部337が一体に設けられている。屋内側突部337は、当接部334を内方に向けて延出することによって形成される。アングル部材335の屋内側X2の端部は、屋内側突部337に沿って内方に延びるとともに、屋内側X2に向けて直角に屈曲し、屋内側突部337よりも屋内側X2に突出している。アングル部材335の屋内側X2の端部は、室内枠6の内周面6aに配置され、ねじ335aによって室内枠6に取り付けられている。
【0096】
図15に示すように、建具3を屋内側X2から見て右側の縦枠33には、突出片331bよりも屋内側X2に、樹脂製のアングル部材338が設けられている。アングル部材338は、本体部330における突出片331bよりも屋内側X2の部位から屋内側X2に向けて延び、屋内側突部337に沿って内方に延びるとともに、屋内側X2に向けて直角に屈曲し、屋内側突部337よりも屋内側X2に突出している。アングル部材338の屋内側X2の端部は、室内枠6の内周面6aに配置され、ねじ338aによって室内枠6に取り付けられている。アングル部材338の屋外側X1の端部は、ねじ338bによって、本体部330を介して、建具取り付け部材2の縦取り付け部材23に固定される。
【0097】
次に、
図16~
図21を参照して、建具3を建具取り付け部材2の内側に取り付ける方法について説明する。
【0098】
躯体壁Wの開口部10には、壁パネル100に取り付けられた矩形枠状の建具取り付け部材2が配置されている。躯体壁Wの屋外側X1には外壁材4が設けられ、屋内側X2には内壁材5が設けられている。建具3の枠体30を、
図16に示すように、略垂直姿勢の状態で、屋内側X2から屋外側X1に向けて移動させ、建具取り付け部材2の内側に挿入する。
【0099】
次に、建具取り付け部材2の内側に挿入された枠体30の上枠31の突き当て部314を、建具取り付け部材2における上取り付け部材21の被突き当て部215に屋内側X2から突き当てるとともに、下枠32の突き当て部324を、下取り付け部材22の被突き当て部225に屋内側X2から突き当てる。さらに、縦枠33の突き当て部333を、建具取り付け部材2における縦取り付け部材23の被突き当て部333に屋内側X2から挿入することによって突き当てる。
【0100】
これと同時に、上枠31及び下枠32の当接部315,325を、建具取り付け部材2における上取り付け部材21及び下取り付け部材22の屋内側板部212c,222cに屋内側X2から当接させる。さらに、縦枠33の当接部334を、建具取り付け部材2における縦取り付け部材23の屋内側板部231dに屋内側X2から当接させる。したがって、屋内側板部212c,222c,231dは、枠体30の当接部315,325,334が屋内側X2から当接する被当接部を構成する。これによって、枠体30は、建具取り付け部材2の内側に位置決めされる。建具取り付け部材2の内面部21b,22b,23bは、屋内側X2から被突き当て部215,225,233にかけて、干渉する部位を持たない平面状に形成されているため、枠体30を建具取り付け部材2の内側に容易に挿入及び位置決め可能である。
【0101】
図16及び
図17に示すように、縦枠33の本体部330における屋外側X1の端部の外面33aには、屋外側X1に向けて先細状となるテーパー面33bが形成されている。そのため、枠体30を建具取り付け部材2の内側に挿入する際、左右の縦枠33を左右の縦取り付け部材23の間に円滑に案内することができる。
【0102】
枠体30を建具取り付け部材2の内側に位置決めした後、上枠31及び下枠32の当接部315,325を、それぞれ固定ねじ301,302によって、建具取り付け部材2の上取り付け部材21及び下取り付け部材22の屋内側板部212c,222cに固定する。
【0103】
上枠31及び下枠32の当接部315,325が上取り付け部材21及び下取り付け部材22の屋内側板部212c,222cに密接して固定されると、
図18及び
図19に示すように、上枠31及び下枠32の突き当て部314,324は、上取り付け部材21及び下取り付け部材22の被突き当て部215,225に対して最も押し付けられる。その結果、被突き当て部215,225に貼り付けられているシール材216,226が、突き当て部314,324によって押し潰される。そのため、上枠31及び下枠32の屋外側X1の端部が確実にシールされ、建具取り付け部材2と上枠31及び下枠32との間の気密性能及び水密性能が向上する。
【0104】
さらに、縦枠33の当接部334が縦取り付け部材23の屋内側板部231dに密接すると、
図20及び
図21に示すように、縦枠33の突き当て部333は、縦取り付け部材23の被突き当て部233に対して最も押し付けられる。その結果、被突き当て部233に貼り付けられているシール材234が、突き当て部333によって押し潰される。そのため、縦枠33の屋外側X1の端部がシールされ、建具取り付け部材2と縦枠33との間の気密性能及び水密性能が向上する。
【0105】
これによって、枠体30の屋外側X1の端部と建具取り付け部材2との間の気密性及び水密性は、四周に亘って高度に確保される。建具取り付け部材2の被突き当て部215,225,233にシール材216,226,234を貼り付けるだけで足りるため、性能のばらつきが少なく、気密性能及び水密性能を確実に向上させることができる。シール材216,226,234は、被突き当て部215,225,233の屋内側X2の側面に貼り付けられるため、直射日光に晒されることがなく、長期に亘ってシール材216,226,234の劣化は抑制される。
【0106】
枠体30が建具取り付け部材2の内側に取り付けられた後、枠体30に外障子34、内障子35及び網戸36を納める。さらに、枠体30の屋内側X2に、スペーサ部材64及び室内枠6を取り付ける。
【0107】
建具3の不具合の発生、建具3の経年劣化等によって建具3を取り外す場合は、室内枠6及びスペーサ部材64を取り外した後、上記と逆の工程によって、建具取り付け部材2の内側から建具3を屋内側X2に向けて取り外す。建具3を取り外す際に外壁材4及び内壁材5を壊す必要がないため、大掛かりな改修作業は不要である。
【0108】
建具3を取り外した後は、被突き当て部215,225,233からシール材216,226,234を剥離し、新たなシール材216,226,234に交換してもよい。建具3の交換と同時にシール材216,226,234が交換されるため、気密性能及び水密性能を長期に亘って維持することができる。
【0109】
以上説明した建具3は、躯体壁Wに取り付けられた後の壁パネル100に取り付けられるが、建具3は、躯体壁Wに取り付ける前の壁パネル100に取り付けてもよい。
【0110】
以上説明した建具3は、引き違い窓を例示したが、壁パネル100に建具取り付け部材2を介して取り付けられる建具の種類は引き違い窓に限定されない。建具は、例えば、辷り出し窓、FIX窓、上げ下げ窓、外倒し窓、内倒し窓、あるいは開き窓であってもよい。建具は、玄関ドア、玄関引き戸であってもよい。また実施例においてはアルミと樹脂の複合サッシを例にあげて本開示を説明したが、これに限定されず、オール樹脂サッシ、オールアルミサッシ、他の金属サッシ、他の金属と樹脂の複合サッシでもよい。
【0111】
本実施形態の壁パネル100によれば、以下の効果を奏する。
【0112】
(1) 開口部10を有するパネル本体1と、開口部10の内側の四周に亘って取り付けられ、内側に建具3を取り付け及び取り外し可能に構成される建具取り付け部材2と、を備え、建具取り付け部材2は、建具3の枠体30に対面するように配置される内面部21b,22b,23bを有する取り付け部材本体210,220,230と、取り付け部材本体210,220,230の屋外側X1の端部に配置され、内面部21b,22b,23bよりも内方に向けて突出することによって、枠体30の屋外側X1の端部から屋外側X1に突出する突き当て部314,324,333が屋内側X2から突き当てられる被突き当て部215,225,233と、取り付け部材本体210,220,230の屋内側X2の端部に配置され、枠体30の屋内側X2の端部から外方に突出する当接部315,325,334が屋内側X2から当接する被当接部である屋内側板部212c,222c,231dと、を四周に亘って有し、内面部21b,22b,23bは、取り付け部材本体210,220,230の屋内側X2の端部から被突き当て部215,225,233に亘って、内方に向けて突出する部位を持たない平面状に形成されている、壁パネル100である。
【0113】
これによれば、壁パネル100に、予め建具3に対応する開口部10を形成することができるため、建築現場における施工時間の短縮化を維持できる。さらに、建具3の枠体30に、突き当て部314,324,333と、当接部315,325,334と、を形成するだけで、大掛かりな改修作業の必要はなく、建具取り付け部材2に対して屋内側X2から簡単に建具3の取り付け及び取り外しが可能である。建具3の交換時、建具3は建具取り付け部材2の内側から完全に取り外されるため、既設枠の内側に新設枠を施工するカバー工法のように開口部10が狭くなる不具合は生じない。建物の解体時には、建具取り付け部材2をパネル本体1から分解することによって、建具取り付け部材2ごと建具3を取り外すことによって、建具取り付け部材2及び建具3を再利用に供することも可能である。
【0114】
(2) 上記(1)に記載の壁パネル100において、取り付け部材本体210,220,230は、パネル本体1から屋外側X1に向けて突出している。
【0115】
これによれば、パネル本体1から屋外側X1に向けて突出した取り付け部材本体210,220,230の周囲に、外壁材4の施工及びシーリング材41によるシール処理を容易に行うことができる。
【0116】
(3) 上記(1)又は(2)に記載の壁パネル100において、取り付け部材本体210,220,230は、外方に向けて突出する固定片部214,224,232を有し、固定片部214,224,232を貫通する固定部材である固定ねじ202によって、パネル本体1の屋外側面1aに固定される。
【0117】
これによれば、建具取り付け部材2をパネル本体1に固定する際に、取り付け部材本体210,220,230において固定部材で固定する必要がないため、固定部材と建具3とが干渉する不具合が生じることがない。
【0118】
(4) 上記(1)~(3)のいずれかに記載の建具取り付け部材2において、取り付け部材本体210,220,230は、内面部21b,22b,23bを一壁面とする少なくとも一つの中空部211e,212e,221e,222e,231eを有する。
【0119】
これによれば、建具取り付け部材2の強度が向上するため、建具3を安定して壁パネル100に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0120】
100 壁パネル、 1 パネル本体、 1a 屋外側面、 10 開口部、 2 建具取り付け部材、 21b,22b,23b 内面部、 202 固定ねじ、 210,220,230 取り付け部材本体、 211e,212e,221e,222e,231e 中空部、 212c,222c,231d 屋内側板部、 214,224,232 固定片部、 215,225,233 被突き当て部、 3 建具、 30 枠体、 314,324,333 突き当て部、 315,325,334 当接部、 X1 屋外側、 X2 屋内側