IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • -方法、処理装置またはプログラム 図1
  • -方法、処理装置またはプログラム 図2
  • -方法、処理装置またはプログラム 図3
  • -方法、処理装置またはプログラム 図4
  • -方法、処理装置またはプログラム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162779
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】方法、処理装置またはプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/20 20200101AFI20241114BHJP
   G06F 30/13 20200101ALI20241114BHJP
   G06F 119/08 20200101ALN20241114BHJP
【FI】
G06F30/20
G06F30/13
G06F119:08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078668
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相賀 洋
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DJ01
(57)【要約】
【課題】建物の熱負荷を適切に計算可能な方法を提供する。
【解決手段】処理装置に実行させる方法であって、建物を構成する複数の部位の3次元形状をモデル化したモデルを設定する処理と、前記モデルを用いて、前記複数の部位それぞれの形態係数を計算する処理と、を含む、を含む方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置に実行させる方法であって、
建物を構成する複数の部位の3次元形状をモデル化したモデルを設定する処理と、
前記モデルを用いて、前記複数の部位それぞれの形態係数を計算する処理と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の部位それぞれにおける前記形態係数を用いて、前記複数の部位それぞれにおける放射吸収係数を計算する処理、
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記放射吸収係数を用いて動的熱負荷計算を実行する処理、
をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記形態係数を計算する処理には、照明の計算アルゴリズムが用いられる、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法を実行する処理装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法を処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方法、処理装置またはプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、動的熱負荷計算を行う装置、プログラム等が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-101880号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】新建築学大系編集委員会、「新建築学大系10環境物理」、彰国社、1984年1月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の動的熱負荷計算において室部位の放射吸収計算を行う際、簡単に3次元データが得られないため、各部位の放射吸収係数を室の全部位合計面積に対するその部位の面積比として簡易的に求めていた。このように簡易的な方法が用いられた場合、面積比と放射吸収係数は、実際の値とは必ずしも一致しない。そのため、正確な動的付加計算結果が得られるとは限らなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を鑑み、本発明は一態様として、処理装置に実行させる方法であって、建物を構成する複数の部位の3次元形状をモデル化したモデルを設定する処理と、前記モデルを用いて、前記複数の部位それぞれの形態係数を計算する処理と、を含む、を含む方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、建物の熱負荷を適切に計算可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態における処理装置のハードウェア構成の概要である。
図2】実施形態における処理装置の機能構成(ソフトウェア構成)の概要である。
図3】実施形態におけるモデルの構成を示す説明図である。
図4】実施形態において実行される計算のフローチャートである。
図5】放射係数の計算式である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
以下に、本発明の実施形態の一つである処理装置1について説明する。処理装置1は、動的熱負荷計算を実施することが可能である。
【0010】
処理装置1の実現に用いるハードウェアの一例を図1に示す。同図に示すように、処理装置1は、プロセッサ101、主記憶装置102、補助記憶装置103、入力装置104、出力装置105、および通信装置106を備える。これらは図示しないバス等の通信手段を介して互いに通信可能に接続されている。
【0011】
尚、処理装置1は、その全ての構成が必ずしもハードウェアで実現されている必要はなく、構成の全部又は一部が、例えば、クラウドシステム(cloud system)のクラウドサーバ(cloud server)のような仮想的な資源によって実現されていてもよい。また、処理装置1は、必ずしも1つの装置で構成される必要は無い。
【0012】
プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等を用いて構成される。プロセッサ101が、主記憶装置102に格納されているプログラムを読み出して実行することにより、処理装置1の機能が実現される。
【0013】
主記憶装置102は、プログラムやデータを記憶する装置であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性半導体メモリ(NVRAM(Non Volatile RAM))等である。補助記憶装置103は、SSD(Solid Rate Drive)、SDメモリカード等の各種不揮発性メモリ(NVRAM:Non-volatile memory)、ハードディスクドライブ、光学式記憶装置(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等)、クラウドサーバの記憶領域等である。
【0014】
入力装置104は、情報の入力を受け付けるインタフェースであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カードリーダ、音声入力装置(マイクロフォン等)、音声認識装置等である。処理装置1が通信装置106を介して他の装置との間で情報の入力を受け付ける構成としてもよい。
【0015】
出力装置105は、各種の情報を出力するインタフェースであり、例えば、画面表示装置(液晶モニタ、LCD(Liquid CryRal Display)、グラフィックカード等)、印字装置等)、音声出力装置(スピーカ等)、音声合成装置等である。処理装置1が通信装置106を介して他の装置との間で情報の出力を行う構成としてもよい。出力装置105は本発明における表示部に相当する。
【0016】
通信装置106は、ネットワークを介した他の装置との間の通信を実現する有線方式又は無線方式の通信インタフェースであり、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USB(Universal Serial Interface)モジュール、シリアル通信モジュール等である。
【0017】
〔機能構成〕
処理装置1が備える主な機能構成を図2に示す。同図に示すように、処理装置1は記憶領域110及び管理部120を備える。
【0018】
管理部120の機能は、プロセッサ101が主記憶装置102または補助記憶装置103に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。管理部120は、動的熱負荷計算などの処理を行う。詳細は後述する。
【0019】
記憶領域110は、主記憶装置102または補助記憶装置103に形成される。記憶領域110には、動的熱負荷計算において放射係数を計算するためのモデルM、及びモデルMの計算上の条件が保存される。計算上の条件としては、例えば伝熱条件、光透過条件、日射熱取得、風量、及び室内調光率が挙げられる。
【0020】
〔建物及びモデル〕
ここで、モデルMは、熱負荷計算の対象である建物を、3次元CADデータなどに基づいて、忠実に再現した3次元のモデルである。
【0021】
モデルMは、図3に示すように、天井Cと、床FLと、4つの壁WLとを少なくとも備える。これらの天井C、床FL、壁WLは、モデル化の対象とした建物の形状に従い、3次元の凹凸等もモデル化したものとなっている。したがって、例えばモデル化対象の建物の壁に開口部がある場合についても、壁WLには実際と同じ形状の開口が忠実に形成される。
【0022】
〔処理詳細〕
処理装置1において実行される処理について説明する。管理部120は、図4に示すような処理を実行する。
【0023】
まず管理部120は、モデルM及びモデルMの計算条件を設定する(S1)。この処理では、管理部120は、建物のモデル化を実行してもよいし、記憶領域110に保存された、予め設定されたモデルM及び計算条件を読み出してもよい。
【0024】
ステップS2において、管理部120は、形態係数の計算を行う。詳細に述べると、ある部位iからその他の部位jへ入射される熱の計算に使用される形態係数Fijが、各部位に対して計算される。
【0025】
モデルMを使用した場合を例にとると、天井Cの形態係数を計算する場合、4つの壁WL、床FLのそれぞれから入射される輻射熱に基づいて、天井Cの形態係数が計算される。壁WL、床FLについても同様であり、その他の部位からの形態係数の和として、各部位の形態係数が計算される。
【0026】
形態係数の算出の際には、2次元形状に基づくのではなく、モデルMの3次元形状が考慮される。つまり、天井C、壁WL、床FLの凹凸や開口等まで含めた形状や、相互の位置関係、部材間にある障害物の有無などを考慮して、形態係数が計算される。
【0027】
形態係数の計算の際には、熱計算の基礎となる電磁波の計算アルゴリズムだけでなく、例えばRadianceなどの光の計算アルゴリズムが用いられてもよい。光も電磁波の一種であるから、得られる形態係数は電磁波の計算によって得られる形態係数と同じ値となる。
【0028】
次に管理部120は、放射吸収係数を算出する(S3)。放射吸収係数は、ステップS2において算出された形態係数を用いて、図5の式(1)のように算出することができる(非特許文献1)。
【0029】
ステップS4において、管理部120は、動的熱負荷計算を行う。ステップS3で得られ放射吸収係数に加え、モデルMのその他の計算条件を考慮し、管理部120は、モデルMにおける熱負荷の時刻歴を計算する。モデルMに対する熱負荷として、通過熱負荷、日射負荷、照明負荷、人体負荷、機器負荷、外気負荷などが考慮される。
【0030】
<効果>
(態様1)上記実施形態の処理装置1は、処理装置1に実行させる方法であって、建物を構成する複数の部位の3次元形状をモデル化したモデルMを設定する処理と、モデルMを用いて、天井C、床FL、壁WLなど複数の部位それぞれの形態係数を計算する処理と、を含む、方法を実行する。
【0031】
上記構成では、複雑な3次元形状を持った建物であっても、正確な形態係数を計算できる。そのため、建物の熱負荷を適切に計算可能である。
【0032】
(態様2)態様1における方法は、複数の部位それぞれにおける形態係数を用いて、複数の部位それぞれにおける放射吸収係数を計算する処理、をさらに含む。
【0033】
上記構成では、複雑な3次元形状を持った建物であっても、正確な放射吸収係数を計算できる。そのため、建物の熱負荷を適切に計算可能である。
【0034】
(態様3)態様1から2の方法は、放射吸収係数を用いて動的熱負荷計算を実行する処理、を含む。
【0035】
上記構成では、建物の熱負荷を適切に計算可能である。
【0036】
(態様4)態様1から3のいずれかにおいて、形態係数を計算する処理に、照明の計算アルゴリズムが用いられる。
【0037】
上記構成では、照明の計算アルゴリズムを用いることによって形態係数を簡易に、また、正確に計算可能である。
【0038】
(態様5)態様1から4のいずれかにおいて、処理装置1によって計算処理が実行される。
【0039】
(態様6)態様1から5のいずれかにおける方法は、プログラムを起動した処理装置1によって実行される。
【符号の説明】
【0040】
天井C、床FL、壁WL
モデルM
図1
図2
図3
図4
図5